☆能登にトキが飛来する日

☆能登にトキが飛来する日

   環境省は国の特別天然記念物のトキについて、自然の中での生息数が増えているとして、レッドリストのランクを「野生絶滅」から1ランク下げて「絶滅危惧種」に変更すると、きょう23日発表した。新潟県佐渡市では中国から譲り受けたトキの人工繁殖が進められ、2008年から自然への放鳥が始まった。2012年に放鳥のトキのつがいからひなが誕生し、現在では自然の中に353羽が生息している。

   トキが急激に減少したとされる1900年代、日本は食糧増産に励んでいた。レチェル・カーソンが1960年代に記した名著『サイレント・スプリング』で、「春になっても鳥は鳴かず、生きものが静かにいなくなってしまった」と記した。農業は豊かになったけれども春が静かになった。1970年1月、本州最後の1羽だったトキが能登半島で捕獲された。オスで「能里(ノリ)」の愛称があった。繁殖のため佐渡のトキ保護センターに送られたが、翌1971年に死んだ。解剖された能里の肝臓や筋肉からはDDTなどの有機塩素系農薬や水銀が高濃度で検出された。2003年10月、佐渡で捕獲されたメスの「キン」が死んで、日本のトキは絶滅した。その後、同じ遺伝子の中国産のトキの人工繁殖が始まった。

    能登半島にトキがいなくなって37年後の2007年、金沢大学の「里山里海プロジェクト」の一環として、トキが再生する可能性を検証するポテンシャルマップの作成に携わった。珠洲市や輪島市で調査地区を設定した、生物多様性の調査だった。奥能登には大小1000以上ともいわれる水稲栽培用の溜め池が村落の共同体により維持されている。溜め池は中山間地にあり、上流に汚染源がないため水質が保たれている。ゲンゴロウやサンショウウオ、ドジョウなどの水生生物が量、種類とも豊富である。溜め池にプ-ルされている多様な水生生物は疏水を伝って水田へと分配されている。

    また、能登はトキが営巣するのに必要なアカマツ林が豊富である。かつて、昭和の中ごろまで揚げ浜式塩田や、瓦製造が盛んであったため、アカマツは燃料にされ、伐採と植林が行なわれた。また、能登はリアス式海岸で知られるように、平地より谷間が多い。警戒心が強いとされるトキは谷間の棚田で左右を警戒しながらドジョウやタニシなどの採餌行動をとる。豊富な食糧を担保する溜め池と水田、営巣に必要なアカマツ林、そしてコロニーを形成する谷という条件が能登にある。

   調査ヒアリングで、トキのカラー写真を熱心に撮影していた小学校の校長がいたという話を聞いて、遺族を訪ねた。輪島市三井小学校の校長だった岩田秀男氏は昭和30年代から、本州最後のトキを熱心に撮影して歩いた人だった。遺族から能登のトキを写真を見せられた時、胸が熱くなった。写真のトキが「能登に帰りたい」と叫んでいるような、そんな衝撃を受けた。岩田氏のクレジットを必ず入れることを条件に写真の使用許可をいただいた。

   今回、環境省が絶滅の危険度が1ランク低い「絶滅危惧種」に変更するということはトキの繁殖力に可能性があるということでもある。佐渡の西側から能登は距離にして100㌔余りだ。トキのつがいが能登に飛来すれば、第二の繁殖地になるのではないか、などと夢を描いている。(※写真は石川県輪島市三井町で営巣していたトキの親子=1957年・岩田秀男氏撮影)

⇒23日(水)夜・金沢の天気     あめ

★「脱亜」の時代状況

★「脱亜」の時代状況

   日経新聞社が郵送による世論調査の特集を組んでいた(21日付)。同社は毎月電話を調査を実施しているが、書面の方が「じっくりと回答できる」という特性を生かしたという。調査は2018年10月-11日で回答は1673件、回収率は55.8%。その結果を自分なりに考察してみたい。

   意外な結果だと思ったのは、日本の8つの機関や団体、公職の信頼度を尋ねた結果だった。信頼度1位は60%で自衛隊だった。次は裁判所で47%、警察43%と続く。ある意味でまともな結果かもしれない。昨年は地震や洪水など自然災害が相次ぎ、まさに災害列島と化した。その災害現場で被災者の救出や復旧にあたっていた自衛隊員の姿が評価されたのだろう。

