★セイタカアワダチソウは「厄介な雑草」なのか

★セイタカアワダチソウは「厄介な雑草」なのか

   きょうは秋晴れのすがすがしい一日になりそうだ。庭にはセイタカアワダチソウが黄色の花を咲かせ、時折そよぐ風に身を揺らしている=写真=。ただ、この植物は植えた覚えはなく、いつの間にか庭に生えていた、いわゆる外来種の雑草ではある。

   なのに、春と夏の草むしり(除草)の際は、数本だけ残している。観賞用でもないのだが、「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」(昭和天皇のお言葉)という有名なフレーズを妙に覚えていて、根こそぎの除草はしていない。ところが、この季節に休耕田や河原、空き地に一面に群生している様子を見るとその勢いに圧倒されそうになり、複雑な思いに駆られることもある。

           そうした見た目のよくない印象もあるのだろう、セイタカアワダチソウは花粉症の元凶と誤解されたこともかつてあった。今でもそう思っている人も多いかもしれない。風に揺れる様子を見ていても分かるように、花粉がほとんど飛ばない。花粉は量が少なく、比較的重いためとされる。いわゆる「風媒花」ではなく、花に寄って来た虫によって受粉する「虫媒花」なのだ。

   以前、植物研究者から聞いた話だが、セイタカアワダチソウは生命力が強い植物であり、さまざま薬効もあるようだ。葉にはポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などが含まれていて、煎じて飲めば、血糖値や血圧の上昇を抑える効果がある。また、フラボノイドも含まれていて、ヨーロッパなどでは葉を潰して虫刺されや外傷の止血剤としても用いられている。入浴剤としても使われている、とか。今では見かけないが、日本では、草丈が1㍍から2㍍と長いことから、かついては簾(すだれ)の材料として活用されていた。

   さまざまに活用方法があるものの、人々の暮らし方の変化にともない、厄介な雑草としか見られない植物になった。こう考えると、才能がある人物を活かしきれず、厄介者扱いにする人間社会も同じ、かと思ってしまう。

⇒13日(木)午前中・金沢の天気    はれ

☆番組の制作意図をさらけ出した、あの一言

☆番組の制作意図をさらけ出した、あの一言

    テレビ朝日公式サイトの「社長定例会見」のページに今月4日の会見の内容が記載されている。その中で、篠塚社長は報道局の社員3名の懲戒処分を当日付で行ったと以下述べている。報道局情報番組センター所属で『羽鳥慎一モーニングショー』のコメンテーター、玉川徹を謹慎(出勤停止10日間)とした。玉川は先月28日、番組で事実に基づかない発言を行い、その結果、番組および会社の信用を傷つけ、損害を与えたことによりと処分した。番組担当のチーフプロデューサー2名を譴(けん)責とした。

   記者からの「出勤停止の後は番組に復帰するのか。また、どのような再発防止策を講じていくのか」との質問に、篠塚社長は関係者のヒアリングなども含めて、会社の規定に従って処分を決定した。出勤停止が明けた段階では番組に復帰するという予定だ。番組も本人も含めて深く反省しているので、改めて指導を徹底して、と返答している。

   舌鋒鋭い玉川コメンテーターだが、今回問題となった発言はネット上のユーチューブ動画に数々上がっている。安倍元総理の国葬(9月27日)で菅元総理が友人代表として弔辞を読み上げ、感動的だったとの絶賛の声がSNSで広がっていた。これについて、翌日の番組で玉川氏は、「演出側の人間として、テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういうふうにつくりますよ。政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ。当然これ、電通が入ってますからね」などとコメントした。

   素直に聞けば、菅氏の弔辞は電通が作成したとも受け取れ、「電通黒幕」のような物言いだ。それが一転して、玉川氏は翌日の番組で「事実ではなかった」と謝罪した。社とすれば、この事実誤認を単に番組で詫びるだけでは済まなかった。テレビ業界と密接につながる電通側に対し、社として陳謝するという意味を込めて今回の処分になったのだろう。

