⇒ニュース走査

☆元徴用工賠償 韓国政府は「解決策」だけで済むのか

☆元徴用工賠償 韓国政府は「解決策」だけで済むのか

   これまで隣の国のニュースをチェックしていて違和感があった。韓国政府はいわゆる元徴用工訴訟で、2018年10月に韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる判決を出して以降、当時の文在寅大統領が「三権分立」を言い始め、司法の判断を尊重すると言い続けてきた。三権分立は司法、行政、立法の3権で相互に抑制を効かせ、権力の集中を防ぐことで国民の自由と権利を確保する民主主義のシステムだ。決して政治的に利用するものではない。その韓国政府が今の尹錫悦大統領になって、ようやく本来の三権分立の姿に戻ってきたようだ。

   NHKニュースWeb版によると、韓国の朴振外相はきょう6日午前11時半からの記者会見で、元徴用工訴訟をめぐる問題で韓国政府がまとめた解決策を発表した。それによると、韓国最高裁の判決で賠償を命じられた日本企業に代わって、韓国政府の傘下にある既存の「日帝強制動員被害者支援財団」が原告への支払いを行う。財源は「民間の自発的な貢献などを通じて準備する」としていて、韓国企業などの寄付で賄う見通し。

   朴外相は、原告の高齢化に加えて、判決の確定後、日本政府による輸出管理の厳格化や、日本との軍事情報包括保護協定=GSOMIAなどをめぐって対立が深まったことを踏まえ、「冷え込んだ韓国と日本の関係は事実上放置されてきた。今後は両国の関係を未来志向的により高いレベルに発展させていきたい」と強調した(同)。

   朝鮮戦争(1950-53年)で壊滅的な打撃をうけた韓国が、1965年の日韓請求権・経済協力協定で、互いに未払いの賃金など個人の財産・請求権問題について「完全かつ最終的に解決された」(第2条)と確認し、日本は5億㌦(無償3億㌦、借款2億㌦)の供与を行った。無償分だけでも当時の韓国の国家予算に匹敵する巨額の支援であり、その後「漢江の奇跡」と呼ばれた韓国経済の成長を支えることになる。ところが、元徴用工らは当時の日本の経済協力は少なかったなどと主張して、協定で元徴用工の請求権は解決されていないと訴え、冒頭の韓国最高裁の判決となった。それを韓国政府は三権分立の理念と称して、司法判断を尊重するという流れになっていく。

   国家と国家の約束を反故にして司法判断を尊重するのであれば、外交も国際条約も必要ない。この際、尹大統領は最高裁の司法判断は国際法上、誤りだったと表明すべきではないだろうか。韓国政府が未来志向で日本の信頼を得るには、賠償の肩代わりだけでなく、そのくらいのことをすべきだ。日本と韓国の有り様が「ちゃぶ台返し」とまで言われほど、信頼関係が失墜している。

⇒6日(月)夜・金沢の天気     はれ

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

   北朝鮮がきょうも弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省公式サイト(20日付)によると、午前6時59分ごろに弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約100㌔で、400㌔ほど飛翔。さらに、午前7時10分ごろにも1発を発射した。最高高度は約50㌔で、350㌔ほど飛翔した。いずれも日本海のEEZの外側に落下した=図は防衛省公式サイトより=。

   そして異例のこともあった。韓国の中央日報Web版(同)よると、きょう発射の2時間後の午前9時に、北朝鮮の朝鮮中央テレビの放送で、アナウンサーが「20日朝7時、放射砲射撃訓練を行った」とミサイル発射を速報した。 さらに正午には、今回発射したミサイルの写真も公開。ミサイル発射の直後に写真などを公表するのは異例だ。

   また、北朝鮮の朝鮮中央通信(20日付)は、戦術核を搭載可能な「600㍉放射砲」2発を発射する訓練を行ったと発表した。北朝鮮は新年早々に弾道ミサイル1発を発射。前日の12月31日にも弾道ミサイル3発を日本海に向け発射している。国営メディアは、いずれも「超大型ロケット砲」だったと伝えた。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(1月1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示した。

   そして、北朝鮮は今月18日にICBM「火星15」を北海道の西200㌔のEEZ内に落下させた。これに対抗し、アメリカと韓国は19日、戦略爆撃機やステスル戦闘機による合同空中訓練を実施した。

