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★能登半島の尖端、地下深く潜む「流体」のナゾ

★能登半島の尖端、地下深く潜む「流体」のナゾ

         能登半島の尖端で続く群発地震。「珠洲市付近の地震活動について」をテーマに金沢大学能登学舎の研究チ-ムが主催する勉強会がきのう26日にあり、オンラインで参加した。話題提供は同市での地震の原因究明に取り組んでいる金沢大学地球社会基盤学系の平松良浩教授。珠洲市周辺では2020年12月ごろから地震が活発となり、去年9月16日にマグニチュード5.1、震度5弱、ことし6月19日にM5.4 、震度6弱、翌20日にM5.0、震度5強と揺れが続いている。地震学者の間ではその原因について、「流体」という言葉がよく使われる。その流体の正体は何か。

   平松氏の説明によると、奥能登ではマグニチュード6から7程度の地震が過去に繰り返し発生している。長さ10㌔から20㌔程度の複数の活断層や活断層帯が存在しており、今後もM6から7程度の地震が起こる可能性はある。こうした活断層や活断層帯のほかに、能登半島の尖端の珠洲市で注目されているのが、「流体」だ。今月11日に開かれた政府の地震調査委員会では、震度6弱と5強の揺れについては、「地震活動域に外部から何らかの力が作用することで地震活動が活発になっている可能性」が考えられ、その外部からの作用とは「能登半島北部での温泉水の分析からは、何らかの流体が関与している可能性がある」としている。

   平松氏の説明によると、その流体が揺れを起こす作用として、「球状圧力源」「開口割れ目」「断層すべり」の3つの原因が上げられる。岩盤が球状に膨らむ、岩盤の亀裂が板状に開く、断層がすべる、など3つの揺れのモデルが考えられるが、特定するのは難しいという。

   そこで、平松氏ら地震の研究グループで始めたのが、温泉水を調査することだ。温泉水に含まれるヘリウムの同位体などを調べることで、地下深くにある流体の起源を突き止められるのではないかと期待している。ヘリウム成分が少なければ地殻で、多ければさらに深いマントルから温泉水が発生していることになる。研究者が手分けして奥能登の8ヵ所の温泉を毎月1回採取する。平松氏はきのう珠洲市内の公衆浴場で湧き出る温泉水を4つの容器でくみ取る作業をした。

   平松氏は「流体が地球のより深いところ、マントルから来ているのか、浅い地殻だけにある水のような流体が原因で地震が起こっているのかを明らかにしたい」と話した。果たしてどのような領域で流体が分布し、地震活動と関わっているのか。リモートで話を聞いていて、地震発生のメカニズムに向かう研究者の執念が伝わって来た。

   「昇龍道(ドラゴンルート)」という言葉がある。中部地方の愛知県・岐阜県・富山県・石川県を南から北へと縦断する観光ルートで、能登半島のカタチが神秘的な昇り龍の頭のように見えることから名付けられている。その龍の頭の能登半島の地下には一体何が起きているのか。

⇒27日(水)夜・金沢の天気   はれ

★熱波、洪水、地球規模の異常気象

★熱波、洪水、地球規模の異常気象

   九州地方に連続して線状降水帯が発生し、災害級の大雨をもたらすなど異常な天候が続いた。海外メディアをチェックするとこれは地球規模のようだ。

   BBCニュースWeb版日本語(今月20日付)によると、ヨーロッパの広い地域で厳しい熱波が続き、普段は気候が穏やかなイギリスでもロンドンのヒースロー空港で40.2度を記録するなど観測史上初めて40度を超えた。 ドイツは今年の最高気温を更新。ポルトガルでは連日の猛暑で死者が増えている。 欧州大陸の各地で山火事が発生し、死者も出ている。

   国連の世界気象機関(WMO)は、事態は深刻さを増すと警告した。 人為的な気候変動の影響で、熱波は以前より頻繁かつ激しくなり、期間も長くなっている。 WMOのペッテリ・ターラス事務局長は、「ゆくゆくはこのような熱波が常態化し、さらに強烈で極端な事象が発生するだろう」と述べた。(※写真・上はWMO公式サイトより=18日付)

