☆能登半島地震で隆起した海岸 地理院地図でくっきり浮かぶ

☆能登半島地震で隆起した海岸 地理院地図でくっきり浮かぶ

去年元日の能登半島地震で被災地をめぐって感じることは、「能登の地形が変わった」ということだろうか。これまで眺めていた風景とはガラリと変わったところもある。その一つが、海底が隆起した外浦(そとうら)海岸だ。能登では大陸側に面した海岸を「外浦」、富山湾に面した海岸を「内浦(うちうら)」と称している。能登地震で外浦は隆起し、内浦は沈下したところが随所に見られる。

たとえば、外浦の輪島市門前町の海岸沿いは海底が4㍍隆起し、まるで鳥取砂丘のような風景になっているところもある=写真・上=。この光景を見て、「この広がった領土を何とか活用できないか」と言う政治家もいれば、「地図をつくり直す国土地理院は大変だ」と語った研究者もいた。それぞれの立場で思い描くイメージは異なるようだ。

そして国土地理院は動いた。地元メディアの報道によると、国土地理院はインターネット上で公開している「地理院地図」を能登地震で起きた海岸の隆起を反映させた最新版にリニューアルした。ネット上で公開されている能登地震以前のものと今回更新された地理院地図=図・上が地震前、下が更新版=を比べると、前述の輪島市門前町の海岸線は200㍍余り沖方向に移動していることが分かる。

今回の地理院地図の更新で、能登半島の北側から西側にかけて広い範囲で陸地が増え、海岸線が沖へ拡大した。増えた陸地の面積については地理院が精査しているが、日本地理学会の研究チームによると、能登半島では約4.4平方㌔増えたという(今月6日付・北陸中日新聞)。よく引用される広さの目安だが、東京ドーム(建築面積4.7㌶)に換算して94個分に相当する。

更新された地理院地図を眺めていると、これを「能登砂丘」として、震災を学ぶ学習や観光に活かせないだろうか。そんなことを思ってしまう。

⇒7日(月)夜・金沢の天気  はれ

★安倍元総理銃殺事件から間もなく3年 能登空港で見た「聴衆を20㍍離す柵」

★安倍元総理銃殺事件から間もなく3年 能登空港で見た「聴衆を20㍍離す柵」

安倍元総理が奈良市で選挙応援演説中に銃撃され死亡してから、今月8日で3年になる。今でもこの銃殺は回避できなかったのかと思うことがある。最初、容疑者と安倍氏の直線距離は15㍍だった。その後、安倍氏の背後に回り込むように歩いて車道を横断。ショルダーバッグの中から手製の銃を取りだし、8㍍の距離から発砲した。周囲の人たちが大きな音に身をすくめる中、容疑者は白煙の上がる銃を手にし、さらに5歩前進。2.7秒後に、背後5㍍から2発目を撃った。音の方を振り向くような動きを見せていた安倍氏は身をかがめるようにして倒れた。容疑者は直後、車道上で取り押さえられた。警視庁のSP1人を含む4人の4警察官が警備にあたっていたにもかかわらず起きた事件だった。

今月4日、石破総理の街頭遊説が能登空港で行われたときの警備はどうだったのか。会場は能登空港の第2駐車場という空港ビルから100㍍余り離れた場所で、周囲には空港ビル以外の建物はない。入り口が設けられていで、ここで金属探知と手荷物の検査が行われていた。検査を行っていたのは警備会社のスタッフだった。入り口では警察官がなるべく手荷物を持ち込まないようにと呼びかけていたので、自身はスマホと車のキーのみを持って入ったので、金属探知のみだった。

ただ、一瞬あれっと思ったのは、金属探知が終わっていきなり、警備会社のスタッフが紺色の丸いシールを左胸の上に貼ったことだった。検査済みという意味だと理解するのに数秒かかった。街頭遊説の主催者は自民党石川県支部連合会で、主催者の発表だと参加者は700人とのこと。

石破総理は選挙カーに上がって演説をしたが、聴衆は選挙カーから20㍍余り離れた柵の中で聴いていた=写真=。聴衆の中からは「えらいものものしい雰囲気やな」や「石破さんの顔がよう見えん」などと声が上がっていた。確かに20㍍も離れると、自身も演説者の顔がよく見えなかった。カメラ撮影はOKとのアナウンスがあったので、石破総理ら演説者の表情はカメラ画像で確認した次第。

