⇒ニュース走査

★国葬のようで国葬でない、「国葬儀」とは何だ

★国葬のようで国葬でない、「国葬儀」とは何だ

   安倍元総理の国葬をめぐって、きょう午後1時から国会で開かれた「閉会中審査」をNHK総合で視聴していた=写真=。閉会中審査は、国会が閉会中に衆院や参院が必要と認めた案件について審議すること。今回は衆参の議院運営委員会の場で行われた。視聴していて、岸田総理の答弁のキーワードは2つあったと感じた。それは、「国葬儀」と「弔問外交」ではなかったか。

   野党側の質問のポイントは国葬の法的根拠に集中していた。これに対して岸田総理が繰り返し使っていた言葉が「国葬儀」だった。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るので、安倍元総理の追悼式をその一つとして行うと述べていた。端的に言えば、「国葬」ではなく、「国葬儀」なのだ、と。

   かつて戦前に行われていた国葬とは違い、国葬儀は国民の権利、例えば思想・信条の自由や信教の自由などを制限するようなことはいっさいしないセレモニーとする。具体的には、この日(9月27日)は休日にはしない、半旗を掲げるなど弔意を国民に求め強要するようなことはしない、という。単に内閣が仕切る国の儀式であると強調していた。

            その「国葬儀」を営むメリットとして、岸田総理が繰り返し述べていたのが「弔問外交」だった。弔問外交は国と国との関係づくりに役立つと述ていいた。確かに、アメリカからハリス副大統領が来て弔問外交が始まれば、テレビメディアの報道もガラリと雰囲気が変わるかもしれない。安倍元総理と27回も会談したロシアのプーチン大統領は参列しないと伝えられているが、中国や韓国からはどのようなレベルの人物が訪れるのか。韓国は首相が参列する見通しと伝えられているが、戦時中の元徴用工をめぐる問題に進展はもたらされるのか。 

   自民の茂木幹事長はきょう夜、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係をめぐり、所属する国会議員全体の半数近くにあたる179人が何らかの接点があったことを明らかにした。また、選挙で支援を受けるなど、一定以上の関係を認めた121人の氏名も公表した(8日付・NHKニュースWeb版)。閉会中審査と自民党関係議員の公表をセットで行ったことで、岸田内閣は国葬に向けて一連の問題のケジメをつけたと考えているのだろうか。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆台風一過 晴れぬ天気、五輪汚職 積もる賄賂

☆台風一過 晴れぬ天気、五輪汚職 積もる賄賂

   北陸地方に38.5度の熱波をもたらした台風11号は昨夜午後9時に日本海で温帯低気圧に変わった。台風情報はテレビやネットでチェックしていたが、そのルートが不気味だった。8月28日に南鳥島近海で発生し、日本の南を西へ進みながら猛烈な台風(最大風速54㍍以上)になる。沖縄の南で一時停滞し、その後、北上して今月3日に東シナ海に、6日には対馬海峡を通って日本海に入り、時速80㌔のスピードで北東に進んだ。日本列島を挟むようにした「V字」のコースを描いていた。

   不気味というのも、日本海側を通る台風は被害が大きいという、これまでのイメージがある。1991年9月の台風19号では、能登半島の輪島市では最大瞬間風速57㍍を超す記録的な暴風で建物や森林が甚大な被害に見舞われ、青森県では収穫前のリンゴが大量に落下して、「リンゴ台風」とも言われた。2004年9月の台風18号でも猛烈な風で北海道大学のシンボルのポプラ並木がなぎ倒され、「ポプラ台風」と呼ばれた。

   今回の台風11号が温帯低気圧に変わって、ヤレヤレと思い、台風一過の秋晴れを思い描いていたが、けさからどんよりしたくもり空だ。台風にしばらく気を取られていたが、東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件や安倍元総理の国葬について展開があったようだ。

