⇒ニュース走査

☆「信教の自由」名目の搾取、ネグレクト、信仰的な強制

☆「信教の自由」名目の搾取、ネグレクト、信仰的な強制

   旧統一教会の被害者救済を図る法案について、きょう参院消費者問題特別委員会で参考人質疑が行われた。NHKニュースWeb版(9日付)によると、「小川さゆり」の名前で被害を訴えている宗教2世の女性は「裁判で実効性を伴うのか検証するとともに、見直し期間を1年にし、検討部会を今すぐ立ち上げてほしい。最大の積み残しは子どもの被害が全く救済できないことだ。新法は献金の問題を解決しようとするものだが、問題はそれだけではない」と指摘し、「これだけ悪質な団体が活動の一時停止もなく、税制優遇を受けていることはあってはならない。政府として責任を果たし、早急な対応をお願いしたい」と訴えた。

   小川さんの意見陳述の全文が朝日新聞Web版(9日付)で掲載されている。驚愕する内容だ。以下。

「幼少期から学生時代にかけて、貧しい暮らしを強いられ、親戚からのおこづかい、お年玉をもらっても没収され、親からも当然ありませんでした。誕生日、クリスマスプレゼント、小学校の卒業アルバムなどはお金がないため、買ってもらえませんでした。

 服はお下がりで、美容院等へは行かせてもらえず、小学校1年生の頃から見た目のまずさからいじめに遭いました。20歳の成人式にいたっては興味がないと言われ、してもらえませんでした。

 両親が親戚中を勧誘したり、お金を要求したり、そのことで怒られているところも見てきました。また、高校生から始めた5年間のアルバイト代200万円ほどの給与も没収され、一度も返ってきませんでした。

 両親はこのような生活状況にもかかわらず、私たちきょうだいに一切相談なく、教会への高額な献金を繰り返してきました。そういった献金につながる教育は幼少期から強制的に行われていきます」

   さらに強烈な証言を小川さんは発している。以下。

「礼拝ではサタンや天国地獄を使って脅す教育を受けます。私は18歳の頃、統一教会の公職者からセクハラを受け、その理由はあなたに悪霊がついているからだと言われて韓国の清平に除霊をしに行きますが、そこで精神崩壊する信者さんたちを複数見て自分も精神が崩壊して精神疾患を負い、精神病棟に入院しました。

 退院後も、うつ症状とパニックを起こして救急車で複数回運ばれました。またもう一度入院もしました。そんな中、両親は協会活動を平然と続け、当時体調を崩し引きこもっていた私のことを家にお金も入れないでいつになったら働いてくれるのかと、お金のアテにしか思われていなかったことを知り、限界を感じ、家を出た後に脱会しました」

   信教の自由という名目の搾取、ネグレクト、信仰的強制を小川さんは強いられていたことが実によく分かる。この宗教団体の信者の家庭内ではこのような事例が数多く報告されている。これを信教の自由と言うのか。まさに民主主義が問われている。法案は、あす10日の委員会で可決されたあと、参院本会議でも採決が行われて可決・成立する見通しとなっている。

(※写真は、バチカン美術館のシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの天井壁画『最後の審判』=撮影:2006年1月)

⇒9日(金)夜・金沢の天気   はれ

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

★北陸の冬の備え、雪吊りの心構え

   北陸に住む者にとって、冬の備えが少なくとも2つある。まずは自家用車のノーマルタイヤからスノータイヤへの交換だ。積雪で路面がアイスバーン(凍結)状態になると交通事故のもとになる。もう一つが民家の庭木の雪吊り。北陸の雪はパウダースノーではなく、湿気を含んで重い。雪の重みで庭木の枝が折れる。金沢の兼六園では毎年11月1日に雪吊りを施し、民家では12月から始まる。

   きのう我が家の雪吊り作業を行った。素人ではできない仕事なので、造園業者に依頼している。雪吊りには木の種類や形状、枝ぶりによって実に11種もの技法がある。庭木に雪が積もりると、「雪圧」「雪倒」「雪折れ」「雪曲」と言って、樹木の形状によってさまざま雪害が起きる。樹木の姿を見てプロは「雪吊り」「雪棚」「雪囲い」などの手法の判断をする。

