⇒ニュース走査

★今月15日に米露トップ会談 ウクライナ侵攻は事態打開へ動くか

★今月15日に米露トップ会談 ウクライナ侵攻は事態打開へ動くか

メディアやネットでビッグニュースが飛び交っている。アメリカのトランプ大統領は、ホワイトハウスのサイトで掲載しているSNS「X」の投稿=写真=で、今月15日にアメリカのアラスカ州でロシアのプーチン大統領と首脳会談を行うことを明らかにした。

「“The highly anticipated meeting between myself, as President of the United States of America, and President Vladimir Putin, of Russia, will take place next Friday, August 15, 2025, in the Great State of Alaska. Further details to follow. Thank you for your attention to this matter!” 」(意訳:アメリカ合衆国大統領である私とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との待望の会談が、来週の金曜日、2025年8月15日にアラスカ州で開催される。詳細は後日お知らせする。この件に関心を寄せいただき、ありがとう)

詳細は後日ということだが、対面でのアメリカとロシアの首脳会談はロシアによるウクライナ侵攻後、初めてとなる。この会談で事態の打開が図れるのか、停戦に向け動き出すのか。それにしても、このニュースで気になったのは、なぜアラスカ州での開催なのか。以下、憶測だ。アラスカ州はベーリング海を挟んでロシアのカムチャツカ半島と向かい側にある。7月30日に半島沖でマグニチュード8.8の巨大地震が起きた。相当の被害が出ていることは想像に難くない。当然、プーチン氏は現地を視察に訪れるだろう。米露首脳会談はこのタイミングに合わせているのかもしれない。プーチン氏はカムチャツカの現地で視察を行い、その後、アラスカへ飛ぶというシナリオだろうか。

トランプ氏は別件でも「停戦のコーディネーター」として動いている。係争地をめぐり30年にわたって対立していたアゼルバイジャンとアルメニアの両首脳は8日、トランプ氏の仲介のもとで和平に向けた共同声明に署名した(9日付・NHKニュースweb版)。また、イスラエルがイランの核関連施設などに対する空爆を行い、イランもミサイルなどによる攻撃で応酬するなど中東情勢が一気に高まったが、トランプ氏が仲裁に入り、6月24日に両国は停戦合意に至った。

トランプ氏が「和平の仲介者」として自身を演出する背景にはノーベル平和賞の受賞という野心があると解説するメディアの論調もある。それはそれとして、ウクライナとロシアの双方が納得して停戦にごきつけることができるのだろうか。トランプ氏はどのような秘策をもっているのだろうか。

⇒9日(土)午後・金沢の天気  はれ

☆豪雨で浮上したアンダーパス冠水のリスク  エンジン停止や水没

☆豪雨で浮上したアンダーパス冠水のリスク  エンジン停止や水没

きのう金沢は線状降水帯の影響で激しい雨が降った。7日正午までの12時間の雨量は331.5㍉と観測史上最大で、8月の平年の1ヵ月分の1.8倍の雨がわずか半日で降った。今月5日までは連日、強烈な暑さが続いていた。4日には小松市で40.3度の酷暑となるなど日照り続きで水不足が心配されていた。金沢の7月の降水量はわずか37.5㍉で、平年値の16%だった。去年9月に奥能登で降った48時間で498㍉の「記録的な大雨」を含めると、酷暑と豪雨という気候変動のリスクを抱え込んだようだ。

きのう金沢での豪雨の様子をテレビで視聴していて、聞きなれない言葉が飛び交っていた。「アンダーパス」。立体交差の道路や鉄道などの下をくぐるように掘り下げて作られた道路のこと。ニュースで取り上げられていたのは、大雨で冠水したアンダーパスに乗用車が進入して水につかり、エンジンが停止状態になったケースが相次いだこと。隣県の富山県高岡市ではアンダーパスで、車が水没しているのが見つかり、消防隊が乗っていた80代の女性を救助したとニュースも流れていた。

きょうその一つ、金沢市に接する野々市市扇が丘のアンダーパス=写真=の現場を見てきた。ニュースによると、きのう午前9時40分ごろに冠水し、乗用車2台が立ち往生した。運転者はそれぞれ自力で脱出した。車が進入したときの水位は30㌢から40㌢ほどだったが、当時、交通規制などは敷かれていなかった。現地ではすでに車は引き上げられ、アンダーパスの冠水も解消していた。

