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☆どこまで続く株高「サナエノミクス」 どう手を打つ物価高対策

☆どこまで続く株高「サナエノミクス」 どう手を打つ物価高対策

自民党新総裁の高市早苗氏はこれまで経済政策として「積極財政」と「積極緩和」を訴え、「サナエノミクス」と称してきた。週明けの市場はそれを敏感にとらえ、日経平均は2100円を超えて、一時4万8000円台を突破した。一方で円相場は下落して、1㌦=150円台で推移した。サナエノミクスはこれがスタ-トとなるのかどうか。ただ、国民が求めるのは物価高対策だろう。高市氏はこれまで消費税率引き下げなどを論じてきたが、それは可能なのか。自民党本部で行われた新総裁の就任記者会見(今月4日)からその文脈を拾ってみる。(※写真は、今月4日に行われた総裁選で、決選投票前の「最後の訴え」を語る高市早苗氏=自民党公式サイトより)

物価高対策では、「国民が直面している課題に取り組まなければならない」と語り、臨時国会を開いて物価高対策に取り組む考えを示した。公約に掲げたガソリンと軽油の価格引き下げを前向きに述べ、財源には税収の上振れや基金を充てるとした。では、米価高騰など食品の物価高対策をどうするのか、対策が示されていない。

消費税引き下げについては、「自民党の税制調査会では多数意見とはならず参院選の公約にも入りませんでした。これから自民党の税制調査会の中で活発に議論をして、選択肢としては決して放棄するものではありませんけれども、すぐに私たちが対応できることをまず優先したい」と述べた。「選択肢として放棄しない」という言い方ははぐらかしのような表現だ。

 高市氏は現在の物価高について、「これでもうデフレではなくなったと安心するのは早い。賃金の上昇が主導して需要が増え、緩やかにモノの値段も上がっていく形のインフレがベストだ」と語っていた。おそくらこの発想には年金生活者の視線が欠けている。日本の人口の4割が「給与所得者」で3割が「年金生活者」というのが現実だ。誰しもが賃上げとインフレをベストと思っているわけではない。

以上は就任記者会見の動画配信を視聴して、物価高対策と消費税引き下げについて述べている部分を切り抜いての感想だ。物価高対策や消費税引き下げにしても公約として言葉を鮮明にしていたが、自民党総裁が決まったとたんにトーンダウンした印象がぬぐえない。

今月15日を軸に招集が検討されている臨時国会の首班指名選挙では、野党各党が候補を一本化するのが厳しい状況のため、自民党総裁が首相に指名される可能性が高い。その後はアメリカのトランプ大統領との信頼構築など難題が山積だろう。そんな中でも、国民の信頼を得るために、まず物価高対策に前向きに取り組んでほしいものだ。

⇒6日(月)夜・金沢の天気     はれ

☆高市・自民新総裁の「ワークライフバランスを捨てる」という言葉

☆高市・自民新総裁の「ワークライフバランスを捨てる」という言葉

「火中の栗を拾います」。自民党の総裁選がきょう4日に行われ、高市早苗・前経済安保相が選出された。上位2人による決選投票で小泉進次郎農相を破った。今月15日召集を軸に調整が進む臨時国会で、首相に指名される見込みで、女性の首相就任は日本史上初めてとなる。冒頭の「火中の栗」は、総裁選の投開票に向けて開いた陣営の決起大会での言葉で、「私は火中の栗だろうが何だろうが拾う。先見性と実行力が自分の強み」と述べた。

午後6時からの総裁採択後の記者会見で、高市氏は「今の暮らしの不安や未来への不安を夢や希望に変える政策を打ち出してくれる政党だな、と感じていただける党運営をしていきたい」と冒頭で述べていた。今後の政策決定の方針については、「私自身が総裁選で訴えた政策の方向性だけでなく、多くのみなさんの意見を聞きながら議論しながら、皆様に『そうだな』と思っていただける方針を打ち出せる政党にしたい」と話した(4日付・日経新聞Web版)。

