★過半数割れ与党の綱渡り内閣で大胆な政策が実行できるのか
けさの紙面各紙を読むと、ほとんどの一面のトップは「第2次石破内閣発足」だ。一読者として思うのは、これがトップを飾るニュース価値があるのだろうか、ということだ。石破総理就任から最短の8日間で衆院解散、先月27日の投票で与党の自民・公明は「233の壁」に達せず過半数割れ。きのう12日の特別国会の首班指名選挙の決選投票で多数だった石破氏が再選された。流れを読むと単なる事務手続きの延長戦のようにも思え、これが一面トップを飾るニュースなのかとさめてしまった。
新聞紙面を構成する編集者も戸惑ったに違いない。ほかに一面トップを飾るようなニュースがこの日はなかったからだ。その中で、一面で「第2次石破内閣発足」をトップからあえて外して準トップに据えたのが北陸中日新聞だった。トップに持ってきたのは、「2次避難 申し出ゼロ」の見出しの記事。元日の能登地震に続く9月の記録的な大雨で被害を受けた珠洲市大谷地区で、行政が体育館などでの1次避難者に2次避難(金沢市などの宿泊施設)の
希望者を募ったところ、申し出がなかったとの内容だ。その理由として「『育ったところ』愛着」「度重なる避難の負担」の見出しを添えている。被災地の住民の心情を描いた、いわゆる地ダネだ。つい記事を読んだ。
冒頭で述べたように、このところメディアが取り上げる選挙や国政の記事にはニュース価値が感じられない。初の女性大統領か130年ぶりの返り咲きの大統領かと国際世論を煽ったアメリカ大統領選のダイナミックな報道と比較しているせいかもしれない。
ところで、アメリカでは大統領選の直後ながら大胆な動きが出始めている。日経新聞電子版「ウォール街ラウンドアップ」(12日付)に目を通すと、トランプ次期政権が起用するイーロン・マスク氏は「政府効率化省」のトップに就任するとみられ、マスク氏は「テクノロジーを用いて人員削減に答えを出す」と述べている。マスク氏にはX(旧ツイッター)の従業員を80%削減した実績がある。さらに、テレビ番組に出演し、「政府支出はアメリカを破綻に追い込んでいる」として、政府予算の3分の1に相当する2兆㌦(300兆円超)を削減する考えを示した、という。この大胆な発言でアメリカの政治からますます目が離せなくなった。
再選された石破総理は、年収が103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」の見直しについて、「真摯に検討する」と会見で述べた(12日付・メディア各社の報道)。それよりもむしろ、日本も支出削減の大ナタを振るわないとそのうち国家が破綻するのではないか。ただ、綱渡りの過半数割れ与党ではマスク氏のようなダイナミックな政策は打ち出せず、内閣の混迷がしばらく続くのだろう。
⇒12日(火)夜・金沢の天気 はれ
える12月5日の迎え行事について、能登町ふるさと振興課に問い合わせると、建物の修復ができない状態が続いていて、迎え行事は中止するとの返事だった。ユネスコの無形文化遺産であり、国の重要無形民俗文化財(1976年指定)でもある民俗行事が見学できないことに残念な思いがした。もちろん、あくまでも一般公開向けの「あえのこと」行事が中止になっただけで、本来の各農家では例年通り行われるのだろう。ただ、他人事ながら不安もある。
「初物七十五日」という言葉がある。旬の時期に出回り始めた初物を食べると寿命が「七十五日」延びるという意味。 四季に恵まれた日本ならではの季節感で、それほど旬の食材を大切にしてきたということだろう。先日(8日)獲れたての香箱ガニとオーストラリア産ワインを楽しむ会が金沢であり、参加した。
て飲む。日本酒とはまったく異なる絶妙な風味が口の中に広がる。参加者は寡黙になり味わいを楽しんでいた。カニと日本酒は合う、そしてワインも合うと実感して気分が高揚した。寿命が「七十五日」延びた気分にもなった。
