#ICBM

☆北朝鮮のICBMの狙い アメリカ全土を射程に

☆北朝鮮のICBMの狙い アメリカ全土を射程に

   昨夜に弾道ミサイルを日本海に発射した北朝鮮がけさもICBM級の弾道ミサイルを発射した。防衛省はきょう午前8時24分ごろ、北朝鮮からICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイル1発が発射され、北海道の奥尻島の北西およそ250㌔の日本のEEZ外の日本海に9時37分ごろ落下したとみられると発表した。飛行距離は1000㌔ほど、最高高度は6000㌔超でおよそ73分間飛行したと分析されている。

   北朝鮮は7月12日にもICBMを1発発射している。このときも74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方250㌔の日本海のEEZ外に落下。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が打ち上げたICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

   今回の軌道は高い角度で打ち上げて飛距離を抑える、いわゆる「ロフテッド軌道」と呼ばれる。これを通常の軌道で発射すれば、搭載する弾頭の重さなどによっては飛行距離が1万5000㌔を超えてアメリカ全土が射程に入る(※図は防衛省公式サイト「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)。このことは当然アメリカも意識しているに違いない。

   以下は自身の憶測だ。北朝鮮はロシアと連携し、ICBMを打ち上げることでアメリカの意識をウクライナから朝鮮半島へとそらすことを画策しているのではないだろうか。ロシアとすれば、クラスター爆弾を供与するなどウクライナへのアメリカの肩入れがハードルになっている。そこで、アメリカに北朝鮮を注目させる。朝鮮戦争の再開を目論んでいるかもしれない。さらに、中国による台湾への軍事侵攻を仕掛けさせて、アメリカを巻き込ませる。そのようなシナリオをロシアが描いていても不思議ではない。

   このところ、ロシア・中国・北朝鮮の首脳外交が活発化している。プーチン大統領と習国家主席が北京で首脳会談(10月18日)、金総書記とプーチン大統領によるロシアでの首脳会談(9月13日)が開かれている。首脳会談では当然、3国間での安全保障についても語り合ったことだろうと想像して勝手にシナリオを描いた次第。

⇒18日(月)午後・金沢の天気  くもり時々あめ

☆核攻撃をシュミレーション 北朝鮮また弾道ミサイル

☆核攻撃をシュミレーション 北朝鮮また弾道ミサイル

          北朝鮮が深夜にまた弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省公式サイト(31日付)によると、発射は30日午後11時38分と同午後11時46分の2回。1回目は最高高度およそ50㌔で、350㌔ほど飛翔した。2回目も最高高度およそ50㌔で、400㌔ほど飛翔した。2発とも北朝鮮西岸付近から発射され、落下したのはいずれも朝鮮半島東岸の日本海で、日本のEEZ外だった=イメージ図、防衛省作成=。

   北朝鮮は1週間前の今月24日午前3時51分、北朝鮮北西部沿岸地域から、弾道ミサイル技術を使用した衛星を発射している。発射された1発は複数に分離し、午前4時ごろまでに日本のEEZ外にあたる朝鮮半島の西300㌔ほどの黄海、南西およそ350㌔の東シナ海、フィリピンの東600㌔程度の太平洋にそれぞれ落下した。衛星の打ち上げを試みたものの、地球周回軌道への衛星の投入は確認されておらず、打ち上げは失敗したとみられる。

   北朝鮮は失敗を繰り返しながら弾道ミサイル技術を進化させ、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発にこぎつけている。そして、ミサイルよりさらに高コストの衛星の打ち上げにも挑んでいる。では、今回の深夜2発はどのような意図で打ち上げたのか。読売新聞Web版(31日付)によると、北朝鮮の朝鮮中央通信は、北朝鮮軍が30日夜、平壌の飛行場から北東に向け、弾道ミサイル2発を発射する「戦術核打撃訓練」を実施したと報じている。

   「戦術核打撃訓練」とはどのような訓練なのか。BBCニュースWeb版(31日付)は「North Korea says it simulated nuclear strike on South」(意訳:北朝鮮、韓国への核攻撃をシミュレーションしたと発表)の見出しで今回の発射を伝えている=写真・下=。北朝鮮の発射は、韓国軍とアメリカ軍による11日間の合同軍事演習の最終日の前日に行われた。北朝鮮はこれまで「合同訓練は戦争のリハーサル」として非難してきたが、最近では軍事行動によって明確なメッセージを送っている。「戦術核打撃訓練」は韓国軍の主要な司令部と飛行場を戦術核で攻撃する作戦のシュミレーションと分析されている。

