☆株価が投影する北の動き

☆株価が投影する北の動き

            きょう(8日)の東京株式市場は日経平均で前日比504円高の2万179円となり大幅に上昇した。新型コロナウイルスでロックウダン状態からアメリカやヨーロッパの一部で経済活動が再開され、国内でもウイルスの感染者が減少傾向となり、緊張状態からひと息ついた、ということだろうか。

   コロナ禍とは別に、北朝鮮の動きにも株価は敏感に反応する。危篤説や死亡説まで出ていた金正恩委員長が20日ぶりに姿を見せた今月2日は、日本は大型連休の真っ最中、しかも土曜日だったので株式市場は休みだった。今回の金氏の顔見世が日本の株価にどう反映したのか、東京市場の流れを追ってみる。

   銘柄はこのブログでも何度か取り上げた石川製作所(石川県白山市)だ。北朝鮮の動きと連動する株価で知られる。同社は段ボール印刷機、繊維機械を生産しているが、追尾型の機雷も製造する防衛産業でもある。キナ臭さが漂うと石川製作所の株価に注目が集まる。2017年9月、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した。石川製作所の株価は急上昇し、それまで1000円に満たなかったものが10月には4205円の最高値を記録している。

   その石川製作所の最近株価の動向だ=写真、日経チャート=。金委員長が4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことが報道され、株価1250円が値上がりする。CNNが危篤説を報道(21日)で1584円、その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像の公開(29日)で1705円。死亡説まで取り沙汰されたころは1710円だった。

   金委員長が姿を見せた2日は土曜日。きのう(7日)5連休明けの東京市場で石川製作所は152円安の1553円、8.9%も下げた。そしてきょうも50円の連日の下げとなった。ただ、印象として下げ止まり感がある。本来なら騒動が起きる前の1200円台に戻るのかと。やはり、金委員長の姿見せの後がキナ臭い。3日朝に韓国と北朝鮮の間の非武装地帯(DMZ)の韓国軍の監視所に対し、北が数発の銃弾を発射したことが報道された(3日付・共同通信Web版)。6日には北の新浦(シンポ)にある造船所で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を装備する動きがあることが韓国の国会で報告された(6日付・同)。

   このような不穏な動きがある中で、一気に石川製作所の株価が下がるとは思えない。株価は世界情勢を正直に反映する。コロナ禍しかり、北朝鮮しかり。自身は石川製作所の株を有してはいない、単なる株価ウオッチャーだ。

⇒8日(金)夜・金沢の天気   はれ

★デスマッチ化するアメリカの大統領選

★デスマッチ化するアメリカの大統領選

          この時季に庭に咲くアメリカ八角蓮(はっかくれん)は葉の切れ込みが深く、葉の下に白い花が咲く。ハスに似た葉の角の数からそう名付けられている。北アメリカ原産の種が日本に入ってきて、アメリカ八角蓮と花名がつけられた。生けて玄関に飾る。ハスなので銅の花入れ。野にある花には格付けはないが、「青磁に牡丹(ぼたん)」のたとえのように、その花に似合うの器というものがある。自然のありのままの姿を花器に入れる=写真・上=。地にあっては目立たない花ではあるが、花器の一輪は風格を漂わせる。

   アメリカの花から今度はネガティブな話題に入る。11月3日のアメリカ大統領選挙に向けて、いよいよ前哨戦が苛烈になってきた。「BEIJING BIDEN」=写真・中=というサイトがある。共和党のトランプ陣営が民主党の候補、バイデン氏を攻撃するサイトだ。「ペキン・バイデン」。バイデン氏はこれまで中国の脅威を無視して癒着し、アメリカの雇用と国家安全保障を危険にさらしてきたとキャンペーンを張っている。

   一方の民主党団体「American Bridge 21st Century」はサイトの動画で、トランプ大統領が新型コロナウイルス感染の初期対応でパンデミックであるにもかかわらず中国を称賛していたと批判を展開している。 双方の陣営が中国を引き合いにネガティブ・キャンペーンの応酬を続けている。いよいよアメリカの大統領選がいよいよ始まったという感じで、これからさらにヒートアップしていく。