   逆に、「信頼できない」トップが国会議員56%、次がマスコミ42%だ。ひとくくりにマスコミと言っても範囲は広いが、その一員でもある日経新聞社もショックな数字だったろう。私自身この数字には正直「困った」との印象だ。ネット上ではフェイクニュースが氾濫している。確かな取材手法で情報を世に投げるのがマスコミの使命だと解釈している。そのマスコミが「信頼できない」となるとファクトチェック(信憑性の検証)は誰が担うのか。

   もう一つ困った結果を。好感度が低い国、「嫌い」「どちらかといえば嫌い」は北朝鮮82%、中国76%、ロシア、韓国と続く。「近隣外交」という言葉ほど面倒なものはないと、日本人の多くは思っているのではないだろうか。尖閣諸島をめぐる中国側の執拗な動きは連日のように、そして韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題ではへきえきとしている。

   134年も前、隣国に対する憤りの念を持った人物がいた。福沢諭吉だ。主宰する日刊紙「時事新報」の1面社説にこう書いた。「・・独リ日本の旧套を脱したるのみならず、亜細亜全洲の中に在て新に一機軸を出し・・」(1885年3月16日付、本文はカタカナ漢字表記)。全文2400字に及ぶ記事の中で近隣諸国についてこう述べている。「日本を含めた3国は地理的にも近く”輔車唇歯(ほしゃしんし)”(お互いに助け合う不可分の関係)の関係だが、今のままでは両国は日本の助けにはならない。西欧諸国から日本が中国、朝鮮と同一視され、日本は無法の国とか陰陽五行の国かと疑われてしまう。これは日本国の一大不幸である」(鈴木隆敏編著『新聞人福澤諭吉に学ぶ~現代に生きる時事新報~』より引用)。 

  近隣諸国と真逆に、好感度が高いのはイギリスとオーストラリアがそれぞれ72%でアメリカ67%と続く。近隣諸国との関係性は福沢が論じた当時の状況とダブる。「脱亜」は福沢の言葉だが、その後「脱亜入欧」が広がった。福沢がこの日経の調査を見たらどうコメントするだろうか。(※写真は福沢諭吉像=慶応義塾大学三田キャンパス)

⇒22日(火)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆「50円払って」と請求すればすむ話が

☆「50円払って」と請求すればすむ話が

    夕方のNHKニュースを乗用車のラジオを聞いていて、ちょっと違和感を感じた。福岡県那珂川市のコンビニで、コーヒー用の100円のカップを購入したのにセルフ式コーヒーマシンで150円のカフェラテを注いだとして、62歳の男が窃盗の疑いで逮捕された、というニュースだ。捕まったのは同市に住む62歳の会社員で、100円のコーヒーカップに150円のカフェラテを注いでいるという常連客からの指摘が店に寄せられ、店が警戒していたところ、男がカフェラテを注いでいるのを確認した。店のオーナーが男に問いただしたところ、男は「ボタンを押し間違えただけだ」と言い逃れようとしていた。警察の調べに対しては、容疑を認めているという。

    ニュースを聞いたときは「こんなヤツもいるだろうな」というくらいの印象だったが。違和感を感じ始めたのは、そもそもこの話はコンビニ側が男に「50円払ってください」と請求すればすむ話ではないか、なぜ男は逮捕されなけらばならなかったのか、ということだ。逮捕は証拠隠滅や逃亡があるのであれば、その可能性はあるだろう。あるいは現行犯逮捕ということもあるが、警察が逮捕にいたった経緯がよく分からない。

    NHKニュースでは、、男は以前にも支払った代金よりも高い飲み物をカップに注いでいたとみられるということで、警察がさらに余罪を調べている、という。それにしても、仮に過去に100回繰り返していたとしても、本人は警察の聴取に対し認めているので、店に謝罪と5千円を払えば解決する話ではないか。思い過ぎかもしれないが、これは別件逮捕かもしれないと勘ぐってしまう。

    もう一つ違和感がある。このニュースをNHKが全国放送しなければならないのか。確かにコンビニの時代を象徴するような話で、「逮捕」となればニュース価値はあると判断したのだろうか。むしろ、NHKがこのニュースをあえて全国放送で取り上げたのには。もう少し深いワケがあるのではないかと勘ぐっている。それは、ポイントカードをめぐって、カードの運営会社が会員の情報を裁判所の令状なしに操作当局に提供していることが問題となっているからだ。