さらに、臨時国会で物価高対策などに取り組む考えを示し、「できるだけすみやかに国民が直面する課題にとりくまなければならない。物価高対策に力を注ぎたい」と強調。外交について、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)に触れ、「もっともっと日本が前に出て世界平和に貢献ができる、多くの方々が共通課題から救われる、そういった姿を見せていきたい」と述べた(同)。

総裁選後の直後に述べた高市氏の演説。「私は約束を守ります。全世代総力結集で、全員参加で頑張らなきゃ立て直せませんよ。だって、人数少ないですし、もう全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて参ります。皆様にもぜひとも日本のために」

ここで気になったのは、「ワークライフバランスという言葉を捨てます」という言葉。ワークライフバランスは仕事と生活の調和のことを言う。高市氏はある意味で北陸では知られた人でもある。夫の山本拓氏は福井県出身の元衆院議員で、去年の衆院選で福井2区で落選した。その後、脳梗塞を患い右半身が動かない後遺症が残り、高市氏が介護していることで知られている。ワークライフバランスを捨てることで今後、夫の介護とどう関わるのか。少々気になった。(※写真は、4日付・NHKニュースWeb版から)

⇒4日(土)夜・金沢の天気  くもり

★自民総裁選は終盤~党員票は高市、ステマ騒動が尾を引く小泉~

★自民総裁選は終盤~党員票は高市、ステマ騒動が尾を引く小泉~

自民党総裁選はあす4日に投開票が行われる。メディア各社は終盤の情勢を追っている。フジ系FNNによる全国の党員票の動向調査(3日付・Web版)では、高市前経済安全保障担当相が地元の奈良県など関西圏をはじめ17の都道府県で他の4候補をリードしている。小泉農水相は地元・神奈川県など15の県で優勢で、高市氏を追っている。高市氏と小泉氏は6つの県で競り合っている。林官房長官は地元の山口県など4つの県で優勢で、茂木前幹事長と小林元経済安保相は苦戦している。

一方、国会議員票の動向については、小泉氏が80人を上回る支持を固め、党員票の動向と合わせ、現時点で総合的にトップとなっている。次いで林氏が約60人、高市氏が40人を超える議員の支持を固めていて、党員票の動向を踏まえると、高市氏、林氏による2位争いが展開される見通し。ただ、態度を明らかにしていない議員が50人ほどいるため、トップを巡る争いは予断を許さない情勢となっている。

NHK「マイあさ!」(2日付・Web版)から。議員票について、記者のコメント。「小泉さんがおよそ70人、高市さんがおよそ40人を固めています。この2人の間に、およそ60人を固めている林さんがいます。小林さんと茂木さんはおよそ30人を固めています。小泉さんはもともと派閥には所属していなかったこともあって、党内幅広く支持を集めています」

党員票について記者のコメント。「高市さんが、ほかの4人を先行しています。そのあとに、小泉さんと林さんが続く展開となっています」「高市さんは、去年(令和6年)の総裁選でも党員票はトップでしたが、その後も全国各地を歩いていますので、知名度はありますし、ネット戦略は、ほかの陣営が一目置いています。一方の小泉さんは、先週、陣営内でのステマ問題が明らかになりましたよね。好意的なコメントを動画配信サイトに投稿するよう要請していたわけですが、陣営の中から党員の支持獲得への影響を懸念する声が聞かれます」

読売新聞社は終盤の情勢を淡々と報じている(3日付・Web版)。「小泉進次郎農相と高市早苗・前経済安全保障相が先行し、林芳正官房長官が追う展開となっている。小林鷹之・元経済安保相、茂木敏充・前幹事長も支持拡大を図っている」

朝日新聞系のAERAは面白い分析をしている(1日付・Web版)。「実は永田町では、小泉氏のステマ疑惑の前から、『小泉VS.高市では小泉が勝つが、小泉VS.林では林が勝つ』との声が多かった。決選投票では安定感がある林氏に議員票が流れるとの見方だ」