   前回のトランプ対ヒラリー・クリントン戦(2016年11月)でも壮絶な誹謗合戦があった。クリントン陣営は「トランプはKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)と組んでいる」とキャンペーンを張り、トランプ陣営は「クリントンは錬金術師だ」と映画までつくり相手陣営を攻撃した=写真・下=。対立候補を誹謗や中傷するネガティブ・キャンペーンは対立候補にダメージを与える上では有効との選挙戦略なのだろう。アメリカの選挙風土は​候補者が自らの実績をアピールするより相手の落ち度を責めたほうが勝者として信じてもらいやすい。とことん戦うアメリカの選挙戦はデスマッチと言えるかもしれない。

            このデスマッチにはテレビメディアも参戦する。かつてテレビメディアにはフェアネスドクトリンという選挙報道の公平性を義務づける法律があったが1987年に撤廃され、その後は選挙広告費をめぐって旗色を鮮明にしている。FOXテレビは共和党、CNNは民主党がその代表選手だろう。トランプ氏がときに「フェイクニュースだ」とCNNの記者に向かって声を荒げるが、敵陣営のメディアとの意識がベースとしてある。

   大統領選まであと6ヵ月。新型コロナウイルスとの戦いも続き、さらに深刻な経済の立て直し、険悪化する対中国との外交関係、そして壮絶な選挙戦だ。おそらくこのすべての戦いが今後デスマッチ化する。アメリカは選挙、経済、外交ともにドロ沼化していくのではないだろうか。では、日本の立ち位置はどうあるべきか。

⇒7日(木)午後・金沢の天気    はれ

☆「工芸の至宝」が金沢にやってくる

☆「工芸の至宝」が金沢にやってくる

   オープンを持ち望んでいる施設が金沢にある。同市出羽町に開館する国立工芸館。我が国で唯一の工芸を専門とする国立美術館となる。皇居の近く東京・千代田区北の丸公園にある東京国立近代美術館の分館である工芸館だった。地方創生の一環として東京に集中する国立の機関を地域に移す国の施策の一つとして金沢に移すことになった。移転を機に、分館から独立した国立美術館となる。石川県と金沢市が新たに受け入れの施設を用意した=写真=。

   国立近代美術館工芸館では所蔵する明治以降から近現代の陶磁や漆工、染織、金工、木工、竹工、ガラス、人形、工業デザイン、グラフィック・デザインなどの作品を展示してきた。そのうち作品1900点余りを金沢に移す。うち1400点は人間国宝(重要無形文化財保持者)や日本芸術院会員の作品で、さらに日本の工芸の歴史を語るうえで欠かせない作品が集まる。日本文化である工芸の至宝の集積がやってくる。まさに「工芸のナショナルセンター」(石川県公式ホームページ)だ。

    自身が工芸に興味を持つきっかけは35年余り前、新聞記者時代に輪島の支局に赴いたときだった。輪島塗を創る作家や職人、塗師屋(ぬしや)と呼ばれる漆器の製造販売を手掛ける人たちへの取材を通じて、ものづくりの仕組みや工芸品の見立てというものを習った。漆芸の人間国宝・松田権六氏(1896-1986)を取材したのもこのころだった。「目を肥やす」という言葉があるが、実物を見なければ理解できない作品の価値、歴史に磨かれた輝きがあるのだと教わった。

   最近と言っても2017年1月だが、金沢にある石川県立美術館で国立近代美術館工芸館が所蔵する名品展を鑑賞した。お目当ては松田権六作品「蒔絵槇柏文(しんぱくもん)手箱」だった。黒漆に金蒔絵や貝殻を埋め込む螺鈿(らでん)などの加飾技法が精緻に施されている。人間国宝になった1955年の作品だ。この作品を含め国立近代美術館は松田権六作品を35点も所蔵している。金沢出身でもあるという縁で、ぜひオープンのあかつきには35点すべてを展示する特別展を企画してほしいと願っている。

   すでに完成している洋風の建物はもともと兼六園の近くにあった明治期の建物(旧陸軍の指令部庁舎)を移築し再建したもの。建物自体が国登録有形文化財でもある。出羽町周辺は、兼六園を中心に歴史的建物や文化施設が集積していて、緑に包まれた文化ゾーンでもある。金沢21世紀美術館も近くにある。建物など景観を楽しみ、作品が鑑賞できること待ち望んでいる。ただ、東京オリンピックに合わせての開館予定だったが、新型コロナウイルスの影響でオープンの日程はまだ決まっていないようだ。

