⇒ニュース走査

☆EEZにまた弾道ミサイルの挑発

☆EEZにまた弾道ミサイルの挑発

   これはもう「国際的な挑発」である。イカ漁真っ盛りの日本のEEZ(排他的経済水域)に違法操業の漁船を大量に繰り出し、そしてまたも弾道ミサイルを撃ち込んだ。こんなことが許されるのだろうか。首相官邸のホームページにアクセスすると。今回の弾道ミサイルの発射について、官房長官がきょう29日午前1時17分に記者したコメント内容が掲載されていた。以下、その要約。

    28日午後11時時42分ごろ、北朝鮮中部から弾道ミサイルが発射され、45分程度飛翔し、日本海の我が国のEEZ内に落下したとみられる。現在までのところ、航空機や船舶からの被害報告などの情報は確認されていない。何らかの事前の通報もなくEEZに着弾させたことは、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険行為である。

   29日午前0時44分から国家安全保障会議(NSC)を開催。情報の集約及び対応について協議を行った。国家安全保障会議においては、総理から既に指示のあった3点を改めて確認した。1.情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行う 2.航空機、船舶等の安全確認を徹底する 3.不測の事態に備え、万全の態勢をとる

   北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、深夜、安倍総理は2度記者会見を行っている。そのうち2度目の会見概要は以下。国際社会の強い抗議と警告を無視して、北朝鮮がまたも弾道ミサイルの発射を強行し、我が国のEEZ内に着弾させた。先般(7月4日)のICBM級ミサイルの発射に続いて、日本の安全に対する脅威が重大かつ現実のものとなったことを明確に示すものである。北朝鮮に対し厳重に抗議し、最も強い言葉で非難する。北朝鮮がこのような挑発行動を続ける限り、アメリカ、韓国を始め中国、ロシアなど国際社会と緊密に連携し、さらに圧力を強化していくほかない。今後さらなる北朝鮮による挑発行為も、十分に可能性は考える。強固な日米同盟のもと、高度の警戒態勢を維持し国民の安全確保に万全を期していく。

NHKなどテレビメディア各社の報道によると、防衛省発表として、弾道ミサイルは3500㌔を超える高度に達し、45分間飛行した後、北海道・奥尻島の北西150㌔の日本のEEZ内に着弾した。この周辺では150隻のイカ釣り漁船などが操業している。

   それにしてもなぜ28日深夜だったのか。北朝鮮が「戦勝日」と宣伝している朝鮮戦争の休戦協定締結から64年となる今月27日にICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射の可能性が指摘されていたのだが。いずれにせよ、漁業者だけでなく、日本海側に住む国民としてこれは脅威である。ことし3月6日には能登半島沖200㌔にミサイルが着弾しているのだ。(※写真は朝鮮中央通信HPに掲載されている3月6日の弾道ミサイルの発射の模様)

⇒29日(土)朝・金沢の天気  くもり

★違法操業を排除できない理由

★違法操業を排除できない理由

    昨日(26日)午前、国会内の会議室で「大和堆漁場・違法操業に関する緊急集会」が開かれた。集会では、海上保安庁の関係者に「北朝鮮の違法操業船をなぜ拿捕(だほ)しないんだ」と怒声が飛んだという。集会に参加した県執行部の関係者から聞いた話だ。

    この集会は、衆院選選挙区石川県三区(能登)選出の北村茂男代議士の呼びかけで開かれ、県選出の国会議員6人のほか、県内の漁業関係者や県執行部も参加した。質問が集中したのは海上保安庁に対してだった。日本のEEZ(排他的経済水域)である大和堆で違法操業を繰り返す北朝鮮の漁船に対して、第九管区海上保安本部(本部・新潟市)の巡視の船をはじめ各保安本部が入れ替わりで現在も取締を実施している。海上保安庁はこれまで460隻の漁船に退去警告、それに従わない場合は放水を行っている(今月9日から20日朝までの累積)。

   出席者から「退去警告や放水では逆に相手からなめられる(疎んじられる)」と声が上がった。違法操業の漁船に対して、漁船の立ち入り調査をする臨検、あるいは船長ら乗組員の拿捕といった強い排除行動を実施しないと取り締まりの効果が上がらない、というのだ。数百隻と推測される違法漁船がひしめく中で強制的な排除になかなか踏み切らない海上保安庁に漁業関係者は苛立ちを募らせ、県漁協の組合長が強い排除行動を求める要望書を手渡した。

