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☆能登半島地震 地域再生は可能か~2 ダークツーリズム

☆能登半島地震 地域再生は可能か~2 ダークツーリズム

  今月4日に能登半島の志賀町富来(とぎ)の被災地を訪れた。近くには震度7が観測された香能(かのう)という地区もある。富来のコンビニに立ち寄った際、駐車場で外国人男性2人が警官から職務質問を受けていた。2人は「名古屋」ナンバーの車で来たようだ。店舗に入るためその横を通ると、警官がどのような目的で能登に来たのかと尋ねていた。すると、外国人は「ダークツーリズム(Dark tourism)」と答えていた。確かそのように聞こえた。

  その後、外国人たちはどこをめぐったのかは知る由もない。それ以降、ダークツーリズムという言葉が妙に頭に残っている。日本では余り使われていない言葉だが、欧米では被災跡地や戦争跡地などを訪ね、死者を悼むとともに、悲しみを共有する観光とされている。能登半島地震は世界のメディアでも大きく報道されている。インバウンド観光客がダークツーリズムに能登を訪れても不思議ではない。ただ、日本では「被災地への物見遊山はやめとけ」としかられそうだが。(※写真・上は、イギリスBBCの特派員が震災の様子を輪島市の現場から中継で伝える=1月4日付・BBCニュース)

  震災の現場を訪ねると実にダイナミックな光景を目にすることがある。震度7の揺れがあった香能の近くにあり、松本清張の名作『ゼロの焦点』で登場する名勝「ヤセの断崖」などはさらに崩れて落ちている=写真・中=。震源近くの珠洲市大谷町へ向かう途中に山のがけ崩れ現場があり、落ちてきた巨大な岩石が民家に迫っていた=写真・下=。海岸沿いでは、木ノ浦海岸の岩島が隆起して陸続きとなっている。能登の里山里海に大地の地響きの痕跡が広がる。

  能登の観光名所となっていた奇岩など風光明美な景観と、震災後の光景を比較して眺めると、大地の造形物は何千年、何万年と歴史を刻みながら少しづつ姿を変えきたのだと実感する。その意味で、「能登はジオパーク(Geopark)」と言えるかもしれない。冒頭のダークツーリズムとしてインバウンド観光を積極的に受け入れてもよい。前回ブログでも述べたように、人々が行き交う仕組みづくりが能登再生のキーポイントではないだろうか。

⇒26日(火)午後・金沢の天気   あめ

☆北の偵察衛星は開発支援 ロシアへの武器供与は沈黙

☆北の偵察衛星は開発支援 ロシアへの武器供与は沈黙

   この弾道ミサイル発射は祝砲なのか・・・。北朝鮮はきょう午前11時台に2発の弾道ミサイルを半島の西岸付近から日本海に向けて発射した。防衛省公式サイトによると、11時41分に発射した弾道ミサイルは最高高度がおよそ50㌔で、約350㌔飛翔したと推測される。2発目は11時51分の発射で、最高高度がおよそ50㌔、約650㌔飛翔したと推測される。落下した場所は日本のEEZの外側だった。

   防衛省が落下箇所を記したイメージ図を見てみると、ウラジオストクのほぼ真南に位置する。発射された時間帯は、北朝鮮の金総書記が列車に乗って、ウラジオストクから約1000㌔離れたアムール州の「ボストーチヌイ宇宙基地」に向かっていた途中だ。タイミングといい、距離感といい、金総書記にロシアのプーチン大統領との首脳会談が成功裏に運ぶようにと願った祝砲のようにも思える。あるいは、ロシアと北朝鮮の同盟関係を誇示した、日米韓同盟に対する威圧行為なのか。

   では、ボストーチヌイ宇宙基地での首脳会談でどのような内容が交わされたのか。BBCはWeb版で「Vladimir Putin signals help for Kim Jong Un but quiet on weapons」の見出しで、プーチン大統領は金総書記に支援の合図をするも、武器に関しては沈黙、と伝えている。そもそも、なぜ宇宙基地が会談場所として選ばれたのか。記事によると、ロシアが北朝鮮の偵察衛星の開発を支援するかどうか、記者に尋ねられたプーチン氏は、「これが我々がボストーチヌイ宇宙基地に来た理由だ」と述べた。つまり、偵察衛星の打ち上げに2度失敗している北朝鮮に対し、プーチン氏は衛星の開発を支援する意思を明確に示した。実際に、金氏はロケットの組み立てや発射施設などを視察した。

   では、プーチン氏は金氏に何を求めたのか。金氏はロシアのウクライナ侵攻の支持を表明した。「われわれは常にプーチン大統領とロシアの指導者の決定を支持する。われわれは共に帝国主義との闘いに加わる」とロシアへの支持を改めて伝えた。ただ、会談では北朝鮮のロシアに対する武器供与の話が明らかになっていない。

   BBCは、北朝鮮はロシアに対して「応急措置」として武器を提供する可能性もある、と伝えている。この場合、北朝鮮の武器がロシアによってウクライナで使用されたことが明らかになれば、国連の北朝鮮に対する追加の制裁を引き起こす動きが出てくる。そこで、プーチン氏はあえて「quiet on weapons」だったと解説している。

⇒13日(水)夜・金沢の天気    はれ