   雪吊りで有名なのは「りんご吊り」=写真・上=。五葉松などの高木に施される。マツの木の横に孟宗竹の芯(しん)柱を立てて、柱の先頭から縄をたらして枝を吊る。パラソル状になっていることろがアートではある。「りんご吊り」の名称については、金沢では江戸時代から実のなる木の一つとしてリンゴの木があった。果実がたわわに実ると枝が折れるので、補強するため同様な手法を用いていた。

   低木に施される雪吊りが「竹又吊り」=写真・中=。ツツジの木に竹を3本、等間隔に立てて上部で結んだ縄を下げて吊る。庭職人の親方から聞いた話だ。秋ごろに庭木の枝葉を剪定してもらっているが、ベテランの職人は庭木への積雪をイメージ(意識)して、剪定を行うという話だった。このために強く刈り込みを施すこともある。ゆるく刈り込みをすると、それだけ枝が不必要に伸び、雪害の要因にもなる。庭木本来の美しい形状を保つために、常に雪のことを配慮している。

   ムクゲの木に施されている「しぼり」=写真・下=は低木の枝を全て上に集め、縄で結ぶ。大雪になると枝がボキボキと折れる。「備えあれば憂いなし」の心構えで、暖冬予報であっても雪吊りをする。雪つりは年末の恒例行事でもあり、これをやらないと気持ちのけじめがつかない。北陸に住む者の心構えではある。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

☆ドーハの戦い一喜一憂、勝とうが負けようがごみ拾い

☆ドーハの戦い一喜一憂、勝とうが負けようがごみ拾い

   前日の紙面までは勝利の喜びに沸いていたのに、きょう付の紙面は一転して、「痛恨の黒星」としょげた見出しに=写真・上=。サッカーのワールドカップ・カタール大会、一次リーグE組の第2戦(27日)。4度の優勝経験を誇る強豪のドイツに逆転勝ちして勢いに乗る日本は、スペインに0-7で大敗していたコスタリカと対戦した。自身も日本は勢いに乗ってイケイケに違いないと思っていた。

   テレビ中継を視聴していたが、日本はドイツ戦からスタメンを5人入れ替え、堂安選手や相馬選手らを起用して臨んで、前半は無得点で折り返し。後半36分、日本は先制ゴールを奪われた。以下、サッカーに詳しい知人の分析。

   「前半は明らかに相手チームが守りを固めながら、ゆっくりとゲームを支配するというペースでした。それに日本チームの人の良さからか、合わせてしまったのです。前線の動きは乏しく、ボールを簡単に失うシーンを繰り返す日本チームによって、コスタリカはスペインとの0対7の悪夢から自信を取り戻していったという前半でした。それを日本チームは0対0で終えたから狙い通りと判断していました」「ここですね。前半のゲームづくりの甘さが後々まで苦しむことになりました。監督からの指示がないと、ゲームの流れを選手自身、チームとしてプレーの質を変えられないという、指示待ちの悪癖が今回もありました」(28日付・「月刊ニューメディア」編集部ゼネラルエディターの吉井勇氏)

   海外メディアの分析はどうか。BBCWeb版(27日付)はその敗因を、「Japan boss Hajime Moriyasu opted for rotation over continuity, making five changes, and that resulted in a subdued performance and a scoreline that blew the group wide open.」と記している。森保監督が継続性よりもローテーションを選択したことから5人の変更を行い、その結果、抑えられたパフォーマンスとなった、と。

   一喜一憂するドーハの戦い。ちなみにドイツとスペイン戦は1-1の引き分けだったので、スペインが勝ち点4、日本が3、コスタリカが3、ドイツが1となり、最終戦にもつれ込む。スペインは日本戦に一層集中してくるだろう。そして、ドイツはスペイン戦で得たプレーの質を高めてコスタリカ戦に臨む。日本が勝てばE組のトップ通過となるが、引き分けになれば、ドイツがコスタリカに勝った場合、得失点差の争いになる。日本の差は0、ドイツはマイナス1なので僅差だ。コスタリカもドイツ戦に勝てば勝ち点6となり、通過の可能性もある。さまさに混戦、サッカーの醍醐味ではある。