   以下は憶測だ。経営陣にはもう一つ、憤りがあったのではないかと。玉川氏の発言の「政治的意図がにおわないように、制作者としては考えますよ」の部分だ。思い起こすのが、あの「椿発言」だ。1993年、テレビ朝日の取締報道局長だった椿貞良氏(2015年12月死去、享年79)が日本民間放送連盟の勉強会で、総選挙報道について「反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないかと報道内部で話した」などと発言した。当時、非自民政権が樹立され、細川内閣が発足していた。この内輪の会合の椿氏の発言が産経新聞=写真・下、1993年10月13日付=で報じられ、テレビ報道の公平公正さが問われた。同氏は責任をとって辞任。その後、国会に証人喚問されるという前代未聞の展開となった。

   玉川氏の発言は椿発言とは真逆の立場ながら、表に出すべきでない番組制作の意図というものをさらけ出してしまった。椿発言がトラウマとなっている経営陣にとってはなおさら気に障ったのではないか、とも憶測した。

⇒12日(水)午前・金沢の天気    くもり時々あめ

★沈黙破り「弾道ミサイル」「核戦力」を強調する背景は

★沈黙破り「弾道ミサイル」「核戦力」を強調する背景は

   北朝鮮の労働新聞Web版(11日付)は、9月25日からの今月9日まで7回におよんだ弾道ミサイルの発射について、「경애하는 김정은동지께서 조선인민군 전술핵운용부대들의 군사훈련을 지도하시였다 」(意訳:金総書記は人民軍の戦術核作戦部隊の軍事訓練を指揮した)の見出しで記事と写真で紹介している。記事を読むと、この日はどこを狙ったなどと具体的に記していて実に生々しい。

   記事によると、9月25日に発射した弾道ミサイルは、貯水池に設けられた水中発射施設からの発射だった=写真・上=。水中発射ということは、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)なのだろう。記事では、「設定された高度で正確な弾頭爆発の信頼性が検証された」としている。同28日の弾道ミサイル発射は韓国の飛行場への攻撃訓練で、戦術核弾頭を想定したと記載している。具体的な核攻撃目標が飛行場であり、リアルさを感じる。

   今月4日に日本列島を通過する中距離弾道ミサイルが発射され、太平洋に落下した。写真では、金総書記がパソコンのモニターを見ながら、想定飛行を確認する様子が映っている=写真・下=。記事では、「地上中長距離弾道ミサイル」の発射は朝鮮労働党中央軍事委員会の決定によるもので、「敵に対してより強力で明確な警告を発した」と記載している。この中距離弾道ミサイルの飛翔距離は4600㌔と推定され、距離としてはこれまでの弾道ミサイルで最長だった。この射程内には、アメリカ軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアムがすっぽりと入る。核弾頭が搭載して高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機などが展開するアンダーセン基地がある。

   記事の最後は、「敬虔な同志金正恩は、核戦力が我が国の尊厳、自己主権、射撃権の重大な義務を認識し、最強の核対応態勢を維持し、より後方を強化することへの自信を表明した」(意訳)と結んでいる。5月4日以降、弾道ミサイル発射について、国営メディアは関連記事を掲載していなかった。今回、「沈黙」を破って掲載した狙いはどこにあるのか。「核戦力」を強調するためか。7回目となるであろう核実験への連鎖はあるのか。

⇒11日(火)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

☆物価高や旧統一教会問題 ズルズル下がる内閣支持率

   内閣支持率が急落している。共同通信社の世論調査(10月8、9日)を各紙が伝えている。それによると、岸田内閣を「支持する」は35%で、前回調査(9月17、18日)の40%を5ポイントも下回っている。「支持しない」は48%で、前回より2ポイント高まった。(※小数点以下は四捨五入)

