⇒ニュース走査

☆北朝鮮のICBM 統一教会総裁のラスベガスカジノ

☆北朝鮮のICBM 統一教会総裁のラスベガスカジノ

   能登半島の沖合300㌔にある大和堆(やまとたい)はスルメイカの好漁場で、日本のEEZ内にある。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。いまはイカ漁の最盛期で、能登からもイカ釣り船団が大和堆で操業している。が、漁業関係者は安心できない日々が続いている。

   防衛省公式サイトによると、北朝鮮は3日午後9時台に北朝鮮内陸部から弾道ミサイル3発を東の方向に向けて発射した。34分から42分かけて断続的に発射し、最高高度は150㌔程度、飛行距離は約500㌔、落下地点はいずれも朝鮮半島東側の日本海で、日本のEEZの外と推定している。

   同日は午前7時40分にも日本海に向けてICBMを発射。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海で消失した。日本政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した後、その後訂正するという騒ぎになった。ICBMのほか2発の弾道ミサイルも発射していた。さらにその前日の2日は、23発の弾道ミサイルを日本海や黄海に向け発射している。

   昼夜を問わず、連日のように弾道ミサイルをぶっ放す北朝鮮。この国のガバナンスは一体どうなっているのか、そしてこの国の行く末は。冒頭の大和堆周辺で操業しているイカ釣り船団の関係者にとっても不安が募る。

   話は変わる。週刊文春(11月10日号)によると、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の韓鶴子総裁と教団幹部らが2008年から11年にかけてアメリカ・ラスベガスのカジノを訪れ、日本円に換算して64億円もの金をギャンブルに注ぎ込んで、9億円の損失を出していた疑いがあることが分かった。旧統一教会をめぐっては、霊感商法や過度な献金などが問題となっている。そんな中、教団のトップである韓総裁がギャンブルに興じていた疑いが浮上してきた。

   そのギャンブルの原資は、日本の信者による献金や霊感商法によって収奪された財産であることは容易に想像がつく。現在、日本で進められている宗教法人法に基づく旧統一教会への「質問権」の行使は、刑法や民法の不法行為だけでなく、日本で集めた巨額な金の不透明な流れも解明してほしいものだ。

⇒4日(金)夜・金沢の天気    はれ

★エスカレートする北朝鮮の軍事挑発 次は核実験なのか

★エスカレートする北朝鮮の軍事挑発 次は核実験なのか

   日本海側に住む者として、このところの北朝鮮の動きに目が離せない。聯合ニュースWeb版日本語(3日付)が韓国軍合同参謀本部からの情報として伝えたニュースによると、北朝鮮はきょう午前7時40分ごろ、平壌・順安付近から日本海に向けてICBMを発射した。最高高度は約1920㌔、飛行距離は760㌔、最高速度はマッハ15だった。ミサイルは2段目の分離まで行われたが、その後は不正常に飛行し、日本海の海上に墜落した。このICBMは新型大陸間弾道ミサイル「火星17型」とみられる。

   ことし3月24日、北朝鮮はICBM「火星17型」を発射させ、「実験は成功した」と公表している。このときは、最高高度は6248㌔に達し、1090㌔の距離を67分32秒飛行した。角度を変えて発射すれば1万5000㌔を超える射程距離となり、アメリカの東海岸を含む全土が射程内に入る(当時の岸防衛大臣の会見)。おそらく、今回はアメリカをけん制する狙いで角度を変えて発射したものの失敗に終わった可能性がある。ただ、北朝鮮による挑発のレベルは高まっている。

   防衛省によると、今回、北朝鮮から発射されたICBMが日本列島を越えて飛翔する可能性があると探知し、政府は午前7時50分ごろから8時ごろにかけてJアラート(全国瞬時警報システム)を宮城県、山形県、新潟県に発した。しかし、ICBMは日本海で消失したため、その後訂正した(防衛省公式サイト「防衛大臣臨時記者会見」)。

   きのうは23発の弾道ミサイルを、そして、きょうはICBMのほか2発の弾道ミサイルを発射した。北朝鮮がここまで執拗に弾道ミサイルの発射を繰り返す口実は、アメリカと韓国が先月31日から今月4日までの予定で行っている、ステルス戦闘機などおよそ240機を投入した大規模な合同訓練に対するけん制だ。