    言うまでもないが、領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。そのような北朝鮮の漁船に排除行動を仕掛けると、北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化してくる可能性がある。おそらくそこが取り締まる側としては悩ましいところなのだろう。

    実際、26日、水産庁は長崎県五島市の女島灯台沖のEEZで許可なくサンゴを採ったとして、漁業主権法違反(無許可操業)の疑いで中国のサンゴ採取漁船を拿捕し、船長を逮捕している。これは中国が国連海洋法条約を批准しているから。

    緊急集会に参加した県執行部の関係者によると、「臨検と拿捕については官邸に判断と対応を求めることになった」と。県としては漁業団体とともに対応を政府に申し入れるという。 (※写真は能登半島・曽々木海岸の荒波)

⇒27日(木)午後・金沢の天気  くもり

☆北の潜水艦、日本海での狙い

☆北の潜水艦、日本海での狙い

    きょう未明(23日)のNHKのウエッブニュースで目が覚めた。北朝鮮の潜水艦が日本海でおよそ1週間にわたって活動を続けていることが、NHKのアメリカ政府当局者への取材でわかった、というのだ。

   ニュースによると、潜水艦はディーゼル型のロメオ級で、アメリカの監視記録では、この型の潜水艦の場合、通常4日程度で活動を終えるが、今回はこれを超えて1週間に及んでいる。アメリカ軍はこれまでにない特異な行動だとしてその目的などについて分析を進めているという。

    NHKではその目的について、アメリカ軍は北朝鮮の潜水艦の拠点となっている北朝鮮東部のシンポ(新浦)の基地で、先週はじめにSLBM=潜水艦発射型弾道ミサイルの発射技術の試験が実施されたことを確認していて、北朝鮮は潜水艦の関連技術の向上にも取り組んでいると見られる、と述べている。

    今回のウエッブニュースでは北朝鮮の潜水艦がどの位置で活動しているのか述べられていないが、タイミングで言えば、日本のEEZ(排他的経済水域)である大和堆(やまとたい)で違法操業を繰り返す北朝鮮の漁船に退去警告を出すため第九管区海上保安本部(本部・新潟市)の巡視船5隻が集中取り締まりと重なる。海上保安庁は今月9日から20日午前8時まで約460隻の漁船に退去警告を出したと報告。現在も実施中だ。また、アメリカ軍の監視では北朝鮮の潜水艦が15日ごろから日本海で出て、今も活動中ということになる。

    海上保安庁が第九管区海上保安本部に巡視船での取締を指示したのも、今月7日に北朝鮮の取締船とみられる船舶が小銃のようなものを水産庁の漁業取締船に向けて50分間も追尾してきことから、取締態勢を強化したことによる。もともと、北朝鮮の漁船と乗組員は北朝鮮海軍の管轄下にあり、違法操業は軍のビジネスではないかと懸念されてきた。

    北朝鮮の潜水艦が日本海に滞留する目的が、SLBMの発射試験なのか、あるいは日本側の巡視船による取締強化への「対抗措置」なのか分からない。いずれにしても、日本海が即発状態にあることに変わりない。

⇒23日(日)朝・金沢の天気   あめ

☆北の漁船、排除するも

☆北の漁船、排除するも

  日本海で屈指の漁場である大和堆(やまとたい)が日本のEEZ(排他的経済水域)であるにもかかわず、北朝鮮の木造船があちこちで操業していて、北の船とのトラブルを避けるために石川県漁協のイカ釣り船団(13隻)などは大和堆を避けて、北海道沖の漁場に移動しているという現状を過日このブログ(7月15日付)で伝えた。今月7日には、水産庁の漁業取締船が大和堆で北朝鮮籍とみられる船に追跡され、その際、相手の乗員が小銃の銃口を向ける姿が確認され、政府は北京の外交ルートを通じて北朝鮮に厳重抗議したとメディア各社が伝えている。いまでも日本海は緊迫した状態にある。

   北朝鮮がなぜ大和堆の日本のEEZ内に繰り出してくるのかというと、沿岸国の経済的な水域を定めた国連海洋法条約に北朝鮮は締結していないこともあり、銃口をちらつかせながら堂々と違法操業を繰り返しているのだ。日本のイカ釣り船が大和堆に近づけなくなったもう一つの理由が、北朝鮮のイカ漁船は流し網を使う漁だからだ。そうすると、日本の漁船が近づかなくても、向こうの船から近づいてき場合、網がスクリューに絡まる恐れがある。日本のイカ釣り漁は釣り糸を一斉に海に垂らすので、漁船同士が近いづいても網がスクリューに絡まるという心配はない。

