#WHO

☆あすから寒波再び

☆あすから寒波再び

   今月9、10日に降った大雪。金沢の自宅周辺で積もった雪は70㌢ほどだった。あれから徐々に寒さはやわらぎ、きょうの日中の気温は8度ほどで雪解けの日だった=写真=。ところが、気象庁によると、あす29日にかけて低気圧が急速に発達しながら北日本に進み、30日にかけては日本上空に強い寒気が流れ込み、日本海側を中心に大雪となる恐れがあるとして、暴風雪や暴風、高波に警戒するよう呼び掛けている。北陸に住む者にとって、冬将軍の第3波が来ると身構える。

   ついでに寒さを感じたニュースをいくつか。菅総理はきょう28日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス禍で増える自殺など「孤独問題」を担当する閣僚が誰かを問われ、厚労大臣だと答える一幕があった。田村氏にとっては、突然の“任命”で、一瞬驚いた様子だったが「孤独の問題にもしっかり取り組みたい」と述べた。国民民主党の伊藤孝恵氏への答弁。伊藤氏はコロナの影響を踏まえ、ひとり親や不登校など「望まない孤独」の問題は多様化していると指摘。その究極が自殺として現れているとして、担当閣僚を置いて対策を進めるべきだと迫った(1月28日付・共同通信Web版)。イギリスでは2018年に世界で初めて「孤独担当大臣」を任命している。

       新型コロナウイルスの発生源などの解明に向けて中国・武漢に入っているWHOの国際的な調査チームは、28日午後、入国後の隔離措置を終え隔離先のホテルを出た。あす29日以降、現地での調査を本格化させる。しかし、 調査をめぐっては、感染拡大からすでに1年が経過していることから、WHO内部でも発生源の特定につながるのか疑問視する見方も出ていて、中国側が関連データの提供など調査チームの求めにどれだけ応じるかが焦点となっている(1月28日付・NHKニュースWeb版)。

   深海に生息する巨大なイカ、ダイオウイカが島根県出雲市の漁港に漂着しているのが見つかり、映像が公開された。漂着したのは体長が4㍍10㌢、重さが170㌔あるダイオウイカで、26日出雲市の猪目漁港で地元の漁業者が見つけた。連絡を受けて調べた島根県の水族館によると、ダイオウイカには獲物を捕らえる「触腕」と呼ばれる部分がなく、残っていれば体長は6㍍ほどあったと推定される(同)。

   このところ深海魚が出現したとの報道が多い。深海魚の出現は地震の前兆ではないかと身震いする。もちろん、科学的な論拠はない。現在午後11時20分、外はゴーゴーとかなりの強風だ。

⇒28日(木)夜・金沢の天気    くもり

★続・世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」なのか

★続・世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」なのか

         前回のブログで、WHOのテドロス事務局長は、富裕国が新型コロナウイルスのワクチンを独占して最貧国が苦しむならば、世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」だと警告した、との記事(1月18日付・時事通信Web版)を紹介した。次にテドロス氏が打ってくる手は、「最貧国にワクチンが届かなければ、オンリンピックは開催できない」、ではないかと懸念している。つまり、オリンピックを盾に富裕国にワクチン拠出を迫る、荒っぽい手口だ。

   そう懸念する論拠は以下だ。昨年2020年5月16日、WHOのテドロス事務局長とIOCのバッハ会長はジュネーブにあるWHO本部で会談し、スポーツを通して健康を共同で促進していこうという覚書(MOU)を交わした。ICOの公式ホームページにMOUの内容が紹介されている。

「the IOC and WHO are demonstrating their shared commitment both to promoting healthy society through sport, in alignment with Sustainable Development Goal 3 (“Good health and well-being”), and to contributing to the prevention of non-communicable diseases. (IOCとWHOは、SDGs目標3「健康と幸福」に沿って、スポーツを通じて健康的な社会を促進するという共通のコミットメントを示し、さらに非感染性疾患の予防に貢献する)

   問題なのはこの一文だ。「The IOC and sports organisations recently benefited from WHO guidelines on mass gatherings, aiming specifically to provide additional support to sports event organisers and host countries in developing a risk-assessment process, identifying mitigation activities and making an informed evidence-based decision on hosting any sporting events. The guidelines can be found here.」(意訳:IOCとスポーツ組織は、リスク評価プロセスの開発や緩和の特定、およびスポーツ大会の開催の決定に当たり、スポーツイベントの主催者と開催国に追加のサポートを提供する。実施にあたってはWHOからガイドラインを頂戴する)

