★IPマルチキャスト放送の凄み

★IPマルチキャスト放送の凄み

  政府の知的財産戦略本部が、光回線やADSLのブロードバンドを使ってインターネットで地上デジタル放送のテレビ番組を提供する、いわゆるIPマルチキャスト放送について、著作権法上の「有線放送」と位置付けるとの方向性を打ち出した(2月3日付の新聞各紙)。

  このニュースの理解のポイントはマルチキャストの言葉の意味だ。ブロードキャストだと受信が誰でも可能となる。ユニキャストだと特定個人が対象だ。マルチキャストはその中間、つまり契約した多数に同時に送信するものだ。

   いまなぜこのIPマルチキャスト放送の著作権問題が出ているのかというと、地上デジタル放送はことし中に各ローカル局が対応するので全国でデジタル放送網が出来上がる。しかし、電波の届きにくい山間地などへはブロードバンドのインターネットを使って放送を流す計画(総務省案)だ。この際にネックとなるのが、インターネットを使った放送の著作権上での扱い。従来、文化庁はこのネット経由の放送を「自動公衆送信」と呼んで現在の有線放送(CATV)と区別してきた。

   今回の改正の方向性は、この自動公衆送信を有線放送と同じ位置付けとするもの。これによって、IPマルチキャスト放送の業者は、番組で使う音楽のレコード製作者ら著作権者に対し事後報告で済み手続きが簡素化される。現在は事前の許諾が必要で、これが手続きの煩雑さを生み番組のネット配信を阻む大きな原因とされる。改正法案は来年07年の通常国会で提出となる見通しだが、なにしろ、5.1サラウンドの臨場感ある音の演出が可能なデジタル放送であり、簡単に著作権団体がOKというか余談は許さない。

   今後この改正法案の成立を見込んで、IPマルチキャスト放送の事業者が続々と名乗りを上げるはずだ。なにしろ従来の放送の県域がインターネットによって外れる。県域内の難視聴世帯に対するマルチキャストは無料とするが、県域外への放送を有線放送並みに有料にすれば、これは大いなるビジネスチャンスにもなる。契約さえすれば、沖縄や海外にいても北海道の民放をリアルタイムで視聴できるようになるからだ。この意味では既存のCATV業者との確執も生まれよう。すでにKDDIなど4社が総務省にIPマルチキャスト放送の事業登録を済ませている。

   ともあれ、07年の参院選ではインターネットの選挙利用も解禁となる予定だ。続いて、IPマルチキャスト放送の利用も広がる。ネットが選挙と放送に本格的に組み込まれる時代。ネットの凄みである。

 ⇒7日(火)朝・金沢の天気  くもり  

★続々々・イタリア行

★続々々・イタリア行

  イタリアではハンカチをプレゼントされることを忌み嫌う。他国の人がその習慣を知らずに贈った場合、数十セントで「買う」。そうすれば、贈られたことにはならない。なぜそこまでするのか。「ハンカチは涙(悲しみ)を運んでくるもの」との思いがイタリア人には強いからだ。ミラノで読んだ邦人新聞「月刊・COMEVA」の記事を引用した。 

   ミラノはローマやフィレンツェと違い、真新しいビルも建ち並び随分と活気があるとの印象だ。黒尽くめのファッションをまとったモデルのような女性たちが街中をかっ歩している。女性が生き生きとしている街だとも思った。ただ、気になることが一つあった。木を燃やしたようなにおいがどこからとなく漂ってくるのである。ずっと気になっていたが、ついに発見した。レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」で有名なサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の間近で。

  ご覧いただきたい(写真・上)。屋上の煙突から煙がもくもくと立ち上っている。この他にもいくつか煙突を発見した。石炭などの化石燃料ではなく、木質なのでにおいがやさしい。これでピザを焼いているのか、とも思ったりした。

   それにしてもミラノの街は美しい。裏路地に入っても、ご覧のように整然として美的な空間が醸し出されている(写真・下)。木々の緑があれば、また異なった空間になるのだろう。しかし、葉を落とした街も青空が広がり映える。

