★栄光の背番号「17」 内閣支持率ガタ落ち17%

★栄光の背番号「17」 内閣支持率ガタ落ち17%

   きょうは午前中から暖かい空気が漂っていた。夕方、金沢の山沿いの道路を車で通ると、街路に設置されている気温計が22度だった。時間は午後4時15分ごろ。冬の北陸でしかも12月中旬に22度は異様な気温だ。今後、ガラリと空気が入れ替わるようだ。金沢地方気象台は、17日から北陸地方に強い寒波が流れ込み、雪になると予報を出している。この寒波は24日のクリスマスごろまで居座るようだ。

   ニュースも寒暖な話題。TVメディア各社は日本時間できょう午前8時から、大リーグのドジャースと10年契約を結んだ大谷翔平選手が記者会見に臨んだ様子を生中継で報じていた。背番号「17」の真新しいユニフォーム姿を着て、「勝つことが今の僕にとっていちばん大事なことだと思うし、優勝に欠かせなかったと言われる存在になれるよう全力で頑張りたい」とワールドシリーズ優勝への決意を語っていた。新聞メディア各社はきょうの夕刊トップで報じている=写真=。

   寒々しいニュースは、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題。NHKニュースWeb版によると、安倍派の所属議員の複数の秘書が東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し「派閥側からのキックバックは現金で受け取り、政治資金収支報告書に記載しないよう指示された」と説明していることが分かった。東京地検特捜部は、キックバックされた金額が多い議員を中心に任意の事情聴取を要請していて、不透明な資金の流れの実態解明を本格化させる。

   時事通信Web版(14日付)によると、12月の世論調査(11-12日実施)で岸田内閣の支持率は前月比4.2ポイント減の17.1%となり、2012年12月に自民党が政権復帰後の調査で最低を更新した。世論調査で内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」とよく言われる。それにしても、17%に落ち込むとは。寒々しい。

⇒15日(金)夜・金沢の天気    くもり

☆超高齢化社会の妙薬となるか レカネマブ治療開始へ

☆超高齢化社会の妙薬となるか レカネマブ治療開始へ

   認知症のアルツハイマー病の新薬として注目されている「レカネマブ」の公定価格「薬価」が決まった。1瓶200㍉㌘で4万5777円に設定。2週間に1回、1時間かけて点滴する。投与量は体重によって変わるが、体重が50㌔の人では年間298万円となる。厚労大臣の諮問機関・中央社会保険医療協議会が薬価や対象範囲について議論し、きのう13日に取り決めた。今月20日から公的医療保険の適応対象となる。

   レカネマブを開発したエーザイは今月20日から商品名「レケンビ」として販売を開始する=写真、エーザイ公式サイト=。この薬を使用できるのは認知症を発症する前のいわゆる「軽度認知障害」の人や、アルツハイマー病の発症後の軽度の段階の人で、年間で最大3万2000人の使用が見込まれている。

   今回、中医協が価格を決定したわけだが、おそらくエーザイ側は「安すぎる」と不満に思っているだろうか。というのも、エーザイはアメリカの製薬会社「バイオジェン」と共同で開発した。そのアメリカでは、高齢者向け公的医療保険「メディケア」が保険適用の対象とし、価格を体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ と設定している。きょうの為替相場は1㌦143円なので、ざっと379万円だ。体重の違いもあるだろうが、日本では298万円、アメリカでは379万円となると、同じ商品なのにこの価格差はいったい何だとアメリカ側も疑問を持つだろう。

   患者の負担は薬価だけではない。アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。レカネマブの治療は軽度の認知症であることが条件だが、そのためにアミロイドβ の蓄積量を調べる検査が必要となる。2通りあり、一つはアミロイドPET(陽電子放射断層撮影)での測定と、二つめが脳脊髄液を採取して測る。いずれも保険適用外である。

   そして、レカネマブによる点滴治療は2週間に1度、原則として1年半の間、病院に通い続ける。さらに、どこの病院でもよいというわけではない。副作用を早く見つけるため、脳の画像診断などの検査ができる医療機関で治療が行われることになっていて、対応できる医療機関は限られる。 

