⇒ニュース走査

★コロナワクチン 世界の希望の光になるか

★コロナワクチン 世界の希望の光になるか

   けさのニュースをチェックすると、18日のニューヨーク株式のダウ終値は911㌦高で、一時上げ幅が1000㌦を超えた。その理由が新型コロナウイルスのワクチン開発への期待感が高まりだった(19日付・共同通信Web版)。そこで、アメリカメディアを検索してみる。「Moderna Coronavirus Vaccine Trial Shows Promising Early Results」(モデルナ社がコロナウイルスのワクチンの初期の臨床試験で有望な結果)の見出しの記事があった(18日付・ニューヨーク・タイムズWeb版)。

   モデルナ社はアメリカのバイオテクノロジーの製薬会社。記事を読む。「The company said a test in 8 healthy volunteers found its experimental vaccine was safe and provoked a strong immune response. It is on an accelerated timetable to begin larger human trials soon.」(同社によると、健康なボランティア8人を対象にテストを行なったところ、この実験用ワクチンは安全で、強い免疫反応を引き起こすことがわかったという。近いうちに大規模な臨床試験を開始する予定である)。この3月からNIH(国立衛生研究所)と共同で、ワクチン開発を進めてきた、とある。

   第1段階の臨床試験では、18歳から55歳の45人が対象となっているが、今回発表した結果は8人分にとどまっている。臨床試験全体の結果の公開がまだ示されていない。600人を対象とした第2段階の試験をまもなく開始、7月には健康な数千人を対象とした第3段階の試験を前倒しのスケジュールで進める。記事では「急ぐと安全性が損なわれ、結果的にワクチンが効かなくなったり、患者に害を与えたりするのではないかという懸念が科学者の間に広がっている」との懸念も示している。ただ、全体的な記事のトーンは、「offering a glint of hope to a world desperate for ways to stop the pandemic.」(パンデミックを食い止めようと必死になっている世界に希望の光を与えている)と前向きだ。

   そしてきょうの東京株式は日経平均が335円高で始まり、上げ幅は一時500円を超えている。ニューヨーク株式の「ワクチン高」の流れを引き継いでいるのだろう。確かに暗いニュースが蔓延する世界で希望の光になってほしい。このワクチンの普及で、来年は東京オリンピックも盛り上がってほしいと願う。

⇒19日(火)午前・金沢の天気    くもり

☆「金沢嫌い」 ルーツをたどる

☆「金沢嫌い」 ルーツをたどる

   今月13日付のブログで「金沢嫌い」というタイトルで、新型コロナウイルスの感染者について「人口10万人当たりだと金沢市は27.9人と東京都35.9人に次いで多い。これが、感染者が出ていない能登北部などからは警戒されている」と書いた。そして、能登の知人からも「いま金沢から来ない方がいい。周囲の人も金沢に行かないようにしている」と電話で聞かされたことに自身もショックを受け、「金沢嫌厭」や「金沢嫌い」という言葉が浮かびタイトルにした。

   実は昔から「金沢嫌い」という言葉を聞いていた。まず、金沢人の言葉が、能登や金沢、富山や福井に住む人たちからは「上から目線」のように感じる。これは自身の体験にもなるが、高校時代に金沢で下宿生活を始めたとき、下宿のおばさんは「そうながや」「しまっし」と語尾にアクセントをつけ、念を押すように話した。慣れない間は、いつもしかられているような印象だったことを覚えている。生まれ育った能登では、たとえば「そやのきゃー」と語尾を消すように話すので優しい言葉に聞こえる。福井でも「そやのおー」とあえて語尾を丸くする。

    金沢言葉が周囲と違うと感じるのは歴史に由来すると考えている。日本史でも教わるように、戦国時代の北陸は「百姓の持ちたる国」として浄土真宗の本願寺門徒が地域を治めていた。その後、戦国大名・前田利家を中心とした武家集団が越前、能登に赴き、金沢に加賀藩の拠点を構えることになる。武家集団は上意下達、命令をしっかり相手に伝えるために語尾にアクセントをつける、あるいは言葉にアンカーを打つような言い回しにする。金沢の武家社会で育まれた言葉だった。