⇒4日(土)午前・金沢の天気  くもり

☆続々・イタリア行

☆続々・イタリア行

  ローマから目的地のフィレンツェへと高速新線「ユーロスター」に乗り込んだ。日本から持ち込んだ国際ローミング機能付きの携帯電話をパソコンにつなぐと車内でもメールを開くことができた。少し前まで、ヨーロッパは通信事情が悪いと聞いていたが、随分とインフラが進んでいる。

   ところでローマからフィレンツェを回って気がついたことがある。上の写真はバチカン宮殿の「ラファエロの間」にある「アテネの学堂」である。37歳で逝ったラファエロはこの絵で自画像も描いたが、彼の先輩であるミケランジェロも描いた。それが下の悩んだ様子の人物である。ミケランジェロは陽気でもてたラファエロとは違って気難しい性格だったといわれる。そして下の写真はフィレンツェのサンタ・クローチェ教会にあるミケランジェロの墓である。真ん中の女神の彫刻も悩んでいる様子を描いている。

   おそらく当時の人々にとっては、 この悩みの姿こそがミケンランジェロの象徴的な姿だったのだろう。若い頃にけんかで顔を殴られ、鼻が曲がってしまい、 このためもあって容姿に劣等感を持ち、気難しい性格になっとの言い伝えもあるが、定かではない。しかし、その気難しさが芸術の深みや、創作への意欲をかきたてたのではないか。

  私に芸術論を述べる資格はない。見た目の瑣(さ)末な話を取り上げたにすぎない。

⇒2日(木)朝・金沢の天気  くもり

★大雪を楽しむ

★大雪を楽しむ

  大雪にあって、雪を楽しむ。これほどぜいたくなことはない。金沢大学創立五十周年記念館「角間の里」ではきょう27日から「雪だるままつり」が始まった。市民ボランティア「里山メイト」の面々や市民参加で思い思いの雪だるまをつくって楽しむという趣向だ。

  雪だるま、と言えば、北陸・石川県では白峰(現在・白山市)でのイベント。「角間の里」が白峰から移築した古民家(築280年)であることから、本家のイベントを盛り立てようと里山メイトの発案で企画された。参加を呼びかけると、市民100人、学生40人余りが参加する、大学では珍しいちょっとした大型イベントとなった。  

   その中で、凝った作品を一つ紹介する。「チョンマゲだるま」とでも名付けたらよいのだろうか、殿様の雪だるまである。これは髷(まげ)を雪で作るのがが難しい。そして顔の表情がとてもユーモラスである。

  お腹のあたりに穴が空いているのは、夜にろうそくの明かりを入れて、ライトアップも楽しむという仕掛け。このイベントは29日まで。

⇒27日(金)夜・金沢の天気  ゆき   

☆続・イタリア行

☆続・イタリア行

  「イタリア行」は、金沢大学が国際貢献と位置づけているフィレンツェの教会壁画の修復プロジェクトの現状を取材するのが目的だ。旅程を終え、22日に帰国した。後日、金沢大学の社会貢献情報誌「地域とともに」(3月発行予定)でリポートを掲載する予定だ。以下、イタリアで考えことや見聞したことをシリーズで。

  目的地のフィレンツェを前にローマを訪れた。写真は円形闘技場「コロッセオ」から見た凱旋門だ。ローマは遺跡の向こうに遺跡が見える、街そのものが歴史だ。この凱旋門は、312年に「ミルヴィオ橋の戦い」で勝利したことを記念して315年に作られた凱旋門だといわれる。凱旋門の高さは25㍍。帝政ローマ時代の凱旋門の中では一番大きい。フランスのエトワール凱旋門のモデルにもなっていて、ユネスコの世界遺産(文化遺産)の一つである。

