⇒ニュース走査

★コロナ危機を逆手に遠隔教育を

★コロナ危機を逆手に遠隔教育を

        2月28日付のこのブログで、新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐため、今月2日から全国の小・中学校と高校などが臨時休校となるので、NHKは3月から放送と通信の同時配信に入るのチャンスにEテレ(教育テレビ)の動画コンテンツを特別編成してはどうかと提案した。ブログを読んでくれた知人から「大手出版社はすでに漫画コンテンツを期間限定で無料公開を始めているよ。さすがに対応が速い」とメールをもらった。 

   さっそくネットで調べてみる。集英社は『週刊少年ジャンプ』の2020年1号から13号を無料公開している。今月2日正午から同31日23時59分まで、マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」と同社の総合電子書店「ゼブラック」上で無料で読めるとツイッターで紹介している=写真=。小学館も『コロコロコミック』の1月号や『Sho-Comi』の3・4合併号・5号・6号、『ベツコミ』の2019年12月号から2020年2月号などを無料公開に踏み切っている。

   突然の休校で手持ちぶさたになった子どもたちの間で、この漫画コンテンツの無料公開は話題になっているのではないか。子どもたちの興味がスマホでのゲームなどに流れ、少年誌が部数減になるなど「漫画離れ」の現象が起きている。そこで、出版社としては子どもたちを漫画の世界に呼び戻すきっかけにしたいとの思惑があるのだろう。無料公開されている漫画コンテンツは子どもたちだけでなく、大人も楽しめる。意外と熱中しているのは大人かも知れないが。

   ところでNHKの対応はその後どうか。3日に「学校休校に伴う特別編成」をNHKが発表し、Eテレでは午前9時から10時15分までの学校放送番組、午後2時から3時までの高校講座を休校期間中も放送し、自宅学習をサポートするとしている。ウェブサイト「NHK for School」でも、特に未履修の単元を自宅で学習できるよう、教育現場の先生たちが薦めるコンテンツを学年別にセレクトして掲載する。また、子どもたちが「NHK for School」に感想文などを投稿できるようにする。

  面白いのは、Eテレのサブチャンネルを活用するコンテツだ。午前10時25分から子ども向け番組として『すイエんサー』『バビブベボディ』『自由研究55』や海外ドラマを、そして午後1時5分からは「子どもたちにストレスを発散してもらえる番組」として『パプリカ』『おしりたんてい』『なりきり!むーにゃん生きもの学園』などを編成する、としている(3日発表のNHK報道資料より)。ただ、サブチャンネルで番組が提供されていることはあまり知られていないので、ぜひPRもしてほしい。

  Eテレ活用の発案者の一人である、『月刊ニューメディア』編集長の吉井勇氏からのメールマガジンによると、5日官邸で開催された未来投資会議で、複数の民間議員から「コロナ対応で、遠隔診療と遠隔教育の推進を」との発言が出て、とくに遠隔教育でのNHKの活用に言及があったようだ。これを機会に教育の多様な有り様をぜひ実現してほしいものだ。

⇒7日(土)朝・金沢の天気     はれ

☆コロナ危機 イタリアの悲しみ

☆コロナ危機 イタリアの悲しみ

   新型コロナウイルスの感染が欧米で広がり、とくにイタリアで感染者が3000人、死者は100人を超えている。きょう5日のニュースでは、イタリア政府が大学を含めすべての教育施設を今月15日まで休校とする「学校閉鎖」の措置を講じたという。事態の深刻さが伝わってくる。というのも、イタリアでは大学と地域は一体化している。そこでの「学校閉鎖」、つまり「地域閉鎖」というイメージなのだ。

   地域と大学は歴史的にも関わり合う。11世紀後半に創設されたイタリアのボローニャ大学はヨーロッパ最古の総合大学といわれる。「大学(ユニバーシティ)」の語源であるウニベルシタス(universitas)はそのボローニャに集まった青年たちの集団を意味する言葉だったとされる。青年たちは組合をつくり、法学者の中から先生を選び、教授契約を結んで学問をした。このような伝統がある大学がイタリアには多い。