⇒3日(金)夜・金沢の天気   くもり

☆大阪万博の大屋根リングを能登震災の復興公営住宅に再活用へ

☆大阪万博の大屋根リングを能登震災の復興公営住宅に再活用へ

大相撲秋場所で横綱昇進後で初の優勝を果たした大の里関の故郷・石川県津幡町では栄誉を称える懸垂幕が町役場で掲げられている=写真・上=。千秋楽(9月28日)の優勝決定戦を見事制しての賜杯だっただけに、町の人たちの喜びもひとしおだろう。ことし6月には横綱昇進を讃える懸垂幕が掲げられていたので、それに続いて10回目の掲揚となる。「唯一無二」を座右の銘に突き進む25歳の活躍、そして掲げられる懸垂幕は町の人たちにとっての誇りであるに違いない。町の係の人に尋ねると、懸垂幕は大相撲九州場所の番付が発表される11月27日まで掲げられるようだ。

話は変わる。去年元日の能登半島地震から1年9ヵ月となる。被災地ではいま復興公営住宅の建設などが進めてれている。そんな中、地元メディアのこの報道には驚いた。仕掛け人は誰だろうか、と。大阪・関西万博の閉幕まで2週間を切り、連日多くの来場者でにぎわっているようだ。その万博会場の「大屋根リング」=写真・下=が、能登地震の復興公営住宅などに再利用されることが決まったとニュースで報じられている。

大屋根リングは1周2㌔、高さ最大20㍍の世界最大の木造建築物としてギネス世界記録にも認定されている。報道によると、使用された木材は2万7000立方㍍で、今月13日の閉幕後は一部を除いて解体されることが決まっている。万博協会は解体後の木材を無償で譲渡することにしていて、能登半島の尖端に位置する珠洲市が「復興公営住宅への活用」をテーマに応募していた。このほど譲渡が採択され、9月30日に珠洲市に譲渡決定の通知が届いた。万博協会と珠洲市との正式な契約は今月中旬に行われる見込みで、譲り受ける木材の量は未定だという。

このニュースを読んで、建築家の坂茂(ばん・しげる)氏の関わりを想像した。坂氏は1995年の阪神大震災を契機に災害支援に取り組んでいて、能登半島地震でもいち早く行動を起こしたことで知られる。珠洲市には坂氏が監修した仮設住宅が整備されている。木造2階建ての仮設住宅は木の板に棒状の木材を差し込んでつなげる「DLT材」を積み上げ、箱形のユニットとなっている。石川県産のスギを使い、木のぬくもりが活かされた内装となっている。

今後、珠洲市で進められる復興公営住宅の建設資材に万博のシンボルである大屋根リングがどのように再活用されるのか。そこに著名な建築家のアイデアが凝らされるとしたら、まさにレガシーを感じさせるストーリーではないだろうか。

⇒2日(木)夜・金沢の天気  くもり

★どう読む自民総裁選 「ステマ騒動」最中メディア各社が世論調査

★どう読む自民総裁選 「ステマ騒動」最中メディア各社が世論調査

きょう未明、能登半島の北部は豪雨に見舞われた。石川県と金沢地方気象台は、2市3町(七尾、輪島、志賀、穴水、能登)に土砂災害警戒情報を出した。輪島市三井では、29日午前2時42分までの1時間に観測史上最大となる73.5㍉の非常に激しい雨となった。輪島に住む知人によると、「まるで滝のような雨だった」と。警戒情報はけさになって解除された。

話は変わる。自民党総裁選(10月4日投開票)に立候補した小泉進次郎農相の陣営が、インターネット上の配信動画に小泉氏を称賛するコメントを投稿するよう要請するメールを陣営関係者に送っていた、いわゆる「ステマ騒動」(今月25日発覚)がメディアで論議を呼んでいる。そんな中で、メディア各社は総裁選を前に世論調査を行っている。その調査結果を比較してみると。

