★能登から世界へ 食のプロフェッショナルの仕事の流儀
能登で生れ育った自身が今でも自慢げに話をする能登の食の職人が3人いる。「能登杜氏・農口尚彦」「パテシエの辻口博啓」、そして「ジェラートの柴野大造」だ。金沢大学の教員時代にこの3氏をそれぞれお呼びして講義や講演をしていただたことがある。
農口氏は自ら下戸(げこ)で酒は飲めないが、酒飲みの話に耳を傾向ける。計算され尽くした酒造りは日本酒ファンからは「酒造りの神様」、地元石川では「能登杜氏の四天王」と尊敬される。「山廃(やまはい)仕込み」を復活させた名工でもある。まさにその神業はNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2010年3月)でも紹介された。まもなく89歳だ。高齢ながら、酒蔵の中をきびきびと動く姿やその腕の太さを見れば、いかに屈強な仕事人であるかが理解できる。
過日お会いした折、農口氏は「世界に通じる酒を造りたいと思いこの歳になって頑張っておるんです」と。そこで「世界に通じる日本酒とはどんな酒ですか」と尋ねた。「のど越し。のど越しのキレと含み香、果実味がある軽やかな酒。そんな酒は和食はもとより洋食に合う。食中酒やね」。理路整然とした言葉運びだ。山廃仕込み無濾過生原酒にはすでに銀座、パリ、ニューヨークなど世界中にファンがいる。
辻口氏には世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」(パリ・2013年10月)でグランプリを獲得し帰国した直後の11月に講義をいただいた。カカオ豆やそのほかの素材をナノの粒子にまで粉砕して、それをチョコにする。歯ざわり、ふくよかな香りが広がり、チョコの可能性をさらに高めた、まさに「ナノ・ショコラ」だ。学生たちの質問に、高齢者やあごに障害があり、噛むことができない人たちのためにこのスイーツを考案したと答え、学生たちを驚かせた。米粉を使ったスイーツも定評がある。当初、職人仲間から「スイーツは小麦粉でつくるもので、米粉は邪道だ」と言われた。それでも米粉のスイーツにこだわったのは、小麦アレルギーのためにスイーツを食べたくても食べれない人が大勢いることに気が付いたからだとの説明に、学生たちは納得した。
能登には人に気遣いをする文化風土があり、「能登はやさしや土までも」との言葉が昔からある。食は「うまさ」というより、作り手の「やさしさ」から生まれるのかもしれない。
柴野氏はジェラートの本場、イタリアのパレルモで開催されたジェラートコンテスト祭「2017 sherbeth Festival」で初優勝を果たし、一躍「ジェラートの風雲児」と注目された。東京からの出店の誘いには応じず、能登でのジェラートづくりにこだわる。一方で、異業種の企業とのコラボや製品開発も行う。2019年5月の大学での講演のタイトルは「地域素材のジェラートで世界発信 ~ブランド価値の創造で人生を切り拓く~」。家業の酪農が苦しい経営に追い込まれ、ジェラートの世界に飛び込んだ。「牧場経営の助けになればという思いで、加工品の製造を考えた。生クリーム、バター、ヨーグルトといろいろ考え、幅広い年齢の方に好まれるということでジェラートにしたんです」。それまでスイ-ツづくりの経験はなく、イタリアからジェラートに関するレシピを取り寄せるなど、すべて独学だった。
アイスクリームよりも乳脂肪分と空気の含有量を押さえたジェラートは素材の味をダイレクトに伝えることができる。能登へのこだわりは、食材へのこだわりでもある。能登の食材を次々にジェラートのフレーバーとして試した。能登産の塩を使った「天然塩ジェラート」は最初のヒット作となり、寿司屋やレストラン、居酒屋のデザートとして人気を博すことになる。そのジェラートの新たな味覚との戦いぶりもNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2019年7月)で放送された。
きょう朝刊を見ると、柴野氏が能登町などで経営する店舗「マルガジェラート」がイタリア政府公認の機関「国際パティスリー・アイスクリーム・チョコレート連盟」が選定する「世界最高のジェラートショップ」に選ばれたとの記事があった。本人はジェラート発祥の地イタリアで2024年開催の「ジェラートワールドカップ」での金メダル獲得に向けて意欲を燃やしていると記事で紹介されている。
⇒17日(水)午前・金沢の天気 はれ
自分の仕事が地球環境や気候変動にどのような影響を与えているだろうか。環境に謙虚な気持ちを持つということはどういうことなのか。そのことに取り組んでいる人物の話だ。能登半島の尖端、珠洲市の製炭所にこれまで学生たちを連れて何度か訪れている。伝統的な炭焼きを生業(なりわい)とする、石川県内で唯一の事業所だ。二代目となる大野長一郎氏は45歳。レクチャーをお願いすると、事業継承のいきさつやカーボンニュートラルに対する意気込みを科学的な論理でパワーポイントを交えながら、学生たちに丁寧に話してくれる。
購入量を計算することになる。仕事の合間で2年かけて二酸化炭素の排出量の収支計算をはじき出すことができた。また、環境ラベリング制度であるカーボンフットプリントを用いたCO²排出・固定量の可視化による、木炭の環境的な付加価値化の可能性などもとことん探った。
