★イフガオ再訪-3
イフガオ棚田のスノボードで滑走することの意味、
話の中で話題になったことを2つ。ポルツガル氏が「こんな動画がユーチュ-ブで話題になっているのを知ってるかい」と、タブレットで見せてくれたのは、欧米人と見られる若者がイフガオの棚田をスノーボードで滑り下りるという映像だった。すでに99万アクセスもある。ポルツガル氏は「こんなことでイフガオが話題になっても、地域にとってはどのようなメリットがあるかね」といぶかった。私自身、最初にこの動画を見たときは、少々驚いた。山の頂上の細長い棚田をまるで海上のように滑る。意外性を演出したものだ。ただ、後でだんだんと腹が立ってきた。「無神経な若者の冒険」と。
今回の訪問に同行し、自身もイフガオ出身のフィリピン大学教授のシルバノ・マヒオ(Sylvano D. Mahiwo)氏もこう言った。「バチカンの大聖堂の屋根をスケートボードで滑走するようなもの。本人はやったという気になるかも知れないが、カトリック信者は拍手しますかね」と。2000年コメ作りを行ってきたイフガオの民にとって、田んぼは「聖地」なのだ。動画作成に協力した地元民もいたのだろうが、多くの人は不信感を持っているに違いない。「イフガオの田んぼの文化価値を知らなさすぎる」(マヒオ氏)
もう一つ出た話が、ABS(遺伝資源へのアクセスと利益の公正な配分)だ。フィリピンのタガログ語で「花の中の花」の呼び名で知られる「イラン イラン」。「シャネルの5番」でも知られる香水は、バンレイシ科のイランイランの木の花の精油でつくられる。原料である花の産出国、そして由来の名前などがタガログ語であるものの、「フィリピンでは恩恵は感じられない」。ABSに関しては、国連生物多様性条約第10回締約国会議も論争があったように、例えば資源利用国(主にEU、日本などの先進国)のバイオ企業が遺伝資源へのアクセスにより儲けた利益を資源提供国(発展途上国)に適切に還元すべきである、との資源提供国側の主張により盛り込まれた規定だ。利益の適切な配分が環境保全の資金調達のために必要であることは明らかなのだが、資源提供国と資源利用国の間で利益配分を巡る対立がある。
フィリピンでは、国家先住民族問題対策委員会(NCIP)が、イフガオのような先住民地域で、日本のような資源利用国が生物資源のサンプル採集などを行うにあたっては、ガイドラインに従って、事前情報に基づく同意の取得、利益配分について交渉の上で合意などが求められる。
ポルツガル氏が言いたかったのは、先進国と途上国の関係について、先進国側が途上国の文化の問題や資源の活用について十分に注意を払ってください、という念押しだったのではないかと想像している。もちろん、イフガオにおける人材育成プログラムに関しては「能登コミュニケ」に則ったプロジェクトであると評価いただいた。
⇒27日(水)夜・マニラの夜 はれ
きょう26日は成田9時30分発のマニラ(ニノイ・アキノ)国際空港行きの便で、現地時間で14時ごろに到着した。時差は1時間だ。空港で両替をする。この日の円とペソの交換レートは0.43、つまり1ペソ2.32円だ。マニラは晴れてはいたが、乗合タクシーのジープニーなど車が激しく行き交い、クラクションもやまない。そして、ジーゼルエンジンの排気ガスのにおいが充満している感じだ。ガソリンスタンドに目をやると、ジーゼルが1㍑44ペソ、レギュラーガソリンが1㍑50ペソとなっている。円換算でレギュラーが116円。正規雇用の最低賃金が月7000ペソと言われる、フィリピン人の庶民にとっては随分と高値だ。そしてホテルに入るとテレビや新聞はレイテ島を襲った台風の被害を伝えている。
そのイフガオへ、きょう(25日)出発する。小松空港から成田へ、成田からマニラへ。10時間ほどの旅だ。「人生七掛け、地球八分の一」とはよく言ったものだ。これまで、8日間かけて行った世界各地が1日で行けるようになった。イフガオは昨年1月に世界農業遺産(GIAHS)の視察を兼ねて現地でワークショップ(金沢大学里山里海プロジェクト主催)を開催したので1年11ヵ月ぶりとなる。現地の壮観な棚田の風景もさることながら、青ばなを垂らした子どもたちもどこか昔の自分を見ているようで懐かしい。再訪を楽しみにしている
