⇒ニュース走査

☆能登の断水1万戸で自衛隊派遣 過疎化問題の深刻度

☆能登の断水1万戸で自衛隊派遣 過疎化問題の深刻度

   10年に一度という記録的な寒波の影響で石川県内では生活インフラに重大な障害が起きている。メディア各社の報道によると。能登方面の5つの市と町で水道管の凍結や破裂が相次いでいて、1万戸世帯余りが断水となっている(28日付・NHKニュースWeb版)。

   マイナス気温が連日続くと、水道管の中の水が凍結し膨張することで水道管が部分的に破裂。気温上昇によって氷が水分となって、破損個所から漏水が起きる。漏水が広範囲で起きると、上水道の水を蓄えておく「配水池」の水が急減して、今度は地域全体が断水になる。冬場の断水はよく起きるが1万戸余りにも及ぶと、これは広域的な災害だ。

   県庁は自衛隊に災害派遣の要請を行った。陸上自衛隊金沢駐屯地の公式ツイッターに掲載されている=写真=。「 陸上自衛隊第10師団第14普通科連隊は、令和5年1月27日(金)21時40分、石川県知事の災害派遣要請を受理し、輪島市で発生した水道管凍結に伴う給水支援のため、28日(土)午前5時30分、部隊を派遣しました」。たまたま、陸上自衛隊の災害救助の動き調べようとネットで検索して、自衛隊がツイッターを使っていることを知った次第。おそらく若手の隊員獲得のためのツールの一つなのだろう。

   断水は輪島市だけでなく、かほく市や羽咋市、七尾市、宝達志水町など能登方面に集中している。2018年1月にも1万世帯におよぶ断水が能登を中心にあった。なぜ、能登で断水が問題となるのか。指摘されるのは空き家での断水問題だ。能登の場合、集落で共同運営している配水池から水道水をひく場合が多い。空き家で水道管が破裂しても気付かないため、漏水が続き、配水池の供給が追いつかなくなったことで被害が拡大するのだ。

   水道業者がメンテに回っても、水道管が雪に埋もれていると漏水している箇所が確認できないという問題もあり復旧は簡単ではない。さらに、水道管として使われる塩化ビニール管は最近のものは氷の膨張に強いものの、築年数を経ている空き家では旧型が多く、破損しやすいことも指摘されている。

   断水被害が起きないようにするために、行政は住民に対して水道の蛇口から少し水を出し放っぱなしにして水道管の凍結や破裂を防ぐよう有線放送などで呼び掛けているが、空き家ではこうした対策が取られないという現状がある。報道によると、同じ日本海の新潟県佐渡島でも全2万4千世帯のうち5割以上の1万3000世帯で断水や減水が起きている。断水問題はまさに過疎化問題なのだ。

⇒28日(土)夜・金沢の天気     ゆき

★寒々しい森発言 ウクライナ侵攻で岸田批判のそもそも

★寒々しい森発言 ウクライナ侵攻で岸田批判のそもそも

   国連憲章違反であるにもかかわらず偽旗を掲げてウクライナに侵攻し、国連安保理を拒否権で機能不全に落とし込んでいるロシアに対して世界の多くの国々が疑心暗鬼になっている。これまで中立を掲げてきた北欧のスウェーデンやフィンランドでさえ、NATOの加盟を申請している。ウクライナには負けてほしくないという世界の動向が顕著になっている。

          NHKニュースWeb版(25日付)によると、アメリカのバイデン大統領は25日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対して、アメリカの主力戦車「エイブラムス」31両を供与すると発表した。また、ドイツ政府も、ドイツ製の戦車「レオパルト2」を供与すると発表した。レオパルト2を保有してポーランドやフィンランドなどもウクライナへの戦車供与を表明した。

   現在ウクライナ側が地上戦で使っている戦車は旧ソ連製で、消耗が激しく、砲弾も枯渇気味という。今回、アメリカとドイツが供与する戦車は火砲や機動力面で性能が高く、弾薬補給や修理を継続的に受けられるなどメリットがある(26日付・読売新聞)。日本は軍事支援を行っていないが、越冬のための発電機262台を供与するなど人道や復旧・復興、財政支援を中心に13億㌦の支援を表明している(総理官邸公式サイト「日本はウクライナと共にあります」)。

