⇒ニュース走査

★「沈黙」の弾道ミサイルまた2発 北朝鮮の狙い

★「沈黙」の弾道ミサイルまた2発 北朝鮮の狙い

   今月25日に続いて、北朝鮮はまた弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(28日付)によると、北朝鮮は28日午後6時10分と17分に平壌近くの半島西岸付近から、2発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射した。いずれも落下したのは北朝鮮東岸に近い日本海であり、日本のEEZ外と推定される。弾道ミサイルはいずれも変則軌道で飛翔した可能性がある。

    飛翔距離については以下が記されている。午後6時10分の弾道ミサイルは最高高度約50㌔程度の低い高度で、約350km程度飛翔。午後6時17分の弾道ミサイルも最高高度約50㌔程度の低い高度で、約300㌔程度飛んだとみられる。25日に発射された弾道ミサイルは同じく最高高度約50㌔程度で、飛んだ距離は約400㌔程度だった。

   防衛省サイトで公開されている資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」によると、高度と飛距離から、一連の弾道ミサイルは北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称しているミサイルと推測できる。ことし1月11日発射した「極超音速ミサイル」は最高高度約50km程度を最大速度約マッハ10で飛翔し、水平機動を含め変則的な軌道で飛翔した可能性がある。飛翔距離は約500㌔だった。「滑空再跳躍し、強い旋回機動」と北朝鮮の発表も記載している。

   防衛省の資料を読んでいて、一つ気が付いたことがある。この「極超音速ミサイル」の飛翔距離が1月11日は500㌔、9月25日は400㌔、そしてきのう28日は350㌔と300㌔だ。つまり、高度が同じでで距離が短縮されているのだ。飛翔距離は「最大射程距離」あるいは「限界射程距離」とも言われる。弾道ミサイルが大きく放物線を描いて到達できる最大の距離のこと。この最大射程距離が短くなれば、それだけ目標が定めやすくなる。

   平壌とソウル市内の距離は世界地図で見ると、およそ200㌔だ。マッハ10でしかも変則軌道の弾道ミサイルは、ミサイル防衛システムによる迎撃は困難とされている。さらに「核兵器の小型化・弾頭化を実現しているとみられる」(防衛省)。北朝鮮の狙いは、「瞬時にして火の海にする」奇襲攻撃の能力の向上を狙っているのかもしれない。

   それにしても、 きのうと今月25日の発射について、労働新聞Web版などをチェックしたが報道されていない。ことし5月4日の弾道サミイル発射以降、北朝鮮の国営メディアは「沈黙」を続けている。むしろ気になる。

(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

⇒29日(木)午前・金沢の天気    はれ

☆国葬前夜『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱 是か非か

☆国葬前夜『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱 是か非か

   あす安倍元総理の国葬が東京の日本武道館で営まれる。総理経験者の国葬は戦後2例目、1967年の吉田茂元総理以来で55年ぶりとなる。国葬を実施するにあたっては、そのの法的な根拠、そして当初2億5千万円と発表していた経費がその後、警備費を盛り込んで16億6千万円と再発表されたこと。さらに、安倍氏を始めとする自民党議員と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の関係が取り沙汰されて物議を醸している。

   こうした中で、岸田総理は安倍氏が遺した数々の「外交的遺産」を弔問外交で引き継ぎ、発展させる意思を内外に伝えたいと繰り返し発言してきた。いよいよ、その弔問外交が始まる。元外務大臣でもある岸田氏の外交の手腕がどのように発揮されるのか。

   NHKニュースWeb版(26日付)によると、岸田氏はきょうから3日間で、およそ40人と個別に会談する予定で、きょう午後1時からはIEA(国際エネルギー機関)のビロル事務局長と会った。このあと、アメリカのハリス副大統領やベトナムのフック国家主席ら10人余りと会談する。国葬当日のあす27日はインドのモディ首相やオーストラリアのアルバニージー首相らと。28日は韓国のハン・ドクス首相やカンボジアのフン・セン首相らとの会談が行われる。ただ、G7首脳で唯一の出席者だったカナダのトルドー首相はきのう急きょ、大型ハリケーンの災害対応のため出席を見合わせた(25日付・同)。