  きょう(21日)の石川県の地元紙は、第九管区海上保安本部(本部・新潟市)の大型、中型の巡視船5隻が現場海域に出て集中取り締まりを開始したと報じている。音声で退去を伝え、それでも動かないようだと今度は放水で強制移動させることも実施しているようだ。すでに460隻に退去警告をした。しかし、北の木造船もすんなりと退去するとは思えない。何しろ大和堆はスルメイカの好漁場だ。イタチごっこが繰り返されるのではないか。

  もう一つ気になるニュースがあった。日本のスルメイカの漁獲量は年々落ち込んでいて、イカの水産加工業が盛んな地域では輸入が急増、函館港(函館市)では2017年上半期(1-6月)でイカ輸入額が31億円に達したという(21日付・朝日新聞)。まさか、日本のEEZで違法に捕獲されたイカが第3国に流れ、めぐりめぐって日本に輸入されている可能性はないだろうかと勘ぐってしまった。

  20日付のCNNによると、アメリカ政府高官の話として、北朝鮮がICBMを2週間以内に発射する可能性があると伝えている。アメリカは衛星でその準備の様子を察知したようだ。北は今月4日に初めてICBMの発射実験を行っている。日本海側の海と空にさらに不安要素は広がる。( ※写真は第九管区海上保安本部のホームページより)

⇒21日(金)昼・金沢の天気   はれ

★日本海の波高し、その後-下

★日本海の波高し、その後-下

       今月14日から海上自衛隊で最大の護衛艦「かが」が金沢港に寄港している。今年3月に就役したばかりで、艦名は「加賀」に由来するとのことで、海上自衛隊の基地以外の初の寄港地として金沢港が選ばれたという。寄港の目的をそのまま素直に受け取ってよいのだろうか

    けさ(16日)「かが」を撮影に、金沢港大浜埠頭に出かけた。連休中日のということもあり、見学者の車で港付近の道路は大変混雑していた。きょうは一般公開の日ではなく、乗艦はできなかった。外観は近づくにつれて威容が見えてきた=写真=。基準排水量1万9500トン、乗組員470人。全長248㍍、幅38㍍の広い甲板を有するヘリコプター空母型の護衛艦だ。甲板の前方に2機、中央に1機、後方に1機の計4機のヘリが駐機していた。

   この広い飛行甲板を活用して、潜水艦を探す哨戒ヘリコプター5機を同時発着させることができるのだという。これは海上自衛隊の潜水艦の探知や追跡力の向上を狙ったものとされるが、具体的には、性能の向上で探知が難しくなりつつある中国潜水艦への対応を念頭に置いているといわれる。陸上自衛隊との連携も想定していて、10機のヘリが収まる格納庫には、陸上自衛隊の大型トラック50台を搭載することもできる。また、陸上自衛隊が導入を予定する新型輸送機MV22オスプレイも発着が可能となる。

   災害対応として、手術台や35床のベッドを備えた医務室もあり、災害時の物資輸送やけが人の収容・治療など、多様な任務に対応できる。母港は呉基地(広島県呉市)。東シナ海など日本周辺で警備に就く。

   北朝鮮のICBMの発射(今月4日)など日本海側は波高しの状態が続いている。先月3日、アメリカのマティス国防長官は、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、北朝鮮が核・ミサイル開発を急ピッチで進めていることについて「最も危険で差し迫った脅威」と危機感を示した。その上で、アメリカ海軍の艦艇の60%、陸軍の55%、艦隊海兵部隊の3分の2をアジア・太平洋地域に重点的に配備していることも明らかにした。

   その数日前の1日から3日にかけて、海上自衛隊の護衛艦2隻と航空自衛隊のF15戦闘機部隊が、アメリカ海軍の「カールビンソン」と「ロナルド・レーガン」の2隻の空母艦隊と日本海で共同訓練を実施している(防衛省発表)。航空自衛隊小松基地からはF15戦闘機6機が参加し、アメリカの空母艦載機FA18戦闘攻撃機と模擬の空中戦を展開した。護衛艦「ひゅうが」と「あしがら」はアメリカ側の艦艇と通信訓練を実施した。

   北朝鮮の有事に備える海上自衛隊の日本海側の最前線基地は舞鶴基地(京都府舞鶴市)だ。海上自衛隊で最大の護衛艦「かが」が舞鶴のほかに日本海側で寄港できる港を確認した。これが今回の目的ではなかったのか、そんな風に勝手に想像した。