「It’s been a long two weeks of wrangling at COP26 in Glasgow to reach a deal.」で始まるBBCの記事は、「COP26は合意に至るまでに長い2週間を要した」と合意に至るまでの議論の白熱ぶりを表現している。そもそも会期は12日までの予定だったが1日延長となった。注目する数字が「1.5度」だった。世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑える努力を追求すると成果文章で明記された。2015年のパリ協定で各国が合意したこの「1.5度目標」の実現には、世界全体の温室効果ガスの排出量を2030年までに2010年比で45%削減する必要がある。さらに、2050年にほぼゼロに達するまで排出量を削減し続けることになる。
テレビ朝日公式ホームページの「大下容子ワイド!スクランブル」=写真=をチェックすると、10月21日付「お知らせ」欄で「不適切な演出について」と題して概要を説明している。この「視聴者からの質問にお答えするコーナー」は月曜日から木曜日の番組終了間際に通常2分ほど放送していた。質問を用意したのは番組のチーフディレクターである社外スタッフ(「テレビ朝日映像」所属)。チーフディレクターは、放送に向けた準備のため、それまでに寄せられた意見や質問を踏まえて放送前に想定質問案を作っていた。今年3月以降、その想定質問を視聴者からの質問として放送に使っていた。。これまで放送した質問のうち約2割が想定質問たっだ。
雷が人々の恐怖心を煽るのはその音だけではなく、落雷はどこに落ちるか予想がつかないという点だ。これが怖いので、自身のパソコンは常に雷ガードのコンセントを使用している。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合でも「雷サージ」と呼ばれる現象が広範囲に起きる。いわゆる電気の津波だ。この雷サージがパソコンの電源ケーブルから機器内に侵入した場合、部品やデータを破壊することになる。いわゆる「雷害」からパソコンを守るためにガードコンセントは不可欠なのだ。このコンセントは金沢市に本社があるメーカーが製造したもの。北陸で雷害のケースと実情を研究し耐雷対策に取り組んできた企業の製品なので信頼を寄せている。
さらして乾燥させる。渋味が抜け、紅色の甘く、やわらかい干し柿となる=写真・上=。この時季に町を訪れると、農家の2階の窓際や軒先に柿が吊るされている様子がそこかしこで目に映る。
風機の風でさらす。こうすることによって、カビや雑菌の繁殖が抑えられ、柿の酸化防止と果肉色をきれいにする効果がある。二酸化硫黄の使用量や残留量は食品衛生上で問題のない量だという。
国庫には無尽蔵にお金があるはずがない。財政規律を唱えて当然だ。しかし、政治家は選挙を前に必死に財政出動を訴える。この記事を再度読み返したのも、自民と公明の両党で協議している「18歳以下の子どもに10万円相当を給付」の件が連日報道され=写真=、はたしてこれが新型コロナウイルスの経済対策となるのかと疑問がわいたからだ。財務事務次官が述べているように、ただの「バラマキ合戦」ではないか。
産業化を進める動きが進んでいるというのだ。北陸経済面にその6次化は「北信越 福井県1位」との見出しで詳細な内容が紹介されている。
る。ただ、食べる姿はまるでカニとの格闘のようにも思える。これを外国人が見たらどう思うだろうか。「おいしいもの食べているのに、なぜ寡黙なのか、そして闘争心を燃やしているのか。やはり日本人は不思議」と感じるのではないか。
鳥取では「松葉ガニ」、福井では「越前ガニ」、石川では「加能ガニ」と称され、地域ブランドのシンボルにもなっている。ただ、石川の加能ガニの知名度はいま一つ。そこで県漁業協同組合では重さ1.5㌔以上、甲羅の幅14.5㌢以上、甲羅が硬く身が詰まっているものをことしから最高級品「輝(かがやき)」として認定することで全体の底上げを狙っている。その「輝」の第一号が昨夜の初競りで500万円の値がついた。記事によると、重さ1.88㌔、甲羅の幅15.6㌢だった。
め、「輝」の認定には漏れたようだ。それでも1匹7万5000円は庶民にとっては高根の花だ。県内のズワイガニの漁期は、メスの香箱ガニが12月29日まで、オスの加能ガニは来年3月20日まで。いまは「ご祝儀相場」もあるだろうから、もう少し値段が落ち着いてから買い求めることにした。
金沢の雪はさらさら感のパウダースノーではなく、湿っていて重い。このため、庭木に雪が積もると「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」といった雪害が起きる。金沢の庭師は樹木の姿を見て、「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」の雪害対策の判断をする。この季節にテレビのニュースで放映される雪吊りは「りんご吊り」という作業だ。五葉松などの高木に施される。松の幹の横にモウソウチクの柱を立てて、柱の先頭から縄を17本たらして枝を吊る。パラソル状になっているところが、アートでもある。兼六園の800ヵ所で雪吊りが施される。