#雪すかし

★能登・二重被災地の冬景色~上~

★能登・二重被災地の冬景色~上~

  積雪は5㌢ほどだったが、けさ今季初めての「雪すかし」をした。水分を含んだザラザラの雪だったのでスコップを地面にあててそのまま側溝に持っていく。「雪すかし」は「雪かき」のことで、同じ北陸でもいろいろな言い方がある。そして、雪の状態によって、「すかし」方が異なる。これは雪文化なのだろうか。

   大雪で雪崩が懸念の土砂崩れ現場 仮設住宅も通路が確保できるか

  奥能登では平地で20㌢余り積もっているとニュースで知って、去年元日の能登地震、そして9月の奥能登豪雨の被災地はどうなっているのかと思い、きょう現地の様子を見に、二重被害が大きかった輪島市に向かった。金沢と能登を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」は多いところで30㌢ほどの積雪だった。路面は除雪されていたが、道路の両サイドが雪で覆われていて=写真・上=、時折吹く強風でその雪が車のフロントガラスに吹き付ける。

  輪島市街地の入り口に当たる熊野トンネル周辺では地震による土砂崩れが起きた。このため、落石から通行する車を守る屋根「プロテクター」が設置されている。プロテクターの上をよく見ると、土砂崩れの跡がスコップの底のようにわん曲になっていて=写真・中=、今後さらに雪が積もると雪崩が発生し、道路を塞ぐのではないだろうかと案じた。

  さらに進み、市街地の手前にある河原田小学校グラウンドの仮設住宅(44戸)に行くと、20㌢ほどの積雪だった=写真・下=。住宅と住宅の間隔が2.5㍍ほどあり、この程度の雪だったら住宅の出入りに問題はなさそうだ。が、1㍍くらいの大雪になるとどのように除雪すればよいのか。小型除雪車は入れるかどうか。さらに雪捨て場をどこに設定すればよいか。他人事ながら心配になる。

  金沢地方気象台によると、あす10日にかけて警報級の大雪となる恐れもあるとして交通障害などへの警戒を求めている。輪島市内をめぐったが、積雪による二次災害を案じてか、全半壊の住宅などの公費解体の作業がストップしているところもあった。

⇒9日(木)夜・金沢の天気    くもり  

★冬将軍が来た さっそく「エンヤコラ」と雪すかし

★冬将軍が来た さっそく「エンヤコラ」と雪すかし

   気象庁の予報通り、金沢は大雪となった。きょう夕方までに自宅周辺では30㌢ほど積もった。そして、朝からさっそく「雪すかし」を行った。「雪かき」という言葉を使う人もいるが、いわゆる除雪のこと。雪の晴れ間をぬって作業を行った。

   町内会でお達しがあったわけではないが、不思議と道路沿いの家々の人たちが一斉に出てきて、雪すかしの作業を行っている。平日の朝、通学路でもあるので児童生徒たちが多く通る。子どもたちから「ごくろうさまです」と声をかけられ、「滑らないように気をつけて」と応える。また、通学路は午前9時まで車が通れないので除雪作業にはタイムリーな時間帯でもある。そして、「よく降りましたね」は、ご近所のみなさんと交わす朝のあいさつとなる。(※写真は、22日午前6時57分に自宅2階から撮影した近所の雪景色)

   金沢の雪すかしにはちょっとした「暗黙のルール」のようなものがある。雪をすかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角の家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。登校の児童生徒たちが歩く歩道の部分でよい。すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく。冬場の側溝は雪捨て場となる。

   暗黙のルールに従わなかったからと言って、罰則や制裁があるわけではない。雪は溶けて消えるものだ。しかし、町内の細い市道でどこかの家が積雪を放置すれば、交通の往来に支障をきたし雪害となる。もちろん、道路の雪害は住民の責任ではなく、行政にある。一方で道路を使うのは住民なので、公共の意識で出来る範囲で除雪を行う。そんなルールだ。町内の雪すかしは、雪国の住民の「自助・共助」の光景でもある。

