☆この記事をどう読むか

☆この記事をどう読むか

 新聞記事には絶妙のタイミングというものがあり、時としてブラックユーモアだったり時代を見通していたりする。紙面の編集者と広告の担当者はそれぞれ違うので意識はしていないだろうが、読者にはそれが分かる。その紙面とは2日付の日経新聞11面で展開された記事と広告のことである。

 その11面のトップ。「NTT、光回線シフト加速、累計契約数1.7倍に」の記事だ。NTT東西地域会社は06年度の事業計画で光ファイバー通信回線の販売を強化し、これまでの1.7倍にあたる617万回線、中期経営戦略では2010年までに3000万回線を販売するとしている。なぜ「2010年3000万回線」か。それは、2011年7月で地上波のアナログ放送が終了する。あわせて、現在作業が進んでいるIPマルチキャスト放送に対する「著作権の緩和」をセットで考えるとよく見える。

 このニュースの理解のポイントはマルチキャストの言葉の意味だ。ブロードキャストだと受信が誰でも可能となる。ユニキャストだと特定個人が対象だ。マルチキャストはその中間、つまり契約した多数に同時に送信するものだ。いまなぜこのIPマルチキャスト放送の著作権問題が出ているのかというと、地上デジタル放送はことし中に各ローカル局が対応するので全国でデジタル放送網が出来上がる。しかし、電波の届きにくい山間地などへはブロードバンドのインターネットを使って放送を流す計画(総務省案)だ。この際にネックとなるのが、インターネットを使った放送の著作権上での扱い。従来、文化庁はこのネット経由の放送を「自動公衆送信」と呼んで現在の有線放送(CATV)と区別してきたが、それを有線放送と同じ扱いしようというのが「著作権の緩和」の狙いだ。

 結論を急げば、2010年には3000万の契約世帯を持った巨大なIPマルチキャスト放送網、つまり「光有線放送網」が出来上がる可能性があるということだ。北海道にいながら、沖縄のローカル放送局の番組が視聴できる。そんな壮大なプランなのである。

 その記事の下、同じく11面で経済誌「財界展望」(4月号)の広告が掲載されている。「NTT゛放送進出゛で『民放TV局』が全滅する」といささかショキングな見出しがついてる。同誌の中身を読んではいないが、NTTが光有線放送網を確立すれば放送インフラはNTTの手に落ちる。「全滅」は大げさな言い方にしても、そのような意味だろう。ともあれ、記事と広告がこれほどマッチした紙面はない。

 この11面を読んで、ほくそ笑んだのは「財界展望」、苦笑いしたのはNTTだろう。そして、居心地の悪い思いをしたのは民放テレビ局、苦虫を噛み潰す思いで記事を読んだのはCATV会社、そしてADSLで「ヤフーBB」を手がけるソフトバンクかもしれない。

⇒2日(木)夜・金沢の天気  ゆき

★五箇山の春まだ遠く

★五箇山の春まだ遠く

 きのう久しぶりに富山県の五箇山をドライブした。金沢市森本から福光を経由しての山越えである。トンネルを抜けて五箇山に入ると、道路沿いに雪がうず高くうねっていて、ハンドル操作をちょっとでも誤ると雪壁に衝突しそうなくらいの圧迫感がある。

 世界遺産に指定され、合掌造りで有名な菅沼集落も道路以外はすっぽりと雪に覆われていた。積雪はまだ2㍍もあるだろうか。集落の中には大雪でひさしが壊れている家屋も見え痛々しい。もともと雪に強い五箇山の家屋が傷むほど今年の冬は大雪だったのである。   

 集落の真ん中にある郵便ポストもご覧の通り、雪に埋まっていた。では、通常で郵便を出すときはどうしているのか、との疑問も残った。郵便ポストと言えば、この辺りは、郵政民営化反対のドン、綿貫民輔氏の地盤である。去年9月の郵政をめぐる総選挙では盛んにマスコミに登場した。見事再選を果たしたものの、自民圧勝で郵政民営化の流れが決定的になるとマスコミでの露出もほとんどなくなったようだ。