   2006年1月に訪れたフィレンツェ大学も14世紀初頭に設立し、大学と街が一体化していた。11学部5万人の学生が学ぶ。社会人の学生が多い。校舎はフィレンツェ市内に点在する。学部・学科の看板がなければ街の中の住宅アパートと見誤るほどだ=写真=。街に溶け込んでいると表現した方が的確かもしれない。同大学には6つも附属の美術館や博物館がある。一時的とは言え閉鎖するとなると、観光としても打撃で、街の活気が失われるのではないだろうか。

  イタリアではハンカチをプレゼントされることを忌み嫌う。他国の人がその習慣を知らずに贈った場合、数十セントで「買う」。そうすれば、贈られたことにはならない。なぜそこまでするのか。「ハンカチは涙(悲しみ)を運んでくるもの」との思いがイタリア人には強いからだ。そう考えると、イタリアには同情は無用だ。「あえて日本からそのように思われたくない。悲しみが増すだけだ」と言われそうだ。

⇒5日(木)朝・金沢の天気      くもり

★コロナ危機、でも、乳牛も新幹線も休めない

★コロナ危機、でも、乳牛も新幹線も休めない

   北陸新幹線の利用客がかなり落ち込んだようだ。これも新型コロナウイルスの影響。だからと言って、新幹線は休めない。JR西日本金沢支社が3日、メディアに対して発表した北陸新幹線の開業5年目(2019年3月14日-20年2月末)の利用者数は790万千人だった。これは前年比で6%の落ち込みとなった(3日付・共同通信Web版)。

   2019年10月は台風19号による被害で東京ー金沢の全面運休が13日間続いたことなどが響き、前年同月比47%減の41万4千人だった。20年2月は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で同8%減の56万5千人(同)。まさにダブルパンチだ。しかも、コロナウイルスに関してはいつ終息するか予想がつかない。それでも北陸新幹線は暫定ダイヤなどは組まず予定通り運行している。

   ウイルス感染の影響で、小中学校などが「学校閉鎖」となった。ところが、給食用に使われる牛乳に関しては行き場がなくなっている。きのう農林水産大臣が記者会見で「余った牛乳はバターやヨーグルトなど乳製品の加工原料としてメーカーに受け入れてもらう」(3日付・NHKニュース)と発言していたが、メーカーにしても受け入れ設備には限界があるだろう。

   結局、需給調整がつかなくなれば廃棄をせざるを得なくなるのではないだろうか。おおいなる食品ロスとなる。これはアイデアだが、SDGs(持続可能な開発目標)を積極的に進めている企業や団体を中心に牛乳を購入してもらってはどうだろうか。

  乳牛に休んでもいいよと言う訳にはいかない。新幹線に運休していいよと言う訳にもいかない。「作る責任」「使う責任」「走らせる責任」「乗る責任」、まさにSDGsの知恵出しが問われているのだと思う。

⇒4日(水)朝・金沢の天気     あめ

☆コロナ感染、経済を揺さぶる

☆コロナ感染、経済を揺さぶる

   きのうテレビでニュース速報が流れた。黒田日銀総裁が「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」とする異例の談話を公表したとの内容だった。すると午後に入って東京株式の日経平均は一時400円を超える値上がりとなり荒い展開に。終値は先週末より201円高い2万1344円だった。コロナウイルスの感染拡大は日銀総裁を動かし、そしてアメリカの連邦準備理事会(FRB)も揺さぶっている。

   地元メディアもウイルス問題を連日報じている。石川県内の繊維メーカー(東証一部上場)は社員3人がコロナ感染したとして、今月2日から15日まで国内のグループ企業含め1300人に自宅待機を命じた。3人は2月10日から6日間、パリでの素材見本市のため出張し、帰国後に体調不良を訴えて、検査機関で陽性が確認された。同メーカーはその他の出張の同行者ら、濃厚接触の可能性がある33人を自宅待機にしている。今回の2週間の事業停止中は全社員が体調管理を徹底し、健康状態を記録するためのものだ(3日付・北國新聞)。

   繊維メーカーの徹底した緊急措置の決断には敬服するが、地元ではある「風評」が出ていた。24日に1人目の感染が確認され、27日と28日にさらに2人の感染が確認された。そのさなか、地元紙には「ウイルスを高速分解 マスク、シーツ素材に」との大見出しで、同メーカーがウイルスを高速分解する効果のある新たな光触媒技術を開発したと報道された(2月28日付・同)。A香港型インフルエンザウイルスの接触試験では感染能力が6時間で99%低減する効果が確認されたという(29日付・北陸中日新聞)。

