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✰「能登かき」シーズン到来も激減 海の異変とは

✰「能登かき」シーズン到来も激減 海の異変とは

   あすから10月。いつもこの時季、いよいよ「能登かき」のシーズン到来と心をわくわくさせるのだが、ちょっとした海の異変が起きているようだ。

   能登半島の七尾西湾と穴水湾は「能登かき」で知られる養殖カキの産地でもある。里山の栄養分が川を伝って流れ、湾に注ぎこむ。その栄養分が植物プランクトンや海藻を育み、海域の食物連鎖へと広がり、カキもよく育つとされる。とくに、里山の腐葉土に蓄えられた栄養分「フルボ酸鉄」が豊富にある(2010年5月・金沢大学「里山里海環境調査」)。能登かきのファンにとって、秋は気になる季節なのだが、きょう30日付の地元紙・北陸中日新聞の一面の見出し「能登かき『大不作』 クロダイ食害 猛暑影響か」に少々驚いた。

   以下、記事を引用する。まもなく出荷が本格化する能登かきの生産量は例年より3、4割の減少が見込まれていて、生産者は過去最悪の不漁になると懸念している、という。詳しく読み込む。養殖のカキは稚貝を付着させたホタテガイの貝殻を針金に固定して海中にロープでつるし、1、2年かけて育てる。針金1本に10枚ほどのホタテの貝殻を付けると、1枚に15個ほどのカキが育つはずが、今季は0~4個が目立つという。このため、生産者は収量の激減を受けて、出荷を遅らせている。

   この不漁のいくつかの原因の一つが、クロダイによる「食害」。2年ほど前から湾内でクロダイが増え始め、カキの稚貝をクロダイが食べることが問題となっていた。もう一つの原因として、猛暑がある。石川県水産総合センターの9月時点の調査で、湾全体の深度10㍍の水温は過去5年の平均と比較して2.6度高い。海水温が高い影響で死滅するカキも多い、という。地元の養殖業者の声として、「高水温の影響なのかクロダイが増えすぎている。このまま続いては将来的に(カキ養殖)産業が廃れてしまう」と紹介している。

   一方で、能登でのクロダイ放流を記事で紹介している。穴水湾にある地元の「釣りイカダ組合」では、釣り客に人気のクロダイの稚魚を30年ほど前から毎年1万匹を放流している。釣り客を船に乗せて沖合の釣りイカダに運ぶ、いわゆる「遊漁船業」だ。記事では、「放流をやめると資源がなくなって、客もいなくなる。共生する方法を考えたい」との業者の声を紹介している。

   以下、つらつらと私見を。水槽にいるクロダイを何度か見たことがある。強そうな顎と歯が特徴で、カキの稚貝などは容易に噛み砕き食べると想像がつく。かつて、クロダイの塩焼きは金沢の居酒屋では人気商品だった。ところが、2014年のテニスの全米オープンで準優勝した錦織圭選手が記者会見で、「ノドグロが食べたい」と答えたことがきっかけで、焼き魚と言えばノドグロが「出世魚」となり、クロダイは影が薄くなった。このままいくと、カキ棚を荒らす悪い魚、顔つきもいかつく、居酒屋で人気のない魚となってしまう。

   今後、養殖業者はカキ棚を防護網で囲う新たな対策が必要となるのだろう。一方で、クロダイを漁獲して、カキといっしょに飲食店へ販売してはどうだろうか。店では「B級グルメ」に加工する。カキの稚貝を食べるクロダイのカルパッチョなどはけっこう受けるかもしれない。

⇒30日(土)午後・金沢の天気 くもり

★中秋の名月の夜に「注文の多い料理店」の話

★中秋の名月の夜に「注文の多い料理店」の話

   中秋の名月。金沢の夜空は晴れて、満月を見ることができた。天候が変りやすい北陸では名月をめったに拝めない。かつて北陸を訪れた芭蕉の句がある。「名月や北国日和定なき」(『奥の細道』)。今夜は中秋の名月を期待していたけれど、あいにく雨で拝むことができなかった、と。しかし、今夜はすっきりと見ることができた=撮影:午後8時19分=。満月は、まさに名月だ。次に中秋の名月が満月と一致するのは7年後の2030年9月12日のようだ。