   さらに北朝鮮は反発。金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は20日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で「最近、朝鮮半島でアメリカ軍の戦略的な打撃手段の動きが活発になっている」と指摘。「わが国の安全に直接・間接的な懸念があると判断される時には相応の対応に乗り出す」と警告した。また「情勢を激化させる狂信者にその代価を支払わせる意志に変わりがないことを今一度確言する」と威嚇した(20日付・韓国聯合ニュースWeb版日本語)。米韓と北朝鮮の威嚇争いは、とめどなくエスカレートしている。

⇒20日(月)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆朝鮮半島の争乱は対岸の火事なのか

☆朝鮮半島の争乱は対岸の火事なのか

   前回ブログの続き。共同通信Web版(19日付)によると、北朝鮮メディアは19日、新設組織とみられる「ミサイル総局」傘下の大陸間弾道ミサイル(ICBM)運用部隊が18日午後にICBM「火星15」の抜き打ちの発射訓練を首都平壌の平壌国際空港で実施したと伝えた。この訓練で「われわれの強力な物理的核抑止力の信頼性」を証明したとしている。金正恩党総書記は訓練に立ち会わなかった。この記事から読み取れることは、アメリカに対してICBMは実戦配備済みだと強調したかったのだろう。

   その狙いは、アメリカと韓国が来月実施する合同軍事訓練に対する威嚇にあるようだ。共同通信Web版(17日付)によると、韓国国防省は17日、北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対応を目的とした、米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を3月中旬に11日間連続で実施し、期間中に大規模な野外機動訓練も行うと発表した。また、韓国ハンギョレ新聞Web版日本語(19日付)は、演習はコンピューターシミュレーションを通じて北朝鮮の核実験と軍事的挑発を想定して合同防衛態勢を点検するものだが、両国は演習期間中に師団級の合同上陸訓練と20余りの米韓連合の野外機動訓練なども行う、と報じている。

   米韓の合同演習に対し北朝鮮外務省は17日に「持続的で前例のない強力な対応に直面することになる」と警告する報道官談話を出していた(18日付・朝日新聞Web版)。この談話の延長線上にきのうのICBM発射があったのだ。このまま朝鮮半島の緊張がさらに激化するとどうなるのか。

   以下、憶測だ。アメリカは北朝鮮を「テロ支援国家」や「ならずもの国家(rogue state)」と敵対視している。去年の米韓の合同軍事演習では野外機動訓練(8月)が4年ぶりに再開されるなど実に念入りだった。9月と10月には米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した海上機動訓練、11月にはステルス戦闘機と称されるアメリカの戦略爆撃機「B1B」が朝鮮半島周辺の上空で空中訓練を実施した。朝鮮戦争では休戦協定(1953年7月)が結ばれたものの、現在も戦争状態が継続している。米韓が攻撃とみなせば戦争は再開される。このとき、実施されるのが金総書記に対する斬首(ピンポイント)作戦だろう。

   ただ、戦争となれば対岸の火事ではない。斬首作戦が成功したとしても北朝鮮国内は騒乱状態になり大量の難民が船に乗って逃げ出すだろう。ガソリンが切れたり、エンジンが止まった船の一部はリマン海流、そして対馬暖流に乗って能登半島などに漂着する。無事漂着したとして大量の難民をどう受け入れるのか、武装難民だっているだろう。その影響は計り知れない。日本海側に住むがゆえの胸騒ぎではある。

⇒19日(日)夕・金沢の天気     あめ

☆中国のスパイ気球が飛んで来る 自衛隊はどう対処する

☆中国のスパイ気球が飛んで来る 自衛隊はどう対処する

   中国の偵察気球は日本でも飛んでいる。防衛省公式サイト「過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体について」(14日付)によると、「2019年11月(鹿児島県薩摩川内市など)、2020年6月(仙台市など)及び2021年9月(青森県八戸市)のものを含め、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体について、更なる分析を重ねた結果、当該気球は、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されるとの判断に至りました」「これを受け、本件について、外交ルートを通じて、中国政府に対して、事実関係の確認を求め、今後このような事態が生じないよう強く求めるとともに、外国の無人偵察用気球等による領空侵犯は断じて受け入れられない旨を申し入れました」。

   毎年のようにスパイ気球を飛ばしていたのだ。「気球であっても、我が国の許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となることから、防衛省としては、今後とも、外国政府の無人偵察用気球を含め、気球に対して、これまで以上に情報収集・警戒監視に努めてまいります」と。もし、アメリカが中国の偵察気球を撃墜していなければ、黙認を続けていたのではないか。

