☆「発言撤回」「ブログ認める」 馳氏のメディア裏投げ技か
馳浩知事はプロレスラー時代、ジャイアントスイングが得意技だった。相手の両足を抱え込んで振り回し、放り投げるあの技だ。衆議員だった馳氏が2013年に官房機密費を使ってIOC委員105人のアルバムをつくり東京五輪の招致活動に使ったと講演(今月17日)で発言。その後、発言が問題視されると、「五輪招致に関する発言は全面撤回する。今後一切発言しない」と繰り返している。事実関係をきちんと釈明してほしいと望む石川県の有権者の一人とすると、まるでジャイアントスイングで放り投げられたような感覚だ。
では、ブログをどうするのか。馳氏のオフィシャルブログ「はせ日記」は2013年4月1日付で、アルバムについて記載している。以下。
「IOC委員への直接的な働きかけは、IOC憲章により、できない。できないけれど、間接的な働きかけと、東京開催の意義を伝播させるためのロビー活動を進める海外出張」などと述べ、「10時半」にアルバム業者の社長と打ち合わを行い、「15時20分、官邸へ。菅官房長官に、五輪招致本部の活動方針を報告し、ご理解いただく。・駐日大使館ごあいさつ訪問 ・国際会議出席 ・国際的なロビー活動 ・ともだち作戦 ・想い出アルバム作戦・・・・などなど」。そして、菅氏から「安倍総理も強く望んでいることだから、政府と党が連携して、しっかりと招致を勝ち取れるように、お願いします!」と発破をかけられた、と記載している。
ブログを読むと、時系列で話が流れているので、じつに分かりやすい。メディア各社の報道によると、馳氏は22日に石川県庁で開いた補正予算案の記者会見で、「ブログに記載がある『想い出アルバム作戦』があったことは事実か」との記者の問いに、「その通り。ブログに書いてあることは事実だ」と答え、さらに「『想い出アルバム作戦』とはどういったものか」との問いには、「この五輪招致に関する問題については、先日の私の発言は全面撤回した。したがって五輪招致に関して、これ以上申し上げるつもりは全くない」と述べた。
会見は1時間余り続き、「五輪招致に関しては今後一切発言しない」と38回も繰り返した(23日付・北國新聞)。しかし、ブログの記述に関しては「事実」と認めている。今回の馳発言が問題として指摘されるのは、官房機密費の使途について公の場で語ったことだろう。オリンピック招致のために1冊20万円のアルバムを105冊つくったことに違法性や不正があるわけではない。一度語ってしまったことは認めて、事実関係を釈明すればよいのではないか。なのに、発言は撤回し、ブログは認めるという矛盾するような馳氏の思惑はどこにあるのだろうか。
ひょっとして「裏投げ」か。発言は撤回するも片腕で相手の首の付け根を、ブログを認めつつもう片方の腕で相手の腰を抱えて、後ろに反り投げる。あえてメディアをかく乱させるテクニックなのかもしれない。
⇒23日(木)午前・金沢の天気 はれ時々くもり
必ず登場するのは、ご存知キングメーカーの森喜朗だ」「ムラの男たちが熱演する栄枯盛衰の権力移譲劇」と読み手の想像力をたくましくさせる文章を掲載している。
エッと驚くニュースもあった。地元メディアによると、去年3月に石川県知事選に当選した元プロレスラーの馳浩知事が元旦に東京の日本武道館で開催されたプロレス興行の試合に参戦し、得意技のジャイアントスイグンなどで会場を沸かせた、という(3日付・北國新聞、北陸中日新聞)=写真・上=。正月の休暇中だったとはいえ、周囲は当然、けがなどの負傷を心配し止めるよう進言したただろう。それを押し切って、リングに立ったようだ。
能登の正月の行事といえば、輪島市や能登町に伝わる厄除けの伝統行事「アマメハギ」だ。新暦や旧暦で開催日が地域によって異なる。輪島市門前町皆月では毎年1月2日に行われ、天狗や猿などの面を着けた男衆が集落の家々を回る。当地では、アマメは囲炉裏で長く座っていると、足にできる「火だこ」を指す。節分の夜に、鬼が来て、そのアマメをハギ(剥ぎ)にくるという意味がある。木の包丁で木桶をたたきながら、「なまけ者はおらんか」などと大声を出す。すると、そこにいる園児や幼児が怖がり泣き叫ぶ。その場を収めるために親がアマメハギの鬼にお年玉を渡すという光景が繰り広げられる。(※写真・下は、輪島市観光科・観光協会公式サイト「輪島たび結び」より)
岸田総理の動きはまるで「能登・金沢・加賀」の縦断ツアーのような日程だった。朝日新聞の「首相動静(17日)」によると、午前9時5分に羽田空港発、同46分に能登空港着。10時3分、輪島市の「里山まるごとホテル」のレストラン「茅葺庵 三井の里」で地元企業関係者らと意見交換。11時56分、七尾市の公園「湯っ足りパーク」前で街頭演説。午後0時49分、道の駅「能登食祭市場」を視察。1時7分、市内の印鑰(いんにゃく)神社で祭りの山車「でか山」の制作風景を見学。同18分にすし店「松乃鮨」で、西田自民党衆院議員らと食事。同47分、報道各社のインタビュー。2時32分、かほく市の「のと里山海道高松サービスエリア」で休憩。以上が能登での動き。