  そしてローマの街を歩くと、その広告が面白い。 写真はバイクのレンタルの広告だが、図柄は何かの美術書で見たことがあるものだ。指先を軽くタッチする、映画「ET」のモデルにもなったといわれるあの名画、ミケランジェロの「アダムの創造」である。名画のモチーフが普通に使われていて、ある意味で奥深い。

  ローマの街には石畳の道路が多い。これが風情でもある。ただ、トランクのキャスターが時々、石と石の間にはさまり不便さをかこったりもする。そんなことを差し引いても、ローマの街は魅力的である。

⇒25日(水)夜・金沢の天気  くもり

★イタリア行

★イタリア行

  「海外へ行く」と周囲に言うと、すでにその場所へ渡航経験のある人ならは土地の名所とか、グルメの店の情報などを教えてくれるものだ。しかし、今回は国の名前を告げたとたんに「気をつけた方がいい」「人を見たら○○と思えだよ」とさんざんな評価だ。イタリアのことである。

  イタリアといえば、ローマ、ミラノ、フィレンツェなど世界史にその名が出てくる都市が多くあり、独自の文化と産業がある「まばゆい国」というイメージがある。ところが実際に渡航経験のある人から話を聞くと、10人中9人が「物取り」の経験談。子どもの集団に囲まれ強引にバッグを取られた。バッグが人混みの中で切られ貴重品を取られた。女性から声をかけられしどろもどろしているうちにバッグごと取られた。中には、「イタリアでは日本語の被害届があると」と被害後の対処方法までアドバイスをしてくれる人も。

  中には武勇伝もある。金沢大学のスタッフの女性は2年前、妹と旅行に出かけた。ローマの地下鉄で子どもの集団に囲まれ、強引にバッグを取られそうになった。すると妹はその少年の手首をむんずと掴み、「こらっ~」と地下鉄中に響きわたるくらいの大声を出して睨みつけた。すると集団はスゴスゴと別の車両に逃げていった…。

  それでは何のためにイタリアへ。金沢大学のイタリア美術史の教授がフィレンツェの教会で、幅8㍍、高さ21㍍にも及ぶ壁画の修復作業に携わっている。1380年ごろにフレスコ画法で描かれたルネサンスの傑作であり、ビルでいえば7階建てにも相当する巨大な文化遺産だ。この修復プロジェクトの現状を取材して、後日、大学の社会貢献誌でリポートを掲載する予定。

  その現地の教授もメールで、「治安の悪さは決して改善されていませんから、充分な準備と覚悟で出発して下さい」と。さてどうなることやらイタリア…。

⇒15日(日)朝・成田の天気  はれ 

  

☆インターネット選挙への布石

☆インターネット選挙への布石

  いよいよ「インターネット選挙」の幕開け近し、である。12日付の朝日新聞の一面トップは、海外に住む日本人に、衆院小選挙区と参院選挙区の選挙でも投票を認める公職選挙法改正案の骨格だった。投票を比例代表選挙に限っていた付則を改め、国内で最後に住民票を置いていた選挙区での投票ができるようにする。総務省は通常国会に改正法案を提出し、来年の2007年夏の参院選からの導入を目指す、という。

 海外邦人の選挙と「インターネット選挙」はどう関わるのか不思議に思う人もいるだろう。ちょっと説明しよう。海外在住の有権者に認められている在外投票は、1998年に比例代表選挙に限って導入され、世界各地にある200の在外公館での投票か、郵便による投票のどちらかを選択できる。小選挙区の投票を総務省が認めてこなかったのは、候補者が政策などの情報を海外の有権者にまで届けるのは困難と判断してきたからだ。

 ところが去年9月、最高裁判所は選挙区選挙の投票を認めていない現行法を違憲と判断した。この「在外選挙権訴訟」の違憲判決では、「通信手段の発達で候補者個人の情報を在外邦人に伝えることが著しく困難とは言えない」と指摘した。つまり、インターネットを使えば海外であろうと情報は届くと判断したのである。

