☆ワクチンパスポート申請は「勇み足」なのか

☆ワクチンパスポート申請は「勇み足」なのか

            新型コロナウイルスのワクチンを無事に2回接種し、副反応もなかったことから知人たちと海外旅行に行こうかとオンランでやりとりをしている。きょう26日から全国の自治体で「ワクチンパスポート」の申請の受け付けが始まるというので、さっそく午前中に金沢市役所に郵送で申し込んだ。知人たちから「えっ、旅行先もまだ決めていないのに、急ぐ必要はないよ」「あせることはない」とたしなめられた。確かに、旅行先すら決まっていないのに。これは自身の性格だ。体よくいえば「先手必勝」、悪く言えば「勇み足」「先走り」。

   ワクチンパスポートはワクチン接種を受けたことを証明するものだ。これを入国時に提示すると、隔離措置などが免除される。ただし、当面はイタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5か国のみで、今後相手国の確認が取れれば随時公表していくとしている(外務省公式ホームページ)。

   必要書類は金沢市役所の公式ホームページに記載されている。まず、ホームページから交付申請書をダウンロード。その他に旅券、接種した病院が発行した予防接種済証(臨時)、マイナンバーカードか運転免許など住所を明示するもの、それぞれコピーの一式をそろえた。返信用の封筒に切手を貼って同封して、近くの郵便局で投函した。市のホームページには「受付から接種証明書の発行までは1週間程度要します」と記載されている。来月の初旬にはワクチンパスポートが自宅に届くだろう。

   知人たちとのその後のメールのやりとり。自身は今月18日にワクチン接種の2回目を終えて安堵しているのだが、一人からこんなメールが。「接種を終えたからといって安心できないよ。毎日酒を飲んでいると抗体ができにくいらしい」と。これにはまたひと騒ぎが起きた。その知人が送ってくれたURLは読売新聞Web版の記事(6月6日付)だった。以下要約。

   千葉大医学部付属病院は、同院職員を対象とした新型コロナウイルスワクチンの有効性を調べる研究の経過報告を発表した。ファイザー社製ワクチンを2回接種した1774人のうち、99.9%の人に抗体の量を示す「抗体価」の上昇がみられたという。抗体価が上がりやすかったのは、コロナの罹患歴がある人や女性、抗アレルギー薬を内服している人。一方、副腎皮質ステロイドの内服や頻繁に飲酒をしている人などは、抗体価が上がりにくいことも分かった。ただ、同院は「十分な量の抗体ができていると考えられる」としている。

   上記の記事では「頻繁に飲酒をしている人などは、抗体価が上がりにくい」と記されている。続けて、「十分な量の抗体ができていると考えられる」とも書かれている。実に微妙な言い回しだ。知人たちは疑心暗鬼に陥った。本当は飲酒者には効果が低いのだが、正直にそのように報告書に掲載すると、社会が混乱する。そこで、「十分な抗体ができていると考えられる」とあえて付記しているのではないか、と。そもそも、「考えられる」は逃げの表現だ。

   オンラインでやり取りしている知人たちは皆、酒飲みだ。中には、繁華街に出る回数が減った分、毎日の家飲みが習慣化して家族関係が微妙になったと告白する輩もいる。ワクチンを2回接種したからと言って安心はできない、ということだ。ワクチンパスポートを持っているからと言って、抗体や免疫が担保されなければ意味がない。海外で感染すれば元も子もない。

   午前中の盛り上がりが午後には一転、海外旅行の話は急にトーンダウンしてしまった。ワクチンパスポートの申請はやはり「勇み足」だったのか。(※イラストは厚労省公式ホームページより)

⇒26日(月)午後・金沢の天気     はれ時々くもり

★五輪に野球復活、レジェンドの点火リレー

★五輪に野球復活、レジェンドの点火リレー

   東京オリンピックの開会式のシーンで感じたことの続き。NHK番組の解説者が説明していたように、今回のオリンピックでは3大会ぶりに野球とソフトボールが復活した。そのシンボルとして登場したのであろう、球界のレジェンドである松井秀喜氏と長嶋茂雄氏、そして王貞治氏の3人が新国立競技場内での聖火ランナーとして登場した。