    宗教観の違いもあるかもしれない。「百姓の持ちたる国」は浄土真宗、武家社会の金沢では曹洞宗、つまり禅宗の家が多かった。浄土真宗と曹洞宗の宗教観の違いは葬儀に参列すれば理解できる。浄土真宗だと葬儀で「若いときからとても苦労されたが、その分、極楽浄土に行かれて・・」といった弔辞を今でも聞く。曹洞宗の僧侶は葬儀で「この世も修行、あの世も修行」と言って、エイッと大声で死者に喝を入れる。曹洞宗が武家社会に受け入れられた理由はこの「修行」がキーワードなのだろうと解釈している。

    記者時代に金沢の博識者から教わったことだが、金沢の武家界隈ではかつて、ニブツモンという言葉があった。父親が楽することばかり考えている息子たちを「このニブツモンが」と大声で叱ったそうだ。念仏を唱えれば極楽に行けると信じる浄土真宗の信徒たちをネンブツモノ(念仏者)と称し、それが金沢の武家社会では訛ってニブツモンになったようだ。武士たちは農山漁村の浄土真宗の信徒たちをこのような目線で見ていたことがうかがえる事例ではある。この言葉はもう死語だろう。長く金沢に住んでいるが直に聞いたことはない。

   話は随分と横にそれたが、金沢の言葉は歴史と風土の中で育まれたが、冒頭で述べたように、いまでも「上から目線」と勘違いされやすい。関西の「京都嫌い」は有名だが、北陸の「金沢嫌い」もなかなかのものだ。金沢の観光パンフでよく使われる言葉に「加賀百万石」がある。かつての栄華をいつまで誇っているのかと揶揄する向きもある。しかし、金沢の人たちはあまり気にはしてないようだ。生まれ育って得た言葉に他人を見下す発想などもともとないのだ。

(※写真は加賀藩初代の前田利家が建立した曹洞宗・宝円寺の仁王像)

⇒18日(月)朝・金沢の天気     くもり

★IOCと覚書、WHOの次なる押しの一手

★IOCと覚書、WHOの次なる押しの一手

   新型コロナウイルスのパンデミックの中で外出や運動の機会が減っていることから、WHOのテドロス事務局長とIOCのバッハ会長が16日、ジュネーブにあるWHO本部で会談し、スポーツを通して健康を共同で促進していこうという覚書(MOU)を交わした(17日付・NHKニュースWeb版)。

   どのような内容なのか知りたいと思い、双方の公式ホームページをチェックした。WHOは午前9時現在でMOUに関する記載は見つからなかった。ICOでは写真付きで詳しく掲載されていた=写真・上=。そのMOUを交わす目的については明快だった。SDGs(国連の持続可能な開発目標)に基づいている。

「the IOC and WHO are demonstrating their shared commitment both to promoting healthy society through sport, in alignment with Sustainable Development Goal 3 (“Good health and well-being”), and to contributing to the prevention of non-communicable diseases. (IOCとWHOは、SDGs目標3「健康と幸福」に沿って、スポーツを通じて健康的な社会を促進するという共通のコミットメントを示し、さらに非感染性疾患の予防に貢献する)

   気になる一文もあった。「The IOC and sports organisations recently benefited from WHO guidelines on mass gatherings, aiming specifically to provide additional support to sports event organisers and host countries in developing a risk-assessment process, identifying mitigation activities and making an informed evidence-based decision on hosting any sporting events. The guidelines can be found here.」(意訳:IOCとスポーツ組織は、リスク評価プロセスの開発や緩和の特定、およびスポーツ大会の開催の決定に当たり、スポーツイベントの主催者と開催国に追加のサポートを提供する。実施にあたってはWHOからガイドラインを頂戴する)

   実際、IOCとWHOの覚書の後の記者会見で、記者からワクチンが完成する見通しがたたない東京オリンピックの開催は可能かと問われ、バッハ会長は「2021年の7月に世界がどのようになっているかわからない。大会まで1年2ヵ月あり、WHOと作業チームの助言に従いながら正しい時期に必要な決定を行う」と述べた(同)。オリンピックの最終決定にあたってはWHOとの連携を密にすると。