   読者はこの記事に少々混乱したに違いない。自身もその一人だ。インフルエンザウイルスで光触媒技術を開発しているメーカーで感染者が出たのは何か因果関係があったのか、たとえばコロナウイルスとの何らかの接触があったのか、と。この画期的な新素材を使ったマスクでコロナウイルスを抑える実証実験をしてはどうか、と。それにしても、メディアへの発表のタイミングが余りにも悪い。

⇒3日(火)朝 金沢の天気     はれ

★コロナ感染、「現場」に行く

★コロナ感染、「現場」に行く

   きょう2日午前、2ヵ月に一度診療と薬をもらいに通っている病院に行った。その病院は石川県で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された病院でもある。

   普段なら駐車場も混み合って、人も窓口で列をなすほど多いが、今回は人影もまばらで、ロビーなどはガランとした光景だった。正面入り口の「緊急のお知らせ」という張り紙が目についた=写真=。少し長いが引用する。

  「新型コロナウイルスに罹患したことが2 月21 日(金)に判明した患者様が、2 月17日(月) 、2 月19 日(水)に当院を受診されていました。
  当院では外来・病棟ともに毎日消毒を行っていますが、2月21日(金)に金沢市保健所から報告があった後、当患者様の立ち入りされた区域について、すべてアルコール消毒を行いました。さらに、23日に専門業者による病院の消毒を実施し、23 日と24 日の連休中は救急外来の診療を中止、併せて、面会を中止させていただきました 。
  濃厚接触の可能性のある職員は2月22日より自宅待機としております。今後、感染の有無を調査し、関係各所と連携を取りながら 経過を注視していきます。
  当院にはご高齢の患者様も入院されています。すべての患者様に安全安心な医療を提供すべく全力で対応させていただきます。
  専門業者による病院の消毒が終了したため、本日より通常の外来診療を開始いたします。
  患者様のご健康を第一に考えての対応でございますので、何卒ご理解をいただきますようお願い申し上げます。 令和2年2月2 5日 病院長」

  もう一枚、「お知らせ」の張り紙があった。「昨日の報道でも発表がありましたとおり、新型コロナウイルス罹患した患者様を対応した当院の医療従事者は、2月24日にPCR検査を実施し、全員が陰性でありました。 令和2年2月25日 病院長」

   上記の「緊急のお知らせ」と「お知らせ」を見る限り、ともに「2月25日」付で、メディアが病院名を報道した翌日である。院内のアルコール消毒や職員のPCR検査など院内が相当混乱したことは想像に難くない。さらに、24日になって病院名がメディアで公表され、さらに混乱に拍車がかかったのだろう。

   問診の呼び出しがあった。診療室に入り、主治医に「院内はとても静かですね」とあいさつ代わりに声がけすると、医師は「マスコミの中には誤った情報を出すところもあるので大変です」と少し気色ばんだ表情だった。

   ふと気になった。感染者はここに入院しているのだろうか、と。顔見知りの看護師にさりげなく聞いた。すると、「当病院は石川県の感染症指定医療機関ではありませんので」と言葉少なに返事があった。自宅に戻り調べると。この病院は指定医療機関(6ヵ所)のリストに入ってはいなかった。ということは、県内の感染者6人は指定病院にそれぞれ入っているということか。

⇒2日(月)夜・金沢の天気      くもり

☆ウイルス猛威、アメリカに飛び火

☆ウイルス猛威、アメリカに飛び火

          新型コロナウイルスはいよいよアメのリカにも飛び火した。CNN(1日付・Web版)は「First coronavirus deaths reported in US and Australia」(アメリカとオーストラリアでコロナウイルスによる初の死者)と大々的に報じている。何しろ、コロナウイルスの関連記事が、11月のアメリカ大統領選に向けた民主党の候補者選びのサウスカロライナ州予備選挙でバイデン氏が勝利したとの記事より扱いが格段に大きいのだ=写真=。大統領選の行方を丁寧に追いかけているCNNとしては異例の扱いかもしれない。