   その姿は含蓄が深かった。脳梗塞を患い右半身にマヒが残る長嶋氏の体を松井氏が支えての登場だった。松井氏がトーチキスで聖火を受け取ると、王氏がトーチを掲げ、3人はゆっくりと歩調を合わせながら行進を始めた。47歳の松井氏はジャイアンツ時代の恩師でもある85歳の長嶋氏に寄り添い、そして81歳の王氏はときに手を差し伸べていた。数分して、最後は松井氏から次の走者である医療従事者2人に聖火をつないだ=写真、NHK番組=。聖火が渡ると、一瞬だったが、長嶋氏は笑顔を見せた。

   解説者はコメントしていた。長嶋氏は2004年のアテネオリンピックの野球日本代表の監督に就いていたが、予選後に脳梗塞で倒れた。代わりに中畑清ヘッドコーチが指揮を執ったが、長嶋氏にとっては、五輪出場が長年の夢だったのかもしれない、と。

   松井氏が長嶋氏に寄り添っている姿を見て、1992年11月に行われたプロ野球ドラフト会議のシーンがよみがえる。自身が民放のテレビ局時代、松井氏は星稜高校のスター選手だった。石川大会で4本塁打を3大会連続で放った「怪物」だ。さらに、1992年8月、夏の甲子園大会の明徳義塾高(高知)戦で5打席連続で敬遠され、強打者ぶりが「甲子園伝説」にもなった。その年のドラフ会議。長嶋氏は13シーズンぶりに巨人の監督に復帰していた。4球団から1位指名を受けた松井氏。抽選で交渉権を獲得したのは長嶋氏だった。このとき誰しもが2人の運命的な出会いを感じたに違いない。

   その後、2人は2013年5月、国民栄誉賞を同時に授与される。さらに、今回こうして東京オリンピックの開会式に立った。まさに、点火リレーは絆(きずな)が輝いた瞬間だった。

⇒25日(日)午後・金沢の天気     はれ

☆ゆっくり多様化する日本のシンボル

☆ゆっくり多様化する日本のシンボル

   前回の東京オリンピックは1964年に開催された。自身がちょうど10歳で、ものごころが付いた時期なので、鮮明ではないにしろ、印象に残っている場面もいくつかある。このオリンピックを視聴するために、我が家ではそれまでの白黒テレビをカラーテレビに買い替えた。なので、入場行進のとき、日本選手団は赤の上着にズボンやスカートは白だったことも印象に残っている。「東洋の魔女」と呼ばれていた女子バレーボールチームが当時のソビエトに勝って金メダルを獲得した時は、カラーテレビを持っていなかった近所の人たちも見に来ていて、いっしょになって「よっしゃ、よっしゃ」と喜びを分かち合った記憶も脳裏の片すみにある。

   当時はカラー化と同時に、見せる技術としてスローVTRが導入されて、勝敗を決めた決定的な瞬間をゆっくり繰り返すことで視聴者の視覚と心に訴えた。現在ではスポーツ番組でスローVTRは当たり前のシーンだが、当時は画期的だった。では、今回の東京オリンピックのテレビの最新技術とは何だろう。国際映像を供給する五輪放送サービス(OBS)はインテルなどと協力し、仮想現実(VR)や人工知能(AI)を使い、陸上短距離で選手がどの瞬間に最高速度に達したかを表示する新技術も導入するという。アスリートに小型センサーをつけて選手の心拍数も視聴者に伝えという試みもある(7月10日付・共同通信Web版)。「新たな視聴体験」として、見るだけではなく、アスリートの肉体に接近することで競技の醍醐味をよりリアルに感じとることができるようだ。楽しみだ。

