⇒ニュース走査

★東北の震度6強、そして能登半島の揺れ

★東北の震度6強、そして能登半島の揺れ

   けさ届いた東京の知人からのメール。「昨夜11時半ごろの震度6強。宮城と福島を襲った地震ですが、皆さん無事ですか。少し揺れてるな・・・ちょっと変な揺れ方があって終わりかな、と思っていたら強い揺れ(都内は震度3)が長いなと感じる地震がありました。ケータイの緊急地震速報は、揺れが終わったころに『叫んで』くれました。皆さん、どうされましたか」

   先日のブログ(3月8日付)でも取り上げたが、3月の地震は恐怖だ。気象庁によると、16日午後11時36分ごろ、福島県沖で発生した地震で、宮城北部と南部、福島中通り、福島浜通りで最大震度6強の揺れを観測した。震源は北緯 37.7度、東経 141.6度でマグニチュード7.4、震源の深さは60㌔だった。

   揺れは石川県でもあり、震度3が珠洲市、震度2が七尾市、輪島市、羽咋市、中能登町、能登町、震度1が金沢市、輪島市の舳倉島、かほく市、津幡町、志賀町、穴水町だった。震度3の珠洲市の危機管理室や県危機対策課には被害の情報は入っていない。

   震度6強を観測した福島県沖の地震は去年2月13日にも発生している。発生時間は午後11時8分。このときも能登半島の尖端、珠洲市では震度3だった。その時の福島県沖の震源地は北緯 37.7度 東経 141.7度でM7.3、震源の深さは60㌔と今回とほぼ同じだ。

   今月8日午前1時58分、珠洲市を震源とする震度4の揺れがあり、マグニチュード4.8、震源の深さは10㌔だった。この地震で震度3が新潟県の長岡市と糸魚川市、上越市、震度2や震度1の揺れは東北や関東など広い範囲に及んだ。能登半島では2007年3月25日に輪島市沖でM6.9、震度6強の地震があり、同じ年の7月16日、同じ日本海側で新潟県中越沖地震(震度6強)と続いた。その後、能登半島の先端では2020年12月ごろから再び地震が活発化し、震度1以上の揺れは去年は年間70回、ことしに入り29回観測されている。地震の専門でない者が軽々に語るべきことではないが、能登半島の揺れ、そして福島県沖の地震は連鎖反応なのだろうか。

⇒17日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆ロシアの「ジャンヌ・ダルク」が投じた一石

☆ロシアの「ジャンヌ・ダルク」が投じた一石

    まさに現代のジャンヌ・ダルクではないだろうか。勇気ある女性だ。ロイター通信Web版日本語(15日付)=写真=によると、ロシア国営テレビ局「Channel One」の14日夜のニュース番組で、アナウンサーの後ろに、「NO WAR」と手書きのプラカードをかざした女性が突然映り込んできた。「戦争を止めて」と声をあげた。7秒で画面が切り替わった。国営テレビは、ロシアはウクライナの非軍事化と「非ナチ化」、ロシア系住民の保護のために戦っているとするロシア政府の見解を一貫して報じている。この報道姿勢に身内から反乱を起こした。

   女性はテレビ局のディレクターでマリーナ・オフシャニコワ氏。ネット上にビデオ声明も発表していて、「ウクライナで起きていることは犯罪だ。ロシアは侵略国であり、侵略の責任はウラジーミル・プーチンにある」「テレビ画面でうそを話すのを許してきたのが恥ずかしい」と述べ、ロシア国民に反戦活動を呼びかけている。父がウクライナ人、母がロシア人であることを明かしている。彼女は警察によって当日拘束された。モスクワの裁判所は翌15日、無許可で抗議活動を行ったとして3万㍔(280㌦)の罰金を科して釈放した(同)。

