⇒ニュース走査

★「非常に強い」台風7号 北陸など直撃横断か

★「非常に強い」台風7号 北陸など直撃横断か

   台風6号は朝鮮半島に進み、北上している。今月3日時点での進路予報では北陸を直撃かと身構えたが、その後、北西方向に舵を切った。で、台風6号はその後、どうなったのか。共同通信Web版(10日付)によると、北朝鮮の国営朝鮮中央テレビは10日夕、同日午前0時(日本時間同)から午後5時の間に東部の江原道高城で274ミリの降水量を記録するなど、台風の最接近を前に各地で大雨が降っていると報じている。

   また、台風に関連して、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は10日、台風6号の接近に警戒を呼びかける記事で、故金日成主席と故金正日総書記の肖像画や銅像などを守る対策を取ることに「最優先の関心を払わなければならない」と強調した。記事では「わが党にとって人民の生命・安全よりも貴重なものはない」とも書いている(10日付・共同通信Web版)。

   そして、台風7号は北陸を直撃するようだ。「非常に強い」台風7号は、きょう11日午前9時には父島の東南東約90㌔を、ゆっくりした速さで北へ進んでいる。中心の気圧は940ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45㍍、最大瞬間風速は65㍍で、中心から半径130㌔以内では風速25㍍以上の暴風となっている。15日から暴風が吹き、大荒れの天気となる恐れがある。盆休みのUターン移動の時期と重なり、新幹線や在来線、道路、空の便に影響が出る可能性も(11日付・日本気象協会「tenki.jp」)。

   台風と言えば、2019年10月13日、死者・行方不明者100人を出し、北陸新幹線120両を水没させた、あの台風19号が日本に近いづいてきたときが945ヘクトパスカルだった。北陸に住む自身にとっては、千曲川の堤防決壊で長野市にある新幹線車両センターの北陸新幹線の車両が水に浸かった画像はショックだった=写真・下=。

   ヘクトパスカルは気圧の単位で、中心気圧の数字が低くなるほど台風の勢いが強い。気象庁の統計資料によると、上陸時の中心気圧が最も低かったのは、1961年9月に死者・行方不明者200人余りを出した「第二室戸台風」の925ヘクトパスカルだった。ヘクトパスカルは台風の勢いの判断基準でもある。自身も970-960だと気象情報や台風進路が気になり、950を下回ると学校は休校、仕事も休みになるケースがある。今回の台風7号は940ヘクトパスカルで近づいてくる。北陸は直撃コースなのか。

⇒11日(金)午後・金沢の天気    はれ

☆星稜、逆転ならず 「石川の夏」終わる

☆星稜、逆転ならず 「石川の夏」終わる

   きょう午後の予想最高気温は39度、さきほどNHKニュースで報じていた。山越えの風が吹き下ろすフェーン現象の影響で気温が上昇し、能登の羽咋市と加賀の小松市ではすでに午前11時で最高気温が38.7度を観測し、40度に迫っている。金沢では去年9月6日に記録した観測史上1位の38.5度を上回り、まさに経験したことのないような暑さとなる。気象庁は石川県内に10日連続で熱中症警戒アラートを発表している。(※写真はきょう正午過ぎに自宅前で撮影。手前の樹木は五葉松)

   夏の甲子園で熱戦が続いているが、やはり気になるのは酷暑だ。高野連は暑さ対策として今大会から五回終了後に選手が体を冷やしたり、水分を補給する10分間の「クーリングタイム」を導入した。これが禍いとなることもあったようだ。新聞メディアの報道によると、6日の開幕試合で、いきなりのアクシデントがあった。第1試合の土浦日大(茨城)対上田西(長野)。六回裏の上田西の攻撃が終了した直後、土浦日大の選手がグラウンドに倒れ込み、そのまま担架で運ばれた。選手の体温は45度くらいあった。この選手を含め、第2試合までに熱中症の疑いで処置を受けた選手は6選手に上った。六回以降が多く、クーリングタイムで体を冷やして再び灼熱のマウンドに出たタイミングだった。救護室や病院への搬送はなかった。