   トランプ大統領は記者会見し、アメリカ国内でさらに症例が増える可能性は高いと述べた。そして、「メディアや政治家ら関係者にはパニックを煽らないように願いたい。パニックを起こす理由はどこにもない」と、メディアに冷静な報道を求めた。また、新型コロナウイルス対策担当に任命されているペンス副大統領は会見で、感染が広がっている韓国とイラン、イタリアの一部地域への渡航中止を勧告すると国民に対して呼びかけた。また、一般市民はマスクを買いに走る必要はないと強調し、国内で1ヵ月当たり3500万枚のマスクを増産する方針を示した。

   トップで使っている写真はアメリカではなく、感染が急拡大している韓国での道路の消毒の様子だ。特集記事では、CNNの記者はカルト教団「新天地イエス教会」の幹部にインタビューしている。その中で、大邱教会が感染源となった理由について、証言を引き出している。「Kim also admitted members had been encouraged to deny being part of the group — not to conceal any vital information or to hamper the coronavirus investigation, but because “Shincheonji is perceived as a cult, and because of this many members are discriminated against.”」(キム氏は以下のように認めた。教団は重要な情報を隠したり、コロナウイルスの調査を妨害したりはしていない。ただ、新天地教会はカルトと見なされており、このため多くの信徒が差別されているため、信徒であることを否定するよう奨励されていた」。

   家族であれ、兄弟であれ、自ら信徒であることを隠したがゆえに感染が広がったと記者を推測している。市中感染というより、韓国独自の宗教事情により感染が拡大したようだ。

   韓国では1日現在で感染者が前日より586人増え、計3736人になった。死者も1人増えて18人に。感染者の多くが大邱市に集中している。きょう1日は、1919年に朝鮮半島で日本の植民地統治に抵抗して起きた「三・一独立運動」を記念する日で、例年は各地で関連行事が開かれるが、今年は集会の自粛が呼び掛けられ、ソウル市の広場や繁華街も閑散としているという(1日付・共同通信Web版)。

           そして金沢では。安倍総理が要請した2日からの小中学校の一斉休校の見送りを決めていた金沢市では5日から実施する。2日は通常通り授業を行い、3日と4日は休校準備で午前中のみの授業とする(金沢市公式サイトから)。さらに自身は、参加する予定でいた会議やイベントが3月だけで11も中止となった。多くは書面付議となった。

⇒1日(日)夜・金沢の天気   くもり

☆学校閉鎖、NHK-Eテレの出番だ

☆学校閉鎖、NHK-Eテレの出番だ

   突然の「学校封鎖」という決断は誰のアイデアなのだろうか。きのう安倍総理が記者会見で、来月2日から全国すべての小・中学校と高校、特別支援学校に対して春休みに入るまで臨時休校とする要請を行うと発表した。保育所や幼稚園、子どもたちを放課後に預かる学童保育は含まれていない。

  確かに、学校は互いに近い距離の中で生活をともにするため、感染しやすい環境の一つだ。学校で感染した子どもが家庭に戻ると今度は同居する家族、特に祖父母にうつすリスクがある。学校はある意味でもっとも警戒を要する場所であることは間違いない。それにしても、この突然の学校封鎖は大胆な政治判断ではなのだろうか。専門家会議が議論し下した方針ではないようだ。

  学校の教育現場が閉鎖されるということは教育の時間損失にもつながる。この事態を受けてNHK活用を提案をした人がいる。きょういただいたメールマガジンでなるほどと思ったので紹介したい。発信者は『月刊ニューメディア』の吉井勇編集長。以下引用する。

            ◇

 NHKにはEテレがあります。しかも3月1日から「NHKプラス」というスマホやタブレット、PCで視聴できるサービスが始まるわけで、放送の視聴だけでなく、見逃した番組を自分の都合で視聴できるものです。この放送と通信の両方ができることを、自宅で待機する子どもたちの学校教育のサポートとして展開することを考えられませんか。Wi-Fiの普及もあり、スマホも多く、パソコンもあります。もちろん放送を見るテレビもあります。しかも、一定の地域対応も可能な仕組みもあります。