   日本時間で12月2日の早朝4時から、日本対スペイン戦、ドイツ対コスタリカ戦が同時刻にキックオフする。

   そして、サポーターのごみ清掃はどうだったのか。「FOX Sports」公式ツイッターは、「Win or lose、Japan fans are all class 」(勝とうが負けようが、日本のファンは一流)と伝え、ごみ袋を手にスタンドに落ちているごみを拾い集めている画像で掲載している=写真・下=。

⇒28日(月)夜・金沢の天気   はれ

★日本「ドーハの逆転劇」、ドイツ「ロシアの幽霊」再び

★日本「ドーハの逆転劇」、ドイツ「ロシアの幽霊」再び

   閣僚の辞任ドミノ、旧統一教会問題、物価高、そしてコロナ第8波の到来と、このところ暗い話題ばかりだったが、このニュースには気分が晴れた。サッカーのワールドカップで、世界ランキング24位の日本代表が同11位のドイツ代表に逆転勝ち。ドイツはこれまで4度の優勝経験を誇る強豪だ。そのチームに勝ったとなれば大金星、サムライブルーがまばゆい。

   昨夜のドイツ戦は中継で視聴できなかったが、けさダイジェスト版で見た。前半を1点でしのぎ、1点を追う後半は堂安選手や浅野選手、三笘薫選手といった攻撃的な選手を森保監督が次々と投入して徐々に主導権を握り、30分にゴール前のこぼれ球を堂安が押し込んで同点に。38分にはロングパスを受けた浅野がそのままドリブルで持ち込み右足でシュートを決めて勝ち越した。このあとはドイツの反撃をかわし、2対1で勝って、勝ち点3を獲得した。前回2018年のロシア大会に続く白星スタートだ。

   日本サッカー界の育ての親はドイツ人のデットマール・クラマー氏(故人)。同氏は日本サッカー界初の外国人コーチであり、サッカー日本代表の基礎をつくり、日本サッカーリーグの創設にも尽力したことから「日本サッカーの父」と称された人だ(Wikipedia「デットマール・クラマー」)。

   ふと気になったのは、ではドイツのメディアはどう伝えているのか。国営メディア「ドイチェ・ヴェレ (Deutsche Welle) 」は「Germany haunted by ghosts of Russia in opening-game defeat」の見出しで、「ロシアの幽霊に悩まされる」と。前回ロシア大会のときも、ドイツは初戦メキシコを相手に0-1で敗れた。2戦目のスウェーデン戦は2-1の勝利をおさめ、グループステージ突破の可能性を残したものの、3戦目の韓国戦で0-2の敗戦を喫し、まさかの最下位で敗退している。その悪夢がよみがえることを「ロシアの幽霊」と称しているようだ。

   日本は今月27日、1次リーグの第2戦で世界31位のコスタリカと対戦する。

⇒24日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆辞任ドミノ、外遊・・・果てに総理は疲れて言い間違え

☆辞任ドミノ、外遊・・・果てに総理は疲れて言い間違え

   この1ゕ月の間で閣僚が3人も辞任するという、異例な事態だ。先月24日に世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と深い関係性が指摘されていた山際経済再生担当大臣(自民党麻生派、衆院神奈川18区)が辞任している。旧統一教会との関係が国会で何度も追及され、さらに教団本部の総裁と一緒に映っている証拠写真を突きつけられても、山際氏は「資料がない」「記憶が定かではない」などとあいまいな発言を繰り返していた。

   そして今月、葉梨法務大臣(自民党岸田派、衆院茨城3区)が派閥の国会議員のパーティー(今月9日)に出席し、死刑執行命令書に署名する自らの大臣職務について、「朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」などと発言した。この発言に批判が集まり、翌10日の国会で謝罪して発言を撤回した。ところが、派閥や地元・茨城での会合でこれまで4回以上も同様の発言を繰り返していたことが発覚。本人は11日付で辞表を岸田総理に提出した。

   きのう20日、寺田総務大臣(自民党岸田派、衆院広島5区)も辞表を提出した。後援会の収支報告書の会計責任者がすでに亡くなっていた人物だったことや、記載漏れなど「政治とカネ」をめぐる問題が相次いで発覚。第2次補正予算案などの審議への悪影響を懸念する声が与党内でも高まっていた。

