★黄海に向け弾道ミサイルを発射した北朝鮮の意図は

★黄海に向け弾道ミサイルを発射した北朝鮮の意図は

    NHKニュースWeb版(5日付)によると、国連安保理の緊急会合は4日(日本時間5日午前4時すぎ)から始まり、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射について、各国からは、安保理決議の違反であり、地域の安全を脅かす危険な行為だと北朝鮮を非難する意見が相次いだ。北朝鮮の弾道ミサイル発射をめぐり安保理の緊急会合が開かれるのは10月5日以来。

   このうち、アメリカの国連大使は「意図的に緊張を高める北朝鮮の行動は責任ある国家の行動ではない」と非難した上で「2つの理事国は、北朝鮮のたび重なる決議違反を正当化するために力を注ぎ、北朝鮮を増長させた」と中国とロシアも非難した。

   これに対して中国とロシアの国連大使は、アメリカ軍が韓国軍とともに共同訓練を実施するなど地域の緊張を高めていると改めて主張した。今回も欧米各国と中国やロシアが対立し、安保理として一致した対応はとれなかった。まさに、安保理そのものの信頼性が危険にさらされている。

   安保理の緊急会合が終了したタイミングを見計らってなのか、北朝鮮は弾道ミサイルを発射した。韓国の聯合ニュースWeb版日本語(5日付)によると、韓国軍合同参謀本部の情報として、北朝鮮は同日午前11時32分ごろから同59分ごろにかけて、黄海に向けて短距離弾道ミサイル(SRBM)4発を発射したと報じている。ミサイルの飛行距離は約130㌔で、高度は約20㌔、速度は約マッハ5と推定される。

   発射地点となった北朝鮮の東林は中国・丹東から約20㌔の中朝国境地域。こうした黄海側からの中朝国境近くからこれまで日本海に向けて発射したことはあるものの、黄海に発射するのは極めて異例。韓国軍はその意図を分析している、と伝えている。

   アメリカと韓国が大規模空軍合同訓練「ビジラントストーム(Vigilant Storm)」を5日まで延長して行ったことに対する、北朝鮮の反発とみられる。が、なぜ黄海に向けて4発の弾道ミサイルを発射したのか。中国とすれば、「安保理でオマエのことを配慮してやったのに、なぜ、オレの方に向けて撃つんだ」と言いたいだろう。韓国軍による意図分析を待ちたい。

(※写真・上は国連安全保障理事会の会議室=国連広報センター公式サイトより、写真・下は北朝鮮の短距離弾道ミサイル=防衛省資料「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)

⇒6日(日)午前・金沢の天気    はれ

☆北朝鮮のICBM 統一教会総裁のラスベガスカジノ

☆北朝鮮のICBM 統一教会総裁のラスベガスカジノ

   能登半島の沖合300㌔にある大和堆(やまとたい)はスルメイカの好漁場で、日本のEEZ内にある。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。いまはイカ漁の最盛期で、能登からもイカ釣り船団が大和堆で操業している。が、漁業関係者は安心できない日々が続いている。

   防衛省公式サイトによると、北朝鮮は3日午後9時台に北朝鮮内陸部から弾道ミサイル3発を東の方向に向けて発射した。34分から42分かけて断続的に発射し、最高高度は150㌔程度、飛行距離は約500㌔、落下地点はいずれも朝鮮半島東側の日本海で、日本のEEZの外と推定している。

   同日は午前7時40分にも日本海に向けてICBMを発射。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海で消失した。日本政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した後、その後訂正するという騒ぎになった。ICBMのほか2発の弾道ミサイルも発射していた。さらにその前日の2日は、23発の弾道ミサイルを日本海や黄海に向け発射している。

   昼夜を問わず、連日のように弾道ミサイルをぶっ放す北朝鮮。この国のガバナンスは一体どうなっているのか、そしてこの国の行く末は。冒頭の大和堆周辺で操業しているイカ釣り船団の関係者にとっても不安が募る。