   つまり、オリンピックなど国際スポーツイベントの開催にあたっては、WHOからガイドライン(この場合は助言)を示される。つまり、東京オリンピックでは、参加するすべての国にワクチンを行き渡らせることが開催のガイドラインとしてWHOが示す可能性もあるのではないか。

   実際、IOCとWHOの覚書の後の記者会見で、記者からワクチンが完成する見通しがたたない東京オリンピックの開催は可能かと問われ、バッハ会長は「2021年の7月に世界がどのようになっているかわからない。大会まで1年2ヵ月あり、WHOと作業チームの助言(ガイドライン)に従いながら正しい時期に必要な決定を行う」と、五輪開催の最終決定にあたってはWHOのガイドラインを重視すると述べている。

   IOC公式ホームページの写真でもトレーニング用の固定自転車でツーショット=写真=が掲載されている。解釈によっては、IOCとWHOは「両輪」、あるいは「二人三脚」と強調しているようにも読める。

   結論を急ぐ。MOUによってテドロス氏はある意味でオリンピックを開催するしないの「決定権」を握ったのだ。コロナワクチンを富裕国が独占し、最貧国に行き渡らない状態ではオリンピックは開催できないとテドロス氏が言えば、IOCも従わざるを得ないだろう。あるいは、テドロス氏は日本に対してオリンピックを開催するためと称して、最貧国へのワクチン購入費を要求してくるかもしれない。それも言葉巧みに脅し、すかしの外交用語で。上記は憶測である。

⇒20日(水)朝・金沢の天気     はれ

☆世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」なのか

☆世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」なのか

   天気予報によると、きょう19日の金沢の最高気温が零度、最低気温がマイナス2度だ。能登の輪島は最高気温がマイナス1度、最低気温がマイナス3度となっている。朝起きて自宅周囲を見渡すと10数㌢積もっている。きのうは雷もとどろいていたので、しばらく厳冬は続くだろう。

       それにしても、世界は「コロナ厳冬」だ。感染者9560万人、うち死者204万人(1月19日付・ジョンズ・ホプキンス大学コロナダッシュボード)。世界ではさまざま議論が沸き起こっている。WHOのテドロス事務局長は、富裕国が新型コロナウイルスのワクチンを独占して最貧国が苦しむならば、世界は「破滅的なモラル崩壊寸前」だと警告した(1月18日付・時事通信Web版)。

   中国外務省の華春瑩報道局長は19日の記者会見で、WHOの独立委員会が中国の新型コロナウイルス感染症への初期対応に遅れがあったと指摘した中間報告に反論した。華氏は武漢市の海鮮市場を昨年1月1日に閉鎖し、新型肺炎の発見からわずか3週間あまりで武漢を封鎖したと強調。早期に世界に警鐘を鳴らしたと主張した。また、新型コロナの起源を巡り政治問題化することに断固反対すると改めて強調。新型コロナ対策のため国際社会が団結し協力する助けにならないためだと理由を述べた(1月19日付・共同通信Web版)。

   上記のテドロス氏と中国の華報道局長の発言には違和感を感じた。中国が初期対応に遅れはなかったと言うのであれば、1月下旬は中国の春節の大移動で世界にコロナ禍をまき散らす結果となったが、なぜ出国禁止としなかったのか。そして、1月23日のWHO会合では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を時期尚早として見送った。WHOが緊急事態宣言を出したのは1週間遅れの30日だった。

   このころ、中国以外での感染が18ヵ国で確認され、日本をはじめアメリカ、フランスなど各国政府が武漢から自国民をチャーター機で帰国させていた。なのになぜ、WHOは23日に宣言を見送ったのか、中国に配慮して「武漢ウイルス」を国際的に宣言するのをためらったのはないか、との疑念が今もくすぶっている。

   テドロス氏は、コロナワクチンを「富裕国が独占している」として、「破滅的なモラル崩壊寸前」だと警告したが、ならば、その大前提として世界が抱いているテドロス氏への疑念に真摯に答えなければならない。でなければ、「そもそもパンデミックを広めたのは、貴方でしょう」と、議論は前に進まないのではないか。