   冒頭で述べたように今月20日からレカネマブを使った治療が始まる。超高齢化社会といわれるこの世の中で、レカネマブは「呆け封じ」の妙薬なのかもしれない。一方で、それだけのコストと手間がかかるのなら面倒だと、「呆けた者勝ち」と治療を避ける人たちもいるだろう。レカネマブをめぐる新たな社会現象が起きるかもしれない。

⇒14日(木)夜・金沢の天気     くもり

★「酒蔵の科学者」農口尚彦杜氏の仕事の流儀

★「酒蔵の科学者」農口尚彦杜氏の仕事の流儀

   どぶろくに続いて日本酒の話。けさの石川県の地元紙によると、能登杜氏の農口尚彦氏が文化活動で優れた功績を上げた人や団体に贈られる文化庁長官表彰に選ばれたとの記事が掲載されている。御年まもなく91歳、16歳から酒蔵に入った杜氏の超ベテランだ。

   小松市の里山にある酒蔵「農口尚彦研究所」をこれまで何度か訪れたことがあり、直近では去年12月。高齢ながら酒蔵の中をきびきびと動く姿やその腕の太さを見れば、いかに屈強な仕事人であるかが理解できる。そして、杜氏の部屋を訪れると、自らしたためた酒造りに関するノートが山のように積まれている。まるで研究室のようで、「酒蔵の科学者」だ。そして、農口杜氏の酒造り意欲はまったく衰えてはいない。この言葉から理解できる。「ブルゴーニュワインのロマネ・コンティをイメージして造っている」

   農口杜氏の酒造りは日本酒ファンからは「酒造りの神様」、地元石川では「能登杜氏の四天王」と尊敬される。「山廃(やまはい)仕込み」を復活させた「現代の名工」でもある。その神業はNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2010年3月)でも紹介された。それでもなお、ロマネ・コンティをイメージして酒を造ると意欲を燃やしている。その心を尋ねると、「のど越しのキレと含み香、果実味がある軽やかな酒。そんな酒は和食はもとより洋食に合う。食中酒やね」。農口杜氏の山廃仕込み無濾過生原酒は銀座、パリ、ニューヨークなど世界中にファンがいて、22ヵ国に輸出されている。

   農口氏と初めて会ったのは2009年。自身が金沢大学で教員をしていたときで、担当していた地域学の講義科目「いしかわ新情報書府学」の非常勤講師として酒造りをテーマに講義をお願いした。それから3年連続で講義をいただいた。毎回自ら醸造した酒を持参され、講義の終わりには学生にテイスティングしてもらい、学生たちの感想に熱心に耳を傾けていた=写真=。

   農口氏自身はまったくの下戸(げこ)で飲めない。その分、飲む人の話をよく聴く。日本酒通だけでなく、学生や女性、そして海外から訪れた人からの客観的な評価に率直に耳を傾ける。それをノートにまとめ、「研究室」に積んでいる。時代感覚を意識した酒造り、世界で求められる味わいの探究、農口杜氏の仕事の流儀は果てしない。

⇒13日(水)午前・金沢の天気     はれ

☆「たかがどぶろく、されどどぶろく 」 ブームの背景を読む

☆「たかがどぶろく、されどどぶろく 」 ブームの背景を読む

   きょう、能登半島の中能登町で開催された「どぶろく宣言」セレモニーというイベントに参加した。どぶろくは蒸した酒米に麹と水を混ぜ、熟成させた酒。ろ過はしないため白く濁り、昔から「濁り酒」とも呼ばれている。簡単に造ることはできるが、明治時代にできた酒税法によって自家での醸造酒の製造を禁止されいて、現在でも一般家庭で法律上は造れない。

   そのどぶろくが全国的にちょっとしたブームになっている。構造改革特区制度を活用した「どぶろく特区」が全国の市町村で増えている。特区では、農家レストランや民宿を経営する農家が酒造免許を得て造ることができる。ご当地の観光資源や「ふるさと納税」の返礼品として活用されている。

   もう一つブームの背景となっているが美容効果だ。どぶろくの旨味成分である「アルファ-EG」というタンパク質が皮膚のコラーゲン量を増やすという作用があり、ふくよかなつやつやした美肌になるという。冒頭の「どぶろく宣言」のイベントでも、どぶろくを愛用している地元の画家、書家、フードコ-ディネーターの女性3人が「どぶろく美容トーク」と題して、その効果について語った=写真=。会場には女性も多く訪れ、熱心に話を聴いていた。