   IOC公式ホームページの写真でもトレーニング用の固定自転車でツーショット=写真・下=が掲載されている。解釈によっては、IOCとWHOは「両輪」、あるいは「二人三脚」と強調しているようにも読める。覚書はWHOで交わされたので、おそらくこの写真のアングルの提案者はテドロス事務局長だろう。  

   もう一つ、気になるニュースがある。アメリカのトランプ大統領は16日、ツイッターで、WHOの新型コロナウイルス感染症問題などへの対応が中国に偏向しているとして一時停止を決めた資金拠出に関し、部分的な再開を選択肢の一つとして検討していることを明らかにした。これに先立ち、FOXニュース電子版は16日、トランプ政権が、新たな拠出額を中国と同程度となる9割減とすることで準備を進めていると報道した(16日付・共同通信Web版)。アメリカのWHOへの2019年の拠出額は4億㌦だった。

   結論を急ぐ。テドロス氏はアメリカの9割減額分をどう補填するか苦心していることだろう。そこにIOCとのMOUはグッドタイミングだった。アメリカの減額分をオリンピック開催国の日本に肩代わりさせればいい、と今ごろ思案しているかもしれない。テドロス氏の「脅し、すかし、商売上手」はこのブログで何度か述べてきた。「東京オリンピックの開催決定権を握っているのは私なんですよ、安倍さん分かってますね」と押しの一手で迫って来るに違いない。邪推に過ぎない。それにしても、ワクチンの開発が待たれる。

⇒17日(日)午前・金沢の天気   くもり時々あめ

☆緊急事態は解除、季節は「夏マスク」へ

☆緊急事態は解除、季節は「夏マスク」へ

   きょう北陸は蒸し暑い。石川は24度の予想だが、お隣・富山は27度だ。外出していて、この夏日の暑さでうっとうしいのはマスクだ。アベノマスクはまだ自宅に届いていないが、布マスクをすると考えただけで息苦しさを感じる。夏用のすっきりしたマスクはあるのだろうか。ネットで検索すると、能登半島にある丸井織物(中能登町)が夏物の服に使われるポリエステル製のマスクを製造販売している=写真=。6月20日発送分まで待たなければならないほど人気のようだ。

   安倍総理はきょう午後、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、39県の解除を正式決定する。重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」のうち、石川、茨城、岐阜、愛知、福岡の5県と特定警戒以外の34県が対象。総理が記者会見で理由を説明する。決定に先立ち、政府は午前、有識者の意見を聞くための諮問委員会を開催。諮問委は39県の解除を了承した(14日・共同通信Web版)。

   ただ、これまで議論が白熱したPCR検査の在り様について結論にいたっていない。今月11日の参院予算委員会でも感染症対策専門家会議の副座長が感染者総数の実態について、「(実際の人数は)10倍か15倍か20倍というのは誰も分からない」と述べていた。実際の感染者数は日々報告されている数を上回る可能性があるとの見方だった。

   隠れウイルス感染者が仮に20倍もいるとすれば、感染に気がつかずに亡くなる人も大勢いるはずだ。そこで新聞の死亡欄をチェックしてみる。とくに、金沢市は人口10万人当たりの感染者が27.9人(13日現在)と東京都の35.9人に次ぐ。仮にその20倍だったら、おそらく新聞の死亡欄はあふれるのではないか、と。ここ数日の金沢市を調べると5人から8人(12-14日、北陸中日新聞死亡欄)だ。不謹慎な言い方だが、死亡欄があふれ返っていれば新聞が大騒ぎするだろう。感染者が20倍もいるとは到底思えない。

   話を戻す。PCR検査を徹底してやるべきなのか。感染者を徹底的に洗い出して隔離すべきは隔離し、第二波、第三波が来るの防げとの論調はどうなのか。山梨大学の学長が「不十分な検査体制は日本の恥」とまで言って議論を呼んだ。解除を決定するのであれば、この際、議論にぜひケリをつけてほしいものだ。