   こうした欧米や日本のウクライナ支援の動きと裏腹に、気になったのが森喜朗元総理の発言だ。メディア各社の報道によると、東京都内で25日に「日印協会創立120周年記念レセプション」があった。会長に就任した菅義偉前総理があいさつ。岸田総理も来場してあいさつなどして10分ほどで帰った。その後、あいさつに立った森氏はウクライナを支援する日本政府の対応を疑問視し、「こんなにウクライナに力を入れてしまって良いのか。ロシアが負けることは、まず考えられない」と述べた。さらに、「せっかく(日露関係を)積み立てて、ここまで来ている」として、ウクライナに肩入れしすぎれば日露関係が崩壊しかねないとの認識を示した(25日付・共同通信Web版)。

   さらに、「ロシアが負けるってことはまず考えられない。そういう事態になればもっと大変なことが起きる。そういうときに日本がやっぱり大事な役割をしなきゃならん。それが日本の仕事だと思います」(同・朝日新聞Web版)

   森氏の発言は地元・石川県では理解できないことでもない。森氏の父親の故・茂喜氏はロシアのソ連時代に交流関係を築いた先駆者で、町長を務めた根上町(現・能美市)はシェレホフ市と姉妹都市関係を結んだ。茂喜氏の遺言で同市に墓が造られ、森氏が総理だった2001年3月にはイルクーツクで日露首脳会談を行い、当時のプーチン大統領とともに墓参している。父の遺志を引き継ぎ、ロシアとは浅からぬ縁がある森氏はプーチン氏と昵懇の仲と評されている。

   なので、ウクライナ侵攻が勃発したとき、森氏はプーチン大統領を諫(いさ)めに行くべきではないかと地元ではささやかれていた。それもなく、今ごろになって立ち去る岸田総理の背中に向けて石を投げるような今回の発言だ。そして、もしロシアが敗北することになれば、助けるのが「日本の仕事」とまで述べている。実に違和感がある。寒々しい森発言、また物議かもすかもしれない。

⇒27日(金)午前・金沢の天気    くもり   

☆「中国 人口減」は「一人っ子政策」のツケなのか

☆「中国 人口減」は「一人っ子政策」のツケなのか

    最近のニュースで何かと中国が取り上げられている。きょうは「中国 人口減」の見出しが新聞一面のトップを飾っている=写真=。記事によると、中国の国家統計局は17日、2022年末時点の人口は14億1175万人で、前年から85万人減少したと発表した。人口減少は1961年以来、61年ぶりとなる。その主な要因は出生数の低下だ。2022年の出生数は956万人と、前年から107万人減少した。これは一時的な現象ではない。2014年の出生数は1904万人だったので、この8年間で1000万人近く減少したことになる。

   もともと中国は1979年から「一人っ子政策」をしいて人口抑制を図っていたが、2016年に2人目、2021年に3人目の出産を認めた。それでも少子化に歯止めがかからないようだ。長く続いた一人っ子政策によって、中国にはいろいろな現象が起きているのではないだろうか。

   2012年8月に中国の浙江省を訪れたときに、中国人の女性ガイドから聞いた話だ。当時、中国は地方でもマンション建設ラッシュだった。ガイド嬢に「なぜ地方でこんなにマンションが建っているのか、ニーズはあるのか」と尋ねた。すると、「日本でも結婚の3高があるように、中国でも女性の結婚条件があります」と。1つにマンション、2つに乗用車、そして3つ目が礼金、だと。礼金にもランクがあって、基本的にめでたい「8」の数字。つまり、8万元、18万元、88万元となる。こうした3高をそろえるとなると男性は大変、との話だった。

   その3高の背景には「一人っ子政策」がある。中国では、男子を尊ぶ価値観があり、性別判定検査で女子とわかったら人工中絶するケースが横行していた。その結果、出生の男子の比率は女子より高くなる。これが、結婚適齢期を迎えると、女性は引く手あまたとなり、3高をもたらす。一方で、男性は「剰男」(売れ残りの男)と称される結婚難が社会問題にもなっている。

   さらに、結婚した男女には「子は一人で十分」という考えが浸透している。日本では「若者の低欲望化」などと称されているが、中国でも物質的な満足ではなく、こだわりを重視するステージに入っている。その典型的な事例が「教育熱」だ。子どもの教育に時間と金をかけるので、「子は一人で十分」という発想になっていく。