⇒6日(振休)午後・金沢の天気   くもり時々あめ

★「新しい生活様式」横並びで「最後の晩餐」

★「新しい生活様式」横並びで「最後の晩餐」

   新型コロナウイルスの感染対策で、政府はあす6日期限の緊急事態宣言を今月31日まで延長すると決めた。これを受けて、13の「特定警戒都道府県」に入っている石川県も106業種への休業と県民への外出自粛の要請を今月7日以降も続けると表明した。問題は中小企業への影響だ。県は4月21日から今月6日までの全期間、休業に応じた中小企業に50万円、個人事業主に20万円の協力金を支払う(石川県公式ホームページ)。ところが、石川県知事はきのう会見で7日から31日も休業要請はするが、追加の協力金ついては「無理だ」と述べた。地域財政の限界が見えてきた。となると、個人事業主などでは今後、営業再開に向けた動きが出てきそうだ。

   きのう安倍総理が緊急事態宣言の延長についての会見で、「新しい生活様式」という新しい概念を持ち出した。気になってネット検索すると、もともとはウイルス対策について話し合う政府の専門家会議の提言だった。三つの基本として①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い、を上げさらに日常生活や買い物、公共機関の利用などそれぞれに場面に応じての所作についても提言している。

   たとえば、食事では食べ方や飲み方までも示していて、「大皿は避けて料理は個々に」「対面ではなく横並びで座ろう」と続く。ここで、食事は対面ではなく、横並びで座るというのはどこかで見たイメージだ。そう、レオナルド・ダ・ヴィンチの壁画「最後の晩餐」ではないか。2006年1月に訪れたミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院で初めて原画を鑑賞した。絵は、イエスが12人の使徒のうち一人が裏切ると告知したときに、使徒のそれぞれの反応、怒りやショックなどを描写していることで知られる。

          当時撮影した「最後の晩餐」の画像ファイルを見ていて、ふと、今のパンデミックで揺れる国際社会のような気がしてきた。混乱の中で各国はうろたえ、国際協調とは程遠い。象徴的なのは国連機関であるWHOへの信頼性が揺らいでいることだ。WHOが中国に配慮して緊急事態宣言を「時期尚早」と見送ったことが、感染拡大の原因の一つと問題視する見方が世界で広がっている。さらに、台湾はWHOへオブザーバー参加を求めてきたものの、中国の反対があって実現できていない。

   その中国の責任をめぐる追及も声高になってきている。アメリカなどでは損害賠償を求める動きが出ている。一方、中国はその動きを不当だとしているが、トランプ大統領が主張している、新型コロナウイルスが武漢の研究所から漏れ出たものということになればその管理責任が追及され、損害賠償請求の動きは現実的なものなるだろう。「最後の晩餐」の絵のように、「裏切者はだれか」とざわざわとしている。

   きょうのコラムは思いつくままにランダムに書いた。とくに脈絡はない。

⇒5日(こどもの日)夜・金沢の天気   くもり

☆金正恩氏「ナゾの20日間」を解く

☆金正恩氏「ナゾの20日間」を解く

   北朝鮮の金正恩党委員長の健康状態がニュースになった。4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことから一気に騒がしく動静が報じられるようになった。CNNが危篤説を報道(21日)、その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像が公開された(29日)。死亡説まで取り沙汰された。5月2日に20日ぶりに金委員長の動静が国営メディアが伝えられ、一応騒ぎは収まった

   きょう(4日)韓国の朝鮮日報Web版が金委員長の健康状態に関するニュースを写真付きで報じている。記事の主見出しは「전문의 “오른손목 흉터, 주삿바늘 가능성” 靑 “수술도 시술도 안받았다”」(専門医「右手首のあざは注射跡か」、青瓦台「手術も施術も受けていない」)=写真=。注目したのこの写真で、左の写真の右手首に丸い褐色のあざがある。右の写真の4月11日に労働党政治局会議での金氏の手首にはあざはない。記事では、心臓専門医の「動脈を通じた心血管造影術を行った可能性が80%程度ある」のコメントを紹介している。

