★「こう見る」2冊~上~
8月28日から9月2日の中国・浙江省行きで、機内で読もうと2冊の本を関西国際空港で買った。『「誤解」の日本史』(井沢元彦著・PHP文庫)と『中国人エリートは日本人をこう見る』(中島恵・日経プレミアシリーズ)だ。その中から、面白いと思ったことを何点か。
「自然災害を受けても自然を恨むことがない日本人」
『中国人エリートは日本人をこう見る』で紹介されている中国人エリートは中国共産党や政府の将来を嘱望された若手といった現役ではなく、日本の大学で学ぶ留学生や日本の企業で職を得て働く若者ら、いわば「未来のエリート」たちである。筆者は、彼らに粘り強くインタビューして、日本に対する本音を引き出している。
北京でミュージシャン、作家として活動の場を広げる女性(25歳)の言葉が印象的だ。「日本はアジアの中で最も東方文化の伝統が残っている国」。その理由として、高い木の上で枝降ろしの作業をする職人「空師」が作業を始める前に塩とお神酒を木の幹にまくという儀式や、女の子が浴衣で花火大会や夏祭りの出かけるよう様子など、文化大革命(1966年から10年間)でいったん否定された中国の伝統文化の在り様と比較すると、日本では伝統文化が残っているというのだ。
広い中国の一点だけを見て考察するのは危険だが、今回の中国旅行で上記のことと逆に、中国における伝統の在り様を考えた。訪ねた浙江省の村々では、新しい3階建ての建物が林立している。中国人のガイドに聞くと、「3階建ては見栄ですね。2、3階は使っていない家が多い」と。伝統的な家屋は残ってはいるが、どれも老朽化している。伝統と近代をミックスした家屋や、伝統建築をリフォームしたような新しい家屋を探したがなかなか見つからなかった。伝統家屋は「過去の遺物」と化しているのかもしれない。
震災と日本人をみつめる中国人の若者の証言は新鮮だった。滞日10年の男性会社員。「日本人は自然災害を受けても自然を恨むことなく、大自然とともに生きていく覚悟がある。自然災害は『天命』と受け入れて、どんな災害が待ち受けていようとも『故郷』にこだわり、リスクがあるのに『故郷』で生きていく道を選択する。これは合理的に考える外国人にはわかりにくい感情です。でも、日本人にとって故郷とはそれだけ特別な存在なのでしょうね」
偶然だったが、今回の中国のワークショップでも、日本側の発表で一つのキーワードとなったのが、「レジリエンス(resilience)」だった。レジリエンスは、環境の変動に対して、一時的に機能を失うものの、柔軟に回復できる能力を指す言葉。生物の生態学でよく使われる。持続可能な社会を創り上げるためには大切な概念だ。2011年3月11日の東日本大震災を機に見直されるようになった。「壊れないシステム」を創り上げることは大切なのだが、「想定外」のインパクトによって「壊れたときにどう回復させるか」、これが大切なのだ。日本は古来より災害列島である。この列島からは逃げられない。ならばでどう回復させるか、復興させるか、レジリエンスな日本人。中国人はよく日本人のことを見ている。
⇒11日(火)夜・金沢の天気 雨
護型、3)多様性生物共生型、4)優れた景観生態型、5)持続的な水・土地資源利用型、と5つのタイプがあると説明し、中国ではGIAHS地域を奨励し保護するために、1)多主体参画の仕組み、2)動的保全の仕組み、3)生態や文化報償制度、4)有機農業、5)グリーンツーリズムやエコツーリズムなど観光産業を進めていると述べた。その上で、「中国の重要農業文化遺産(GIAHS)の保護に関する誤った認識もある」と述べた。その「誤った認識」とは「現代農業開発との対立」、「農家生活レベル改善との対立」、「農業文化遺産地の開発との対立」との3点だ、と。
ないかという意見である。閔研究員は、「対話を重ね成果を上げればこうした対立した認識も薄まると思う」と述べた。
中国の3高 中国のマンションの建設ラッシュはピークを越えたと言われているが、地方ではその勢いは止まっていないと思った。中国・浙江省青田県方山郷竜現村の水田養魚を見学した(8月31日)。その山あいの村でも、マンション建設が進んでいた。さらに新築マンションの看板がやたらと目についた=写真=。中国人の女性ガイドがバスの中でこんなことを披露してくれた。「日本でも結婚の3高があるように、中国でも女性の結婚条件があります」と。それによると、1つにマンション、2つに乗用車、そして3つ目が礼金、だとか。マンションは1平方㍍当たり1万元が相場という。1元は現在12円なので円換算で12万円となる。1戸88平方㍍のマンションが人気というから1056万円だ。それに乗用車、そして礼金。礼金もランクがあって、基本的にめでたい「8」の数字。つまり、8万元、18万元、88万元となる。この3つの「高」をそろえるとなると大変だ。
のコーナーがあり、マグロは人気だった。醤油は少々甘口だったが、問題は「チューブ入りわさび」だった。これが、むせ返るほど辛い。半端ではない辛さだ。チューブには「S&B」とのマークが入っていたので、日本でおなじみにエスビー食品だと思っていたら、これが辛すぎする。何か変だと思いながら、涙目でよくロゴを見ると「ろ&B」=写真=とも読め、明らかに「S&B」とは異なる。辛味成分(アリル芥子油-アリルイソチオシアネート)の調合が明らかにおかしいと思いつつも、ただこの刺激が慣れてくるとなんと脳天に心地よい。周囲も「これ以上食べると脳の血管がおかしくなるかもしれないと」と言いながら食べていた。