   こうした内閣の異例な事態は最新の世論調査にも反映していて、テレビ朝日系のANN世論調査(今月19、20日)の内閣支持率では、「支持する」が30.5%と前回調査(10月15、16日)より2.6ポイント下落、「支持しない」が44.7%で前回より3.8ポイント上昇している。NHKの世論調査(今月11-13日)でも、「支持する」は33%で前回調査(10月8-10日)より5ポイント下がり、「支持しない」は46%と前回より3ポイント上がっている。

   岸田総理は今月12日から第25回ASEAN+日中韓3首脳会議(カンボジア・プノンペン)、G20バリ・サミット(インドネシア・バリ)、APEC首脳会議(タイ・バンコク)に出席し、19日深夜に外遊から帰国。20日に寺田大臣の交代を決めて、きょう衆院本会議での国会審議に臨んだ。時事通信Web版(21日付)によると、岸田総理は国会審議で、寺田大臣の辞任を陳謝した際に「寺田大臣」を「タケダ大臣」と言い間違えた。これより先の総理官邸でも記者団に寺田氏の後任を説明した際、同様に間違えていた。

   岸田総理は疲れ切っているのではないだろうか。この蓄積疲労は相当なものだろう。

⇒21日(月)夜・金沢の天気    はれ 

★憶測呼ぶ「娘との手つなぎ」

★憶測呼ぶ「娘との手つなぎ」

   この画像を見ていろいろ憶測をめぐらした。メディア各社は北朝鮮の国営メディアである「朝鮮中央テレビ」や「労働新聞」の映像として、18日に金正恩総書記がICBM「火星17型」の発射を視察する際に同行する娘の写真を掲載したと伝えている。白の防寒ジャケットに身を包んだ娘が金総書記と手をつないで兵器の前を歩く姿が写っている(※写真は19日付・CNNニュースWeb版日本語より)。

   メディア各社は娘の同行は伝えているが、その理由についての解説がない。冒頭の憶測とは、家族を守りの盾に使おうとの意図があるのではないか、ということだ。金総書記は今月17日まで「空白期間」が30日間と、ことしに入って最も長くなっていた(18日付・NHKニュースWeb版)。

   動静報道のブランクには、アメリカの斬首(ピンポイント)作戦を恐れていたのではないだろうか。ことし7月30日、アメリカは同時多発テロ事件「9・11」の首謀者の一人とされていたアイマン・アル・ザワヒリを潜伏先のアフガンのカブール近郊のダウンタウンで、無人攻撃機に搭載した2発のヘルファイアミサイル(空からの対戦車ミサイル)で攻撃し殺害している。「テロ支援国家」や「ならずもの国家」などとアメリカから敵視されている北朝鮮の金氏にとっては気が気ではない。

   さらに、米韓の合同軍事訓練が長く続いた。野外機動訓練(8月)が4年ぶりに再開され、9月と10月には米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した海上機動訓練、11月にはステルス戦闘機と称されるアメリカの戦略爆撃機「B1B」が朝鮮半島周辺の上空で空中訓練を実施した。この間での斬首作戦を金氏は恐れていたのではないか。

   が、金氏は気が付いた、家族といっしょにいるならばアメリカの斬首作戦は実行されないのではないか、と。先に述べたアイマン・アル・ザワヒリ、そして、2011年5月1日、パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れたところに潜伏していたオサマ・ビン・ラディンも一人でいるところを、ステルスヘリコプターなどで奇襲されている。

   そこで、家族を盾にすることを考えた。手をつないで家族といれば、奇襲攻撃を受けることはない。まったく根拠のない憶測にすぎない。ただ、そう思わせるほど娘との手つなぎは唐突なイメージなのだ。

⇒20日(日)夜・金沢の天気    あめ  

☆また物議かもす、森失言

☆また物議かもす、森失言

   森発言は何度も物議をかもしてきた。2000年4月、森氏は脳梗塞で倒れた当時の小渕総理の後を継ぐかたちで総理に就任した。その直後の5月、神道政治連盟国会議員懇談会で森氏は「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く、そのために我々が頑張ってきた」と述べた。いわゆる「神の国」発言である。戦後、天皇は神性を否定する「人間宣言」をしているにもかかわらず、国の総理がそれを否定するような発言をしたとして大騒ぎとなった。   