⇒16日(日)午後・金沢の天気  くもり

☆日本海の波高し、その後-上

☆日本海の波高し、その後-上

   きょう(7月15日)、イカ釣り漁が盛んな能登町小木を通りかかったので、漁港の様子を見に行った。すると一隻のイカ釣り船が停泊していた=写真=。水揚げと燃料、食料の補給のため一時寄港したのかと思ったが、それにしても午後2時ごろなのに船員の人影がまったくなかった。

   地元石川では新聞でも報じられ、周知のことなのだが、日本海で屈指の漁場「大和堆(やまとたい)」は日本の排他的経済水域(EEZ)であるにもかかわず、北朝鮮の木造船があちこちで操業していて、北の船とのトラブルを避けるために県漁協のイカ釣り船団(13隻)は大和堆を避けて、北海道沖の漁場に移動しているというのだ。大和堆は能登半島沖の北300㌔にあってスルメイカの漁場だ。そこに、北朝鮮の木造船にうようよされては、たとえば、木造船の網がイカ釣り船のプロペラに絡まったり、衝突したりと不測の事態が起きることが十分予想されるからだ。

   問題なのは、北の木造船は何らかの武装をしている可能性もあるのだ。小木のイカ釣り船の漁師たちは北のなりふり構わぬ振る舞いをとくに警戒する。それは、1984年7月27日に起きた「八千代丸銃撃事件」がまだ記憶にあるからだ。小木漁協所属のイカ釣り漁船「第36八千代丸」が、北朝鮮が一方的に引いた「軍事境界線」の内に侵入したとして、北朝鮮の警備艇に銃撃され、船長だった行泊貢(いくどまり・みつぐ)氏が死亡、乗組員4人が拿捕されるという事件だった。1ヵ月後の8月26日に「罰金」1951万円を払わされ4人は帰国した。当時私は新聞記者で行泊船長の遺族や漁業関係者に取材した。「北朝鮮は何を仕出かすか分からない」と無防備の漁船を銃撃したこの事件に恐怖心を抱いていた。小木ではこの感情が共有され、今でも引きづっていることは想像に難くない。

   大和堆で操業できないとなれば地場経済にも影響が出てくる。北海道の漁場は稚内沖100㌔の武蔵堆。大和堆からざっと1000㌔も離れる。したがって、武蔵堆でのイカ漁の水揚げは小木ではなく、函館になる。重油や食料の補給の経費、水揚げの漁協手数料(水揚げ額の5%)などは「イカの町」小木にはまったく落ちないのだ。

   能登半島沖の違法操業を取り締まるため、政府は水産庁の取締船だけでなく、海上保安庁の巡視船を派遣するとのニュースがあった(6月28日)。今月4日、北が発射したICBM(大陸間弾道ミサイル)が日本海に落下した。安心して操業ができる日はいつ来るのか、対策を急いでほしいと願うのは地元小木だけでない。

⇒15日(土)夜・金沢の天気    はれ   

★有事への敏感さ

★有事への敏感さ

  きのう(26日)、小松市に住む知人からのメールでこんな下りがあった。「最近、世の中が物騒になってきたせいか、小松基地の自衛隊の訓練がいつも以上に活発化しています。また基地を抱える小松市は周辺自治体より有事の際の対応に敏感になっています。」と。小松基地の動きが活発化している様子は金沢にいても感じ取ることができる。F15戦闘機とみられる戦闘機が飛び交っている様子は、金沢の空に描かれる縦横、斜めに交差する飛行機雲を見ても分かるのだ。高度な上空のせいか機体音はしない。

  きょうの朝日新聞デジタル(27日付)によると、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は26日、アメリカ下院軍事委員会公聴会で、北朝鮮に関して「アメリカは先制攻撃の様々な選択肢がある」と述べ、原子力空母カールビンソン率いる空母打撃群が沖縄東方を航行しており、北朝鮮を攻撃できる射程内に入ったことも明らかにした、と伝えている。また、各メディアは、トランプ政権はホワイトハウスに上院議員を招いて対北朝鮮政策を説明する会合を非公開で開催した、と報じている。外交の素人でも、この一連の報道を読めば、アメリカは北朝鮮に対して、核放棄を迫るための先制攻撃の準備を着々と進め、議会に対しても事前に説明し同意を得なるど用意周到の体制で臨んでいると理解するだろう。