   韓国空軍はこうした北朝鮮からの軍事挑発を受け、きょう3日、実施中の米韓合同訓練の期間を延長することを決めたと発表した(3日付・共同通信Web版)。韓国とすれば、アメリカとの同盟態勢を強調することで北朝鮮に対して圧力をかけたいのだろう。すると、北朝鮮も次なる脅威を誇示するのではないか。7回目の核実験を含むさらなる軍事挑発だ。

(※写真は北朝鮮のICBM「火星17型」の発射実験=3月25日付・労働新聞Web版)

⇒3日(木)夜・金沢の天気   はれ

☆北朝鮮ミサイル23発 米韓は大規模訓練のキナ臭さ

☆北朝鮮ミサイル23発 米韓は大規模訓練のキナ臭さ

   朝鮮半島にキナ臭さが漂っている。NHKニュースWeb版(2日付)は、韓国軍の合同参謀本部の情報として、北朝鮮は2日午前6時台から9時台にかけて、東部や北西部など複数の場所から日本海や朝鮮半島西側の黄海に向けて、短距離弾道ミサイルなど17発以上のミサイルを発射した、と伝えている。

   このうち、午前8時台に発射した短距離弾道ミサイルの1発が国連軍が設定した海上の境界線であるNLL(北方限界線)を越えて、韓国東部の鬱陵島の北西167㌔の公海上に落下した。同島では空襲警報が発令された。さらに、午後4時30分から午後5時10分ごろにかけて、北朝鮮は地対空ミサイル6発を日本海と黄海に向けて発射したと発表。きょうこれまでに23発のミサイルをした。

   アメリカ軍と韓国軍は先月31日から今月4日までの予定で、最新鋭のステルス戦闘機などおよそ240機を投入した空軍による大規模な共同訓練「ビジラントストーム(Vigilant Storm)」を行っている。北朝鮮のミサイルの乱発はこれに対するけん制だ。

   ロイター通信Web版日本語(2日付)によると、北朝鮮で軍事担当の労働党書記は1日付の声明で「米韓が何の恐れもなく北朝鮮に対して武力を行使しようとするならば、北朝鮮軍の特殊部隊が遅滞なく戦略的任務を遂行し、米韓は悲惨な出来事に直面し、歴史上最もおぞましい代価を支払わなければならないだろう」と共同訓練を中止するよう要求している。

   韓国中央日報Web版日本語(1日付)によると、米韓空軍による大規模訓練は2017年12月以来となる。韓国空軍基地に初めて入るアメリカ海兵隊のステルス戦闘機「F-35B」の編隊は31日、山口県岩国基地から出撃した。また、今回の訓練にはオーストラリア空軍のKC-30A空中給油機も加わっていて、3ヵ国による訓練は今回が初めて。 アメリカ太平洋空軍の関係者は「歴代最大規模」と明らかにした。   

   防衛省も日本海に落下した弾道ミサイルについて公表している。防衛省公式サイト「北朝鮮のミサイル等関連情報」(2日付)によると、北朝鮮は午前9時50分ごろ、少なくとも2発の弾道ミサイルを、東および南東方向に向けて発射。一発目は最高高度が約150㌔でおよそ150㌔飛翔した。2発目は最高高度が約100㌔で、およそ200㌔飛翔。落下はいずれも朝鮮半島東岸付近で、日本のEEZ外だった。さらに、午後4時台に、北朝鮮東岸付近から、少なくとも1発の弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に向けて発射した。最高高度は約50㌔以下の極めて低い高度で短距離を飛翔し、日本のEEZ外に落下した。

(※写真は、北朝鮮が「極超音速ミサイル」と称する新型弾道ミサイル=防衛省公式サイト資料「2019年以降に北朝鮮が発射した弾道ミサイル等」より)

⇒2日(水)夜・金沢の天気    はれ

☆「コーテル イーガー」餃子の王将のこと

☆「コーテル イーガー」餃子の王将のこと

   ちょうど50年前、半世紀前の話になるが、大学受験で京都の予備校に通っていた。予備校の寮の近くに「餃子の王将」という中華の店があり、予備校の仲間とよく通った。このとき、餃子の味を初めて知った。そして、新鮮に思えたのは、餃子を注文するとスタッフが厨房に向って、「コーテル イーガー」「コーテル リャンガー」と大声を出していた。「餃子一人前」「餃子二人前」という中国語なのだが、そのうち、仲間内でコーテルが「餃子の王将」の代名詞になったことを覚えている。