   なにしろ、国内では自衛隊のレーダーサイトが能登半島の尖端などで設置されていて、防空識別圏と領空を侵犯する飛行物体に対する警戒監視を行っている。侵犯があった場合は近くの航空自衛隊基地からスクランブル発進がかかる。防衛省が発表しているスクランブル発進の回数は2021年度で1004回に達し、そのうち中国機に対する発進が722回で全体の7割を占め、ロシア機が266回だった(22年4月15日付・読売新聞Web版)。しかし、これまで気球による領空侵犯を公表したケースはなかった。

   気球は国際法上、航空機に位置づけられ、外国の気球が許可なく日本の領空に侵入した場合は領空侵犯に当たり、自衛隊法(第84条)では「必要な措置を講じることができる」と記載されている。浜田防衛大臣は14日の記者会見で、「空対空ミサイルを発射することも含め武器を使用することができる」(14日付・防衛省公式サイト)と述べ、撃墜する可能性を示唆している。

   一方、中国外務省の汪文斌副報道局長は14日の記者会見で「日本が客観的で公正な立場を取り、アメリカに追随して騒ぎ立てないことを希望する」と強調した(15日付・共同通信Web版)。この高圧的な言動は脅しのようにもとれる。

⇒15日(水)午後・金沢の天気    くもり時々ゆき

★「たかが気球」で済まさない アメリカに漂うピリピリ感

★「たかが気球」で済まさない アメリカに漂うピリピリ感

   「たかが気球」と思っていたが、問題がエスカレートして、まるで開戦前夜の様相になってきた。気球は国際法上、航空機に位置づけられ、他国の領空に侵入するのは国際法に基づく領空侵犯となる。ここ10日間の動きを時系列で追ってみる。

   アメリカ軍は現地時間で今月4日午後、軍事施設を偵察する中国軍の気球を南部サウスカロライナ州の沖合の上空でF22ステルス戦闘機から空対空ミサイル1発を発射し、海に撃墜させた。これに対し、中国側は「私たちの気象観測気球がコース外に吹き飛ばされたのは遺憾だ」「アメリカの政治家とメディアは誇張している」「アメリカがこの飛行物体を攻撃したのは国際慣例の深刻な違反だ」などと述べた(6日付・BBCニュースWeb版日本語)。

   アメリカ連邦議会下院は9日、中国の偵察気球がアメリカの主権を侵害したとして中国共産党を非難する決議案を419対0の全会一致で採択した。アメリカ議会では特に共和党から、バイデン政権はアラスカ州沖で気球を発見した時点で撃墜すべきだったと、政権対応を批判する声も高まっているが、下院が一致団結して中国に対する姿勢を明確にしたものとして注目に値する(10日付・JETRO「ビジネス短信」)。

   FBIは回収した気球の残骸の分析を行い、この気球の製造に中国企業など6社が関わっていたと判断し、バイデン政権は10日に6社を禁輸リストに追加した。禁輸リストはアメリカの国家安全保障と外交政策に反する活動に携わる企業や団体が対象となる。

   さらに3日連続の撃墜。アメリカ軍は10日にアラスカ州の上空で「小型車のサイズ」の飛行物体を、11日にカナダ北西部のユーコン準州の上空で「円筒形」の飛行物体を、さらに12日にアメリカとカナダの国境付近にある五大湖の一つ、ヒューロン湖の上空で「八角形の構造」の飛行物体を、それぞれ撃墜している(13日付・BBCニュースWeb版)。アメリカ議会下院で非難決議が採択され、徹底して未確認飛行物体を追撃している。メディアも連日大きく報道している。神経過敏と言えるほどに、だ。

   ここからは憶測だ。幼いころ、父親から聞いた話だ。太平洋戦争で、日本軍はアメリカ本土に「風船爆弾」を飛ばしていた。「ふ号兵器」と称した、気球に掲載した小型爆弾だった。偏西風を利用してアメリカに向けて飛ばし、山火事などを各地で火災を発生させた。当時、日本国内では知られた話だった。父親は陸軍の軍曹で仏印(ベトナム)に進軍していたので、風船爆弾とは直接的な関わりはなかったが、戦友たちから聞いた話として語ってくれた。

   アメリカはベトナム戦争のとき、本土空襲を受けたことは一度もないと言い続けていた。おそらく国内の戦意を高揚させるために、戦争に強い国家を喧伝したのだろう。そのアメリカに軍事施設を偵察する中国軍の気球が飛んでいた。たんなる領空侵犯問題ではなく、まさに国家の威信にかかわる出来事としてバイデン政権をはじめ共和党も受け止めているのかもしれない。そのピリピリとした緊張感が伝わってくる。(※写真は、6日付・ CNNニュースWeb版)