   この写真を見て、ひょっとして褐色のあざは「経皮的冠動脈ステント留置術」、簡単に言うとカテーテル手術の痕ではないのか、と察した。さらによく見ると、褐色のあざのまわりに赤みがある。これは血止めバンドの痕ではないか。あくまで自分自身の経験から憶測しての話だ。

   自身もかつて人間ドックで心臓の右の冠動脈が狭くなっていて、狭心症が疑われた。長い階段を上ったり、急ぎ足で歩くと胸苦しさを感じていた。このため2018年3月にカテーテル検査を受け、「労作性狭心症」と診断された。心臓の仕事量が増えると、それに見合う酸素量が心筋に運ばれず、虚血が起こり胸痛に襲われるという症状だった。4月にカテーテル手術をした。右手首の血管から バルーンカテーテルを入れて冠動脈に挿入し、その先端にあるバルーン(風船)を膨らませ、狭くなった冠動脈を元の血管の太さに戻す。さらにステント(直径3㍉×長さ18㍉、筒状の金属網)をその箇所に留め置いてカテーテルを抜き取る手術だった。体を開くバイパス手術だと入院から退院まで24日かかると言われているが、カテーテル手術だと検査と手術で正味7日だった。

   自らが体験した検査と手術の日程を金委員長の謎の空白期間(20日間)にパズルのように組み込んでみる。4月11日の労働党政治局会議の後、胸苦しさが襲ってきた。翌日12日は最高人民会議を欠席し、平壌市内の病院で冠動脈CT(心臓CT)の検査を受けた。すると、冠動脈の狭窄や閉塞など心臓疾患が進行していることが分かった。さらに詳しく調べるため、13日に造影剤など使って患部のカテーテル検査が行われ、狭心症と診断された。バイパス手術かカテーテル手術かを主治医と相談し、痛みが比較的柔らかいカテーテル手術を選んだ。ところが、北にはカテーテル手術で十分な経験を積んだ医療チームがいない。そこで、金委員長は15日に電話で中国の習近平主席に太陽節の祝電のお礼とあわせて、医療チーム派遣の依頼をした。中国の医療チームが平壌に到着したのは23日だった。25日に手術が無事に行われた。しばらく静養するため26日に医療施設もある元山の別荘に特別列車で出向いた。

   手術後、中国の医師から右手首の血止めバンドは1週間は装着してくださいと念を押された。公の場に出ると右手を振って挨拶をするが、そのときに血止めバンドが見えると、人民はあれは何だと大騒ぎになる。そこでバンドを外すまでは公の場に出ないことにした。そして20日ぶり、5月1日に順川(スンチョン)にあるリン酸肥料工場の完成式で顔見世をすることができた。そのとき、右手を振り手術痕がさりげなく見えた。あくまで空想の話である。

⇒4日(みどりの日)夜・金沢の天気   くもり

★ステイホーム飲み会の楽しみ方あれこれ

★ステイホーム飲み会の楽しみ方あれこれ

   東京都の小池知事が新型コロナウイルス対策に関する記者会見で、大型連休の12日間を「いのちを守るSTAYHOME(ステイホーム)週間」と呼びかけたのは先月24日だった。企業や事業主には12日間におよぶ連続休暇やリモートワークの促進を求め、都民には外出の自粛を強く促した。以来、ステイホームが言葉として全国的に定着した感がある。

   きのう(2日)「ステイホーム飲み会」を気心知れた仲間たちと楽しんだ。正午から4人がそれぞれにパソコン画面に向き合い、ビールや焼酎を片手に近況を語り合った(うち1人は仕事の関係でノンアルコール)。自身はとっておきのワインを話のネタにと選んだ。フランス・ボルドー産の「シャトー・モンペラ」。10年ほど前、日本テレビのドラマ『神の雫』に登場するワインで国内でも知られるようになった。グラスを何度か傾けるうちに顔が随分と赤くなり、目が虚ろになってきたのが画面で分かった。自らの姿が他の人にどう見えているかリアルに理解できること、これはPC飲み会の特徴だと自覚した。