   きのう午後8時からの開会式を点火式が終わるまでNHKテレビで見た。印象に残るシーンをいくつか。序盤に、入場行進が始まる前のカウンドダウンがあり、最後のゼロはなんと新国立競技場が上空から映し出された。確かに空から見ると「0」に見えるのだ。ある意味でだじゃれなのだが、相当凝ったスケールの大きな演出ではある。

   ミーシャーが「君が代」を歌い終え、各国選手団による入場行進が始まる。旗手を先頭に和やかな表情で小旗を振りながら、もう一つの手にはスマホを携える選手も多くいた。57年前の整然としたイメージの行進ではなく、世紀前という時代の流れを感じさせる。それぞれの国の衣装も面白い。色とデザインの派手さでカメルーンだろうか。そして、意外と工夫を凝らしたのイタリアで、三色の国旗を丸いデザインで表現していた。日本の国旗をイメージしているのだろう。マスクにも工夫のあるものが多かった。

   最終点火者を務めたのはテニスの大坂なおみ選手だった。なんとなく予感はしていた。大坂選手がツイッターで、全仏オープンの記者会見を拒否し、6月2日予定の2回戦を棄権すると明らかにしたことが波紋を広げていた。その後、全英オープンも欠場し、東京オリンピックには出場の意向を示していた(6月18日付・BBCニュースWeb版日本語)。おそらくこのころすでに最終点火者の打診があったのだろう。大坂選手は24日未明のツイッターで「Undoubtedly the greatest athletic achievement and honor I will ever have in my life.」(意訳:間違いなく、今後の人生の中で、アスリートとして最も名誉なこと)と投稿している=写真=。

   そして、日本選手団の旗手を務めたのはバスケットボールだった八村塁選手だった。日本のプロスポーツを代表し、世界で活躍する2人。開会式での2人の姿は、ゆっくりと多様性が増している日本を象徴する「出来事」かもしれない。

⇒24日(土)朝・金沢の天気   はれ

★「復興五輪」感動の物語は始まるも、組織委の迷走止まず

★「復興五輪」感動の物語は始まるも、組織委の迷走止まず

   東京オリンピックの開会式に先立ってきのう21日始まったソフトボールの試合を民放の昼のワイドショーで日本対オーストラリア戦を放送していた。初回でデッドボールが連続して先制点を与えたが、すぐにピッチャーを囲むように選手たちが集まった。オリンピック3度目のピッチャーは気を取り戻したのか別人のように鋭い投げで立ち直る。打線もその裏で同点に追いつき、結局は5回コールド勝ちで初戦を飾った。スポーツのドラマには感動する。

    このソフトボールの競技場は福島県営あづま球場だ。東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいとの想いを東京オリンピックに込めて、「復興五輪」とも称している。福島での開催の意義を改めて考えさせてくれた試合でもあった。

   ただ、オリンピックの大会組織委員会の迷走は続く。オリンピックの開会式でショーディレクターを務めるコメディアンの小林賢太郎氏が、ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をパロディーにしたコントの動画がインターネット上で拡散していることから、アメリカのユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は21日、「反ユダヤ主義の発言」として非難する声明を発表した。これを受けて、大会組織委員会はきょう22日、小林氏を解任した(7月22日付・NHKニュースWeb版)。

   問題となった動画をネットでチェックする。1998年に発売されたビデオで、お笑いタレント2人によるコント。人の形に切った紙が数多くあることを説明するのに「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」と口走っている。すると、会場から笑い声が聞こえる。不自然なのは、笑いを誘うような話の流れでもなく、しかも早口で突然に「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」とコメントが出てくる。初耳の観客は言葉の意味を理解できるだろうか。理解すればおそらく笑えない。つまり、このコメントが会場で受けたかのように演出するための付け足しの笑いの音声だろう。

