#PCR検査

☆羞恥心と民主主義

☆羞恥心と民主主義

   「中国の公衆トイレには仕切りがない」。そのような話を以前から聞いていたが、実際に見たのは2011年6月のことだった。北京で開かれた国際会議に出席したとき、会場のホテルのトイレは日本と同じ個室だった。ところが、街中に出て入った「便利店」(コンビニ)のトイレには仕切りがなかった。しゃがむタイプの便器が3つ並んでいた。そこで用を足す気にはなれず、ホテルに戻った。中国人は排便を見られても恥ずかしくない、そのような文化なのだろうと実感したものだ。確かに、排尿や排便は人間の生理現象であり、恥ずることではなく、隠すことでもないというのが中国では道理なのだろう。そう考えると、このニュースは納得がいく。

   NHKニュースWeb版(3月1日付)によると、中国では集団隔離の対象者や空港での入国者に対し、肛門によるPCR検査が実施されていて、加藤官房長官は「在中国日本大使館に一部の日本人から、心理的苦痛が大きいなどの意見が寄せられている」と述べた。その上で、「肛門によるPCR検査を日本人に対して免除するよう大使館から中国外務省や北京市関係当局に申し入れをした」という。その後、検査方法を変更するとの回答は中国からまだない。

   肛門による検査は、5㌢ほどの綿棒を肛門に挿入し、回転させて検体を採取する。肛門から採取された検体は鼻やのどから採取する検体よりも陽性を示す期間が長く、のどでは発見できないウイルスが便から検出されることになり感染者の見落としを防ぐことができるようだ。つまり、肛門での検査はより徹底したウイルス対策ということになる。ましてや、排便を見られても恥ずかしくない国柄なので、検査のために肛門を見られても、違和感はない。むしろ、日本人が心理的苦痛や羞恥心を訴えようが、優先させるべきはウイルス対策と中国当局は考えているに違いない。

   もう一つのニュースも中国人の感覚なのだろうか。きのう5日に開幕した中国の全国人民代表大会で、習近平指導部は「香港の選挙制度には明らかな欠陥がある」として、中央政府が主導して選挙制度を変更する方針を示した。香港政府トップの行政長官を選ぶ「選挙委員」の権限を大幅に強化して、議会にあたる立法会の議員の多くも、選挙委員が選ぶようにするとしている。市民が直接投票で選ぶ議席を極力減らすことで民主派を排除するねらいがあるとみられる(3月6日付・NHKニュースWeb版)。

   中国にとっては今の香港の民主的な選挙制度を「明らかな欠陥」として、余計な民主派議員を排除する。肛門のPRC検査と同様、中国スタンダードで言えば羞恥心も民主主義も必要ない、ということか。

⇒6日(土)午後・金沢の天気     あめ

☆緊急事態は解除、季節は「夏マスク」へ

☆緊急事態は解除、季節は「夏マスク」へ

   きょう北陸は蒸し暑い。石川は24度の予想だが、お隣・富山は27度だ。外出していて、この夏日の暑さでうっとうしいのはマスクだ。アベノマスクはまだ自宅に届いていないが、布マスクをすると考えただけで息苦しさを感じる。夏用のすっきりしたマスクはあるのだろうか。ネットで検索すると、能登半島にある丸井織物(中能登町)が夏物の服に使われるポリエステル製のマスクを製造販売している=写真=。6月20日発送分まで待たなければならないほど人気のようだ。

   安倍総理はきょう午後、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について、39県の解除を正式決定する。重点的な対策が必要な13の「特定警戒都道府県」のうち、石川、茨城、岐阜、愛知、福岡の5県と特定警戒以外の34県が対象。総理が記者会見で理由を説明する。決定に先立ち、政府は午前、有識者の意見を聞くための諮問委員会を開催。諮問委は39県の解除を了承した(14日・共同通信Web版)。

   ただ、これまで議論が白熱したPCR検査の在り様について結論にいたっていない。今月11日の参院予算委員会でも感染症対策専門家会議の副座長が感染者総数の実態について、「(実際の人数は)10倍か15倍か20倍というのは誰も分からない」と述べていた。実際の感染者数は日々報告されている数を上回る可能性があるとの見方だった。

   隠れウイルス感染者が仮に20倍もいるとすれば、感染に気がつかずに亡くなる人も大勢いるはずだ。そこで新聞の死亡欄をチェックしてみる。とくに、金沢市は人口10万人当たりの感染者が27.9人(13日現在)と東京都の35.9人に次ぐ。仮にその20倍だったら、おそらく新聞の死亡欄はあふれるのではないか、と。ここ数日の金沢市を調べると5人から8人(12-14日、北陸中日新聞死亡欄)だ。不謹慎な言い方だが、死亡欄があふれ返っていれば新聞が大騒ぎするだろう。感染者が20倍もいるとは到底思えない。

   話を戻す。PCR検査を徹底してやるべきなのか。感染者を徹底的に洗い出して隔離すべきは隔離し、第二波、第三波が来るの防げとの論調はどうなのか。山梨大学の学長が「不十分な検査体制は日本の恥」とまで言って議論を呼んだ。解除を決定するのであれば、この際、議論にぜひケリをつけてほしいものだ。

   解除されるとは言え、コロナウイルスは身近にいるだろうことは想像がつく。用心は続けたい。季節は「夏マスク」に移行する。

⇒14日(木)午後・金沢の天気    はれ