   WHO公式サイト(今月22日付)で欧州地域局長のハンス・アンリ・クルーゲ氏は「Heatwave in Europe: local resilience saves lives – global collaboration will save humanity」と題する異例の声明を出している=写真・下=。長期にわたる熱波によって、スペインとポルトガルだけでもすでに1700人以上が死亡、山火事ははるか北のスカンジナビアでも発生していると述べている。「夜間を含め、できるだけ暑さを避け、激しい身体活動を避け、子供や動物が駐車中の車に残らないようにする」「体を冷たくし、水分補給をする」などと、人々に気候変動と闘う自覚を呼びかけている。

   ヨーロッパだけではない、きょう24日付のBBCニュースWeb版によると、中国の一部では今後10日間で40度超える熱波など厳しい気温を予想されるとして、中央政府は森林火災が発生する可能性があると注意を呼びかけている。浙江省では一部の都市に赤色の発しており、これは最も高い警告マーク。同省は例年7月は20度台前半の気温だが、今年は地元当局が今後24時間で40度になると警告している。また、CNNニュースWeb版日本語(20日付)によると、6月には福建省や広東省、広西チワン族自治区の一部が「歴史的記録」を塗り替えるほどの極端な降雨に見舞われた。また、中国北部はうだるような熱波に覆われ、気温は40度を超えた。

   去年もアメリカのカリフォルニア州デスバレーで54度を記録するなど世界各地が熱波や洪水に見舞われた。今後もこのような熱波が世界中で常態化し、そして洪水や山火事など事象が今後発生するのか。カーボンニュートラルを世界が進めれば、この異常気象は鎮まるのだろうか。

⇒24日(日)午前・金沢の天気    はれ

☆一度開いた「ワニの口」は塞がらないのか

☆一度開いた「ワニの口」は塞がらないのか

   「ワニの口」という言葉をメディアで目にしたり聞くようになった。よく使われているのが、政府の歳出・歳入の推移を折れ線グラフで示した図だ。歳出は右肩上がりで増え続ける一方、歳入は伸び悩み、まるでワニが大きく口を広げているような図になる。ネットで検索すると、財務省公式サイトのページ「これからの日本のために財政を考える」にワニのイラスト入りで解説が出ている=写真=。

   ワニの口を実感することがある。それは年金と物価上昇だ。消費者物価指数は去年9月から前年同月比で上昇に転じ、きのう22日に総務省が発表した6月の速報値はプラス2.2%だった。近所のガソリンスタンドでは1㍑170円と高止まりしている。クリーニング店では、かつてワイシャツ1枚180円がいまは240円、コットンパンツもかつて420円がいま600円だ。クリーニング店で話を聞くと、クリーニング工場では石油系の溶剤が使われ、アイロンやプレス機で使う蒸気は重油ボイラーとさまざまなものに石油製品が使われていて、原油価格はクリーニング料金に直結している、ということだった。

   ロシアのウクライナ侵攻にともなう原油高、輸入原材料の価格高騰が背景がある。これは日本だけではなく、欧米も物価高だ。ロイター通信Web版日本語(7月19日付)によると、EU統計局が19日発表した6月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比で8.6%の上昇で、過去最高の上昇率となった。日本はEUに比べ上昇が小幅だが、いつ暴騰するか分からない。その不安をかき立てるのか円安だ。

   今月14日の外国為替市場では、1998年9月以来およそ24年ぶりに1㌦=139円台に円が下落する場面となった。1日でおよそ2円も値下がりする急速な円安だった。 その後はやや戻して137円で推移していた。きのう22日の外国為替市場では一時1㌦=135円台に値上がりし、結局136円台で落ち着いた。アメリカの景況指数で円安・円高を繰り返しているが、この安定感のなさこそが不安をかきたてる要因だろう。

