★袋かけシイタケの話
大きさをたとえればアンパンぐらい。バターの炒め焼きは新感覚の味。キノコ一個一個にビニール袋をかけ、まさに手塩にかけて育てるから1個500円もする。キノコは菌で育ま
れるので栽培過程で農薬や化学肥料は必要ない。自然の食材として見直されている。
先日、能登半島の先端・珠洲市にあるシイタケ栽培農家、奥野弘吉さんを訪ねた。「袋かけシイタケをやっている」という話を何人かから聞き、興味がわいた。奥野さんはシイタケ栽培のほか農家民宿も経営していて、その名称も「しいたけ小屋・ひろ吉」。さっそく針葉樹の林にある栽培フィールドを見せてもらった。
コナラやアベマキなどの原木を市内の林業家から調達して、シイタケ菌を植える。その植える菌は「115」と呼ばれる、(財)日本きのこセンター (鳥取市)が開発した「菌興(きんこう)115号」。親指ほどに成長したシイタケにビニール袋をかけ、ピン止めする。袋の中で直径11センチ、厚さ3センチほどに育つ。見た感じは前述したアンパンぐらいの大きさ。袋をかける意味合いは、雨に打たれ色が黒ずむのを防ぐ。そして、頭の傘の部分に白い線が入っていて亀甲模様のようになる。肉厚のことを「どんこ」と言い、頭が白いの
で「天白どんこ」とこの業界では言うそうだ。誰が考案した名称か知らないが、いかにも高級感が漂う。そして、市場価格はぐんと跳ね上がるのだ。
奥野さんに頼んで、この115の天白どんこを食させてもらった。バターで焼いてステーキに。緻密でみっちりと詰まった肉質。ステーキや網焼にしても焼き縮むことはない。切り口はツルンと滑らか。しかも、確かな食感、噛むたびに香りのエッセンスが口中にほとばしる。
シイタケのほだ木のオーナー制度を取り入れていて、5本で8000円。どんこのシイタケを収穫して、宅送りもしてくれる。このほだ木は4年ほどでシイタケが出なくなる。もう終わりかと隅っこに移動するとまた出る可能性もある。「どうやら菌はひっくり返しを好むようだ」(奥野さん)
余談かもしれないが、「袋かけシイタケ」というのはちょっと舌が回りにくい。マスクメロンをもじって「マスクしいたけ」、あるいは「袋茸」などというネーミングが必要だと思う。115を使ったブランド名は鳥取県では「茸王」、岡山県では「茸太郎」と名づけている。岡山の場合、「桃太郎」伝説からヒントを得たのだろう。で、能登の場合は「のと天白」、あるいは「F(エフ)茸」はどうだろう。「F」というアルファベットが能登半島とかたちが似ていることから当地で使われ始めている。 ちょっと舌足らずか…。
⇒12日(水)朝・金沢の天気 はれ
スプリンクラーか水道管が破裂。ロッカールームが水浸しになった。たまたま松井選手が残っていて被害に遭った。右ひざのリハビリが進むと首痛、首痛の治りかけに今度は水難。見方によれば、不運続きだ。「故障持ち」のレッテルが貼られた上に、今度は「不運なヤツ」という新たなレッテルが貼られそうである。
「パソコンのキーボードはにぎやかだが、人は静かになった」。所用である会社を訪ねると、社員は黙々とパソコンに向かっている。受け付けのカウンターに来訪者が来ても、誰も席を立って応対しようとしない。「あのう」と声をかけて、ようやく振り向く。朝なのに、その職場には「おはよう」とあいさつを交わす言葉も飛び交っていない。沈黙の職場だった。おそらく、隣の席との会話もやり取りはメールで行なっているに違いない。
【お詫び】2月4日付で「北京オリンピック」を放送するかのような誤った番組広報情報を報道各社にリリースしてしまいました。日本民間放送連盟を除名され、現状では「北京オリンピック」の放送ができないにもかかわらず、このような事態をまねき、視聴者の皆様はじめ、関係各位に多大なるご迷惑をおかけし、深く陳謝いたします。改めて今回の件を肝に銘じ、原因の究明と再発防止に努め、再生への取り組みに邁進してまいる所存です。