⇒19日(火)午後・金沢の天気    あめ時々ゆき       

☆ワクチン囲い込み、WHOの思惑

☆ワクチン囲い込み、WHOの思惑

   けさWHOの公式ホームページをチェックした。直近8日(ジュネーブ現地時間)の記者会見(リモート)の模様が動画で掲載されている。その中で、テドロス事務局長は「The time to deliver vaccines equitably is now! 」(ワクチンを公平に届ける時が来た!)と語気を強めていた=写真=。会見のキーワードは「COVAX」だ。

   COVAXは、新型コロナスウイルスのワクチンを世界各国で共同購入して分配する国際的な枠組みで、WHOや途上国でのワクチン接種を支援する国際機関「Gavi」などが昨年7月に立ち上げた。日本やヨーロッパなどの高所得国などに拠出金を要請し、2021年末までに20億回分のワクチン確保を目指す。

   ところが、ワクチンの分配は現実に進んでいない。当日の会見で明かされたことは、ワクチンの接種や準備が42か国で始まり、このうち36ヵ国は経済的に豊かな高所得国、6ヵ国は中所得国で、低所得国には行き渡っていないというのが現実だ。

   テドロス氏は、高所得国によるワクチンの囲い込みの動きを牽制し、こう発言した。「Iurge countries that have contracted more vaccines than they will need, and are controlling the global supply, to also donate and release them to COVAX immediately, which is ready TODAY to rollout quickly.」(意訳:必要以上に多くのワクチンを契約し、世界の供給を管理している国々にも、すぐにCOVAXに寄付してリリースしてもらいたい。COVAXはきょうからすぐに展開できるようになっている)。そして冒頭の「The time to deliver vaccines equitably is now! 」となった。

   テドロス氏の発言はアメリカを強く意識したものとも読める。アメリカはこのCOVAXに参加していないのだ。自国の感染者2100万人、死亡者36万人(ジョンズ・ホプキンス大学ダッシュボード)という状況では、ワクチンを最優先で確保することがコロナ対策の課題だろう。アメリカのトランプ大統領は「WHOや中国の影響を受ける多国間組織の制約は受けない」と不信感を募らせ不参加を表明した経緯もある。

   おそらくアメリカのこうした態度に不満を抱いている。テドロス氏はこうも述べている。「This is a very dangerous time in the course of the pandemic and I do not want to see people become complacent as vaccines are starting to rollout.」(意訳:これはパンデミックの過程で非常に危険な時期であり、ワクチンが普及し始めていることに人々が満足するのを見たくはない)。

   パンデミックを終わらせるにはすべての国で一定の人々にワクチンを接種することであり、高所得国の全国民に接種することではない、ということだろう。ただ、テドロス氏の理想通りに低所得国にワクチンが持ち込まれたとして、はたして国民に公平な分配ができるのだろうか。国民同士の争奪戦になりかねない。

⇒9日(土)午前・金沢の天気    ゆき

☆静かなる年末年始(1)「WHOの忖度コロナ禍」

☆静かなる年末年始(1)「WHOの忖度コロナ禍」

   きょう24日、大学当局から新型コロナウイルス対策として、「静かな年末年始」を要請する通達がメールで届いた。そのポイントは2つ。1)「飲食は、家族、いつもの仲間と」。飲食は家族、いつもの仲間と短時間で開催し、隣の席との間隔の確保や、会話時のマスク着用など、基本的な対策を徹底すること。2)「帰省は、慎重に検討を」。帰省については、慎重な検討を要請する。特に発熱などの症状がある場合は帰省を控えること。どうしても帰省が必要な際は「三密」回避を含め基本的な感染対策を徹底する。また、大人数での会食を控え、高齢者への感染につながらないよう注意すること。要は、忘新年会は避け、帰省もしない方がよい、と。

   確かに2020年の年末、そして2021年の年始はこれまでとはまったく異なった「静かなる」年越しになるだろう。そこで、このブログでは「静かなる年末年始」として題して、この一年を振り返り、そして来年を占ってみたい。

   このブログで「新型コロナウイルス」という言葉を初めて用いたのはことし1月20日付だった。「中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について、当初は感染が限定的という報道だったが、それが直近の報道だと人から人への感染に広がっているようだ。深刻さを物語るように、中国で肺炎患者が増えていることを受けて、WHOの事務局長が22日にスイスのジュネーブで緊急の会合を開くことになったと報じている。まるで、パンデミック(pandemic)、世界的な感染の広がりを示唆する動きではないのか。」と述べた。