   むしろプーチン氏からにらまれているのはテレビ局幹部ではないだろうか。国営テレビ「Channel One」は日本で言えば、NHKのような存在である。夜9時からの番組なので、まさにNHK報道番組『ニュースウオッチ9』ではないか。動画を見る限り、オフシャンコワ氏が手書きのプラカードを掲げ、反戦を訴えたが、ニュースを読み上げる女性キャスターはオフシャンコワ氏の行動を無視している。テレビカメラもそのまま撮っていた。7秒後に画面が切り替わった。通常で考えれば、スタジオにプラカードを持って入ることをなぜ他のフロアスタッフが阻止しなかったのか、なぜカメラマンは7秒もそのままカメラを向け続けたのか。

   以下はあくまでも憶測だが、「予定調和」の流れを感じる。オフシャンコワ氏やカメラマン、ほかのスタッフが訴えた「7秒間の反戦ドラマ」ではなかったか。ロシアの民衆はネットでウクライナ侵攻の真相が分かっていても、大統領には逆らえず、見て見ぬふりをして沈黙してきた。それがもう限界に来ている。オフシャニコワ氏の果敢な行為は突発的に見えるが、計画的でもある。民衆に怒りのマグマが相当たまっていて、これが導火線になるのではないか。

   フランスのマクロン大統領もジャンヌ・ダルクのイメージを想起したのだろうか、朝日新聞Web版(16日付)によると、マクロン氏はオフシャニコワ氏の保護のために外交努力をする考えを示し、「次のプーチン氏との協議で具体的な提案をする」と語ったという。

   一方のロシア政府はそう甘くはない。ロシアでは今月、ロシア軍の活動に関して、ロシア当局がフェイクニュースと見なした場合に、最大15年の禁錮刑を科せる法律が施行された。オフシャニコワ氏の活動そのものが偽情報の拡散と当局が判断する可能性がはらむ(同)。ロシアの世論が今後どう展開していくのか。新たなロシア革命へとつながっていくのか。

⇒16日(水)午後・金沢の天気   はれ

★国連安保理はドロ沼状態から這い出せるのか

★国連安保理はドロ沼状態から這い出せるのか

   今月11日にロシアの要請で国連安全保障理事会の緊急会合が開かれ、ロシアの国連大使は「ウクライナで渡り鳥やコウモリ、シラミなどを利用した生物兵器開発計画があり、テロリストに盗まれ使われる危険性が非常に高い」「生物兵器の開発にはアメリカが関与している」「同様の研究は悪名高い旧日本軍731部隊も行った」と一方的に主張した(12日付・時事通信Web版)

   写真は国連安全保障理事会の会議室(国連広報センター公式ホーページ日本語より)。バックの壁画はノルウェーの画家、ペール・クロフが描いた「灰から飛び立つ不死鳥(Phoenix aus der Asche)」。大戦の焼け跡から抜け出して飛び立つ不死鳥が描かれている。よりよい未来への希望を象徴した絵とされる。果たして現代のドロ沼状態から世界はいつ這い出せるのか。

☆卵が先か、「ピカソ」が先か

☆卵が先か、「ピカソ」が先か

   5年前の話になるが、「ピカソに会える茶会」という、ちょっと気を引くタイトルの茶会が金沢21世紀美術館の茶室「松涛庵」であった(2017年12月)。床の間に飾ってあったのはピカソの作品『貧しき食事』だった=写真・上=。ワインと一切れのパンを前にした男女の姿が描かれている。男は目が不自由で顔は右の遠くを向いているものの、左手は女の肩に、右手は腕に寄せている。「青の時代」と言われたピカソの初期の作品で、社会の底辺にいる人たちを題材とした作品が多い。作品はこの時期の有名な版画として知られる。ごく限られた数だけ摺られた希少なものと解説があった。濃茶を頂きながら、名画を堪能させていただいた。

   2つ質問をしたことを覚えている。一つは、「なぜ、この作品を床の間に飾ったのか」と。すると「ピカソの初期の作品であり、初心に戻ってお茶会をするという企画意図と合ったため」とのこと。2つ目に「そもそもこの貴重な絵はどこからお借りしたのか。あるいは個人所有なのか」と。「高岡にありますイセコレクションの伊勢氏に直接お願いして、お借りした」との返事だった。