   表現が率直過ぎて、笑える失言もある。2005年8月、参院で郵政民営化法案が否決された当時の小泉総理が衆院解散を決意する。それを思いとどまらせようと森氏が官邸を訪ねたが、「殺されてもいい」と小泉氏に拒否された。会談直後に、森氏は「寿司でも取ってくれるのかと思ったらこの干からびたチーズだ」「硬くて歯が痛くなったよ」と不平を漏らした。干からびたチーズを前総理の森氏に出したことで小泉氏は解散総選挙への本気度を示したとメディアが報じ、結果、選挙は自民大勝。その干からびたチーズはフランス産高級チーズ「ミモレット」だった。

   そして、2021年2月3日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長だった森氏はJOC臨時評議員会で、「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。みんな発言される」と述べた。メディアはこの発言を女性差別であり、オリンピックへの女性参画の流れに逆行すると報道した。その後、森氏は自身の発言の責任を取って辞任している。

   言葉は本人が込めた想いとは裏腹に誤解を生みやすい時代環境になっている。それだけ、価値観の多様化や、とくに人権には厳しい視線が注がれる。語る場にもよるが、政治家が聴衆に面白く話せば話すほど誤解を生むことにもなりかねない。今回のゼレンスキー批判発言はどのように展開していくのか。

⇒19日(土)午前・金沢の天気    はれ

★また撃ったか、北朝鮮ICBM

★また撃ったか、北朝鮮ICBM

   北朝鮮がまたICBMを撃った。防衛省公式サイトによると、北朝鮮はきょう18日午前10時14分ごろ、平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。弾道ミサイルは69分ほど飛翔し、午前11時23分ごろ、北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海、EEZ内に落下した。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔と推定される。

   北朝鮮の弾道ミサイルが日本のEEZの内側に落下したのはことし3月24日以来で、今回で11回目となる。弾頭の重さによっては、射程は1万5000㌔を超え、アメリカ全土に届くとみられる。(※写真は3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版、下の図は11月18日付の防衛省公式サイトより)

   NHKニュースWeb版(18日付)は海上自衛隊の元海将のコメントを以下伝えている。「2017年にICBM級の弾道ミサイルを発射した例や最近の例から考えると、今回はICBM級のいわゆる『火星17型』の可能性が十分ある」「従来はアメリカを交渉の場に引っ張り出すためにいわゆる瀬戸際外交をしていたが、今回は交渉のためのミサイル発射ではなく挑発行為だ。最近も米韓の訓練や日米韓の合同のコメントなどに反発するような形でミサイルを撃ってきている。これに対して米韓も挑発を繰り返す形になっていて、第三者の仲裁が入っていないことが一番気になっている。南北朝鮮間の挑発行為が繰り返されると朝鮮半島の有事にもつながりかねない」

   どこまでエスカレートするのか。北朝鮮の金正恩総書記は2021年の1月5-7日に開催した朝鮮労働党大会で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、より高度な核技術の追求などを通じて、アメリカの脅威に対する防衛力を絶えず強化する必要があると述べていた(2021年1月9日付・BloombergニュースWeb版日本語)。そして、ことし1月19日に開いた朝鮮労働党の政治局会議で「アメリカ帝国主義との長期的な対決に徹底して準備しなければならない」とする方針を決定し、2018年に中止を表明していたICBMの発射実験や核実験について見直しを表明していた。6月には、IAEA(国際原子力機関)が北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の坑道の1つが再び開いた兆候がみられると指摘していた。

   北朝鮮はICBMの発射実験を繰り返している。それに搭載する小型核弾頭が完成すれば、核・ミサイルによる打撃能力は完成形に近くづく。最高権力者としては、核実験を一刻も早く実施したいのではないか。

⇒18日(金)夜・金沢の天気    はれ

★「群発」「深発」に見舞われる能登半島の揺れ

★「群発」「深発」に見舞われる能登半島の揺れ

   きのう14日午後5時9分に三重県南東沖で深発地震があった。震源の深さは約350㌔、地震の規模はマグニチュード6.1と推定されている。速報などを見て不思議だったのは、震央である東海地方では揺れず、遠く離れた福島県、茨城県で震度4を、そして能登半島で震度2の揺れが観測されたことだった=写真・上、ウェザーニュースWeb版より=。メディア各社はこの現象を「異常震域」と伝えている。