ェクトとして13の取り組みを打ち出しているが、その中に「震災遺構の地域資源化に向けた取り組み」がある。このプランに沿って、能登町では地震の津波で被災した白丸地区の郵便局を震災遺構として保存・活用する計画が進んている。郵便局は防波堤を乗り越えてきた高さ5㍍の津波で窓や壁が壊れた=写真・上=。今月5日に現地を見て回ったが、郵便局のほか地域全体が津波に襲われ、多くの民家などが全半壊したままになっていた。
輪島市など能登半島の外浦側の海岸では海底隆起し、最大で4㍍も上昇したところがある。隆起した海岸では白い岩が広がっている。輪島市では隆起した海岸に国道249号のう回路が造成されるなど特異な景観もある=写真・下=。同市ではこうした隆起した海岸を震災遺構として保存し、さらに一部を海岸を見て回るサイクルロードとして整備する構想を打ち出している(11月5日付・同)。
石川県小松市の里山にある農口尚彦研究所をこれまで何度か訪れた。直近では2022年12月だった。高齢ながら酒蔵の中をきびきびと動き回る姿やその腕の太さを見れば、いかに屈強な仕事人であるかが理解できる。農口氏と初めてお会いしたのは2009年だった。自身が金沢大学で教員をしていたときで、担当していた地域学の講義科目の非常勤講師として酒造りをテーマに講義をお願いした。それから3年連続で講義をいただいた。毎回自ら醸造した酒を持参され、講義の終わりには学生にテイスティングしてもらい、学生たちの感想に熱心に耳を傾けていた=写真=。
ドタブレット(金賞)を受賞した。今回の受賞で8回連続の最高位受賞となる(10月31日付・「㈱アーシュ・ツジグチ」ニュースリリースより)。
のふきのとうのガナッシュを重ねて」(同)とある。このブログで何度か紹介したように、辻口氏は能登半島の七尾市の出身。鳥居醤油は同市にある老舗だ。なので辻口氏にとっては天然仕込みの伝統の味なのだろう。
び、それ以外はゾウゴケ(雑ゴケ)と呼んで区別している。一般的には「においマツタケ、あじシメジ」と称されるが、能登では「においマツタケ、あじコノミタケ」だ。(※写真は大皿に盛られたキノコ。左がマツタケ、右がコノミタケ)
今回ミュージアムを訪れたのは、「加賀友禅らしからぬ面白い作品がある」と聞いて、ぜひ見てみたいと思ったからだ。その作品は1階・特別展示室の「おもてなし加賀友禅着物発表会」で飾られていた。加賀友禅作家の河守彩香氏が制作した作品『菊炭』=写真・上=。デザインは花や蝶ではなく、木炭がモチーフなのだ。菊炭は茶道で使われる炭だ。茶道用の炭は切り口がキクの花模様に似ていることから「菊炭」と呼ばれ、炉や風炉で釜の湯を沸かすのに使う=写真・下=。クヌギの木を材料としていて、菊炭はススが出ず、長く燃え、燃え姿がいいとされる。
の製造工程での燃料材の焼却による二酸化炭素の排出量が相殺され、炭焼きは大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えない。ただ、実際にはチェーンソーで伐採し、運ぶトラックのガソリン燃焼から出る二酸化炭素が回収されない。そこで、ライフサイクルアセスメント(LCA=環境影響評価)の手法を用いて計算し、生産する木炭の2割以上を不燃焼利用の製品(床下の吸湿材や土壌改良材)とすることで、カーボンニュートラルを達成している。
二重被害が集中した地域の一つが輪島市だった。震災による火災で中心部の朝市通りの店舗や住宅など200棟が焼けて、焦土と化した。大通りでは輪島塗の製造販売会社の7階建てのビルが転倒した。そして豪雨では、中心部に近い久手川町を流れる塚田川に架かる橋に流木が大量に引っかかり、せき止められた泥水があふれて、住宅地に流れ込んだ=写真=。このため、住宅4棟が流され、14歳の少女ら4人が犠牲となった。同市町野町では震災と洪水で中心部の街並み全体が倒壊した状態になっている。輪島市では地震による仮設住宅が2900戸あるが、うち205戸で床上浸水となった(11月1日付・北國新聞)。県では年内をメドに被災者の再入居のため泥の除去など改修工事を進めている。