    甲子園に4度出場、高校通算60本塁打の実績がある松井秀喜氏はスポーツ報知Web版(7月25日付)で、夏の甲子園大会の改革について述べている。以下、引用。「高校野球も時代の変化とともに変わった方が良いと思います。真夏の酷暑の中で連日、試合をやったら体への負担は避けられません」「夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じます」「夏休みいっぱいを使って、甲子園大会をやってもいいのではとも思います。高校生の体はまだ成長過程ですから、守ってあげないといけません」

   松井氏の2部制は、酷暑の中での過密日程は選手の大きな負担になっているとして、試合を前半と後半で期間を分ける2部制にしたらどうか、というもの。とくに、負担が大きい投手に配慮しないといけないと述べている。

   また、石川県の馳知事は、7月27日に行われた高校野球石川大会の決勝戦は暑さがピークに達した午後0時半に始まり、最高気温34.8度だったことから、「決勝戦の時間帯はおかしいと思います。午後0時30分にプレイボールというのは、私は健康の観点からやはり配慮があってもよいという意味で、おかしいと思います」と記者会見(同月28日)で苦言を呈した。高野連はことしから「クーリングタイム」の導入など行っているが、まだまだ改革の予知はありそうだ。

   そして、石川代表の金沢星稜高校がきょう午後、長崎の創成館高校と対戦し、NHKで視聴した。星稜は2年連続22回目の出場。星稜は先発した武内投手(3年)が5四球と制球に苦しみ序盤で6失点。九回に武内の2ランで3点差に迫ったが「夢の大逆転」は起こらず。「石川の夏」は終わった。(※写真・下は、九回表で2ランを放った星稜の武内選手=NHK中継番組より)

⇒10日(木)午後・金沢の天気    はれ

★植栽帯をコンクリートに ビッグモーターここまでやるか

★植栽帯をコンクリートに ビッグモーターここまでやるか

   中古車販売大手「ビッグモーター」の前方の植栽帯がコンクリ-トで覆われていると石川県の地元メディアがニュースで取り上げていたので、きのう4日、現地を見に行ってきた。場所は石川県かほく市にある「イオンモールかほく」の広大敷地の一角。確かに、他のショッピング施設の歩道と車道側にある植栽帯にはさまざまな樹木が植わっているが、ビッグモーターだけはコンクリートが盛られていた=写真=。距離にして100㍍ほどあるだろうか。

   この風景を見て、浮かんだのは「ズルイ」という言葉だった。簡単に言えば、コンクリート化された植栽帯側の駐車スペースには販売用の中古車がずらりと並べてあり、歩道と車道からは実によく見える。100㍍の展示コーナーとして活用しているのだ。

   報道によると、植栽部分はイオンモールかほくが進出した2008年から、イオンが環境整備の一環で植樹を進めてきた。その植栽が撤去された上、コンクリ-ト化されているのだ。

   ただ、疑問に思う点もある。すぐ近くには環状道路、つまり幹線が走っていて、通行量も多い。ビッグモーターはある意味でイオンモールの入り口の一つに位置する。このような重要なポイントなのに、これまで、イオン側はコンクリート化に気が付かなかったのだろうか。黙って見過ごしていたという訳ではないだろう。あるいは、私有地なのでテナント店には厳しく言えなかったのか。そこらあたり解せない。

   これまでニュースになっている全国のビッグモーターの事例をチェックすると、複数の店舗で道路の一部である街路樹が不自然に枯れていたり、植栽がなくなっていて、国土交通省などが調査している。かほく市のケースでも、管理会社「イオンリテール」が不正な対応が認められた場合には法的な措置も含めて対応するとしている。

⇒5日(土)夕・金沢の天気     はれ

☆ヒロシマ78年目の夏 日本とアメリカの意識の隔たり

☆ヒロシマ78年目の夏 日本とアメリカの意識の隔たり

   前回ブログの続き。原子爆弾を開発するマンハッタン計画の中心人物だったオッペンハイマーは、原爆投下による広島と長崎の惨状を知った後に次なる水素爆弾の開発には反対した。科学者の罪悪感だったのだろう。当時、マンハッタン計画に関わった科学者の中には核軍縮の熱心な活動家になった人物も多くいた。オッペンハイマーも活動に参加していた。