   そして、さらに不安を煽っているのが年金の減額だ。今年度の年金額は前年度と比べて0.4%の減額となっている。高齢者のうち3割は年金生活者といわれる。年金生活者にとって、物価上昇と年金カットのダブルパンチだ。一度開いた「ワニの口」は塞がらないのか。

⇒23日(土)午後・金沢の天気   くもり時々はれ

☆そもそもなぜ「国葬」、されど「国葬」

☆そもそもなぜ「国葬」、されど「国葬」

   銃弾で死去した安倍元総理を国葬とする件は、あす22日に閣議決定するようだ。戦後、総理経験者の国葬は1967年の吉田茂氏以来で戦後2例目となる。同じく国葬となる人物でも、吉田氏と安倍氏のイメージはわれわれシアニ世代では異なる。

   吉田氏は戦後の混乱のただ中で、日本国憲法の公布(1946年)やサンフランシスコ平和条約の締結(1951年)、日米安全保障条約の発効(1952年)にこぎつけた。ひとことで言うならば「戦後日本の礎を築いた政治家」、というイメージが脳裏に刷り込まれている。では、安倍氏のイメージはどうか。「アベノミクス」「憲政史上最長の通算8年8ヵ月」「日米外交の円滑化」だろうか。

   国葬には吉田氏がふさわしく、安倍氏は物足りないと言っているのではない。戦前は「国家に偉功ある者」など対象者を定めた「国葬令」があったものの、戦後は国葬の対象者などを明文化した法令はない。つまり、国葬の是非については国民はイメージで語るしかないのだ。岸田総理は国の儀式を所掌するとした内閣府設置法があり、閣議決定により国葬をすると表明した。国葬の基準もないのに、行政府だけの判断でいいのだろうか。

   NHKの世論調査(今月16-18日)よると、岸田内閣を「支持する」は59%、「支持しない」は21%だった。しかし、岸田内閣が安倍氏の国葬を行うことについては、「評価する」が49%、「評価しない」が38%だった。つまり、安倍元総理の国葬の評価については世論は分かれている。この背景にあるのは、安倍氏への政治的評価ではあることは言うまでもない。「憲政史上最長の8年8ヵ月」の重責を担ったが、一方で、長期政権の歪みも目立った。「忖度」という言葉が盛んに報じられた加計学園問題や森友問題などはその事例だろう。

   あすの閣議決定では国葬は9月27日に執り行うようだ。ただ、ここにきて新型コロナウイルス感染の第7波が襲来している。きょうは全国で18万6246人、これで2日連続で過去最多となった(21日付・NHKニュースWeb版)。地元石川県でも1628人とケタ違いの増え方だ。これに対して、政府は行動制限などを行う必要はないとしている。

   しかし、国葬となれば、弔問外交も活発化するが、コロナ禍の第7波がどのような影響をもたらすのか。かつての盟友だったアメリカのトランプ元大統領は弔問に訪れることができるのだろうか。そもそも「国葬」、されど「国葬」だ。

(※写真は2017年11月、日本を初めて訪れたトランプ大統領と安倍総理が「霞ケ関カンツリー倶楽部」でゴルフを行う様子=総理官邸ホームページ)

⇒21日(木)夜・金沢の天気     あめ

☆この宗教法人はなぜ「治外法権」なのか、日本の闇

☆この宗教法人はなぜ「治外法権」なのか、日本の闇

   安倍元総理が今月8日に凶弾で亡くなった事件。報道によると、容疑者が「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)に積年の恨みを募らせた事件だった。統一教会によるあこぎな献金問題が連日報道されている。信者に借金をさせて自己破産、その後は高額な物品販売させる、実に巧妙な手口だ。

   これは憶測だが、無職あるいは高齢の信者から生活保護費や年金を、あるいは零細企業の事業者の信者に申請させた持続化給付金などの公的資金を献金として巻き上げているのでないだろうか。この宗教法人に対して税務調査を入れるべきだろう。