以下、現地で思ったこと。道路に設置されている標識や冠水情報板を確認することがもちろん重要なのだが、うっかりと冠水したアンダーパスに入り込んでしまった場合どうすべきなのか。まず、くぐり抜けようと思わないこと。ネットで検索すると、ボンネットの近くまで水が来てしまっている状態では、確実にエンジンの中まで水が入っているので、絶対にエンジンはかけない。エンジンをかけた瞬間に火花が散って、そこから火災につながる危険性もあるようだ。まず、ドアを開けて脱出する、ドアが開かない場合は窓を割ってでも車外に脱出することだ。この窓ガラスを割るという作業は人手ではできない。そこで、脱出用ハンマーを常備しておくことも大切との解説もある。

それよりも何より、集中豪雨の際はアンダーパスに近づかないことを肝に銘じたい。あるいは運転そのものを控えるしかない。

⇒8日(金)夜・金沢の天気   はれ

★石川・加賀に線状降水帯 半日で331㍉、金沢で避難指示

★石川・加賀に線状降水帯 半日で331㍉、金沢で避難指示

未明に激しい雨音で目が覚めた。スマホで日本気象協会「tenki.jp」公式サイト「石川県の雨雲レーダー」をチェックすると、雨雲で能登から加賀まですぽっりと雨雲に覆われていた=図=。そして、明け方、また激しい雨となり確認すると、気象庁は午前5時前に、石川県加賀地方で線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして「顕著な大雨に関する情報」を発表していた。

これを受けて金沢市は午前6時15分、市内の8つの校下の住民に対して避難指示を出した。小学校や公民館など25ヵ所に避難場所を設置した(午前10時47分時点)。きのう6日は能登地区で輪島市と珠洲市が両市併せて7651世帯、1万5727人に避難指示を出していて、県内は2日続けてとなる。

金沢地方気象台によると、金沢市では正午までの12時間の雨の量が統計を取り始めてから最も多い331.5㍉を観測した。これは平年の8月、1ヵ月分の1.5倍以上の雨が半日で降ったことになる。午前中、所用があり市内に車で出かけた。市内中心部を流れる犀川と浅野川の河川水がかなり上昇していた。降りしきる雨で浅野川沿いに建ち並ぶマンション群はかすんで見え、まるで「天空の城」のような=写真・午前9時ごろ、天神橋から撮影=。

大雨による影響はさまざまに出ている。メディア各社の報道によると、北陸新幹線は大雨のため、午前7時過ぎから金沢駅と長野駅の間の上下線で運転を見合わせている。また、金沢市内の河川の一部で氾濫が起きている。道路の冠水や土砂崩れなどの被害も出ている。

以下は自身の憶測だが、去年元日の能登半島地震で金沢は震度5強の揺れだった。このため、金沢城の石垣の一部が崩れ、市内の住宅街でも土砂崩れがあった。地震で地盤が緩んでいる場所がほかにもあるのではないだろうか。今回の大雨はその緩みに土砂崩れをもたらすことになりはしないか。その事例が能登だ。震災後の9月に「記録的な大雨」に見舞われた輪島市や珠洲市で山間地や台地でのがけ崩れなどが目立った。そんなことを懸念している。

⇒7日(木)午後・金沢の天気 あめ時々くもり

☆能登半島に叩きつける雨、そして高潮、雷と4つの警報・注意報

☆能登半島に叩きつける雨、そして高潮、雷と4つの警報・注意報

朝から能登半島を中心に強烈な雨が降っている。気象庁によると、停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、半島の尖端部分の輪島市では午前7時11分までの1時間に47㍉の激しい雨が観測された。このため同市では、雨が強まり土砂災害のおそれがあるとして午前7時すぎに6414世帯、1万3335人に避難指示を出した。隣接する珠洲市も午前8時すぎに1237世帯、2392人に避難指示を出した。避難指示は5段階の警戒レベルのうち警戒レベル4の情報で、両市では早めの避難を呼びかけている(※図は、日本気象協会「tenki.jp」公式サイト「石川県の雨雲レーダー」より) 。両市は去年9月21、22日の48時間で498㍉という「記録的な大雨」に見舞われている。