   話題に上ったテーマの一つが「自宅のオフィス化」だった。アフター・コロナではリモートワーク(テレワーク)や在宅ワークがいっそう進み、自宅にオフィス空間を確保するという発想が必要になる。光ファイバーなど通信回線の確保はもちろんのこと、PCカメラを意識した背景の工夫もしなければならない。というのも、きのう使ったアプリ「Zoom」では背景をバーチャルリアリティに切り替えることができる。では、自宅オフィスが雑然としているからと安易にバーチャルリアリティに切り替えてよいものかどうか。とくに仕事の話をする場合だと最初から何かを隠しているような印象を相手に与えてしまうのではないだろうか。飲み仲間の一人の建築家の意見がとても参考になった。

   今回のPC飲み会ではそれぞれの自宅の回線容量がしっかりしていたせいか、画面がフリーズすることはなかった。問題は音声だと感じた。会話が弾むと、つい横から口をはさんでしまうものだ。対面での飲み会ではそれほど気にならないのだが、PCだと相手の音声を遮断することにもなり、会話のタイミングを見計らうという暗黙のルールが求められる。最初は自制心が効いていたとしても、飲むにつれてその気持ちは削がれる。こうなると会話が成立しなくなり、「場の戻し」が必要となる。今回その役回りをする幹事役を買って出てくれたのはITベンチャーの社長だった。「話がこんがらかってきました、いったんリセットしましょう」と何度か。

   正午に乾杯をして、「ではバイバイ」とPC画面が消えるまで2時間ほど。十分に酔い、会話を堪能させてもらった。ステイホームの新しい楽しみ方の一つだと実感した。ふと、外を眺めると快晴だ。人は日光を浴びて、紫外線を受けて体内にビタミンDをつくり、カルシウムの吸収を助ける。日光を浴びないと、逆に体は自分の骨を溶かしてカルシウムを得ようとするため骨粗しょう症になる。かつて聞いた話を思い出し、散歩に出かけた。

⇒3日(日)朝・金沢の天気    はれ時々くもり

☆「9月新学期」はグローバルスタンダード

☆「9月新学期」はグローバルスタンダード

   季節は5月になり、街ではこいのぼりを見かけるようになった。ただ、例年の大型連休と雰囲気が異なって、子どもたちの元気な声が聞こえてこない。新型コロナウイルスの緊急事態宣言で子どもたちも自粛しているのだろうか。

   学校の休校がさらに長期化しそうだ。金沢大学など多くの大学でも授業の開始が遅れたり、講義も対面ではなくオンライン化したりと現場が戸惑っている。また、日本政府が感染対策として170ヵ国余の発給済みのビザを停止する措置をとっていることから、来日できない留学生が続出している。いっそうのこと、新学期を9月、あるいは10月で仕切り直ししてはどうかと思ったりする。

   というのも、欧米やアジアの多くの国では新学期のスタートは9月なのだ。日本のように4月新学期はおそらく数少ない。このことは大学の関係者との間ではたまに話題に上る。「日本もグローバルスタンダードで足並みをそろえないと、優秀な留学生が来ないよね」などと。留学生が4月と9月のどちらを入学時期として選択するかと言えば、タイムラグのことを考えれば9月と考えて当然の発想だろう。すでに、日本の大学では日本語を学ぶ1年間の短期留学の受け入れは「9月入学」でカリキュラムを組んでいるケースが多い。逆に日本から海外に留学する場合も9月が新学期の方がよいということになる。

   では、簡単に9月新学期に移行が可能かと言えば、難問山積かもしれない。日本には「年度」という、4月に始まり3月で終わる仕組みがある。いわゆる、会計年度だ。国など官公庁や地域自治体はこの会計年度をベースとして予算を編成し、決算の会計処理する。とくに国公立の教育機関だと会計年度がずれるとややこしくなる。そもそも、学校教育法において学年は4月1日に始まり翌3月31日に終わると定めているので、法律の改正もともなう。

   社会全体に影響がおよぶことが予想されるものの、それでもやはり、新型コロナウイルスという災禍をチャンスとして「9月新学期」を導入してはどうかと考える。大学としても、学生の就活時期との兼ね合いなども出てくるだろう。民間企業もほとんどが3月期決算であり、入社は4月となっている。逆に9月新学期の移行を機に、企業の採用の有り様も通年採用へとシフトするかもしれない。9月新学期がグローバルスタンダードへの社会変革の口火となることを期待したい。