   確かに、防衛省が作成した落下地点のイメージ図をそのまま南に向けるとソウルなどの拠点がすっぽりと入る。さらにメディアによると、今回発射された2発の弾道ミサイルは目標とした島の上空400㍍で空中爆発をさせている。これは、核弾頭の空中起爆を想定した訓練だったと、朝鮮中央通信を引用して伝えている(31日付・日経新聞Web版)。

   となれば、核兵器の開発を急ぐ北朝鮮の7回目の核実験はいつあるのか、いつ起きても不思議ではない情勢になってきた。   

⇒31日(木)午前・金沢の天気  はれ時々くもり

☆国土保全より衛星開発を優先させる隣国の事情

☆国土保全より衛星開発を優先させる隣国の事情

   北朝鮮がまた弾道ミサイルのような衛星を発射した。防衛省公式サイト(24日付)によると、北朝鮮はきょう午前3時51分、北朝鮮北西部沿岸地域のトンチャンリ地区から、弾道ミサイル技術を使用した衛星の発射を強行した。発射された1発は複数に分離し、午前4時ごろまでに日本のEEZ外にあたる朝鮮半島の西300㌔ほどの黄海、南西およそ350㌔の東シナ海、フィリピンの東600㌔程度の太平洋にそれぞれ落下したと推定される=イメージ図、防衛省作成=。衛星の打ち上げを試みたものの、地球周回軌道への衛星の投入は確認されておらず、衛星打ち上げは失敗したとみられる。

   北朝鮮は5月31日にも衛星を打ち上げたが、エンジン異常で墜落。今月22日に、24日午前0時から31日午前0時に再度衛星を打ち上げると海上保安庁などに通告していた。これに対し、内閣府は衛星打ち上げが目的であっても、弾道ミサイル技術を用いた発射は国連安保理の決議違反であると非難していた。

   朝日新聞Web版は、北朝鮮の朝鮮中央通信のきょうの発表を伝えている。偵察衛星「万里鏡1号」を新型の衛星運搬ロケット「千里馬1型」に載せ、北朝鮮北西部、平安北道(ピョンアンブクト)の「西海衛星発射場」から発射した。2段目までは正常に飛行したが、3段目の飛行中に「非常爆発システムに異常が発生した」としている。北朝鮮の国家宇宙開発局は「エンジンの信頼性とシステム上、大きな問題ではない」と主張。原因究明と対策を進め、「10月に3回目の偵察衛星発射を断行する」と伝えている。

   北朝鮮は失敗を繰り返しながら弾道ミサイル技術を進化させ、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発にこぎつけた。しかし、ミサイルよりさらに高コストの衛星を打ち上げたが再度失敗。そして、22日付のロイター通信Web版日本語は、金正恩総書記が干拓地の冠水を巡り金徳訓首相の対応が「無責任」だったために、国家経済に深刻な損害を与えたと強く批判したと報じている。国土保全より人工衛星が優先されているようだ。

⇒24日(木)夜・金沢の天気    はれ

☆また北朝鮮の弾道ミサイル 日本海側に緊張走る

☆また北朝鮮の弾道ミサイル 日本海側に緊張走る

   北朝鮮がまた弾道ミサイルを発射した。防衛省公式サイト(19日付)によると、北朝鮮は午前3時29分に1発目を発射、最高高度50㌔で550㌔を飛翔した。2発目は午前3時45分に発射、最高高度50㌔で600㌔を飛翔した。いずれも朝鮮半島東の日本のEEZ外に落下した=図、防衛省公式サイトより=。ミサイルはいずれも変則的な軌道で飛行した可能性がある。午前4時46分から浜田防衛大臣は臨時会見を行い、「我々としてはこれ容認することはできない。外務省を通じて北朝鮮に対して抗議を行う」と述べた。

   北朝鮮は今月12日にもICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を発射した。弾道ミサイルは74分間飛翔し、北海道の奥尻島の西方約250㌔の日本海のEEZ外に落下した。飛翔距離は1000㌔、最高高度は6000㌔を超えると推定されている。北朝鮮が弾道ミサイルや、弾道ミサイル技術を用いたものを発射したのはことし13回目だ。

   「弾道ミサイル」は発射から10分ほどで日本国内へ到達する。国内に落下する可能性がある場合には、緊急情報を瞬時に伝える「Jアラート」が国から伝えられ、防災行政無線や緊急速報メールなどで緊急情報として伝えられる。