   異常震域という言葉を初めて意識したのは2021年9月29日に能登半島沖を震源とした地震だった=写真・下、同=。午後5時37分ごろ、日本海中部で震源の深さ400㌔、マグニチュード6.1の地震があった。この地震で、北海道、青森、岩手、福島、茨城、埼玉の1道5県の太平洋側で震度3の揺れを観測した=写真・上、同=。このときの地震は大陸のユーラシアプレートに沈み込む太平洋プレートの内部深くで起きたとみられている。震源が深かったため、近くの能登半島よりも遠くの地域が大きく揺れる現象だった。

   朝日新聞Web版(14日付)によると、今回の地震も沈み込む太平洋プレート内で発生した、震源が深い「深発地震」と呼ばれるタイプと考えられる。プレート内を揺れが伝わったため、プレートの沈み込み口に近い関東・東北地方を中心に揺れが観測された。一方、震源の真上にある「マントル」は軟らかく、プレート部分に比べて揺れが伝わりにくいため、三重県などでは人が感じる揺れはなかったとみられる。

   まとめると、日本海中部が震源だった揺れは太平洋プレートの沈み込みの深さが約400㌔、今回の三重沖は350㌔だった。プレート内部は振動が伝わりやすいので、震源地よりむしろ、プレートの入り口の方が揺れる。つまり、関東・東北地方の揺れが顕著となった。

   そしてきのう午後10時28分、能登半島の尖端付近が揺れ、珠洲市で震度4を観測した。震源の深さ約10㌔、マグニチュード4.2だった。半島の尖端は2020年12月ごろから揺れが続く群発地震に見舞われていて、震度1以上の地震はことし164回目となる。同市ではことし6月19日に震度6弱、同20日には震度5強の揺れがあった。一連の群発地震は、地下にある水などの流体の動きが原因で、太平洋プレートとの関係は別と専門家は指摘している(15日付・北陸中日新聞)。

   能登半島の尖端は、地下の流体で揺れる「群発地震」、さらに太平洋プレートでも揺れる「深発地震」が続いている。理不尽にくらっているダブルパンチのようで、痛々しい。

⇒15日(火)午前・金沢の天気   くもり時々はれ

★外務省をも巻き込む 統一教会の狡猾さ

★外務省をも巻き込む 統一教会の狡猾さ

   反社会的な宗教団体への政府の動きがようやく見えてきた。世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による霊感商法や献金強制の問題をめぐって、永岡文科大臣はきのう、宗教法人法に基づく「質問権」を行使すると表明した。

   その理由として、教団や信者などに対する不法行為の責任を認めた民事裁判の判決22件で、損害賠償額が少なくとも14億円に上ることから、質問権の行使理由に定められている、広範な被害や重大な影響が生じている疑いの基準に該当するとの判断だった。質問権の行使で、解散命令に該当する事実関係を把握した場合、地裁へ解散命令を請求することになる。

   これまで騙されていたのは文科省だけではない。外務省もだ。きのうの衆院外務委員会で林外務大臣は、旧統一教会の関連団体「世界平和女性連合」からアフリカのセネガルに派遣された日本人女性が職業訓練校を建設した際、2018年にODA(政府開発援助)として955万円の無償資金を供与していたと説明した。林大臣は「セネガルの女性が質の高い職業訓練などを受け、社会進出に貢献するものと考えて供与を決定した」と説明した(12日付・NHKニュースWeb版)。旧統一教会が「学校」と称した布教活動の拠点を海外に造り、それを外務省が支援していたのだ。

   これだけではない。10月26日の衆院外務委員会でも、「世界平和女性連合」からモザンビークへ派遣され、現地で中学・高校を開校した日本人女性に対し、外務省が「2019年度外務大臣表彰」を授与していたことが指摘されている。また、2018年に旧統一教会の関連団体が運営するルワンダの技術専門学校で、創立20周年記念式典が開かれた際、当時の日本のルワンダ大使が出席し祝辞を述べていたことを、外務省が明らかにしている。

   日本人の女性信者を海外に派遣し、学校や職業訓練校という名目の布教活動の拠点を造っていた。これを外務省が称賛し、支援金まで出していた。日本人信者を巧みに利用した旧統一教会の韓国本部の狡猾さではある。

⇒12日(土)夜・金沢の天気    はれ