   話は変わる。宮沢賢治の童話『注文の多い料理店』のような話だ。NHKニュースWeb版(9月26日付)によると、中国国営メディアは、習近平国家主席が27日、共産党指導部の会合を開き、「多国間の協力を推し進め、外資を引きつける力を強めていく」と述べた、と報じている。中国が2001年にWTOに加盟して以来、140余りの国と地域にとって主要な貿易パートナーとなり、世界の経済成長に貢献してきたとして成果を強調。日本などが参加するTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入に意欲を示した。

   国家主席から「外資のみなさんどうぞおいでください」と誘われ中国に入ると、その後は中国でスパイとして誰もが捕まる危険性がある。中国は2014年に反スパイ法を施行し、ことし7月の改正「反スパイ法」では、これまでの「国家の秘密や情報」に加えて「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品」を盗み取ったり提供したりする行為が取り締まりの対象になり、スパイ行為の定義が拡大された。2014年以降で、邦人17人が拘束され、うち9人が実刑判決を受けている。直近では、野村ホールディングスの香港法人幹部が、滞在していた中国本土からの出国を禁止されている(9月25日付・日経新聞Web版)。

   童話『注文の多い料理店』では、山猫のオーナーが、客に「どうか帽子と外套と靴をおとり下さい」と言い始め、最後に「どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください」と客に注文し、客を料理するという、怖ろしい物語だ。まさに中国で起きている話ではないのか。

⇒29日(金)夜・金沢の天気  はれ

★「貯蓄から投資へ」 日本人のマインドはなびくか

★「貯蓄から投資へ」 日本人のマインドはなびくか

    「貯蓄から投資へ」。いよいよ岸田総理の本気度が試される。岸田総理は21日(日本時間22日)、訪問先のアメリカのニューヨークで、ニューヨーク連銀総裁が会長を務める「ニューヨーク経済クラブ」で金融関係者200人を前に英語で講演を行った。この中で、アメリカの資産運用会社の日本進出を促す考えを表明し、英語のみで行政対応が完結する「資産運用特区」の構想を打ち出した。また、海外投資家のニーズを制度改革に反映させるため、日米を基軸に「資産運用フォーラム」を立ち上げ、世界の投資家を日本に招聘する「ジャパン・ウイークス」を展開すると述べた(首相官邸公式サイト「ニューヨーク経済クラブ主催による岸田総理大臣講演」より、写真も)。

   来年1月からは少額投資非課税制度(NISA)を拡充・恒久化する「新NISA」がスタートするので、海外勢の参入との両輪で、国民の資産形成を後押しする狙いなのだろう。

   日銀調査統計局「家計の金融資産構成」(2023年8月25日付)によると、日本の家計の金融資産は2043兆円で、このうち現預金は54%を占め、株式等は11%、投資信託は4%だ。一方、アメリカの家計における金融資産では現預金は13%しかなく、株式は39%、投資信託は19%を占めている。岸田総理はことし6月の骨太方針で「資産運用立国」構想を打ち出し、アメリカ並みの投資に向けて大号令をかけている。

   ただ、これまで貯蓄を美徳としてきた日本人のマインドがそう簡単に投資へと変化するだろうか。さらに日経新聞Web版(5月2日付)によると、総務省の全国家計構造調査や家計調査をもとに、家計の預貯金について2021年時点での世帯主年齢別の保有額を推計すると、60歳以上で600兆円を上回り、預貯金全体に占める割合も64%に達している。高齢者は慎重で、運用よりも貯蓄商品に回すのではないだろうか。

   日本人には「赤信号 みんなで渡れば怖くない」という集団心理もある。はたして、「貯蓄から投資へ」と人々の心はなびくのか。

⇒23日(土)夜・金沢の天気   はれ

☆北海道が熱い 地価調査で見える地域の経済

☆北海道が熱い 地価調査で見える地域の経済

   国土交通省はきょう19日、都道府県の地価調査(7月1日時点)を公表した。全国平均の住宅地はプラス0.7%、商業地はプラス1.5%といずれも2年連続で上昇し、上昇幅も拡大している。

   日本海側では石川県の商業地の平均がプラス0.5%で、4年ぶりに上昇している。新型コロナウイルス禍からの回復で観光客が増加するなど金沢市などの観光地を中心に活気が戻っている。「ひがし茶屋街」と呼ばれる金沢市東山1丁目は、市内で最も上昇率が高いプラス5.3%で、1平方㍍あたり40万円だった。そして、県内で最も高かったのは、金沢駅に近い金沢市本町2丁目で、プラス3.6%の1平方㍍あたり102万円だった。