読売新聞(29日付)によると、今月27、28日に自民党支持層3143人と自民党の国会議員のうち265人の支持動向を調査した。議員への調査では小泉氏が最多で71人、林芳正官房長官が52人、高市早苗・前経済安保相が38人、小林鷹之・元経済安保相と茂木敏充・前幹事長がそれぞれ29人、未定・未回答が76人だった。自民党支持層では、小泉40%、高市25%、林16%、小林5%、茂木4%、残り9%は支持候補を明らかにしなかった。さらに、支持層の中で党員・党友と答えた519人では、小泉41%、高市28%、林13%、小林8%、茂木4%の順だった。調査結果の記事では、「小泉・高市氏先行 林氏追う 決戦投票の公算」と見出しを立てている。(※写真は、今月22日に行われた自民総裁選の候補者演説会の模様=NHK番組から)

共同通信(29日付)は27、28日に国会議員票や党員・党友による地方票の動向を調査した。議員への動向調査では小泉が80人強の支持を集め、林が60人程度、高市が40人程度、小林は30人強、茂木30人弱だった。このうち自民支持層では高市34.4%、小泉29.3%、林19.5%、茂木5.2%、小林3.8%の順だった。支持層のうち総裁選の投票資格があると返答した人では、高市34.4%、小泉30.5%、林13.4%の順だった。小林、茂木は引き離されている。1回目の投票でどの候補も過半数を獲得できず、上位2人による決選投票となる公算が大きい。

日経新聞(29日付)の世論調査(26-28日)では、高市34%がトップで、小泉25%、林14%、茂木5%、小林4%となる。一方、自民党支持層は小泉33%、高市28%、林20%、茂木6%、小林3%の順だった。特定の支持政党を持たない無党派層だと、高市29%、小泉27%、林8%、小林と茂木がそれぞれ5%だった。ちなみに無党派層が「いえない・わからない」は28%となる。

総裁選は議員票295と地方票295の計590票で争われる。現状では、小泉、高市両氏が決選投票に進む可能性が高いようだ。

⇒29日(月)夜・金沢の天気   くもり

☆横綱・大の里が優勝 2場所ぶり無念晴らす

☆横綱・大の里が優勝 2場所ぶり無念晴らす

地元石川県出身の郷土力士、横綱・大の里は横綱として初の優勝を果たした。じつにドラマチック展開だった。結びの一番、1敗でトップの大の里は2敗で追う横綱・豊昇龍と対戦し、押し出しで敗れて2人が13勝2敗で並んだ。そして、横綱同士の優勝決定戦。大の里は寄り倒しで優勝を決めた。大の里の優勝は2場所ぶり5回目で、ことし夏場所後に横綱に昇進してからは初めとなった。

テレビで観戦していてもハラハラする優勝決定戦だった。取組前まで豊昇龍には、1つの不戦勝を除くと1勝6敗だった。合口のよくない相手に本割で敗れて13勝2敗で並び、正直に嫌な予感が漂ったが、優勝決定戦で雪辱を果たした。実況アナウンスによるとと、横綱同士による優勝決定戦は、2009年初場所の朝青龍と白鵬(優勝は朝青龍)以来、じつに16年ぶりだった。(※写真は、横綱・大の里=日本相撲協会公式サイトより)

大の里の地元の津幡町福祉センターではパブリック・ビューイングが開催され、住民など260人が集まり観戦した。優勝決定戦の土俵に大の里があがるとファンは大きな声援を送ったり大の里の名前を書いた紙を掲げたりして取組を見守った。そして、寄り倒しで大の里が優勝を決めると、会場は一斉に立ち上がって喜び、大きな歓声があがった(28日付・NHKいしかわニュースWeb版)。