    これは推測だが、もし男がポイントカードや電子マネーカードを使っていたとすれば、コンビニ側は住所と氏名、コーヒーを購入した回数などを警察側に情報提供をしているだろう。警察は男にこの証拠を突き付けたので、容疑を認めたのだろう。NHK報道が狙っているのは、「カードの落とし穴」という次なるニュースではないだろうか。プラバシーを保護すべきコンビニ側だが、不正を摘発するためにあえて情報を提供、警察側もあえて逮捕に踏み切って事件扱いにした。 「50円払ってください」で済む話がここまで事件として大きくなった背景にカードという情報社会の闇がある、とNHKは報じたいのかもしれない。考えすぎか。

⇒21日(月)夜・金沢の天気    あめ

★雪のない冬の兼六園で

★雪のない冬の兼六園で

   このところの天気が異常に思える。例年ならば、周囲は雪景色なのだが積雪はゼロである。まったく降らなかったわけではない。12月30日朝は雪が4、5㌢積もっていて、30分ほど自宅周囲の雪すかしをした。この冬はそれ一回だけ。新調したスコップも手持ちぶさたで、出番を待っている=写真・上=。

    きょう午前、所用で通りかかったので久しぶりに兼六園を歩いた。前を歩く家族連れらしき3人のうち女性が「せっかく兼六園に来たのに、雪がないと魅力がないよね」と。そうか、暖冬で一番ぼやいているのは観光客かもしれない。確かに、雪吊りの風景をパンフで見て、銀世界の兼六園のイメージを膨らませて金沢にやって来たのに、拍子抜けとはこのことか。

   夕顔亭(ゆうがおてい)=写真・下=という古い茶亭の横を通った。もう14年も前のことだがエピドーソを思い出した。茶亭をハイビジョンカメラで撮影したことがある。撮影は、石川県の委託事業で兼六園を映像保存するもの。兼六園の数ある茶亭でもなぜ夕顔亭にこだわったのかというと、この茶室から滝を見ることができるので「滝見の御亭(おちん)」と呼ばれていて、茶室から見る風景がもっとも絵になるからだ。

   この夕顔亭の見本となったといわれるのが、京都の茶道・藪内家の「燕庵(えんなん)」という茶亭。そこで、撮影では藪内家の若宗匠、藪内紹由氏(2015年に家元を継承)に夕顔亭まで起こし頂き、お点前を撮影させていただいた。そこで出た話だ。藪内家には、「利家、居眠りの柱」とういエピソードがある。京の薮内家を訪れた加賀藩祖の前田利家が燕庵に通された時、疲れがたまっていたのか、豪快な気風がそうさせたのか、柱にもたれかかって眠リこけてしまった。こうした逸話が残る燕庵を後に利家の子孫、11代の治脩(はるなが)が1774年に燕庵を模してつくった茶亭が夕顔亭だった。 

   この夕顔亭をつくる際、薮内家と加賀藩には一つの約束事があった。茶器で有名な古田織部が指導してつくったこの由緒ある茶亭を簡単に模倣させる訳にはいかない。そこで、もし燕庵が不慮の事故で焼失した場合は「京に戻す」という条件で建築が許された、との言い伝えだ。知的財産権の観点からいうと、広い意味での「使用権」だけを加賀藩に貸与したということになるかもしれない。その後、契約者である前田ファミリーは明治維新後この夕顔亭を手放し、今では石川県の所有になっている。その約束事は消滅しているのかもしれない。

   知的財産権という法律は当時なかったにせよ、「知財を守る」という精神は脈々と日本の歴史の中に生きていたと、若宗匠のお点前を拝見しながら思ったものだ。暖冬の話がいつの間にか知財の話になってしまった。

⇒19日(土)午後・金沢の天気     はれ

☆ファーウェイ問題、どこまで

☆ファーウェイ問題、どこまで

  きょう18日のニュースで、中国の通信機器「ファーウェイ」の創業者であるCEO(最高経営責任者)が中国の本社で日本メディアのインタビューに応えて、顧客の機密データの提出を中国政府に求められても提供しない、これまでも提供したことはないと述べたと報じられている。