   観光だけでなく、北陸新幹線効果もある。来年3月の金沢・敦賀間の開業を控えた小松駅周辺は県内全体で最も上昇率が高かった。駅から300㍍離れた小松市日の出町1丁目はプラス6.7%だった。去年のプラス3.5%から上昇の幅が拡大し、1平方㍍あたり9万5000円だった。この周辺では北陸電力の複合ビルや観光交流センターなどが立ち並ぶことになる。

   一方で顕著なマイナスもあった。ことし5月5日に震度6強の地震に見舞われた能登半島の尖端・珠洲市飯田町は去年に比べてマイナス8.1%で、下落率は全国で最も高かった。

   全国地図を眺めて、全国でも住宅地で地価の上昇率が高かったのは、なんと北海道だ。北海道千歳市栄町5丁目でプラス30.7%、2位が千歳市東雲町5丁目でプラス30.5%、3位が千歳市みどり台北4丁目でプラス29.0%と北海道勢が占めている。千歳市では、先端半導体の国産化を目指し、トヨタ、デンソー、ソニー、NTT、NEC、ソフトバンクなどが出資した半導体メーカー「ラピダス」の新たな工場の建設が進んでいて、従業員の住宅などの需要が高まっているようだ。地域の経済がそのまま地価の高騰に反映している。

⇒19日(火)夜・金沢の天気   はれ

★「敬老の日」ニュースあれこれ ピンピンコロリな生き方

★「敬老の日」ニュースあれこれ ピンピンコロリな生き方

   午前6時ごろだった。叩きつけるような雨音と雷鳴で目覚めた。1時間ほどで雨は止んだが、それにしても激しい雨だった。スマホをチェックすると、大雨に関する石川県気象情報が出されていて、「上空約6000㍍には氷点下3度以下の寒気が流れ込んでいるため、石川県では大気の状態が不安定となっています。このため、19日にかけて雷を伴った強い雨の降る所があるでしょう」とのこと。1時間に予想される雨量は25㍉とのこと。

   朝刊各紙を開くと、「人口推計 80歳以上10人に1人 65歳以上29% 世界トップ」の見出しに目が向いた=写真・上=。きょうの「敬老の日」にちなみ、総務省が公表した人口推計。記事によると、総人口に占める65歳以上の割合は日本が29%で一番高く、2位イタリア24%、3位フィンランド23%と続く。面白いのは高齢者の就業率だ。65-69歳は50%、70-74歳の33%が働いていて、これも過去最高となってる。就業先は卸売業・小売業、サービス業、そして医療・福祉の順で多い。自身もそうありたいと願うのだが、元気で働いて天寿を全うしたいものだ。「ピンピンコロリ」、日本人のこの人生モデルはひょっとして世界のモデルとして注目されるかもしれない。

   8月5日付のこのブログで取り上げた石川県内にあるビッグモーターが街路の植栽を伐採してコンクリートで舗装していた件で動きがあった。メディア各社の報道によると、かほく市にある「ビッグモーター イオンモールかほく店」前の植栽がコンクリートで舗装された件について、土地を管理するイオンリテール(千葉市)は10月31日付で土地賃貸借契約を解約することを発表した。

   解約の理由についてイオンリテールは「ビッグモーター社に対して聞き取り調査を行った結果、弊社の承諾を得ずに木を伐採し、コンクリート舗装した」ことを挙げた。植栽部分はイオンモールかほくが進出した2008年からイオンが環境整備の一環で植樹を進めていた。問題となった箇所はコンクリート幅は2㍍、長さ100㍍にわたって覆われている=写真・下=。

   ただ、ブログでも述べたように、ビッグモーターはある意味でイオンモールの入り口の一つに位置する。このような重要なポイントなのに、これまでイオン側はコンクリート化に気が付かなかったのだろうか。黙って見過ごしていたという訳ではないだろうが、少々解せない。

           朝日新聞が行った全国世論調査(電話、16・17日)の結果が掲載されている。内閣支持率は37%と前回8月調査より4ポイント増え、不支持率は53ポイントと1ポイント減った。内閣改造人事に関しては「評価しない」が57%、「評価する」が25%だった。女性閣僚を5人起用するなどした改造人事だったが、その効果は限定的だったようだ。

