★処暑の候 能登の山ものがたり2題(再録)
前回に引き続き、「処暑の候」をシリーズで。能登半島で見て聞いた山の話を2題取り上げる。
2017年11月2日付「林業のイメージが変わる」より。これまでの林業のイメージがガラリと変わった。山林での木の切り出しは、林業機械「ハーベスター」=写真・上=で立木の伐倒、枝払い、玉切り(規定の寸法に切断)、集積がその場で行われる。まさに1台4役なのである。これまで伐採や枝払いはキコリの職人技とばかり思っていたが、まるでロボットが山で働く光景だ。
アテ(能登ヒバ)とスギの50-60年の人工林だ。ハーベスターが機敏に動いている。枝払いなどは1秒で5㍍もアッという間に。ディーゼルエンジンに直結した発電機で発電し、モーターを駆動させる。1回の給油(軽油)で160㍑、2日でなくなるので1日当たり80㍑の計算だ。現地を案内してくれた能登の林業者は「道づくりは山づくりなんです。道づくりによって、山の資産価値も高まるんです」と。なるほど、その道づくり(森林作業道)も別の重機でこなしていく。山にマシーンは欠かせない。
丸太切りで造材された木材は木材市場に運ぶのではなく、渡場(ドバ)と呼ばれる近くに設置した集積場に運搬車で運ぶ。ここに買い付け業者が来て、売買が始まる。いわゆる「山の地産地消」だ。トレ-サビリティでもある。これまで、ひと山いくらで売買が成立して、伐採したものは製材所に運ばれていたが、使える木と使えない木があった。そこで、現地で交渉して必要な木材を選んで交渉する。チップ材、あるいはベニヤ材、それぞれ用途に応じて業者が買い付けにくる。
もう一つ、林業のイメージを変える光景があった。女性が関わっていることだ。この林業者は「林業コーディネーター」として女性を採用している。5年前に法律が改正されて、森林所有者、あるいは森林の経営の委託を受けた業者が森林経営計画書を市町村などに提出して、伐採や造材、出荷など行う。その面積は30㌶以上であり、複数の山林の所有者に林材の切り出し、つまり山の資産価値を説明して事業計画に参加してもらう必要がある。
いくつかハードルを超えて森林経営計画書を提出して認可されれば、所得税や相続税の優遇、金融機関の融資、森林環境保全直接支援事業(造林補助)などの補助金など得て、着手ができる。コーディネーターのSさんは「手入れされた森林を次世代につなぐこと。木材の価値を高め、利益を山に還元することを丁寧に説明すると、山持ちの方は納得してくれます」と微笑んだ。
2018年11月12日付「能登は再生可能エネルギーのショールーム」より。能登半島の尖端、珠洲市には30基の大型風車がある。2008年から稼働し、発電規模が45MW(㍋㍗)にもなる国内でも有数の風力発電所だ。発電所を管
理する株式会社「イオスエンジニアリング&サービス」珠洲事務所長、中川真明氏のガイドで見学させていただいたことがある。ブレイドの長さは34㍍で、1500KWの発電ができる。風速3㍍でブレイドが回りはじめ、風速13㍍/秒で最高出力1500KWが出る。風速が25㍍/秒を超えると自動停止する仕組みなっている。(※写真・下は珠洲市提供)
では、なぜ能登半島の尖端に立地したのか。「風力発電で重要なのは風況なんです」と中川氏。強い風が安定して吹く場所であれば、年間を通じて大きな発電量が期待できる。中でも一番の要素は平均風速が大きいことで、秒速6㍍を超えることがの目安になる。その点で能登半島の沿岸部、特に北側と西側は年間の平均風速が秒速6㍍秒を超え、一部には平均8㍍の風が吹く場所もあり、風力発電には最適の立地条件なのだ。風車1基の発電量は年間300万KW。これは一般家庭の8百から1千世帯で使用する電力使用量に相当という。珠洲市には1500KWが30基あるので、珠洲市の全世帯数6000戸の使用量を十分上回る。
いいことづくめではない。怖いのは冬の雷。「ギリシアなどと並んで能登の雷は手ごわいと国際的にも有名ですよ」と中川氏。全国では2200基本余り、石川県では71基が稼働している。最近では東北や北海道で風力発電所の建設ラッシュなのだそうだ。
⇒24日(火)午後・金沢の天気 あめ