 五箇山を歩くと、「アゲハチョウ」の家紋を土蔵などに記している家がところどころある。五箇山は熊本県五家荘などとともに平家落人の隠れ里伝説で有名だ。ひょっとして、綿貫氏は「永田町の五箇山」で反小泉の大同団結を画策しているのかもしれないなどとイメージを膨らませながらこの里を後にした。それにしても五箇山の春はまだ遠い。

⇒27日(月)朝・金沢の天気    くもり

☆季節は移ろう

☆季節は移ろう

  私のオフィスがある金沢大学創立五十周年記念館「角間の里」は春めいたとは言え、上の写真でご覧の通り、大屋根にまだ雪を頂いている。

   その上に見えるアベマキの枝の先端が赤みを帯びているふうには見えないだろうか。実物に目を凝らすと、枝先が赤紫色にけむっている。これまで堅く締まっていた冬芽が少しずつ膨らみ始めているのだ。まだ2月。でも、角間キャンパスの山々は冬の険しい表情から、優しい表情に変わりつつある。季節の移ろいを、木々の表情から実感するこの頃ではある。

   そしてきょう25日、人々の心は春を待ちきれないかのような光景があった。「角間の里」を拠点にボランティア活動をしている女性たちが七段飾りの雛(ひな)人形を組み立て始めたのだ。ワイワイとにぎやかな弾む声がすると思ったら、あっという間に組み上がっていた。

   階段を上り切って、ちょうど2階の正面に位置する。周囲の太い柱や梁(はり)とマッチしてどこかお城に飾られた雛人形のようにも見える。雛祭りは3月3日。ところで、金沢ではモモの花が咲く4月の旧暦まで雛人形を飾っておく習慣がある。そのことを聞いた関東出身の女性は「えっ、 3月3日過ぎても雛飾りを飾る女性はお嫁にいけないという言い伝えが関東にはありますが…」と雛人形を飾る時期に話題が弾んでいた。

  木々の芽が膨らみ、雛の心が騒ぎ出せば、三寒四温で春が来る。

⇒25日(土)午前・金沢の天気  はれ

☆続々「真偽の攻防」を読む

☆続々「真偽の攻防」を読む

  民主党は「穴蔵戦術」に入ったのだろうか。22日15時からの党首討論で、民主党の前原代表はライブドア前社長の堀江貴文被告が武部自民党幹事長の二男への送金を電子メールで指示した証拠として示すとしていた、送金元などの金融機関名を提示しなかった。

  党首討論で前原氏は「口座名や口座番号を提示する。元帳を出してほしい。後ろめたくないなら国政調査権に応じて、白日の下に明らかにすればいい」と求めた。これに対して小泉総理は「本物か偽物か分からない情報を元に、具体的な個人を非難中傷している。(具体的な証拠を)出す出す出すといっていまだに出していない」「確かな証拠があれば(国政調査権を)行使することにやぶさかではないが、その前に本物だという証拠を出せば分かる」と述べた。

   問題は、前原氏が「新しい証拠を出せば、国家権力がその証拠を握りつぶしてしまう。そうなればわれわれの追及のカードはなくなる」との一点張りで証拠を出さないことだ。果たしてそうだろうか。マスメディアほか衆人環視の中で、これほど注目されている証拠(銀行口座など)を国家権力が握りつぶすことはできるのか。逆に握りつぶせば国家のスキャンダルになり、一気に政局となる。

   うがった見方をすれば民主は、自民党が国政調査権の発動に応じないことを前提に「出さない」「責任は自民側にある」と言い続け、前に出ない「穴蔵戦術」に入ったのだ。

   よく考えれば、武部幹事長の二男は民間人である。仮に二男が3000万円を受け取っていたとして、二男からその金が武部氏の銀行口座や政治資金に流れていたということならば政治問題である。民主が国政調査権を発動せよという場合は二男から武部氏への金の還流についてであろう。二男が金を受け取っただけだと、武部氏の関与の度合いや道義的な責任問題となる。

   この党首討論のやり取りは衆院ホームページで動画で公開されている。上の写真はその画面のひとコマである。討論46分間のうち、最後の7、8分がメール問題をめぐる攻防である。普通に考えれば、前原氏は時間切れになることを想定して、あえてこの問題を最後に持ってきた。それほど民主自身がこの問題の処理に困っているということだろう。