   支持する理由については「ほかに適当な人がいない」が49%、また、不支持の理由は「経済政策に期待が持てない」36%とそれぞれ突出している。とくに、経済政策については前回より9ポイント増えている。この背景にあるのが物価高のようだ。値上げによる生活への打撃についての問いでは、「非常に打撃」19%、「ある程度打撃」60%で、8割が「打撃」と答えている。

   自身が注目したのは、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射に関連する質問だった。問いでは「政府は、外国からミサイル攻撃を受ける前に、相手国のミサイル発射基地などを攻撃する『敵基地攻撃能力』の保持を検討しています」との説明で、賛否を尋ねている。「賛成」が54%、「反対」が38%となっている。弾道ミサイル発射は9月25日以降7回目、そして、調査期間中のきのう9日未明にSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射があり、急激高まった世論の危機意識のあらわれとも言える。

   関連して、「日本の防衛費をどうするべきか」との問いでは、「大幅に増やす」11%、「ある程度増やす」45%、6割近くが増額と答えている。「今のままでいい」は31%、「ある程度減らすべき」7%、「大幅に減らすべき」3%と4割が現状ないし減額と答えている。これは、防衛費より物価高対策にお金を回せとの民意のようにも読める。

   安倍元総理の国葬(9月27日)についての問い。「全額を国費で負担しました。あなたは安倍氏の国葬実施を評価しますか」では、「評価しない」39%、「どちらかといえば評価しない」23%、と評価しないが6割を占めている。一方、「評価する」13%、「どちらかといえば評価する」26%だった。積極的な意見だけを取り上げれば、「評価しない」が「評価する」の3倍となる。

   連日のようにメディア各社が、政治家と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係を取り上げている。「自民党は旧統一教会と党所属の国会議員との関係を調査し公表しました。あなたは、自民党の対応が十分だと思いますか」との問いでは、「十分ではない」が83%で、前回調査の80%よりさらに増えている。また、「細田衆院議長は、旧統一教会側との関係を自民党調査の発表後に相次いで公表しました。あなたは、細田氏の説明は十分だと思いますか」の問いでは、「十分ではない」が87%だった。旧統一教会に対する厳しい世論の風当たりが政治に向かって吹き続けている。

   共同通信の前々回調査(8月10、11日)では54%あった内閣支持が今回と比べると19ポイントも落ちている。物価高や旧統一教会問題に対して有効な手が打てず、現状の「ズルズル内閣」では、次回は20%台ではないかと憶測してしまう。

⇒10日(月・祝)午後・金沢の天気    あめ 

★SLBMを繰り返す北朝鮮の執念「瀬戸際戦略」

★SLBMを繰り返す北朝鮮の執念「瀬戸際戦略」

   今度は海からの弾道ミサイルの発射だ。防衛省公式サイト(9日付)によると、北朝鮮はきょう未明、午前1時47分と同53分の2回、半島東岸付近から東方向に向けてそれぞれ1発の弾道ミサイルを発射した。2発とも最高高度は100㌔程度で、約350㌔飛翔したものと推測される。ことし5月7日にも半島東岸付近から、1発のSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを発射している。今回も、海岸付近という発射場所などから、SLBMの可能性が高い。弾道ミサイル発射は9月25日以降7回目(計12発)だが、未明の発射は初めて。

   去年10月19日にも半島東部の潜水艦の拠点となっている新浦(シンポ)付近から、SLBMを東方向に発射させている。このときの労働新聞(同20日付)は「조선민주주의인민공화국 국방과학원 신형잠수함발사탄도탄 시험발사 진행」(国防科学研究所が新型潜水艦発射弾道ミサイルを試験打ち上げ)の見出し=写真=で、2016年7月9日にSLBM「北極星」を初めて発射した潜水艦から再び新型SLBMの発射に成功し、国防技術の高度化や水中での作戦能力の向上に寄与したと記事を掲載している。