   戦後間もなく風向きが変わる。アメリカとソビエトを中心とする「米ソ冷戦」時代に突入する。そして、アメリカでは共産党シンパを摘発し、公職などから追放する、いわゆる「赤狩り(red purge)」が社会運動にもなり、水爆に反対していたオッペンハイマーも巻き込まれる。そして、妻や実弟が共産党員だったこと、そしてオッペンハイマー自身も共産党系の集会に参加したことからソ連のスパイ疑惑が取り沙汰され、1954年4月、アメリカの原子力委員会(AEC)はセキュリティークリアランスの剥奪処分、つまり国家機密に関わる資格を剥奪した。この処分により、休職処分、事実上の公職追放となった。そして、私生活もFBIの監視下にあった。1967年2月、喉頭がんのため62歳で死去する。

   オッペンハイマーの名誉が回復したのは68年後の2022年12月16日だった。アメリカのエネルギー省のグランホルム長官は、公職から追放した1954年の処分は「偏見に基づく不公正な手続きだった」として取り消したと発表した。処分撤回の理由は「歴史の記録を正す責任がある」との説明だった。実際、スパイ行為は確認されていない(2022年12月17日付・共同通信Web版)。当時の原子力委員会は統合などを経て、1977年にエネルギー省に統一されている。

   ネットなどで調べると、オッペンハイマーは1960年9月に来日している。日本人科学者の追悼に訪れ、東京で記者会見した。「マンハッタン計画に参加した一人として私は日本に原爆が落とさたことを深く悲しんではいるが、この原爆生産計画の技術的成功について責任者の地位にあったことは後悔していない」と述べた。広島には立ち寄っていない(中國新聞ヒロシマ平和メディアセンター「ヒロシマの記録」Web版)。

   原爆投下に関する歴史認識には、日本とアメリカでいまだに隔たりがある。アメリカでは「原爆投下によって戦争を終えることができた」と正当化する意識がいまも強い。アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」の調査(2015年)では、65歳以上の70%が「正当だった」と答え、18歳から29歳の若者も「正当だった」との答えは47%だった(2020年8月21日付・ロイター通信Web版日本語)。2016年5月28日、当時のアメリカ大統領のオバマ氏は歴代大統領として初めて広島の原爆死没者慰霊碑を訪れて献花した。アメリカ国内の反対世論を意識して、「謝罪はしない」と事前に公言していた。

   アメリカ人の感性で制作された、この映画『オッペンハイマー』は果たして日本で上映できるだろうか。広島・長崎への原爆投下の映像はないようだが、仮に上映されるとなれば、かなり議論を呼ぶに違いない。あさって8月6日は広島原爆投下から78年となる。

(※写真は、2016年5月28日、オバマ大統領が安倍総理とともに原爆慰霊碑で献花=外務省公式サイト「オバマ米国大統領の広島訪問」より)

⇒4日(金)夜・金沢の天気     はれ

★原爆をつくったオッペンハイマーという人物

★原爆をつくったオッペンハイマーという人物

  「6・9」運動という平和活動がある。1945年8月6日に広島に、3日後の9日に長崎に原子爆弾が投下されたことから、これに抗議し核兵器の禁止をめざす運動だ。日本では、原爆を開発をした人物については、自身も含めてあまり知られていない。アメリカでは、「原爆の父」として知られるロバート・オッペンハイマーの伝記映画が7月21日からアメリカなど各国で公開されている。クリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』。上映時間は3時間、観客の年齢が限られるR指定である。ただ、日本での公開は未定となっている。

   ニューズウィーク日本語版(Web、2日付)は、「拍手と共に失笑も買った『原爆の父』…その『複雑な』人間像は、映画『オッペンハイマー』でどう描かれたか?」との見出しで、論評を掲載している。以下、記事を引用。