戻り、祖父母が育てている。この村の幼稚園児は10ヵ国余りから来ており、そのため「国連」幼稚園と呼ばれているそうだ。
たグループの一つ。視察は3日目が青田県方山郷竜現村で、4日目は小舟山郷の2ヵ所で行われた。双方とも海抜300㍍から900㍍の山間。青田県の水田養魚は600年以上の歴史があるといわれる。水田に入り込んだ川魚が成長することはよくあるが、青田県の人々は600年にわたって。田んぼでの養魚に知恵と工夫を重ねてきた。
に炭火で乾燥させたものは1㌔300から400元と贈答用としても人気がある、という。この村では田魚を嫁入り道具にする習わしがある。また、田魚の踊りもある。
「世界農業遺産の保全と管理に関する国際ワークショップ」の2日目(8月30日)と3日目は現地視察が行われた。最初に訪れたのが、紹興市が次のGIAHS認定に向け動いている会稽山(かいけいざん)の「古香榧林公園」。当地では、秦の始皇帝も登った山として知られる。ここでは昔から榧(カヤ)の木が植栽されている。ざっと4万本、中には樹齢千年以上のものある。カヤ(学名:Torreya nucifera)は、イチイ科の常緑針葉樹。材質は弾力性があり加工しやすい、樹脂が多く風合いが出る。碁盤や高級家具、木彫の材として用いられてきた。
今回のワークショップの日本側の発表で一つのキーワードとなったのが「レジリエンス(resilience)」だった。レジリエンスは、環境の変動に対して、一時的に機能を失うものの、柔軟に回復できる能力を指す言葉。生物の生態学でよく使われる。持続可能な社会を創り上げるためには大切な概念だ。2011年3月11日の東日本大震災を機に見直されるようになった。「壊れないシステム」を創り上げることは大切なのだが、「想定外」のインパクトによって、「壊れたときにどう回復させるか」についての議論をしなけらばならない。よく考えてみれば、日本は「地震、雷、火事…」の言葉があるように、歴史的に見ても、まさに災害列島である。しかし、日本人は大地震のたびにその地域から逃げたか。東京や京都には記録に残る大震災があったが、しなやかに、したたかに地域社会を回復させてきた。ある意味で日本そのものがレジリエンス社会のモデルなのだ。
世界農業遺産(GIAHS)の国際ワークショップが開催されている紹興市は中国・浙工省の江南水郷を代表する都市とされる。市内には川や運河が流れ、 その水路には大小の船が行き交っている。歴史を感じさせる建造物や石橋などと共に見える風景は「東洋のベニス」だろうか。人口60万人の水の都だ。
きょう29日から中国・浙江省紹興市で開催されている「世界農業遺産の保全と管理に関する国際ワークショップ」(主催:中国政府農業部、国連食糧農業機関、中国科学院)の席上で中国側から披露された。昨年6月、国連食糧農業遺産(FAO、本部ローマ)が制定する世界農業遺産に「能登の里山里海」と佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」が認定された。この国際的な評価をどう維持、発展させたらよいか、ワークショップでは中国と日本のGIAHS関係者120人が集まり、GIAHSに認定されたサイト(地域)の現状や環境保全、将来に向けての運営管理など意見交換するものだ。日本から農林水産省、東京大学、国連大学、石川県、佐渡市の関係者17人が参加した。石川県から泉谷満寿裕・能登地域GIAHS推進協議会会長(珠洲市長)、金沢大学の中村浩二教授、渡辺泰輔・石川県環境部里山創成室長らが出席している。
ロンドンでのオリンピックは1908年、48年に続き同一都市で3度目だった。東京も2度目の2020年大会誘致向けて余念がないが、ハプニングも。IOC国際オリンピック委員会は、IOCの選手委員に立候補していた陸上男子ハンマー投げの室伏広治が、選挙活動規定に違反したとして、候補者から取り消したと発表した(11日)。室伏は立候補した21人中、選手間による投票数は1位、つまりほぼ当確だった。その違反とは、選手村のダイニングホールで選挙活動をしたとのこと。当選すれば、IOC委員もかねるため、東京五輪招致に向けての活動が期待されていただけに、JOC日本オリンピック委員会の落胆ぶりが目に浮かぶ。うがった見方をすれば、ダイニングホールでの名刺交換を「選挙活動だ」とIOCに指したライバルがいるということだ。後味が悪い。
ところで、11日現在の日本の今大会でのメダルの獲得数は36個となり、これまで過去最多だった2004年のアテネ大会と並んだという。確かにメダル数は多いのかもしれないが、金は5個だ。人口が日本の半分以下の4800万人の韓国は金12である。日本より人口が少ないドイツ、フランスでも2ケタの金メダルを獲得している。アテネ大会では日本の金は16個、2008年の北京大会でも9個だった。1992年のバルセロナ大会と1996年のアトランタ大会の金3個に比べればましかもしれないが。それしても夜中、テレビを見て応援する割には今大会の金が獲得数が少ない。応援の労が報われていない感じがするのは私だけだろうか。