   解除されるとは言え、コロナウイルスは身近にいるだろうことは想像がつく。用心は続けたい。季節は「夏マスク」に移行する。

⇒14日(木)午後・金沢の天気    はれ

★「金沢嫌い」

★「金沢嫌い」

   「使えない」と実感することがある。その一つがマイナンバーカードだ。新型コロナウイルス対策として、国が国民1人に10万円を配る特別定額給付金。パソコンとマイナンバーカードがあれば申請できる。机を探すとマイナンバーカードの暗証番号が書かれた記載票もあった。さっそくオンライン申請をしようとPC画面と向き合った。ところが、申請サイトの入口でつまずいた。「ICカードリーダー」が必要とある。カードの情報を読み取るためとある。カードリーダーなんて持っていない。この時点で「使えない」と判断した。スマホによる申請も可能とあったがまるでゲームのようだったのでこれも諦めた。申請書が郵送されてくるのを待つことにした。

   市役所から送付される申請書に銀行口座の番号など必要事項を記入し、通帳のコピーと運転免許証のコピーを添付して返送すればそれで済む。オンライン申請は本人確認の書類の添付は不要であり、入力も短時間で済むはずなのだが。デジタルの利点がまったく活かされていない。ICカードリーダーを差し込まなくても、受付画面にカード番号と暗証番号を入力するだけでもよいのではないだろうか。

   マイナンバーカードの「使えない」と意味合いはまったく違うが、車のナンバーにも気遣う。石川県には金沢ナンバーと石川ナンバーがある。金沢ナンバーはいわゆるご当地ナンバーなのだが、この新型コロナウイルスのご時世で、「気になるナンバー」になっている。石川県の感染者はきょう13日現在で284人、うち金沢市は129人。人口10万人当たりだと金沢市は27.9人と東京都35.9人に次いで多い。これが、感染者が出ていない能登北部などからは警戒されている。4月の大型連休のとき、能登の知人から「いま金沢から来ない方がいい。周囲の人も金沢に行かないようにしている」と電話で聞かされ、自身もショックを受けた。

   7月から能登各地ではキリコ(奉灯)祭りという祭礼が営まれるが、今年は中止が相次いでいる。キリコ祭りで代表的な「あばれ祭り」(7月3日・4日、能登町)も4月には中止を決定した。金沢からキリコ担ぎや見学に大勢やってくる。いわゆる「3密」になるからだ。「来てほしくない」という正直な気持ちが痛々しく伝わる。

   政府が4月7日に緊急事態宣言を発令し、16日に全国に拡大した。あす14日には「特定警戒」の石川を含め39県で解除する方針を固めたと各メディアが報じている。では、解除によって「非常」から「日常」にたんたんと戻るのか。あのトヨタが2021年3月期の業績予想を営業利益79%減と発表し、「リーマンショックよりインパクトがはるかに大きい」と述べた(12日付・時事通信Web版)。経済、社会、そして世界にどのような余派が広がるのか。それにしても、能登を始め加賀地方や富山県、福井県の人たちには「金沢嫌い」にはならないでと願うばかりだ。

⇒13日(水)夜・金沢の天気     はれ

☆メディア規制めぐる米中バトルの行方

☆メディア規制めぐる米中バトルの行方

    新型コロナウイルス感染とPCR検査をテーマに、テレビ局から取材を受けた医師がコメントと真逆の内容に編集されたとフェイスブックで訴え、スポーツ紙などが取り上げている。けさ番組(テレビ朝日)で再度この医師のコメントを放送していた。医師は、PCR検査が増えることについては一般の人たちにとくに、不安を感じている人たちにとっては良いことと言い、一方で、無作為な大規模検査は医療の逼迫(ひっぱく)をもたらすとの趣旨を述べていた。医師の立場からすれば、後者の状況はより現実味があるだろう。 ところが、番組では後のコメントがカットされた。

   問題はこの医師のコメントをディレクターが意図的に削除したのか、あるいはケツカッチン(OAの締め切り時間)に追われて意図的ではなかったものの成り行きでカットしたのか。番組の全体的な流れを把握しないままコメントを詰めていくと、成り行き削除はままある。これを受けて番組側はきょう実質的な「訂正放送」をした。こうした制作現場のミスが大ごとになる。