   もう一つ思い出すのが、店の周囲には予備校生や大学生が多く住んでいて、学生が店で皿洗いの手伝いを30分ほどすると餃子とラーメンが無料で食べられるという話だった。自身はこれにチャレンジしたことはなかったが、親からの仕送りが少なかった仲間の一人は「助かる」と店に感謝していた。

   その餃子の王将は店舗を全国に拡大していて、金沢市内でも4店舗ある。学生街に近い立地だ。時折、餃子が食べたくなると、金沢大学角間キャンパスに近い「杜の里店」に行く=写真=。

   9年前にはちょっとした事件が金沢で起きてニュースとなった。金沢市の繁華街にあった「片町店」で、ボーイズバーの10人ほどの男性従業員たちが全裸でカウンターに座るなどした写真が2013年9月にフェイスブックにアップされた。撮影は2012年11月だった。ボーイズバーの店側は、カレンダーの写真として使うための撮影で王将の店の責任者から許諾を得ていた、と主張した。王将側は撮影を許可したが、裸になると想定しておらず、撮影を制止しようとしたが止められなかったと反論し、その後、男性客らを威力業務妨害と公然わいせつの容疑で刑事告発した。ある意味、王将側はとんだ災難に巻き込まれた。

   さらに、金沢でニュースとなって3ヵ月後の2013年12月19日に、餃子の王将を展開する「王将フードサービス」の社長が京都で射殺されるという事件が起きた。そして、きのう28日、京都府警は殺人と銃刀法違反の疑いで暴力団「工藤会」(北九州市)の組幹部を逮捕した。

   「コーテル イーガー」。災難にめげずに、店の味を守り続けてほしい、餃子ファンの一人として願う。

⇒29日(土)夜・金沢の天気 

★いま政治に求められる捨て身のスピード感

★いま政治に求められる捨て身のスピード感

   いま有権者が政治に求めているのは、周囲との調整を念入りにする政治判断より、捨て身のスピード感で動く政治決断ではないだろうか。今月24日に世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)と深い関係性が指摘されていた山際経済再生担当大臣が辞任した。旧統一教会との関係が国会で何度も追及され、さらに教団本部の総裁と一緒に映っている証拠写真を突きつけられても、山際氏は「資料がない」「記憶が定かではない」などと繰り返していた。

   今国会での目玉の施策が29兆円にも及ぶ「総合経済対策」。取りまとめ役は経済再生担当大臣、つまり山際氏だった。なぜ岸田総理は山際大臣の更迭の決断を早々に下さないのかと、批判の矛先は総理に向っていた。そして、山際氏は総合経済対策の閣議決定(28日)前になって辞することになり、決断の遅さとタイミングの悪さが如実に表れた。

   きょうの旧統一教会関連のニュースは、旧統一教会側がTBSラジオと日本テレビ、また、番組に出演した弁護士とジャーナリストに対して合わせて3300万円の賠償と謝罪放送を求め訴えを東京地裁に起こした(27日付・NHKニュースWeb版)。教団側は先月29日にも読売テレビとTBSの2社、そしてコメンテーターの弁護士3人に計6600万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こしている。

   いわゆる「スラップ訴訟」ではないか。端的に言えば、メディアや出演者の言論を萎縮させることを目的とした民事訴訟と言える。アメリカでの概念で、「Strategic Lawsuit Against Public Participation」の頭文字をとり「SLAPP(スラップ)」。直訳すれば、「市民参加を妨害するための戦略的民事訴訟」となる。

   別の見方をすれば、宗教法人法に基づく「質問権」の行使が動き始め、教団の解散命令の請求にまで至るのか注目が集まる中で、教団内部では相当な混乱が起きていることは想像に難くない。その動揺を収めるため、あえて裁判を起こして、内部の統制をはかると同時に、質問権へのけん制をもくろんでいるのではないだろうか。

   いずれにせよ旧統一教会の本質が出たようで、問題視されている霊感商法や高額寄付についての反省の色がまったくない。ニュースを見た視聴者の多くはそう感じたのではないだろうか。

(※写真は、参院代表質問に答える岸田総理=今月7日のNHK総合)