    防衛省資料「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」(令和4年度版)によると、北朝鮮は弾道ミサイルを発射可能な潜水艦を1隻保有し、その潜水艦にはSLBM1発が搭載可能。さらに、北朝鮮はより大きな潜水艦の開発を追求しているとの指摘もある。例えば、北朝鮮メディアは金総書記が「新たに建造された潜水艦」を視察したと発表(2019年7月)している。これは、通常の攻撃用潜水艦(24隻)を改造して、SLBMを3発搭載可能にするという指摘もある。SLBM搭載の潜水艦の開発は、弾道ミサイルによる打撃能力の多様化のほか、敵からの攻撃に対して残存性が高いため報復攻撃を狙っているとされる。

          「残存性」を別の言葉で解釈すれば、敵に対してはSLBMでしつこく攻撃する、復讐を繰り返す、そんな意味だろう。北朝鮮の「瀬戸際戦略」の執念がここに見えるようだ。

⇒9日(日)午後・金沢の天気   あめ

☆金沢の茶席で見たトンボ絵の茶器のこと

☆金沢の茶席で見たトンボ絵の茶器のこと

      きょうは3連休の初日。空模様を気にしながら、3年ぶりに開かれた「金沢城・兼六園大茶会」(石川県茶道協会など主催)に足を運んだ。「大茶会」と言うのも、4つの会場で茶道7流派の12の社中が日替わりで茶席を設ける形式。4つの会場は金沢城や兼六園の近くにあり、それぞれ趣きのある場の雰囲気にひたりながら茶の湯を楽しむことができる。

   最初に訪れたのは金沢21世紀美術館の敷地の一角にある茶室「松涛庵」。もともとは加賀藩主が江戸時代の末期に東京の根岸に構えた隠居所だった。その後、金沢に移築されて茶室に改装、平成13年(2001)に金沢市が取得して一般公開している。露地は枯山水の造り。モダンアートを展示する「21美」とは真逆の伝統的な和風空間でもある。

   ここで表千家の社中が立礼(りゅうれい)席を設けていた。立礼は椅子に座ってお茶を点てる作法=写真・上=。客も椅子に座り、抹茶碗はテーブルの上に置かれる。まさに和洋折衷の風景だ。一説に、明治5年(1872)に西本願寺などを会場として京都博覧会が開かれ、裏千家が外国人を迎えるために考案したものとされる。文明開化といわれた激変する時代に対応するアイデアだったのだろう。

   その立礼でお茶を点てる様子を眺めていた。すると、お点前の女性が手に持った茶器がキラリと光った。何だろうと思い、茶道具の一覧を記した会記を見ると、茶器の作者は「SUZANNEZ ROSS」、作品名は「KINDRED SPIRITS」と記されていた。「あっ、スザーンさんの作品だ」と心でつぶやいた。茶器は粉の抹茶を入れる漆器で、茶杓で抹茶を碗に入れ、お湯を入れて点てる。茶席に欠かせない道具の一つ。 

   スザーンさんには9年前、金沢大学の社会人講座で講演をいただき、輪島市の工房も訪問したことがある。ロンドン生まれのスザーンさんが漆器と出会ったのは19歳の時、美術とデザインを学んでいて、ロンドンの博物館で見た漆器の美しさに魅せられた。 22歳で日本にやって来て、書道や生け花、着付けなど和の文化を学んだ。その後、漆器を学ぶために輪島に移住。1990年から輪島漆芸技術研修所で本格的に学んだ。

   輪島塗には100を超える作業工程があり、分業システムが確立されていて「輪島11職」とも称される。ところが、スザーンさんは木地造り以降の作業をすべて自分一人で手掛けている。漆器の魅力をこう話していた。「器も木で出来ていて生きている、漆も生きているし、私も生きているから、3つの生き物を合わせて一つ。 うまくいく日と、いかない日がある。でも、それが楽しい」

   茶器には蒔絵で秋雲とトンボが描かれていて、トンボの羽には螺鈿(らでん)が施されている=写真・下=。キラリと光ったのはこのトンボの羽だった。では、「KINDRED SPIRITS」をどう日本語に訳するか。「心の友」だろうか。手塩にかけて仕上げた作品が心を癒してくれる、それは友のようでもあり、漆器という「生き物」に込めた想いかもしれない。チャンスを見つけて本人にお会いして作品名について尋ねてみたい。

