★金沢で「ひと、能登、アート。」展 震災と復興の音がテーマの作品も
あと2週間余りで去年元日の能登半島地震から3年目を迎える。能登の復興を支援しようというさまざまが動きが見られるが、アートもその一つ。特別展「ひと、能登、アート。」=写真=が兼六園周辺に位置する石川県立美術館、金沢21世紀美術館、国立工芸館の3館でいま当時に開催されている。3館で同じテーマの展覧会も珍しいが、国宝を含めた文化財から現代アートまで86点の作品は都内を中心とした30の美術館などから寄せられたもの。となると、この機会を逃すと一生見ることができないかもしれないと思い立ち、鑑賞に出かけた。

3館同時の開催は今月13日から21日までの9日間。最初に足を運んだのは21世紀美術館。14日午前11時から東京国立博物館の主任研究員、高橋真作氏の作品解説があった。作品15点の中で大作なのが、版画家の棟方志功が1953年に完成させた『幾利壽當頌耶蘇十二使徒屏風』(五島美術館所蔵)。.棟方志功の作品は仏教をイメージした作品が多いが、キリスト教をテーマとしたものもあり、その一つ。高さ3㍍に幅1.8㍍という珍しい縦長の屏風にキリストの弟子である十二使徒の様子が描かれている。棟方志功は先の大戦で東京から富山県福光に疎開したことでも知られる。これまでの作品は戦災の東京で焼失したが、それでも気力を失うことなく、福光で作品づくりに励んだ。作品の大きさからも力強さを感じさせる。
「震災と戦災の違いはあるものの、棟方志功の作品が能登半島地震で被災された方々の励ましになれば」と高橋氏は述べていた。高橋氏は能登地震の後、能登で被災した文化財を救い出す「文化財レスキュー」の一員として能登に通ったそうだ。
このほか、21世紀美術館には、ルノワールの『ばらをつけた女』(国立西洋美術館所蔵)などの西洋の名画が並んでいる。「さすが21美」と思ったのが、現代アートも展示していること。アーティストの井上涼氏が実際に能登の地へ3度足を運んで取材・制作をした動画『ネコ耳をつけたウミネコのウネミちゃん』が上映されている。金沢美大の卒業生として、4年住んだ石川県への復興支援の想いを込めた。能登の現地で聞こえる音を録音して、それをもとにストーリーと歌をつくりアニメーション作品を仕上げた。
井上涼氏は21美の公式サイト「ひと、能登、アート。」でコメントを寄せている。「建物の解体の音もあれば、昔から変わらず聞こえるであろうごはんの支度をする音もありました。私の『復興支援』は作品をつくることで一つピークを迎えますが、このさきゆっくりと続けていくつもりです」。誰も手掛けなかった被災地の音の物語。今回の21美での放映は始まりで、これから追い続けていくようだ。復興の音はどのように聞こえるのだろうか。これからが楽しみだ。
⇒15日(月)夜・金沢の天気 あめ






