  ファーウェイは高速大容量の次世代通信方式「5G」の分野で、技術やコスト競争では代表的な企業の一つ。特許の出願件数も多く、国連の専門機関、WIPO(世界知的所有権機関)を通じた国際特許を出願した件数でも、企業別でファーウェイが世界1位となっている(2017年の国際特許登録の出願数、WIPOプレスリリース)。12月1日にカナダのバンクーバー国際空港で、CEOの娘の副会長が、アメリカの要請でカナダ捜査当局に逮捕された。この事件がきっかけで、アメリカがファーウェイの5Gに安全保障の上で懸念があり、締め出しに動いていることが世界に拡散した。

     会見したCEOは機密データの提出を政府に求められても提供しないと述べたが、腑に落ちないのが、2017年6月に施行された中国の「国家情報法」だ。法律では、11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助および協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人および組織を保護する」(第7条)としている。CEOがいくら外向けに機密データを政府に提供しないと述べたとしても、中国国内では国家情報活動に協力しなければならないという法律があるではないか、と懸念を抱いてしまう。

   副会長がカナダで逮捕されて以降、中国ではカナダ人が相次いで逮捕され、今月14日には中国で麻薬を密輸したとして懲役15年を言い渡されたカナダ人がやり直し裁判で死刑を言い渡されている。これは中国政府の報復措置ではないかと世界中が見ているに違いない。中国側の過敏とも言えるこの反応が、むしろファーウェイの国家情報活動との関わりを示唆するのではないか。

   中国は「一帯一路」の巨大な経済圏構想を掲げ、アジアやアフリカの各国に融資し、港湾や鉄道、情報通信のインフラ整備を積極的に展開している。しかし、有事の際に中国の安全が脅かされると判断されれば、容赦なくファーウェイは政府や軍にハッキングやデータ提供に協力せざるを得なくなる。アメリカはそうなる前に国防権限法を昨年8月発効させ、中国5社から政府機関が製品を調達するのを今年8月から禁止、2020年8月からは5社の製品を使う企業との取引も打ち切るなど徹底する。アメリカは日本など関係国にも働きかけを強め、オーストラリア、ヨーロッパ各国も追随する流れだ。

   アメリカの検察当局はファーウェイがアメリカの携帯電話会社「Tモバイル」からスマートフォンのテストに使うロボットの技術を盗んだ疑いで捜査していると、ウォール・ストリート・ジャーナルのWeb版(16日付)=写真=が伝えている。起訴されれば、知的財産権の侵害に対しても、アメリカだけでなく国際世論が沸騰するのではないだろうか。

⇒18日(金)夜・金沢の天気   あめ

★どう読む、隣国の動き

★どう読む、隣国の動き

      海上自衛隊の哨戒機P1が韓国の駆逐艦から射撃管制用レーダーで照射された問題ではっきりしたことは、韓国側は客観的な証拠をまったく持っていないということではないだろうか。きょう14日、日本と韓国の防衛当局による協議がシンガポールで行われていると報じられているが、韓国の報道官は「お互いの誤解を解消するために事実関係を確認して、十分な意見交換を行う予定だ」とコメントするだけで、日本側のP1が韓国側を威嚇したという証拠は何一つ示されていない。日本側はレーダーの電波情報を非公式に交換して事実を明らかにしようと提案したが、韓国側は交換に応じなかったようだ。このまま膠着状態が続けば、日本側は映像に続いて電波情報を公開せざるを得ないのではないだろうか。

    一方、モスクワでは北方領土問題を含む平和条約交渉をめぐって日本とロシアの外務大臣の会談がきょう始まった。両大臣は、安倍総理とプーチン大統領が「平和条約を締結したあと歯舞群島と色丹島を引き渡す」とした1956年の日ソ共同宣言をベースに交渉を加速することで合意したことを受けて、具体的な妥協点を探るようだ。1週間後の21日に予定されている日本とロシアの首脳会談で平和条約の条文作成作業の開始を確認し、6月のG20サミット(大阪)で再度、首脳会談を行い、平和条約交渉の大枠合意を目指すという外交スケジュールが組まれている。

    ただ、この交渉も一筋縄ではいかないだろう。ロシア側からは「解決のシナリオを一方的に押しつけている」と日本側を批判する発言が噴き出しているようだ。実際、外相会談でラブロフ氏は「第二次世界大戦の遺産として両国にふりかかってきたもので、大戦の結果は、国連憲章や連合国のさまざまな文書で確定している」と述べ、北方領土返還という日本側の言い分そのものが間違っていると疑義を呈している。交渉のテーブルに就くという雰囲気が読み取れない。一方で、ロシアは北方4島のうち、色丹島などで427人に計420㌶の土地が無償貸与しているという(読売新聞Web版)。実質的なロシア領土化を進めているではないか。