   話は変わるが、メディアをめぐる国際的な大ごとが起きている。アメリカと中国がメディアの記者の扱いをめぐって対立しているのだ。アメリカの国土安全保障省はきのう11日、香港とマカオを除く中国の記者に対して、アメリカに滞在できる期間を90日までに制限する措置を発表した。中国人の記者はこれまで取材ビザの発給を受けてアメリカに入国すれば、滞在期間に制限はなかった、今後は90日ごとに延長の申請が必要になる(12日付・NHKニュースWeb版)。

   これに先立って、中国政府は3月18日、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルの3社のアメリカ人記者に対し、記者証を返還させて事実上の国外退去を命じている。これは、今年に入ってアメリカが国内で活動する中国メディアに記者の個人情報を報告するよう義務づけ、さらに記者を160人から100人に制限したことによる報復措置だった。

   記者の個人情報の報告の義務づけ、人数制限、そして滞在期限の制限など、アメリカ政府の一連の措置の背景にあるのは、中国の新聞・テレビは共産党の管轄下にある国営メディアであるということだ。ジャーナリズムを基本精神とした欧米や日本のメディアの有り様とはまったく異質だ。さらにアメリカが注視しているのは、2017年に施行された中国の「国家情報法」ではないだろうか。この法律では、11項目にわたる安全(政治、国土、軍事、経済、文化、社会、科学技術、情報、生態系、資源、核)を守るために、「いかなる組織および国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助および協力を行う」(第7条)としている。端的に言えば、記者も国家情報活動に協力しなければならない。

   この法律がある以上、アメリカとすれば中国人記者の取材活動は安全保障の問題とかかわると受け止めざるを得ない。報道機関には事実を報道するための情報収集を行う自由が認められている。この取材の自由を国家機密などに悪用されてはたまらないということなのだろう。中国人記者をマークしているのは、機密漏洩などに対処する国土安全保障省だ。アメリカのテレビドラマ番組『スパイ大作戦』(Mission:Impossible)でかつて見たような話ではある。

⇒12日(火)夕・金沢の天気    はれ

★たかがマスク、されどマスク

★たかがマスク、されどマスク

   きょう11日の衆院予算委員会で加藤厚労大臣が、全国の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)について「5月10日現在で250件あるのではないか」と述べた(11日付・共同通信Web版)。厚労省は1ヵ所で5人以上の感染者が出たケースをクラスターとしている。250のクラスターのうち医療機関がもっとも多く85件、続いて老人ホームなど福祉施設57件、飲食店23件と続く。クラスターの3分の1が病院ということになる。

   石川県でも6件あり、うち2件が病院。その1件は県内最大のクラスターだ。石川県の感染者280人、うち69人がその病院の入院患者や看護師、介護士、病院事務員。県内の死者17人のうち、その病院での死者は11人となっている(11日・NHKニュースWeb版)。その病院に祖父が入院しているという知人から聞いたことだが、クラスター化してから毎日祖父の容態について病院から報告があるそうだ。「家族の心配を察しての病院側の配慮だろう」と。一方で「病院なのになぜこんなことに」と外部から批判もあるようだ。「病院スタッフのストレスは相当なものだろう。返ってそれが心配だ。医療崩壊にならなければよいが」と知人は案じていた。

   きょう別件でまったく別の病院を訪れた。総合病院だが、現在まで感染者を出していない。感染対策は徹底していて、出入り口は正面玄関のみとし、その正面玄関でサーモグラフィーによる発熱者のチェックを行っている。病院内に入ると、マスクの自動販売機が設置されていた。さすが、感染対策が徹底している病院は違うと思い、さっそく自販機で買おうとしたが、貼り紙があった=写真=。

   「お客様へ マスク販売制限につきまして マスクの販売個数制限によりマスク自動販売機の販売を一時停止させていただきます。マスクは地下のセブンイレブンで販売させていただきます。・・・」と。受付でなぜ自販機が中止なのかと尋ねると、一人で何枚も購入する人がいるのでやむなく対面販売となったようです、と。そこで病院地下にある「セブンイレブン」に行くと商品棚にマスクが置いてあった。サージカルマスクだ。医療用に使用される感染防止用マスクで、サージカル(surgical)は外科の意味。「製造者名」をチェックすると、「横井定株式会社」とある。あのアベノマスクを供給する名古屋市の会社だ。