   なので、政府から「どうぞ、自由に産んでください」と言われてもそう簡単ではない。さらに、「6つのポケットを持つ小皇帝」と呼ばれて育った人たち、つまり、両親と父方母方それぞれの祖父母の計6人にかわいがられて育った「一人っ子」たちが大人になって、今度は年老いた両親や祖父母の世話を背負うことの負担は重いに違いない。メディアでは報じられていないが、一人っ子政策に起因する問題は山積しているだろう。

⇒18日(水)夜・金沢の天気   くもり時々あめ

★安倍氏銃撃事件を振り返る ~下~

★安倍氏銃撃事件を振り返る ~下~

   安倍氏銃撃事件の後、山上被告が恨みを抱いたという世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による高額献金がメディアの報道で浮上し、今月5日には不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)が施行された。被告の公判が始まってもいないのに、急テンポで立法化が進んだ背景には、旧統一教会の献金問題の根深さがあったからだろう。そのキーワードとなったのが、「宗教2世」だった。

      高額献金をめぐる旧統一教会の「深い闇」

   参院消費者問題特別委員会(2022年12月9日)で参考人質疑が行われ、宗教2世の女性が訴えた。以下、朝日新聞Web版(同日付)の意見陳述の中から抜粋。「これだけ悪質な団体が活動の一時停止もなく、税制優遇を受けていることはあってはならない」「両親が親戚中を勧誘したり、お金を要求したり、そのことで怒られているところも見てきました。また、高校生から始めた5年間のアルバイト代200万円ほどの給与も没収され、一度も返ってきませんでした」

   「礼拝ではサタンや天国地獄を使って脅す教育を受けます。私は18歳の頃、統一教会の公職者からセクハラを受け、その理由はあなたに悪霊がついているからだと言われて韓国の清平に除霊をしに行きますが、そこで精神崩壊する信者さんたちを複数見て自分も精神が崩壊して精神疾患を負い、精神病棟に入院しました。退院後も、うつ症状とパニックを起こして救急車で複数回運ばれました。またもう一度入院もしました。そんな中、両親は協会活動を平然と続け、当時体調を崩し引きこもっていた私のことを家にお金も入れないでいつになったら働いてくれるのかと、お金のアテにしか思われていなかったことを知り、限界を感じ、家を出た後に脱会しました」

   信教の自由という名目の搾取、ネグレクト、信仰的強制を宗教2世が強いられていたことが実によく分かる。この宗教団体の信者の家庭内ではこのような事例が数多く報告されている。

   多額の献金は韓国の本部に集められた。それはどこに流れたのか。「文藝春秋」(2023年1月号)は「北朝鮮ミサイル開発を支える旧統一教会マネー4500億円」の見出しで報じている。旧統一教会と北朝鮮の接近を観察していたアメリカ国防総省の情報局(DIA)のリポートの一部が機密解除され、韓国在住ジャーナリストの柳錫氏が記事を書いている。以下、記事の要約。旧統一教会の文鮮明教祖は1991年12月に北朝鮮を訪れ、金日成主席とトップ会談をした見返りとして4500億円を寄贈していた。寄贈は現金での手渡しのほかに、旧統一教会がアメリカ・ペンシルベニア州で保有していた不動産の一部を売却し、300万㌦を中国、香港経由で北朝鮮に流れている。

   旧統一教会から北朝鮮に流れた資金はそれだけではない。教会日本本部運営局の2007年の資料では、教会の関連団体を通じて、毎月4000万円から4800万円の資金が北朝鮮に定期的に送金されたと記されている、という。こうした資金が北朝鮮で核やICBMの開発に使われた可能性があると、多くの証言や資料をもとに分析している。

   その一つとして、DIA報告書では、1994年1月にロシアから北朝鮮にミサイル発射装置が付いたままの潜水艦が売却された事例がある。売却を仲介したのが東京・杉並区にあった貿易会社だった。潜水艦を「鉄くず」と偽って申告して取引を成立させていた。韓国の国防部は2016年8月の国会報告で、北朝鮮が打ち上げたSLBM潜水艦発射型弾道ミサイルは北朝鮮に渡った「鉄くず」潜水艦が開発の元になっていたと明かした。この貿易会社の従業員は全員が旧統一教会の合同結婚式に出席した信者だった。