   ネットによると、きょう富山市では弾道ミサイルの落下に備えた住民避難訓練が行われた。防災行政無線で「ミサイルが発射されたものとみられます、建物の中、または地下に避難してください」と放送。住民らは近くの地下歩道などに駆け込んだ。国と県、市が共同で行っているこの訓練は今年度で36回実施される予定。昨年の12回に比べ3倍に増えている(19日付・北日本新聞Web版)。(※写真は、きょうの北朝鮮の弾道ミサイル発射を伝える地元紙の夕刊)

   自身も「Jアラート」避難訓練に参加したことがある。2017年8月30日に能登半島の輪島市で実施された。この年の3月6日、北朝鮮は弾道ミサイルを4発発射、うち1発が輪島市の北200㌔の海上に落下した。このため、避難訓練は実にリアリティがあった。午前9時に防災行政無線の屋外スピーカーから「これは防災訓練です」と前置きして、Jアラートの鈍い警報音が流れた。その後「ミサイルが発射された模様です」「ただちに頑丈な建物や地下に避難してください」とアナウンスが流れた。防災行政無線による避難の呼びかけは10分間ほど続いた。

   日本海側に住む者にとっては北朝鮮の弾道ミサイルは脅威そのものだ。

⇒19日(水)夜・金沢の天気    あめ

☆「まだ降りやまぬ」 北陸の雷雨、北朝鮮のICBM

☆「まだ降りやまぬ」 北陸の雷雨、北朝鮮のICBM

   文部省唱歌に「降っても降っても まだ降りやまぬ」という歌の一節があるが、まさこのことかもしれない。北陸は大気の状態が不安定で、いまも雷鳴が響いて強い雨が降ったり止んだりしている。午後5時までの24時間に降った雨の量は金沢市医王山で70㍉、輪島市三井と小松市で60㍉などとなっている。あすにかけてさらに激しい雨が降る見込みで、予想される1時間の降水量は多いところで加賀・能登ともに40㍉。雨は降り続く。

   さきほど気象庁は午後9時39分に「顕著な大雨に関する情報」を発表した。石川県で線状降水帯が発生し、土砂災害や洪水が発生する危険性が急激に高まっている。

   予報によると、朝鮮半島から東北地方に延びる梅雨前線が南下し、北陸地方に停滞する見込み。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込む一方、上空5500㍍に氷点下6度以下の寒気が入り込むため、13日にかけて大気の状態が非常に不安定となる。案じるのは、5月5日に震度6強の揺れがあった能登半島の珠洲市を中心とする奥能登エリアだ。地震で地盤に割れが入っているところに大雨が続くと土砂崩れなどの二次災害が発生するのではないかと地質の専門家ではないが、そう考えてしまう。(※写真は、北陸電力公式ホームページ「雷情報」より)

   降りやまないのは雨だけではない。北朝鮮がまた日本海に向けてICBMを放った。防衛省公式サイトによると、きょう12日午前9時59分、北朝鮮の首都平壌近郊からICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を東の方向に発射した。弾道ミサイルは74分間飛翔し、同11時13分ごろ、北海道の奥尻島の西方約250㌔の日本海のEEZ外に落下した=イメージ図、防衛省作成=。飛翔距離は約1000㌔、また最高高度は約6000㌔を超えると推定されている。

   このニュースで、北朝鮮が5月31日に「軍事衛星」を打ち上げた件を思い出した。軍事衛星「万里鏡1号」を新型ロケット「千里馬1型」に搭載し発射したが、「1段目の分離後、2段目のエンジン始動に異常があり推進力を失って朝鮮西海(黄海)に落ちた」(北朝鮮国営メディア「朝鮮中央通信」Web版)。そして、「国家宇宙開発局は衛星発射で現れた重大な欠陥を具体的に調査、解明し、可能な限り早期に2回目の発射を断行する」と述べていた。今回の発射が「2度目の断行」とどう関わっているのか。専門機関の分析を待ちたい。

⇒12日(水)夜・金沢の天気    雷雨

✰北の弾道ミサイルはなぜレーダーから消えたのか

✰北の弾道ミサイルはなぜレーダーから消えたのか

   きのう朝、北朝鮮による弾道ミサイル発射で、日本政府は北海道に落下のおそれがあるとしてJラートを発出して、住民に避難を呼びかけた。その後、落下の可能性がなくなったと修正する情報を出した。Jアラートは精度の高いレーダー情報をもとに分析の上で発出されるが、メディア各社の報道によると、弾道ミサイルが途中でレーダー上から消えたことが原因とされる。

