★メディアのツボ-15-
18日午後9時から放送された日本テレビの番組「小泉純一郎を知っているか?」を見た。小泉総理の在任2000日の主な出来事の舞台裏を再現したドラマと、20日の自民党総裁選挙を控えた安部晋三、谷垣禎一、麻生太郎の3氏とその応援団の議員をスタジオに呼び生中継で討論させるという、ドラマと生討論を融合させた野心的な番組だった。
小泉政治とメディア④ 
番組の中で次期総理に最も近いとされる安倍氏は、「北朝鮮による日本人拉致問題担当大臣を置く考えはないか」とキャスターから質問され、「外交ルートは二元化してはならないが、被害者の家族のケアもある。全体的に拉致問題を担当する人がいてもいい」と語ったことが、さっそく共同通信や新聞各紙のインターネット版でニュースとして流れた。これを質問したのであれば、すかさず「誰を大臣に」と突っ込めばさらに番組の価値が高まったかもしれない。
なぜならば、その人物はおおかたの人が想像するように、02年に帰国した拉致被害者の支援を担当した中山恭子氏(元内閣官房参与)だろう。とすると、拉致担当大臣は外務大臣を兼ねることも十分予想されるので、安倍内閣では「中山外務大臣」の線も浮かんでくるのではないか…。
「組閣」ともあれ、任期を終える総理をドラマ化するというのは前代未聞だ。しかも、高支持率のうちに辞するのである。安倍氏の大きな後ろ盾として小泉氏の存在感が増すに違いない。話をドラマに戻す。総理役の岩城滉一=写真=もツボにはまっていたし、亀井静香役の竜雷太は顔の引きつらせ方やしゃべり方まで亀井氏の仕草を相当研究したのだろう。
印象に残ったシーンは去年9月の総選挙にいたる攻防だった。「干からびたチーズ」の大芝居は面白かった。森前総理(綿引勝彦)が郵政民営化法案が参院で否決されたら衆院を解散すると言い張る小泉総理を翻意させようと官邸に乗り込む。それは失敗に終わるが、帰り際に「小泉が本気であると(記者に)伝わるように、森さん本気で怒ってくれ」と小泉総理に言い含められる。すると森氏はわざわざ握りつぶした缶ビールの空き缶と干からびたチーズ(ミモレット)を持って官邸の外に出て、「寿司でも出してくれるのかと思ったら、この干からびたチーズだ…。オレはサジを投げたよ」と、とくとくと記者に語って聞かせる。
この演技で記者はおろか国民も「衆院解散の意志は固い」という小泉総理のシグナルの読み取ってしまった。ここをスタートに300議席へとつながる選挙の政変が起きる。私は勝手にこの下りを「ミモレット劇場」と名付けた。歴史をつくった名演技だったからである。テレビドラマではない。名優は本物の森氏である。逆に見え見えの演技だったら選挙で大敗を喫していたに違いない。
⇒19日(火)夜・金沢の天気 はれ
河出文庫から出ている「浅間山荘事件の真実」を読んだ。元・日本テレビのアナウンサー、久能靖氏の著書だ。この本の見どころは、当時の報道陣が取材現場の視点で書いた初の本というだけでなく、記述が詳細なので、34年前のテレビ局が事件をどう伝えたのかを知る放送史上の貴重な資料であるという点だ。
USENの番組配信サービス「GyaO」はブロードバンドを活用し、番組コンテンツを提供スポンサー企業からのコマーシャル収入を得ることで、ユーザー(利用者)に無料で見せている。ビジネスモデルはテレビと同じだ。スタートは去年、すでに登録会員数1000万人を突破している。その「GyaO」が15日、東京都内で開催される21世紀臨調(「新しい日本をつくる国民会議」)主催の自民党総裁選の3候補者による公開討論会をノーカットで生中継する。総裁選まで5日と迫り、マニフェストを掲げての安部晋三、谷垣禎一、麻生太郎の3氏の激論が期待される。時間は午後3時から5時だが、中継の後はただちにアーカイブで放送(オンデマンド)するそうだ。