⇒8日(土)夜・金沢の天気   くもり   

★国連安保理は機能不全 付け込む弾道ミサイル

★国連安保理は機能不全 付け込む弾道ミサイル

   国連安保理が事実上の機能不全に陥っているが、きのう6日朝の北朝鮮の弾道ミサイルの発射はそれに付け込んだかのようなタイミングだった。国連安保理は、北朝鮮が4日に日本列島を通過する中距離弾道ミサイルを発射したことを受けて緊急会合を開いた。その会合の終了間際に、北朝鮮が日本海に向けて発射したのだ(6日付・NHKニュースWeb版)。

   会合そのものも、常任理事国である中国とロシアが「朝鮮半島周辺でアメリカが日本や韓国と軍事演習を行い緊張を高めた結果だ」と反発したことから、アメリカやヨーロッパの各国と一致して安保理決議違反であるとの声明を出すことはできなかった(同)。ロシアによるウクライナ侵攻も同様で、ロシアは常任理事国で拒否権があるため、安保理は法的な拘束力がある決議を何一つ成立させていない。

   そもそも、中国とロシアがなぜ国連安保理の常任理事国なのか。中国の場合。もともと常任理事国は第2次世界大戦の戦勝国である国民党の中華民国だった。それが中国共産党に追われ台湾に逃れる。アメリカのニクソン大統領の中華人民共和国への訪問が公表され、国際社会がにわかに動いた。1971年10月のいわゆる「アルバニア決議」によって、国連における中国代表権は中華人民共和国にあると可決され、中華民国は常任理事国の座から外され、国連を脱退することになる。代わって中国が国連に加盟し、台湾の常任理事国を引き継ぐことになった。では、常任理事国として相応しいとする正当性はどこにあったのだろうか。

   ロシアも同じだ。もともと、戦勝国であるソビエトが崩壊した。それを、ロシアが常任理事国として拒否権を持ったまま引き継いでいる。それが、ウクライナ侵攻やウクライナ4州併合という行為があっても国連安保理は機能不全、という現実問題を生み出している。

   解せないもう一つの国連の姿がある。国連憲章(第53、107条)の「敵国条項」だ。日本はいまだに第二次世界大戦の「敵国」だ。ある国を攻撃する場合は国連安保理の承認が必要だが、「敵国」に再侵略の企てがあるとみなせば先制攻撃が可能で、安保理の承認は不要という規定だ。北朝鮮やロシア、中国はいつでも日本に対する先制攻撃が可能なのだ。

   日本人にはある意味で「国連離れ」という現象が起きている。データは少々古いが、アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」は2020年10月、国連の実績について先進14ヵ国で実施した世論調査を発表している。その中で、日本は国連に対する好感度は14ヵ国中で最も低く、「好感を持つ」29%、「好感を持たない」55%だった。

   アメリカでも国連に対する評価は低下している。ピュー・リサーチ・センターがことし6月に発表したアメリカ国内調査では、「国連の影響は弱まっている」が39%だった。「変わらない」が46%、「強まってる」が16%だった。ウクライナ侵攻を仕掛けたロシアに非難声明すら出せない国連安保理への憤り、そして無力感ではないだろうか。

(※写真は、国連安全保障理事会の会議室。バックの壁画はノルウェーの画家ペール・クロフが描いた「灰から飛び立つ不死鳥」=国連広報センター公式サイト)

⇒7日(金)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆異例の代表質問で議長沈黙 また弾道ミサイルが

☆異例の代表質問で議長沈黙 また弾道ミサイルが

   衆議院の「TVインターネット審議中継」の公式サイトにはライブラリー映像が掲載されている。参院選後で初の国家論戦なので、まさに安倍元総理の国葬や世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と政治家の関係をめぐる不透明な関係をめぐって、追及する野党側の質問も熱を帯びて、言葉はふさわしくないかもしれないが、まるで「国会ワイドショー」の様相だ。