   その弾道ミサイルの発射の動画が、きょう北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央テレビ」で公開され、NHKがツイッターで上げている。ゆっくりと立ち上がる移動式発射台。そして、空中で燃料が点火されると轟音を上げて空へと突き進んでいく。実に生々しい映像だ=写真・上=。

   きょうの北朝鮮の党機関紙「労働新聞」は 「조선민주주의인민공화국 전략무력의 끊임없는 발전상을 보여주는 위력적실체 또다시 출현 경애하는 김정은동지께서 신형대륙간탄도미싸일 《화성포-18》형 첫 시험발사를 현지에서 지도하시였다」との見出しで、金正恩総書記の立ち会いのもと、新型の大陸間弾道ミサイル「火星18型」を初めて試験発射したと述べている=写真・下=。

   2つの国営メディアの記事によると、今回の新型のICBM「火星18型」の発射実験は、従来の液体燃料ではなく、固体燃料が使った初めての発射実験だった。液体燃料は注入に時間がかかることから、その発射の兆候が他国の衛星などで察知されやすい。固体燃料だと即時に発射でき、また、地下サイロ(格納庫)から発射できる。金総書記は「『火星18』は核反撃態勢の効用性を進展させ軍事戦略の実用性を変革させるだろう」と述べ、実験成功に満足しているとのこと。

   日本の防衛にとっての問題は、冒頭でも述べたように、そのICBMを防衛省のレーダーで見失ったことではないだろうか。以下は憶測だ。北朝鮮は、液体燃料のICBM「火星17型」を北海道近辺に何度も発射している。ことし3月16日には午前7時9分に発射、飛翔距離は約1000㌔、最高高度は約6000㌔超え、70分飛行して午前8時19分ごろに北海道の渡島大島の西約200㌔のEEZ外側の日本海に落下した。今回、自衛隊の各種レーダーなどで発射直後から落下まで追尾をできなかったということは、火星18型の最高高度がこれまで想定していた火星17型の6000㌔よりはるかに超えたためではないだろうか。

   北朝鮮が液体燃料から固体燃料へと、奇襲攻撃を想定したICBMにシフトさせ、さらに、高高度へと機能を拡大させているとなると、いわゆる「ロフテッド軌道」の角度を低くすれば、飛翔距離は1万4000㌔を超えてアメリカ全土が射程内に入る。憶測の話ではあるものの、日本の防衛レーダーでICBMそのものが探知できなくなったこと、そのことが問題ではないだろうか。敵基地攻撃能力などとは次元の異なる防衛の有り方が問われている。

   そして、いったいどこの国が北朝鮮をコントロールしていくのか。このままいけば、「核反撃態勢」を整えるために、7回目の核実験も時間の問題ではないだろうか。

⇒14日(金)午後・金沢の天気    くもり

★北朝鮮またICBM 日本海で頻発する威嚇争い

★北朝鮮またICBM 日本海で頻発する威嚇争い

   日本海側に住む者としてやはりこのニュースは気が気でない。メディア各社の報道によりと、防衛省は、北朝鮮が16日午前7時9分ごろ、首都・平壌近郊からICBM(大陸間弾道ミサイル)1発を東側に向けて発射、70分飛行し、午前8時19分ごろに北海道の渡島大島の西約200㌔のEEZ外側の日本海に落下したと発表した。飛翔距離は約1000㌔、最高高度は約6000㌔を超えると推定される。(※写真は、2022年3月24日に北朝鮮が行ったICBM「火星17型」の発射実験。最高高度は6248㌔に達し、飛翔距離1090㌔、67分32秒飛行した=同25日付・労働新聞Web版)

   高い角度で打ち上げて、飛距離を抑える、いわゆる「ロフテッド軌道」での発射だ。弾頭重量にもよるが、ICBMの角度を低くすれば、飛翔距離は1万4000㌔を超えてアメリカ全土が射程内に入る。北朝鮮は今月13日に始まった米韓の合同軍事演習に強く反発し、軍事的挑発行動を続けている。