   統一教会の霊感商法が社会問題となった1980年代から続いているとすれば、これまでざっと数千億円の上納金が韓国の本部に貢がれていることは想像に難くない。この上納方法ももしかして、金の流れが分からないように工夫されている可能性がある。たとえば、多数の信者を韓国の本部に派遣しているが、信者に多額の上納金を荷物などとして持たせているのではないだろうか。今回の事件でも容疑者が、入信した母親が幾度も韓国に渡っていたと報道されている。

   統一教会の会長は記者会見(11日)で、容疑者の母親が1990年代後半に教団と関わり始めたと説明し、「破綻された諸事情は把握していない」とした上で、「その後、この家庭に高額献金を要求した記録は一切残っていない」と語っていた。献金の記録が本当に残っていないのだろうか。納税義務がある民間企業や事業者とすれば信じられないことだ。

   物品を販売する霊感商法などは本来、税務申告があってしかるべきだ。宗教法人がなぜ治外法権のごとく優遇されるのか。すべての宗教法人とは言わないが、問題が指摘された宗教法人に対しては管理・監視する組織やシステムが必要ではないか。

   全国霊感商法対策弁護士連絡会の会見(11日)によると、統一教会による被害(2009-21年)は被害相談の件数が3988件、被害額は約176億円に上っている。宗教に名を借りた集金団体だ。岸田総理は安倍氏の国葬を今秋に営むと発表したが、その前にやるべきことは自民党と統一教会の癒着を断ち切って、国民の信頼を得ることだ。このままウヤムヤすれば、統一教会の横行はまた繰り返されるに違いない。

⇒19日(火)夜・金沢の天気    はれ

☆警備の死角はどこにあったのか

☆警備の死角はどこにあったのか

        安倍元総理が銃撃され死亡した事件からきょうで9日経ったが、解明されていないことがある。それは警察が襲撃のとき何をしていたのか、という点だ。

   テレビ・新聞メディア各社の記事などによると、奈良市の大和西大寺駅前の交差点で安倍氏は候補者とともに立っていた。この場所はガードレールに囲まれていて、警視庁のSP1人を含む4人の警察官が警備にあたっていた。SPは安倍氏を見ながら、前方の大勢の聴衆を警戒していた。2人の警察官は安倍氏の目線と同じ方向にいる聴衆を警戒していた。つまり、傍らにいた3人が会場前方を中心に警備していたことになる。そしてもう1人の警察官は主に安倍氏の後方の警戒にあたっていた。

   以下は朝日新聞社会面(17日付)の記事から。最初、容疑者と安倍氏の直線距離は約15㍍だった。その後、安倍氏の背後に回り込むように歩いて車道を横断。ショルダーバッグの中から手製の銃を取りだし、約8㍍の距離から発砲した。周囲の人たちが大きな音に身をすくめる中、容疑者は白煙の上がる銃を手にし、さらに5歩前進。2.7秒後に、背後約5㍍から2発目を撃った。音の方を振り向くような動きを見せていた安倍氏は身をかがめるようにして倒れた。容疑者は直後、車道上で取り押さえられた。

   ここで理解できないのは、背後8㍍まで近づいて発砲し、さらに5歩進み2.7秒後に2発目を発射している点だ。その間、SPと警察官の4人は何をしていたのか。NHKニュースWeb版(17日付)によると、二之湯国家公安委員長がきょう奈良市の現場を視察。今回の事件の警備をめぐっては、警察庁が立ち上げたチームが検証を進めていて、後方の警備が不十分となり襲撃を防げなかったことなど、当時の問題点を明らかにした上で、体制や配置など要人の警備を見直す方針という。ならば、どのような点が不十分だったのか、とくに一発目と二発目の2.7秒で何をしていたのか。

   ネットに上がっている関連動画やテレビを見ると、一発目の後、安倍氏に覆いかぶさるなど警護対象者の身を守るような行動は確認できない。警察は常に容疑者の身柄の確保を最優先に考えていて、一発目の砲音と同時に犯人捜しに視線が注がれ、安倍氏をガードする行動が遅れた。5歩、2.7秒の二発目はその警備の死角を突いたのだろうか。