   まずは円安から。きょう7日の東京外国為替市場で円相場は一時1㌦=144円台まで値下がり。1998年以来およそ24年ぶりの円安水準を更新した。発表された経済指標からアメリカの景気の底堅さが確認され、FRBによる大幅な利上げが今後も続くという観測が広がり、円を売ってドルを買う動きが強まってる(7日付・NHKニュースWeb版)。近くのガソリンスタンドでは1㍑170-173円の看板が目につく。景気が後退していく中でインフレと物価上昇が同時進行するスタグフレーションがさらに加速するのか。

   東京オリ・パラをめぐる汚職事件。大会スポンサーだったAOKIに続いて、KADOKAWAが摘発を受け、東京地検特捜部は6日、元専務ら2人を逮捕、大会組織委員会の元理事を受託収賄容疑で再逮捕した(同)。これで賄賂は総額にして1億2000万円だ。「オリンピック神話」は汚職に染まった。2030年冬季オリ・パラの招致を目指す札幌市だが、市長が今月中旬に予定していたIOC本部への訪問を中止すると発表した(6日付・毎日新聞Web版)。   

   読売新聞の世論調査(今月2-4日)では、政府が今月27日に安倍元総理の国葬を決めたことに対して、「評価しない」が56%で、「評価する」38%を大幅に上回った。こうした世論に配慮してか、政府は6日、国葬の経費について、総額16億6000万円程度を見込んでいると明らかにした(7日付・同)。ただ、世論の憤りは、国葬を行う法的な基準がなく、そのときの内閣が「国葬にふさわしい」と判断すれば、国民の税金を使って国葬ができる、という今回の一連の流れだろう。「通算8年8ヵ月」総理の座にあれば誰もが国葬なのか。「丁寧な説明」と「有権者の納得」にずいぶんと乖離がある。

⇒7日(水)午後・金沢の天気    くもり 

★台風11号が北陸にもたらした38度の熱波と乱れ雲

★台風11号が北陸にもたらした38度の熱波と乱れ雲

   これが「災害級の暑さ」なのだろう。午後2時ごろ、自宅の二階に上がると、まるでサウナに入ったような蒸し暑さだった。窓を開けたが、さらに蒸し暑さ加速すると判断して閉めた。近くのコンビで買い物するため外に出るとムーッとする熱気と風、熱波だ。ふと空を見上げると、乱れたような雲が不気味に思えた。高積雲と高層雲、積雲が入り混じったような複雑なカタチだ=写真・上、午後2時46分ごろ金沢の西の空を撮影=。

   外に出て数分すると頭がクラクラとなる感じがして、急いで自宅に戻った。大型で強い台風11号が北陸地方に接近し、南寄りの風、そしてフェーン現象による高温多湿。自身の体温より熱さを体感したので、明らかに38度はあったろう。

   石川県と新潟県には「熱中症警戒アラート」が出されている。NHKのローカルニュースでは、日中は外出をなるべく避け、特別の場合以外は運動を行わないほか、がまんせず冷房を適切に使用する、こまめに水分を補給する、屋外で会話が少ない場面などではマスクを外して休憩する、などと呼び掛けている。確かにマスクをしての外出は息苦しさを感じた。外を歩く人のほとんどがノーマスクだった。

   午後4時過ぎから分厚い雨雲が空を覆い始めた=写真・下、午後4時13分ごろ金沢の北西の空を撮影=。5時ごろには雨も降り始め、今度は風雨になった。午後5時現在で外気温を調べると28度と暑さは和らいでいる。午後6時45分現在、風は止んだが雨は続いている。外気温は23度になっている。

   金沢のテレビ局の夕方のニュースによると、金沢では午後2時18分に38.5度を観測した。金沢の38.5度は120年前の1902年(明治35年)9月8日の記録に並び、観測史上最も高くなったと報じている(6日付・北陸放送ニュースWeb版)。

⇒6日(火)夜・金沢の天気     あめ

☆国葬問題 世論の憤り

☆国葬問題 世論の憤り

   大型で強い台風11号があす6日午後には北陸地方に最も接近するようだ。メディア各社が報じている。北陸地方では南寄りの強風と高波、そしてフェーン現象による高温と乾燥。金沢の予想気温はなんと36度だ。