   このことからも理解できるように、「演出」というのは笑いや感動のためなら、常識や倫理観、正義といったものを封殺するケースがままある。それが今回のような失敗のもとになったりする。「策士、策に溺れる」の例えがある。冒頭のスポーツのドラマとは真逆だ。オリンピックの演出チームが辞任に追い込まれるのはこれで3人目となる。統括責任者を務めるクリエーティブディレクターが、出演予定だったタレントの容姿を豚に見立てた屈辱問題。そして、作曲家が問われたのは、子どものころの障がい者へのいじめを自慢気に雑誌に語った差別問題だった。負の連鎖反応は止まない。

⇒22日(木)午前・金沢の天気    まれ

☆さいはての芸術祭 美術の最先端

☆さいはての芸術祭 美術の最先端

   能登半島の尖端に位置する石川県珠洲(すず)市でことし9月に開催される「奥能登国際芸術祭2020+」の市の担当者から先日、パンフレットを手渡しでいただいた。本来は昨年2020年の秋に開催だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で1年間延期となっていた。パンフに会期が9月4日から10月24日と記されていたので、「開催まで50日を切り、いよいよですね。前回(2017年)は『最涯(さいはて)』がテーマでしたが、今回は何ですか」と尋ねると、担当者は「大蔵ざらえなんですよ」と。「大蔵ざらえって、店仕舞いのセールスのときに使う言葉ですよね」と確かめると、「そうです。大蔵ざらえがアートになるんです」とにやりと笑った。

   パンフのメインの写真は、風でうなだれた海辺の松の木の下に六曲屏風や木桶、旧式のテレビ、壺などが置かれたものだ=写真=。よく見ると、「塩」と書かれた看板がある。珠洲は揚げ浜式塩田が栄えた土地なので、この家はかつてその塩を販売していた家なのかと想像した。不思議なもので、古い家具や道具などを見ると、つい、それを使っていた人々や生業、日常というもの思い浮かべてしまうものだ。では、それをどのようにアートにするのか。

   市内の廃校となった小学校体育館に家庭の蔵や納屋、押し入れやなどに眠っている古道具などのモノを集められ、それをもとにアーティストたちがいくつかの作品に仕上げていく。これに市民もサポーターとして参加し、古道具の搬入や、作品づくり欠かせない紐(ひも)を古着や古い布を材料につくるなど協力している。これまで市内の65軒から1500点を超える民具を収集したそうだ。

   これを「大蔵ざらえプロジェクト」と名付けて発案したのは芸術祭の総合ディレクター、北川フラム氏のひらめきだという。パンフはこう解説がある。

「陸や海の交易などにより珠洲にもたらされた文物は、時代とともに使われる機会が減り、その多くが家の蔵に保管されています。過疎、高齢化が進む珠洲では『家じまい』も進んでいます。江戸、明治、大正、昭和、平成、各時代の文物を珠洲じゅうから集め、アーティストと専門家が関わり、モノが主役の博物館と劇場が一体化した『スズ・シアター・ミュージアム』が誕生します」

   珠洲市は高齢化率が50%を超え、空き家や高齢世帯の増加が深刻な問題になっている。その中から、これまでになかった新たなアートの可能性を見出していく。北川フラム氏がよく使う言葉は、「失われゆくモノから新たな社会共通資本をつくろう」だ。そして、「大蔵ざらえプロジェックト」と銘打って、古道具アートの展示場を、劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」と名付けた。

   奥能登国際芸術祭は「最涯(さいはて)の芸術祭、美術の最先端。」のキャッチで、16の国と地域から53組のアーティストが参加する。現場ではすでにアーチスト・イン・レジデンスによる作品づくりで、市民も巻き込んで盛り上がっているようだ。

   ちなみに、同市の人口は1万3400人で、石川県19市町のトップを切って4月13日に新型コロナウイルスのワクチン接種をスタートとさせ、8月中には中学生以上の希望者全員の接種を終える予定だ。感染者の累計は4人と県内でもっとも少ない。9月4日に始まる芸術祭を意識してコロナ対策の先手を打ってきたことが奏功している。