⇒27日(木)午後・金沢の天気    はれ

☆妥協を許さない「一人支配」中国の行く末

☆妥協を許さない「一人支配」中国の行く末

   中国共産党の党大会閉幕式(今月22日)で前国家主席の胡錦濤氏が腕をつかまれた状態で途中退席する衝撃のニュースが流れた。その後、国営通信「新華社」(電子版)は23日までに「体調が優れなかった」ためだと説明した(23日付・共同通信Web版)。BBCニュースWeb版(25日付)をチェックすると、「Hu Jintao: Fresh China congress footage deepens mystery over exit」(意訳:新たな映像で深まる胡錦濤氏退席の謎)の見出しで、退席する以前の動画が掲載されている。

   この動画を見ると、体調不良による退席ではなく、連れ出しであることが分かる。習近平国家主席の横に座っていた胡錦濤氏が机の前に置かれていた赤いファイル書類に手を伸ばそうとすると、胡氏の左隣に座っていた人物が見せないようにファイル書類を押さえている様子が確認できる。胡氏が再度そのファイルに再度手を伸ばすと、今度は取り上げた。その後、習氏が別の人物に指示し、胡氏が抱えられるようにして退席した。

   この「退席事件」の直前には、党幹部の人事が行われ、胡氏に近いとされていた李克強首相ら幹部2人が引退させられている。BBCは識者の談話として、「There would be a chilling effect on the officials watching what was happening on the stage」(意訳:閉幕のステージ上で何が起こっているのか見ていた党幹部には相当な萎縮効果があったはず)と伝えている。

   党内外のすべての「敵」を排除した習氏の勝利はいわば、これまでの「一党独裁」から「一人独裁」に入ったようなものだ。習氏の政治手法は、バランスを取らない「オール・オア・ナッシング」のようにも思える。たとえば、「ゼロコロナ」はその典型的な事例かもしれない。ごくわずかな感染対策のために、多くの正常な社会活動を犠牲にする。胡錦濤氏に近い人物を排除し、トップ24人の政治局委員を身内で固めたことで、結果として女性の政治局委員は1人もいなくなった。

   今後、台湾問題を含めた政治と外交や、政治と経済、とくに貧困対策と経済成長などバランス感覚が問われる課題に向かうだろう。そのときも、妥協を許さないオール・オア・ナッシングだとしたら。

⇒26日(水)夜・金沢の天気   はれ

☆「竜巻とからくり師」と「覆面介入と投機筋」

☆「竜巻とからくり師」と「覆面介入と投機筋」

   気になったニュースをいくつか。地元メディアによると、きのう23日午後1時すぎ、金沢港の近くで竜巻とみられる突風が発生し、建物の屋根の一部がはがれるなど20軒の建物に損壊、飛んできた物で車のガラスが割れるなどの被害が出た。寒冷前線に湿った空気が流れ込んだ影響で大気の状態が非常に不安定になり、金沢地方気象台はきのう午後1時3分に竜巻注意情報を発表していた。

   現場に行ってみた。同市大野町4丁目にある「大野からくり記念館」では、施設の建物を結ぶ通路の屋根のガラスが割れていた。同記念館は幕末の「からくり師」(発明家、エレキテルや写真機など)だった大野弁吉の業績を紹介する館だ。さらに、周辺では民家の屋根瓦が一部はがれていた。大野弁吉が生きていれば、びっくりの突風だったに違いない。

   「投機筋」という言葉はそれとなく理解しているつもりだったが、改めてネットなどで調べてみる。株式や為替などの価格の変動に着目し、短期的な売買を繰り返して利益を得ようとする投資家全般を称する。その「投機筋」に対して、政府・日銀は戦いを挑んでいる。

   週明けの24日の外国為替市場で円相場は一時、1㌦=149円台で取り引きされていたが、午前8時30分ごろ、急激に円高に動き1㌦=145円台まで上昇するなど変動している。介入の事実を公表しない、いわゆる「覆面介入」だ。ということは、投機筋に対して円相場の動きを読みにくくさせる、奇襲作戦に出ている。

   NHKニュースWeb版(24日付)は、鈴木財務大臣が財務省内で記者団の取材に応じ、市場介入について「私どもは市場を通じて投機筋と厳しく対峙している。そういう状況を考えてコメントしない」と述べた、と伝えている。「投機筋と厳しく対峙」というコメントそのものが、投機筋との戦いを宣言している。円安をめぐる攻防はいつまで続くのか。

