★「覆面のパロディ画家」の素性を晒すのか メディアが問われた記事

「覆面のパロディ画家」として知られるバンクシー。公共空間にスプレーと型紙で作品を描き去るストリートアーティストだ。印象に残る作品は「JUDO」=写真・上=。柔道少年が大人の柔道家を投げるシーンが描かれている。2022年11月にウクライナの首都キーウ近郊にある街で発見された作品という。同年2月に始まったウクライナ侵攻でロシアは世界から批判にさらされることになる。プーチン大統領は柔道家としても知られる。少年がウクライナで大人の柔道家がロシアと見立てると、この絵は「ロシアに負けるな」というウクライナに対する応援メッセージと読み取れる。

そしてバンクシーの代表的な作品とされるのが、「FLOWER THROWER」=写真・下=。パレスチナのベツレヘムの壁に2005年に描かれた。野球帽を反対に被り、バンダナで顔を隠した男が花束を投げる様子が描かれている。2003年にパレスチナとイスラエルを分断する分離壁が建設された時に、反対する暴徒が火炎瓶を投げる描写がモチーフとされる。それをバンクシーは花束を投げるという描写に仕立てた。火炎瓶(暴力)よりも、花束(愛)を投げて戦えというポジティブなメッセージを作品に込めた、と読める。
絶妙に風刺を込めたバンクシー作品だが、ではバンクシーは誰なのか。イギリスのロンドンに本社を置くロイター通信は今月13日付の記事でバンクシーの実名を掲載した。以下、ロイターニュースWeb版日本語(16日付)で掲載された同記事。
◇
世界各地に作品を残している謎の芸術家バンクシー。ロイターは関係者への取材や資料に基づき、バンクシーは英南西部ブリストル出身の男性ロビン・ガニンガム氏だと結論づけた。
バンクシーの弁護士マーク・スティーブンス氏はロイターに対し、書面で「(バンクシーは)貴社の問い合わせに含まれる詳細の多くが正確であるとは認めていない」と述べた。バンクシーの正体について肯定も否定もせず、取材内容を公表すればバンクシーのプライバシーを侵害し、芸術活動に支障をきたし、危険にさらすとして、公表を見送るよう要請した。
ロイターは、プライバシー侵害というバンクシーの主張、彼のファンの多くが匿名性の維持を望んでいるという事実を考慮した。報道活動で適用するあらゆる基準に照らしつつ、文化、アート業界、そして国際的な政治的議論にも深く永続的な影響力を持つ人物の素性や経歴を理解することについて、公衆が深い関心を持っていると判断した。
◇
ロイターとすると詳細な経歴や顔写真などは避け、実名だけを公表した。報道機関としてギリギリの選択だったに違いない。権力批判を続ける画家をどこまで守るのか、取材した事実を公表することで万が一のことが起きた場合は誰が責任を持つのか、むしろ問われたのはロイターの報道姿勢だったのかもしれない。
⇒17日(火)午後・金沢の天気 はれ


