   イベントを主催した町の観光協会どぶろく地域おこし推進プロジェクトでは、「アルファ-EG」が皮膚のコラーゲン量を増やすことを学術的に実証した金沢工業大学バイオ・化学部応用バイオ学科の研究者を招いてセミナーを開催するなど、どぶろくと美容効果をアピールしている。

   そもそもなぜ中能登町が熱心にどぶろくを発信しているのか。もともと、全国の神社では稲作の収穫を神に感謝する新嘗祭などの神事でお神酒として造られてきた、伝統の酒でもある。現在も全国30社余りで連綿と造り続けていて、北陸で4社、そのうちの3社が中能登町にある。町はどぶろく特区にも認定されていて、こうしたどぶろくの伝統を地方創生に活かせないかと活気づいている。

   2025年1月には全国どぶろく研究大会の誘致が決まり、全国80銘柄のどぶろくを集めて飲み比べのイベントなど開催するようだ。どぶろくは酒マニアのおじさんの酒というイメージがあるかもしれないが、ここまでくると能登の新たな地域資源として応援したいという気持ちになる。「たかがどぶろく、されどどぶろく」 どぶろくの新たな一面だ。

⇒12日(火)夜・金沢の天気    くもり

★寒々しいニュースあれこれ・・政治資金問題を一喝した人

★寒々しいニュースあれこれ・・政治資金問題を一喝した人

   きのう、おとといと気温は20度まで上がり暖かさを感じたが、きょうは一転して寒々しく、最高気温は12度の予想だ。金沢の2週間予報は、15日に再び気温が上がり22度に、そして17日からは雪マークが連日並ぶ。春に向かう「三寒四温」とは逆に、「四寒三温」で本格的な冬に向っている。

   政治も寒々しい。連日、メディア各社が「安倍派五人衆」を報じている。自民党「清和政策研究会」の政治資金パーティーをめぐる問題で、松野官房長官、西村経産大臣、萩生田党政調会長、高木党国会対策委員長、世耕党参院幹事長の5人の名前が上がっている。岸田総理は役職を交代させる意向を固め、近く内閣改造・党役員人事に踏み切るようだ(10日付・朝日新聞ニュースWeb版)。

   久しぶりに元気のいいおばさんの声を聞いた。田中真紀子氏。田中角栄元総理の長女で衆院議員を6期、外務大臣などを務めた。名言がある。もう四半世紀前のことだが、自民党総裁選に立候補した小渕恵三氏を「凡人」、梶山静六氏を「軍人」、小泉純一郎氏を「変人」と評して話題となった。その真紀子氏が8日に国会内で記者会見し、松野官房長官が「差し控える」と釈明を繰り返していることに言及。「差し控えるというのは、やましいから答えられないんでしょ」「国民はばかじゃない。差し控えてはいけない。だったら、議員になるのを差し控えた方がいい。そんな、すっとぼけた言葉の使い方をしたら、だめだ」と一喝した。   

   詐欺がグローバル化している。水戸市で開催されていたG7広島サミット関連会合「内務・安全担当相会合」=写真=の最終日の10日、共同声明を採択した。NHKニュースWeb版(10日付)でその内容をチェックすると、主要な項目の1つとなったのが、国境を越えて行われる組織的な詐欺への対策だった。イギリスでは組織的な詐欺の年間の被害額が日本の特殊詐欺の去年1年間の被害額の11倍にあたる4100億円余りにのぼるほか、アメリカではインドなどでの「コールセンター」を拠点にした詐欺で、年間1400億円余りの被害が出ているという。

   今後さらに生成AIの技術が詐欺などの犯罪に悪用される可能性があることを各国が認識した上で、情報共有と捜査機関の対応能力の強化を行う。また、経済安全保障の観点から政府機関や企業から先端技術や情報が流出するのを防ぐための連携強化を共同声明に盛り込んだ。犯罪のグローバル化とテクノロジー化の対応が急務になっている。