⇒24日(月)午前・金沢の天気    はれ

☆利上げせず、さらなる円安、その先の危機シナリオ

☆利上げせず、さらなる円安、その先の危機シナリオ

   日米の金利差が拡大し、円よりもドル建てで運用する方が有利になり、ドルが買われて円安になる。当たり前のことだ。世界が見つめる日本はさらに厳しい。日本は賃金上げができないほど経済が弱体化している。なので利上げができず、円安が続く。世界で日本だけが成長から取り残されている、という世界の論調だ。「2000年時点では日本の平均賃金は米国より高かったのに、今では日本の平均賃金は米国の半分だ。国益とは何を指していたのだろうか」(4月22日付・ロイター通信Web版日本語)。

   メディア各社によると、政府・日銀は急激な円安を止めるためきょう22日未明にかけて、円買い・ドル売りの為替介入を実施した。これにより、円相場は1㌦=152円から146円まで円高に振れた。円安による為替介入は9月22日以来で2度目。ただ、今回は介入の事実を公表しない、「覆面介入」だった。

   ということは、投機筋に対して円相場の動きを読みにくくさせる、忍法「目くらまし」術のようなものだ。政府・日銀がこのような奇襲作戦を今後も続ける、円安で損をするのは投機筋だと宣言したようなものだ。

   では、なぜ日銀は利上げをしないのか。黒田総裁は参院予算員会(今月19日)で「金融緩和を継続することで経済をしっかりと支え、賃金上昇を伴うカタチで物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指すことが適当」と答弁している。利上げによる経済への悪影響で巷(ちまた)でよく言われているのが、住宅ローン破綻の急増だ。変動金利で住宅ローンを組んだ購入者にとってローン金利が上がると打撃だ。ましてや、賃金上げがない中では現実的な話だ。

   もう一つ、日銀が利上げをしない理由。メディアでもよく報じられているのが、「利上げをすると国債暴落が起き、日銀のバランスシートが債務超過になるので、日銀は利上げができない」という論調だ。確かに、利上げをすると債券価格は下落するとは定説になっている。日銀は長期国債537兆円、国庫短期証券9兆円の合計546兆円の「国債」を資産として保有している(10月10付・日銀「営業毎旬報告」)。この数字をみれば、利上げで国債価格が下落すると日銀のバランスシートが崩れ、債務超過に陥るのではないかと考えてしまう。

   では、国債価格の下落に含み損が生じたとして、そのことによって日銀の業務に支障が出たり、金融市場が混乱するだろうか。民間の金融機関だったら、いわゆる預金者による「取り付け騒ぎ」が起きて混乱するだろう。中央銀行ではそれはない。雑ぱくな言い方だが、含み損が生じたとしても、いわゆる現金というのは日銀券のことであり、日銀にとっては痛くもかゆくもないだろう。   

   ただ、日銀が真に恐れているのは、いわゆる「キャピタルフライト(資本逃避)」かもしれない。覆面介入が奏功せずに投機筋による円安が続き、1㌦=200円ということになれば、国民はむしろ危機感を募らせる。2000兆円ともいわれる個人金融資産が安全資産への買い替えとしてドル買いに動き始めると、どうなるのか。おそらく政府は外貨購入に制限を設けるだろう。この時点で、政治も経済も信頼を失って、キャピタルフライトがさらに加速する。通貨危機のパターンでもある。

⇒22日(土)夜・金沢の天気     くもり

★旧統一教会問題 タレ流し中継と「異議あり」

★旧統一教会問題 タレ流し中継と「異議あり」

   映像をそのまま流すことをテレビ業界では「タレ流し」と言ったりする。「タレ流しの記者会見」という場合は、会見を生中継でそのまま放送するという意味だ。きのう日本テレビ系のチャンネルで午後2時からの『情報ライブ ミヤネ屋』を見ていた。冒頭から世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による、記者会見の生中継だった。

   政府は宗教法人法に基づく調査の方針を固め、同法が規定する「質問権」を旧統一教会に行使すると表明したことを受けて、教団改革推進本部長の勅使河原秀行氏が会見を行った。テロップでは「速報 旧統一教会 6度目会見」とあった。冒頭で勅使河原氏は「政府の方や国会議員が対応に当たらなければいけない事実について、申し訳なく思っている」と頭を下げ、「質問権が来たら誠実に対応する」と述べていた。が、その後に教区長という役職に就く「2世信者」を20人ほど会見場に並ばせたり、女性信者の元夫がテレビに出演し教団の問題を訴えたことに対し自らの正当性を主張したりと、一方的な会見内容だった。