   きょうも真夏日、30度を超える。季節外れの暑さが続く。

⇒18日(月・祝)午後・金沢の天気  くもり時々はれ

☆高速鉄道とマンション 中国の「縦・横インフラ」巨額負債

☆高速鉄道とマンション 中国の「縦・横インフラ」巨額負債

   世界最高速と名高かった中国の上海リニアに乗ったのは2008年1月だった=写真・上=。最高時速430㌔の車窓からの風景がコマ送りの状態で見えたのが印象的だった。上海浦東国際空港から終着駅・龍陽路まで距離にして30㌔、時間にして7分20秒だった。その上海リニアが2020年2月から最高時速300㌔に減速。新型コロナウイルスの感染拡大で浦東国際空港の利用者数が減少が影響しているようだ(Wikipedia「上海トランスラピッド」)。

   リニアだけでなく、中国では全長4万2000㌔にもおよぶ高速鉄道網が整備されている。幹線ルートでは最高時速350㌔で走行し、そのほかの路線では時速300㌔で運転している。この「中国版新幹線」は日本の新幹線の13倍にもおよぶとされているが、人口が少なく需要が見込めない地方都市にも延伸を重ねていて、赤字路線が多いとされる。

   日経新聞Web版(5月2日付)によると、高速鉄道を運営する国有企業「中国国家鉄路集団」は2022年12月期の最終損益が695億元(約1兆3800億円)の赤字となり、21年12月期(498億元の赤字)から悪化した。売上高は0.4%減の1兆1272億元だった。新型コロナウイルスの抑え込みを狙った「ゼロコロナ」政策の影響で旅行・出張客が減った。さらに、同社が公表している財務資料によると、22年末の負債総額は6兆1068億元(約121兆円)で前年末比で3%増えている。中国のGDPの5%に相当する大きな額だ。

   無軌道な拡大で不採算路線が増え、足元の負債が膨らんでいるにもかかわらず、「景気底上げを目指す政府の意向をくみ、2035年に路線を現在より7割増やす方針」(22年7月5日付・同)ようだ。このニュースを読んで中国の経済リスクの感じ取った。横に伸びる高速鉄道、縦に伸びる高層マンション。国家的な金融リスクが誘発されるのではないだろうか。(※写真・下は、浙江省で撮影したマンション群=2012年8月)

⇒17日(日)午後・金沢の天気   はれ時々くもり

★石川県民にとって複雑な気持ち、そして残念な事件

★石川県民にとって複雑な気持ち、そして残念な事件

   この事件をコラムで書くべきか、書くべきでないか迷った。石川県民にとって複雑な思いがする。それほど残念なニュースだ。

   去年6月29日午後7時45分ごろ、大分県別府市の交差点で、信号待ちをしていた2台のバイクに軽乗用車が追突。バイクに乗っていた2人がはね飛ばされ、当時19歳の男子大学生が死亡し、別の男子学生が軽傷を負った。軽乗用車を運転していた当時26歳の男性会社員は応急処置や警察への届け出をせずに車を放置して現場から逃走した。警察庁はきのう15日、全国の警察を挙げて捜査をする「重要指名手配」に指定し、容疑者を追っている。ひき逃げの犯人が重要指名手配に指定されるのは全国で初めてのケースとなる(15日付・NHKニュースWeb版)

   重要指名手配に指定された理由として、これまでの警察の捜査で、容疑者は▽事件前、大学生を呼び止めて言いがかりをつける様子が目撃されている、▽時速100㌔近くのスピードでブレーキをかけずに、はねたとみられる(同)。故意に起こした悪質な事件として指名手配されている。手配されているのは、八田與一容疑者27歳。

   冒頭で「残念なニュース」と述べたのも、このブログで「八田與一」の名前が何度も登場する。台湾の日本統治時代、台南市に当時東洋一のダムと称された「烏山頭ダム」が建設された。不毛の大地とされた原野を穀倉地帯に変えたとして、台湾の人たちから日本の功績として現在も高く評価されている。ダム建設のリーダーが、金沢生まれの土木技師、八田與一(1886-1942)だった。石川県では誉れの高い人物であり、「金沢ふるさと偉人館」にその業績が紹介されている。