 改正案では、衆参両院の比例代表選挙に限るとした付則を削る。これにより、衆院小選挙区選挙、参院選挙区選挙の投票が可能になる。現行通り、在外公館での投票と郵便投票のどちらかを選択できる。対象となる選挙区は、国内で最後に住んでいた住所地の選挙区。国内に住んだことがない場合は、本籍地のある選挙区、となる。海外在留邦人は96万人で、うち有権者は72万人だ。

 朝日新聞の記事では、公職選挙法改正案のもう一つの骨子であるインターネットの選挙利用の解禁については触れていなかったが、最高裁判決の主旨に沿えば、ネット解禁とのワンセットでなければ意味がない。水面下では、自民党ではインターネットを使った選挙運動のあり方についてかなり先行している。同党広報本部副本部長の世耕弘成氏(参議員)のブログによると、すでにワーキングチームを組織して取り組みの検討段階に入っていて、着々と布石を打っているようだ。

 「在外選挙権訴訟」の違憲判決という外からの圧力のおかげでインターネットの選挙利用が解禁され、選挙そのもののあり方も一変するだろう。選挙があるから、にわかにホームページで政策を訴えるでは、もう手遅れである。ブログなどを通じて、日ごろから有権者とコミュニケーションをはかっている候補者は断然有利だ。コアな支持者がさらにネットを介して支持の輪を広げてくれる。

 普段から支持者を獲得するために小まめにブログを更新する所作や習慣が候補者にとって必要となってくるに違いない。

⇒13日(金)朝・金沢の天気  くもり

★「露呈したこと」3題

★「露呈したこと」3題

  ひょんなことから事件は発覚する。すると事件の本筋ではないがそこに隠されていたいろいろな物事まで露呈することがある。最近の事件や事故を振り返る。

   みずほ証券によるジェイコム株の誤発注で12月8日の市場が混乱した。今回のミステイクで被ったみずほ証券の損失は400億円にものぼると言われ、逆に複数の証券会社が莫大な利益を上げた。その金額はUBSグループの120億円を筆頭に、モルガン・スタンレー14億円、日興コーディアル証券グループ、リーマン・ブラザーズ証券グループがそれぞれ10億円、CSFB証券グループ9億円、野村證券3億円と推定されている。利益を出したこれらの証券会社はアメリカ資本系が多く、「火事場泥棒」とまで言われているが、ある意味でこの数字が日本の証券業界における実力ランキングなのだ。ここで分かったことはかつて「世界のノムラ」と名声を博した野村がいかに利益の出せない証券会社になってしまっているか、ということだろう。

   胚性幹細胞(ES細胞)の捏造問題で揺れる韓国。中央日報の日本語インターネット版によると、黄禹錫(ファン・ウソック)ソウル大教授の研究パートナーが黄教授に内緒で、04年4月にES細胞の関連特許を米特許庁(USPTO)に出願していたことが明らかになったと米ピッツバーグ・トリビューン・レビュー紙が報じた。これは、黄教授が関連特許を世界知的財産権機構(WIPO)に出願する8カ月も前のこと。ちゃっかりと特許出願していたのは、ジェラルド・シャッテン米ピッツバーグ大教授。両教授は03年からES細胞研究を共同で行ってきた。捏造問題のニュースが世界に流れ、アメリカの地元の新聞社がスクープした。捏造、抜け駆け、この研究分野の熾(し)烈な裏側が透けて見え、凄まじい。

   四季の中で一番命を落としやすい季節が冬だ。去年12月以降の日本海側を中心とした大雪による死者が相次いでいる。9日も秋田、新潟、福井の3県で除雪作業中のお年寄り2人と50代の会社員の3人の死亡した。共同通信の集計で16道県計71人(9日現在)にも上っている。71人が雪で死ぬ事態、これは天災ではないのか…。何かとニュースになる鳥インフルエンザによる死亡者数(世界の合計)は累積でどのくらいか。ちなみに人口12億の「大陸中国」では8人である。それにしても「列島大雪」で71人、痛ましい数字だ。