⇒17日(日)午後・金沢の天気     はれ

★安倍氏国葬の前に自民党がなすべきこと

★安倍氏国葬の前に自民党がなすべきこと

   素朴な疑問だ。見かけは宗教法人だが内実は集金マシーン、ならばなぜ国税当局が入らなのか。宗教法人は治外法権なのか。安倍元総理の射殺事件で、犯人が恨みを持っていたという「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)について、ネット上で元信者の生々しい証言が数々上がっている。

   以下は富山県の民放「チューリップテレビ」による、かつて統一教会におよそ10年間入信していたという女性の証言と教団の内部資料についての報道(7月14日付)。

記者 : Kっていうのは何ですか ?    元信者の女性 : 「献金、お金のことだと思います。はっきり献金とかお金っていうのは露骨に出せなかったのかな」 「K」は献金を示す隠語で「61億K」と記されていました。 元信者の女性 :「ヨイド(韓国の本部所在地)を守るために61億献金が必要」「献金がない、と嘆く人は問題。もうここでお金がないと嘆く人は問題だと。乞食をしてでもやらなければならない。今は超非常緊急事態である」  内部資料には61億円もの献金が必要だと書かれていました。 さらに、別の隠語も。その名も、「M作戦」。 記者 : Mっていうのは ?      元信者の女性 : 「マナのM。高麗人参のことをマナって呼んでいたので。売るための作戦ですね」 「M」は教団が売る1瓶7万円の高麗人参の濃縮液を指します。「M作戦」と題して、それを全国で毎月2万個、富山地区だけで192個を売るノルマなのです。

          この証言にあるように、61億円は「献金」という名のノルマだ。富山地区の 信者が毎月192個のマナを7万円で販売すれば1344万円。年間で1億6128万円となる。これが宗教活動なのだろうか。年間61億円の「献金」は韓国のヨイドにすべて上納したのだろう。霊感商法が社会問題となった1980年代から続いているとすれば、これまでざっと2500億円ほどが貢がれていることになる。その上納方法(送金)も金の流れが分からないような工夫がされている可能性がある。

   集金マシーンだけではない、集票マシーンでもある。自民党と統一教会の癒着だ。反共産主義の立場を共有していて、教会側が10万人ともいわれる信者を動員して選挙支援などを行っていた。先の参院選で、自民党の全国比例で出馬し当選した元総理秘書官は統一教会の関連団体の集会に参加して支援を求めていたと報じられている(15日付・TBSニュースWeb版)。また、自民議員には無償で公設秘書や私設秘書をしている信者がいるということも以前から指摘されていた。

   借金をさせて自己破産、そして高額な物品販売、実に巧妙な手口だ。これは憶測だが、無職あるいは高齢の信者から生活保護費や年金を、零細企業の事業者の信者に申請させた持続化給付金などの公費を献金として巻き上げていることも想像がつく。徹底的に税務調査を入れるべきだろう。岸田内閣が安倍元総理の国葬を今秋に営むと発表したが、その前にやるべきことは自民党と統一教会の癒着を断ち切って、国民の信頼を得ることだ。

⇒15日(金)午後・金沢の天気    はれ

☆見透かされたか 円安急進139円、コロナ累計1000万人

☆見透かされたか 円安急進139円、コロナ累計1000万人

   国内でこれまでに新型コロナウイルスへの感染者はきょう14日で累計1000万人を超えた。このうち8割以上がことしに入ってから報告された感染者で、ことし1月1日の時点では累計の感染者数は173万人だった(14日付・NHKニュースWeb版)。そして「第7波」がやってきた。

   地元・石川県でもきょう新たに647人が陽性だった。症状別では中等症が5人、軽症が619人、無症状が23人だったと重症はいなかった。年代別では10歳未満が151人で全体の4分の1近くを占め、10代が104人、そして、その親世代である30代と40代がそれぞれ97人となっている。きのう13日は1日あたりの数としては過去最多の709人だった。県内累計は6万4319人で199人が亡くなっている。馳知事は「今のところ行動制限をすることは考えていないが、分析を行って今週中には対策本部会議を開きたい」と述べている(13日付・NHKニュースWeb版)。今週中などとゆうちょなことを言わずに、得意技のジャイアントスイングのように速攻をかけてほしい。 