   話は変わる。週刊文春(11月10日号)によると、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の韓鶴子総裁と教団幹部らが2008年から11年にかけてアメリカ・ラスベガスのカジノを訪れ、日本円に換算して64億円もの金をギャンブルに注ぎ込んで、9億円の損失を出していた疑いがあることが分かった。旧統一教会をめぐっては、霊感商法や過度な献金などが問題となっている。そんな中、教団のトップである韓総裁がギャンブルに興じていた疑いが浮上してきた。

   そのギャンブルの原資は、日本の信者による献金や霊感商法によって収奪された財産であることは容易に想像がつく。現在、日本で進められている宗教法人法に基づく旧統一教会への「質問権」の行使は、刑法や民法の不法行為だけでなく、日本で集めた巨額な金の不透明な流れも解明してほしいものだ。

⇒4日(金)夜・金沢の天気    はれ

★エスカレートする北朝鮮の軍事挑発 次は核実験なのか

★エスカレートする北朝鮮の軍事挑発 次は核実験なのか

   日本海側に住む者として、このところの北朝鮮の動きに目が離せない。聯合ニュースWeb版日本語(3日付)が韓国軍合同参謀本部からの情報として伝えたニュースによると、北朝鮮はきょう午前7時40分ごろ、平壌・順安付近から日本海に向けてICBMを発射した。最高高度は約1920㌔、飛行距離は760㌔、最高速度はマッハ15だった。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海の海上に墜落した。このICBMは新型大陸間弾道ミサイル「火星17型」とみられる。

   ことし3月24日、北朝鮮はICBM「火星17型」を発射させ、「実験は成功した」と公表している。このときは、最高高度は6248㌔に達し、1090㌔の距離を67分32秒飛行した。角度を変えて発射すれば1万5000㌔を超える射程距離となり、アメリカの東海岸を含む全土が射程内に入る(当時の岸防衛大臣の会見)。おそらく、今回はアメリカをけん制する狙いで角度を変えて発射したものの失敗に終わった可能性がある。ただ、北朝鮮による挑発のレベルは高まっている。

   防衛省によると、今回、北朝鮮から発射されたICBMが日本列島を越えて飛翔する可能性があると探知し、政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した。しかし、ICBMは日本海で消失したため、その後訂正した(防衛省公式サイト「防衛大臣臨時記者会見」)。

   きのうは23発の弾道ミサイルを、そして、きょうはICBMのほか2発の弾道ミサイルを発射した。北朝鮮がここまで執拗に弾道ミサイルの発射を繰り返す口実は、アメリカと韓国が先月31日から今月4日までの予定で行っている、ステルス戦闘機などおよそ240機を投入した大規模な合同訓練に対するけん制だ。

   韓国空軍はこうした北朝鮮からの軍事挑発を受け、きょう3日、実施中の米韓合同訓練の期間を延長することを決めたと発表した(3日付・共同通信Web版)。韓国とすれば、アメリカとの同盟態勢を強調することで北朝鮮に対して圧力をかけたいのだろう。すると、北朝鮮も次なる脅威を誇示するのではないか。7回目の核実験を含むさらなる軍事挑発だ。

(※写真は北朝鮮のICBM「火星17型」の発射実験=3月25日付・労働新聞Web版)

⇒3日(木)夜・金沢の天気   はれ

☆北朝鮮ミサイル23発 米韓は大規模訓練のキナ臭さ

☆北朝鮮ミサイル23発 米韓は大規模訓練のキナ臭さ

   朝鮮半島にキナ臭さが漂っている。NHKニュースWeb版(2日付)は、韓国軍の合同参謀本部の情報として、北朝鮮は2日午前6時台から9時台にかけて、東部や北西部など複数の場所から日本海や朝鮮半島西側の黄海に向けて、短距離弾道ミサイルなど17発以上のミサイルを発射した、と伝えている。

   このうち、午前8時台に発射した短距離弾道ミサイルの1発が国連軍が設定した海上の境界線であるNLL(北方限界線)を越えて、韓国東部の鬱陵島の北西167㌔の公海上に落下した。同島では空襲警報が発令された。さらに、午後4時30分から午後5時10分ごろにかけて、北朝鮮は地対空ミサイル6発を日本海と黄海に向けて発射したと発表。きょうこれまでに23発のミサイルをした。