こうした警備態勢は警察と主催者側が事前に打ち合わせをして敷いたのだろう。能登空港では起きなかったが、安倍事件以降で選挙活動中に政治家が襲われる事件が相次いでいる。2023年4月には、和歌山市の漁港で選挙の応援に訪れていた当時の岸田総理に向かって手製の爆発物が投げ込まれるという事件もあった。政治家の街頭演説の20㍍の柵はさらに伸びていくのかもしれない。

⇒6日(日)午後・金沢の天気   はれ

☆熱中症警戒アラートの中、能登で石破総理が応援演説、熱気の「あばれ祭」

☆熱中症警戒アラートの中、能登で石破総理が応援演説、熱気の「あばれ祭」

金沢はきょうも朝から蒸し暑かった。気象庁と環境省は午前5時に、石川県内で熱中症の危険性が高まったとして今季初めて「熱中症警戒アラート」を発表した。金沢地方気象台によると、きょうの最高気温は能登半島の尖端に位置する珠洲市で34.2度、加賀市で34.1度、小松市で33.5度、金沢市で33.3度と県内11の観測地点すべてで真夏日となった。気象台では、エアコンを適切に利用したり、こまめに水分や塩分を補給したりするなど熱中症予防を呼びかけている。去年元日の能登半島地震の被災地では、公費解体などの作業に追われている被災者や作業員の人たちも多く、熱中症が気になる。

この危険な暑さの中、きのう公示された参院選で自民党総裁の石破総理がきょう党公認候補の応援演説のため、輪島市の能登空港を訪れた。地元メディアの報道によると、石破総理は遊説先の福島県からチャーター機で能登空港に降り立ったようだ。自身も金沢から空港の会場に行き、総理の演説に耳を傾けた。

午後2時ごろマイクを握った石破総理=写真・上=は、1年半が経過した能登半島地震を振り返り、「財政力が弱いから、地形が厳しいから対応できないということは国家が言うことではない。能登から新しい日本をつくっていく」と訴えた。また、「世界有数の災害大国ならば世界一の防災大国にしなければならない」と述べ、事前防災と災害対応の司令塔となる「防災庁」の必要性について強調していたが、どこに本部を置くかなどの具体案はなかった。また、能登の被災地の復旧・復興についての具体策についても言及はなかった。

総理の演説の後、能登半島をさらに北上し、能登町宇出津(うしつ)に着いた。夏から秋にかけて能登の各地で催されるキリコ祭りの先陣を切る「宇出津のあばれ祭(まつり)」が始まっていた=写真・下=。能登では「1年365日は祭りの日のためにある」という言葉があるくらい、人々は祭りにこだわる。その能登の祭りで、一番威勢のいい祭りとして知られるのが、宇出津のあばれ祭だ。

地元でキリコと呼ぶ「切子灯籠(きりことうろう)」を老若男女が担ぎ、「イヤサカヤッサイ」の掛け声が港町に響き渡っていた。熱気あふれるとはこの事をことを言うのだろうと実感した。絶好調になると、神輿を川に投げ込んだり、火の中に放り込むなど、担ぎ手が思う存分に暴れる。それを神が喜ぶという伝説がある祭りだ。

⇒4日(金)夜・金沢の天気   はれ

★炎天下で参院選、石破総理あす能登で遊説 復興具体策どうする    

★炎天下で参院選、石破総理あす能登で遊説 復興具体策どうする    

きょうは参院選の公示日ながら、金沢の街中はえらく静かだ。そもそも選挙の争点が見えない。きのう(2日)午後、NHKで放送していた与野党の8党首による討論会(日本記者クラブ主催)を視聴したが、なんとなく見えた争点は、物価高対策として現金給付なのか消費税の減税なのか、だろうか。

「バラマキの2万円はいつ配るのか。財源は足りるのか」。国民民主の玉木氏は与党の現金給付案について自民の石破氏(総理)に突っ込みを入れた。これに対し、石破氏は野党の消費税減税案について、「恩恵を受ける対象が誰なのか重点化せずに減税するのは、むしろバラマキに近い」などと応酬していた(コメントは意訳)。石破氏は「一番重要なのは賃上げ」とも強調していた。