日本気象協会「tenki.jp」公式サイトの予報によると、能登地区には「大雨警報(土砂災害)」、「洪水警報」、「雷注意報」、「高潮注意報」の4つもの警報・注意報が出されている。大雨・洪水警報にさらされ、さらに追い打ちをかけるように高潮の注意報もある。

能登半島はリアス式海岸で、海沿いに国道などが伸びている。今月9日の満月前後は大潮に当たる。月と地球、太陽がほぼ一直線に並び、海水に及ぼす引力が大きくなることで潮位が上る現象だ。低気圧が通過することで潮位がさらに上昇することに注意を呼びかけている。去年元日の能登半島地震の影響で富山湾に面した内浦(うちうら)と呼ばれる海岸沿いは地盤が沈下している。このため沿岸部ではとくに7日に高潮が予想され、警戒が必要となっている。

さらに雷にも注意だ。雷は発達した積乱雲によってもたらされる放電現象だが、日本海に突き出すような地形の石川県は年間を通じて雷が多く、気象庁の雷日数では45.1日(観測地点・金沢)と全国で最多となっている。最近では、「雷サージ」という言葉が県内でよく使われるようになった。雷が直接落ちなくても、近くで落ちた場合に瞬間的に電線を伝って高電圧の津波現象が起きる。電源ケーブルを伝ってパソコンの機器内に侵入した場合、部品やデータが一瞬にして破壊される。

自然災害が一度にやって来て、4つの警報・注意報をもたらす。「天災は忘れたころにやってくる」は物理学者・寺田寅彦の有名な言葉だが、現代は「天災は一度にやってくる」、なのか。

⇒6日(水)午後・金沢の天気  くもり

★田んぼになびく黄や白の旗 コメを生産調整から増産へ方針転換

★田んぼになびく黄や白の旗 コメを生産調整から増産へ方針転換

連日、強烈な暑さが続く。きのう小松市で40.3度と全国一番の酷暑となり、金沢でも自宅近くの街路の温度計は37度だった。きょうの予報は金沢で35度、曇り時々雨となっているが、街路の温度計は午前中ですでに36度になっている。そして、暑さとともに今後の水不足が心配される。金沢の7月の降水量は37.5㍉だった。同月の平年値は233.4㍉なので16%と何とも心細い。

田んぼは水不足に陥っていなか、きょう午前、石川県内の穀倉地帯でもある手取川周辺に広がる田んぼの様子を見に行った。田んぼの水は手取川から引水していて、渇水の状態ではなかった。ただ、手取川もダムの貯水率が34.6%(5日午前11時時点)となっていて稲刈りの時期まで持つかどうか。持たなければ、田んぼと同時に県内の人口の7割の水道をまかなっているだけに懸念が高まる。

そんなことを思いながら田んぼを眺めていて、ふと気が付いた。田んぼの畔に黄色い旗や白い旗がところどころに立っている=写真・上=。金沢の田んぼでは見たことがない。黄色い旗は水不足に陥っているとのしるしかとも考えたが、現地を見るとそうではない。そこで、近くのJA支所に電話で尋ねた。田んぼの害虫防除の時季なので、小型ヘリやドローンを使って農薬を空中散布する。黄色い旗の田んぼはJAが担当、白い旗は農家が独自で行う、との意味のようだ。「スマート農業」の旗印か。

田んぼに関して、ビッグニュースが流れた=写真・下=。石破総理はきょう5日午後、官邸で開いたコメに関する関係閣僚会議で「コメの舵を切る」と表明した。主食用米の価格を維持するために長年続けてきた「生産調整」の政策を見直す。猛暑による生育不振のリスクを意識し、水を張らないでつくる栽培方法などへの新たな支援制度も創設する。農家が意欲的にコメの増産に取り組めるよう、国内消費だけでなく海外市場へ積極的に輸出できる環境作りに「全力を傾ける」との政府方針を示した。コメの十分な供給力を国内に確保し、不作の際も柔軟に対応が可能な体制を目指す(5日付・日経新聞など各社)。

コメ増産への転換は、価格高騰を引き起こした「令和のコメ騒動」で消費者に大きな負担が生じたことや、減反政策による生産調整の限界が見えてきたことが背景にある。これを突破するためには、意欲ある生産者を政府が支援に回るとの、一大転換に動いたということだろう。スマート農業をはじめ、新たなコメ作りの未来に期待したい。

