☆車窓から見える能登の風景
通常なら金沢と穴水の往復で4000円余りの値段だが、2日間乗り放題で2800円なので確かにお得だ。しかも、この切符はJR西日本、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、のと鉄道、加越能バスの5社が連携する切符で、5社の駅、たとえば金沢駅、七尾駅、穴水駅、氷見駅、高岡駅、城端駅などまさに地理的に三角点を結ぶトライングルの列車とバスが乗り放題なのだ。
さっそく穴水駅に向けて列車に乗り込んだ。普通列車で6両編成。能登に行くのに列車に乗るのは何十年ぶりだろうか。いつもなら乗用車か特急バスを利用する。久しぶりのせいか、車窓から眺める景色はどこか新鮮だった。
少々肌寒かったが晴天で視界が広がって見えた。宇野気(うのけ)駅。かほく市宇ノ気は2つのイメージがわく。駅の向こうにコンピューター関連メーカー「PFU」の本社がある。中学や高校の同級生も何人かこの会社に勤めていた。PFUの創業時の社名は「ウノケ電子工業」。1960年に地元の歯科医師らが出資して新たな町の産業にとつくった電子計算機メーカーがツールだ。駅のたたずまいを見て、かつての同級生たちの通勤姿を勝手に想像した。もう一つ、宇ノ気は哲学者・西田幾多郎の生まれ故郷だ。私は学生時代に西田の『善の研究』を読破しようと試みたがあえなく挫折した。駅前には西田幾多郎の像がある。
七尾駅でのと鉄道に乗り換えた。今度は一両編成。能登のレ-ルは基本的に単線である。駅で止まっている対向列車はほどんどが「ラッピング列車」と呼ばれる。のと鉄道ではアニメの「花咲く いろは」を、JR七尾線では宇宙人と空飛ぶ円盤を描いた「UFO」列車があった。なんとも華やかな。
能登中島駅。「演劇ロマン駅」と愛称の駅名がついている。俳優の仲代達矢が率いる無名塾はこの駅の近くにある能登演劇堂で毎年ロングラン公演を行っている。今年も10月14日から約1ヵ月(25回)の公演を予定している。演目はブレヒト作の『肝っ玉おっ母と子供たち』。17世紀のヨーロッパで起きた三十年戦争が舞台、仲代氏は戦争で子供を殺されてもたくましく生き抜く「肝っ玉おっ母」役を演じるようだ。
中島と言えば、越中国司だった歌人の大伴家持が能登へ巡行した折、この地で歌を詠んでいる。「とぶさ立て 船木伐るといふ 能登の島山 今日見れば 木立茂しも 幾代神びそ」(『万葉集』)。船を造るりっぱな木々が茂っている、なんと神々しいことか、と。天平20年(748)、家持29歳のときの歌だ。この船とは当時の大陸の渤海(698―926年)からの使節団が能登をルートに奈良朝廷に朝貢し、帰国する際には能登で建造された船を使った。
能登鹿島(かしま)駅。ここは「さくら駅」として知られる。ホーム沿いに数十本のソメイヨシノが「桜のトンネル」状になっている。列車がこのトンネルに滑り込むと桜吹雪が見事に舞ったのが印象的だった。終点の穴水駅には到着したのは金沢駅を出て2時10分後、車窓から見えたのは、能登の山海の自然であり、歴史であり、現代の風景だった。
⇒25日(火)午後・金沢の天気 はれ
今回の切断事件があった場所は台北市北部陽明山にある公園で、蔣介石の座像の頭部が切断され、赤いペンキが掛けられていた。壊された座像の台座には「2・28事件の元凶」「殺人魔」などと落書きがされていた。報道では、一連の像の切断事件が報復の応酬のニュアンスで報じられる向きもあるが、前回のブログでも述べたように、八田與一の像と蒋介石の像は成り立ちも異なれば、造った人も違う。つまり、政敵でもなんでもないのだ。
金沢市ではよく知られた歴史上の人物で「八田與一(はった・よいち)」がいる。台湾の日本統治時代、台南市に烏山頭(うさんとう)ダムが建設され、不毛の大地とされた原野を穀倉地帯に変えたとして、台湾の人たちに評価されている。このダム建設のリーダーが、金沢で生まれの水利土木技師、八田與一だった。八田の功績は戦後日本と台湾の友好の絆も育んだ。ダム記念公園には八田與一の銅像があるが、今月16日に銅像(座像)の首が切断されてのが見つかり、石川県内のメディアでも大きく報道された。犯行は台北市の元市議だった。