このやり取りを有権者の目線で見れば、自民の現金給付は一時的な家計支援であり、野党の消費税減税の方が国政選挙の争点として価値があるのではないか。それよりもっとスケール感のある与野党の論争を聴きたいものだ。たとえば、「身を切る改革」として、衆院と参院の二院制のそのものの是非論を争点にしてはどうか。(※写真は、参院選石川県選挙区のポスター掲示板。5氏が出馬し1議席を争うが、うち4人のポスターが貼られていた=金沢市泉野出町3丁目の金沢市総合体育館横、午後4時ごろ撮影)

きょうの地元新聞の5段広告で「明日7月4日 石破総裁来る! 石川能登の復興のために 街頭遊説13時45分~ 場所能登空港・第2駐車場」と掲載されている。能登の有権者は、能登復興の具体策をこの場でぜひ示してほしいと期待しているに違いない。

話は変わる。前回ブログで能登半島地震で被災した輪島市で最大のホテル旅館が閉鎖、その原因の一つが観光需要が見込めず、再建に向けた投資がままならないことだ、と述べた。以下、それを裏付けるような話。金沢国税局が今月1日に公表した2025年分の路線価(1月1日午前0時時点、平方1㍍当たり)によると、輪島市河井町の朝市通りは昨年比で16.7%減の3万5000円となった。地震前の評価だった前年は4.5%減だったので、地震で下落率が一気に拡大したことになる。この16.7%減は全国で最大の下落率だった(メディア各社の報道)。不動産需要を見いだし難い輪島の現状が数字として表れてきた。

もう一つ。石川県は去年1月1日からことし6月1日時点の県内の人口と世帯数の推移を発表した(今月1日)。輪島市は去年1月の2万1903人から2823人減り、1万9080人(減少率12.9%)。減少数は能登の9市町で最も多かった。地震による人口減少や観光客の入込数が見込めない状況がいつまで続くのか。暗い数字の話が続いた。

⇒3日(木)午後・金沢の天気  はれ

☆「ホテルこうしゅうえん」閉館 能登の観光業に及ぼすインパクト

☆「ホテルこうしゅうえん」閉館 能登の観光業に及ぼすインパクト

前回ブログの続き。輪島市で一番客室が多い「ホテルこうしゅうえん」がきのう閉館したことをニュースで知って、きょう現地を見に行った。1968年に「ホテル高州園」として海沿いにオープンした。自身は地元新聞の記者だった1983年4月から2年間、輪島支局に勤務した。初代と二代目社長とは取材を通じて知り合った。当時、高州園は増築を重ねていて、その後132室にまで増やしていった。高州園という名前は、奥能登で最も高い山である高洲山(567㍍)が輪島市にあることから名付けたとのことだった。

二代目の社長はアイデアマンで、テレビCMには自ら輪島駅の駅長役として出演したものがあった。また、テレビ画面から魚と海水が噴き出す、あのユニークなテレビCMも二代目社長のアイデアだった。ユニークなCMで全国から話題を集めたものの、二代目が亡くなり、その後の後継者問題から、2018年に東京のホテル運営会社が事業を引き継いでいた。

去年元日の能登半島地震では大浴場が使えなくなったり、基礎部分が傾いたりしたため一般客の受け入れを休止し、応急修理を行いながら、復旧工事の関係者に宿泊場所を提供してきた。ただ、営業を続けるためには大規模な工事が必要となるほか、観光客の回復の見通しが立たないことから運営会社は閉館を決め、先月30日ですべての利用客がチェックアウトした(メディア各社の報道)。

きょう輪島市内をめぐると、高州園だけでなく旅館や民宿なども被災をきっかけに休業していた。輪島市観光協会のまとめでは、地震前に47あった宿泊施設のうち6つの施設が廃業していて、現在営業している施設は19ヵ所にとどまっている(同)。地震の被害が残り、観光客の回復が見込めない状況で果たして投資をして宿泊業を続けていけるのかどうか。