   アメリカ軍と韓国軍は先月31日から今月4日までの予定で、最新鋭のステルス戦闘機などおよそ240機を投入した空軍による大規模な共同訓練「ビジラントストーム(Vigilant Storm)」を行っている。北朝鮮のミサイルの乱発はこれに対するけん制だ。

   ロイター通信Web版日本語(2日付)によると、北朝鮮で軍事担当の労働党書記は1日付の声明で「米韓が何の恐れもなく北朝鮮に対して武力を行使しようとするならば、北朝鮮軍の特殊部隊が遅滞なく戦略的任務を遂行し、米韓は悲惨な出来事に直面し、歴史上最もおぞましい代価を支払わなければならないだろう」と共同訓練を中止するよう要求している。

   韓国中央日報Web版日本語(1日付)によると、米韓空軍による大規模訓練は2017年12月以来となる。韓国空軍基地に初めて入るアメリカ海兵隊のステルス戦闘機「F-35B」の編隊は31日、山口県岩国基地から出撃した。また、今回の訓練にはオーストラリア空軍のKC-30A空中給油機も加わっていて、3ヵ国による訓練は今回が初めて。 アメリカ太平洋空軍の関係者は「歴代最大規模」と明らかにした。   

   防衛省も日本海に落下した弾道ミサイルについて公表している。防衛省公式サイト「北朝鮮のミサイル等関連情報」(2日付)によると、北朝鮮は午前9時50分ごろ、少なくとも2発の弾道ミサイルを、東および南東方向に向けて発射。一発目は最高高度が約150㌔でおよそ150㌔飛翔した。2発目は最高高度が約100㌔で、およそ200㌔飛翔。落下はいずれも朝鮮半島東岸付近で、日本のEEZ外だった。さらに、午後4時台に、北朝鮮東岸付近から、少なくとも1発の弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に向けて発射した。最高高度は約50㌔以下の極めて低い高度で短距離を飛翔し、日本のEEZ外に落下した。

(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

⇒2日(水)夜・金沢の天気    はれ

★人とロボットが店で働く多様化社会の幕開けなのか

★人とロボットが店で働く多様化社会の幕開けなのか

           金沢や石川県で「8番らーめん」と言えば、誰も知っている地域の味と言える。もともと石川県加賀市の国道8号線沿いで創業したラーメン店で、「8番らーめん」という屋号は国道8号にちなんだネーミングといわれる。創業から55年でフランチャイズ形式で店舗が増え、石川県49店など北陸を中心に国内で131店。海外は154店も展開していて、うちタイが149店。タイの人々と味覚がマッチしたようだ。

   炒めた野菜をたっぷりのせた野菜ラーメンがベースの味なのだが、季節限定メニューもあり、秋冬の定番は酸辣湯麺(サンラータンメン)だ=写真・上=。この酸辣湯麺は二日酔いに効くので以前から重宝している。それは酢の酸味とラー油の効果かもしれない。同社が開発したラー油「紅油」はゴマ油と赤唐辛子をベースに桂皮(シナモン)、陳皮(ミカンの皮)、山椒が加えてあるそうだ。 二日酔いの症状がひどいとき、この紅油をさらに3さじほど足して食すると、目頭の辺りが熱くなり、額にうっすらと汗がにじんでくる。この瞬間から徐々に爽快感が出てきて、二日酔いが和らいでくる。

   前置きが長くなった。先日、オープンしたばかりの白山市の店舗に立ち寄った。驚いたのはスマホで注文するモバイルオーダー、そして料理を運んでくるのはロボットだった。店に入ると、各テーブルにあるQRコードをスマホで読み取り、専用サイトにアクセスしてメニューを選び注文する。間もなくすると、配膳ロボットが「お待たせしました」とテーブルにやって来る=写真・下=。ロボットには「まつこちゃん」という名前も付いている。食べ終わると、レジに行き、店員と金銭のやりとりをせずに自分で現金やカードで決済する「セルフレジ」となる。