大の里にとって今回の優勝は面目躍如だったのではないだろうか。前回の七月場所は、新横綱での優勝を目指していたが、4つの金星を与え、千秋楽を待たずに賜杯争いから脱落してしまった。当時のインタビューでは「反省している。最後優勝争いに加われなかったのは悔しい」と唇を噛みながら語っていた。無念だったに違いない。

きょうの優勝後の場内インタービューでこう答えていた(抜粋)。

―横綱という最高位についてからは初めての優勝。どんな胸の内
「先場所、苦しい経験をして、もうあの経験は二度としたくないということで、稽古に励んで、今日こうやって2場所目で優勝することができてうれしいです」

―横綱という立場になっての2場所目になりましたが、何か横綱とはというところを今感じていることはありますか
「いや、もうあまり考え過ぎずに、いつも通り、今まで通りを、自分をやることが全てかなと思ったんで。今回いつも通りのことをやることができたので、優勝することができました」

大の里は2場所ぶりに優勝を決め、七月場所の無念さを晴らしたのだろう。「いつも通り、今まで通り」の想い戻ってきたようだ。

⇒28日(日)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆自民総裁選で小泉陣営にステマ騒動 ネット動画やらせコメント

☆自民総裁選で小泉陣営にステマ騒動 ネット動画やらせコメント

けさ叩きつけるような雨音に目が覚めた。ちょうど午前5時だった。昨夜は暑かったので寝室の窓を開けて就寝したのであわてて閉めた。何しろ周囲が霞むほどの激しい降りだった=写真・上、金沢の自宅2階から午前5時3分撮影=。降り始めから6、7分で止んだ。また来るのかとスマホでチェックするも、そもそも金沢に雨マークがない。にわか雨だったのか。

政界にも激しい雨が降ったようだ。果たしてにわか雨でことは終わるのか。共同通信Web版(25日付)によると、自民党総裁選(10月4日投開票)に立候補した小泉進次郎農相の陣営が、インターネット上の配信動画に小泉氏を称賛するコメントを投稿するよう要請するメールを陣営関係者に送っていたことが25日分かった。今週発売の週刊文春が報じた=写真・下=。小泉陣営の広報班長を務める牧島かれん元デジタル相の事務所が陣営関係者に「ニコニコ動画」にポジティブなコメントを書いてほしいとメールで要望。「総裁まちがいなし」や「泥臭い仕事もこなして一皮むけたのね」など、24のコメント例文を紹介した。

小泉陣営の事務局幹部を務める小林史明衆院議員は国会内で記者団に文春の報道についての事実関係をおおむね認めた。小林氏は「陣営としてルールを守ってやっていく方針を共有している」と述べた。また、牧島氏からのメールには、「ビジネスエセ保守に負けるな」という文例もあったことについては、「(総裁選候補で保守派の)高市早苗前経済安全保障担当相を批判したという意味では全くないと牧島氏も言っている」と語った。

上記の共同通信の報道は、小泉陣営にいわゆるステマ(ステルスマーケティング)の指示があったことを文春が暴露したと述べている。そもそも、「やらせコメント」を書き込むよう陣営内で指示が出たということは、小泉氏は総理にはまだ能力不足があり、それを補うための苦肉の策と陣営内では受け止められているのではないか。このニュースを見て、そう思った党員・党友は少なからずいるはずだ。

この事態を受けて、小泉氏本人はどう動くのか。きょうの閣議後の記者会見で、記者から引き続き総裁選には出続けるのかと問われ、小泉氏は「起こってしまったことの責任は私にある。批判はしっかりと受ける」と述べ、総裁選から撤退する考えはないことを明らかにした(26日付・共同通信Web版)。