   トルドー首相については、エリザベス女王の国葬に参列のためイギリスを訪問した際に、ちょっとしたエピソードがあった。BBCニュースWeb版(21日付)は「Justin Trudeau’s team defends singing Bohemian Rhapsody before Queen’s funeral」の見出し=写真=で、国葬の2日前の17日、ロンドンのホテルでイギリスのロックバンド「クイーン」の『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱する様子がSNSで流出したと報じている。動画には、Tシャツのトルドー氏がピアノの伴奏に合わせて歌う姿が捉えられている。 エリザベス女王はカナダの国家元首で、トルドー氏は9月19日をカナダの連邦政府の休日にすると表明していた。

   この動画について、BBCは批判的な意見として、「女王の葬儀の前夜に、しかも公共の場で。彼はなぜこのように振る舞うのか」など。一方、擁護する声として「女王に無礼だったとは思わないが、カラオケだったら無礼だったろう」などの声を紹介している。

   このニュースを見て、カナダのトルドー首相にはぜひ日本でも歌ってほしいと思っていたのだが、急きょの参列取り止めは残念。来年5月に広島市で開催されるG7サミットではぜひ、『ボヘミアン・ラプソディ』を熱唱してほしいものだ。

⇒26日(月)午後・金沢の天気    くもり

★1発の弾道ミサイル 北朝鮮の思惑

★1発の弾道ミサイル 北朝鮮の思惑

   北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを撃つのは112日ぶりだ。防衛省公式サイト(25日付)によると、北朝鮮はきょう午前6時52分ごろ、内陸部から少なくとも1発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射した。最高高度約50㌔程度で、距離は通常の弾道軌道だとすれば、約400㌔程度飛翔し、北朝鮮東側の沿岸付近に落下。日本のEEZ外と推定される。また、弾道ミサイルは変則軌道で飛翔した可能性があり、関連する情報を収集・分析している。

   北朝鮮からの弾道ミサイルはこれを狙ったのかもしれない。共同通信Web版(23日付)によると、日本とアメリカ、韓国の3ヵ国の外務大臣はニューヨークで会談を開き、共同声明を発表。北朝鮮の度重なるミサイル発射を非難し、さらに核実験に踏み切れば、国際社会は毅然と対応すると警告を発した。この声明に反発する意味合いがあったのだろうか。

   もう一つの狙いが想定される。前回6月5日のとき、日本海に向けて立て続けに6発撃っている。今回と前回の共通点がある。アメリカの原子力空母「ロナルド・レーガン」が韓国の釜山に今月23日に入港している。月末から日本海で米韓合同演習に参加する予定だ(25日付・毎日新聞Web版)。前回のときも合同演習が行われ、原子力空母「ロナルド・レーガン」が加わっていた。BBCニュースWeb版(25日付)も「North Korea fires suspected ballistic missile into sea」の見出し=写真=で、合同訓練など最近の韓国とアメリカの緊密な関係に反発していると記している。

   上記の2つの反発から弾道ミサイルを発射したとしても、言葉に語弊はあるかもしれないが、前回の6発に比べ今回の1発は反発の意思表現が少々遠慮がちと思うのは自分だけだろうか。しかも、最高高度約50㌔程度で、約400㌔程度飛翔なので短距離弾道ミサイルのようだ。ただ、防衛省の記述にあるように、「変則軌道で飛翔した可能性」あるとすれば、通常よりも低高度を飛翔し、変則的な軌道で飛翔可能な「極超音速ミサイル」ということも想定される。防衛省の分析を注視している。

   もう一つ注視したいのが、北朝鮮メディアの発表についてだ。きょうの発射は労働新聞Web版などで公表されるだろうか。ことし5月4日に弾道ミサイル発射以降、国営メディアは沈黙を続けている。これまで発射の成功や核・ミサイル能力の開発を大々的に報じてきたのに、この沈黙は一体何を意味するのか。