   そして、民意もヒートアップしている。きょうの読売新聞によると、世論調査(今月2-4日)で内閣支持率は50%と前回調査(8月10、11日)の51%と横ばいだったものの、不支持率は41%で、前回調査34%より大幅にアップした。まさに、支持する、しないの世論が二分されるような状態だ。

   さらに、政府が今月27日に安倍元総理の国葬を決めたことに対する評価では、「評価しない」が56%で、「評価する」38%を大幅に上回っている。7月に国葬の実施を決めて以降、岸田総理がその意義や理由を十分に説明していないという不満が、今回の否定的な評価として現れたのだろう。

   TBS系列によるJNN世論調査(今月3、4日)でも、内閣支持率が48%で、前回調査(8月6、7日)の57%から9ポイント急落。不支持率は48%で、前回調査の39%より9ポイント上昇した。安倍元総理の国葬については「反対」が51%と前回調査から6ポイント上昇し、「賛成」38%を上回った。国葬の意義について岸田総理の説明で納得しているかどうかは、「納得していない」が63%、「納得している」が25%だった。

   きのう放送されていたNHK番組「日曜討論」を視聴していたが、安倍元総理の国葬をめぐる自民党の茂木幹事長の説明は、いわゆる国葬ありきの発言だった。「国内外から多くの弔意が寄せられていて、海外からの参列者も招いて、敬意や弔意を表す機会を国の儀式として行うのは国際的に見ても適切なこと」「国葬は現行の内閣府設置法で閣議決定しているので、法的には問題ない」。このような説明で有権者は果たして納得するだろうか。

   国葬は法的な基準がない。しかし、そのときの内閣が「国葬にふさわしい」と判断すれば、国民の税金を使って国葬ができる。世論が憤っているのはこのことだ。いとも簡単にやすやすと国葬なんてやるんじゃない、と。

⇒5日(月)夜・金沢の天気    はれ 

★反社団体とどう向き合う 煮え切らない知事発言

★反社団体とどう向き合う 煮え切らない知事発言

   「弊社として問題意識を持っているのは、政治と宗教の問題ではなくて、富山市とか高岡市とかいろんな自治体のトップが、関係を絶つと明言されている中で、新田知事が踏み込んだ表現をされないというのは、県民に対して、疑念や不安を生じるのではないかということを申し上げています」(2日付・チューリップテレビニュースWeb版)。

   安倍元総理の射殺事件でクローズアップされている世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による政治家と関係や霊感商法、献金強制の問題などが連日報道されている。中でも、北陸では富山県の新田知事が統一教会との関係について、煮え切らない発言を繰り返しているのを地元テレビ局「チューリップテレビ」の記者が問いただしているのが、冒頭の発言だ(2日の知事定例会見)。

   知事は会見でこう述べている。「関係を断ち切るとまで言えとおっしゃるということは、私はその宗教団体への圧迫にあたるというふうに思っていますし、ということはそれを信じておられる方々をやっぱり断ち切るということにつながるんじゃないかと理解をして、私はこの立場でそういう発言はできませんと言っていることです」(同)。

   霊感商法や献金強要によって巨額な金が集められ、1987年から2021年に全国霊感商法対策弁護士連絡会に寄せられた被害件数は約3万4500件、被害金額は計約1237億円に上る。すさまじい被害があるにもかかわらず、統一教会に配慮するコメントが出たことに、有権者は憤っているに違いない。「何が問題か、僕はよく分からない」という発言(7月29日・福田達夫議員)と似ている。

   フランスの法律「反セクト法」は、人権侵害が疑われる活動を行う団体が繰り返し犯罪を犯した場合、団体に一定の活動制限や処罰を与える。信仰の自由を逆手に取って、被害を拡大させてきた反社会的な宗教団体と自民党はどう向き合うのか。反セクト法のような明確な法がない限り、このままズルズルと再び癒着が始まるに違いない。