   イセコレクションは、「森のたまご」のブランドで知られる鶏卵大手「イセ食品」(東京)の前会長、伊勢彦信氏が収集した世界的な名画や彫刻、陶磁器のこと。作品は伊勢氏が代表理事を務めるイセ文化財団(東京)が管理し、創業の地である富山県高岡市のグループ会社のギャラリーで一部を展示している。

   そのイセ食品とグループ会社は11日、債権者から東京地裁へ会社更生法を申し立てられ、同地裁から保全管理命令を受けた、と北陸のメディア各社が報じている=写真・下=。「帝国データバンク」Web版(11日付)によると、M&Aなどで業務内容を拡大するなか金融機関からの借り入れが増加。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて卵価が下落、資金繰りが悪化していた。負債はイセ食品とグループ会社の2社の合計で453億円(うち金融債務は260億円)とみられる。

   イセ食品の伊勢彦信氏をめぐっては、2019年4月に国税から税務調査を受け、7億円の申告漏れが指摘された。別のグループ会社がアメリカ・ニューヨークのビルを購入・転売して得た利益の一部が配当として伊勢氏に渡っていた。1980年にアメリカでグループ会社を設立し、卵の販売量で全米2位となっている。

   話はイセコレクションに戻る。現在92歳の伊勢氏は世界で注目されてきた筋金入りの美術品コレクターである。ふと気になるのは、更生手続きをきっかけにピカソなどのコレクションを売却処分するのか、あるいはコレクターとして意地を通すのか。卵が先か、「ピカソ」が先か。

⇒12日(土)午後・金沢の天気     はれ

☆「人に忠誠を尽くさない」新韓国大統領の法治国家への道

☆「人に忠誠を尽くさない」新韓国大統領の法治国家への道

   韓国の新しい大統領に野党「国民の力」の前検事総長、尹錫悦(ユン・ソギョル)氏が選ばれた。韓国・中央日報Web版(10日付)=写真=によると、得票率は尹氏が48.56%、与党候補が47.83%で文字通りの僅差だ。票差にして24万7千票余り。投票率は、連日30万人の新型コロナウイルス感染者が出ているにもかかわらず、77.1%と高い。韓国の有権者はなぜ政権交代を選択したのか。そして、政治経験がまったくない尹氏に何を委ねたのか。
 
   メディア各社のこれまでの報道から印象的な尹氏のイメージは、権力に遠慮することなく司法の刃(やいば)を向けてきたことだ。朴槿恵(パク・クネ)政権下での「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」では朴前大統領を拘束起訴(2017年3月)。この実績により、文在寅(ムン・ジェイン)大統領によってソウル中央地検長に抜擢された尹氏はさらに李明博(イ・ミョンバク)元大統領も拘束起訴した。2019年6月に検事総長に任命されてから、矛先は文大統領の側近にも向けられた。曺国(チョ・グク)前法務部長官の捜査を手初めに、蔚山市長選挙介入疑惑、月城原発経済性ねつ造疑惑など次々と捜査のメスを入れた。曺氏の後任の秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官と対立して去年3月に辞職した。
 
   大統領から任命を受けても、権力と対峙した尹氏は「私は人(権力)に忠誠を尽くさない」という言葉を放って国民に知られるようなった。尹氏が大統領になることで期待されるのは、「法治国家」という共有の概念ではないだろうか。権力の不正や腐敗を正す法治である。司法、行政、立法の三権分立は日本では中学の公民の教科書にも出て来る。ところが韓国では大統領に権力が集中している。時々の政権の都合により法解釈が曲げられたりすることのない国であること、これこそ政治経験のない尹氏に国民が委ねたことはではないか。
 
   尹氏は選挙期間中、国際法や国際協定なども遵守する姿勢を打ち出した。とくに日米韓の安全保障の協力強化は、北朝鮮の核ミサイルに対する協調態勢を念頭に置いてのことだろう。さらに、冷え込んだ日韓関係の修復を図っていくと述べている。日本とすれば、日韓の戦後補償問題は「完全かつ最終的に解決された」と規定した1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みとの立場であることに変わりないが、「シャトル外交」を進めながら相互理解を再構築することはマストだろう。
 