   あくまでも憶測だ。おそらく、国家自体がデフォルト状態に陥っているのではないか。「建国以来の大動乱」と称された、新型コロナウイルスとみられる発熱症状の拡大で国全体がロックダウンとなった。さらに気候変動による農作物の不作で食糧難と飢えがまん延。今もこのような状況下にあるとすれば、国営メディアが弾道ミサイルを報じても、人々は「ミサイルより、食べ物よこせ」とあがき叫ぶだろう。最高権力者はそれを恐れているのではないか。

⇒25日(日)午後・金沢の天気    はれ

☆五輪汚職 ぬいぐるみ老舗の誤算 IOC会長は何を語る

☆五輪汚職 ぬいぐるみ老舗の誤算 IOC会長は何を語る

   あの大会マスコットまで五輪汚職の対象になっていたのか、憤りを通り越してあきれる。メディア各社の報道によると、受託収賄罪で起訴された大会組織委会元理事の高橋治之被告が、大会マスコット「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみを製造・販売した会社「サン・アロー」に便宜を図った疑惑が浮上している。高橋容疑者の知人の会社を通じて現金計約800万円が提供された可能性がある(24日付・読売新聞Web版)。

   五輪汚職事件をめぐっては、紳士服の大手「AOKIホールディングス」や大手出版社「KADOKAWA」などの名前が次々と報じられている。今回は、大会マスコットのぬいぐるみを手掛けた中小企業にまで贈賄疑惑が出てきた。どこまで汚職事件は拡大するのか、まさに「底なし沼」の様相だ。

   「サン・アロー」の公式サイトをチェックする。この会社はなんと大正時代の1918年創業で老舗だ。最初はセルロイド玩具などを手掛けていたが、1970年代からはぬいぐるみの企画・販売を行い、テディベアシリーズなど 数々のヒット商品を生み出している。1990年代からは、アニメ映画のヒット作品をぬいぐるみにする販売戦略に。スタジオジブリと契約して、アニメ映画「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」「天空の城ラピュタ」「崖の上のポニョ」などの商品を次々と発表。ぬいぐるのほか、絵本「こびとづかん」などの雑貨も。そして、1998年には 長野オリンピック公式ライセンス商品「SNOWLETS」を発売している。

   オリンピックのマスコットは同社にとって、商品PR、販売ともに最高の戦略商品と位置付けたに違いない。「ミライトワ」「ソメイティ」の両マスコットのぬいぐるみについて、組織委から公式ライセンス商品の承認を受け、2018年7月から販売を開始していた。ところが、新型コロナウイルスによるパンデミックで1年延期、さらに競技場は無観客となった。競技場を訪れる人々の土産にと目論んでいた販売戦略に誤算が生じたであろうことは想像に難くない。

        それにしても、今回の五輪汚職事件は世界に日本の不名誉をさらすことになった。報道によると、今月27日の安倍元総理の国葬には、IOCのバッハ会長も参列する予定という。来日した折、バッハ会長が誰に何を語るのか、注視したい。今回の汚職事件を受けて、IOCが日本に対してペナルティーを検討していると発言するかもしれない。

⇒24日(土)夜・金沢の天気     くもり

☆アメリカに渦巻くインフレ プーチンの「はったり」

☆アメリカに渦巻くインフレ プーチンの「はったり」

   アメリカのインフレとロシアの核に世界が翻弄されている。アメリカのCNNニュースWeb版は「Fed goes big again with third-straight three-quarter-point rate hike」の見出しで、FRBが21日まで開いた会合で、0.75%の大幅な利上げを決めたと報じた=写真・上=。3回連続で0.75%という異例の利上げに踏み切り、記録的なインフレを抑え込む姿勢を一段と鮮明にした。

   大幅利上げにより、政策金利の新たな目標は3-3.25%の範囲に決まった。これは世界的な金融危機が発生した2008年以来の高水準。この決定は、インフレと戦うための1980年代以来のFRBの最も厳しい政策だと指摘している。それはまた、住宅や乗用車、クレジットカードなどの借り入れのコストを押し上げることによって、何百万ものアメリカの企業や家計に経済的苦痛を引き起こす可能性が高い、とも述べている。