    中国の無人の月面探査機が月の裏側への着陸に成功し、探査車を月面に降ろして地質構造や資源などを調査している。中国の国家航天局(宇宙局)による記者会見で、月の基地の建設に向けた調査を国際協力で進めていく姿勢を示したと報じられている。一方で、中国経済への懸念が出ている。中国税関総署がきょう日発表した2018年12月の貿易統計は、輸出額は前年同月比4%減の2212億ドル(約24兆円)、輸入額は同8%減の1641億ドルだった(日経新聞Web版)。中国の個人消費が振るわず、自動車販売も大幅な減少が続くなど、「背伸び経済」が曲がり角を迎えたようだ。ひょっとして経済のマイナスイメージを月のプラスイメージでカバーする戦略ではないのかなどと勘繰りたくなる。(※写真は月面を走行する中国の探査車=中国国家航天局のホームページより)

⇒14日(祝)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆この先にあるシナリオ

☆この先にあるシナリオ

            戦時中の出稼ぎ者をいわゆる「徴用工」として韓国最高裁が新日鉄住金に賠償を命じた昨年10月の元徴用工訴訟をめぐり、韓国の司法当局が同社側に資産の差し押さえを9日に通知した。日本政府が紛争解決のための2国間協議を韓国政府に要請した。韓国の文在寅大統領はきょう10日、新年の記者会見で、「徴用工」問題について、「歴史問題であり、日本は謙虚にならなければならない」「日本の政治家や指導者が、政治争点化して拡散させるのは賢明ではない」と批判した。

    先に述べた2国間協議は、1965年の日韓請求権協定に基づくもの。韓国側の早期対応がなければ、日本企業に実質的な経済損失が生じる可能性があるが、文大統領はこの日の会見で日本側の要請に応じる意思を明らかにしなかった。最高裁の判決について、「三権分立のため、韓国政府は関与できない」とし、韓国の司法に従うよう日本側に求めた。きょうの会見から読めることは、文大統領は日韓請求権協定の骨抜き、あるいはなし崩しを狙っているのではないだろうか、ということだ。

    もともと韓国側では、1965年の日韓基本条約の国交正常化交渉が間違った不当な交渉だったとの論がくすぶっている。近い将来、韓国側から日本側の態度は承服できないとして、「日韓基本条約を破棄する」と言ってくる可能性が高いかもしれない。国交正常化は白紙撤回、つまり国交断絶となる。韓国政府が昨年11月、慰安婦問題題をめぐる2015年12月の日韓合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」を解散し、事業を終了すると発表している。この事実が今後の動きを予感させる。今後、韓国では一気かせいに日本企業の資産を差し押さえに掛かり、実害が広範囲に及ぶだろう。

    さらにその先にあるものは何か。南北が「1国2制度」のもとで統一するだろう。その後、統一朝鮮は日本に対し日朝基本条約の締結ならびに、北朝鮮側の戦後賠償を強く求めてくる。そのようなシナリを文大統領は描いていても不思議ではない。大統領はおそらく高をくくっている。「そのうち巨大地震が日本を襲い、日本はわれわれに助けを求めてくる。だからいま少々手荒いことをやってもよいのだ」と。(※写真は韓国・青瓦台ホームページから)

⇒10日(木)夜・金沢の天気   くもり

★企業広告「嘘に慣れるな、嘘をやっつけろ」

★企業広告「嘘に慣れるな、嘘をやっつけろ」

         きょう7日の全国紙で「30段広告」を打って、「敵は、嘘。」「嘘つきは、戦争の始まり。」と吠えているのは出版社「宝島社」だ。30段広告とは左右の見開き全面広告のこと。それだけに目立つ。ここ数年、年明けになると、「ことしのテーマは何だろう」などと気にかけていた。今年のテーマはフェイクニュースを許すなとのメッセージだ。首をかしげるのは、「敵は、嘘。」のキャッチは読売新聞、「嘘つきは、戦争の始まり。」は朝日新聞の2パターンがあるのはなぜだ。