   油断ならないのは北朝鮮の動きだ。文大統領の任期は5月7日までだが、政権運営としては実質的に何もできない「レームダック状態」に陥る。「日米より、こっちを向け」と韓国に何か仕掛けて来るかもしれない。そして、ことしに入って弾道ミサイルを9回発射している北朝鮮は新大統領めがけてどのような難題を放つのか。
 
⇒10日(木)夕方・金沢の天気      はれ

☆能登半島の尖端で頻発する地震の不気味さ

☆能登半島の尖端で頻発する地震の不気味さ

   3月は地震のイメージが強く残る。「3・11」の言葉で象徴される東日本大震災(2011年3月11日)はもちろんそうなのだが、さらに「3・25」の能登半島地震(2007年3月25日)と重なる。マグニチュード6.9、震度6強だった。本震の後、震度5弱の余震が続いた。能登には「2・7」もある。1993年2月7日にM6.6、震度5を記録した能登半島沖地震だ。積雪が残るこの時季は春を待つこともさることながら、どうしても揺れを警戒してしまう。

   きょうの夜中に知人からメールが入った。地震情報だった。「能登に大きな被害はないようだけれど、金沢も注意してください」と。「また地震か」と憂鬱な気分になった。きょう午前1時58分ごろ、能登地方を震源とする震度4の揺れを観測する地震だった。マグニチュードは4.8、震源の深さは10㌔、最も揺れたのは半島の尖端・珠洲市だった。金沢は震度1だったが就寝中で気がつかなかった。

   ウエザーニュース社の公式ホームページを確認すると、震度4に続く震度3の揺れは半島のほかに、富山県舟橋村、新潟県の長岡市と糸魚川市、上越市で、震度2や震度1の揺れは東北や関東など広い範囲に及んでいる=写真・上=。M4.8でこれほど広く揺れるとは。

   この地震の52分前の午前1時6分ごろにも震度3が、前日午後4時36分にも震度2がそれぞれ珠洲市で観測されている。珠洲市だけではなく、半島の先端では2020年12月ごろから地震活動が活発化していて、震度1以上の地震が2021年は70回、2022年はすでに18回発生している。

   中には不気味な揺れもあった。去年9月29日、日本海側が震源なのに太平洋側が揺れる「異常震域」という初めて聞く地震があった。震源の深さは400㌔、マグニチュード6.1の地震に、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した=写真・下=。この地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む海洋の太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深かったため、近くよりも、遠くが大きく揺れる現象とされる(9月29日付・朝日新聞Web版)。

   半島の尖端で何が起きているか、朝日新聞Web版(1月2日付)を引用する。「プレートには、海底下にあった時に岩石の隙間に入り込んだ海水や、鉱物の構造の中に含まれる結晶水と呼ばれる水がある。こうした水の多くはプレートとともに地球の地下深くに入っていくが、地下250㌔ほどから何らかの原因で分離し、十数㌔まで上昇した可能性が考えられるという」

   「マグマだまり」ではなく「水だまり」の可能性が指摘されている。その先例として、1965年8月から約5年続いた長野県の松代群発地震が指摘されている。地下深くから上昇してきた水が岩盤にしみ込み、岩盤の強度が下がって地震が起きたとみられる。このときは山が1㍍隆起したほか、水が噴き出す水噴火という現象もあった(同)。

   能登半島の尖端で水噴火があるとどうなるのか。周囲が海なので、どのような現象が起こるのか。

⇒8日(火)午後・金沢の天気      はれ

★反戦とロシアへ怒り込め「Peace!」IPC会長スピーチ

★反戦とロシアへ怒り込め「Peace!」IPC会長スピーチ

☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

☆「原発占拠」と「注射器の投棄」不気味さ増すロシア

   おそらくロシアはこれをNATOやEUへの脅しに使ってくるのではないかと考え込んでしまった。メディア各社の報道によると、ウクライナ南部のクリミア半島近くにあるザボロジエ原発がロシア軍から砲撃を受け、占拠された=写真=。ウクライナにある15の原子炉のうち6基がザボロジエ原発に集中している。ザボロジエ原発が爆発すれば、チェルノブイリ原発の10倍の被害になるとして、ウクライナ側はロシアに即時停止を求めた。ゼレンスキー大統領はFacebookに動画を投稿し「もし核爆発が起きればみんなおしまいだ。ヨーロッパの終わりになる。ヨーロッパの即座の行動だけがロシア軍を止められる。ヨーロッパを核で破滅させるわけにはいかない」と危機感を露わにした(4日付・NHKニュースWeb版)。