   今回の決定で円相場は24年ぶりとなる一時1㌦145円台をつけた。3月初めまでは1㌦=115円前後で安定していたが、半年余りで30円も円安が進んだ。日本も翻弄されている。 

   イギリスのBBCニュースWeb版は「Ukraine war: Putin orders partial mobilisation after facing setbacks」の見出しで、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻についてテレビ演説で、予備役など30万人規模の動員を可能とする大統領令に署名した、と報じている=写真・下=。

   さらに、「西側諸国によるロシアへの核の脅威」と述べ、「反撃すべき兵器を多く持っている」、「わが国の領土保全が脅かされるとき、ロシアと国民を守るために、ロシアが持つすべての手段を用いる。はったりではない」と発言。プーチン大統領があらためて核兵器の使用をほのめかしたと報じている。

   ウクライナの猛反撃でロシアの劣勢が顕著となる中、戦況を打開したい考えなのかもしれないが、むしろプーチン大統領の焦りと窮地が浮き彫りになってきた。

   ちなみに、「はったりではない」のBBC記事原文は「It’s not a bluff」と記されている。

⇒22日(木)夜・金沢の天気     はれ

☆台風去れど 岸田内閣への逆風止まず

☆台風去れど 岸田内閣への逆風止まず

   台風14号はきょう午前9時に東北地方の太平洋側へ抜けて温帯低気圧に変わったとニュースが伝えている。未明に能登半島を通過し、輪島では最大瞬間風速32.9㍍を記録したほか、金沢でも26.7㍍を観測している。窓ガラスを叩きつけるような激しい雨もあり、夜中に2度目覚めた。倒木などの被害がないか、自宅の周囲を見回ったが、外では肌寒さを感じた。午前9時で外気温は19度だった。台風が去り、北から冷たい風が入ってきているようだ。

   台風は去ったが、岸田内閣への逆風は止みそうもない。毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(今月17、18日)によると、内閣支持率は29%で、前回調査(8月20、21日)の36%から7ポイント下落した。不支持率は64%で、前回の54%より10ポイント増加した。各社の世論調査も下落傾向だが、20%台はこれが初めて。

   共同通信の世論調査(同)も各紙が報じていて、内閣支持率は40%で、前回調査(8月10、11日)から14ポイントも急落した。不支持率は18ポイント増の46%で、同調査で初めて岸田内閣の支持率と不支持率が逆転した。日経新聞とテレビ東京による世論調査(今月16-18日)でも支持率は43%で、2021年10月の政権発足後で最低となっている。不支持は49%だった。

   毎日新聞、共同通信、日経新聞ともに、内閣支持率の低迷、不支持率の急増の原因として、自民党と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係を上げている。岸田総理は今後、統一教会や関連団体と一切関係を持たないことを基本方針とし、党所属の国会議員との関係を点検して公表したが、自民党の対応は十分だと思うかという問いでは、「不十分」が毎日では76%、日経では79%、共同では80%となっている。もう一つの内閣支持率の低迷の要因が、安倍元総理の「国葬」をめぐって、だ。「反対」が毎日では62%、日経では60%、共同では61%となっている。

   注目するのは読売新聞の世論調査だ。読売の調査で内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」とよく言われる。第一次安倍改造内閣の退陣(2007年9月)の直前の読売の内閣支持率は29%(2007年9月調査)、その後の福田内閣は28%(2008年9月退陣)、麻生内閣は18%(2009年9月退陣)。民主党政権が安倍内閣にバトンタッチした2012年12月の野田内閣の支持率は19%だった。

   読売の直近の世論調査(今月2-4日)では、内閣支持率は50%と前回調査(8月10、11日)の51%と横ばいだった。岸田内閣はこの数字を見て、「まだまだやれる」と安堵しているのではないか。支持率は落ち始めると急カーブを描く。それが世論調査の怖さだ。