⇒2日(水)夜・金沢の天気  はれ

★能登半島地震から1年半 半島を挟む活断層や断層帯の不気味

★能登半島地震から1年半 半島を挟む活断層や断層帯の不気味

去年元日の能登半島地震からきょうで1年と半年が経った。これまで被災地をめぐって復興の現状など見てきたが、公費解体などは進んでいるものの、復興と言うほどの実感はまだ乏しい。

地元紙で、輪島市内で最大の客室数を誇っていた「ホテルこうしゅうえん」がきょう1日で閉館すると社会面トップで報じられている(1日付・北國新聞)。テレビ画面から魚と海水が噴き出す、あのユニークなテレビCMで全国でも知られたホテル旅館だった。震災以降は営業を停止し、復旧工事などの関係者が滞在していた。

暗いニュースは続く。日本海側で再び強烈な地震が起きるのか。政府の地震調査委員会は先月27日、日本海中南部(近畿・北陸沖)に分布する23ヵ所の海域活断層について今後30年以内の地震発生確率を公表した。マグニチュード7の地震を引き起こす恐れのある長さ20㌔以上の活断層や断層帯が評価対象で、いずれかを震源にM7.0以上の地震が発生する確率は16%から18%と評価した(先月28日付・メディア各社の報道)。

東西で2区域に分けた場合の確率は、西部(近畿北方沖、北陸西部沖)の9ヵ所で4%から6%、東部(金沢平野西方沖、能登半島周辺、富山県沖)の14ヵ所で12%から14%だった。能登半島地震を引き起こした北岸断層帯(想定M7.8~8.1程度)については、去年の地震で震源となったため、個別には発生確率をほぼ0%と評価した。一方で半島西側の海士岬沖東断層(想定M7.0程度)と門前断層帯の一部区間(想定M7.1程度)はいずれも1%から2%と23ヵ所の中で最も高かった(同)。

調査委の平田委員長(東京大名誉教授)は「今後30年で10%程度というのは、私たちが生きているうちに起きても不思議ではない高い数字だ」「昨年のような地震は、能登半島北岸の断層帯ではしばらく起きないかもしれないが、それ以外で起きることは十分にある」と指摘。「同程度の揺れや津波が来るかもしれないと思って準備をしてほしい」と話した(同)。

今回、富山県沖の富山トラフ横断断層(想定M7.0程度)は新たに活断層と認定し、発生確率は0.9%から1%とした。断層が増えたことで、調査委が作成した図は能登半島が断層帯に挟まれているようにも見え、不気味さが増す。

⇒1日(火)午後・金沢の天気   はれ

☆大の里横綱昇進パレードは沸き、チェロとワインに酔いしれる

☆大の里横綱昇進パレードは沸き、チェロとワインに酔いしれる

あの輪島以来52年ぶりに石川県から大相撲の新横綱に昇進した大の里関の祝賀バレードがきのう(29日)午後、出身地の津幡町で開催された。同町に住む親せきが自宅の2階から撮った写真を送ってくれた。オープンカーに二所ノ関親方と大の里関が乗り、こちらに向かって手を振ってくれている=写真・上=。1.2㌔のルートを30分ほどかけて進み、沿道の町民やファンが「おめでとう」「唯一無二」などと声援を送っていたようだ。祝賀パレードは去年夏場所の初優勝を記念して7月に催されていて、今回で2回目となった。

横綱昇進後、初めて故郷に凱旋した大の里関には栄誉も贈られた。パレードの到着点の町文化会館シグナスで報告会が開かれ、馳知事から県民栄誉賞が、矢田町長から町民栄誉賞がそれぞれ授与された。7月13日に初日を迎える名古屋場所でのさらなる奮闘を期待する声に、大の里関は「お祝いムードはきょうで終わり。あすから切り替えて稽古して、頑張りたい」と決意を新たにしていた(メディア各社の報道)。

きのう午後はコンサートに出かけた。金沢歌劇座で開かれた金沢交響楽団の第75回定期演奏会=写真・中=。同楽団は1972年に結成され、教員など様々な職業の社会人や主婦、学生らにより運営されているアマチュア・オーケストラ。今回の演奏曲はブラームスの『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲』、そしてドボルザークの『チェロ協奏曲』。オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)からプロのバイオリン奏者・坂本久仁雄氏、チェロ奏者・大澤明氏が入り、指揮者は山下一史マエストロがタクトを振るという、ある意味で豪華な演奏会だった。