   読売の「敵は、嘘。」はデザインがイタリア・ローマにある石彫刻『真実の口』だ。嘘つきが手を口に入れると、手を抜く時にその手首を切り落とされる、手を噛み切られる、あるいは手が抜けなくなるという伝説がある。「いい年した大人が嘘をつき、謝罪して、居直って恥ずかしくないのか。この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。」とフレーズが高揚している。この文を読めば、昨年国会で追及された一連の問題のことを指しているのかなと想像する。つまり、読売の読者には内政での嘘を見抜けと発破をかけているのではないか。

   片方の、朝日の「嘘つきは、戦争の始まり。」はデザインが湾岸戦争(1991年)のとき世界に広がった、重油にまみれた水鳥の画像だ。当時は、イラクのサダム・フセインがわざと油田の油を海に放出し、環境破壊で海の生物が犠牲になっていると報じられていた。そのシンボリックな写真だ。ただ、イラクがアメリカ海兵隊部隊の沿岸上陸を阻むためのものであるとの報道や、多国籍軍によるイラクの爆撃により原油の流出が生じたなど、その真偽はさだかではない。「今、人類が戦うべき相手は、原発よりウィルスより温暖化より、嘘である。嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。」とこれもテンションが高い。全体のトーンからアメリカのトランプ大統領の在り様を連想させる。つまり、朝日の読者にはアメリカの嘘を見抜けとけしかけているのではないか。

   宝島社のホームページによると、企業広告の意図が掲載されている。「気がつくと、世界中に嘘が蔓延しています。連日メディアを賑わしている隠蔽、陰謀、収賄、改ざん…。それらはすべて、つまりは嘘です。それを伝えるニュースでさえ、フェイクニュースが飛び交い、何が真実なのか見えにくい時代になってしまいました。人々は、次から次に出てくる嘘に慣れてしまい、怒ることを忘れているように見えます。いまを生きる人々に、嘘についてあらためて考えてほしい。そして、嘘に立ち向かってほしい。そんな思いをこめて制作しました。」
   
   ここまでくると、企業広告とはいえ、出版社のジャーナリズム性が問われる、と考察する。今度は宝島社そのものが、どうフェイクニュースと戦うのかそのスタンスを明示しなければ、企業広告の価値、そして企業そのものが問われるだろう。一度振り上げた拳(こぶし)は簡単に下ろせない。

   ちなみに、宝島社の年初広告は2018年1月5日付は「世界は、日本を待っている」。自然を崇拝し、異文化を融合させながら常に新しい文化を創造してきた国、日本がテーマ。2017年1月5日付は「忘却は、罪である」。前年にオバマ大統領の広島訪問、安倍総理の真珠湾訪問が実現した歴史的な年だったことから、世界平和をテーマとした。次なる宝島社の30段広告に期待したい。

⇒7日(月)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆『いだてん』ネタばらし

☆『いだてん』ネタばらし

   きょう6日付の朝日新聞「天声人語」を読んで、「これはNHK大河ドラマのネタばらしではないか」と笑った。今夜から始まるNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』をテーマにした記事だ。ドラマの主人公の一人は、日本が初めてオリンピックに参加した1912年(明治45年)の第5回ストックホルム大会でマラソンに参加した金栗四三(かなくり・しそう)だ。金栗の業績や個人ヒストリーについては、出身地の熊本県和水町(なごみまち)のホームページに詳しく掲載されている。
   
  当時ストックホルムまでの旅程は船とシベリア鉄道を経由し、17日間にも及んだ。マラソン当日、長距離移動や異国での慣れない環境に加え、酷暑のために26-27㌔付近で意識不明となり落伍した。出場選手68人中、完走は半分の34人という過酷なレースだったようだ。1967年、ストックホルム大会の開催55周年を記念する式典が開催され、スウェーデンのオリンピック委員会が当時の記録を調べたところ、金栗は「(棄権の意思が運営側に届いていなかったため)競技中に失踪し行方不明」となっていることに気が付いた。つまり、「消えた日本人選手」との扱いになっていた。そこで、スウェーデンのオリンピック委員会は金栗を探し出し、記念式典に招待した。

   ここから感動の物語が始まる。記念式典の当日、76歳の金栗は観衆が見守る中、競技場を走り、ゴールでテープを切った。「日本の金栗、ただいまゴールイン。タイム54年と8か月6日5時間32分20秒3、これをもって第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了します」とアナウンスが会場に響いた。これに金栗は「長い道のりでした。この間に結婚し、6人の子どもと10人の孫に恵まれました」と答え、会場は大きな拍手と歓声で包まれたそうだ。このストーリーを仕立てたスウェーデンのオリンピック委員会の企画力とセンスには脱帽する。