   さすが病院で販売するマスクは違うと思い、5枚を手にしてカウンターへ。すると、店員は「お客さん、申し訳ありませんがお一人1枚でお願いします」と。確かによく見ると棚の奥に「マスクはお一人1枚」と小さな貼り紙があった。棚に毎日200枚ほど並べるが、それでも夕方には売り切れになるのだという。1枚110円。一回買って、もう一度並ぶ客もたまにいるがその場合でも、「お断りをしています」とはっきり。たかがマスク、されどマスク。

⇒11日(月)夜・金沢の天気     はれ

☆コロナ禍 テドロス発言を読む

☆コロナ禍 テドロス発言を読む

   このブログで初めて「新型コロナウイルス」の言葉を用いてブログを書いたのはことし1月20日付だった。タイトルは「パンデミックを防げ」のタイトルで「(中国の習主席に)春節には海外渡航を全面的に禁止するくらいの強い指導力を発揮してほしい。」と書いた。あれから110日余り経った。不謹慎な述べ方かもしれないが、コロナ禍をめぐる世界の動き、国内、そして身近な出来事はブログのネタに事欠かない。書き続けたコロナ禍で見えてきたこと、それははやりWHOのテドロス事務局長の不可解な動きと言える。以下ブログで述べてきたことを抜き出してみる。

   1月20日付ブログではWHOへの期待感を書いた。「中国で肺炎患者が増えていることを受けて、WHOの事務局長が22日にスイスのジュネーブで緊急の会合を開くことになったと報じている。まるで、パンデミック(pandemic)、世界的な感染の広がりを示唆する動きではないのか。」「中国では今月24日から旧正月の春節の大型連休に入ると、日本を含め世界中に中国人観光客が訪れることになる。WHOの事務局長の緊急会合は、このタイミングで世界各国に注意を呼びかける意味合いがあるのではないだろうか。」

   1月25日付では、WHOへの不信感を綴った。「WHOは機能不全の状態に陥っているのではないか。おそらく今後、国際世論の批判の目はWHOに向かう。」「『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』として、事務局長が緊急事態を宣言することになる。が、23日のWHO会合では時期尚早との判断だった。」「では、なぜ時期尚早との判断なのか。中国にとっては非常に不名誉なことになるのと中国指導部は考え、WHOが緊急事態宣言を出さないよう根回しをしたのであろうことは想像に難くない。」

   1月30日付ではテドロス事務局長の資質を問うた。「今頃になって、WHOが焦り始めている。健康危機管理プログラムのトップの言葉を29日付のBBCが引用している。『Coronavirus: Whole world ‘must take action’, warns WHO』(コロナウイルス:全世界が警戒しなくてはならない、とWHOが警告)。記事の中で、テドロス事務局長は新型ウイルスが世界に及ぼす危険性について、報告書で『高い』とせず『中程度』としたことに言及し、『深く後悔している』と述べている。何を今さらと言うべきか。」

   2月7日付では、テドロス氏の巧みな「営業活動」について述べた。マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏の慈善財団がウイルス対策のために1億㌦をWHOに寄付することに関してだ。ゲイツ氏は寄付について「This response should be guided by science, not fear」(対策は恐怖ではなく、科学によって導かれるべきである)とコメントしていた。よく似た言葉をテドロス氏が先月30日の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したときにの記者会見で発していた。「This is the time for facts, not fear.This is the time for science, not rumours.」(恐怖ではなく、事実の時。これは噂ではなく科学の時です)。2人の言葉のニュアンスがそっくりだった。「ということは、テロドス事務局長がゲイツ氏に寄付を要請する『営業』をかけたのではないかと察した。おそらくこの言葉を用いて、ワクチンや治療薬の開発資金を提供してほしいとゲイツ氏に直接懇願したのだろう。」