これは授業の担当である自分自身が常日頃思っていることだ。リアクション・ペーパーを外部講師にコピーして送る際、いつも悩んでいる。学生の汚い字、内容のない文を送って、わざわざ時間を割いて大学に来てくれたのに失礼ではないのか、と。当初それを除外していた。しかし、3年目ほど前からそれも送ることにした。学生の実態・実情も感想の一つだと思い始めたからだ。
書の多さを絶賛して、「加賀は天下の書府なり」と称したことからこの事業名になった。この事業は、現代版の新情報書府を構築しようと県内の産業や文化や自然を映像化、デジタル情報化して次世代に継承する、あるいは世界に向けて発信するものだ。授業では、県が作成したDVDを学生たちに視聴してもらい、その後、映像に出演する関係者に講義をしてもらうという、映像と語りで学ぶ授業だ。先日、「とがった人」に講義に来ていただいた。パテシエの辻口博啓氏。辻口氏は、新情報書府の映像シリーズでは、『加賀〝茶の湯″物語』の作品で、スイーツと抹茶を融合した新たな茶会を提案している。昨年に続き、2度目の登壇。
もう7年前、地域資源の発掘の一環として、能登半島で「里山里海自然学校」のプログラムを運営していた折、地元の女性スタッフに協力してもらい、100種類の郷土料理を選び、それぞれレシピを作成した。その手順は①地元で普段食べている古くから伝わる家庭料理を実際に作り写真を撮る②食材や料理にまつわるエピソードや作り方の手順をテキスト化する③写真と文をホームページに入力する④第3者にチェックしてもらい公開する‐という作業を重ねた。簡単そうに思えるが、普段食べているものを文章化するというのは、相当高いモチベーションがなければ続かない。女性スタッフも「将来、地域の子供たちの食育の役に立てば」とレシピづくりに励んだ。それが1年半ほどで当初目標とした100種類を達成し、それなりの
湯涌温泉をモデルとし、2011年4月から9月に放送されたテレビアニメ「花咲くいろは」(全26話)が放送された。東京育ちの女子高生「松前緒花」が石川県の「湯乃鷺(ゆのさぎ)温泉」の旅館「喜翆荘」を経営する祖母のもとに身を寄せ、旅館の住み込みアルバイトとして働きながら学校に通う。個性的な従業員との確執や、人間模様の中で成長しいく。湯乃鷺温泉の舞台となったのが湯涌温泉だった。これ以来、「聖地」なのだ。
マヤ文明遺跡は、メキシコのユカタン半島から中米の地域で栄えた都市文明。4-9世紀に全盛期を迎えたが、その後衰退した。世界遺産を含めた貴重な文化財が数多く残っているものの、保存管理への財政支援や、観光振興に結びつく活用などは十分ではないとされる。このため、遺跡を文化資源として生かし、地域開発につなげる道を探るため、金沢大学とJICA北陸が研修を企画した。研修を指導しているのは金沢大学国際文化資源学研究センターの中村誠一教授(マヤ考古学)。
訪問先のワイナリーは能登ワイン株式会社(石川県穴水町)。今回の国産ワインコンクール2013では、赤ワイン「2011 クオネスヤマソーヴィニヨン」が金賞を、ロゼワイン「2012 マスカットベリーAロゼ」が銀賞を、赤ワイン「2012 心の雫」が銅賞を受賞した。同ワイナリーが金賞を受賞したのは初めてで、「能登で栽培されるブドウと醸造技術が全国でもトップレベルの高い評価をいただきました」とブドウ畑を案内してくれた社長は終始にこやかだった。
北陸新幹線の金沢と東京間を最速で走る速達タイプの列車名が「かがやき」、停車駅を多くする停車タイプは「はくたか」、金沢駅と富山駅を結ぶシャトルタイプは「つるぎ」、東京駅と長野駅を往復する長野新幹線タイプは「あさま」と列車名がついた。名称については、事前に公募(5月31日‐6月30日)があり、約14万5千件の応募があった。この結果で一番多かったのは「はくたか」(9083件)で、2位「はくさん」(7323件)、3位「らいちょう」(5408件)だった。