⇒11日(月)午前・金沢の天気    くもり

☆「大谷翔平」で沸いたこの1年 締めは「7億㌦契約」

☆「大谷翔平」で沸いたこの1年 締めは「7億㌦契約」

   ことし1年のニュースは何かとプロ野球大リーグの大谷翔平選手で盛り上がった。その締めは「ドジャーズと10年で7億㌦の契約」というビッグニュースだ。

   CNNニュースWeb版は「Two-time AL MVP Shohei Ohtani agrees to historic deal with Los Angeles Dodgers」(意訳:ア・リーグMVPに2度輝いた大谷翔平がロサンゼルス・ドジャースとの歴史的な契約に合意)の見出しで=写真・上=、また、ニューヨークタイムズWeb版も「Shohei Ohtani, most coveted free agent in baseball history, to sign $700 million contract with Dodgers」(意訳:野球史上最も切望されたフリーエージェントの大谷翔平がドジャースと7億㌦の契約を結ぶ)と最大級の賛辞で取り上げている=写真・下=。

   大リーグ6年目の大谷選手は今シーズン、バッターとしてホームラン44本を打ってホームラン王のタイトルを獲得し、ピッチャーとしても10勝をあげ、「二桁勝利、二桁ホームラン」を達成。大リーグで史上初となる2年連続での快挙だった。シーズンMVPも、史上初となる2回目の満票での受賞。MVPは全米野球記者協会に所属する記者30人の投票によって選ばれ、2021年に続いて記者全員が1位票を入れた。これも、ニュースで大きく取り上げられ、NHKなどは「速報」で報じていた。

   ことし2023年という年は大谷選手が春から大活躍した。3月22日、WBC決勝戦「日本対アメリカ」戦。9回表で大谷投手はマイク・トラウト外野手を空振り三振で仕留め、日本優勝を決めた。この決勝戦はテレビ朝日が中継(放送枠・午前8時25分-午後0時8分)、平均世帯視聴率が42.4%(関東地区)という驚異的な数字だった。視聴率とともに大谷選手の人気もさらに高まった瞬間だった。

   名実ともに大リーグトップのスター選手となった大谷選手。フォロワーが625万人もいるインスタグラムで「野球人生最後の日までドジャースのためだけでなく野球界のために努力し続けたいと思う」と投稿している。さて、来期はどのような活躍を見せてくれるのか。

⇒10日(日)午前・金沢の天気    はれ 

★「能登かき」は生育不良、「かきまつり」中止の衝撃

★「能登かき」は生育不良、「かきまつり」中止の衝撃

   ちょっと日本海の魚介類の様子が変だ。能登半島の穴水湾はカキの養殖が盛んで、例年2月には「雪中ジャンボかきまつり」が開催されている。自身も家族で何度もカキを食べに行ったことがある。地元メディアによると、カキの生育不良のため例年並みの数量を確保するのが難しいとして、来年予定していた「かきまつり」は中止となった(7日付・北國新聞)。

   かきまつりは、毎年2月10日と11日に町営の広場で延長400㍍の炭火焼きコーナーにコンロを並べ、採れたてのカキを焼いて味わう=写真=。例年数万人が訪れる町の一大イベントだ。それが開催中止となった。

   報道によると、カキの殻が例年の出荷サイズになっておらず、先月下旬から主催者の町観光物産協会と生産者の間でかきまつりの開催をめぐって協議してきた。まつりで用意する8万個余りのカキが確保できないと判断し、中止を決めた。猛暑などで半分ほどのカキが死滅しているという。コロナ禍で中止はあったものの、生育不良による中止は1988年にかきまつりが始まって以来初めてのこと。

   能登半島の養殖カキは「能登かき」と呼ばれブランドになっている。里山の栄養分が川を伝って流れ、湾に注ぎこむ。その栄養分が植物プランクトンや海藻を育み、海域の食物連鎖へと広がり、カキもよく育つとされる。とくに、里山の腐葉土に蓄えられた栄養分「フルボ酸鉄」が豊富にあるとされる。