   コロナ禍の猛威は同じ日本海側の島根県などにも及んでいて、きょう新たに1006人の感染が確認された。1日1000人を超えるのはこれで3日連続となる。そして、東京都も新たに1万6662人の感染が確認されていて、1万人を超えるのは3日連続、1週間前の木曜日の1.95倍で8133人増えている(14日付・同)。感染力の強いオミクロン株の派生型「BA・5」が爆発的に広がっているようだ。

   そして円安の流れもブレイクスルーなのか。日経新聞Web版によると、14日の外国為替市場では、1998年9月以来およそ24年ぶりに1㌦=139円台に下落する場面があった。1日でおよそ2円も値下がりする急速な円安だ。 アメリカの物価上昇の高止まりが懸念され、FRBが急激な利上げを続けるとの見方が浮上している。急速に進む円安に対して岸田内閣は何も手を打てないということが市場で見透かされたのか。歴史的な円安へと加速している。

⇒14日(木)夜・金沢の天気     あめ

☆能登半島の群発地震 地下の「流体」って何だ

☆能登半島の群発地震 地下の「流体」って何だ

   政府の地震調査委員会の定例会合がきのう11日に開かれた。能登半島の地震についての「評価」報告が公式サイトに掲載されている。 それによると、能登地方では、2020年12月から地震活動が活発化、21年7月ごろからさらに活発となっている。20年12月1日から きょう12日までに震度1以上を観測する地震は186回、このうち震度3以上は30 回発生している。

   これまでの最大の地震は、ことし6月19 日のマグニチュード5.4 、震度6弱だった。翌日20日にはM5.0、震度5強の揺れ。去年9月16日にはM5.1、震度5弱があった。「一連の地震活動は、現在のところ減衰する傾向は見えず、依然として活発な状態が継続している」と記載されている。

   今回の地震調査委員会では、能登半島の地震について重点的に議論され、公式サイトでは「調査委員長見解」も公表されている。注目するのは、能登地方で続く活発な地震活動の原因について、「地震活動域に外部から何らかの力が作用することで地震活動が活発になっている可能性」が考えられ、その外部からの作用とは「能登半島北部での温泉水の分析からは、何らかの流体が関与している可能性がある」としている。

   その流体がどのような作用で揺れを起こしているのか。「球状圧力源」「開口割れ目」「断層すべり」の3つの原因を上げ、「いずれの可能性も考えることができ、原因を1つに特定することは困難」としている。以下、自己流で読み解くと、揺れが続く地域の地下では「流体」の作用で、岩盤が球状に膨らむ、岩盤の亀裂が板状に開く、断層がすべる、など3つの揺れのモデルが考えられるが、特定するのは難しい。つまり、地震発生のメカニズムの解明までには至っていないというのだ。

   定例会合後の記者会見で、調査委員長の平田直・東大名誉教授は「地震活動が長期間継続し、答えがはっきりわからないことも多いが、委員会として現状、言える範囲で見解を示した。能登半島では周辺に活断層もあり、これまで起きている地震より規模の大きな地震に加え、場合によっては津波が起きる可能性もあるので、そのことに留意をして備えを進めてほしい」と呼びかけた(11日付・NHKニュースWeb版)。

   気になることがある。6月19日の震度6弱の揺れは震源の深さが13㌔と発表されていた。揺れはその後も続き、7月に入って震度1以上の揺れがきょうまでに4回観測されている。4回とも震源の深さは10㌔となっている。ということは、震源が浅くなっているということなのだろうか、あるいは、岩盤が球状なので浅いも深いもあるということなのだろうか。今後、「流体」が上昇し、それが地上に吹き上げてくるのだろうか。誰もが考える素朴な疑問だ。地震調査委員会として解明してほしい。