   ロシア側はザボロジエ原発を占拠した理由について、原発に貯蔵されている使用済み核燃料や高レベルの放射性物質をウクライナが核兵器に利用する恐れがあると主張した。IAEAは原子力施設に対する武力攻撃は国連憲章、国際法などの原則に反すると声明を発表し、ロシアをけん制した。いまのところ、原発周辺の放射線量に変化はなく、ウクライナ側は火災は主要設備に影響していないとIAEAに報告した(同)。ロシアがザボロジエ原発を占拠したことで、ヨーロッパへの脅しに使ってくるのではないか。「いつでも爆破させるぞ」と。

   ロシアの不気味なニュースをもう一つ。石川県の地元メディアによると、能登半島の尖端付近の海岸に大量の注射器が漂着し、輪島市の海岸だけで625本が見つかった。包装用の袋にはロシア語の表記があった。注射器の長さは約10㌢で、針のついているもの、針だけ包装されているものもあった(4日付・北國新聞夕刊)。

   これまで島根や鳥取、兵庫、京都府の海岸でも似た注射器が見つかっている(2月28日付・共同通信Web版)。これだけ広域に漂着しているということは以下のことが推測できる。能登半島の沖合には北朝鮮の木造船がよく流れ着く。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し日本海側の沿岸に流れてくる。とくに能登半島は突き出ているため、近隣国の漂着ごみのたまり場になりやすい。おそらく、ロシア、あるいはロシアから提供を受けた北朝鮮が沖合で廃棄した注射器ではないだろうか。見つかっているのはごく一部で、膨大な量の注射器が海を漂っているに違いない。

   ことし1月には能登半島の珠洲市の海岸で、船体の全長が50㍍ほどある鉄製の船が海岸に流れ着いた。船体にはロシア語が書かれていた。能登海上保安署は、ロシアで射撃訓練の際に「標的船」として使われる船に似ているという(1月4日付・朝日新聞ニュースWeb版)。ロシアは日本海でなぜ、どのような理由で射撃訓練をしたのか。実に不気味だった。

⇒4日(金)夜・金沢の天気     くもり

★詭弁を弄するロシア大使の手練手管

★詭弁を弄するロシア大使の手練手管

   「詭弁を弄する」とはこのことを言うのだろう。昨夜、BSフジの番組『プライムニュース』で、駐日ロシア大使のミハイル・ガルージン氏と元防衛大臣の小野寺五典氏が論戦を交わしていた=写真=。ガルージン氏は流暢な日本語で、「ウクライナの市街地を空爆しているかのようなビデオが流されているが、我々が攻撃しているのは軍事施設だけ」と述べ、ウクライナ第2の都市ハリコフの州政府庁舎などが攻撃を受けたことについて、「おそらくウクライナ軍による誤射です」と主張した。

   その後もガルージン氏はキエフのアパートへの攻撃について、「われわれの軍の専門家がウクライナのミサイルの誤射だったと確認した」と主張し、「ウクライナを占拠する意図は一切ない」と繰り返していた。小野寺氏は一つ一つ事実関係をもとにガルージン氏の主張を論破していた。それにしても、事実でないことをいろいろ理屈を付けて事実であるかのように語ることを「詭弁」と言うが、ガルージン氏の手練手管に言いくるめられる日本人もいるだろう。

   その一人が元総理の鳩山由紀夫氏ではないだろうか。今月1日付の自身のTwitterで、「同時にウクライナのゼレンスキー大統領は自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を『テロリストだから絶対に会わない』として虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ」「なぜならそれがプーチンのウクライナ侵攻の一つの原因だから」と書いて、ロシア寄りの論調がSNSで批判を浴びた。実は、駐日ロシア大使館の公式ホームページをチェックすると、先月10日にガルージン大使が75歳の誕生日(2月11日)を迎える鳩山氏を訪問したことが記載されている。ページの最後には、「元首相は祝辞に心から感謝していると述べました。また、ロシアとの統合後のクリミアの客観的な状況を日本国民に伝えるなど、今後も両国の交流の促進に積極的に協力する意向を示しました」と記されている。