⇒21日(水)午後・金沢の天気      はれ

★つまずき迷走する東京オリンピックに七転八起はあるか

★つまずき迷走する東京オリンピックに七転八起はあるか

   このところ、東京オリンピックの開催をめぐる「つまずき」の話題が多い。きのう午後、金沢市にある石川県地場産業振興センターで会議があり、別件で地元テレビ局の関係者と会った。その折、聞いた話。「きょうトヨタがオリンピックのCMを出さないと発表したんです。ギョーカイ(テレビ業界)にはショックが走ってますよ」と。さらに尋ねると、トヨタは東京オリンピックの大口スポンサーでもあるが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中での開催の是非について世論が割れていることから、オリンピック関連のテレビCMを見送ることにしたようだ、と。CMはすでに完成していて、流すだけになっていたが、すべてキャンセルされたという。

   「おそらく他のスポンサーも追随するのでは」と。確かにテレビ業界とすれば、ショックだ。オリンピックのようなビッグイベントはCMの稼ぎ時なのだが、トヨタのキャンセルで、スポンサーの自粛ムードは一気に広がるだろう。「でも、これまでテレビ局側も開催には冷ややかな論調があったよね。返り血を浴びたとうことかな」と返すと、「そう言えるかもしれない」と少々顔をしかめた。それにしても、「ACジャパン」であふれるテレビはいかがなものか。

   東京オリンピックは開会式が4日後に迫っているが、開会式のセレモニー楽曲を担当する作曲家グループの1人が急きょ辞任するというハプニングに見舞われている。大会組織委員会は19日、ミュージシャンの小山田圭吾氏について、過去に雑誌のインタビューで明かした学生時代のいじめの告白をめぐり、本人から辞任の申し出があり受理したと発表した(7月20日付・NHKニュースWeb版)。イギリスのBBCニュースWeb版(7月20日付)も「Composer Keigo Oyamada resigns over bullying at school」の見出しで発信している=写真=。小山田氏は52歳、20数年も前に雑誌で語った「bullying at school」(学校でのいじめ)でなぜ辞任しなければならなかったのか、その背景は何か。

   ネットでさらに調べると、問題の根深さを感じる。問題となったのは、音楽雑誌『ロッキング・オン・ジャパン』(1994年1月号)でのインタビュー。小中学時代の思い出の中で、知的障がい者に対して、「ウンコを喰わしたりさ。ウンコ喰わした上にバックドロップしたりさ」などと笑いながらの語りが綴られている。ほかにも、雑誌『Quick Japan』(1995年8月発行・第3号)の「いじめ紀行」という記事の中や、『月刊カドカワ』(1991年9月号)でも小山田氏は障がい者に対するいじめや罵倒についてインタビューで答えている。

   それにしても、なぜ雑誌の記者は障がい者に対する「いじめ」をテーマにインタビューし掲載したのか。以下憶測だ。おそらく、インタビューした側は、笑いながら語った「いじめ」の話を小山田氏のキャラ(個性)と勘違いしたのだろう。つまり、お笑い芸人の「いじり」程度と捉えた。取材する側にとっては過去のことであり、いじめの現場を見ていたわけではないので、「いじめ」と「いじり」のボーダーラインの見極めがつかなかったのではないか。

   成長過程にあった子どものころの「いじめ」を大人になって自慢気に語る行為はこれまで問題視されてこなかった。しかし、平和の祭典という東京オリンピック・パラリンピックの理念から小山田氏の行動を精査すれば、障がい者への「いじり」や「いじめ」は完全にNGである。ことし3月、オリ・パラの開閉会式の統括責任者を務めるクリエーティブディレクターが、演出チームとのSNS上のやり取りで、出演予定だったタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するような豚に見立てた、「いじり」の演出案を提案したことが発覚して辞任に追い込まれている。