⇒14日(火)夜・金沢の天気    あめ時々ゆき

☆パリ五輪に漂う濃い霧 ロシア選手の参加めぐり

☆パリ五輪に漂う濃い霧 ロシア選手の参加めぐり

    ロシアのウクライナ侵攻は来年のパリオリンピックをも揺るがし始めた。ロイタ-通信Web版日本語(11日付)によると、アメリカ、ドイツ、オーストラリアなど35ヵ国が、2024年のパリ五輪にロシアとベラルーシの選手を出場禁止とするよう要請していることが分かった。

   35ヵ国の担当閣僚によるオンライン会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、ロシアの攻撃によりウクライナの選手やコーチら228人が死亡したと指摘し「テロとオリンピック精神は相反するものであり、両立はできない」と述べた。ウクライナはこれまでロシアやベラルーシの選手がパリ五輪に出場した場合、大会をボイコットすると警告している。   

   同じく会議に参加したイギリスのフレイザー・スポーツ大臣は、ツイッターに「プーチン大統領が野蛮な戦争を続ける限り、ロシアとベラルーシを五輪に参加させてはならないとのイギリスの立場を明確にした」と投稿した。また、北欧諸国の五輪委員会は7日、IOCに書簡を送り、ウクライナ侵攻を続けるロシアと隣国ベラルーシの選手の国際大会出場に反対する姿勢を改めて表明している。

   IOCはウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアとベラルーシの選手について、去年2月、両国の選手や役員を国際大会に招待したり、参加を許可したりしないよう、大会主催者などに勧告していた。今年1月25日の理事会で声明を発表し、「オリンピック憲章ではいかなるアスリートも差別なく扱われる権利を有する。パスポートを理由に競技に参加することが妨げられてはならない」などとして、「自国を代表しない”中立”の立場」「ウクライナでの戦争を積極的に支持していないこと」を条件に選手の復帰を検討することを明らかにしている(1月26日付・NHKニュースWeb版)。

  IOCとすれば、オリンピックとスポーツの政治化に反対するという立場を堅持したいのだろう。一方でロシアのウクラナ侵攻によって、ウクライナの選手やコーチら228人が死亡したことが事実アであれば、スポーツの世界でもロシアは国際社会を敵に回していることに等しい。今後、IOCに対する不信感が強まれば、パリ五輪は濃い霧の中に包まれる。

(※写真は2021年8月8日の東京オリンピック閉会式で映し出された2024年のパリ五輪の映像=NHKテレビ)

⇒12日(日)夜・金沢の天気    くもり

★またケチついた東京オリ・パラ組織委 その構造的な問題

★またケチついた東京オリ・パラ組織委 その構造的な問題

   オリンピックは汚職まみれ。これで札幌冬季五輪は絶望的になった。東京オリ・パラのテスト大会に関連する業務の入札をめぐる談合事件で、組織委員会の元次長や広告大手「電通」の元幹部ら4人が本大会の運営業務などを含めた総額400億円規模の事業を対象に、不正な受注調整を行っていたとして独占禁止法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。東京大会をめぐっては、汚職事件に続いて、今度は談合の疑いで組織委員会の当時の幹部が逮捕される事態となり、一連の事件で電通から逮捕者が出るのは初めて(8日付・NHKニュースWeb版)。

   今回の逮捕は、より金額が大きい本大会の業務の受注を視野にテスト大会の段階から談合していた、との疑いだ。逮捕された元次長は東京都出身で、大手鉄道会社に入社し、2004年に日本陸上競技連盟に転職した人物(同)。

   おそらくこれは構造的な問題だろう。ビッグイベントを仕切ることができる会社は数少ない。電通はその最大手だ。簡単に言えば、すべてを電通任せだったということだ。電通側とすれば、「談合」ではなく「調整」をしていたと釈明するだろう。メディア各社は電通の役割をよく理解しているはずだ。もちろん、この調整によって電通側が多額の利益を得ていたならば明らかな犯罪ではある。

   このニュースで怒っているのは、2030年の冬季五輪誘致を目指している札幌市民だろう。同市の秋元克広市長は「五輪・パラリンピックは極めて公共性の高い大会であり、その運営を担い、公正であるべき組織委職員から逮捕者が出たことで、30年大会招致への影響は避けられないと懸念している。市としてはクリーンな大会運営に向けた見直しを進めていく」とコメントを出した(同・朝日新聞Web版)。