   天声人語は「ドラマではきっとそんな一代の名場面も描かれることだろう。」と記している。冒頭で「笑った」と述べたが、大河ドラマのプロデューサーもこの感動のシーンで番組のラストを飾りたいと思っているに違いない。ネタばらしとはこの意味である。

   ところで、正月早々の3日に熊本地方を震源とする地震があり、和水町では震度6弱の揺れがあった。町役場のホームページによると、大河ドラマが始まるきょう6日に、金栗の生家に近い公民館で地域の人たちが集まってテレビを視聴するパブリックビューイングが計画されていたが、地震の影響に配慮して中止されるようだ。「日本マラソンの父」と称され、箱根駅伝の創設者としても知られる金栗を郷土の誇りに震災から復興することを願っている。(※写真は熊本県和水町のホームページより)

⇒6日(日)夕・金沢の天気     くもり時々あめ

★ブログ5000日

★ブログ5000日

   きょう1月5日はブログ「自在コラム」を開設して5000日目に当たる。2005年4月28日にアップした「★50歳エイ・ヤッと出直し」がスタートだった。その年の1月に民放テレビ局を辞して、4月から金沢大学の「地域連携コーディネーター」という仕事に就いた。まったくの異業種、エイ・ヤッだった。友人からは「よくテレビ局を辞めたね。もったいない」と言われたが、私自身は以前から「50歳になったら人生を見直す」と公言してきたのでそれを実行したまでのこと。そもそも、性格的に言って、一つの仕事を最後まで務め上げて云々というタイプではなく、幼いころから寄り道や道草、よそ見ばかりしてよく親に心配をかけた。 

        では、ブログを始めるきっかけは。大学でコーディネーターの職に就いたことを知らせるあいさつの葉書を友人たちに送った。その当時の私のオフィスはキャンパスに移築された築280年の古民家=写真・上=だった。その外観の写真を葉書に掲載した。すると、テレビ局時代の秋田の友人から「ブログに掲載するので内部の写真も送ってほしい」とメールで返信があった。メールで何度かやり取りをしているうちに、「宇野ちゃんは元新聞記者だから、書き始めるときっとはまるよ」と勧められ、当時ブログに余り興味はなかったが、誘われるままにブログの世界に片足を突っ込んだ。あれから14年、アップロード回数は今回で1363になった。その意味では、どっぷりと「はまった」のかもしれない。

   ブログは毎日書いているわけではなく、3日か4日に1本のゆっくりペースだ。ただ、日々のニュースや身の回りの出来事に目を向け、「これはブログのネタになるかもしれない」などと常に思いを巡らしてきた5000日だった。ブログを意識して写真も随分と撮った。画像ファイルがハードディスクの容量を占めるようになってきたので、外付けのハードディスクを持ち歩いている。これまでの中で印象に残る写真を1枚紹介するとすれば、2006年1月、イタリアの国立フィレンツェ修復研究所を訪れたときの画像だ。この研究所は16世紀に「美術のパトロン」といわれたメデイチ家が設立し、世界トップクラスの修復のプロたちが集う。研究所内を許可を得て撮らせもらった。ベッドに横たわる聖像があった。修復士たちが何やら聖像の声に耳を傾けているようにも見えた。聖像は右手を上げ、「病んでいる私を助けてほしい」と訴えかけているよう=写真・下=。まさに病院の医者と患者の光景であった。美術王国イタリアのひとコマである。

    ブログを勧めてくれた友人はその後SNSに乗り換え、トレンドを走っている。これまで、SNSの誘いを何人かの友人から受けたが、かたくなにブログ一本で通し、「不器用」な人生を貫いている。「ブログ1万日」となると78歳だ。いま密かに計画を練っている。自身のデータ(日記、検診や診療記録など)、講演や講義の原稿、著作物、撮った写真、読んだ本のリスト、名刺、これまでのブログなどをすべてAIに読み込ませ、私の思考や感情、心理と論理、知識、対人関係を身に着けた「分身」になってもらうのだ。1万日目のブログはひょっとしてAI分身が書いているかもしれない。  (※写真・上は金沢大学創立五十周年記念館「角間の里」)

⇒5日(土)朝・金沢の天気    あめ