   そもそも、ことし2月に大会組織委員会の会長だった森元総理が女性蔑視ととれる発言で辞任している。つまずいてばかりの東京オリンピック。果たして七転八起は可能なのか。

⇒20日(火)午後・金沢の天気        はれ時々くもり

☆数字が止まらない 生活の泣き笑い

☆数字が止まらない 生活の泣き笑い

   このところ石川県内もうだる暑さだ。金沢地方気象台のデータによると、きのう18日は県内11の観測地点すべてで最高気温が30度を上回った。能登半島の七尾市では34.9度を記録した。金沢市も32.4度だった。街中を車で走行すると、運転席の外気温は33度を表示していた。気象台はきょうの予想最高気温を金沢で34度としている。そして、「熱中症警戒アラート」を3日連続できょうも発して、注意を呼び掛けている。

   金沢市内で利用しているカソリンスタンドのきょうの価格を見ると、1㍑158円だ=写真=。まもなく160円台になるのか。昨年のいまごろは新型コロナウイルスの感染拡大を警戒して不要不急の外出自粛やリモートワークなど「巣ごもり」の生活スタイルが広がっていた。このため、ガソリン需要が減り、一時120円台だったと記憶している。このところ価格が反転しているが、今後どうなるのか

   NHKニュースWeb版(7月18日付)によると、サウジアラビアが主導するOPEC(石油輸出国機構)と、ロシアなど非加盟の産油国は18日、8月以降の原油の生産量を協議した。新型コロナウイルスの影響で一時、落ち込んだ世界の原油需要は、経済活動の再開やワクチン接種の広がりにともなって増加していて、OPECは、世界の石油の消費量が来年には感染拡大前の水準に回復すると見込んでいる。これを受けて、会合では協力して続けている減産の規模を縮小し、生産量を8月以降毎月、日量40万バレルずつ増やしていくことで合意した。

   景気回復への期待から原油価格は上昇傾向にあるようだが、ガソリン価格などはこれ以値上げしてほしくないというのが庶民の願いだ。

   熱くなる数字もある。アメリカ大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が18日のマリナーズ戦で、シーズン後半戦で初となる34号ホームランを放った。大谷選手のホームランは、オールスターゲームを挟んで5試合ぶりで、この時点で両リーグを通じ2位の選手に3本差をつけてトップを走っている(7月19日付・NHKニュースWeb版)。

   そして寒くなる数字も。週明けの19日の東京株式市場は午前中、日経平均で一時、500円以上値下げた。変異ウイルス「デルタ株」の感染が急速に拡大する国が相次いでいることから、世界経済が減速することへの懸念が強まっている。ワクチン接種率が53%のイギリスでも18日は1日の感染者が4万8161人になった。16日と17日には1月半ば以降で初めて感染者がそれぞれ5万人を超えている(7月19日付・BBCニュースWeb版)。パンデミックが治まらない。

⇒19日(月)午前・金沢の天気      はれ

★ワクチンは「論より証拠」 次は抗体検査

★ワクチンは「論より証拠」 次は抗体検査

   きょう2回目のワクチン接種を金沢市内の病院で受けた。午前9時30分ごろ、病院に到着して受付窓口に。指定されたイスに着席すると、小型ワゴンを押しながら女性看護師2人が近づいてきた。1回目(6月27日)と同じ方式で、接種を受ける側は座ったままで、看護師が会場内を移動して接種する。病院に入って、5分後には接種が完了した。

            接種後は15分間、9時50分までイスに座り経過観察。用紙には「気分が悪くなってきた。座っているのがしんどい」「息切れがする。咳が出る」「じんましんや皮膚のかゆみがでてきた」などの体調の変化や自覚症状を感じた場合にはスタッフに告げてくださいとある。知人の何人かからは、「2回目がしんどかった」と副反応のことを聞いていたので身構えていた。

   15分間で思いついたことだが、2回目の接種を終えて2週間経つと抗体ができて新型コロナウイルスにはかかりにくくなると言われている。だったら、東京オリンピックの競技会場はほとんどが無観客となっているが、2回接種済みで2週間後の人たちは観戦可能としてはどうだろうか。接種後には「ワクチン予防接種済証(臨時)」を各病院が発行する。このシートを「パスポート」の代わりに使えばよいのではないだろうか。何しろ、ワクチン2回接種済みは2576万人で人口の20%、うち65歳以上の高齢者は1917万人と54%だ(7月15日現在、総理官邸公式ホームページ)。無観客は少々もったいない気がしないではない。。