   東京オリ・パラをめぐる一連の事件で国民も嫌気がさしているのではないだろうか。そもそも、大会組織委員会の会長だった森喜朗元総理がJOC臨時評議員会(2021年2月3日)で、「女性がたくさん入っている理事会は、理事会の会議は時間がかかります」「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね」などと発言し、女性蔑視と批判され辞任することになった。ここがケチのつけ始めだった。オリ・パラはもう当分やらなくていい、そう思っている国民は多いのではないか。

⇒8日(水)夜・金沢の天気    くもり

☆トルコ・シリア大地震 ロシアが問われる支援か侵攻か

☆トルコ・シリア大地震 ロシアが問われる支援か侵攻か

   トルコ南東部のシリア国境に近いガジアンテプ市付近で6日未明、マグニチュード7.8の大きな地震があった。トルコやシリアの当局によると、両国で確認された死者は5000人以上(7日現在)に上っている。同日午後にも、近くでM7.5の揺れが起きている。救助活動が続く中、死者は今後さらに増すことが確実視されていて、WHOは死者数はその8倍に上る可能性があるとしている(7日付・BBCニュースWeb版日本語)。

   トルコのエルドアン大統領は同国が「この100年で最も甚大な災害」に直面していると述べた。トルコ当局者によると、国内の少なくとも4ヵ所の空港が被害に遭い、建物6200棟余りが倒壊したという。トルコで登録されているシリア難民370万人の多くも被災した(同・BloombergニュースWeb版日本語)。

   今回の一連の地震はトルコ南東部に延びる「東アナトリア断層」で発生した。北側のアナトリアプレートに向かって、南側のアラビアプレートが北上し、断層にひずみがたまる。アメリカ地質調査所(USGS)の分析では、震源の深さはM7.8の地震が17.9㌔、M7.5の地震は10.0㌔と、比較的浅い所で地震が発生したため、震源近くの地表が激しい揺れに見舞われたとみられる(同・読売新聞Web版)。

    震災への各国の救助支援も始まっている。メディア各社の報道によると、日本政府は6日、国際緊急援助隊75人を派遣することを決め、先遣隊の18人がトルコに向け出発。また、警視庁は7日、特殊救助隊に所属する警察官13人と救助犬4頭を派遣することにした。政府の国際緊急援助隊と現地で合流し、捜索や救助に当たる。アメリカのバイデン大統領は6日、エルドアン大統領と電話会談し哀悼の意を表し、トルコはNATOの同盟国でもあり、捜索活動や救助活動を支援すると同時に医療サービスや救援物資を支援を迅速に行うと述べた。

   そして、ロシアのプーチン大統領はシリアのアサド大統領、およびエルドアンと電話会談を実施し、両国に対し救助隊の派遣を申し出た。ロシア大統領府によると、両国はプーチン氏の申し出を受け入れた(6日付・ロイター通信Web版)。ロシア国防省によると、ロシア軍の300部隊がシリアでがれきを片付け、捜索救助活動を支援している(7日付・CNNニュースWeb版)。

   ロシアにとって、トルコとシリアは同盟国でもある。しかし、トルコは2011年の民主化運動「アラブの春」をきっかけに始まったシリア内戦で反体制派を支援し、アサド政権の打倒を主張してきた。そして、トルコはシリア弾圧から逃れた370万人にも上るイスラム教徒の難民を受け入れてきた。ところが、この難民受け入れが重荷となっていた。そこで、ロシアの仲介で関係改善をはかるため去年12月28日、モスクワでトルコとシリアの双方の国防大臣が顔合わせして、シリアの内戦情勢や難民問題について意見交換を行った。次はエルドアン、アサドの両大統領による対談が模索される中での大地震だった。

   以下は私見だ。プーチン大統領はウクライナ侵攻から撤退して、大地震に見舞われた同盟国のトルコとシリアの救援・復興支援に全力を尽くすべきではないか。侵攻と支援の両立は国力が疲弊するだけだ。この際、いさぎよくウクライナから撤退し、トルコとシリアを支援することで地に落ちたロシアの国際評価も高まるのではないか。