⇒12日(火)夜・金沢の天気   はれ  

(※写真は、「奥能登国際芸術祭2020+」の作品「漂流記」。加藤力、渡辺五大、山崎真一の3氏によるアーティストユニット「力五山」が能登半島と大陸の位置関係を示したジオアート=Geo Art)

⇒12日(火)夜・金沢の天気     くもり 

☆参院選で「選ばれし人」のこと

☆参院選で「選ばれし人」のこと

   ネットで「はじめての投票用紙」というページを見つけた。大阪府の公式サイトで掲載されているもので、読むと面白い。投票用紙は合成樹脂(プラスチック)でできていて、以下の3つの特徴があると説明している。「(1)勝手に開く」。投票用紙は、折って投票箱に入れられることが一般的だが、樹脂製なら投票箱の中で勝手に開くため、開票作業にかかる時間を大幅に短縮することができる。「(2)偽造防止」。簡単には手に入らない特殊な素材のため、偽造しにくくなっている。「(3)丈夫な素材」。破れにくく、水に濡れても平気。

   じつは自身も投票用紙が合成樹脂でできていることを初めて知った次第。きょう参院選の投票所に行き、「(1)勝手に開く」を試してみた。これまで投票用紙を投票箱に折り曲げて入れていた。他人に見られたくないという思いと、折り曲げた方が入れやすいと感じていたからだ。そこで、今回は折り曲げたものを投票箱に入れずに手のひらに置いた。すると、用紙がまっすぐ伸びて、元どおりの平らな用紙に戻る。3回繰り返したが同じだった。投票箱の近くには立会人が2人いて、けげんそうな表情でこちらを見ていたので、それ以上はせずに、投票用紙を投票箱に入れてその場を立ち去った。

   参院選の開票作業が始まるのは午後8時以降だが、NHKなどメディア各社は投票所での出口調査などをもとに続々と「当選確実」を放っている。当地の石川選挙区でも自民の岡田直樹氏が早々と「当確」となった=写真=。NHKの出口調査では67%の投票数を獲得し、18%の立憲民主の候補者を大きく引き離している。岡田氏は金沢出身の東大卒、地元新聞の記者や県議を経て、2004年に参院初当選で今回4選となる。選挙戦では、2019年9月から安倍、菅内閣の官房副長官を2年間つとめ、新型コロナウイルスの感染対策や、東京オリンピック・パラリンピックの開催に取り組んだ実績をアピールしていた。

   岡田氏のイメージは「毅然とした態度」の人物評ではないだろうか。人柄を表すエピソードがある。参院議員になって翌年の2005年6月だった。当時のテレビ朝日の番組「報道ステーション」で事実に反する内容が取り上げられたとして、訂正放送と謝罪を求める通知書を局側に送り抗議した。

   北朝鮮への経済制裁を検討する参院拉致問題特別委員会で、参考人として呼んだ拉致被害者の家族代表の横田滋さん夫妻に、岡田氏は「聞くに忍びないことをお聞きしますけれども」と前置きし、北朝鮮に経済制裁をすれば、めぐみさんが本当に殺されるかもしれない、その覚悟のほどはどうですか、と尋ねた。それに対し、横田氏は「それを恐れていれば結局このままの状況が続く」と経済制裁を強く求めた。ところが、このニュースを取り上げた「報道ステーション」で、古舘キャスターは岡田氏の質問に対し、「北をとっちめたいと思うあまり、まるで非常に苦しい立場にいるご夫妻に、この覚悟はありやなしやと聞いているふうに聞こえる」などとコメントし、「無神経な質問」と決めつけた。

   切り取られた映像だけを見れば、無神経な質問に見えるかもしれない。しかし、前後の文脈をきちんと伝えてこそニュースとしての論理が成立するのである。岡田氏は「事実とは違う」と謝罪と訂正放送を求めたのだった。これに対し番組の中で古舘キャスターが謝罪し、一応けりがついた。「正すべきは正す」。岡田氏には政治家にふさわしい毅然とした人柄がにじんでいる。

⇒10日(日)夜・金沢の天気    はれ