総理は一貫して「靖国は外交カードにはならない」と主張してきた。この意味が当初理解し難かった。ところが、小泉政権の5年間で日中をめぐる事件がはっきりと見えるようになった。たとえば東シナ海の日中中間線付近でのガス田の一方的な採掘、国連の安全保障理事会に日本の常任理事国入りに反対、今なお強化している反日教育(中国版ホロコースト博物館の各地での建設)、反日デモの意図的な煽動…などを冷静に観察した日本人は次のような印象を持っているのではないか。
結果がどうなれ、小泉総理はおそらく「無傷」で引退する歴代総理でも数少ない一人ではないか。前総理のように支持率が10数%という結果であえなく退場ということではない。小泉内閣支持率は各世論調査で今でも40-50%を維持している。なぜ高支持率を維持できているのだろうか。
国家VS国家の戦いではなく、アフガンで展開したようにテロ集団と国家の図式である。国際法にもとづく定義とか、もちろん戦争作戦でもなく、紛争あるいは掃討作戦という地域限定の争いである。その延長戦上にイラク攻撃もあった。実はこれならメディアは乗りやすい。国家と国家の争いならイスラエルとパレスチナのようにそれぞれの言い分がある。しかし、テロは絶対悪である。その理由はどうであれ報道しやすい。そのことに反発する世論が形成されないからである。
画も視野に入れているようだ。
豆腐といえば四角とだいたい相場は決まっている。中に、能登の「ちゃわん豆腐」のように丸型もある。この豆腐はなんとサーフボード型なのだ。ネーミングが面白い。「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」。2パック入っていて298円だ。受け狙いの流行商品だろうと思ったら、商品開発に5年も費やしたこだわりの味だという。味は濃厚でまるでクリームチーズかプリンのようだ。
ニュージーランドの経済の中心地オークランドの街を歩くと、不思議なことにマネーの活況ほどに街は騒がしくないのである。投資家の間では有名なニュージーランドドル建て債券は5%~6%を維持している。それだけ高金利で世界中からマネーを集めているので、さぞ都市開発も盛んだろうと思い、ホテルの部屋(18階)から街を見回してみた。クレーンが立っているのを確認できたのは2カ所だけ。ホテルの周囲は新しい高層ビルが建ち並んでいるので開発ブームは過ぎ去ったという感じだ。
それではどこに投資の金が回っているのかと思う。確かに、ハントリーでは新しい石炭火力発電所が建設されるなどインフラ投資が行われている。また、クイーンズタウンのリゾート開発にもマネーが回っているのだろう。しかし、現実をよく見ると「祭りは終わった」という印象だ。そのせいか、ニュージーランドドルは下落している。去年11月末には1NZ㌦=87円だったレートは、12月末に80円程度まで下落し、ことしに入って72円程度まで下がり、今月76円で持ち直してはいる。もともと市場規模が小さく急降下しやすいのだ。
新聞で「BBQ is kiwiana」という文が目に止まった。BBQはバーベキューのことなので、バーベキューならキーウィの肉、かといぶかった。このKiwianaを英和辞書で検索しても出てこないので、現地の日本人ガイド氏に聞くと、笑いながら「そうですね、日本語で近いのは『ニュージーランド名物』とでもいいましょうか…」、「あえて訳せば『バーベキューはニュージーランド名物』ですね」と。
ランドの先住民であるマオリ族からキーウィと名付けられたそうだ。ニワトリくらいの大きさで、飛べない。たくましい脚を持ち、速く走る。しかし、ヨーロッパからの移民とともにやって来たネコやネズミなどの移入動物の影響でキーウィは一時絶滅の危機に瀕したこともある。体の3分の1ほどの大きさの卵を抱くのはオスの仕事である。そこで、kiwihusband(キーウィハズバンド)と言えば、面倒見のよい夫のたとえだとか。