☆震災とマスメディア-1-
その情報は被災地に届いているのか、問いかけて欲しい
一方、今朝のニュースは、ニューヨーク外国為替市場で、円相場が一時1ドル=76円台に急騰し、1995年4月19日につけた1ドル=79円を超えて史上最高値となった。3月末の決算期を控えた日本企業の円需要が増しているのと、保険金の支払いに備え、保険会社が外貨資産を売るといった思惑、さらに日本政府が外貨準備として保有するアメリカ国債を売るのではないかとの観測まで広がっている。日本政府が国債増発ではなく、外貨準備に手をつけ、米国債を売却するのではないか、という憶測だ。アメリカとの外交問題が絡む。注視したい。
今回の大震災でマスメディア(とくにテレビ)がネット上で批判を浴びている。その主なものは、「記者会見で東京電力の社員が必死になって説明しているのに、記者たちはの質問はまるで吊るし上げではないか」、「ニュース読むアナウンサーがヘルメットを被っていたが、そのバックヤードで働いくスタッフたちは被っていない。これも演出か」などなど。確かに、震災発生の11日の民放各社の報道番組で、スタジオのキャスターたちのヘルメット姿には違和感を感じた。東京も震度5強だったので、被災地といえば被災地だ。スタジオの天井には照明機器が吊るされている。ただ、言葉は悪いが、「私たちも被災者の目線でニュースをお伝えします」という意識が浮き上がっていて、「くさい」のである。スタジオ後方で走り回るスタッフが被っていなかったからなおさらに。
そのスタジオのキャスターが現地で中継リポートをする記者に、最後に「気をつけて取材を続けてください」と声をかけている。その記者の背後では家が潰れ、乗用車がひっくり返り、まさに地獄絵図が広がっている。クギ付けになった。「気をつけて…」など通り一遍の記者へのねぎらいの言葉など不要である。「取材を続けてください」でいいのである。視聴者と伝える側の温度差を感じた。
写真は、2007年3月25日に発生した能登半島地震の被災地、輪島市門前町での写真である。倒壊した家屋に横付けしたSNG車(衛星回線を利用した映像伝送車)をにらむように見つめる被災者。被災地にドカドカと入ってきて、最初は「悲惨な被災地の現場」を見せるだった。ところが2日、3日もすると、テレビ各社のリポーターは美談を探し始めた。「愛犬が救った飼い主の命」などワイドショー仕立ての取り上げ方が目立つようになった。そして1ヵ月もするとあれほどいた取材クルーは潮が引くようにいなくなった。
その取材の行動パターンは、被災地ではどこも同じである。悲惨な映像、美談仕立て、行政の対応批判、そしてさっといなくなる。被災地の様子をいち早く現地から全国の視聴者に伝えることは大切なことだ。メディアでしかできない。でも当時、現地に赴いて思った。被災地におけるメディアって何だろう、と。
⇒17日(木)朝・金沢の天気 ゆき
「森は海の恋人」運動の提唱者、畠山重篤さんの安否の続報を書く。畠山さんの消息が知りたいと切望している方々は多いと思う。15日付の『自在コラム』で畠山さんの安否について書いたところ、3件ものコメントが寄せられた。前回のブログで引用した『牡蠣復興および被災地救援対策会議』のサイトでの記事を今回も紹介する。畠山さんに関する新しい情報が入っている。畠山さんの親戚という人(「オイスターマイスター(OM)小屋めぐみさん」)が、畠山さんの娘(「愛子さん」)からの情報として安否情報を以下のように掲載している。読みやすくするために、掲載順番を新しいものを上にする。
気仙沼市在住で、漁民による広葉樹の植林活動「森は海の恋人」運動の提唱者、畠山重篤さんのことを今月12日付の『自在コラム』で書いた。畠山さんの消息が知りたいと思い、ネット上で探した。「畠山重篤」「安否」で検索すると、『牡蠣復興および被災地救援対策会議』のサイトに当たった。カキの愛好家がカキ養殖業者を支援するサイトだ。ここに畠山さんの親戚という人(「オイスターマイスター(OM)小屋めぐみさん」)が、畠山さんの娘さん(「愛子さん」)からの情報として安否情報を以下のように掲載している。