そのタレント性を政治家として引き出したのが当時、自民党幹事長だった森喜朗氏だった。1995年7月の参院選で石川選挙区に森氏からスカウトされて立候補し、民主改革連合の現職を破り当選した。その後、タレント議員の巣窟のように称されていた参院から鞍替えして、2000年6月の衆院選で石川1区から出馬。かつての森氏と奥田敬和氏の両代議士による熾烈な戦いは「森奥戦争」とも呼ばれた。その代理選挙とも称された選挙で、民主党現職で奥田氏の息子・建氏を破る。しかし、03年11月の衆院選では奥田氏に敗れる。比例復活で再選。05年9月の衆院選では奥田氏を破り3選。プロレスラーは続けていたが、05年11月に文部科学副大臣に就いたので、政治家が本業となり、06年8月に両国国技館で引退試合を行った。
地元紙など各紙も大見出しで報じている。「新知事に馳氏 山野氏と7982票差」(北國新聞)、「知事に馳氏 保守分裂大接戦制す」(読売新聞・号外)、「馳氏知事当選 大激戦 山野氏、山田氏抑え」(北陸中日新聞)=写真=。もともときょうは新聞休刊日だった。全国紙は号外、地元紙は特別発行というカタチで取り上げている。では、28年ぶりの知事交代でどのような変化が起こるのだろう。
きょうは石川県知事選ならびに金沢市長選、そして同市議補選のいわゆる「トリプル選挙」の投開票日。午後2時すぎ、一票を投じるため出かけた。くもり空だったが、外は暖かさを感じた。自家用車で外気温を見ると20度だ。投票場は小中学校の体育館=写真・上=。ひっきりなしに人が行き交っていた。投票率は高いのではないかと想像した。知事と市長という首長ダブル選挙の相乗効果もあるだろう。何しろ、前回の知事選(2018年3月)では金沢市の投票率は30.6%、金沢市長選は(2018年11月)は24.9%とそれぞれ最低を記録していた。投票を終えて再び外に出る。心地よい風が吹いている。この陽気が人々を投票に誘っているのかもしれないとふと思った。
午後8時00分、NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の冒頭で速報が流れた。「金沢市長選 新人・村山卓氏 当選確実」=写真・中上=。投票が終わった途端に当確の速報を流すということは、NHKの出口調査でトップと2番目の差が少なくとも10ポイント以上ついていたということだ。NHKは「選挙のNHK」と呼ばれるほど、出口調査や開披台調査などを独自で実施して「当確」を出している。なので、候補者は民放の当確ではななく、NHKの当確を確認して初めて万歳をするのが習わしになっているほどだ。それにしても、投票終了直後での当確はちょっと速すぎる。本人も選挙事務所に現れてはいないだろう。
その開票作業を取材するために、メディア各社の記者やカメラマンがすでに集まっていた。同時に開披台調査をするスタッフも集まっていた。開披台調査は開票作業をする職員の手元を双眼鏡で覗き込んで、投票に書いてある候補者の名前を読んで発声する。この声が口元のマイクから無線でメディア各社の選挙報道フロアに届き、受信したスタッフが数値化していく。金沢の開票場のほかに県内の主な自治体の開票場にスタッフを張り付けているだろう。
ノ、ハセ、ハセ、ヤマダ、ヤマダ」と名前を発している=写真・下=。数分経つと、場所を移り別人の手元をのぞく。こうすることで、市内の地域の偏りがなくなる。NHKの腕章をした開披台調査スタッフを数えると10数人いた。
それ以降、石川1区では馳氏が独走態勢に入るが、投票率は下がった。2014年12月は全国は52.6%だったが、石川1区は43.1%と極端に低かった。2017年10月も全国53.6%、石川1区は51.9%だった。知事選に出馬表明した馳氏が後継の小森卓朗氏を立てた去年10月も全国55.9%だが、石川1区は52.2%と低調だった。この投票率の低さは、有権者の立場から両氏を支援してきた人たちの「森奥戦争のロス状態」ではないかとも推測した。
日本新党、社会党のいわゆる「非自民」連立政権で、細川護熙総理が谷本氏の応援に駆け付け、街頭演説が行われた香林坊が聴衆で埋め尽くされたのを覚えている。谷本氏が1万600票差で競り勝ち、投票率は70%だった。その後、谷本氏は通算7期にわたって知事を務め、去年11月に引退を表明した。
ただ、これまで2回のまん延防止等重点措置と異なるのは、対象地域はこれまで金沢市だったが、今回は県内全域を対象としている。というのも、県の発表によると、感染者数が今月21日は229人、22日は過去最多の263人、23日も226人と3日連続で200人以上、そしてきょう24日は193人だ。金沢市を中心に県内全域に感染が広がっていて、きょうだけで高齢者施設や保育園、幼稚園などで8つのクラスターが新たに発生している。