   3月10日付では、世界の経済はすでにパニックに陥り、9日のニューヨーク株式のダウは暴落したことに関連し、WHOがいまだにパンデミックと表現しないことのもどかしさを綴った。「『今さら発言』ではないだろうか。WHOのテドロス事務局長は9日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「パンデミックの脅威は現実味を帯びてきた」と述べた。一方で、依然、制御は可能だと強調し、感染国・地域が100を超えた現実を踏まえ、柔軟に対応していく考えを示した(10日付・共同通信Web版)。パンデミックはもう起きていると世界に警報を出すのがWHOのスタンスではないだろうか。」。WHOがパンデミックとの表現で感染拡大を喚起したのは2日後の11日だった。

   4月9日付では、アメリカのトランプ大統領のWHO批判について記した。「トランプ大統領が新型コロナウイルス感染症へのWHOの対応が『中国に偏っている』と批判していることについて、テドロス氏は『われわれは全ての国に寄り添っている』と述べ、特定の国への配慮などは行っていないと反論した(9日付・共同通信Web版)。」「テドロス氏の反撃もあった。トランプ大統領への名指しはしなかったが『さらなる死者の増加を望まないのであれば、政治問題化するのは、やめてほしい』と主張」。ユーチューブ動画で公開されているテドロス氏への批判のコメントを紹介した。「WHO cannot be trusted in they’re in the pocket of China. Pathetic gentlemen, very sad state indeed.」(WHOは中国のポケットにいるため、信頼できない。哀れな紳士、確かに悲しい状態)

   4月29日付ではテドロス氏への批判が国際世論として広がっていると述べた。「このブログでも何度か述べたが、テドロス氏はWHOの緊急事態宣言を『時期尚早』と見送った(1月23日)。これが感染拡大の原因の一つと問題視する見方が世界で広がった。最近ときおり閲覧する、署名サイト『Change.org』でテドロス氏解任キャンペーンが展開されている。きょうチェックすると100万を上回る署名が集まっている。」

   こうしてテドロス発言をチェックしてみると、WHOとしてのビジョンを先に示さないので批判が集まりやすいが、テドロス氏自身には打たれ強さとしたたかさを感じる。今後、中国・武漢でのWHOによる原因調査、さらに国際賠償の行方などさまざまに状況は展開していくだろう。WHO、そしてテドロス氏の観察を続けたい。

⇒9日(日)午前・金沢の天気    くもり時々はれ

☆株価が投影する北の動き

☆株価が投影する北の動き

            きょう(8日)の東京株式市場は日経平均で前日比504円高の2万179円となり大幅に上昇した。新型コロナウイルスでロックウダン状態からアメリカやヨーロッパの一部で経済活動が再開され、国内でもウイルスの感染者が減少傾向となり、緊張状態からひと息ついた、ということだろうか。

   コロナ禍とは別に、北朝鮮の動きにも株価は敏感に反応する。危篤説や死亡説まで出ていた金正恩委員長が20日ぶりに姿を見せた今月2日は、日本は大型連休の真っ最中、しかも土曜日だったので株式市場は休みだった。今回の金氏の顔見世が日本の株価にどう反映したのか、東京市場の流れを追ってみる。

   銘柄はこのブログでも何度か取り上げた石川製作所(石川県白山市)だ。北朝鮮の動きと連動する株価で知られる。同社は段ボール印刷機、繊維機械を生産しているが、追尾型の機雷も製造する防衛産業でもある。キナ臭さが漂うと石川製作所の株価に注目が集まる。2017年9月、アメリカのトランプ大統領が国連総会の演説で金委員長を「ロケットマン」と呼び、双方の言葉の応酬が過熱した。石川製作所の株価は急上昇し、それまで1000円に満たなかったものが10月には4205円の最高値を記録している。

   その石川製作所の最近株価の動向だ=写真、日経チャート=。金委員長が4月12日の最高人民会議を欠席し、祖父・金日成主席の誕生日である15日に安置所がある太陽宮殿への参拝がなかったことが報道され、株価1250円が値上がりする。CNNが危篤説を報道(21日)で1584円、その後元山(ウォンサン)の別荘に停車している特別列車の衛星画像の公開(29日)で1705円。死亡説まで取り沙汰されたころは1710円だった。