⇒2日(土)朝・金沢の天気    はれ

★「コロナとの共生」は人類の知恵か誤解か

★「コロナとの共生」は人類の知恵か誤解か

   今も感染拡大が続く新型コロナウイルスへの各国の防止対策の中で、独特なのはスウェーデンのやり方だ。日本のように「最低7割、極力8割」の外出自粛の要請も、あるいは欧米各国のようなロックダウンもしない。学校や企業も通常通りで、あくまでも個人の自主性を尊重するという独自路線をとっている。

          スウェーデンの対策のキーワードは「集団免疫」だ。集団免疫を獲得する方法が2つあり、それはワクチンと自然感染。今回ワクチンはまだ開発されていないので、自然感染を戦略として選んだ。これは人口の大多数がウイルスに感染することで、人の体内で抗体がつくられ感染が広がりにくくなる効果を狙っている。

   4月28日付の「USA TODAY」Web版はスウェーデン公衆衛生局コロナウイルス対策の責任者で、疫学者の アンダース・テグネル(Anders Tegnell)氏へのインタビュー記事を掲載している=写真=。見出しは「Swedish official Anders Tegnell says ‘herd immunity’ in Sweden might be a few weeks away」(意訳:テグネル氏はスウェーデンでの「集団免疫」は数週間先にと語る)。記事を以下まとめてみる。

    ストックホルムを含む首都人口の25%が新型コロナウイルスに感染して、あと数週間先には集団免疫を獲得する公算がある。積極的に集団免疫を目指したわけではなく、医療への負担を最小限にとどめる方策も勘案してこのような対策になった。商店営業など容認にしているので経済への影響は比較的少ない。

   インタビューの最後のコメントは印象的だ。「Coronavirus is not something that is just going to go away. Any country that believes it can keep it out (by closing borders, shuttering businesses, etc.) will most likely be proven wrong at some stage. We need to learn to live with this disease.」。(意訳)コロナウイルスは長期間存在する。国境を閉ざし、企業を封鎖してウイルスを排除できると考える国はいつか間違いに気がつくだろう。私たちはこの感染症と共生することを学ばなければならない。

   上記の記事を読むと理想的な疫学対応であり、人類の知恵のように感じてしまう。が、一方でスウェーデンでは感染者が2万1092人、死者2586人(4月30日・ジョンズ・ホプキンス大学集計)となり、厳格な外出規制を実施している隣国のフィンランドなどと比べて高い致死率だ。このままの戦略で良いのか、と思ってしまう。

   WHOが29日に行った記者ブリーフィングで、緊急対応責任者がスウェーデンの集団免疫の効果について記者から質問を受け、こう返答している。「感染が広がったエリアでは免疫を持つ人のパーセンテージは低い傾向にあるのではないか」「一時的に治まってもウイルスの勢いはぶり返す可能性もある」と述べている(WHO公式ホームページ会見動画)。

⇒1日(金)午後・金沢の天気   はれ時々くもり

☆コロナ的日常が創り出すビジネスと新語

☆コロナ的日常が創り出すビジネスと新語

   今ではオンラインがすっかり定着した感がある。金沢大学でも「5月6日まで対面での授業は実施しない」との新型コロナウイルスの予防対策がとられ、オンラインでの講義が中心となっている。大型連休に入ってからは、「オンラインで飲み会をやろう」という輩(やから)もいて、それも「昼から」だという。きのうのことだ。30分ほどだったが画面に顔出しをした。会話が弾み、この時初めて意識したことは、飲み会とは本来「近況を語り合う会」なのだ、と。

   この飲み会の中で、「オンライン・ソムリエ」が話題になった。金沢のワイン・バーのソムリエがネットで客とつながり、客の自宅の食卓に並ぶ料理に合うワインの銘柄などを解説してくれるという。自宅にいながらにして「マリアージュ」の楽しみ方が学べる。確かに、ワインのソムリエからはグラスに注いでもうらうだけではなく、そのワインの歴史やエピソードなどの語りが面白い。参加者から「ハッピータイムだね」と声も上がり、雰囲気が盛り上がった。

   そのワイン・バーは夜の営業は今月11日から自粛しているが、その代わり午後2時から7時まで店を開いて貯蔵しているワインを販売している。きょう午後、オンライン・ソムリエの店に行った。ネットお客と会話が始まっていた。ソムリエはオーストラリアのワインについて説明していた。「最初にブドウの木が植えられたのは1788年で、場所はシドニーにだったそうです」とまるでカウンター越しに話しかけているようだった=写真=。