   また、子どもたち同士が連携するインタラクティブな機能を生かすこともできそうです。ですから、今のEテレを「ウチでみんなと勉強」というチャンネルを用意してはどうか。地デジは1chでHD放送していますが、SD画質で3ch、HDでも2chの放送ができます。ですから、低学年や高学年、中学生とか、年代別とかの番組を放送・配信する体制を一気に用意することはできませんか。

   すぐに3月2日から、子どもたちはどう過ごすのか。外へ遊びにも行けない。この子どもたちが抱える空白をどうするのか、に直面するのです。ただ、テレビを通じた教育は、単なる教室の黒板授業を映しているだけでは飽きてしまいます。NHKにはチコちゃんのように、子どもから大人まで楽しめる番組のノウハウがあり、Eテレにはユニークなテーマづくりや内容の番組も多くあります。優れたノウハウのあるプロデューサーやディレクターがいらっしゃいます。

   全国で生まれる時間を持て余す子どもや家庭へ、NHKの持つリーチ力、NHKプラスの時間を越え、自分でいつでも何度でも楽しめる自在性を生かしていくことはできないのでしょうか。まさに、NHKの出番だと思ったのです。

             ◇

  タイミングよく、来月1日からNHKは放送と通信の同時配信の試験配信をスタートさせる。同時配信では見逃した番組も見ることができる。NHKが子どもたち向けに教育効果が高い番組(過去の番組など)を特集して、それを子どもたちが選んで視聴する。その感想文を学校の担任にメールで送る。感想文は学年ごとたとえば、1年生は50字前後、2年生は100字前後、など。担任はレスポンスを返信する。それだけでも教育効果があるのではないか。テレビを教育に活かすチャンスでもある。受信料問題は別として、NHKにとっても同時配信を国民にアピールするチャンスでもあると考えるのだが。

⇒28日(金)午前・金沢の天気    はれ時々くもり

★黄砂が運んでくるもの

★黄砂が運んでくるもの

           共同通信Web版によると、週明け24日のニューヨーク株式のダウは急落し、1031㌦安い2万7960㌦で取引を終えた。1000㌦の下げは2018年2月以来の大きさだ。このときは、アメリカの金利上昇による株価急落と各国の連鎖的な株安が原因だった。ところが、今回は新型コロナウイルスという、見えない恐怖に世界が身構え始めたということだろうか。さてこの後、午前9時から始まる東京株式はどうなるのか。

   昨日(24日)自身が不気味さを感じたことがある。JR金沢駅周辺の駐車場で一晩停めていた自家用車のフロントガラスが黄砂で白くなっていた。黄砂は中国大陸から飛来する。飛んでくるのは砂だけではない。微生物なども混じっている。「黄砂バイオエアロゾル」ではないかと。

   金沢大学でも能登半島の先端で大気観測の拠点づくりを2008年から始め、無人の気球を上げて上空の大気の採取などを行っている。その現場を見せてもらったことがある。重さ2㌔の採取機器をビニール製の気球に取り付けて、上空850㍍から1㌔でおよそ1時間にわたって粉塵などを採取する=写真=。その中で発見される大気中微生物、つまりバイオエアロゾルは数千種類も及ぶという。

   黄砂は日本から4000㌔も離れた中国大陸のタクラマカン砂漠や、そしてゴビ砂漠から偏西風に乗ってやってくる。金沢大学の研究者の中には、食品発酵に関連する微生物が多いこと気づき、大気中で採取したバチルス菌で実際に納豆を商品化した研究者もいる。その納豆の試食会でご相伴に預かったが、日本の納豆文化はひょっとして黄砂が運んできたのではないかとの解説に妙に納得した。

   しかし最近は、黄砂の飛散と同時にPM2.5(微小粒子状物質)の日本での濃度が高くなったりと環境問題がクローズアップされている。加えて今回、偏西風に乗って湖北省武漢市の空気も運ばれてくるかもしれないと思うと、複雑な思いに駆られる。国境を越えて新型コロナウイルスも運ばれて来るかもしれない、と。こうなると防ぎようがない。ひたすらマスクをするしかない、のだろうか。