⇒5日(火)午後・金沢の天気  くもり時々はれ

☆石破総理は退陣か続投か メディア各社の世論調査にバラつき

☆石破総理は退陣か続投か メディア各社の世論調査にバラつき

石破総理の退陣をめぐって、メディア各社が世論調査の結果を報じている。この報道から見えることは・・・。きょう28日付の日経新聞によると、同社の世論調査(7月25-27日)では内閣支持率は32%と2024年10月の政権発足後、最低を更新し、不支持率は61%に上った。その一方、退陣については「直ちに交代してほしい」が36%を占めたものの、「26年の春ごろまで」18%、「あと1年くらい」14%、「27年9月の自民党総裁の任期満了まで」20%、「それ以上できるだけ長く」5%と、6割近くが期間の長短はあっても続投を求めている。

そして、朝日新聞の世論調査(7月26、27日)も、石破総理の退陣をめぐって「辞めるべきだ」が41%で、「その必要はない」が47%とやや多い結果となった。参院選の自民大敗の要因を2択で問うた質問では、「自民全体に問題がある」が81%を占め、「首相個人に問題がある」は10%と少ない。自民支持層も「自民全体に問題がある」が81%だった。

テレビ朝日系のANNが行った世論調査(7月26、27日)では、内閣支持率は31.6%、不支持は50.2%だった。石破総理の退陣論のついては、辞任すべきと「思う」との回答が46%、「思わない」が42%となり、拮抗した結果とっている。(※写真は、金沢市内の自民党広報板に貼られていたポスター)

共同通信が7月21、22日に実施した参院選直後の世論調査では、内閣支持率は22.9%と政権発足以来で最低となったものの、石破総理の退陣については、「辞任するべきだ」は51.6%、「辞任は必要ない」は45.8%と、意見が分かれたカタチとなった。読売新聞の選挙直後の世論調査(21、22日)では、内閣支持率は「支持する」が22%に落ち、「支持しない」が67%と大幅に上回った。「首相を辞任するべきだと思いますか、思いませんか」との2択の問いでは、「思う」が54%、「思わない」が35%となり、世論は退陣を望む声が大きく上回った。この明快な調査結果などを背景に、読売新聞は23日付で「石破首相 退陣へ」の号外を出した。

逆な数字の調査結果もある。毎日新聞の世論調査(7月26、27日)では内閣支持率は29%と前回(6月28、29日)から5ポイント上昇した。不支持率は59%で前回の61%とほぼ横ばいだった。選挙結果を受け、「首相は辞任すべき」は42%、「辞任する必要はない」は33%だった。内閣支持率は上昇したものの、一方で選挙敗北の責任を問う意見は根強い。この数字をどう読めばよいのか。

きょう自民党は両院議員懇談会を開く(メディア各社の報道)。党総裁である石破総理が選挙大敗の責任や要因に関して説明し、所属議員から意見を聞くことになる。党内では退陣を迫る署名活動が進んでいて、懇談会は荒れ模様になるのか。

⇒28日(月)午後・金沢の天気  はれ

★「信なくば立たず」 続投に執着する石破総理が失う求心力

★「信なくば立たず」 続投に執着する石破総理が失う求心力

石破総理は参院選で自民が大敗し、公明党と合わせた議席で衆院に続いて参院でも過半数を失ったにもかかわらず、比較第1党として「国政に停滞を招かない」と続投を表明。さらにアメリカとの関税交渉を理由に再び続投を表明した。なぜここまで執着する必要があるのかと有権者の一人として考え込んでしまう。

国政選挙で大敗を喫したのであれば、政権与党のリーダーとして辞意を表明してケジメをつけるのは当然ではないか。そして、日米関税交渉が決着したのだから、むしろこれを花道として退陣してもよいのではないか、と普通に考える。

きょうの紙面を見ると、「石破首相 退陣へ 参院選惨敗 引責」(読売)、「石破首相 退陣へ 来月末までに表明」(毎日)、「石破首相 退陣不可避に 関税妥結、参院選敗北受け」(日経)、「首相 退陣不可避 自身は否定、来月末最終判断」(北國)。各社の見出しはまるで業を煮やしたかのようにも読める。