   金沢の雪はじっとりと湿っていて重い。その雪を側溝や空きスペースに放り投げる。「エンヤコラ」と『ヨイトマケの唄』を心で歌いながら作業を40分ほど続けた。

⇒22日(金)夜・金沢の天気    くもり時々ゆき

★雪国の美徳「雪すかし」 スコップに見える不都合な真実

★雪国の美徳「雪すかし」 スコップに見える不都合な真実

   前回のブログの続き。まるで二羽の白鳥が雪が降った湖に入ろうか、どうしようか迷っている光景に見えた=写真・上=。白鳥に見えるのは低木に施された雪囲いで、首から頭の部分に見えるのは支えの竹。そして、雪の降った湖に見えるのはコンクリート塀の壁面だ。何気なく眺めていて、ふとカメラのシャッターを押した。雪は気温が上がれば溶けてカタチは変化するので、面白そうに見えた瞬間がシャッターチャンスでもある。

   きょうは朝から雪の晴れ間をぬって、雪すかし(除雪)の作業を行った。町内会でお達しがあったわけではないが、不思議と道路沿いの家々の人たちが一斉に出てきて、雪すかしの作業を行っている。土曜日の朝ということもあり、通勤の車も少なく、自宅前の道路の除雪作業にはタイムリーな時間帯でもある。「よく降りましたね」は、ご近所のみなさんと交わす朝のあいさつとなる。町内の雪すかしは、雪国の住民の「自助・共助」の美しい姿ではある。

   一方、毎年この雪の季節にまったく別の問題を考えてしまう。スコップとマイクロプラスチック問題のことだ。ご近所を見渡すと、スコップの8割がプラスチック製で、2割がアルミ製ではないだろうか。除雪する路面はアスファルトなので、そこで雪すかしをすると、プラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

   粉々に砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持つとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   自身はなるべくステンレス製のスコップを用いるようにしているが、この問題を解決する方法は一つだ。プラスチック製のスコップのさじ部分の尖端をステンレスなど金属にするしかない。これを法令で制度化すべきではないだろうか。

⇒24日(土)午後・金沢の天気     くもり

★雪国の美徳「雪すかし」とマイクロプラスチック問題

★雪国の美徳「雪すかし」とマイクロプラスチック問題

   きょうも朝から雪が降っている。積雪は自宅周囲で5㌢ほどだが、降雪の合い間にご近所さんが「雪すかし」を始めると、町内の家々からも人が出てきて始まる。「また降りましたね」と。雪すかしは朝のあいさつ代わりでもある。金沢の雪すかし、除雪にはちょっとした暗黙のルールのようなものがある。

   雪をすかす範囲はその家の道路に面した間口部分となる。角の家の場合は横小路があるが、そこは手をつけなくてもよい。家の正面の間口部分の道路を除雪する。しかも、車道の部分はしなくてよい。登校の児童たちが歩く歩道の部分でよい。すかした雪を家の前の側溝に落とし込み、積み上げていく。冬場の側溝は雪捨て場となる=写真・上=。

   雪国の住民の「自助・共助」の美しい街の光景ではある。では、行政は何もしないのかというとそうではない。町会が費用を負担し、事業者に除雪車など機械による市道の除排雪を委託する場合に、30万円を限度としてその費用の3分の2を補助する制度を設けている。ただ、自身は毎年この雪の季節にまったく別の問題を考えてしまう。スコップとマイクロプラスチック問題のことだ。

   かつてスコップは鉄製が多かったが、軽量化とともにアルミ製に変化し、最近ではプラスチックなど樹脂製が主流となっている。除雪する路面はコンクリートやアスファルトなので、そこをスコップですかすとプラスチック樹脂が摩耗する=写真・下=。微細な破片は側溝を通じて川に流れ、海に出て漂うことになる。

   さらに粉々に砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持つとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。

   自身はなるべくステンレス製のスコップを用いるようにしている。ただ、ご近所を見渡すとほとんどがプラステチック製だ。雪国から排出されるマイクロプラスチックは想像を絶する量ではないだろうか。この問題を解決する方法はただ一つ。一部には製品化されたものもあるが、スコップのさじ部分の尖端をステンレスなど金属にするしかない。これを法令で措置すべきだ。「2050年のカーボンニュートラル」宣言の次は、「マイクロプラスチック・ゼロ宣言」ではないだろうか。

⇒13日(木)午後・金沢の天気    ゆき