   「料理配膳ロボット」はことし6月に、JR金沢駅近くにあるファミリーレストラン「ガスト」でも見かけたが、ラーメンチェーン店でも活躍しているとは知らなかった。従業員は4人だった。確かにモバイルオーダー、配膳ロボット、セルフレジならば人手はそれほどかからないかもしれない。人手不足の時代、そしてコロナ禍では対面でのやりとりを減らすというニーズに合っている。

   一方で「いや面倒だ」、そんな客側の反応もあるだろう。シニア世代では、スマホでの注文は手間がかかり面倒かもしれない。人とロボットが店で働く、そのような多様化社会の幕開けなのか。

⇒1日(火)夜・金沢の天気    くもり

☆「押せ 押せ」群衆雪崩は人為的な事故なのか

☆「押せ 押せ」群衆雪崩は人為的な事故なのか

   韓国・ソウル市内の繁華街・梨泰院で29日、ハロウィンイベントに参加した若者が押し倒されて154人が死亡、149人が負傷した事故(31日午前6時現在)。韓国の朝鮮日報Web版日本語(31日付)は、この群衆事故をめぐり、現場にいた目撃者や生存者たちの間で、誰かが故意に押したという証言が多数出ていて、警察は現場一帯の監視カメラ映像などを確保し、事故原因の究明に乗り出したと報じている。 

   記事によると、路地の上の方から「押せ! 押せ!」「もっと強く押せ」といった言葉が発せられた後、あっという間に列が下り坂で崩れたという。最初に押し始めた人たちに対する具体的な描写も出ていて、「5、6人の集団が押し始めた」「韓国人男性の集団に外国人も混じっていた」「ウサギのヘアバンドをした男性を捕まえなければならない」などの証言もある伝えている。

   また、事故の1分ほど前の映像では、人々でごった返しているものの、比較的円滑に通行していた。しかし、突然下り坂の上の方から人々が一度に押され始めた。このように押される現象は、映像の中で2、3度繰り返されている。証言が事実なら、故意に押し始めた人たちは刑事処罰を受ける可能性がある(朝鮮日報Web版日本語)。

   東亜日報Web版(31日付)も「“토끼머리띠 남성 무리가 ‘밀어! 밀어!’”…모아지는 증언들」の見出しで、ウサギのヘアバンドを着けた男たちが「押せ」と叫んでいたと多数の証言を記事にしている=写真=。

   殺人の意図はなかったにせよ、ウサギのヘアバンドを着けた男たちのグループが「押せ 押せ」と群衆をかく乱するように仕向けたとすれば、明らかに人為的な重大事故だろう。メディアの事故報道が先行しているものの、今後の韓国警察の捜査の展開が注目される。

⇒31日(月)午後・金沢の天気    はれ

★ハロウィンで起きた出来事

★ハロウィンで起きた出来事

   きょう午前中、自宅近くの大通りを金沢マラソン(42.2㌔)のランナーが走っていた。地元メディアによると、1万2千人余りが参加している。沿道で走者の様子を見ていると、中には仮装した人などもいて、まるで「ハロウィン・マラソン」のようだった=写真・上=。

   ハロウィンと言えば、韓国・ソウルで大変な事故が起きている。韓国の中央日報Web版日本語(30日付)によると、29日午後10時46分ごろ、ソウル梨泰院駅に近いホテルそばの路地でハロウィンイベントなどに参加していた若者たちが何らかのきっかけで押し倒されドミノのように倒れていった。圧死と推定される事故となり、これまで153人(うち外国人は20人)が死亡、133人が負傷した。死傷者の大部分が10代から20代とみられるという。

   このニュースを知って、「群衆雪崩」という言葉を思い起こした。大都会などで震災が発生すると、人々が密集して一人が倒れることで、周りが雪崩を打つように転倒してしまうことを言う。実際に、2001年7月21日に兵庫県明石市で夏祭りの花火大会を見学にやってきた人々が集まり歩道橋が異常な混雑となり、群衆雪崩が発生。11人が全身圧迫で死亡し、183人が負傷する事故が起きている(Wikipedia「明石花火大会歩道橋事故」)。