面白い句があった。『男ならひとりのむほど清水かな』の掛け軸はまるで滝を流れるような書体だった。掛け軸にじっと向き合っていると、千代女のくすくすと笑い声が聞こえてきそうになった。酒飲みの男が一人酒でぐいぐいと飲んでいる。それを見て千代女は「酒はまるで水みたい」と思ったに違いない。はたと気がついた。冒頭の『朝顔やつるへとられてもらい水』に面白い解釈が浮かんだ。
改正法案を急ぐ理由には、韓国のネット事情もあるのではないか。「ネット大国」といわれる韓国では中小メディアが乱立し、臆測に基づくニュースが目に付く。フェイクニュースではなかったが、先の東京オリンピックでは2つの金メダルを獲得した韓国のアーチェリー選手が、短くした髪型が理由で、国内のネット上で中傷が相次いでいると報道されていた(7月30日付・日テレNEWS24Web版)。韓国ではSNSによる誹謗中傷で芸能人の自死が相次ぐなど社会問題化している。当事者に対して強烈な批判が沸き起こる社会的な風土があるのかもしれない。日本でも同様に、番組に出演していた女子プロレスラーがSNSの誹謗中傷を苦に自死した事件(2020年5月)があったように、他人事ではない。
DW記事によると、射殺されたのは「ストリンガー」と呼ばれる、アフガンで採用された現地記者の家族だ。記者はドイツの本社に来ていた。タリバンはその記者を探して家から家へ捜索を行っていた。家族を探し出して、射殺した。以下憶測だが、記者がドイツの本社にいることを家族から聞いて、見せしめに家族を射殺したのだろう。もともと記者本人を殺害するために探していた。
すでにイスラエルなど始まっている新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種。アメリカではバイデン大統領が2回目の接種を終えてから8ヵ月経った人に対し、9月20日から3回目の接種を行う方針を明らかにした(8月19日付・NHKニュースWeb版)。アメリカでは3回目接種を「booster shot」と称している。追加接種の意味だ。
アメリカの世論がこれほど動くのも、歴代政権が支援してきたアフガンの民主政権を守れなかったのではないかとの国民の評価が分かれ、一方で、アメリカ軍と協力するはずの民主政権の「自主防衛」の有り様が問われた。このニュースは世界中に流れた。ロシア通信は16日、アフガンのガニ大統領が、車4台とヘリコプターに現金を詰め込んで同国を脱出したと伝えた。在アフガニスタンのロシア大使館広報官の話としている(同・共同通信Web版)。多額の現金に関してはフェイクニュースとの見方があるものの、軍の総司令官でもある大統領が抵抗勢力と戦わずして高跳びしたことは事実である。言うならば「無血開城」。これでは、アメリカ軍も手出しようがない。
ニューヨークでの同時多発テロ事件で、ブッシュ大統領はタリバンが首謀者のオサマ・ビン・ラディンをかくまっていると非難して、アフガンへの空爆を始めた。アメリカにとって、「テロの温床」タリバンのイメージは20年経った今も変わっていないのだろう。
連合軍がアフガンへの空爆を始め、タリバン政権は崩壊。大規模な捜索にもかかわらず、ビン・ラディンを捕捉できなかった。10年後の2011年5月2日、隣国パキスタンに逃げ込んでいたビン・ラディンの潜伏先をアメリカ軍特殊部隊が探し出して殺害している。
数多くある。市民の協力を得て蔵ざらえした文物をアーティストと専門家が関わり、博物館と劇場が一体化した劇場型民俗博物館「スズ・シアター・ミュージアム」が新たに開設される。芸術祭の総合ディレクター、北川フラム氏のアイデアで、「失われゆくモノから新たな社会共通資本をつくろう」と新たなアートの可能性を創造する。
この記録的な大雨で、堤防の決壊や越水など9県の36河川で氾濫が発生。鉄道や道路も被害が相次いでいる。土砂災害は15府県で44件が発生していて、都道府県別件数(15日正午現在)では、長崎11、広島7、熊本5、佐賀4、富山、福岡各3、石川、鹿児島各2、福島、長野、岐阜、静岡、滋賀、京都、大阪各1などとなっている。さらに増える見通し(国土交通省公式ホームページ「プレスリリース」)。