   山上被告はこれからの裁判で殺人と銃刀法違反の罪で裁きを受けることになるが、高額献金をめぐる旧統一教会の「深い闇」も断罪してほしい。断罪がなければまた繰り返される。

⇒15日(日)午後・金沢の天気   くもり時々あめ 

☆安倍氏銃撃事件を振り返る ~上~

☆安倍氏銃撃事件を振り返る ~上~

   去年7月8日、奈良市で街頭演説中の安倍元総理を銃で撃ったとして逮捕された山上徹也容疑者が殺人と銃刀法違反の罪で13日付で起訴された。今後、裁判員裁判で審理されることになる。母親が世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)へ高額な献金をしたことから家庭が崩壊し、恨みを募らせたことが事件の発端とされるが、その動機の解明が裁判の焦点となってくるだろう。

            一発目の銃声でなぜ安倍氏の身を守る警察の行動がなかったのか

   メディアを通じて事件に注目していて、いまでも解せない点がある。安倍氏は命を落とすべくして落としたのだろうか。簡単に言えば、なぜ防げなかったのか。事件は衆人環視の中で起きた。

   奈良市の大和西大寺駅前の交差点で安倍氏は候補者とともに立っていた。この場所はガードレールに囲まれていて、警視庁のSP1人を含む4人の警察官が警備にあたっていた。SPは安倍氏を見ながら、前方の大勢の聴衆を警戒していた。2人の警察官は安倍氏の目線と同じ方向にいる聴衆を警戒していた。つまり、傍らにいた3人が会場前方を中心に警備していたことになる。そしてもう1人の警察官は主に安倍氏の後方の警戒にあたっていた。

   以下、朝日新聞社会面(2022年7月17日付)の記事を引用する。最初、山上被告と安倍氏の直線距離は約15㍍だった。その後、安倍氏の背後に回り込むように歩いて車道を横断。ショルダーバッグの中から手製の銃を取りだし、約8㍍の距離から発砲した。周囲の人たちが大きな音に身をすくめる中、被告は白煙の上がる銃を手にし、さらに5歩前進。2.7秒後に、背後約5㍍から2発目を撃った。銃音の方を振り向くような動きを見せていた安倍氏は身をかがめるようにして倒れた。被告は直後、車道上で取り押さえられた。

   ここで理解できないのは、背後8㍍まで近づいて発砲し、さらに5歩進み、2.7秒後に2発目を発射している点だ。その間、SPと警察官の4人は何をしていたのか。事件の警備をめぐっては、警察庁が立ち上げたチームが検証を行い、後方の警備が不十分となり襲撃を防げなかったことなど問題点を明らかにしている。ならば、どのような点が不十分だったのか、とくに一発目と二発目の2.7秒で何をしていたのか。

   ネットに上がっている関連動画やテレビを見ると、一発目の後、安倍氏に覆いかぶさるなど警護対象者の身を守るような行動は確認できない。警察は常に容疑者の身柄の確保を最優先に考えていて、一発目の砲音と同時に犯人捜しに視線が注がれ、安倍氏をガードする行動が遅れた。5歩、2.7秒の二発目はまさに警備の死角を突いたのだろう。警察とすれば、オレたちはガードマンではない、犯人逮捕が仕事だ、との発想が根底にあるのだろうか。8月25日、警察庁長官は検証結果と警護の見直し策をまとめた報告書を公表した後に自らの責任を認め辞職している。

⇒14日(土)夜・金沢の天気   あめ

★歩み寄り、面目躍如、ニュースの「雪中四友」

★歩み寄り、面目躍如、ニュースの「雪中四友」

   金沢は朝からほんわかとしたまるで春の雰囲気が漂っている。天気予報によると、日中の最高気温は金沢で18度と平年よりも10度ほど高く、4月中旬並みの暖かさになるようだ。クリスマス寒波で30㌢余り積もった庭の雪もすっかり解け、ロウバイの花が咲いている=写真=。「雪中四友(せっちゅうしゆう)」という言葉がある。冬のこの季節に咲く4つの花、ロウバイ、ウメ、サザンカ、スイセンのこと。