   ところが、ことしは夏から秋にかけての猛暑がたたり、石川県水産総合センターの9月時点の調査で、湾全体の深度10㍍の水温は過去5年の平均と比較して2.6度高くなった。海水温が高い影響で死滅するカキが激増した。さらに、もう一つの原因として指摘されているのが、クロダイによる「食害」だ。2年ほど前から湾内でクロダイが増え始め、カキの稚貝をクロダイが食べることが問題となっていた。クロダイは釣り人に人気で、「遊漁船業」を営む業者が稚魚を放流している。

   能登の名物のカキをめぐる問題は複雑だ。優先順位としてはまず、少々の海水の高温に耐える、高温耐性の種苗生産の準備が必要ではないだろうか。能登のカキ養殖の再生を願う。

⇒8日(金)夜・金沢の天気     はれ

☆「撤回している」発言を繰り返す馳知事の大あくび

☆「撤回している」発言を繰り返す馳知事の大あくび

   最近、会話の中で「デジャブ」を使うようになった。フランス語の「déjà-vu」で、既視感という意味で使う。以前どこかで見たような風景やテレビのシーンを思い出して、「デジャブやな」と言ったりする。

   そのデジャブを思い起こすのが、馳浩石川県知事が東京オリンピック招致のために官房機密費を使ってIOC委員105人にそれぞれアルバムを作成して配ったと述べた問題。11月17日の講演での発言だが、問題視されると、本人は「五輪招致に関する発言は全面撤回する。今後一切発言しない」と繰り返している。

   きのう6日の石川県議会12月定例会でも、代表質問に立った自民党の議員から問われ、「誤った事実が報道を通じて拡散することは本意ではないことから、その日のうちに全面撤回したものです」と答えていた。その後もこの質問に関しては「全面的に撤回をしております」と繰り返していた。(※写真は石川県庁公式サイト「知事のホームページ 」より)

   この議会での知事と議員のやりとりで、デジャブ感が脳裏に漂ってきたのが、あのロッキード事件での国会での追及だ。1976年、アメリカの航空機メーカー「ロッキード」社への発注をめぐって日本国内で汚職事件が表面化した。この事件で国会に召喚され、「記憶にございません」を連発していたのが、当時、日本財界のドンと言われた小佐野賢治氏(1917-1986)だった。「記憶にございません」はこの年の流行語大賞にもなっている。

   この議会での「記憶にございません」と、馳氏の「全面的に撤回しております」が妙にダブって感じるのは自身だけだろうか。ちなみに、小佐野氏の国会での証言は偽証罪(議院証言法違反)に問われ、翌年77年に起訴され、81年には懲役1年の実刑判決を受けている。

   話はずれるが、きのうの県議会本会議で馳知事が大あくびを繰り返したことが地元紙のコラムに掲載されている。議員の質問中での大あくびだ。記者のぶら下がり取材で質問されると、「きょうはかみ殺していたつもり」とばつが悪そうに答えたという(7日付・北國新聞)。本人は毎朝4時に起きるそうだ。これにアルバム発言の議会での追及が重なって心労が重なったのか。

⇒7日(木)夜・金沢の天気   くもり

★季節外れの「黄砂」、的外れの「政治資金」

★季節外れの「黄砂」、的外れの「政治資金」

   あす7日は西日本と沖縄などの広い範囲に黄砂が飛来する見込みで、9日には北日本にも黄砂が飛来するとの予想が出ている。北海道に流れ込んだ後、東北や北陸にも黄砂が飛来するようだ(6日付・日本気象協会「tenki.jp」)=黄砂予報図=。

   日本から3千kmも離れた中国北部のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠を低気圧が通過することで黄砂が発生し、偏西風に乗って日本にやってくる。植物が砂漠の地表を覆わない2月から5月にかけて黄砂が発生するといわれてきたが、中国北部で乾燥化が一段と進んでいるのか、「季節外れ」の黄砂が頻繁になっている。

   黄砂は何かと悪者扱いされがちだが、黄砂にはミネラル成分が含まれていて、それが日本海に落ちて植物プランクトンの発生を促し、それを動物プランクトンが食べ、さらに魚が食べる食物連鎖が生まれて日本海の漁業資源は保たれているとの研究もある。

   話は変わる。メディア各社の報道によると、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題について、岸田総理は政府与党連絡会議で、「各政策グループの活動に国民から疑念を持たれていることは遺憾だ。政治の信頼を回復するため、党としても強い危機感を持って、この問題に一致結束して対応していく」と述べた(6日付・NHKニュースWeb版)。