記事を読むと、地方から石破退陣を求める動きが起きている。地元・石川県の自民党県議ら19人は23日、辞任を求める文書を郵送した。当初は県議6人程度で申し入れ書を提出する方向だったが、賛同者が増えて最終的に県議8人、県内市町議3人、一般党員8人が名を連ねた(24日付・北國新聞)。また、投開票日翌日の21日に早期退陣を求める申し入れを行うことを決めた高知県連の上治堂司総務会長は、取材に対し、「参院選の結果は、国民が石破政権に対し『ノー』を突きつけた形で、続投は民意からずれている」と述べた(24日付・読売新聞)。

「信なくば立たず」。政治とは何かと弟子に問われた孔子は、兵、食、信の3つを挙げ、その中で大事なのは民から信じ託されることだと説いた。政治家に信頼がおけない限り、国民は信用しない。これは石破総理がこれまで説いてきたことではなかったか。

⇒24日(木)夜・金沢の天気  はれ

☆衆院に続き参院も少数与党に転落 能登では復興に寄せる期待

☆衆院に続き参院も少数与党に転落 能登では復興に寄せる期待

参院選はきのう(20日)投開票が行われ、自民・公明は計66の改選議席を47に減らし、非改選75を合わせて参院全体で過半数(125)を割り込み、衆院に続き参院も少数与党に転落した=写真・上=。自民を中心とした政権が衆参両院で過半数を割り込むのは1955年の結党以来初めてという。

石破総理はきのう夜のテレビ朝日の選挙特番で「比較第1党の議席をもらったことの重さもよく自覚しなければいけない」と述べ、キャスターから「(その言葉を)続投すると受け止めてよいか」と問われ、「けっこうだ」と答えた。これまで耳にしたことがなかった「比較第1党」は、議会の過半数には達しないが、議席数をもっとも多く有する政党を意味する言葉だ。続投の理由を問われ、石破総理は「敗北の責任を私が担っていく」と述べ、アメリカとの関税交渉や選挙期間中に訴えた物価高を上回る賃金上昇、地方創生、防災対策などをあげて、「きちんとした道筋をつけることは国家に対する責任だ」と語った。

昨夜は金沢市の開票場を見に行った。午後9時30分に一斉に投票箱からを投票用紙が取り出され、候補ごとに、そして政党ごとに仕分ける作業が手際よく進んでいく=写真・下=。開票作業は体育館で行われたが、日中の暑さがそのまま残っていて、スタッフは首にタオルをかけて汗をふきながら作業を行っていた。

地元の石川選挙区(定員1)の結果は、自民現職の宮本候補が国民民主の候補に4万9千票差で4期目の当選を果たした。ただ、金沢市では960票差の接戦で、隣接の野々市市や能登の羽咋市では国民候補が上回った。自民の参院予算委員長だった鶴保氏が能登半島地震について「運のいいことに能登で地震があった」と発言したことが物議をかもしたが、その影響かどうかは分からない。ちなみに、震災と「記録的な大雨」に見舞われた奥能登4市町の宮本候補への投票はいずれも50%超えている。災害復興に向けた政治活動に期待が寄せられているのだろうか。

⇒21日(月・祝)午前・金沢の天気  はれ 

★参院選投票まで3日 自公過半数は困難か、尾を引く鶴保失言

★参院選投票まで3日 自公過半数は困難か、尾を引く鶴保失言

参院選の投票日まで3日となった。終盤に入り、メディア各社は選挙情勢を伝えている。読売新聞(16日付)は「自公 過半数難しく 立民堅調、国民大幅増 参政は躍進」の見出し。朝日新聞(14日付・Web版)は「自公、参院過半数は困難か 自民は比例区でも苦戦」、毎日新聞(同)は「自公過半数、深まる苦戦 1人区厳しさ増す」と伝えている。

また、日経新聞(16日付)は「自公大幅減、過半数は微妙 国民民主・参政が躍進 立民横ばい」、共同通信の調査はローカル各紙(15日付)で「自公苦戦 過半数は微妙 国民大幅増の公算大」と報じている。各紙の記事を読むと、政権与党の自公は苦戦している。