   自慢する訳ではないが、パンデミックはそのときオリジナルな言葉として使った。その後、WHOのテドロス事務局長が「パンデミックと表現できるとの判断にいたった」とパデミック宣言を表明し世界に注意を呼びかけたのは3月11日だった=写真・BBCニュースWeb版=。当時、中国にとどまらずイタリアや韓国、イランなど世界の広範囲に拡大し、世界で感染者数が12万人、死者は4380人に上っていた。

   WHOは1月31日付の公式ホームページ「WHO declares the new coronavirus outbreak a Public Health Emergency of International Concern.」(WHOは新型コロナウイルスの発生を国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態として宣言する)と注意喚起はしていた。この時点でパンデミック宣言をしていば状況が違っていただろう。なにしろ、中国では1月24日から旧正月の春節の大型連休に入り、日本を含め世界中に中国人観光客が訪れ、コロナ禍が世界に拡散したのだ。

   このとき、テドロス事務局長のコメントも悪評を買った。新型の病気が過去にないほどの大流行につながっている。だが、中国の対応も過去にないほど素晴らしい。中国の尽力がなければ中国国外の死者はさらに増えていただろう。中国の対応は感染症対策の新しい基準をつくったともいえる」「この理由で緊急事態を宣言する。中国への不信感を示したわけではない」「私は先日中国に渡航し、習近平国家主席のリーダーシップを目の当たりにした。他の国も見習うべきだ。中国国外の感染者数が少ないことについて、中国に感謝しなければいけない」(1月31日付・日経新聞Web版)。WHOによる中国への忖度(guesswork)が世界に暴露されたこの一年だった。

⇒24日(木)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆勇気ある発言

☆勇気ある発言

           これは実に勇気のある発言だと感じ入った。ロイター通信Web版日本語(11月27日付)によると、WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏が、新型コロナウイルスの起源が中国「外」とする主張について、かなりの憶測だという見方を示した。 中国は国営メディアを使って「コロナの起源が中国」との見方を否定する情報の拡散を続けている。

   さっそくWHO公式ホームページをチェックすると、27日の記者会見の動画が掲載されている。30分過ぎごろからのオンラインによる記者の質問で、「中国は、ウイルスは去年暮れに武漢の海鮮市場で確認されたが、それ以前に海外に存在していたと主張しているが、WHOの見解を述べてほしい」(意訳)と。これに対し、ライアン氏は「コロナウイルスが中国で発生しなかったとの主張はかなりの憶測で、公衆衛生の観点から、ヒトの感染が確認された場所から調査を始めるべきことは明白だ」(意訳)と述べ、WHOとしてウイルスの起源を調べるため、専門家らを武漢の食品市場に派遣する方針だと述べた。

   パンデミック以降、WHOの記者会見をたまにチェックしているが、ライアン氏は3月18日の会見では、アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んでいることについて、「ウイルスを特定の国に関連させないよう言葉遣いに注意することが重要だ」と批判した。当時は中国寄りの発言との印象だったが、今になって考えれば、実に的を得た回答ではある。科学的な論拠を経ずに、政治が外交プロパガンダとしてウイルスを使うことに違和感を隠さない、そのような人柄を感じる。

   ただ、余計な心配かもしれないが、かなり「外圧」が今後、ライアン氏にかかるのではないだろうか。中国からだ。そもそも、WHOと中国の関係性が疑われたのは今年1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、テドロス事務局長は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べていた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。

   さらにWHOが中国寄りの姿勢を露わにしたのは今回の年次総会だった。WHOに加盟していない台湾がオブザーバーとしての参加を目指し、中南米の国も参加を求める提案をしていたが、総会の議長は非公開での協議で提案の議論は行わなかった。このため、台湾のオブザーバー参加は認められなかった。台湾の参加はアメリカや日本などが支持した一方で、中国は強硬に反対していた(11月10日付・NHKニュースWeb版)。テドロス氏を通じた、中国からのライアン氏への圧力は心配ないのか。