⇒20日(火)夜・金沢の天気   くもり時々はれ

★イギリスの女王国葬 洗練された伝統的な儀式

★イギリスの女王国葬 洗練された伝統的な儀式

   今月8日に死去したイギリスのエリザベス女王の国葬をNHKの放送とネットで生中継していた。国葬はロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われ、就任間もないトラス首相が聖書を読み上げ、参列者が聖歌を歌った。女王の棺は「砲車」に載せられ、兵士に引かれて、チャールズ国王も行進していたた=写真=。

   その後、棺は車で運ばれ、沿道を埋め尽くした大勢の市民が歓声と花束を投げて見送っていた。そして、沿道ではマスクしている人の姿はなかった。中継を見た視聴者は、イギリスの洗練された伝統的な儀式を見て、国葬の真価に感じ入ったのではないだろうか。

   ふと、邪推が脳裏をよぎった。今月27日の安倍元総理の国葬には海外からの700人ほどが参列し、アメリカのハリス副大統領やインドのモディ首相、オーストラリアのアルバニージー首相も出席を予定していると報じられている。が、参列して、がっかりするのではないだろうか。「これが日本の国葬なのか」と。エリザベス女王の国葬とあまりにも違いすぎる、と。

   そもそも、国家元首でもない安倍元総理を「国葬」にする理由について、岸田総理は憲政史上最長の通算8年8ヵ月にわたり総理を務めたことなどを挙げていたが、エリザベス女王は在位70年だ。さらに、岸田総理は「弔問外交」の重要性を掲げているが、ハリス副大統領やモディ首相、アルバニージー首相のほかは、たとえば、G7では元職が多いようだ。

   おそらく、今後何かと国葬については、イギリスと比較されるのではないだろうか。

⇒19日(月)夜・金沢の天気      あめ

☆「かなりやばい」台風14号 金沢また猛暑そして豪雨か

☆「かなりやばい」台風14号 金沢また猛暑そして豪雨か

   「かなりやばい」。大型で猛烈な台風14号の見通しについて行われたきのうの記者会見で、気象庁の予報課長が思わず吐いた言葉だ。910ヘクトパスカルの猛烈な勢力を維持したまま九州に接近するとみられ、この勢力で鹿児島県の薩摩半島に上陸すると、これまで類似する台風がないような非常に危険な台風となる。台風は大きな雲を伴い、過ぎ去ったあとも大雨が続くと予想されると説明した。本人は相当に危機感を持っていたのだろう、「衛星画像を見ていて、かなりやばいなと思った。私が気象庁で働き始めてから見たことがない」と感情を露わにした。

   きょう午前中のNHKニュースによると、台風の接近で、鹿児島県の屋久島で午前9時すぎに43.5㍍、鹿児島市で午前9時に39.1㍍、宮崎県串間市で午前9時半ごろに37㍍の最大瞬間風速を観測している。風速35㍍以上は走行中のトラックが横転するくらいの「猛烈な風」だ。また、午前9時までの1時間に鹿児島県錦江町で68㍉、宮崎県都城市で53㍉の非常に激しい雨を観測している。鹿児島県と宮崎県の両県では「土砂災害警戒情報」が出されている。

   気象庁公式サイトで台風14号の進路予想図(18日午前10時現在)を確認すると、北陸地方には19日夜から20日朝にかけて最も接近しそうだ=写真=。さらに、金沢市の天気を日本気象協会の予報でチェックすると、あす日中は晴れで最高気温は35度の猛暑日、あさって20日朝は豪雨で風速15㍍、午後は晴れるものの日中の最高気温21度としている。前回、台風11号に見舞われた今月6日も南風のフェーン現象で、金沢市では最高気温が38.5度まで上がり、120年前の記録に並ぶ観測史上1位となった。

   風が強まり、台風の進路や雨雲の発達の程度によっては、石川県内も警報級の大雨になるおそれもある。台風14号、「かなりやばいぞ」。

⇒18日(日)午前・金沢の天気   くもり

★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

★天皇が参列するイギリスの国葬、しない日本の国葬

   前回のブログの続き。イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王が96歳で亡くなった。女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる予定(9日付・BBCニュースWeb版)。