そして、地元・石川選挙区(定数1)の記事を読むと、朝日・毎日・読売の評価が分かれている。序盤は3紙とも「自民優勢」だったが、終盤になって、朝日と毎日は「互角の激戦」「接戦」に変更、読売は「自民優勢」を継続している。朝日・毎日はその変更の理由について、自民党の参院予算委員長だった鶴保庸介氏が今月8日に和歌山市での応援演説で、去年元日の能登半島地震について「運のいいことに能登で地震があった」と発言したことの影響が尾を引いていると分析している。毎日は「投票先を決めていない人が3割以上おり、情勢が流動化することもある」と述べている。一方、読売は「(自民候補が)先行したまま終盤に突入した」と述べているが、「(自民)陣営は、自民参院議員による『運のいいことに能登で地震があった』という発言の影響を懸念する」と書き添えている。

いずれにしても石川選挙区では鶴保氏の失言が投票行動にどのような影響を与えるのか見どころではある。何しろ失言の余波は広がっていて、きのう(16日)石川県の8つの町議会の議長でつくる「県町村議会議長会」の会長が自民党本部を訪れ、森山幹事長宛の抗議文を届けている。本来ならば、鶴保氏本人が能登に来て、失言の謝罪をすべきではないのか。ケジメをつけないと、この騒動は治まらない。

時事通信の7月の世論調査(11-14日実施)によると、石破内閣の支持率は前月比6.2ポイント減の20.8%で、去年10月の発足以降の最低を更新した。不支持率は同6.6ポイント増の55.0%と最高だった。政党支持率は、自民党が前月比2.5ポイント減の16.4%、立憲民主党が同1.1ポイント増の5.5%で、参政党が同2.2ポイント増の4.7%で3位に上昇した(17日付・時事通信Web版)。石破内閣はまさに「危険水域」ではないのか。支持率は落ち始めると急降下する。それが世論調査の怖さだ。

⇒17日(木)夕・金沢の天気  くもり時々あめ

★政治家の言葉に危うさ 言葉の独り歩きが予期せぬことに 

★政治家の言葉に危うさ 言葉の独り歩きが予期せぬことに 

自民党の参院予算委員長の鶴保庸介氏が今月8日に行った和歌山市での参院選の応援演説で、去年元日の能登半島地震について「運のいいことに能登で地震があった」と発言したことが問題となった=写真=。地元メディアの報道によると、この発言に対し、能登の4つの市町(輪島、珠洲、穴水、能登)の議会は10日、鶴保氏に抗議文を送ることを決めた。これとは別に輪島、珠洲の両市議会では個別の抗議文も送り、被災地の怒りを伝える(11日付・北國新聞)。

鶴保発言の騒動で目立たなかったが、石破総理は翌日9日に千葉県船橋市での街頭演説で、アメリカのトランプ政権との関税交渉について触れ、「これは国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか。たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない。守るべきものは守る」と強調した(9日付・共同通信Web版)。「なめられてたまるか」は、トランプ大統領が8日、日本からの輸入品について8月1日から25%の関税を課すとする書簡を公表したことを受けての発言だった。英訳すれば、「Don‘t underestimate Japan」だろうか。ただ、この言葉はトランプ大統領との直接交渉の場で発する言葉であって、板橋市民の前で叫ぶ言葉なのだろうか。

政治家の言葉に危うさを感じる。歴史的に有名な言葉は「ばかやろう」だ。1953年(昭和28年)2月、衆院予算委員会で当時の吉田茂総理と社会党の議員は激しい質疑応答を繰り返していた。吉田総理が自席に戻り、「ばかやろう」とつぶやいたのを偶然マイクが拾い、気づいた相手議員が「議員をつかまえて、国民の代表をつかまえて、ばかやろうとは何事だ。取り消せ」と迫った。これがきっかけで国会はさらに混乱し、3月14日に衆院解散となった。後に「ばかやろう解散」と称された。

政治家の言葉の危うさは、言葉が独り歩きをしてどのように展開していくのか読めないことの危うさでもある。石破総理の「なめられてたまるか」をトランプ大統領はどのように解釈するだろうか。そもそもトランプ氏は「われわれは日本を守らなければならないが、日本はわれわれを守る必要がない」と繰り返し述べ、日米安全保障条約に不満をにじませている。トランプ氏が「Don‘t underestimate America」と言い出すかもしれない。

⇒11日(金)午前・金沢の天気  はれ