   八田容疑者に関する記事をチェックすると「石川県生まれ」とある。以下は憶測だ。おそらく「與一」と名付けた両親、あるいは祖父母は故郷の偉人にちなんで、立派に育ってほしいとの想いを込めたのだろう。石川県民の一人として、容疑者には警察に自首し、罪を償い、更生してほしいと願う。

⇒16日(土)午前・金沢の天気    はれ

☆「変化を力にする内閣」も支持率は上がらず

☆「変化を力にする内閣」も支持率は上がらず

   第2次岸田再改造内閣の発足を受けて、新聞メディア各社が緊急世論調査を行い、その結果を報じている。結果を比較すると、内閣支持率が「横ばい」と「上昇」の2つの結果に分かれている。

   読売新聞が今月13日と14日に実施した調査では内閣支持率が35%で前回調査(8月25-27日)と同じだった。不支持も50%で前回と同じだった。日経新聞の調査(13、14日)も支持率が42%で前回(8月25-27日)と同じだった。不支持は51%で前回より1ポイント上昇した。一方、共同通信の調査(13、14日)では支持率が39.8%で前回(8月19、20日)より6.2ポイント上昇した。不支持率は39.7%で前回より10.3ポイントも減少した。

   G7広島サミットの議長国を無難にこなした5月の内閣支持率は上昇したものの、その後、総理長男の秘書官辞任やマイナンバーカードをめぐる一連のトラブルで内閣支持率が続落していた。本来ならば、内閣改造と自民党役員人事の入れ替えがあれば、支持率が上がるのが通例なのだが、今回はメディアによって数字のバラつきがあるのはなぜか。

   調査手法の違いかもしれない。調査方法は3社とも、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号をつくり、固定電話と携帯電話の番号にかけて調査を行う、いわゆる「RDD(Random Digit Dialing)」方式で行っている。

          違うのは質問の仕方だ。読売、日経の両社は内閣支持率の質問で「支持」か「不支持か」を尋ねるが、「言えない・分からない」と答えた回答者に再度、「支持しますか、支持しませんか、お気持ちに近いのはどちらですか」と1回だけ重ね聞きするルールを採用している。なので、重ね聞きをしない場合と比べ、「支持」「不支持」の数字がそれぞれ上積みされる傾向にある。それが、前回の調査と比べて数字が動かなかったということは、今回の改造内閣発足では「支持」を増やすまでには至らなかった、ということになる。共同通信は重ね聞きを採用していないが、前回低くかった支持率がやや持ち直したのかもしれない。

   自民党支持層が多いとされる読売や日経の調査で支持率が上がらなかったことに、むしろ自民党関係者は焦りを募らせているかもしれない。

⇒15日(金)夜・金沢の天気    くもり時々はれ

☆北の偵察衛星は開発支援 ロシアへの武器供与は沈黙

☆北の偵察衛星は開発支援 ロシアへの武器供与は沈黙

   この弾道ミサイル発射は祝砲なのか・・・。北朝鮮はきょう午前11時台に2発の弾道ミサイルを半島の西岸付近から日本海に向けて発射した。防衛省公式サイトによると、11時41分に発射した弾道ミサイルは最高高度がおよそ50㌔で、約350㌔飛翔したと推測される。2発目は11時51分の発射で、最高高度がおよそ50㌔、約650㌔飛翔したと推測される。落下した場所は日本のEEZの外側だった。

   防衛省が落下箇所を記したイメージ図を見てみると、ウラジオストクのほぼ真南に位置する。発射された時間帯は、北朝鮮の金総書記が列車に乗って、ウラジオストクから約1000㌔離れたアムール州の「ボストーチヌイ宇宙基地」に向かっていた途中だ。タイミングといい、距離感といい、金総書記にロシアのプーチン大統領との首脳会談が成功裏に運ぶようにと願った祝砲のようにも思える。あるいは、ロシアと北朝鮮の同盟関係を誇示した、日米韓同盟に対する威圧行為なのか。

   では、ボストーチヌイ宇宙基地での首脳会談でどのような内容が交わされたのか。BBCはWeb版で「Vladimir Putin signals help for Kim Jong Un but quiet on weapons」の見出しで、プーチン大統領は金総書記に支援の合図をするも、武器に関しては沈黙、と伝えている。そもそも、なぜ宇宙基地が会談場所として選ばれたのか。記事によると、ロシアが北朝鮮の偵察衛星の開発を支援するかどうか、記者に尋ねられたプーチン氏は、「これが我々がボストーチヌイ宇宙基地に来た理由だ」と述べた。つまり、偵察衛星の打ち上げに2度失敗している北朝鮮に対し、プーチン氏は衛星の開発を支援する意思を明確に示した。実際に、金氏はロケットの組み立てや発射施設などを視察した。