ドボルザークのチェロ協奏曲は、独奏チェロの技巧的な美しさと、ドラマティックとも言えるオーケストレーションが印象的な名曲でもある。情感豊かに奏でられ、客席で酔いしれていた。

さらに酔いしれたのが、コンサートの終了後に金沢で開催されたワイン・セミナーに参加したとき。「オーパス・ワンとロバート・モンダヴィの世界」をテーマに、カリフォルニア・ワインを楽しみ学ぶ会だった。「ワインとは私にとって情熱である。そして家族、友人である。それはまた、温かい心、寛大な精神でもある」は、カリフォルニア州ナパ・ヴァレーを拠点にワイン造りに生涯を捧げたロバート・モンダヴィの名言だ。

そのロバート・モンダヴィがこだわって造ったワインが「オーパス・ワン」=写真・下=。カリフォルニアの季節外れの低温、タイミングの悪い雨、収穫直前の熱波などの難しい気候にめげずに造り続けるヴィンテージの豊穣なストーリーに耳を傾けながら味わった。ちなみに、オーパス・ワンは、音楽用語で「作品番号1番」。唯一無二のワインとの意味が込められているそうだ。

⇒30日(月)午前・金沢の天気  はれ

★クマの大量出没を警戒、石川県が注意報で呼びかけ

★クマの大量出没を警戒、石川県が注意報で呼びかけ

ツキノワグマの大量出没が懸念されるとして、石川県自然環境課はきのう(27日)、「出没注意情報」を出して警戒を広く呼びかけている。ツキノワグマの出没注意報は4年連続となる。人身事故が発生した場合、県では「警戒情報」に切り替えて警備を強化する。

県内の各自治体や県警、猟友会などの関係者を集めて開かれたクマ出没対応連絡会議での県の説明によると、5月下旬から6月にかけて行ったクマの餌となる植物3種(ブナ、ミズナラ、コナラ)の雄花の落下数を調査した結果、クマの主要な餌であるブナは22地点のうち20地点で大凶作、2地点で凶作となり、今秋は全体で大凶作が予想されると判断した。ミズナラは豊作、コナラは並作だった。これまでのデータで、ブナが大凶作だった2020年にはクマの目撃件数は869件となり、人身被害は15人に上った。

ことしに入り県内ではすでに129件の目撃情報が寄せられている。地域別では小松市など南加賀が99件ともっとも多く、次いで金沢市周辺での21件などとなっている。春から夏に向かう今の季節では、交尾期のクマや親離れした若いクマの行動が広範囲で活発となる。

また、最近では「アーバンベア(都市型クマ)」と呼ばれ、市街地周辺で暮らし、街中に出没するクマも増えている。ペットフードや生ごみなどをあさる。(※イラストは、石川県公式サイト「ツキノワグマによる人身被害防止のために」から)

クマの市街地での出没や人身事故は石川県だけでなく全国的な問題となっている。このため国はことし4月18日、クマやイノシシが市街地に出没し、建物内に立てこもったり、木の上に登ったりするなど膠着状態が続いた場合、それぞれの自治体の判断で発砲できるようにする「改正鳥獣保護管理法」を成立させた。施行日は公布から6カ月以内とし、クマの出没が増える秋をめどとしている。

以下は憶測だが、能登に行くと山々がうっそうとしていて、スギやアテ(能登ヒバ)などにツル草が絡んで、まるで原生林に戻ったように山が荒れている。去年元日の能登半島地震で山を手入れする人や業者の手が回らないのだろうか。クマやイノシシはそこを狙ってやって来るのかもしれない。県に寄せられた能登地区の9市町での目撃情報は去年1年で36件、ことしは9件(今月25日時点)となっている。秋にかけてさらに増えていくのか。

⇒28日(土)夜・金沢の天気  くもり

☆万博そぞろ歩き(続)・・万博のシンボルは巨大な大屋根リング

☆万博そぞろ歩き(続)・・万博のシンボルは巨大な大屋根リング

万博の作品はパビリオンの中だけではなく、外にも飾られている。中でも、「インド」パビリオンの前にある大きな手のオブジェが目立つ。合掌する青色と肌色の手だ=写真・上=。「ナマステハンド」と呼ばれている。インド人は会ったとき、そして別れの挨拶に合掌して、「ナマステ」と言葉を発する。ナマスは敬礼・服従するという意味で、テは「あなたに」の意味がある(Wikipedia「ナマステ」)。インドのお国柄を象徴するような作品だ。