⇒10日(火)朝・金沢の天気   くもり  

☆ブログの技術⑳

☆ブログの技術⑳

  同じ外の風景でも季節によって趣が異なったりする。同じ場所で時間を置いて、記録することを定点観測という。日常で写真による「定点撮影」を行ってみよう。違いを比較するだけでもブログのネタになる。

         テー「定点撮影のすすめ」  

  百聞は一見にしかず、という諺(ことわざ)がある。一枚の写真が事象を雄弁に物語るものだ。その写真を2枚組み合わせみよう。これは実証的ですらある。写真は、去年(05年)の6月と12月下旬に私のオフィスがある金沢大学創立五十周年記念館「角間の里」の土間から屋根のひさしを込みで撮った写真である。初夏と冬の季節の違いが一目瞭然で分かる。まるで別世界だ。あるいは別の見方で、軒下に迫る雪の量を見て、年間降水量のことを連想するかもしれない。北陸は年間降水量が2000㍉を超えていつも全国上位だ。こうした説明にもこの写真は説得力を持つ。

  説得力という意味でもう一つ。「自在コラム」では金沢の風物詩である「雪つり」がなぜ必要かということを2枚の写真を使って書いた(05年11月30日付)。 雪で枝が折れてしまう。北陸の雪は湿り気が多く重いのである。だから大切な庭木には雪つりを施すことが必要である、と。くどくどと書かなくても写真の比較で理解していただけると思う。

  ただ、この定点撮影の手法は、ブログを念頭に置いて、その写真の比較が面白いと実感できなければなかなか撮れないものである。でも、被写体は無数にある。昆虫や植物の生長、あるいは建物の建設現場を同じ場所から1週間ごとに撮っても面白い。撮影が持続可能なら何でもよいのである。

     定点から物事を観察する発想を身に付けたい。そうすればブログのテーマも格段に増えるはずだ。

⇒8日(日)午後・金沢の天気   くもり  

★チラシに映る時代のトレンド

★チラシに映る時代のトレンド

  プロの広報マンだったらおそらくチラシ一枚でも無駄にはしないだろう。時代のトレンドを読み、仲間と論議し、どのようなデザイン、あるいはキャッチコピーだったら人々が気に留めて手に取ってくれるだろうかと試行錯誤を繰り返し、そしてようやく一枚のチラシを世に出す。そのチラシには時代が投影されている。

    きのう6日、石川県立音楽堂を訪ねた。大晦日の「岩城宏之ベートーベン全交響曲演奏」のインターネット配信の際、ホームページでPRしていただたお礼を述べるためである。コンサートの掲示板に貼ってあったチラシが気になり、チケットカウンターで一枚もらった。それが写真のチラシ。

   金沢大学ほか、金沢工業大学、北陸大学、それにプロのオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の4者の管弦楽による合同コンサート(2月19日・金沢市観光会館)。指揮は金聖響氏、「スラブ行進曲」「弦楽セレナーデ」「交響曲第5番」のオールチャコフキーのプログラムだ。学生オーケストラとOEKの合同公演は珍しくない。私が振り向いたのはチラシのデザインだ。

   「金聖響」似の指揮者が力強くタクトを振る姿が描かれインパクトのあるチラシだ。高校生から若い層ならピンとくる人も多いだろう。クラシックをテーマにしたコミック「のだめカンタービレ」(二ノ宮和子著・講談社)がブームだ。それを意識して、あえてチラシのデザインをコミック調にしたという当たりがミソなのだ。このチラシの発案者のY氏は「これだったら、クラシックを聴いたことがない若者でも、これを機会に演奏会場に一度足を運んでみようという気になるのではないか」と期待する。アニメブームという時代がこのチラシに映されている。

   クラシックのファンは人口の数%に過ぎないと言われる。石川、あるいは北陸というマーケットの中でコンサート会場を満席にするのは至難のわざだ。Y氏らはいつもどうすれば会場を埋めることができるかと腐心している。その中からこうした柔軟な発想が生まれてくる。

⇒7日(土)午後・金沢の天気   ゆき