   では、プーチン氏は金氏に何を求めたのか。金氏はロシアのウクライナ侵攻の支持を表明した。「われわれは常にプーチン大統領とロシアの指導者の決定を支持する。われわれは共に帝国主義との闘いに加わる」とロシアへの支持を改めて伝えた。ただ、会談では北朝鮮のロシアに対する武器供与の話が明らかになっていない。

   BBCは、北朝鮮はロシアに対して「応急措置」として武器を提供する可能性もある、と伝えている。この場合、北朝鮮の武器がロシアによってウクライナで使用されたことが明らかになれば、国連の北朝鮮に対する追加の制裁を引き起こす動きが出てくる。そこで、プーチン氏はあえて「quiet on weapons」だったと解説している。

⇒13日(水)夜・金沢の天気    はれ

★現場を行く~「武士道ガーディアン」と「殺人事件」

★現場を行く~「武士道ガーディアン」と「殺人事件」

          かつて勤めた新聞社とテレビ局での取材経験で、現場でしか実感できない謎解きの面白さや喜び、怒り、悲しみというものを味わってきた。今でもニュースで知っただけのことなのだが、無性に現場に行ってみたいという欲求が湧いてくることがある。きょう現場を2ヵ所巡った。

   航空自衛隊小松基地で、日本とオーストラリアの共同訓練が行われている。共同訓練は「武士道ガーディアン23」と呼ばれている。その訓練の様子がきのう11日に報道陣に公開され、けさの紙面に載っていた。航空自衛隊のプレスリリース(7月25日付)によると、訓練には空自の戦闘機F15「イーグル」16機やオーストラリア空軍の最新鋭ステルス戦闘機F35A「ライトニングⅡ」6機などが参加している。訓練の目的は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のためとしているが、海洋進出を続ける中国への対抗を念頭に、日豪の防衛協力を強化する狙いがあるのだろう。(※写真は上がF15、下がF35A=小松基地で午後1時30分ごろ撮影)

   記事の中で興味を抱いたのは「F35A」。F15はこれまで何度か見に行ったことはあるが、F35Aは初めてだった。正午ごろに小松基地周辺の無料駐車場に到着。すると、望遠レンズのカメラを携えたマニアらしき人たちがすでに40人ほどいた。乗用車のナンバーから石川県内のほか富山、福井、岐阜、静岡、愛知など遠方から来たようだ。そして、午後1時過ぎから訓練が始まった。驚いたのはF35Aの爆音だ。大型エンジンを搭載しているため、F15に比べ騒音が激しい。共同訓練は今月15日までだが、騒音被害を訴える市民の声も高まるのではないか。そんなことを思った。

   殺人事件があった。11日未明に石川県白山市のホテルで金沢市に住む23歳の女性が刺され死亡した。県警は同日午前中に白山市に住む54歳の男が刃渡り19㌢の刃物を持っていたとして金沢市内で銃刀法違反で現行犯逮捕、午後には殺人容疑で再逮捕した。ホテルの防犯カメラに映っていた人物と酷似していた。女性と逮捕された男の関係性は記事にはなっていない。女性には首や胸など10ヵ所ほど刺されていた。恨みによる犯行なのか。殺人の動機は徐々に解明されていくだろう。

   殺人があったホテルを見渡してみると、場所は市の中心部から少し外れにある=写真・下=。周囲には会社の建物やコンビ、そして別のホテルもある。新興地という雰囲気だ。メディア各社の報道によると、男はこのホテルで女性を殺害し、10㌔ほど離れた金沢市の繁華街へ自転車で移動し、逮捕されている。

   それにしても警察の防犯カメラの解析はスピード感がある。事件の発覚は午前1時半ごろで、ホテルの防犯カメラで人物像を察知。そして金沢の繁華街で逮捕されたのは午前7時45分ごろ。未明に繁華街の防犯カメラで男がうろついている様子が写っていて、警察は男の動向を把握していた。今後、生成AIによる防犯カメラの画像分析が可能になると、さらにリアルタイムな捜査となるのかもしれない。

⇒12日(火)夜・金沢の天気    はれ