   NHKニュースWeb版(10日付)によると、エリザベス女王の国葬には天皇陛下が参列される方向で政府と宮内庁の間で調整が進められている。皇室とイギリスの王室は、昭和28年(1953年)に上皇がエリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として出席するなど、古くから親密な関係にある。天皇陛下は2019年5月に即位後、2020年にエリザベス女王からイギリスに招待されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。こうした経緯など踏まえてイギリスでの国葬に参列する調整が進められている、という。

   エリザベス女王の国葬には、天皇陛下が参列する。そして、安倍元総理の国葬(今月27日)には、秋篠宮夫妻ら皇族の参列を宮内庁が調整していると報じられている(8月29日付・毎日新聞Web版)。葬儀委員長を務める岸田総理から宮内庁に「皇族各殿下」の国葬への参列依頼が文書で出されていた。「皇族各殿下」には天皇、皇后両陛下と上皇ご夫妻は含まれない。両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣するとみられる。1967年の吉田元総理の国葬には、当時は皇太子夫妻だった上皇ご夫妻が参列し、昭和天皇ご夫妻は使者を派遣した。2020年の中曽根元総理の内閣・自民党合同葬には秋篠宮夫妻が参列し、両陛下と上皇ご夫妻は使者を派遣している(同)。

   上記の記事を読んでの印象だが、日本の国葬には天皇、皇后両陛下はこれからも参列しないだろう。国葬に関して取り決めた法律がない、また、国葬に値する人物の基準もないので当然と言えば、当然だろう。議論を呼ぶような国葬にあえて両陛下が参列するはずもない。岸田総理は国会の閉会中審査(今月8日)で「憲政史上最長(通算8年8ヵ月)の政権を担った」「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示す」などと国葬を実施する理由を繰り返し述べていたが、政権の単なる理屈にすぎない。

   国葬は国民がこぞって賛同するような価値基準がない限り難しい。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るから国葬を行うというのでは、今後さらに有権者の反発を招くのではないか。

(※写真は、2020年10月17日に都内のホテルで営まれた中曽根元総理の「内閣・自民党合同葬」=総理官邸公式サイトより)

⇒10日(土)夜・金沢の天気   はれ

☆女王の威厳を讃えるイギリスの国葬

☆女王の威厳を讃えるイギリスの国葬

   イギリスのエリザベス女王が亡くなった。イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位し、96歳で亡くなった。BBCニュースWeb版(9日付)は「Nation mourns Queen with flowers, gun salutes and address from new King」の見出し=写真=で、女王の死去を受け、長男のチャールズ皇太子が国王に即位したと伝えている。女王に敬意を表してウェストミンスター寺院、セントポール大聖堂、ウィンザー城で鐘が鳴り、女王の人生を記念して96発の銃による敬礼がハイドパークなどで発射される。女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる予定で、正確な日はバッキンガム宮殿によって後日発表される、という。

   エリザベス女王の死去を受けて、天皇陛下のお気持ちを宮内庁が文書で発表した(TBSニュースWeb版)。「女王陛下は、70年の長きにわたり英国女王として同国並びに英連邦諸国の国民を導き、励まされました」「我が国との関係においても、女王陛下は両国の関係を常に温かく見守ってくださり、英王室と皇室の関係にも御心を寄せてくださいました。私の英国留学や英国訪問に際しても、様々な機会に温かく接していただき、幾多の御配慮をいただいたことに重ねて深く感謝したいと思います。 また、女王陛下から、私の即位後初めての外国訪問として、私と皇后を英国に御招待いただいたことについて、そのお気持ちに皇后とともに心から感謝しております」

   天皇のお言葉からも、70年の長きにわたってイギリスの女王として威厳を保ち続けたことが伝わって来る。さまざまな王室スキャンダルの嵐が吹き、イギリスそのものもかつてはEU離脱という国論を二分するよう状況下もあった。その中でも、威厳を湛えながら国をまとめていた。

   エリザベス女王の国葬は2週間以内にウェストミンスター寺院で執り行われる。誰もが弔意を持って、その日を迎えることだろう。これが本来の国葬のあり様でもある。日本の「国葬」と比較するつもりはいっさいない。

⇒9日(金)夜・金沢の天気      くもり