   北朝鮮と米韓の威嚇争いが頻発している。北朝鮮は先月18日にもICBM「火星15」を、同じ北海道の西200㌔のEEZ内に落下させている。これに対抗し、米韓は翌19日、戦略爆撃機やステスル戦闘機による合同空中訓練を実施している。これに北朝鮮は反発。金正恩総書記の妹、金与正党副部長は翌20日、国営メディアを通じて発表した談話で「最近、朝鮮半島でアメリカ軍の戦略的な打撃手段の動きが活発になっている」と指摘。「情勢を激化させる狂信者にその代価を支払わせる意志に変わりがないことを今一度確言する」と威嚇した(2月20日付・聯合ニュースWeb版日本語)。

   2月28日には米韓合同訓練では特殊部隊を動員した「チークナイフ(Teak Knife)」、別名「斬首作戦」と呼ばれる北朝鮮の指導部を狙った訓練が行われた。この訓練は1990年代以降で毎年実施されているが、尹錫悦政権の発足後の去年9月に続き、半年で2回実施したことになる。

   アメリカは北朝鮮を悪の枢軸」と位置付ける。朝鮮戦争(1950年6月-53年7月)で、北朝鮮側が国境線といわれた38度線を南下し、韓国に侵攻した。これにアメリカなど国連軍は反撃したが、アメリカ軍は3万6000人にもおよぶ多大な犠牲を払った。朝鮮戦争は現在も休戦状態にあり、一触即発の状況に変わりない。朝鮮戦争にどう決着をつけるか、アメリカにとって、チークナイフはその選択肢の一つなのだろう。挑発の頻度を高める北朝鮮、米韓合同訓練の威嚇争いが日本海で頻発する。

⇒16日(木)午前・金沢の天気     くもり

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

★また2発 北朝鮮「狂信者に代価を支払わせる」

   北朝鮮がきょうも弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省公式サイト(20日付)によると、午前6時59分ごろに弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約100㌔で、400㌔ほど飛翔。さらに、午前7時10分ごろにも1発を発射した。最高高度は約50㌔で、350㌔ほど飛翔した。いずれも日本海のEEZの外側に落下した=図は防衛省公式サイトより=。

   そして異例のこともあった。韓国の中央日報Web版(同)よると、きょう発射の2時間後の午前9時に、北朝鮮の朝鮮中央テレビの放送で、アナウンサーが「20日朝7時、放射砲射撃訓練を行った」とミサイル発射を速報した。 さらに正午には、今回発射したミサイルの写真も公開。ミサイル発射の直後に写真などを公表するのは異例だ。

   また、北朝鮮の朝鮮中央通信(20日付)は、戦術核を搭載可能な「600㍉放射砲」2発を発射する訓練を行ったと発表した。北朝鮮は新年早々に弾道ミサイル1発を発射。前日の12月31日にも弾道ミサイル3発を日本海に向け発射している。国営メディアは、いずれも「超大型ロケット砲」だったと伝えた。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(1月1日付・Web版)によると、党中央委員会総会で、金正恩総書記は演説し、戦術核兵器を大量生産する必要性を述べ、「核弾頭の保有量を幾何級数的に増やす」と方針を示した。

   そして、北朝鮮は今月18日にICBM「火星15」を北海道の西200㌔のEEZ内に落下させた。これに対抗し、アメリカと韓国は19日、戦略爆撃機やステスル戦闘機による合同空中訓練を実施した。

   さらに北朝鮮は反発。金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正党副部長は20日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で「最近、朝鮮半島でアメリカ軍の戦略的な打撃手段の動きが活発になっている」と指摘。「わが国の安全に直接・間接的な懸念があると判断される時には相応の対応に乗り出す」と警告した。また「情勢を激化させる狂信者にその代価を支払わせる意志に変わりがないことを今一度確言する」と威嚇した(20日付・韓国聯合ニュースWeb版日本語)。米韓と北朝鮮の威嚇争いは、とめどなくエスカレートしている。

⇒20日(月)夜・金沢の天気     くもり時々あめ

☆朝鮮半島の争乱は対岸の火事なのか

☆朝鮮半島の争乱は対岸の火事なのか

   前回ブログの続き。共同通信Web版(19日付)によると、北朝鮮メディアは19日、新設組織とみられる「ミサイル総局」傘下の大陸間弾道ミサイル(ICBM)運用部隊が18日午後にICBM「火星15」の抜き打ちの発射訓練を首都平壌の平壌国際空港で実施したと伝えた。この訓練で「われわれの強力な物理的核抑止力の信頼性」を証明したとしている。金正恩党総書記は訓練に立ち会わなかった。この記事から読み取れることは、アメリカに対してICBMは実戦配備済みだと強調したかったのだろう。