  その先制攻撃が金正恩党委員長へのピンポイント攻撃、つまり「斬首作戦」であるならば、その実行日としてネット上で散見されるのが「4月27日」説。この日は新月で夜が真っ暗闇となり、作戦実行に使用されるステルスヘリコプター「ブラックホーク」が肉眼などで感知されにくくなるからだ、と。なるほどそれがアメリカの作戦かと妙に納得して、国立天文台のホームページで調べると、夜が真っ暗闇となる4月の新月は4月26日(水)21時16分、つまりきのうなのだ。ということは、この情報は単なる推測か。ただ、同じ方法でアメリカが、パキスタンでオサマ・ビン・ラディンに対して行った「斬首作戦」は2011年5月2日(日本時間)、新月(5月3日)の前日だった。

   それにしても、原子力空母カールビンソンは日本海まで北上して展開するのか。冒頭の小松基地の周辺だけでなく、朝鮮半島の有事に日本海側も敏感になってきている。

⇒27日(木)朝・金沢の天気   はれ

★能登で起きた悲劇の連鎖事件

★能登で起きた悲劇の連鎖事件

   先日(今月16日)、石川県の能登町役場から手紙が届いた。「この度、3月18日(土)開催予定の能登高校魅力化プロジェクト講演会『能登町×能登高校の挑戦』を、諸般の事情により延期させて頂くこととなりました・・・」。統廃合寸前だった県立隠岐島前高校(島根県海士町)の生徒に地域課題に取り組ませるなど、ユニークなカリキュラムで同校を一気に全国区にした、教育政策アドバイザーの藤岡慎二氏が講演する予定だったので聴きに行こうと思っていた。この「諸般の事情」とは今月10日に起きた殺人事件のことだ。

  帰宅するためバス停で待っていた能登高校1年の女子生徒が連れ去られ、バス停から5㌔離れた山あいの集落の空き家で頭から血を流して死亡しているのが見つかった。殺害したとされる男子大学生21歳は同日午後7時40分ごろ、空き家から16㌔離れた道路に飛び出して乗用車にはねられ死亡した。報道によると、2人は顔見知りではなく、死亡した男子学生は一人でバス停で待っていた女子高生を角材で殴り、車で連れ去って、空き家(祖父の家)で殺害した。女子高生の死因は、刃物で首を切られたことによる失血死だった。最初から殺す目的で襲ったのか。事件から2週間経ち、いまだに解明されていないのがその殺害動機だ。

   この事件を報じたニュース番組で、コメンテイターの言葉が気にかかった。「拡大自殺型犯罪ではないのか」と。この聞き慣れない言葉は、ウイキペディアなどによると、その定義として、1)本人の死の意志 2)1名以上の他者を相手の同意なく自殺行為に巻き込むこと 3)犯罪と、他殺の結果でない自殺とが同時に行われること・・・。道連れ殺人ともいえる犯罪だ。

   それでは死亡した男子学生は自殺だったのか。道路に飛び込んで本当に自殺ができるのか。先日(19日午後)、現場の能越自動車道穴水道路上り線に行ってみた。「なるほど。これだったら自殺は可能だ」と思った。道路は対抗車線のある道路ではなく、上り1車線でしかも両脇がコンクリート壁になっている。つまり、急に道路に飛び込んでこられたら、車は横に除けることができない。急ブレーキをかけても、確実に轢いてしまう。男性学生は予め死に場所を選定していたのだろうと想像がついた。

   自殺の動機は知る由もない。男子学生を轢いてしまった運転者は気の毒だ。そして道連れで殺された女子高生の冥福を祈る。悲劇の連鎖、涙が流れた。

⇒24日(金)夜・金沢の天気   はれ   

☆北の脅威は海からも

☆北の脅威は海からも

  日本海に突き出た能登半島はこれまでもある意味で北朝鮮の標的とされてきた。たとえば、能登半島には一連の拉致被害の第1号の現場がある。1977年9月19日、東京都三鷹市役所の警備員だった久米裕さん(当時52歳)が石川県能登町宇出津の海岸で失踪した。地元では今でも「宇出津(うしつ)事件」と呼ばれている。

  久米さんは在日朝鮮人の男(37歳)と、国鉄三鷹駅を出発した。東海道を進み、福井県芦原温泉を経由して翌19日、能登町(当時・能都町)宇出津の旅館「紫雲荘」に到着した。午後9時、2人は黒っぽい服装で宿を出た。旅館から通報を受け、石川県警は能都署員と本部の捜査員を急行させた。旅館から歩いて5分ほどの小さな入り江「舟隠し」=写真=で男は石をカチカチとたたいた。数人の工作員が姿を現し、久米さんと闇に消えた。男は外国人登録証の提示を拒否したとして、駆けつけた署員に逮捕された。旅館からはラジオや久米さんの警棒などが見つかった。