⇒30日(月)午後・金沢の天気   はれ時々くもり 

★「テドロス氏が武器調達を支援」の衝撃

★「テドロス氏が武器調達を支援」の衝撃

           世界で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。ジョンズ・ホプキンス大学のサイト「コロナ・ダッシュボード」(11月19日付)によると、世界での感染者は累計5680万人、国別でもっとも多いのはアメリカの1169万人だ。亡くなった人も世界で累計135万人で、うちアメリカは25万人となっており。欧米での感染の広がりも尋常ではない。フランスの感染者は213万人とブラジルに次いで世界で4番目に多い。人口6200万人、日本のほぼ2分の1ながら、日本の感染者数12万人と比べれば、感染の勢いの強さが分かる。

   欧米などはコロナ禍以前から一般的にマスクを着ける習慣がなく、着用が義務化されていない国や地域などでマスクをしないまま人との接触を続けるケースが相次いでいるようだ。ヨーロッパでのマスクの着用率はまだ60%以下で、このままでは外出制限の回避は難しく、マスクの着用率を上げることが大きな課題となっているようだ(11月20日付・NHKニュースWeb版)。

   WHO自体もマスクを各国に推奨したのは6月5日だった。それ以前は、健康な人がマスクを着けても感染を予防できる根拠はないとしていた。そもそも、WHOのテドロス事務局長がマスクをしている画像を見当たことがない。

   そのテドロス氏の「画策」が母国のエチオピアでクローズアップされている。AFP通信Web版日本語によると、エチオピア軍の参謀長は今月19日の記者会見で、政府軍と対立している同国ティグレ州の政党「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」にテドロス氏が武器調達を支援していると批判した。今月4日、TPLFが政府軍の基地を攻撃したのに対して、アビー首相が反撃を命じ、戦闘が続いている。テドロス氏はティグレ人でTPLFの支援に回っているというのだ。アピー首相は2019年ノーベル平和賞を受賞している。

   エチオピアでの政府軍とTPLFによる戦闘について、ユニセフ(国連児童基金)も懸念していて、「今後、数週間のうちに20万人以上が国を逃れることが予想される」と、人道支援を呼びかけた(11月20日付・NHKニュースWeb版)。

   テドロス氏が武器調達を支援をしていることが事実とすれば、どのようなルートで行っているのか。あるいは、内戦を煽る目的は何か。関係が取り沙汰される中国の関与はあるのか。今後テドロス氏をめぐるニュースの視点はここに向かっていくだろう。それより何より、コロナ禍のパンデミックがピークに達しているときに、会見でこのようなことが晒されること自体が不徳のいたすところ、ではある。

(※写真はことし8月21日のWHOの記者ブリーフィング=WHO公式ホームページ) 

⇒20日(金)夕・金沢の天気     あめ

☆WHOに巻きつくヘビ

☆WHOに巻きつくヘビ

    WHOのテドロス事務長は信頼を得ることがさらに難しくなったのではないだろうか。新型コロナウイルスへの対応などを議論するWHOの年次総会が9日、テレビ会議形式で始まり、テドロス氏は、アメリカのトランプ大統領がWHOの脱退を通知していたものの、脱退を撤回すると表明していたバイデン氏が大統領選で勝利宣言をしたことを受けて、「緊密に連携していくことを楽しみにしている」と述べたと報じられている(11月10日付・NHKニュースWeb版)。

     トランプ氏が脱退を表明した理由は、テドロス氏の「中国寄り」の露骨な振る舞いがコロナ禍の拡大を招いたからだ。そもそも、WHOと中国の関係性が疑われたのは今年1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスやオーストラリアなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出したが、テドロス氏は「宣言する主な理由は、中国での発生ではなく、他の国々で発生していることだ」と述べた(1月31日付・BBCニュースWeb版日本語)。日本やアメリカ、フランスなど各国政府は武漢から自国民をチャーター機で帰国させていたころだった。

   中国でヒトからヒトへの感染を示す情報をWHOが世界に共有しなかったのはなぜか。トンラプ氏でなくとも疑問に思う。アメリカ政府は7月6日に国連に対し、来年7月6日付でWHOから脱退すると正式に通告した。アメリカは1948年にWHOに加盟し、最大の資金拠出国となっており、脱退による活動への影響が懸念されていた(7月8日付・共同通信Web版)。

   さらにWHOが中国寄りの姿勢を露わにしたのは今回の年次総会だった。WHOに加盟していない台湾がオブザーバーとしての参加を目指し、中南米の国も参加を求める提案をしていたが、総会の議長は非公開での協議で提案の議論は行わなかった。台湾の参加は認められなかった。台湾のオブザーバー参加はアメリカや日本などが支持した一方、中国が強硬に反対していた(11月10日付・NHKニュースWeb版)。