   話のルールはただ一つ、コロナウイルスの話はしないことだそうだ。「話がマイナスのイメージばかりになるので避けています」と。プロの世界はリアルでもオンラインでも話が面白い。これは新しいビジネスではないか、そう実感した。ちなみにオンライン・ソムリエの利用は20分間で2000円、ワインは客が自分で購入する。帰りに店でワインを数本購入した。

   帰宅すると、高校時代からの友人が訪ねてきてくれた。先日(27日付)ブログで金沢市内のドラッグストアを4軒回ったもののマスクが販売されてなかったと書いたが、それを読んでわざわざ新品のマスク(5枚セット)を持参してくれたのだ。「マスク・パトロールばかりやっていると感染するから注意しろよ」とアドバイスがあった。マスク・パトロールという言葉を初めて聞いた。マスクを求めて、店を探し回ることを意味するそうだ。それが、3密(密集、密閉、密接)」のもととなる、とか。気遣ってマスクをプレゼントしてくれた友人にお礼として購入したワイン1本を持って帰ってもらった。

   コロナ的な日常はオンラインとうビジネスチャンスと新しい言葉を創り出している。そのひとコマを記した。とくに話の文脈はない。

⇒30日(木)午後・金沢の天気    はれ

★「中国に感謝」テドロス会見から読めること

★「中国に感謝」テドロス会見から読めること

   前回に続き、気になった記者会見をもう一つ取り上げてみる。WHOのテドロス事務局長が現地時間27日にスイス・ジュネーブの本部でインターネットを通じ行った会見だ。WHOの公式ホームページをチェックすると会見のテドロス氏の ブリーフィングの内容と記者からの質疑の様子が動画で掲載されている=写真=。 

         ブリーフィングの前段は一般論でウイルスを制御するためにはワクチンが必要と訴えている。ワクチン接種率が下がると、麻疹(はしか)やポリオなどの生命にかかわる病気で多くの集団発生が起こると警鐘を鳴らしている。後半から新型コロナウイルス感染に対するWHOの対応を述べている。その中で気になる文言が、「I would like to thank the People’s Republic of China, Portugal and Viet Nam for their recent contributions to WHO’s Strategic Preparedness and Response Plan.」だ。WHOへの活動に貢献する中国、ポルトガル、ベトナムに感謝する、としている。

   確かに、中国は今月23日にWHОに対し感染対策として3千万㌦を寄付すると発表した。これまで表明していた2千万㌦に加えて合計5千万㌦、日本円で53億円の寄付となる(今月24日付・NHKニュースWeb版)。テドロス氏が中国に感謝するのは理解できるが、ポルトガルとベトナムはどのような貢献なのか読めない。「中国寄り」との批判をかわすための付け足しなのかと勘繰ってしまう。

   ブリーフィングの締め括りは、「We can only defeat this virus through unity at the national level and solidarity at the global level.(私たちは国家レベルでの団結と世界レベルでの連帯を通じてのみこのウイルスを倒すことができます。)と強調している。裏返せば、世界が団結に至っていないので、感染者は310万人、死者は21万人(28日現在、ジョンズ・ホプキンス大学CSSE集計)のパンデミックになっているのだ、とも読める。

   穿(うが)ち過ぎとの指摘を受けるかもしれないが、アメリカのトランプ大統領はWHOの一連の対応が中国寄りと批判し、一時的に資金(4億㌦)の拠出を停止する考えを示している。そこで、テドロス氏は国名を名指しこそしなかったが、団結を乱したアメリカで感染者100万人、死者が6万人も出ているのは自業自得だ、と皮肉っているようにも読める。

   このブログでも何度か述べたが、テドロス氏はWHOの緊急事態宣言を「時期尚早」と見送った(1月23日)。これが感染拡大の原因の一つと問題視する見方が世界で広がった。最近ときおり閲覧する、署名サイト「Change.org」でテドロス氏解任キャンペーンが展開されている。きょうチェックすると100万を上回る署名が集まっている。

⇒29日(祝)午後・金沢の天気    はれ時々くもり