(※写真は、富山県の新田知事の2日の定例会見=県庁公式サイト「知事室へようこそ」より)

⇒3日(土)夜・金沢の天気   はれ  

★きょうから9月、世俗の風景

★きょうから9月、世俗の風景

   きょうから9月。田んぼに稲が実り、穂をたらしている=写真=。チンチロリンと虫の鳴く声が秋を感じさせる。ただ、俗世間は騒がしい。東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で逮捕された紳士服大手「AOKIホールディングス」前会長の青木拡憲容疑者が、大会組織委員会の会長だった森喜朗元総理に「現金200万円を手渡した」と供述していると産経新聞Web版(1日付)が報じている。

   この汚職事件では、大会組織委員会の高橋治之元理事が大会スポンサー契約をめぐり、受託収賄容疑で逮捕されている(先月17日)。AOKIホールディングスの青木前会長ほか、副会長、専務が贈賄容疑で逮捕されている。高橋容疑者はAOKI側にスポンサー選定などで便宜を図ることの見返りに、5100万円の賄賂を受け取ったとされる。森氏の関与に東京地検特捜部はどう動くのか。

   1日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時1ドル=139円台後半と1998年9月以来およそ24年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。アメリカ連邦準備理事会(FRB)が急激な利上げを続けるとの見方が広がる一方で、日銀は大規模な金融緩和を続ける姿勢を崩していない。日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いの流れが続いていて、24年ぶりの140円も視野に入り始めた(1日付・日経新聞Web版)。

   哀愁を帯びた胡弓や三味線の調べに合わせ、編みがさを目深にかぶった男女が優雅に踊る「おわら風の盆」が1日、富山市八尾町で始まった。新型コロナウイルスの影響で開催は3年ぶりで、今年は規模を縮小して実施。初日はあいにくの雨となったが、踊り手はステージで稽古の成果を披露した。祭りは約300年の歴史があり、台風が多いこの時期に稲が風水害に遭わないようにとの願いが込められている。3日まで(1日付・共同通信Web版)。   

   猛烈な台風11号は沖縄の南の海上で2日にかけて停滞し、その後、北上して3日、先島諸島にかなり接近する見込み。一方、前線や湿った空気の影響で西日本から北日本にかけて大気の状態が不安定になり、局地的に非常に激しい雨が降っていて、土砂災害や低い土地の浸水などに警戒が必要。沖縄県の新石垣空港では午後4時すぎに32.9メートルの最大瞬間風速を観測した(1日付・NHKニュースWeb版)。

⇒1日(木)夜・金沢の天気    あめ

☆支持率は急降下、問われる「断行内閣」の真価

☆支持率は急降下、問われる「断行内閣」の真価

   日を追うごとに内閣支持率が下落している。きょうの朝日新聞によると、世論調査(27、28日)で岸田内閣の支持率は47%と、前回調査(7月16、17日)の57%より10ポイント下落した=写真=。不支持率は39%で、前回調査25%から14ポイント跳ね上がった。政党支持率は自民が34%で、前回調査より2ポイント落ちている。政党支持率はそれほど落ちてはいないものの、内閣支持率が急降下しているのは、岸田内閣への不満がうっ積しているからだと読める。

   安倍元総理の射殺事件でクローズアップされている世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による政治家と関係や霊感商法、献金強制の問題などが連日報道されている。政治家と統一教会をめぐる問題について、岸田総理の対応を評価するかとの問いでは、「評価しない」が65%、「評価する」が21%となっている。関連して、安倍元総理の「国葬」については、「反対」50%が「賛成」41%を上回っている。

   岸田総理への不満は「統一教会がらみ」だけでなく、上昇する物価対策についても募っている。「評価しない」67%が「評価する」21%を大幅に上回っている。新型コロナウイルスについての対応も、「評価する」は45%で前回調査の57%よりダウン、「評価しない」は49%で前回調査34%を大幅にアップしている。