この巨大地震の被害は甚大であり、あるい意味では国難でもある。知人は善意でこのメールを知り合いに届けた。このメールを疑問に思った知人がさらに、次のようなメールを受け取った知人らに回した。
気仙沼港に6㍍の津波が到来し、市内は広範囲にわたって水没しているとメディアは伝えている。朝日新聞社のホームページ「アサヒ・コム」は、同社気仙沼支局長の報告として次のように報じている。「気仙沼港は火の海。すごいことになっている。午後5時半すぎ、気仙沼港口にある漁船用燃料タンクが津波に倒され、火が出た。その火が漂流物に次々に燃え移っている。さらに、波が押し寄せるたびに、燃え移った漂流物が街の中に入り、民家に延焼している。周辺は暗くなっているが、一面、真っ黒な煙と炎が覆っている。あちこちで火が上がり、『バーン、バーン』という爆発音もあちこちで聞こえる。気仙沼市街地北側で火柱が3本見える」。記事を読む限り、戦場を想像させる。
金沢市内で良く使うガソリンスタンドで3日、レギュラーが店頭価格143円をつけた。今月に入って市内でガソリン1㍑当たり140円台が相場となった。昨年末は120円台だったので、一気に20円も上がったことになる。今回のガソリンの値上がりは分かりやすい。「中東産油国の政情混乱」だ。問題は、これが一時的な現象なのだろうか、さらに値上がりするのではないか、ということだ。
京都大学側が2月28日に京都府警に被害届を提出し、さらに世間の注目を集めた。おそらく大学側は対応できないと判断したのだろう。京都府警もネットを使った犯罪にはチカラを入れていて、生活安全部のハイテク犯罪対策室が対応を担っている。その罪は、偽計業務妨害罪。つまり、偽計を用いて人の業務を妨害した、というもの。3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
ニュージーランド南島の中心都市クライストチャーチ付近で22日に発生した大地震。救出された富山外国語専門学校の男子学生(19)の被災体験が朝日新聞の24日付紙面で掲載されていた。学生はビルの4階にいた。昼食をとっていて、大きな揺れを感じた。いきなり、足元の床ごと、体が落ちた。周りの学生も「痛い」などと言いながら、一緒に落下していった。気づいたら、周囲は暗闇だった。右足が動かない。何かに、挟まれていた。奈落の底に落ちるような恐怖だったに違いない。学生は右足を切断し、救助された。
若者の姿が見えない理由の一つが、学生がいないことだった。ニュージーランドに7つある大学の一つ、学生数1万3千人のカンタベリー大学がクライストチャーチの中心街から郊外に移転した。金沢の街の事情と少々似たところがある。もう一つの理由が、若者が仕事を求めてオークランドに流れていた。オ-クランドは北島にある人口110万人を数えるニュージランド最大の経済都市である。いうならば一極集中の構造になっているこの国では、2番目の都市規模を誇る35万人のクライストチャーチであっても「ストロー現象」で若者が吸い上げられていたのだ。
クライストチャーチは思い出深い街だ。夏休みを利用して家族でニュージーランドを旅行したのは2006年8月15日のこと。当時のメモを見ながら、被災した街を追想してみる。関空からのフライトで、10時間半でニュージーランド南島のクライストチャーチ国際空港に着いた。現地の時間は午後0時30分、到着を告げるアナウンスでは日中気温は7度。金沢だと2月下旬ぐらいの気温だった。
柳生氏が35年前に八ヶ岳に移り住んで森林再生を始めたきっかけや、いまの環境問題に関する人々の意識の高まりについて、生活者目線で語った。印象に残ったのが「確かな未来は、懐かしい風景の中にある」という言葉だった。人が生き物として正常な環境は「懐かしい風景」だ。田んぼの上を風が吹き抜けていく様子を見た時、あるいは雑木林を歩いた時、そんな時は懐かしい気持ちになる。超高層ビルが立ち並び、電子的な情報が行き交う都会の風景を懐かしい風景とは言わない。「懐かしい風景」こそ、我われの「確かな未来」と見据えて、自然環境を守っていこうという柳生氏のメッセージなのだ。