確保が政策の柱となったようだ。政府としては海洋権益の確保といった言葉になるのだが、それほど海の安全保障が揺らいできたということだろう。
当時のニュースで地元の実行委員会が明かしたのは、ラ・フォル・ジュルネの運営をめぐるルネ・マルタン氏ら企画サイドと地元実行委員会の路線の対立だった。ラ・フォル・ジュルネは1995年にフランスの芸術監督ルネ・マルタン氏が手掛け、低価格で本格的なクラシックを売りに複数の会場で同時にコンサートを開くなど画期的な音楽祭だ。ところが、金沢ではそれに独自のプログラムを盛り込み、地元色を強くした。企画サイドとすると、フランスで制作した本来のプログラムを強く打ち出さなければ「ラ・フォル・ジュルネ」と銘打つ意味がない。一方で金沢の実行委員会側では当地のプロオーケストラ「オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)」も巻き込んで金沢の独自色を出して盛り上げたい。双方の思惑の違いが鮮明になってきたというのだ。
映画「ゴースト・イン・ザ・シェル(Ghost in the Shell) 攻殻機動隊」だった。見た瞬間、「これってIoTエンターテイメントではないか」と思った。
先日(今月27日)石川県加賀市のホテルで、元Googleアメリカ本社副社長兼日本法人代表取締役の村上憲郎氏の講演があった=写真=。講演の主催者は「スマート加賀IoT推進協議会」、地域の行政と産業界でつくる団体だ。IoTは物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続し相互に通信することで、自動認識や自動制御、遠隔計測なとどいったこれまになかったイノベーションを起こすといわれる。産業革命でもある。それを取り込もうと地方が動き始めている。
だった。これも、新横綱の優勝は1995年初場所の貴乃花以来、22年ぶりというから二重に凄みを感じさせてくれる。まさに「大横綱(だいよこづな)」と呼ぶにふさわしいのではないか。
輪島市と穴水町を中心に石川県では住宅2千4百棟が全半壊し、死者1人、重軽傷者は330人だったと記憶している。翌日から大学の仲間と被災調査に入り、その後、学生たちを連れて輪島市門前町道下(とうげ)地区を中心にお年寄り世帯の散乱する家屋内の片づけのボランティアに入った。その後、何度か道下地区を訪ねた。最近では全半壊の住宅は新築、あるいはリフォームされ、すっかり「ニュータウン」の様相になっている。見渡す限りでは、被災地の復興事業はほぼ完了したかに思える。ただ、さら地が随分と多く、界隈が歯抜け状態となっているのだ。
震災から4年後、再び学生たちを門前町に連れて行くようになった。道下地区に接する黒島(くろしま)地区からSOSが入った。この地区で催されている伝統的な祭り「黒島天領祭」で若い人たちの担ぎ手が不足している。祭りに学生たちも参加してほしいという要望だった。8月17、18日という学生たちの夏休み期間ということもあり、引き受けた。大阪城と名古屋城をかたどった2基の曳山が街を練る。とくに若いエネルギーが必要場面は「舵(かじ)取り」という役だ。曳山の進路を変える場合は、10人かがりで一気に棒を押して車輪を動かすのだ=写真=。先導役が「山2つ」と声をかけると、山側方向に棒を2度押す。結構な頻度で舵取りがあるので、これは若い者がいないと曳山が動かせない。急斜面での神輿担ぎにも学生のエネルギーが必要だ。
帰宅するためバス停で待っていた能登高校1年の女子生徒が連れ去られ、バス停から5㌔離れた山あいの集落の空き家で頭から血を流して死亡しているのが見つかった。殺害したとされる男子大学生21歳は同日午後7時40分ごろ、空き家から16㌔離れた道路に飛び出して乗用車にはねられ死亡した。報道によると、2人は顔見知りではなく、死亡した男子学生は一人でバス停で待っていた女子高生を角材で殴り、車で連れ去って、空き家(祖父の家)で殺害した。女子高生の死因は、刃物で首を切られたことによる失血死だった。最初から殺す目的で襲ったのか。事件から2週間経ち、いまだに解明されていないのがその殺害動機だ。