   1週間前の毎日新聞の世論調査(今月20、21日)でも、内閣支持率は36%で、前回調査(7月16、17日)の52%から16ポイント下落、不支持率は54%で前回調査37%より17ポイント増加している。また、読売新聞の緊急世論調査(今月10-11日)でも、内閣支持率は51%で前回調査(今月5-7日)より6ポイント下落、不支持率は34%と前回調査より2ポイント増えている。今月10日に「政策断行内閣」を掲げて第2次岸田改造内閣は発足したが、2週間余りで有権者の評価は大幅に落ちている。統一教会問題だけでなく、物価高対策や新型コロナウイルスの感染拡大についても、納得いかない世論が明らかになった。

   世論が期待しているのはインパクトのある実行力だろう。岸田内閣が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査や警察による情報収集など実態解明にまず着手することだ。すでに、河野消費者担当大臣は霊感商法の被害対応を検証する消費者庁の検討会を開き、協議した内容については法務省や警察庁に適宜報告すると明言している(今月26日、閣議後の会見)。問題が露呈すれば、非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると明言する。そのくらいの「断行内閣」であってほしい。

⇒29日(月)午後・金沢の天気    はれ

★釈然としないニュースあれこれ

★釈然としないニュースあれこれ

   何だか釈然としない。報道によると、安倍元総理の「国葬」について、国費2億4940万円を支出することが閣議で決定された。内訳は、会場設営費(献花用の白菊7500本、外交団1000人分の同時通訳設備など)に2億1000万円、会場(日本武道館)とバス(105台)の借り上げ費用で3000万円などとなっている(27日付・朝日新聞)。

   銃殺事件後の国葬なので、警備は万全の体制で臨むだろう。ところが、記者発表した松野官房長官は警備費については警察庁の既存の予算で対応する、としか述べていない。

   政府は6000人規模の参列者を想定しているが、2020年10月に都内のホテルで営まれた故・中曽根元総理の内閣・自民党合同葬は1400人だったので4倍を上回る規模だ。さらに、参列する外交団は1000人を想定しているので、海外からの要人警備にも相当な費用がかかるだろう。

   国葬ならば警備費を盛り込んだ全体の予算を明示すべきではないだろうか。単純に比較はできないが、海外から来賓を招いた2019年の天皇「即位の礼」では警察庁の警備費用として38億円が計上されていた(2018年12月・皇位継承式典事務局資料)。

   そもそも、岸田総理は内閣府設置法の第4条「国の儀式」に基づいて閣議決定により、国葬を行うと表明したのだが、国葬そのものの定義や基準がない。法的根拠があいまい、予算もあいまい。釈然としない。

   もう一つ釈然としないニュース。読売新聞Web版(27日付)によると、日本主導でアフリカ開発の支援を議論する第8回アフリカ開発会議がチュニジアで開幕し、オンラインで基調講演を行った岸田総理=写真、総理官邸公式サイトより=は2023年から3年間で官民合わせて総額300億㌦規模の資金をアフリカ支援に投じると表明した。

   投資内容は、産業や保健・医療、教育分野で30万人の人材育成や、道路や電力整備などのインフラ開発がその主な柱なのだが、日本円にして実に4兆1100億円だ。この金額を国内の有権者はどう思うだろうか。ただでさえ、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で30万人もの人材育成を誰がどこでどう行うのかという実行性を問う声や、4兆円を国内のインフラや人材育成に振り向けよといぶかる声も多いのではないだろうか。

⇒27日(土)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆「国葬」めぐるバカ発言、パンドラの箱が開く

☆「国葬」めぐるバカ発言、パンドラの箱が開く

   まるでパンドラの箱が開いたように連日、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の政治家と関係や霊感商法、献金強制の問題などが報道されている。