   日本のハロウィンのメッカと言えば東京・渋谷だ。メディア各社によると、3年ぶりに自粛要請のないハロウィン前となった29日夜から朝にかけて渋谷では一時6300人が集まった。韓国の事故もあり警視庁は人出が予想される30日夜も警備を徹底すると伝えている。

          ハロウィンは毎年10月31日に行われる、古代アイルランドが起源とされる祭りで、死者の魂が悪魔などの姿をして家々を訪れるという。現代ではアメリカなどで秋の収穫を祝い悪霊を追い払う祭りとして定着している。カボチャなどをくりぬいた「ジャック・オー・ランタン」を作って飾る=写真・下=。子どもたちが魔女やお化けに扮して、「トリック・オア・トリート(Trick or treat)」(お菓子をくれないといたずらするよ)と叫びながら近くの家々を訪れる。秋田のナマハゲ(能登ではアマメハギ)と何となく似ている民俗行事ではある。

⇒30日(日)夜・金沢の天気    はれ

☆「コーテル イーガー」餃子の王将のこと

☆「コーテル イーガー」餃子の王将のこと

   ちょうど50年前、半世紀前の話になるが、大学受験で京都の予備校に通っていた。予備校の寮の近くに「餃子の王将」という中華の店があり、予備校の仲間とよく通った。このとき、餃子の味を初めて知った。そして、新鮮に思えたのは、餃子を注文するとスタッフが厨房に向って、「コーテル イーガー」「コーテル リャンガー」と大声を出していた。「餃子一人前」「餃子二人前」という中国語なのだが、そのうち、仲間内でコーテルが「餃子の王将」の代名詞になったことを覚えている。

   もう一つ思い出すのが、店の周囲には予備校生や大学生が多く住んでいて、学生が店で皿洗いの手伝いを30分ほどすると餃子とラーメンが無料で食べられるという話だった。自身はこれにチャレンジしたことはなかったが、親からの仕送りが少なかった仲間の一人は「助かる」と店に感謝していた。

   その餃子の王将は店舗を全国に拡大していて、金沢市内でも4店舗ある。学生街に近い立地だ。時折、餃子が食べたくなると、金沢大学角間キャンパスに近い「杜の里店」に行く=写真=。

   9年前にはちょっとした事件が金沢で起きてニュースとなった。金沢市の繁華街にあった「片町店」で、ボーイズバーの10人ほどの男性従業員たちが全裸でカウンターに座るなどした写真が2013年9月にフェイスブックにアップされた。撮影は2012年11月だった。ボーイズバーの店側は、カレンダーの写真として使うための撮影で王将の店の責任者から許諾を得ていた、と主張した。王将側は撮影を許可したが、裸になると想定しておらず、撮影を制止しようとしたが止められなかったと反論し、その後、男性客らを威力業務妨害と公然わいせつの容疑で刑事告発した。ある意味、王将側はとんだ災難に巻き込まれた。

   さらに、金沢でニュースとなって3ヵ月後の2013年12月19日に、餃子の王将を展開する「王将フードサービス」の社長が京都で射殺されるという事件が起きた。そして、きのう28日、京都府警は殺人と銃刀法違反の疑いで暴力団「工藤会」(北九州市)の組幹部を逮捕した。

   「コーテル イーガー」。災難にめげずに、店の味を守り続けてほしい、餃子ファンの一人として願う。

⇒29日(土)夜・金沢の天気 

★いま政治に求められる捨て身のスピード感

★いま政治に求められる捨て身のスピード感

   いま有権者が政治に求めているのは、周囲との調整を念入りにする政治判断より、捨て身のスピード感で動く政治決断ではないだろうか。今月24日に世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と深い関係性が指摘されていた山際経済再生担当大臣が辞任した。旧統一教会との関係が国会で何度も追及され、さらに教団本部の総裁と一緒に映っている証拠写真を突きつけられても、山際氏は「資料がない」「記憶が定かではない」などと繰り返していた。