  私もこれまで何度か現地を訪れたことがある。そして、当時事件を取材した元新聞記者のK氏から話を聞いた。K氏によると、この事件で石川県警察警備部は押収した乱数表から暗号の解読に成功したことが評価され、1979年に警察庁長官賞を受賞している。ただ、この事件は単に朝鮮半島に向けて不法に出国をした日本人がいたという小さな話題としてしか報道されなかった。警察は、乱数表およびその解読の事実を公開した場合は、工作員による事件関係者の抹殺など、事件解決が困難になるリスクもあると判断し、公開に踏み切れなかったともいわれる。

  当時、大々的に拉致問題として報道していれば、その後の被害者も最小限だったかもしれない。当時は外交による国交回復が望まれていた。そんな折、あえて事件化できなかったともいわれる。以降、日本海沿岸部から人が次々と消える。この年の11月15日、横田めぐみさんが同じ日本海に面した新潟市の海岸べりの町から姿を消したのだ。

  政府は拉致事件として認定していないが、1963年5月11日、石川県志賀町沖に刺し網漁に出た寺越昭二さん(当時36歳)、寺越外雄さん(同24歳)、寺越武志さん(同13歳)の3人が行方不明となり、船だけが沖合いで発見された。1987年1月22日、外雄さんから姉に北朝鮮から手紙が届いて生存が分かった。2002年10月3日、武志さんは朝鮮労働党員として来日し、能登の生家で宿泊した。武志さんは「自分は拉致されたのではなく、北朝鮮の漁船に助けられた」と拉致疑惑を否定している。このケースは、北朝鮮の工作船と遭遇したため連れ去られた「遭遇拉致」と見られている。  
 
  1999年3月23日朝、能登半島東方沖の海上から不審な電波発信を自衛隊が傍受し、能登沖と佐渡島沖で2隻の「漁船」が発見される。北朝鮮の不審船による日本領海侵犯事件として、海上自衛隊と海上保安庁の巡視船など追跡した。が、不審船は高速で逃走し逃げ切った。この事件がきっかけで、海上保安庁の巡視船の高速化がはかられている。

北の脅威は何も空からだけではない。海からの脅威にもさらされてきたのだ。

⇒10日(金)夜・金沢の天気    くもり

★能登沖に弾道ミサイルの脅威

★能登沖に弾道ミサイルの脅威

  このニュースには一瞬背筋が寒くなった。きょう9日午前、菅官房長官が記者会見で、北朝鮮が6日に同時発射した弾道ミサイル4発のうち1発について、「能登半島から北に200㌔㍍の日本海上に落下したと推定される」と発表した。これまで政府は6日の弾道ミサイル4発はいずれも1000㌔㍍飛行し、秋田県男鹿半島の西方の300-350㌔㍍の日本海上に落下したと発表していた。

  私は直感した。北朝鮮は能登半島を狙って撃っている、と。というのも、能登半島の先端・輪島市の高洲山(567㍍)には航空自衛隊輪島分屯基地のレーダーサイトがある。このレーダーサイトには、航空警戒管制レーダーが配備され、日本海上空に侵入してくる航空機や弾道ミサイルを速く遠方でも発見するため24時間常時監視している。この航空警戒管制レーダーを意識して、あえて200㌔㍍沖で弾道ミサイルを落としたのではないか。

  報道によると、菅官房長官はミサイルの種類に関し、スカッドの射程を伸ばした中距離弾道ミサイル「スカッドER」と推定されると指摘した。今回、官房長官があえて能登沖に落下したと発表したのは、我が国の情報収集能力について北朝鮮にメッセージを送るためだったと読む。北朝鮮は4発のうち、3発を男鹿半島沖に落とし、1発を能登半島沖に落とした。本当の狙いは能登半島だが、それを日本が覚知できるかどうか試したのだ。日本政府とすると、情報収集能力はあるぞと北朝鮮に示すために、あえて発表したのだろう。

  それにしても、日本海は自衛隊の訓練空域でもっとも広く、「G空域」と呼ばれる。そのエリアに、しかも監視レーダーサイトの目と鼻の先にスカッドERを撃ち込んだのだ。これはもはや脅威だと認識せざるを得ない。

⇒9日(木)夜・金沢の天気   あめ