   このようなタレ流しの会見は違和感を感じるものなのだが、むしろ面白く感じたのは、リアルタイムで「異議あり」を掲げるチェックがあったからだ。全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士と、ジャーナリストの鈴木エイト氏が会見を視聴しながら、その都度、「異議あり」とフリップを出す。すると出した回数がカウントされる=写真、20日放送『情報ライブ ミヤネ屋』より=。おそらく、この2元中継は番組が独自に考案した視聴者のストレス緩和の手法なのだろう。

   番組が会見の中継を中断したのは、上記の教団の違法行為を訴えた元夫に反論するため、教団側が元妻のVTRを流そうしたときだった。「個人情報に関わる問題なのでいったん止めます」とアナウンスして中継を中止した。これは番組としてまともな判断だった。2世信者たちを会見場に並ばせたりしていたので、おそらくVTRの内容も教団側がシナリオを書いた元夫に対する否定的なコメントであろうと番組側が判断したに違いない。

   番組を見ていて、ふと考えたことがある。土地不動産や預貯金、生命保険といった資産をすべて献金した高齢信者が家族と離れ離れになっている場合、どのように暮らしているのか。

   以下まったくの憶測だ。身寄りのない高齢の単身、あるいは夫婦の信者に生活保護費を受給させて、教団あるいは教団関係者のアパートに集団で住まわせる。その代わり、支給された生活保護費を教団側に献金させる。いわゆる「囲い屋」の手法だ。地域によって生活保護費は異なるが、単身者は住居費を含め12万円ほど、夫婦は16万円ほどだ。以上はまったくの憶測ではある。メディアはすでに取材に入っているかもしれない。

⇒21日(金)午前・金沢の天気    はれ

☆質問権から解散命令請求へ「最後の審判」の道のり

☆質問権から解散命令請求へ「最後の審判」の道のり

   前回のブログの続き。NHKの国会中継が実にアリルで面白い。きょう19日午前の参院予算委員会で岸田総理に質問した立憲民主党の議員は「朝令暮改にもほどがある」と声を張り上げていた。何が朝令暮改だったのか。

   岸田総理は17日の衆院予算委で、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の霊感商法や献金強要などさまざまな問題をめぐり、宗教法人法に基づく調査の方針を固め、同法が規定する「質問権」を行使すると表明。組織の実態を調べた上で、裁判所への解散命令請求の適否を判断したいと述べた。ただ、18日の衆院予算委では、宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為をした場合」などが解散命令の事由に当たると定めているが、法令違反の要件については民事裁判の判決(民法の不法行為)では根拠にならず、刑事罰などが必要になるとの認識を示した。

   それが、きょうの参院予算委では一転して、解散命令を請求する要件について「民法の不法行為も入りうる」と述べ、前日の答弁を修正した。質問した小西洋之議員(立憲民主党)は「私も12年間、国会議員をやっていますけども朝令暮改にもほどがある。自民党政治と旧統一協会の癒着構造の迷走劇、成れの果てだ」と、ようやく認めた岸田総理を「朝令暮改」と揶揄した。

   紆余曲折はあったものの、これでようやく政府と野党側の方向性が一致した。その後、岸田総理は「(旧統一教会の問題は)組織性、悪質性、継続性が明らか」と述べた。さらに、宗教法人を所管する永岡文科大臣は「質問権」行使を検討する際、被害者弁護団が持っている教団本体や関連団体の民事裁判の資料など情報提供を受けたいとの考えを表明し、解散命令請求の動きに弾みがついたとの印象だ。

   また、旧統一教会をめぐり、 自民、立憲、維新の3党の国対委員長はきょう国会内で会談し、▽悪質献金などによる被害救済のための与野党協議会の設置や、▽救済法案を与野党で作成し、今の国会での成立を目指すことで合意した。早ければ今週中にも協議会をスタートさせる(TBSニュースWeb版)。

   質問権を使った旧統一教会への調査は今後、専門家会議が開かれ、どのような質問をするかなど内容が決まり、調査スタッフが調べを開始する段取り。ここで教会の違法性が確認された場合に裁判所へ解散命令を請求する。裁判所によってその違法性が認められれば宗教法人格が剥奪される。正体を隠した勧誘やマインドコントロールによる献金強要など教団の不法行為がようやく白日の下にさらされる。審判が下るときが来た。

⇒19日(水)夜・金沢の天気    はれ