   きのうの衆院代表質問で立憲民主党の泉代表は、本来ならば岸田総理の所信表明演説に対する質疑となるが、矢面に立ったのは細田議長だった=写真・上=。旧統一教会の関連団体の会合に4回出席し、地元の島根1区で選挙支援を受けたことをA4用紙一枚でまとめ、記者に配布していた(9月29日)。ところが、その後も教団組織票の差配などの証言が次々と出ている。

   泉代表は真後ろの議長席を見上げて、細田議長に異例の質問を浴びせた=写真・下=。「細田議長、あなた自身その中心人物として、4つの会合への出席、関連団体の名誉会長就任、選挙の支持を得ていた、これを認めましたね。今うなずいていただきましたね」

   さらに、「あなたが示した一枚紙では全く説明不足で、もっと真相を語るべきです。議長、答弁していただけませんか。答弁できぬようでしたら、しぐさで答えていただきたい」と。質問は続く。「パーティー券の購入はありませんか。関連イベントの挨拶で『安倍総理にさっそく報告したい』。議長はこのように発言していました。その後の報告は、なされましたか」

   代表質問では議長に対する質疑をもともと想定していないので、細田議長は終始沈黙していた。ただ、臨時国会では物価高・インフレ対策など難問が山積している。重要な国会がこのあり様でよいのか。

   反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査と警察による情報収集で実態解明に着手すること。その上で、問題が露呈すれば非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると総理が有権者に公約すればよい。信頼回復を急ぎ、本来の難問に議論を深めてほしい。 

   きょうも北朝鮮は午前6時と同15分の2回、弾道ミサイルを計2発発射した(6日付・防衛省公式サイト)。2発は飛翔距離が800㌔と推定され、日本のEEZ近く落下した。EEZ内では能登半島から漁船が出て、スルメイカのイカ釣り漁が行われている。北朝鮮の弾道ミサイルから安全操業をどう守るのか、早急に国会で議論してほしい。

⇒6日(木)午前・金沢の天気    くもり

★北朝鮮の挑発的な弾道ミサイル ロシアの終末的な核兵器

★北朝鮮の挑発的な弾道ミサイル ロシアの終末的な核兵器

   強烈なバトルとなるのか。NHKニュースWeb版(5日付)によると、きのう北朝鮮が中距離弾道ミサイル1発を発射したことへの対抗措置として、韓国軍とアメリカ軍はきょう未明に日本海に向けて地対地ミサイル4発を発射した。韓国軍が公開した映像では、移動式発射台から激しい光と煙を伴って発射されたミサイルが上昇していく様子が確認できる。米韓両軍による北朝鮮への対抗措置は、6月5日に短距離弾道ミサイルを8発発射したときも行っている。

   BBCニュースWeb版(5日付)=写真=も「North Korea fires ballistic missile over Japan」の見出しで日本列島を越えた北朝鮮の中距離弾道ミサイルの発射を伝えている。記事では、「Japan issued an alert to some citizens to take cover.」と、日本でのJアラートによる避難勧告の様子も伝えている。

   それにしても、世界の人々がこの北朝鮮の弾道ミサイルのニュースに接してどのような印象を抱いただろうか。日本を含め東アジアは戦争状態になりつつある、と。おそらく、インバウンド観光などへの影響も今度出てくるのではないだろうか。

   ここは終末期のバトルの様相だ。共同通信Web版(5日付)は、イギリスの『タイムズ(The Times)』の記事を引用して、ロシアのプーチン大統領がウクライナとの国境近辺で核実験を計画し、核兵器を使う意志を示そうとしているとの見方があり、NATOは加盟国に警告した、と報じている。その根拠として、ロシア国防省で核兵器の管理を担う秘密部門に関連があるとみられる列車がウクライナ方面に向けて動き出した、と報じている。