 ⇒23日(木)朝・金沢の天気  くもり

★完結・「真偽の攻防」を読む

★完結・「真偽の攻防」を読む

  結局、残念な結果に終わった。ライブドアの堀江前社長が自民党幹事長の二男に3000万円の送金を指示したとするメールをもとに国会で追及したが、本物である証拠を示せずに辞意を示している民主党の永田寿康議員のことである。別に肩を持つわけではない。国会の「爆弾」が不発に終わり、自滅したことに対する惜別の辞である。

  不思議に思うのは、永田氏にガセネタをつかませた「フリー記者」なる人物である。今後のマスコミの話題は当分その点に集中しそうだ。というのは、永田氏をヤフーで検索すると、公式ホームページ以外はほとんどが彼を批判する、あるいは攻撃するホームページであふれている。つまり、いかに「敵」が多いことかと実感できるはずだ。永田氏は普段から容赦なく相手を攻撃するタイプの人物なのだろう、その分「敵」も数多くつくってきた。もしかして、今回の「偽メール騒動」はけっこう根の深い、「永田落とし」の謀略ではないかと、私の嗅覚は働く。

  この後は、民主の前原代表の責任問題に当然シフトする。辞任となれば、後継は小沢一郎氏以外に人物はいないだろう。もう「脇の甘い」若手に党をゆだねることはできないからだ。小沢氏が代表になれば、旧・社会党系などが拒絶反応を起こし、ひと波乱起きることは目に見えている。6月30日の国会の会期末までゴタゴタが続き、その後は一気に自民党の総裁選が耳目を集める。9月にはそれも決着し、新総裁、新総理へと政治は流れる。長い長い政治の季節が続きそうである。

(写真:ミケランジェロ作「最後の審判」から)

⇒24日(金)朝・金沢の天気  はれ 

★金沢とローマの「軽」

★金沢とローマの「軽」

  ある一つの時代の流れを日常で感じることがある。それは「軽」だ。かつて「軽薄短小」という言葉が流行したが、そのトレンドがさらに進化して現在を生き抜いているように思う。

  今月4日、金沢大学で林勇二郎学長と、石川1区選出の馳浩代議士の対談があった。大学の地域貢献情報誌「地域とともに」(3月下旬発行)に掲載するため、馳氏に対談をお願いした。その馳氏が運転手付で乗ってきた車がダイハツの軽自動車「Tanto」=写真・ダイハツのカタログから=だった。対談が終わって見送るとき、馳氏に「ちょっと窮屈ではありませんか」と私の方から声をかけた。何しろ馳氏は1984年のロサンゼルス・オリンピックでレスリング・グレコローマン90㌔級で出場した体格の持ち主である。「と思うだろう。ところが意外と広いよ、君、乗ってみろよ」と後部座席に押し込まれるように乗った。確かに室内高は130㌢もあり天井が高い。「中で着替えもできるんだ」と馳氏。

   それに金沢の街中の道路は狭くくねっている。支持者にしても、こんな道路事情で自宅前に黒塗りの大型車が停まっていたら近所迷惑と言われるだろう。先の総選挙(05年9月)で馳氏が獲得した12万9千票のうち、この「軽」への好感票がかなりあったのではないかと思ったりもした。

   先月訪れたイタリアのローマも金沢と同様に狭い道が多い。しかも道路が駐車場代わりにもなっていて、窮屈さを感じる。そんな市内の道路ではメルセデス・ベンツ社の「smart」など小型車が幅を利かせていた。なかには昔懐かしい三輪車も見かけた。写真は何かの工事用の車なのか、汚れていて、しかも左窓はガムテープで補強されていた。確かにこのくらい小さくないと裏路地まで行って商売はできないかもしれない。

 ⇒21日(火)朝・金沢の天気  くもり

☆続・「真偽の攻防」を読む

☆続・「真偽の攻防」を読む

  だいたいの勝負が見えてきた。民主党の永田寿康議員が16日の衆院予算委員会で暴露した、堀江貴文ライブドア前社長が社内の関係者に武部勤自民党幹事長の二男あてに3000万円送金するようメールで指示したとする問題である。民主党内でもこのメールのコピーについて「必ずしも本物とは言い切れないのでは」との懐疑論が広がり始めいるという(20日付・共同通信インターネット版)。