「優秀な理論物理学者で、まだ目新しかった量子力学の先駆的な研究者でもあったが、実験は苦手で、原爆開発に携わる研究者の中で一番の逸材というわけでもなかった。だが、彼にはすさまじいカリスマ性があった。瞬時にコンセプトを把握する能力を持ち、組織内の競争を成果達成につなげる手法も熟知していたから、誰にもまねできないようなやり方で計画(原爆開発『マンハッタン計画』)を進められた」(※画像は、映画『OPPENHEIMER』プロモーションサイトより)

「戦後には『原爆の父』として世界に知られるようになり、タイム誌の表紙も飾ったが、名声の絶頂で自分の仕事に疑問を抱き始める」「原爆よりもはるかに威力のある水素爆弾の製造に反対し、全ての大量破壊兵器を国際社会の管理下に置くよう呼びかけた」

「一方で、オッペンハイマーはマンハッタン計画の成果を熱烈に擁護した。広島のニュースを見たチームのメンバーを前に、日本を痛い目に遭わせることには成功したが、ドイツへの投下に間に合わなかったのは残念だと演説し、拍手と共に失笑を買いもした」「1942年にマンハッタン計画を始動させたのは当時のフランクリン・ルーズベルト大統領だ。著名な2人の物理学者、アルバート・アインシュタインとレオ・シラードが、ドイツで核開発計画が進んでおり、先を越されたら戦争に負けると大統領宛ての書簡で訴えたことがきっかけだった」「ドイツは核開発に成功する前に45年5月に降伏。そこでルーズベルトの死後に大統領に就任したトルーマンは日本への投下を決断した」

「オッペンハイマーは、自分ほど頭の切れがよくない人間(ほぼ全ての人)をいじめ、嘲る傾向があったため、敵をつくった」「戦後、テラーは水爆製造の専門の研究所を造るよう働きかけたが、オッペンハイマーが反対したため、聴聞会でオッペンハイマーに不利な証言をした。委員会は2対1の多数決でオッペンハイマーのセキュリティークリアランス剥奪を決定した。一方、テラーはカリフォルニア州リバモアに研究所を新設する資金を獲得した」(※「テラー」は、水素爆弾の開発の中心となり、「水爆の父」と呼ばれたエドワード・テラー。「委員会」は、原子力委員会。「セキュリティークリアランス剥奪」とは、機密安全保持疑惑による休職処分のことで、事実上の公職追放)

「映画は終戦直後のフラッシュバックで終わる。オッペンハイマーがプリンストンの湖畔でアインシュタインと語り合い、自分たちの共同発明がいつか世界を炎に包むのではないかと思案している。このシーンは原作にはないが、原爆に携わった科学者たちが抱いた罪悪感を効果的に表現している。シラードを筆頭に、核軍縮の熱心な活動家になった科学者もおり、オッペンハイマーも活動に参加している」

「ノーランはまた、水爆は今も存在し、広島以来78年間、大国間の戦争を抑止してきたとはいえ、幸運が永遠に続くとは限らないことを観客に再認識させた。私たちは今なお、オッペンハイマーの時代に生きているのだ」

   3時間に及ぶ映画。ニューズウィーク日本語版は「ストーリーそのものが観客の心をかき乱し、悲劇的で、ショッキングでさえある」と論評している。

⇒3日(木)夜・金沢の天気  はれ

★クマなど野生動物が出没 懸念される人への感染問題

★クマなど野生動物が出没 懸念される人への感染問題

   最近、クマが街に出没したとのニュースが多い。きょう20日の朝刊によると、19日午前8時半ごろ、石川県加賀市の国道305号沿いにある観光施設「月うさぎの里」に体長が1.6㍍ほどのクマが厨房裏口から侵入した。開店前で客はおらず、従業員らは事務室に避難した。その後、警察や地元の猟友会などが来て館内や周囲を捜索したがすでにクマは屋外に逃げていた。館内ではテーブルが倒され、イスにはひっかき傷があった。ふんも散らばっていた。同市内ではことし4月からこれまでに37件のクマの目撃情報が寄せられていて、例年の倍近い。   