   日テレ系番組「情報ライブミヤネ屋」(26日付)で、安倍元総理の国葬(9月27日)について津田塾大の萱野稔人教授が意見を述べていた。「やるのであれば、統一教会と与党との関係をしっかり清算してほしい」と。「国葬をやることによって、むしろ統一教会に利用されてしまう懸念がある。国葬を行うような大政治家とわれわれは関係を持っていた」と教団のPRに使われる可能性を指摘していた。

   自民党は党所属の国会議員に統一教会とのかかわりをアンケート調査する文書を配布した。8項目の報告を求めていて、統一教会主催や関連団体の会合に出席したことがあるか、会費の支出があるかどうか、選挙の際にボランティアによる支援や組織的な支援を受けたことがあるかどうかなどを尋ねている。集約でき次第、結果を公表する。関係が深い議員については名前の公表も検討する(26日付・NHKニュースWeb版)。   

   消費者庁に新たに発足する「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の初会合が今月29日に開催される。河野消費者担当大臣が明らかにした。委員には、統一教会の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士、カルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授など8人が選ばれた。河野大臣は「霊感商法は消費者契約法で規制されているが、それにあたらないような動きがあったからこそ、さまざまな被害があったと思う」と述べた(同)。

   自民党の二階俊博元幹事長は都内で講演し、統一教会や関連団体と自民党議員との関係について「問題があればどんどん出して、修正をしていくべきだ。自民党はびくともしないから」と述べた。また、安倍元総理の国葬に報道各社の世論調査で反対意見が強いことについて「それがあったからといって国葬をやめるわけではない。国葬は当たり前だ。やらなかったらばかだ」と指摘した(24日付・毎日新聞Web版)。

   国葬に関しては、FNN・産経合同世論調査(8月20、21日)で「反対」51%、「賛成」40%、また、毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(同)でも「反対」53%、「賛成」30%となっていて、反対が上回っている。二階氏のバカ発言で今後さらに反対が加速するのではないだろうか。

⇒26日(金)夜・金沢の天気    くもり

☆処暑に感じる秋の気配、そして政局の気配

☆処暑に感じる秋の気配、そして政局の気配

   あすは二十四節気の「処暑」。夏の暑さが少し和らぎ、夜の虫の声や朝の風に秋に気配を感じるころだ。わが家の庭にタカサゴユリ(高砂ユリ)が咲き始めた。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」の花の美しさは見事だ。ヤマユリのような高貴な香りはないが、人目をひく花だ。

   ただ、植えた覚えはないので、おそらく種子が風に乗って、庭に落ちて育ったのだろう。旧盆が過ぎたこの時節は花の少ない季節で、茶花として重宝している。ただ、立場が異なればタカサゴユリは外敵、目の敵だ。国立研究開発法人「国立環境研究所」のホームページには「侵入生物データベース」の中で記載されている。侵入生物、まるでエイリアンのようなイメージだ。外来種だからと言って、すべて駆除すべきなのか、どうか。

   きょうの毎日新聞に世論調査(20、21日)の結果が掲載されていた。岸田内閣の支持率は36%で、前回調査(7月16、17日)の52%から16ポイントも下落した。不支持率は54%で前回より17ポイントも増えた。この下落の背景にあるのが、安倍元総理の射殺事件がきっかけで明るみになってきた、自民党と「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」の関係だ。これに対しては「極めて問題があったと思う」「ある程度問題があったと思う」が合計で87%もある。政党支持率も自民は29%で前回の34%から5ポイント下落している。

   メディア業界でよく指摘されるのは、内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と。これから他のメディアも世論調査を次々と報道するだろう。「聞くチカラ」を岸田総理は強調してきたが、統一教会問題だけでなく、物価高対策や新型コロナウイルスの感染拡大についても、無策の状態が明らかになってきた。

   岸田政権が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査や警察による情報収集など実態解明に着手することだ。その上で、問題が露呈すれば非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると有権者に宣言することだ。ケジメをつけないと、政権のデッドゾーン入りもそう遠くはないだろう。

⇒22日(月)夜・金沢の天気    くもり