   爆弾発言をした永田氏の公式ホームページを覗いてみた。16日の追及発言の詳細は画像付きで出ているが、それ以降の更新がない。これは一体どういうことなのか。相当忙しくても公式ホームページは自らの主張や立場を有権者に伝えるコミュニケーション手段である。ここにまずメッセージを発しないと誰も信用しなくなる。先の共同通信の記事でも、民主党内でも一部幹部にしかコピーについての説明はないようだ、と述べられている。党内でもコミュニケーションがはかられていないのだ。

   永田氏は20日、国会を欠席した。これに対し、民主の野田佳彦国対委員長は「永田氏は(新情報提出に向けた)作業に集中して取り組んでいる」と述べたと別の共同通信の記事にあった。これも不可解だ。情報提供者と白昼会うために国会を欠席したと読める。永田氏の動向は追跡されて情報提供者の居場所を教えるようなものだ。

   新証拠を民主が提出するタイムリミットは22日だ。この日は午後3時から党首討論があり、それまでに民主側が3000万円を振り込んだとされる銀行口座などの証拠を出さなければ、逆に小泉総理がこの点を突いて質問してくるだろう。党首討論で勝った負けたレベルどころか、前原氏の責任論になりかねない。

 ⇒20日(月)夜・金沢の天気  くもり

★「真偽の攻防」を読む

★「真偽の攻防」を読む

  ライブドア前社長の堀江貴文被告が、自民党の武部勤幹事長の二男に3000万円を送金するよう指示したとされる電子メールが衆院予算委員会(16日)で暴露され問題となっている。が、その真偽をめぐり、メールを暴露したものの逆に「ガセネタだ」と信ぴょう性を疑われ、守勢に回ったのは民主の方だ。民主は新証拠を示す代わりに国政調査権を発動し、銀行口座を調べ上げろ主張している。これに対し、自民は「挙証責任は民主党にある」と拒否する構えで、国政調査権をめぐる攻防となっている。が、テレビを見ていても、双方腰が引けているという印象もある。

   こんな政治の場で展開される真偽の攻防を読み解く方法が一つある。それは、新聞の扱い、あるいは論調だ。私はこれを「プレスセンサー」と仮に名付けている。16日の衆院予算委員会で暴露したのは民主の永田寿康代議士だが、翌17日の各紙はこの問題をかなり大きく扱った。本来なら大スキャンダルに発展するのだから当然大きな扱いとなる。しかし、18日、19日と攻防をめぐる動きは伝えているものの、その後の新聞各紙のおっかけ報道がない。つまり、トーンダウンしている。

   おそらく、情報提供者は民主の永田代議士のみに提供している。しかも紙でプリントしたものを渡している。普通、よほど確信のあるものであれば、マスコミにも匿名で流すものだ。つまり、民主が追及し、マスコミが援護射撃をするという図式が一番効果的だからである。むしろ、いまのマスコミの関心は民主への情報提供者は誰が何のためにという点に向けられているのではないか。こうなると、永田氏は自民を追及することより情報提供者を守ることに四苦八苦することになる。だから腰が引ける。

   もし口座名が判っているのであれば、「○○銀行の口座だ」と民主は言えばよい。国政調査権を発動させるのであれば、そこまで証拠を提出すべきだ。そうなれば政局として事態は動く。週明けのポイントはここだと読む。

 ⇒19日(日)午前・金沢の天気  はれ

☆凄みのあるニュース2題

☆凄みのあるニュース2題

  トリノ冬季オリンピックは日本人のメダルが出ないせいか、日増しに興味が薄れていく。たまたま、ニュースサイト「AFP BB News」を眺めていると面白い記事に遭遇したので紹介する。