   クマは場所を選ばない。これまで金沢市内でもいろいろなところに出没している。金沢の野田山は加賀藩の歴代藩主、前田家の墓がある由緒ある墓苑だ。市街地とも近い。7月の新盆や8月の旧盆のころ、クマはお供え物の果物を狙って出没する。なので、「お供え物は持ち帰ってください」との看板が随所に立てられている=写真=。

   クマは街の中心街にも出る。兼六園近くの金沢城公園で、たびたび出没していたことから、捕獲用のおりを仕掛けたところ体長1㍍のオスがかかったことがある(2014年9月)。周辺にはオフィスビルなどが立ち並ぶ。

   山から人里に下りてきているのはクマだけではない。金沢の住宅街にサル、イノシシ、シカが頻繁に出没するようになった。こうした野生動物は本来、奥山と呼ばれる山の高地で生息している。ところが、エサ不足に加え、中山間地(里山)が荒れ放題になって、野生動物が奥山と里山の領域の見分けがつかずに人里や住宅街に迷い込んでくる、とも言われている。あるいは、野生動物が人を恐れなくなっている、との見方もある。

   こうなると、懸念されるのは人身事故だけでない。UNEP(国連環境計画)がまとめた報告書に「ズーノーシス(zoonosis)」という言葉が出てくる。新型コロナウイルスの発生源として論議を呼んだコウモリなど動物由来で人にも伝染する感染病を総称してズーノーシス(人畜共通伝染病)と呼ぶ。野生動物との接触度が増えると感染リスクが高まる、という内容だ。欧米を中心に感染が広がった天然痘に似た感染症「サル痘」、エボラ出血熱や中東呼吸器症候群(MERS)、HIVなどがズーノーシスに含まれる。

   クマやサル、イノシシなどの野生生物が住宅街にこれだけ頻繁に入って来るようになると、日本でもズーノーシスが発生するのではないか。けさのニュースを読んで、そんなことを懸念した。

⇒20日(木)午前・金沢の天気    くもり時々はれ

☆また北朝鮮の弾道ミサイル 日本海側に緊張走る

☆また北朝鮮の弾道ミサイル 日本海側に緊張走る

   北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(19日付)によると、北朝鮮は午前3時29分に1発目を発射、最高高度50㌔で550㌔を飛翔した。2発目は午前3時45分に発射、最高高度50㌔で600㌔を飛翔した。いずれも朝鮮半島東の日本のEEZ外に落下した=図、防衛省公式サイトより=。ミサイルはいずれも変則的な軌道で飛行した可能性がある。午前4時46分から浜田防衛大臣は臨時会見を行い、「我々としてはこれ容認することはできない。外務省を通じて北朝鮮に対して抗議を行う」と述べた。

   北朝鮮は今月12日にもICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を発射した。弾道ミサイルは74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方約250㌔の日本海のEEZ外に落下した。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。北朝鮮が弾道ミサイルや、弾道ミサイル技術を用いたものを発射したのはことし13回目だ。

   「弾道ミサイル」は発射から10分ほどで日本国内へ到達する。国内に落下する可能性がある場合には、緊急情報を瞬時に伝える「Jアラート」が国から伝えられ、防災行政無線や緊急速報メールなどで緊急情報として伝えられる。

   ネットによると、きょう富山市では弾道ミサイルの落下に備えた住民避難訓練が行われた。防災行政無線で「ミサイルが発射されたものとみられます、建物の中、または地下に避難してください」と放送。住民らは近くの地下歩道などに駆け込んだ。国と県、市が共同で行っているこの訓練は今年度で36回実施される予定。昨年の12回に比べ3倍に増えている(19日付・北日本新聞Web版)。(※写真は、きょうの北朝鮮の弾道ミサイル発射を伝える地元紙の夕刊)

   自身も「Jアラート」避難訓練に参加したことがある。2017年8月30日に能登半島の輪島市で実施された。この年の3月6日、北朝鮮は弾道ミサイルを4発発射、うち1発が輪島市の北200㌔の海上に落下した。このため、避難訓練は実にリアリティがあった。午前9時に防災行政無線の屋外スピーカーから「これは防災訓練です」と前置きして、Jアラートの鈍い警報音が流れた。その後「ミサイルが発射された模様です」「ただちに頑丈な建物や地下に避難してください」とアナウンスが流れた。防災行政無線による避難の呼びかけは10分間ほど続いた。