   上記の文からは、ロシアがウクライナを統合するプロセスについて鳩山氏に説明し、鳩山氏は「国民に伝える」と述べたと読める。以下憶測だ。鳩山氏はガルージン氏の訪問を受けて、ロジックがありそうな同氏の温和な語りを聞いて、鳩山氏はそれを詭弁ではないかとは疑わなかったのだろう。なので、その語りの論調をそのままTwitterに上げた。鳩山氏は2015年3月にロシアが一方的に編入したクリミア半島を、外務省の訪問中止要請を振り切って訪れている。ガルージン氏とすれば、ハトにエサを与えるように、手なずけるのは簡単な人物と読んでいるのかもしれない。

⇒3日(木)午前・金沢の天気     くもり時々はれ

☆「Shame on you」渦巻くロシア非難

☆「Shame on you」渦巻くロシア非難

   きょうお昼に金沢市内の回転寿し店に入った。杖を突いて店に入って来たシニアの男性と付き添いの女性2人が横の席に座った。話し声が聞こえた。「ウクライナに攻め込んで好き放題に街を壊しとる。プーチンは許せん。この杖で叩いてやりたい」と。女性は「あまり感情的になると、また咳き込むから」となだめている。もう一人の女性も「ロシアに好き勝手させて、アメリカも国連も止められんのやね」と憤っていた。ロシアのウクライナへの侵攻への市民の怒りにも似た感情に気づかされた。

   メディアで連日報道されているこの侵攻は激しさを増している。ロシア軍の車列は首都キエフまで27㌔に迫り、きのう1日は同市内にあるテレビ塔などを攻撃したと報じている。テレビ塔の狙い撃ちは市民への情報通信を遮断することが目的だったのだろう。逃げ惑う市民の姿も映し出されていて、侵攻以降でウクライナから隣国ポーランドに避難した人々は41万人にものぼるという(2日付・NHKニュースWeb版)。イギリスのジョンソン首相は「ロシアは1945年以来、ヨーロッパで最大の戦争を計画している」と語った(2月20日付・BBCニュースWeb版日本語)。まさにその様相を呈している。

   キエフにある日本の大使館も一時閉鎖に追い込まれている。朝日新聞Web版(2日付)によると、外務省は大使館をウクライナ西部の都市リビウに移転すると発表し、「ロシアによる侵略が拡大し、首都キエフの情勢が極度かつ急速に緊迫化した」と説明した。在留邦人は先月27日時点で120人、その多くがキエフに在住している、

   ロシアがむき出しの軍事行動の理由にあげているのが、ウクライナ政府によるロシア系住民に対する「ジェノサイド(集団殺害)」から守るために国連憲章第51条が定める自衛権を行使するとの主張だ。駐日ロシア大使館のTwitterを読むと、あからさまな表現で日本とウクライナを非難している。27日に岸田総理がロシアへの追加制裁としてプーチン大統領の資産凍結について発表した。すると、28日の駐日ロシア大使館のTwitterでは、ウクライナ政府を「ナチス」にたとえ、支援している日本政府を非難している。「日本は100年も経たぬ間に二度もナチス政権を支持する挙に出ました。かつてはヒトラー政権を、そして今回はウクライナ政権を支持したのです」と=写真・上=。

   このTwitterには政治家も参戦している。ロシア大使館が同じく28日に「ソーシャルメディア上でロシアに対して情報戦が繰り広げられています。・・・ウクライナの民族主義者の犯罪を記録した映像や動画が、ロシアによるものであるかのように紹介されているのです」と。これに対し、河野太郎氏(元外務大臣、自民党広報本部長)は「Shame on you」(恥を知れ)と真っ向から非難のリツイートを行っている=写真・下=。庶民も政治家もロシアへの激しい怒りだ。

⇒2日(水)夜・金沢の天気  くもり