  スペイン南部のウエルバ地方でイチゴ摘みのシーズンが到来し、この収穫のために東欧諸国などから3万の労働者が雇われている。その中に、ガーナ出身のスティーブンという人がいる。3年間砂漠を歩いてガーナからモロッコへ行き、2002年にスペインのカナリア諸島にボートでたどり着いたスティーブンさんは、現在は出稼ぎ労働の常連だ、という内容の短い記事だ。イチゴ摘みに3万人(ほどんどが女性)が出稼ぎに訪れ、その中に3年間砂漠を歩き、ボートでスペインにたどり着いた人もいる。ひと言、世界は凄まじい。

  出稼ぎと言えば、稲刈りのシーズンになると、石川県の松任平野に能登の女性たちが大挙して稲刈りに訪れた時代があった。貴重な現金収入で、シーズンが終わりに近づくと金沢のデパートで買い物をして能登に戻り、今度は自分たちの田んぼの稲刈りをする。その稲刈りが終わると今度は夫婦で大阪や名古屋方面に出稼ぎに出る。春になると田を耕すために故郷に戻ってくる。スペインのイチゴ摘みから連想ゲームにようにして稲刈りの女性のたちの光景が目に浮かんだ。能登の女性たちはよく働き、その分、亭主が楽をするので、「能登のトト楽」という言葉まであった。

  最近もう一つ気になったのが、東芝がイギリスの核燃料会社BNFL傘下の原子力大手、米ウエスチングハウス(WH)を総額54億ドル、6400億円で買収すると発表したニュース。欧米での原発の新規建設や中国、インドなどの需要拡大を見込んだ動きだが、実に思い切った決断をしたものだ。

  原子炉には大きく分けて2つのタイプがあり、BWRと呼ばれる沸騰水型と、PWRと呼ばれる加圧水型。BWRは米ゼネラルエレクトリック(GE)が、PWRはWHがそれぞれ実用化した。GEと提携していた東芝はこれまでBWRを供給していたので、これで2つのタイプの原子炉を供給できるようになる。

  その狙いは、世界のマーケットを睨んだというよりむしろ、日本には運転開始から30年を超える古い原子炉が増えているので、電力会社はいずれ老朽化対策に動かざるを得なくなる。そのためには2タイプの原子炉を供給できる企業がシェアを取れる。次世代DVD規格「HD DVD」の東芝が、対立規格「ブルーレイ・ディスク」のソニーを買収したようなそんな凄みのある話ではないか。

⇒18日(土)夕・金沢の天気  くもり 

★カップ酒、ブームの仕掛け

★カップ酒、ブームの仕掛け

  ピンチがチャンスを生むことがままある。それは現状に危機感を抱き、創意工夫を凝らすことで危機的な状況を抜け出すということだろう。その一例を日本酒で紹介する。

 ひところ純米や吟醸といった高級化路線でブームをつくった日本酒の業界だが、最近はワインや焼酎に押されてかつての勢いはないと思っていた。ところが、妙なところからブームが起きているのである。カップ酒だ。そういえば、コンビニでも棚に占めるカップ酒の面積や種類が増えている。

 金沢の繁華街、片町にある日本酒バー「ZIZAKE」では石川県内の45銘柄のカップ酒がずらりと並んでいる。このバーを運営する県酒造組合連合会は昨年8月に「カップ酒王国いしかわ」を宣言して普及に乗り出した。観光地・金沢のちょっとした手土産に地酒のカップ酒が受けているそうだ。180-200㍉㍑、価格も200円から400円が中心だ。

 実は今月3日に「カップ酒とカキ鍋を楽しむ会」が金沢市内の料理屋であり、誘われて参加した。塗り升に樽(たる)酒を詰め、上部を透明フィルムで覆って密閉したものや、小さなボトル型をした「ちょいボトル」などかたちも工夫を凝らしている。飲みきりサイズで酒を楽しむ。そんなコンセプトの商品が次々と生み出されているのである。

 そのうち、ファミリーレストランなどにもカップ酒がメニューとなってくるだろう。なにしろラベルもバンビやパンダ柄などが全国的に人気を博している。狙いは新たな日本酒愛好家の開拓、ターゲットは若いファミリー世代とかなり戦略的に絞っているようにも思える。軽四自動車のデザインや機能が格段によくなってブームが起きている現象とよく似ている。

⇒12日(日)朝・金沢の天気   くもり