   寒々しいニュースが続く中、「雪中四友」のような心がほんわかとするニュースもある。大阪・ミナミを流れる道頓堀川に絶滅危惧種のニホンウナギが生息していることがわかった。府立環境農林水産総合研究所などが去年11月、はえ縄などウナギを捕まえるための仕掛けを設置し、体長30㌢から60㌢ほどの11匹を見つけた。ニホンウナギは肉食で、ミミズやザリガニなど様々なものを食べるので、水質が改善されてニホンウナギが生きていける生態系が道頓堀川の中で成り立っているということになる。同川での学術調査による正式な捕獲記録としては初めてという(今月10日付・朝日新聞Web版)。道頓堀のニホンウナギ。新たな観光名所に。

   太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の解決策を話し合う韓国政府主催の公開討論会で、韓国外務省のソ・ミンジョン(徐旻廷)アジア太平洋局長は、裁判で賠償を命じられた日本企業に代わって韓国政府の傘下にある既存の財団が原告への支払いを行う案を軸に検討していることを明らかにした。ソ局長はこれまでの官民合同の協議会での議論で、▽被告となった日本企業による賠償や日本側の謝罪を期待するのは難しいという意見、▽第三者が原告への支払いを肩代わりすることも可能だという指摘があったと説明した(12日付・NHKニュースWeb版)。日本政府は、賠償の問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。韓国側の財団による肩代わり案は、両国の歩み寄り外交の一歩をもたらすかもしれない。

   G7の議長国として欧米のメンバー国を歴訪している岸田総理は日本時間の11日に3つめの訪問先のイギリスでスナク首相と日英両国での安全保障協力などについて首脳会談を行った。会談後、自衛隊とイギリス軍が共同訓練を行う際の「日英円滑化協定」に署名した。12日にカナダでトルドー首相と会談。13日からアメリカ・ワシントンに入り、バイデン大統領との日米首脳会談に臨む(12日付・NHKニュースWeb版)。元外務大臣だけあって、安全保障をテーマに外交をさらりとこなし、面目躍如か。

⇒13日(金)午後・金沢の天気     くもり

☆国会議員めぐる「大捕り物」か「いたちごっこ」か

☆国会議員めぐる「大捕り物」か「いたちごっこ」か

         国会議員には毎月給与が129万円、そして300万円以上のボーナスが年に2回支給される。「第二の財布」もある。給与とは別に月額100万円の「調査研究広報滞在費」が支給される。領収書は不要で、使途報告や残金返還の義務はない。さらに、「第三の財布」もある。「立法事務費」は議員個人ではなく会派に所属議員の人数に応じて支給される。月額は議員一人当たり65万円。これも領収書の提出や使途報告の必要はない。議席で寝ていても、欠席しても年間4200万円余りが支給される。

    共同通信Web版(12日付)によると、インターネットの動画投稿サイトで複数の著名人を中傷、脅迫するなどしたとして、警視庁は11日、暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損、威力業務妨害などの疑いで、NHK党のガーシー(本名・東谷義和)参院議員の関係先を家宅捜索した。ガーシー氏は去年7月10日の参院選でNHK党から全国比例区で立候補して初当選したが、アラブ首長国連邦のドバイなどに滞在して国会に登院していない。(※写真は参院本会議場)

   朝日新聞Web版(2022年7月15日付)によると、ガーシー氏は知人女性から計約4千万円を集めた詐欺疑惑などがSNSで露見、以降、ドバイからオンラインで選挙に臨んでいた。朝日新聞ドバイ支局の取材に、帰国すれば詐欺容疑などで警察に逮捕される可能性があるなどとし、帰国に慎重な考えを示していた。

   そのガーシー氏はきょう午後4時半すぎから、自らのインスタグラムで生配信を行った、NHKニュースWeb版(12日付)によると、ガーシー氏は「通常国会に出るつもりだったので、3月上旬に帰国し、国会にも登院する」と述べた。さらに、「警視庁の任意の事情聴取にも応じる。警察には徹底的にボディーガードをお願いしたい。愉快犯などもいるので『帰る』と宣言した以上、そこは絶対に守ってもらわないといけない」と。

   以下は憶測だ。国会議員には国会会期中に限られているものの、不逮捕特権(憲法第50条)がある。ということは、3月の国会会期中に帰国し登院。警視庁の事情聴取にも応じる。が、閉会間際にまたドバイに帰るのではないか。これを繰り返せば、当面逮捕されることはない。ガサ入れ(家宅捜索)を行った警視庁の本気度、そして議員の不逮捕特権は今後、大捕り物劇へと展開するのか、あるいは「いたちごっこ」に終わるのか注目したい。