⇒26日(金)午後・金沢の天気  はれ時々くもり

☆高額献金めぐる旧統一教会の「深い闇」 どう断罪するのか

☆高額献金めぐる旧統一教会の「深い闇」 どう断罪するのか

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の教団トップの韓鶴子総裁が23日、韓国の特別検察官によって政治資金法違反などの容疑で逮捕された(24日付・メディア各社の報道)=写真=。メディアによると、韓容疑者は2022年4月から7月、元教団幹部らと共謀し、教団に便宜を図ってもらう目的で尹前大統領の妻・金建希被告=斡旋収賄罪などで起訴=に高額のネックスレスなどを贈った疑いが持たれている。旧統一教会の問題についてこれまで何度かブログで取り上げた。解明されるべきはこの教団の日本での金集めの仕組みだ。これまでのブログから以下、再録する。

東京地裁はことし3月25日、文科省の解散命令請求を受けて、日本の旧統一教会に対して解散を命じた。安倍元総理の射殺事件(2022年7月8日)から端を発し、犯人が恨みを持っていたという旧統一教会に解散が命じられるという展開になっている。もう半世紀も前の話だが、自身も高校生のころにこの教団に洗脳されそうになった経験がある。

教団の霊感商法が社会問題となり、2009年2月に警視庁の摘発を受け複数の教団信者が逮捕されるという事件があった。その後も霊感商法は後を絶たず、全国霊感商法対策弁護士連絡会の記者会見(2022年7月12日)によると、1987年から2021年に連絡会などに寄せられた元信者らの被害件数は約3万4500件、被害金額は計約1237億円に上るという。これはあくまで被害総額であって、実際の献金はこの数十倍にもなるようだ。2023年7月3日付の共同通信Web版によると、韓総裁は同年6月に開催された教団内部の集会で、「日本は第2次世界大戦の戦犯国家で、罪を犯した国だ。賠償をしないといけない」などと発言していたことが音声データなどで分かった。

多額の献金は韓国の本部に集められた。それはどこに流れたのか。「文藝春秋」(2023年1月号)は「北朝鮮ミサイル開発を支える旧統一教会マネー4500億円」の見出しで報じている。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省の情報局(DIA)のリポートの一部が解除され、韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が記事を書いている。旧統一教会の文鮮明教祖は1991年12月に北朝鮮を訪れ、金日成主席とトップ会談をした見返りとして4500億円を寄贈していた、と。

さらにDIA報告書では、1994年1月にロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却された事例がある。売却を仲介したのが東京・杉並区にあった貿易会社だった。潜水艦を「鉄くず」と偽って申告して取引を成立させていた。韓国の国防部は2016年8月の国会報告で、北朝鮮が打ち上げたSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルは北朝鮮に渡った「鉄くず」潜水艦が開発の元になっていたと明かした。この貿易会社の従業員は全員が旧統一教会の合同結婚式に出席した信者だった。

高額献金をめぐる旧統一教会の「深い闇」をどう断罪するのか。断罪がなければまた繰り返される。

⇒24日(水)夜・金沢の天気   はれ

☆「落とされ」「利下げ」「陥没」 ニュース・ピックアップ

☆「落とされ」「利下げ」「陥没」 ニュース・ピックアップ

きょうネットや新聞でニュースをチェックすると、妙に「落とす」「下げる」という言葉が目に止まった。石川県の郷土力士である横綱・大の里は秋場所4日目(17日)で平幕の伯桜鵬に土俵際で突き落とされ、初黒星を喫した。相手を土俵際まで追い詰めながら、勝ち急いだのだろうか。伯桜鵬には2場所続けて金星を許したことになる。大の里にとって4日目は「鬼門」のようで、大関に昇進した昨年の九州場所以降の6場所で4日目は1勝5敗となった。きょう5日目(18日)は王鵬と対戦し、突き落としで4勝目を上げている。

次は経済。アメリカ連邦準備理事会(FRB)は17日開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で9ヵ月ぶりに政策金利を0.25%引き下げた。参加者による政策金利の見通し(中央値)によると、年内残り2回の会合で計2回の追加利下げを見込む。前回(6月)よりも利下げのペースが上がった。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.0〜4.25%になった。