   金委員長が姿を見せた2日は土曜日。きのう(7日)5連休明けの東京市場で石川製作所は152円安の1553円、8.9%も下げた。そしてきょうも50円の連日の下げとなった。ただ、印象として下げ止まり感がある。本来なら騒動が起きる前の1200円台に戻るのかと。やはり、金委員長の姿見せの後がキナ臭い。3日朝に韓国と北朝鮮の間の非武装地帯(DMZ)の韓国軍の監視所に対し、北が数発の銃弾を発射したことが報道された(3日付・共同通信Web版)。6日には北の新浦(シンポ)にある造船所で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を装備する動きがあることが韓国の国会で報告された(6日付・同)。

   このような不穏な動きがある中で、一気に石川製作所の株価が下がるとは思えない。株価は世界情勢を正直に反映する。コロナ禍しかり、北朝鮮しかり。自身は石川製作所の株を有してはいない、単なる株価ウオッチャーだ。

⇒8日(金)夜・金沢の天気   はれ

★デスマッチ化するアメリカの大統領選

★デスマッチ化するアメリカの大統領選

          この時季に庭に咲くアメリカ八角蓮(はっかくれん)は葉の切れ込みが深く、葉の下に白い花が咲く。ハスに似た葉の角の数からそう名付けられている。北アメリカ原産の種が日本に入ってきて、アメリカ八角蓮と花名がつけられた。生けて玄関に飾る。ハスなので銅の花入れ。野にある花には格付けはないが、「青磁に牡丹(ぼたん)」のたとえのように、その花に似合うの器というものがある。自然のありのままの姿を花器に入れる=写真・上=。地にあっては目立たない花ではあるが、花器の一輪は風格を漂わせる。

   アメリカの花から今度はネガティブな話題に入る。11月3日のアメリカ大統領選挙に向けて、いよいよ前哨戦が苛烈になってきた。「BEIJING BIDEN」=写真・中=というサイトがある。共和党のトランプ陣営が民主党の候補、バイデン氏を攻撃するサイトだ。「ペキン・バイデン」。バイデン氏はこれまで中国の脅威を無視して癒着し、アメリカの雇用と国家安全保障を危険にさらしてきたとキャンペーンを張っている。

   一方の民主党団体「American Bridge 21st Century」はサイトの動画で、トランプ大統領が新型コロナウイルス感染の初期対応でパンデミックであるにもかかわらず中国を称賛していたと批判を展開している。 双方の陣営が中国を引き合いにネガティブ・キャンペーンの応酬を続けている。いよいよアメリカの大統領選がいよいよ始まったという感じで、これからさらにヒートアップしていく。

   前回のトランプ対ヒラリー・クリントン戦(2016年11月)でも壮絶な誹謗合戦があった。クリントン陣営は「トランプはKKK(白人至上主義団体クー・クラックス・クラン)と組んでいる」とキャンペーンを張り、トランプ陣営は「クリントンは錬金術師だ」と映画までつくり相手陣営を攻撃した=写真・下=。対立候補を誹謗や中傷するネガティブ・キャンペーンは対立候補にダメージを与える上では有効との選挙戦略なのだろう。アメリカの選挙風土は​候補者が自らの実績をアピールするより相手の落ち度を責めたほうが勝者として信じてもらいやすい。とことん戦うアメリカの選挙戦はデスマッチと言えるかもしれない。

            このデスマッチにはテレビメディアも参戦する。かつてテレビメディアにはフェアネスドクトリンという選挙報道の公平性を義務づける法律があったが1987年に撤廃され、その後は選挙広告費をめぐって旗色を鮮明にしている。FOXテレビは共和党、CNNは民主党がその代表選手だろう。トランプ氏がときに「フェイクニュースだ」とCNNの記者に向かって声を荒げるが、敵陣営のメディアとの意識がベースとしてある。

   大統領選まであと6ヵ月。新型コロナウイルスとの戦いも続き、さらに深刻な経済の立て直し、険悪化する対中国との外交関係、そして壮絶な選挙戦だ。おそらくこのすべての戦いが今後デスマッチ化する。アメリカは選挙、経済、外交ともにドロ沼化していくのではないだろうか。では、日本の立ち位置はどうあるべきか。

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