   その後、岸田総理は麻生副総裁や茂木幹事長、それに世耕参議院幹事長ら党幹部7人と会談し、対応を協議。会談のあとの記者会見で茂木幹事長は「パーティーなどの自粛が根本的な解決だとは思っていないが、二度と問題が起こらないための対応策がとられるまでは自粛をする」と説明した。また、政治資金規正法を改正する必要性についは、「現行法に問題があるのか、現行法が守られていないことに問題があるのかによっても対応策は変わってくる。いずれにしても透明性を高めることが極めて重要だ」と述べた(同)。

   このニュースで率直な印象は「的外れ」だ。自民党の派閥のパーティーは自粛するとの幹事長の話だが、その前にやるべきことは金がどう還流しているのか、実態をつまびらかにすべきだろう。まずは、説明責任を果たすべきだ。

⇒6日(水)夜・金沢の天気   くもり

☆ワクチン接種死を「コロナで」と報道、BPO「放送倫理違反」

☆ワクチン接種死を「コロナで」と報道、BPO「放送倫理違反」

   このブログで何度か書いたが、新型コロナウイルスのワクチン接種後に「アナフィラキシー症状」とおぼしき副反応に一時的だったが見舞われたことがある。2022年8月に4回目のワクチン接種を金沢市内の病院で受けた。接種した右腕の付け根だけでなく、左腕のほぼ同じ個所もじんわりとした痛みが続いた。恐怖を感じたのは接種2日目の午後、小刻みに体が震える症状が出た。パソコンのキードボードを打つことができなかった。数分して震えが治まった。

   アナフィラキシー症状は薬や食物が身体に入ってから起きるアレルギー反応で、気道閉塞(喉の奥の空気の通り道が塞がれること)や不整脈、ショックなどで死に至る事例もある。コロナウイルス感染とワクチン接種による副反応はまったく別なものだ。自身は医者と相談し、5回目を受けたのはことし1月だったが、これ以降は副反応は出ていない。

   この話を再び持ち出したのは、ことし5月15日放送のNHK『ニュースウオッチ9』で、ワクチン接種後の副反応で亡くなった人の遺族3人のインタビューをコロナに感染して亡くなったと誤認させる伝え方したとして、報道の有り様が問われている問題。きょう5日、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会は報道の経緯を文書でまとめ公表した。以下、抜粋。

「コロナウイルスに感染して亡くなった人とワクチン接種後に亡くなった人の違いは分かっていたものの、広い意味でコロナ禍で亡くなった人に変わりはないだろうと考えた、と(担当者は)説明している。にわかに信じがたい説明だが、仮にそう考えていたのならば、こうした認識は、ニュース報道の現場を担う者としてあり得ない、不適切なものであったと言わざるを得ない」

   放送は「新型コロナ5類移行から1週間・戻りつつある日常」というテーマで、およそ1分間の映像だった。担当者は記者やディレクターの部署ではなく、映像編集を業務とするセクションに所属。自ら現場に出て取材・制作を行ったのは今回が初めてだった。にもかかわらず担当者は、職場内では特に助言やサポートを受けていなかった。明らかに死因が異なるにもかかわらず、タイトルに合わせて強引に映像を構成したのではないだろうか。

   この問題を遺族側がBPOに訴えていた。BPO放送倫理検証委は文書の中で、「人の死」という人間の尊厳にも関わる情報を扱う放送であるにもかかわらず、取材の基本をおろそかにした行為はあまりにも軽率だったと指摘し、「事実を正確に伝えるというニュース・報道番組としての基本を逸脱し、視聴者の信頼を裏切り遺族の心情を大きく傷つける結果を招いた」と述べ、放送倫理違反とした。

   BPOの意見を受けてNHKは、「ジャーナリズム教育の徹底など現在進めている再発防止策を着実に実行し、視聴者の信頼に応えられる番組を取材・制作してまいります」(5日付・NHK報道資料)とコメントを出した。この問題でNHKは放送後に番組で謝罪し、編集責任者を減給、編集長をけん責の懲戒処分としている。

⇒5日(火)夜・金沢の天気    くもり