          台湾は中国・武漢で去年12月、コロナの感染拡大をSNS上で把握し迅速な対応策を発動して波及を防いだことは国際的にも知られる。人口2350万人の台湾での感染者の累計は578人(死者7人)=今月10日付・ジョンズ・ホプキンス大学コロナ・ダッシュボード=で、うち地元に原因がある発症は55件にとどめている。コロナ対策では国際的な評価を得ている台湾をオブザーバーとして参加させない理由はなぜか。テドロス事務局長による中国への配慮そのものではないのか。WHO脱退を撤回するにしても、バイデン氏にはその矛盾点をぜひテドロス氏に向けてほしい。

   WHOのシンボルの旗には杖に巻きつくヘビが描かれている。ギリシャ神話で医の守護神となったとされる名医アスクレピオスはヘビが巻きついた杖をいつも持っていた。それが、欧米では医療のシンボルとして知られるようになった。(※写真はことし8月21日のWHOの記者ブリーフィング=WHO公式ホームページ) 

⇒10日(火)朝・金沢の天気      はれ

★国連への評価が低くなった日本人の本音

★国連への評価が低くなった日本人の本音

          国連に対するイメージが自身の中で変化していると思っていた。どうやらこれは日本人全体がその傾向にあるようだ。アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」は、創設75年を迎える国連の実績について先進14ヵ国で実施した世論調査を発表した。それをCNN が伝えている。「Americans think the UN is doing a good job. Japanese people disagree.」(9月22日付・CNNニュースWeb版)。国連に対する評価が最も低かったのは、国連バッシングを続けているアメリカではなく、日本だった。

   調査は、アジア太平洋地域、北米と欧州の先進14ヵ国で6月10日から8月3日にかけて電話での聞き取り方法で行われた。調査対象国は、日本、韓国、オーストラリア、アメリカ、カナダ、デンマーク、ドイツ、オランダ、イタリア、スウェ―デン、ベルギー、フランス、スペイン、イギリスでそれぞれおよそ千人、合計1万4276人からデータを抽出した。

   CNN記事によると、アメリカ人の国連に対する評価は、トランプ政権の初期にはやや低下したが、ここ2年間に再び上昇してオバマ前政権時代とほぼ並んだ。国連に「好感を持つ」は62%に上り、「好感を持たない」は31%だった。この傾向は、他の先進国とそれほど大きな違いはなかった。

   突出していたのは日本で、国連に対する好感度は14ヵ国の中で最も低かった。「好感を持つ」は29%で、「好感を持たない」が55%と半数を占めた。1年前の前回調査は、「好感を持つ」が47%で、「好感を持たない」35%を上回っていた。「分からない」と「答えたくない」は今回16%、前回18%だった。

   上記の数字からも、日本人の国連に対する好感度は前回もさほど良くはなかった。それが、1年後には完全に逆転して、「好感を持たない」がハッキリした。では、自身を含め日本人の意識が大きく変化した理由はなぜか。ここからは自身の考えを述べたい。

   この1年で国連を見つめる目が大きく変化したのは、はやり新型コロナウイルスの感染拡大、パンデミックに対するWHOの対応だろう。中国でヒトからヒトへの感染を示す情報がありながら、WHOがその事実を知っていたにもかかわらず世界に共有しなかった。WHOと中国の関係性が疑われたのは1月23日だった。中国の春節の大移動で日本を含めフランスなど各国で感染者が出ていたにもかかわらず、この日のWHO会合で「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を時期尚早と見送った。同月30日になってようやく緊急事態宣言を出した。自身を含め日本人の多くはこの一件で中国に配慮したWHOとのイメージが根付いた。

   今回の調査でも数字で表れている。WHOによる新型コロナウイルス対応を「悪い」と答えた日本人は67%と、14ヵ国の平均のおよそ2倍だった。評価が日本よりも低かったのは韓国のみで、「悪い」とする回答は88%だった。ちなみに、アメリカは44%だった(9月22日付・CNNニュースWeb版)。中国の近隣国である日本と韓国の目線は、WHOの中国との処し方が最初から腑に落ちていなかったのだ。