   その狙いは、アメリカと韓国が来月実施する合同軍事訓練に対する威嚇にあるようだ。共同通信Web版(17日付)によると、韓国国防省は17日、北朝鮮の核・ミサイルの脅威への対応を目的とした、米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を3月中旬に11日間連続で実施し、期間中に大規模な野外機動訓練も行うと発表した。また、韓国ハンギョレ新聞Web版日本語(19日付)は、演習はコンピューターシミュレーションを通じて北朝鮮の核実験と軍事的挑発を想定して合同防衛態勢を点検するものだが、両国は演習期間中に師団級の合同上陸訓練と20余りの米韓連合の野外機動訓練なども行う、と報じている。

   米韓の合同演習に対し北朝鮮外務省は17日に「持続的で前例のない強力な対応に直面することになる」と警告する報道官談話を出していた(18日付・朝日新聞Web版)。この談話の延長線上にきのうのICBM発射があったのだ。このまま朝鮮半島の緊張がさらに激化するとどうなるのか。

   以下、憶測だ。アメリカは北朝鮮を「テロ支援国家」や「ならずもの国家(rogue state)」と敵対視している。去年の米韓の合同軍事演習では野外機動訓練(8月)が4年ぶりに再開されるなど実に念入りだった。9月と10月には米原子力空母「ロナルド・レーガン」などが参加した海上機動訓練、11月にはステルス戦闘機と称されるアメリカの戦略爆撃機「B1B」が朝鮮半島周辺の上空で空中訓練を実施した。朝鮮戦争では休戦協定(1953年7月)が結ばれたものの、現在も戦争状態が継続している。米韓が攻撃とみなせば戦争は再開される。このとき、実施されるのが金総書記に対する斬首(ピンポイント)作戦だろう。

   ただ、戦争となれば対岸の火事ではない。斬首作戦が成功したとしても北朝鮮国内は騒乱状態になり大量の難民が船に乗って逃げ出すだろう。ガソリンが切れたり、エンジンが止まった船の一部はリマン海流、そして対馬暖流に乗って能登半島などに漂着する。無事漂着したとして大量の難民をどう受け入れるのか、武装難民だっているだろう。その影響は計り知れない。日本海側に住むがゆえの胸騒ぎではある。

⇒19日(日)夕・金沢の天気     あめ

★アメリカに狙い定めたか 繰り返される北朝鮮のICBM

★アメリカに狙い定めたか 繰り返される北朝鮮のICBM

   きょう夕方、北朝鮮がICBMを発射した。防衛省公式サイト(18日付)によると、北朝鮮は午後5時時21分ごろ、平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを東方向に発射した。弾道ミサイルは66分飛翔し、午後6時27分ごろに北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海のEEZ内に落下した。飛翔距離は約900㌔、最高高度は約5700㌔と推定される。

   北朝鮮がICBMを発射したのは、去年11月18日以来で、今回が11回目となる。ミサイル技術は進化していて、最高高度が5700㌔、飛行距離が900㌔なので、角度をつけて高く打ち上げる、いわゆる「ロフテッド軌道」と呼ばれる発射方式だ。この日、記者の質問に答えた浜田防衛大臣は「飛翔軌道に基づいて計算すると、弾頭重量などによっては1万4000㌔を超える射程となりうるとみられ、その場合、アメリカ全土が射程に含まれる」との見方を示した(18日付・朝日新聞Web版)。(※図は防衛省公式サイト「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)   

   これまで「瀬戸際外交」と呼ばれたアメリカを交渉の場に引き出すためのミサイル発射を、北朝鮮は完全に方針転換した。日米韓への挑発行為に狙いを定め、エスカレートさせている。金正恩総書記は2021年1月の朝鮮労働党大会で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、そして、去年1月の朝鮮労働党政治局会議で「アメリカ帝国主義との長期的な対決に徹底して準備しなければならない」とする方針を打ち出し、2018年に中止を表明していたICBMの発射実験や核実験について見直しを表明していた。去年6月、IAEA(国際原子力機関)は北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の坑道の1つが再び開かれたことを確認している。   

   以下、憶測だ。北朝鮮とすれば、ICBMの発射実験を繰り返すと同時に、それに搭載する小型核弾頭が完成すれば、核・ミサイルによる打撃能力は完成形に近づく。最高権力者としては、核実験を一刻も早く実施したいのではないか。台湾有事に加え、朝鮮半島の有事も深刻度を増しているように思えてならない。

(※写真は去年3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

⇒18日(土)夜・金沢の天気   くもり