⇒12日(木)夜・金沢の天気    はれ

★「呆け封じ」か「呆けた者勝ち」か

★「呆け封じ」か「呆けた者勝ち」か

   これがアルツハイマー病の画期的な治療薬になるのだろうか。メディア各社は7日、アメリカのFDA(食品医薬品局)が日本のエーザイとアメリカの医薬品バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の治療薬「LEQEMBI(レカネマブ)」に対して、「迅速承認」と呼ばれる特例的な承認を行ったと報じた。エーザイ公式サイト(7日付)によると、臨床試験でこの新薬を投与したグループと偽薬のグループを比較し、レカネマブのグループでは記憶や判断力などの症状の悪化が27%抑制された。特例承認の条件となっている最終段階の治験データをもとに速やかに完全な承認申請を行う。日本やヨーロッパでも承認申請を行う。

   アルツハイマー病は、脳内に異常なタンパク質「アミロイドβ 」が蓄積することで神経細胞が傷つき、記憶力や判断力などが低下するとされる。これまでの治療薬は症状の一時的な改善を促すものだが、レカネマブは脳内のアミロイドβ そのものを除去することで病気の進行を長期的に遅らせる。治療薬の効果が表れるのは軽度認知障害の段階での投薬で、早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータは取っていない。2週間に1回、体重に応じた点滴を施すことになる。価格は、体重75㌔の患者に換算して1人当たり年間2万6500㌦ (1㌦132円換算で350万円)と設定している(エーザイ公式サイト)。

   エーザイとバイオジェンは2021年6月にも同じタイプの治療薬「ADUHELM(アデュカヌマブ)」を開発。FDAに承認されたものの、価格が高いことや有効性への疑問などからアメリカでは高齢者向け保険が適用されなかった。日本の厚労省も、効果が明確に判断できないとして承認を見送っていた。以下推測だ。今回のレカネマブはアデュカヌマブよりアミロイドβ の除去により特化した治療薬なのだろう。アデュカヌマブは4週間に1回の点滴に対し、レカネマブは2週間に1回と投与頻度を高めている。さらに、価格に関してもアデュカヌマブは年間コストは5万6000㌦なので、レカネマブは半値以下に抑えている。商品化に対する企業の熱意というものを感じる。

   超高齢化社会といわれるこの世の中で、「呆け封じ」の妙薬となるのか。一方で、「呆けた者勝ち」という言葉がある。頭脳は普通に動いているが、寝たきりとなり食事や入浴、排泄の介護を受ける自分の姿を見て何を思うだろうか。むしろ、家族や周囲との人間関係のしがらみを記憶から一切消し、家族に面倒や世話をかけていると認識もせずに、その日を暮らしていければ、それで十分ではないか。「呆けた者勝ち」とはそういう意味だろう。アルツハイマー病の治療薬レカネマブのニュースを見て、そんなことを考えてしまった。

⇒8日(日)夜・金沢の天気    くもり

☆プラごみ国際条約動き出す 日本海に必要な汚染対策条約

☆プラごみ国際条約動き出す 日本海に必要な汚染対策条約

   プラスチックごみによる汚染問題は世界各地で深刻化している。排出や廃棄を規制する国際条約づくりがようやく動き出した。朝日新聞Web版(7日付)によると、去年3月の国連環境総会で、2024年内に法的拘束力のある汚染対策条約をつくる方針で合意。11月から12月に各国政府代表がウルグアイに集まり、第1回の交渉会合を行った。ことしは5月の第2回で条約に盛り込む内容の議論を始め、11月に第3回を開く。ことし中に法的拘束力のある枠組みをつくる方針で、2025年以降に条約を採択する予定という。

   これまでの交渉で、プラごみの削減だけでなく、プラスチックの生産から廃棄までのライフサイクル全体で削減に取り組む方向で一致している。削減に向けた国別行動計画を作る方針で、対策に必要な資金の仕組みづくりも協議する、という(7日付・朝日新聞Web版)。