外から大屋根リングを眺めると、大勢が歩いている。エスカレーターで高さ12㍍の屋上「スカイウォーク」に行き、楽しそうに歩いている様子が見える=写真・中=。リングの全長は2025㍍なので、1㌔をゆっくりめの15分で歩いたとして、30分ほどで一周する。来月7月28日夕方には、スカイウォークで7000人が参加して盆踊り大会が開かれるようだ。

そして、大屋根リングは巨大な休憩所のような雰囲気が漂う=写真・下= 。リングの下は歩ける交通空間であると同時に、雨風や日差しなどを遮る快適な滞留空間として利用されている。EXPO2025公式サイトによると、リングは「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表すシンボルとなる建築物、と評されている。そして、構造が神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的な貫(ぬき)接合の工法を加えた建築で、和の風格がある。

大屋根リングは、最大の木造建築物としてことし3月4日にギネス世界記録に認定された。正式な英語記録名は「The largest wooden architectural structure」。万博会場を回っていて、万博のシンボルと言われるものはなんだろうかと考えると、やはり大屋根リングだろう。1970年の万博では、芸術家の岡本太郎氏がデザインした、あの「太陽の塔」がシンボルだった。ただし、大屋根リングは万博終了後に一部を残して解体されることになっている(EXPO2025公式サイト)。つかの間の万博のシンボル、そしてギネス世界記録の建築物はさっと姿を消すことになる。個人的には、心に残ればそれでよい。

⇒27日(金)夜・金沢の天気    くもり

★万博そぞろ歩き(下)・・オーストラリア館前でワニ肉ロールを食す

★万博そぞろ歩き(下)・・オーストラリア館前でワニ肉ロールを食す

「未来の都市」パビリオンの入り口付近に日本の伝統的な文様とされる「なまこ壁」が見えた。「万博らしくないな」と思いながらよく見ると、「くら KURA」と書かれた暖簾(のれん)が掛かっていた。「くら寿司」だ。順番待ちの長い行列ができていたので、列には並ばなかったが、万博のくら寿司は特徴があるようだ。ネットによると、寿司のほかに、70ヵ国・地域を代表する料理を再現した特別メニューがあり、各国の駐日大使館から協力を得て、限りなく本場の味わい近いメニューを再現した、とある。リトアニアのシャルティバルシチャイは「冷たいボルシチ」と呼ばれ、見た目も鮮やかなビーツを使用したスープで、この暑さで人気のようだ。

ツアーの同行者から誘われ、チャレンジしたのがワニの肉。「オーストラリア」パビリオンの前にショップがあり、「クロコダイルロール」と赤ワインを注文した。説明書きには「ワニの切り身・ネギ・レモンマートルマヨネーズ・ブリオッシュロール」とある。値段は1650円。オーストラリア人らしき女性販売員から「ワニ、オイシイデスヨ」と片言の日本語で手渡された=写真・中=。少々ドキドキしながら口にした。ワニの肉は硬いイメージだったが、鳥肉のような柔らかさだった。そして、これがオーストラリア産の赤ワインとぴったりと合う。まさにマリアージュ。ちょっとした海外旅行気分も味わえた。

「宴ーUTAGE」という外食パビリオンでは、大阪外食産業協会が新しい外食の在り方を提案しているというので館内をのぞくと、外食チェーン店や老舗菓子店が万博限定メニューや試食を提供していた。そんな数々のメニューの中で「SDGs冷麺」が目を引いた=写真・下=。冷麺を食べたいが、食物アレルギーが気になるという人のための冷麺のようだ。小麦粉を使わずに米粉100%麺、グルテンフリー、アレルゲンフリー、トマトソース、スーフード、とある。値段は1180円。

SDGsには「誰一人取り残さない」という原則がある。それを食の世界でも進めるというのが、 「天下の台所」「食い倒れ」の大阪らしい発想なのかとも思った。

⇒26日(木)夜・金沢の天気   あめ