   なぜ国連への好感度が低下しているのか。二つ目は国連安保理の常任理事国の有り様ではないだろうか。香港やウイグルにおける人権弾圧問題で国際批判を浴びている中国が常任理事国の座にある。連日のように尖閣諸島への中国公船の領海侵入がある。常任理事国の座にあれば問題を起こしても国連では問われない。その座を守っているのは拒否権だ。ロシアなどは旧ソ連時代を含めて127回も拒否権を発動している(2008年現在、「ウイキペディア」より)

   そして、国連憲章(第53、107条)で定めらている「敵国条項」に日本がいまだに入っている。ある国を攻撃する場合は国連安保理の承認が必要だが、「敵国」に再侵略の企てがあるとみなせば先制攻撃が可能で、安保理の承認は不要という規定だ。年間2億4千万㌦もの国連分担金を払っている日本が「敵国」なのである。

   矛盾の数々がこれまで日本人の心の底に眠っていたが、このところのWHOや最近の中国の動向で国連とは何か、このままでよいのかという義憤に転化してきたのではないだろうか。菅政権が向き合うべき課題がまた一つ増えた。

⇒23日(水)午前・金沢の天気     はれ

☆コロナ禍がもたらす「天気晴朗なれど波高し」

☆コロナ禍がもたらす「天気晴朗なれど波高し」

   この人は「パンデミック教」の教祖になったのかもしれない。WHOの公式ホームページをチェックして、今月21日の記者会見の冒頭で話したテドロス事務局長=写真=のコメントを読むと、そんな雰囲気だ。

       「Throughout history, outbreaks and pandemics have changed economies and societies. This one will be no different. 」(歴史を通じて、集団発生とパンデミックは経済と社会を変えてきました。今回も同じです)、「The pandemic has given us a glimpse of our world as it could be: cleaner skies and rivers.」(パンデミックによって、私たちの世界が一目でわかるようになりました。きれいな空と川です)

   バンデミックが、気候変動に対応する世界的な取り組みに寄与していると語っている。その事例として、イギリスでは、最も汚染度の高いエネルギーである石炭の使用が250年で最低レベルにまで落ち込んだこと。スペインは世界で最も急速な脱炭素国の一つになりつつあり、国の15の石炭火力発電所のうち7が最近閉鎖されたこと。そして、パリは、徒歩や自転車であらゆるサービスに簡単にアクセスできる「15分の都市」になることを約束しており、大気汚染や気候変動を減らしている、と事例を紹介している。

   「COVID-19 is a once-in-a-century health crisis. But it also gives us a once-in-a-century opportunity to shape the world our children will inherit – the word we want.」(新型コロナウイルスは、1世紀に1回の健康危機です。 しかし、それはまた、私たちの子たちが継承する世界、つまり私たちが望む言葉をカタチに変える、1世紀に1回の機会を私たちに与えてくれました)。地球温暖化阻止に向けて、パンデミックは人類に素晴らしいチャンスを与えてくれた、と。   

  地球温暖化につながる大気中の二酸化炭素濃度の増加ペースが急減したのは、コロナ禍により経済活動が停滞したことで起きている話である。それを「パンデミック効果」として世界に向けて発信することが果たして妥当なのだろうか。テドロス氏の言葉は宗教的に読める。「Hardship is always an opportunity to learn, to grow and to change.」(苦難は常に学び、成長し、変化する機会である)。この言葉を否定するするつもりはないし、二酸化炭素の削減は世界の課題目標であることは間違いない。

   ただし、コロナ禍が世界にもたらす景気後退の影響はもっとシビアだ。イギリスではことし第2四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)が前期比20.4%縮小。第1四半期の経済成長率はマイナス2%だったため、正式にリセッション(景気後退)に入った。就労人口は4月から6月にかけて22万人減少。この減少幅は四半期ベースで、世界金融危機の渦中にあった2009年5月-7月以来の規模になる(8月12日付・BBCニュースWeb版日本語)。GDPの落ち込みはイギリスだけでなく、アメリカでも年率換算でマイナス32.9%となるなど、世界で歴史的な下落となっている。まさに、「コロナ恐慌」の前兆だ。

   今後、世界では貧困の拡大、移住労働者の制限や排除、国家の財政破綻などさまざまは局面があるだろう。工場からの排出ガスが減り、「きれいな空と川」が見えたとしても、それは「天気晴朗なれど波高し」の現実ではないだろうか。

⇒24日(月)夜・金沢の天気    はれ