   プーチン氏はウクライナ侵攻についてのテレビ演説(9月22日)で、「西側諸国によるロシアへの核の脅威」と述べ、「反撃すべき兵器を多く持っている」「わが国の領土保全が脅かされるとき、ロシアと国民を守るために、ロシアが持つすべての手段を用いる。はったりではない」と発言していた(同日付・BBCニュースWeb版)。

   「はったりではない」とすれば、いよいよ本気だ。核兵器の使用がヒロシマとナガサキに続き現実となるのか。国連安保理が機能しない、混沌とした21世紀を象徴する展開となるのか。

⇒5日(水)夜・金沢の天気   くもり時々あめ

☆挑発のレベル高める北の核・弾道ミサイル

☆挑発のレベル高める北の核・弾道ミサイル

   北朝鮮が弾道ミサイルを発射するたびにこのブログで取り上げている。だから分かることがある。この10日間で5回(9月25日、28日、29日、10月1日、4日)合計8発、これほど頻繁な発射はある意味で異常な事態だ。この国は何を企んでいるのか。

   防衛省公式サイトによると、北朝鮮はきょう4日午前7時22分ごろ、北朝鮮内陸部から東に向けて弾道ミサイル1発を発射した。同28分から29分ごろに青森県上空を通過した後、同44分ごろに太平洋上の日本のEEZの外に落下した。最高高度は1000㌔、飛翔距離は4600㌔と推定される。日本政府は、Jアラート(全国瞬時警報システム)で、北海道と青森を対象に警戒を呼びかけた。

   日本列島の上空を通る弾道ミサイルを発射したのは、2017年9月15日以来となる。このとき発射されたのは、北朝鮮が「火星12」と称していた中距離弾道ミサイルで、北海道の襟裳岬の上空を通り、飛翔距離は3700㌔だった。同年8月29日に発射した中距離弾道ミサイルもほぼ同じ北海道上空を通る飛行コースだった。憶測だが、北朝鮮は東北地方から北海道の上空を中距離弾道ミサイルの「発射実験ル-ト」として設定しているのではないか。航空機や船舶はもとより、上空を弾道ミサイルが通過したと判断される地域の安全確保の観点からも極めて問題のある行為だ。

   いったい何を想定して今回、中距離弾道ミサイルを発射したのか。飛翔距離は4600㌔だ。距離としてはこれまでの弾道ミサイルで最長と言える(防衛省資料「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より推定)。この射程内には、アメリカ軍のアジア太平洋地域の戦略拠点であるグアムがすっぽりと入る。核弾頭が搭載でき高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機などが展開するアンダーセン基地がある。

   さらに、北朝鮮にとっては、中距離弾道ミサイルと核実験はセットとも言える。別の言い方をすれば、「車の両輪」である。2017年9月15日の中距離弾道ミサイル発射の前の同月3日に6回目となる核実験を豊渓里(プンゲリ)で行っている。このとき、北朝鮮は「ICBMに搭載可能な水爆実験に成功」と発表している。推測の域を出ないが、今回も核実験が伴うのではないか。

   ここ10日間で、迎撃が困難とされる変則軌道の短距離弾道ミサイル、そして4600㌔という最長距離の中距離弾道ミサイルを発射させた。今後の展開はICBMなのかと憶測する。ことし3月24日に新しいICBM「火星17型」の発射させ、「実験は成功した」と公表している。このときは、最高高度は6248.5㌔に達し、1090㌔の距離を67分32秒飛行した。角度を変えて発射すれば1万5000㌔を超える射程距離となり、アメリカの東海岸を含む全土が射程内に入る(当時の岸防衛大臣の会見)。北朝鮮による挑発のレベルが高まっている。

(※写真・上は過去の中距離弾道ミサイルの発射、写真・中は今回の推定される飛行ルート、写真・下は北朝鮮の弾道ミサイルの射程=出典は防衛省資料「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」ほか)

⇒4日(火)午後・金沢の天気   くもり