   日本海側に住む者にとっては北朝鮮の弾道ミサイルは脅威そのものだ。

⇒19日(水)夜・金沢の天気    あめ

☆世界で猛威ふるう熱波と水害の異常気象

☆世界で猛威ふるう熱波と水害の異常気象

   猛暑や水害などの異常気象は日本だけでなく、世界を襲っている。16日付のBBCニュースWeb版は「Europe heatwave: No respite in sight for heat-stricken southern Europe」(意訳:ヨーロッパの熱波、暑さに苦しむ南欧にもう猶予はない)との見出し=写真=で、猛暑が続いているギリシャでは14日に気温が40度以上となり、遺跡「パルテノン神殿」がある観光名所アクロポリスが一時閉鎖されたと報じている。また、イタリアでは週末にローマ、ボローニャ、フィレンツェを含む16都市にレッドアラート(「死の危険」を意味する)が発令された。イタリアでは去年も熱波が原因で1万8000人の死者が出て、ヨーロッパでは最多だった。

   同じくBBCは「US heatwave: ‘Dangerous’ temperatures could set new records」(意訳:アメリカの熱波、「危険な」気温記録更新の可能性)の見出しで、世界で一番暑い場所とも言われるカリフォルニア州のデスバレー国立公園では熱波が続き、13日に気温46度となり、今後さらに54度に達するとの予測されており、地球上で最も暑い気温に近づいていると伝えている。

   気温が上昇すれば大気中の水蒸気が増え、大雨のリスクも高まる。韓国では今月13日以降、西部から東部にかけて強い雨が続いていて、川の氾濫や土砂崩れの被害に見舞われている。中部の忠州では地下道が冠水して10台余りの車が水につかり、動けなくなったバスや車に乗っていた7人が死亡している。韓国政府の災害対策本部による16日午前11時現在のまとめでは、水害でこれまでに33人が死亡し、10人の行方がわからなくなっている。韓国の大雨被害を受けて、岸田総理はお見舞いのメッセージを出した。「韓国で尊い命が失われ、市民生活に甚大な被害が生じていることに深い悲しみを覚えています。日本政府と国民を代表し、犠牲になられた方々、ご遺族に心から哀悼の意を表します」(16日付・NHKニュースWeb版)

   ことし11月に国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦で開催される。これまでの議論で国際社会は「世界平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以内に抑える」との目標を共有している。ところが、世界気象機関(WMO)の年次報告書によると、今後5年間のうち、少なくと1年間で1.5度を超える年が66%の確率である、としている。人類の活動による温暖化ガスの排出と、今年のエルニーニョ現象によって確立が上昇しているという。その66%の確率の年がひょっとして今年なのかもしれない。

⇒16日(日)午後・金沢の天気     はれ

★AIに対して起こす「21世紀のラッダイト運動」なのか

★AIに対して起こす「21世紀のラッダイト運動」なのか

   ネットで「NHK国際ニュースナビ」をチェックしていると、今月13日付で「テニスのウィンブルドン選手権にAI解説者登場 その実力は」の見出しで、2時間半におよぶ試合を終了直後に、AIが3分ほどのハイライト動画に自動で編集、そして解説をつけて公式サイトやアプリで配信する仕組みを紹介している。 

   実際にユーチューブで上がっている、ウィンブルドン選手権準決勝のカルロス・アルカラス(スペイン)対ダニール・メドベデフ(ロシア)のハイライト動画(5分18秒)を視聴すると、AIの解説コメントは冷静で言葉もそれほど多くなく、違和感はない。NHK国際ニュースナビによると、開発したのはIT大手のIBM。同社はウィンブルドン選手権の公式ウェブサイトやアプリを制作するなど、デジタル技術でウィンブルドンを長年支えてきた。今回もAI解説の実現に向けてAIにさまざまな情報を学習させるなど工夫を重ねてきたようだ。