⇒25日(火)朝・金沢の天気   あめ

☆コロナショック 中国政治を揺さぶる

☆コロナショック 中国政治を揺さぶる

   共同通信Web版(24日付)によると、中国政府は新型コロナウイルスの感染で23日に新たに150人が死亡し、中国全体で死者は計2592人になったと発表した。感染者も新たに409人増え全体で計7万7150人となった。中国メディアの報道によると、WHOによる調査チームが23日までの2日間、湖北省武漢市を訪れ、現地の病院のほか、体育施設に設置された「野戦病院」方式の臨時病院などを視察したという。

   さらに、きょう24日午前中から北京で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員会が開かれ、日程などについて審議している。全人代は来月5日から始まる予定だったが延期を正式に決める模様だ。こうなれば、4月上旬で日程調整が進めている習近平国家主席の国賓来日も延期が不可避となるだろう。一連の政治日程の延期が正式に決まれば、コロナウイルスが中国経済だけでなく、いよいよ政治にも打撃を与えたと世界のメディアは喧伝するだろう。

   その次にくる中国の動きは、政治リーダーである習氏の責任問題ではないだろうか。2018年3月の全人代では、国家主席の任期を「2期10年」までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択している。習氏は2期目が終わる2023年以降も続投できるようになっている。自分で決めた規制の撤廃なので、踏ん張って続投しなければならない。政治的には盤石さを増したかもしれないが、それが裏目に出ているのが現状だ。

   逃亡犯条例改定案をめぐって学生や民主派が台頭した香港。2019年11月に実施された区議会議員選挙で、政府に批判的な立場の民主派が議席の3分の2にあたる300議席を超える圧勝だった。ことし1月11日の台湾の総統選挙は現職で与党、民進党の蔡英文氏が最大野党の候補者に圧勝した。台湾の民意は、中国との統一を拒否する蔡氏に大きく傾いた。そして今回の新型コロナウイルス問題である。2500人を上回る死亡者を出している。この逆風続きで問われているのは政治的なリーダーシップではないだろうか。

   リーダーがカリスマであればあるほど、いったん逆風が吹きだすと民意も荒れる。踏ん張らざるを得ない習氏にとって、任期撤廃は薬なのか、毒なのか。

⇒24日(月・振休)午前・金沢の天気    はれ

★コロナショック 「このご時世」

★コロナショック 「このご時世」

  コロナウイルスが身近に迫ってきた。きのう21日、石川県知事が記者会見を開き、50歳の県庁マンにウイルス感染が見つかったと公表した。男性は金沢市在住で現在、市内の病院に入院している。県内では初めての感染者となる。

  報道によると、男性は今月12日から14日に東京出張、16日に38.3度の発熱やせきなどの症状を訴えて病院に出向いた。17日に別の病院で受診し、解熱剤で一時熱が下がったが、再発して19日にさらに別の病院に行った。20日に倦怠感があり、さらに別の病院で検査を受けたところ肺炎と診断された。この時点でコロナウイルスの可能性が指摘され、21日の遺伝子検査で陽性と判明した。記事を読んで、4つの病院を経て陽性判明にたどりついた男性の執念を感じる。診察に納得いかなかったのだろう。

  石川県の新型コロナウイルス感染の第一号となった男性はどこで感染したのか。東京出張中なのか、新幹線の中での感染なのか。せきやくしゃみで飛び散る飛沫感染なのか、あるいは、空気中を漂う微生物に乗ってうつるバイオエアロゾル感染なのか。

   県内感のニュースが流れたせいか、きょう午前中に小松市で開催されたシンポジウムの参加者はマスク姿が目立った。自身も今季初めてマスク姿で参加した。今月29日から家族の一人が京都へ研修旅行に行く予定だったが、主催者側からきょう中止の連絡があった。念入りに準備をしていただけに、主催者側に「今度はいつあるのですか」と問いかけたが、「このご時世ですので、何とも申し上げられません」とつれない返事だったようだ。

   遠くの出来事だと考えていたコロナウイルスがこのように身近に迫って来ると、なんだか落ち着かない。「このご時世」と浮足立つ世の中で、自らはいったい何をすべきなのか焦燥の念にかられる。思考停止状態と言ってよいかもしれない。まったく不思議な感覚だ。

⇒22日(土)夜・金沢の天気    あめ