   以下は日本海側に住む一人としての希望だ。対岸国の不法投棄をどう解決すればよいか、そうした条約の枠組みも併せてつくってほしい。たとえば、「地中海の汚染対策条約」とも呼ばれるバルセロナ条約は21ヵ国とEUが締約国として1978年に発効している。日本海にも沿岸各国との汚染対策条約が必要ではないだろうか。

   データがある。石川県廃棄物対策課の調査(2017年2月27日-3月2日)で、県内の14の市町の海岸で合計962個のポリタンクを回収した。そのうちの57%に当たる549個にハングル文字が書かれ、373個は文字不明、27個は英語、10個は中国語、日本語は3個だった。沿岸に流れ着くのはポリタンクだけではない。漁具や漁網、ロープ、ペットボトルなど、じつに多様なプラごみが漂着する。去年はロシア製の針つきの注射器が大量に流れ着いて全国ニュースになった。医療系廃棄物の不法投棄は国際問題だ。

   大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し、山陰や北陸など日本の沿岸に流れてくる=写真・上=。とくに能登半島は突き出ているため、近隣国の漂着ゴミのたまり場になりやすい。2021年の奥能登国際芸術祭の作品づくりのため能登を訪れたインドの作家スボード・グプタ氏は能登の海岸に大量の海洋ごみが漂着していることに驚き、地域の人たちの協力でごみを拾い集めて作品を創った=写真・下=。作品名「Think about me(私のこと考えて)」。大きなバケツがひっくり返され、海の漂着物がどっと捨てられるというイメージだ。日本海の汚染対策条約が今こそ必用だと実感している。

⇒7日(土)午前・金沢の天気    くもり  

☆コロナ感染の実態伝えない中国 世界の不信感は募る

☆コロナ感染の実態伝えない中国 世界の不信感は募る

   WHOは中国に対して、新型コロナウイルス感染が拡大しているにもかかわらず、死者数などを過少に報告していることに苛立っている。WHO公式サイト(4日付)によると、WHO担当者が先月30日、感染者の入院やワクチン接種などのデータを定期的に共有するよう中国側に要請。中国と国際社会の医療の効果的な対応のためにもデータ公表が重要だと強調していた。にもかかわらず、中国側は真摯に対応しようとしていない。

   テドロス事務局長の記者会見(今月4日)からもその様子がうかがえる。「WHO is concerned about the risk to life in China and has reiterated the importance of vaccination, including booster doses, to protect against hospitalization, severe disease, and death.(意訳:WHOは、中国での生命に対するリスクを懸念しており、入院、重症疾患、死亡から保護するために、追加接種を含むワクチン接種の重要性を繰り返し表明している)」(WHO公式サイト)

   なぜ中国は正確な数字を把握して世界に公表しないのか。世界各国は不信の念を抱かざるを得なくなる。さらに、中国国家衛生健康委員会は先月25日、感染者と死者の人数公表を同日から取りやめた(同25日付・時事通信Web版)。これを契機に世界各国は水際対策を取ることになる。中国では今月21日から旧正月・春節の大型連休が始まり、中国から観光の渡航者が増えるからだ。

   日本は先月30日から水際対策を実施。今月8日からは精度の高いPCR検査や抗原定量検査に切り替える。韓国と台湾、フランス、イタリアもすでに入国時の検査。アメリカとイギリス、カナダ、オーストラリアはきょう5日から実施している。EUは加盟国に対して、中国渡航者から出発前の陰性証明の提示を求めることを勧告している。

   こうした各国の水際措置に対して、中国は反発している。BBCニュースWeb版日本語(12月29日付)=写真=によると、中国外務省の汪文斌報道官は記者会見(同28日)で、中国の感染状況について西側諸国とメディアが誇張し、ねじまげて伝えていると非難。「コロナ対応は科学的根拠に基づいた、適切なものであるべきで、人的交流に影響をおよぼしてはならない」「安全な越境移動を確保し、世界の産業サプライチェーンの安定性を維持し、経済の回復と成長を促進するための共同努力が必要だ」と述べた。

   述べている内容には間違いはないものの、数字をねじまげて伝えたのは中国側であり、数字の公表を取りやめたことに世界は不信感を抱いている。2020年の春節で中国が行動制限をしなかったことから、パンデミックが拡大した。世界各国はそのことを教訓として警戒している。

⇒5日(木)夜・金沢の天気    くもり