   今国会での目玉の施策が29兆円にも及ぶ「総合経済対策」。取りまとめ役は経済再生担当大臣、つまり山際氏だった。なぜ岸田総理は山際大臣の更迭の決断を早々に下さないのかと、批判の矛先は総理に向っていた。そして、山際氏は総合経済対策の閣議決定(28日)前になって辞することになり、決断の遅さとタイミングの悪さが如実に表れた。

   きょうの旧統一教会関連のニュースは、旧統一教会側がTBSラジオと日本テレビ、また、番組に出演した弁護士とジャーナリストに対して合わせて3300万円の賠償と謝罪放送を求め訴えを東京地裁に起こした(27日付・NHKニュースWeb版)。教団側は先月29日にも読売テレビとTBSの2社、そしてコメンテーターの弁護士3人に計6600万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こしている。

   いわゆる「スラップ訴訟」ではないか。端的に言えば、メディアや出演者の言論を萎縮させることを目的とした民事訴訟と言える。アメリカでの概念で、「Strategic Lawsuit Against Public Participation」の頭文字をとり「SLAPP(スラップ)」。直訳すれば、「市民参加を妨害するための戦略的民事訴訟」となる。

   別の見方をすれば、宗教法人法に基づく「質問権」の行使が動き始め、教団の解散命令の請求にまで至るのか注目が集まる中で、教団内部では相当な混乱が起きていることは想像に難くない。その動揺を収めるため、あえて裁判を起こして、内部の統制をはかると同時に、質問権へのけん制をもくろんでいるのではないだろうか。

   いずれにせよ旧統一教会の本質が出たようで、問題視されている霊感商法や高額寄付についての反省の色がまったくない。ニュースを見た視聴者の多くはそう感じたのではないだろうか。

(※写真は、参院代表質問に答える岸田総理=今月7日のNHK総合)

⇒27日(木)午後・金沢の天気    はれ

☆妥協を許さない「一人支配」中国の行く末

☆妥協を許さない「一人支配」中国の行く末

   中国共産党の党大会閉幕式(今月22日)で前国家主席の胡錦濤氏が腕をつかまれた状態で途中退席する衝撃のニュースが流れた。その後、国営通信「新華社」(電子版)は23日までに「体調が優れなかった」ためだと説明した(23日付・共同通信Web版)。BBCニュースWeb版(25日付)をチェックすると、「Hu Jintao: Fresh China congress footage deepens mystery over exit」(意訳:新たな映像で深まる胡錦濤氏退席の謎)の見出しで、退席する以前の動画が掲載されている。

   この動画を見ると、体調不良による退席ではなく、連れ出しであることが分かる。習近平国家主席の横に座っていた胡錦濤氏が机の前に置かれていた赤いファイル書類に手を伸ばそうとすると、胡氏の左隣に座っていた人物が見せないようにファイル書類を押さえている様子が確認できる。胡氏が再度そのファイルに再度手を伸ばすと、今度は取り上げた。その後、習氏が別の人物に指示し、胡氏が抱えられるようにして退席した。

   この「退席事件」の直前には、党幹部の人事が行われ、胡氏に近いとされていた李克強首相ら幹部2人が引退させられている。BBCは識者の談話として、「There would be a chilling effect on the officials watching what was happening on the stage」(意訳:閉幕のステージ上で何が起こっているのか見ていた党幹部には相当な萎縮効果があったはず)と伝えている。

   党内外のすべての「敵」を排除した習氏の勝利はいわば、これまでの「一党独裁」から「一人独裁」に入ったようなものだ。習氏の政治手法は、バランスを取らない「オール・オア・ナッシング」のようにも思える。たとえば、「ゼロコロナ」はその典型的な事例かもしれない。ごくわずかな感染対策のために、多くの正常な社会活動を犠牲にする。胡錦濤氏に近い人物を排除し、トップ24人の政治局委員を身内で固めたことで、結果として女性の政治局委員は1人もいなくなった。

   今後、台湾問題を含めた政治と外交や、政治と経済、とくに貧困対策と経済成長などバランス感覚が問われる課題に向かうだろう。そのときも、妥協を許さないオール・オア・ナッシングだとしたら。

⇒26日(水)夜・金沢の天気   はれ