   接種から15分間経過したが体調の変化や症状もないのでイスから立ち上がり、出口の受付へ。前述の「ワクチン予防接種済証(臨時)」をシートに貼ってもらった。副反応もなく、これで完了。すると、一枚のチラシが渡された。「新型コロナウイルス抗体検査のおしらせ」とある。読むと、「ワクチンをうった効果が感じられない」「効果を数値で確かめたい」「本当に抗体ができているのか」と思っている接種者向けに血液検査をして、抗体を持っているかを調べる、とある。料金は保険適用外で税込み6000円だ。

   さらに説明によると、ワクチン接種でヒトの細胞内にスパイクタンパク質(ウイルスのトゲトゲの部分)をつくる。このトゲトゲの構造に人体の免疫系が強く反応することで、ウイルスの感染に対する抵抗力、つまり抗体が獲得できる。スパイクタンパク質だけではウイルスとなることはないので、感染はしない。

   この抗体検査ができるのはきょうから2週間以降で、検査によって「過去の感染」や「抗体の有無」が確認できるという。論より証拠。この際、勉強だと思って抗体検査を受けてみることにした。

⇒18日(日)夜・金沢の天気      はれ

☆「あたりめ」がほろ苦く感じるとき

☆「あたりめ」がほろ苦く感じるとき

   先日金沢市内のス-パーで酒のつまみにと思い、「あたりめ」を買った。パッケージには「この商品はするめいかを原料にしています」と書かれてあり、丁寧な商品づくりをしているとの印象だった。ところが、裏面を見ると、「原産国名」が「中国」とある=写真・上=。複雑な思いを抱きながら、あたりめを噛みしめた。

   日本海のスルメイカの漁場は大和堆だ。日本のEEZ(排他的経済水域)なのだが、中国漁船が大挙押しかけ、能登半島などから出漁する日本漁船に打撃を与えている。日本側はスルメイカのイカ釣り漁の漁期を6月から12月と定めているが、日本の漁船に先回りして、中国漁船は4月から大和堆などに入り込んで漁場を荒らしているのだ。

   この中国漁船による違法操業での漁獲は15万㌧(2020年)と国立研究開発法人水産研究・教育機構は推測している。これは、日本漁船による2019年の漁獲量の10倍以上に当たる(2020年10月15日付・日刊水産経済新聞Web版)。日本のイカ釣り漁とは違って、中国漁船は大きな網を2隻の船が対になって引っ張る「二艘曳き」と一網打尽の漁法だ。

   では、どのくらいの数の中国漁船が日本海に入ってきているのか。衛星データで漁船の動きを調査するグローバル海洋保護非営利団体「Global Fishing Watch」(GFW、ワシントン)は、2019年で800隻が北朝鮮海域に入っていると分析している。中国の漁船は集魚灯を使うので、中国からの海洋での照明の動きを追うと、次第に北朝鮮の漁業海域に集まって来る様子が画像で分かる。

   北朝鮮海域に中国漁船が集まるのは、中国の漁業者が北朝鮮から漁業許可証を購入しているからだと言われる。これまで北朝鮮は国連海洋法条約の締約国ではないことをタテにEEZ内で違法操業を繰り返してきた。中国漁船はその「権利」も購入したとの勝手解釈なのだろう、北に取って代わってEEZでの違法操業を行っている。そもそも、北の核実験に対応した2017年の国連制裁決議には漁業権の取引も含まれ、買い取りそものが違反なのだが。