⇒7日(火)夜・金沢の天気     はれ

★米中冷戦の新たな火ダネ 中国「スパイ気球」のてん末は

★米中冷戦の新たな火ダネ 中国「スパイ気球」のてん末は

         それにしても不気味な光景だ。得体の知れない気球が空を飛ぶ。それが、中国のものであると分かれれば、なぜ我々の頭上にあるのかと、なおさらうす気味悪いだろう。CNNニュースWeb版(6日付)によると、アメリカを横断していた中国の偵察気球を、アメリカ軍の戦闘機がサウスカロライナ州の沖合で撃墜した。「Why the Chinese balloon crisis could be a defining moment in the new Cold War」=写真=の見出しで、アメリカ人は初めて北京からの国家安全保障上の挑戦とも言える具体的な現象を経験したと伝えている。

   防衛省によると、気球は国際法上、航空機に位置づけられ、他国の領空に侵入するのは国際法に違反し、領空侵犯にあたるとされる。過去に軍用機や民間機が他国の領空に入ったことで、当事国だけでなく国際社会全体の緊張が高まったこともある(6日付・NHKニュースWeb版)。

   アメリカ側が気球を撃墜したことに対し、中国側は「私たちの気象観測気球がコース外に吹き飛ばされたのは遺憾だ」「アメリカの政治家とメディアは誇張している」「アメリカがこの飛行物体を攻撃したのは国際慣例の深刻な違反だ」などと述べている(6日付・BBCニュースWeb版日本語)。かりに、中国が主張するように気象観測が目的の気球であったとしても、アメリカの領空を通過するときは事前にアメリカ当局に通知して当然だろう。それをしないこと自体が主権侵害に当たるのではないか。

   アメリカ海軍や沿岸警備隊は撃墜した気球の回収に当たっている。気球の破片は回収後、FBIの研究所に移送される見通し(同・CNNニュースWeb版)。回収された画像データなどが分析されれば、気球の偵察目的が鮮明になってくる。米中の緊張がさらに高まる可能性が出てきた。

⇒6日(月)夜・金沢の天気    くもり

★能登の断水に支援 元旦プロスレ知事に忠告

★能登の断水に支援 元旦プロスレ知事に忠告

   前回のブログの続き。寒波の影響で、石川県の能登地方を中心に水道管の凍結や破裂による断水が相次いでいる。NHKニュースWeb版(29日付)によると、一部は復旧したのもの4つの市と町のあわせて9000世帯余りで断水が続いている。全面復旧の見通しはまだ立っていない。

   きょう所用で、220世帯で断水が続く宝達志水町に立ち寄った。同町では空き家320戸について調査しているが、これまでに10数ヵ所で漏水が見つかり、水道の元栓を雪中で探して閉めるなどを措置を行っている。町の施設に「応急給水所」が設けられていた=写真・上=。住民が次々と訪れて、ビニールパックに入った水を受け取っていた。パックには「非常用飲料水 金沢市企業局」と書かれてあるで、金沢市からの支援物資だ。金沢市民の一人としてうれしくなり写真に収めた=写真・中=。

   同町の公式サイトによると、あす30日からエリアを区切って試験通水し、給水再開の準備を進めるようだ。ただ、水道管の洗浄をしながら作業で、試験通水であっても濁り水が発生するので、「トイレには使用できますが、飲めません」と呼びかけている。

   「支援」の次は「忠告」の話。石川県の馳浩知事の後援会が主催する新年互例会が28日、金沢市内で開かれ、馳氏は招いた自民党の萩生田光一政調会長との対談に臨んだ。地元メディア各社のニュースによると、対談は40分にわたって行われ、冒頭で萩生田氏は「会場にリングが作ってあるのではないかと心配した。もうプロレスをやっている場合じゃないですよ」と、馳氏が元日にプロレスリングに上がり参戦したことに言及した。

   去年3月の知事選では、当時経産大臣だった萩生田氏が応援に駆けてつけていて、馳氏は「萩生田大臣は文教政策をともに磨いた同志」と昵懇の仲であることを強調していた。その萩生田氏から「プロレスをやっている場合じゃない」と忠告された。会談後、記者団にも萩生田氏は「地方自治に専念し、国政とのパイプを大いに使ってパワフルに頑張っていただきたい」と期待を述べた。

   もう一つ。当初、新年互礼会は報道陣に完全非公開とする異例の対応がとられていた。しかし、萩生田氏の出席に伴う自民党側からの申し出により馳氏が態度を一変させ、冒頭のみ取材可能となったようだ。馳氏はメディアに対して不信を募らせているのかもしれない。

⇒29日(日)夜・金沢の天気    あめ