以下、朝鮮日報の記事を要約して紹介する。海洋汚染を防ぐため、1972年に採択された「ロンドン条約1972」は、海にゴミを投棄することを厳しく規制している。これまでに81カ国がこの条約を批准しており、韓国も93年にようやく批准した。ところが韓国政府は、地上のゴミ埋立地が不足していることや、生ゴミの埋め立てによって悪臭や地下水の汚染といった公害が発生していることを理由に、88年からゴミの海洋投棄を認めてきた。93年にロンドン条約を批准した後もそれは続いてきた。廃棄物の海洋投棄にかかる費用は、種類によっては陸上処分に比べ90%近くも安くつくため、廃棄物処理業者はゴミを海に捨ててきた、という。
なぜメディアが対応を迫られているかというと、分かりやすく言えば、プロの裁判官と違って、評決に加わる一般市民はテレビや新聞の報道に引きずられる可能性があるとの懸念が司法側にあるからだ。踏み込んで言えば、容疑者や被告を犯人(有罪)と決めつける、いわゆる「犯人視報道」が裁判員に予断を与える恐れがあるというのだ。
ディプロマ・ミル問題が明らかになったのは、私が勤める金沢大学。文科省は昨年末に公表した全大学・短大を対象にした調査で、44大学の教員49人の非認定学位が、採用・昇進の際に経歴に記載されていたと公表した。それを詳細に取材フォローした1月26日付の朝日新聞によると、金沢大学医学部保健学科で理学療法を教える男性教授は、2002年にニューポート大学の博士号を取得した。03年にこの学位も記載した書類で選考に臨み、助教授から教授に昇進した。教授選考では、業績、博士の学位、教育の経験など3つの条件が総合的に判断される。選考過程で「ニューポート大とは何だ」と話題になったが、業績が優れているため昇進が認められたという。また、同じく医学部保健学科の女性准教授(看護学)は1997年にこれも同じくニューポート大の修士号を取得して経歴に載せ、99年に講師から昇進した、との記事内容だった。
上記のように書くと、農薬を使った農業者を悪者扱いしてしまうことになるが、私自身は、都市住民のニーズにこたえ、農産物をひたむきに生産してきた農業者を責めるつもりは一切ない。東京で有機農産物の販売を手がける「ポラン・オーガニック・フーズ・デリバリ」社長の神足義博氏も、「これまで都市住民に農産物を供給してきた農業者に『ありがとうございました』とまずお礼を言おう。そして、『これからどうやってなるべく農薬を使わない農産物をつくることができるかいっしょに考えましょう』とお願いをしよう」と提唱している(08年2月1日の講演)。有機農産物を増産するためには、全体的な方向転換しかない。トキやコウノトリが生息できる農村の環境を再生するためには地域の合意形成がどうしても必要なのだ。その合意形成は、過去の批判からは始まらない。
本当に害鳥だったのか。機中で読んでいた「コウノトリの贈り物~生物多様性農業と自然共生社会をデザインする」(地人書館・鷲谷いづみ編)によると、兵庫県豊岡市でもコウノトリはかつて「稲を踏み荒らす」とされ、追い払われる対象だった。ところが野生のコウノトリを県と市の職員が観察調査(05年5月)したところ、稲を踏む率は一歩あたり1.7%、60歩歩いて1株踏む確率だった。これを総合的に評価し、「これくらいだと周囲の稲が補うので、減収には結びつかない」としている。それが「害鳥」の烙印をいったん押され、言い伝えられるとイメージが先行してしまう。今回の中国のトキ調査でも同行した新潟大学の本間航介氏は「農村の閉塞状況の中でつくられた犠牲ではないか」(08年1月26日・シンポジウムでの発言)という。つまり、つらい農作業の中で、ストレスのはけ口の対象としてトキやコウノトリが存在したのではないか、との指摘である。
1月11日から4日間、短期間だったが、中国・陝西(せんせい)省を訪れた。冬のトキを観察する狙いがあった。新年度からトキに関する「生態環境整備および地域合意形成に関する学際研究」を始めるに当たって、どうしても一度見ておきたいと思い調査団に加えてもらった。金沢大学の「里山プロジェクト」(研究代表者・中村浩二教授)に関わっていて、トキと共生できるような里山環境を再生しようというのが、研究の狙い。どこからトキを持ってきて放すといった力技の利いた話ではない。