FRBの記者会見でパウエル議長は「(労働市場が)とても堅調だとはもはや言えない」と述べた。企業による雇用の勢いが弱まって失業率が上昇する懸念が強まったため、金融引き締めを緩める必要性が高まった。ただ、物価上昇率はFRBの目標水準を上回り続けており、引き締めの必要がなくなったわけではない。パウエル氏は「(雇用と物価という)両面のリスクを抱えた状況にあり、リスクのない道筋は存在しない」と説明し、今回の決定を「リスクを管理するための利下げ」と総括した(18日付・日経新聞Web版)。アメリカの利下げが日本経済にどう波及していくのか。

次は生活面。ことし1月に埼玉県八潮市で下水道管の損傷による道路陥没事故が問題となった。これを受けて、各自治体が古くて大きな下水道管を調査したところ、41都道府県の計297㌔で道路陥没につながる恐れがある腐食や損傷が進んでいることが分かった。このうち、1年以内の対応が必要となる「緊急度1」は72㌔で、石川県内では金沢市が4㍍、小松市で17㍍で見つかった。また、5年以内の対策が必要となる「緊急度2」は225㌔に及び、金沢市では8㍍あることが分かった(地元メディア各社の報道)。「落とされ」「利下げ」「陥没」。ネットと新聞を読んでいて、なんだか妙な気持ちではある。 

⇒18日(木)夜・金沢の天気   くもり

★金沢の名所「W坂」のシンボル「ケヤキの大木」倒れる

★金沢の名所「W坂」のシンボル「ケヤキの大木」倒れる

金沢という街にはいろいろ名所がある。兼六園や武家屋敷、忍者寺といった観光スポットのほかに、そこに住んでいる人しか知らない名所もある。その一つが「W坂」。「だぶるざか」と呼ばれているが、これは通称で、標識では「石伐坂(いしきりざか)」となっている。なぜ、W坂と呼ばれるようになったかというと、金沢出身の詩人で小説家の室生犀星が「美しき川は流れたり」と讃えた犀川に架かる桜橋の詰から寺町台へ上がる階段坂がある。この坂がジグザグ状になっていることから、W坂と呼ばれるようになった。

自身もかつて寺町台に住んでいたのでW坂を何度も上り下りしたことがある。石垣沿いの階段は60段ほどだが、傾斜は急だ。芥川賞作家の井上靖(1907-1991)がかつて旧制四高(金沢大学の前身)に通っていたころにW坂を上り下りした体験を小説『北の海』に記している。「腹がへると、何とも言えずきゅうと胃にこたえて来る坂ですよ」、「この辺で足が上がらなくなる」。この一節はW坂の途中にある井上靖の文学碑で紹介されている。そして、このW坂には地元の知る人ぞ知る言い伝えもある。「人とすれ違っても、決して振り向いてはいけない」と。振り向くとすれ違ったはずの人の人影が見えなくなる。そう、いまで言う「心霊スポット」でもあるのだ。

前置きが長くなった。このW坂のシンボルの一つは石垣から飛び出すように生えていたケヤキの大木だ。地元メディア「北國新聞」(17日付)によると、幹回り最大約1㍍、高さ15㍍のこの大木が15日午前0時40分ごろに倒れた。根元が腐敗していたようだ。けさ現地に行って見てみると、すでに倒木の片づけは済んでいた。ただ、根元を伐採した跡が残っていて、痛々しい光景のように思えた。(※写真・上の左側がケヤキの大木=2015年9月撮影。写真・下は倒れたケヤキの木の根元=17日午前7時撮影)

このケヤキの大木の下をくぐり街中に行く。そして、帰りもこの大木の下をくぐり寺町台に戻る。ケヤキの下から眺める街中も絶景だった。樹齢は200年近かったのではないだろうか。根元を眺めながら、この大木に感謝したい気持ちになった。

⇒17日(水)午前・金沢の天気   はれ