   水産庁の漁業取締船と海上保安庁の巡視船が大和堆を中心に見回りを行っているが、水産庁が中国漁船に対して行った2020年の退去警告数は延べ4393隻と発表している。仮に中国漁船を800隻とカウントすれば、1隻当たり5回以上も警告を発していることになる。中国漁船がこれ以上増えれば、水産庁と海上保安庁の対応能力が追い付かなくなるのではないだろうか。(※写真・下はEEZ内の違法操業船に放水措置を行う水産庁漁業取締船=水産庁公式ホームページより)

   スルメイカを中国から輸入して製造した「あたりめ」だ。そう考えながら噛みしめるとほろ苦さを感じる。中国産のスルメイカがすべて違法と言っているわけではない。

 
⇒17日(土)夜・金沢の天気      はれ

★「蓮は泥より出でて泥に染まらず」

★「蓮は泥より出でて泥に染まらず」

   JR金沢駅の西口広場に「蓮池」があり、いまが見頃と知人から聞いて、きょう午前中、さっそくカメラを携え訪れた。水面に葉を浮かべ、水底から茎を伸ばして白とピンクのツートンカラーの花びらが輝きを放っている=写真・上=。「蓮(はす)は泥より出でて泥に染まらず」という教訓めいた言葉がある。水面下はドロ沼ではあるが、清らかで美しく咲く姿に、いにしえより人々は自らの人生を想いながら「蓮の如く人生の花を咲かせたい」と願ってきたのだろう。金沢駅前のビルに囲まれた「蓮池」でも、山のふもとの寺院の池であっても、ハスの存在感には変わりなく、時空を超えた趣があった。

   自宅に戻ると、テレビの新型コロナウイルス関連のニュースが耳目を引いた。WHOのテドロス事務局は会見で、感染拡大初期のデータが中国から得られず、ウイルスの起源の調査に支障が出ていると指摘し、中国に対して透明性を高め、オープンかつ協力的になるよう求めると発言した(7月16日付・テレビ朝日ニュース)。さらにネットで調べると、イギリスのBBC(同日付)は、テドロス氏は「医療専門家として、武漢の研究所からウイルスが漏れる事故は起こり得ると考えている」と述べたと記事にしている。

   「中国寄り」とされるテドロス氏にしては随分と中国を刺激する発言だ。そもそも、露骨な中国寄りをが問題になったのは、2020年1月のこと。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国でコロナ感染者が拡大していたにもかかわらず、1月23日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送ったことがきっかけだった。

   テドロス氏の心境の変化を知りたくなり、WHO公式ホームページで会見内容をチェックする。このような一文だった。「 I agree that finding the origins of this virus is a scientific exercise that must be kept free from politics.For that to happen, we expect China to support this next phase of the scientific process by sharing all relevant data in a spirit of transparency. 」。以下意訳。このウイルスの起源を発見することが政治と切り離して行う、科学的な実証作業であることは言うまでもない。そのためには、中国が透明性の精神をもってすべての関連データを共有し、科学プロセスの次の段階を支援してくれることを期待する。

   テドロス氏はさらに。「it’s also important as an obligation to the families of the 4 million people who have lost someone they love, and the millions who have suffered.」。(ウイルスについて究明することは) 愛する人を失った400万人の家族や、苦しんでいる数百万人の人々への義務としても重要だ。

   上記の言葉からは慈愛を込めた研究者の精神がうかがえる。もともとテドロス氏はロンドン大学で感染症の免疫学の修士、ノッティンガム大学で保健学の博士号を取得した医学の研究者で、専門はマラリアだ(Wikipedia「テドロス・アダノム」)。BBC記事にあるように、ここにきて「medical professional」 としての自意識が頭をもたげてきたのではないだろうか。

   これまでの中国との癒着のドロ沼から踏み出て、新型コロナウイルスの感染阻止にまい進する研究者の姿勢を貫くならば評価したい。まさに「蓮は泥より出でて泥に染まらず」だ。 (※写真・下は、WHO公式ホームページ7月15日付「プレス・カンファランス」の動画より)

⇒16日(金)夜・金沢の天気   はれ