   このニュースを見てふと思った。日本でも、たとえば大相撲の実況解説はAIでできるのではないかと。勝ち技や力士のデータなどを学習させることによって、それは可能ではないか。そうなると、実況アナウンサーの職をAIが奪うことになるのではないか。

   AIに職を奪われることを危惧する動きはすでに世界的に起きている。BBCニュースWeb版日本語(15日付)によると、ハリウッドでは5月から、脚本家労組「アメリカ脚本家組合(WGA)」によるストが続いている。脚本家たちは賃金や労働条件の改善を求めているほか、AIの進歩で仕事が減らないよう保護する体制が不十分だと訴えている。今月14日からは、俳優労組「映画俳優組合-アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)」によるストも始まった。アカデミー賞受賞俳優スーザン・サランドンさんは、「(AIは業界の)すべての人に影響を与える」と訴えている。

   俳優と脚本家のストが同時に行われるのは1960年以来63年ぶりという。なぜ、アメリカのコンテンツクリエーターたちがAIに対応するため、ストという手段で向き合っているのか。IBMなどの巨大民間企業やデジタルプラットフォームが進めるAIによって、雇用が失われ、格差が広がることへの懸念を感じ取っているのかもしれない。   

   技術のめざましい進歩はすべての人に恩恵を与えるとは限らない。かつて、産業革命期のイギリスでは「ラッダイト運動」があった。いわゆる、機械の打ち壊し運動だ。アメリカの俳優と脚本家のストは「21世紀のラッダイト運動」の始まりなのかもしれない。

⇒15日(土)夜・金沢の天気    くもり

☆「まだ降りやまぬ」 北陸の雷雨、北朝鮮のICBM

☆「まだ降りやまぬ」 北陸の雷雨、北朝鮮のICBM

   文部省唱歌に「降っても降っても まだ降りやまぬ」という歌の一節があるが、まさこのことかもしれない。北陸は大気の状態が不安定で、いまも雷鳴が響いて強い雨が降ったり止んだりしている。午後5時までの24時間に降った雨の量は金沢市医王山で70㍉、輪島市三井と小松市で60㍉などとなっている。あすにかけてさらに激しい雨が降る見込みで、予想される1時間の降水量は多いところで加賀・能登ともに40㍉。雨は降り続く。

   さきほど気象庁は午後9時39分に「顕著な大雨に関する情報」を発表した。石川県で線状降水帯が発生し、土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっている。

   予報によると、朝鮮半島から東北地方に延びる梅雨前線が南下し、北陸地方に停滞する見込み。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込む一方、上空5500㍍に氷点下6度以下の寒気が入り込むため、13日にかけて大気の状態が非常に不安定となる。案じるのは、5月5日に震度6強の揺れがあった能登半島の珠洲市を中心とする奥能登エリアだ。地震で地盤に割れが入っているところに大雨が続くと土砂崩れなどの二次災害が発生するのではないかと地質の専門家ではないが、そう考えてしまう。(※写真は、北陸電力公式ホームページ「雷情報」より)

   降りやまないのは雨だけではない。北朝鮮がまた日本海に向けてICBMを放った。防衛省公式サイトによると、きょう12日午前9時59分、北朝鮮の首都平壌近郊からICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を東の方向に発射した。弾道ミサイルは74分間飛翔し、同11時13分ごろ、北海道の奥尻島の西方約250㌔の日本海のEEZ外に落下した=イメージ図、防衛省作成=。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔を超えると推定されている。

   このニュースで、北朝鮮が5月31日に「軍事衛星」を打ち上げた件を思い出した。軍事衛星「万里鏡1号」を新型ロケット「千里馬1型」に搭載し発射したが、「1段目の分離後、2段目のエンジン始動に異常があり推進力を失って朝鮮西海(黄海)に落ちた」(北朝鮮国営メディア「朝鮮中央通信」Web版)。そして、「国家宇宙開発局は衛星発射で現れた重大な欠陥を具体的に調査、解明し、可能な限り早期に2回目の発射を断行する」と述べていた。今回の発射が「2度目の断行」とどう関わっているのか。専門機関の分析を待ちたい。

⇒12日(水)夜・金沢の天気    雷雨