#銃撃事件

★安倍事件から1年 モラル崩壊の世の中に

★安倍事件から1年 モラル崩壊の世の中に

   安倍元総理が奈良市で選挙応援演説中に銃撃され死亡してから、きょう8日で1年になる。この銃殺は回避できなかったのかと思うことがある。それは警察が襲撃のとき何をしていたのか、という点だ。

   奈良市の大和西大寺駅前の交差点で安倍氏は候補者とともに立っていた。この場所はガードレールに囲まれていて、警視庁のSP1人を含む4人の警察官が警備にあたっていた。SPは安倍氏を見ながら、前方の大勢の聴衆を警戒していた。2人の警察官は安倍氏の目線と同じ方向にいる聴衆を警戒していた。つまり、傍らにいた3人が会場前方を中心に警備していたことになる。そしてもう1人の警察官は主に安倍氏の後方の警戒にあたっていた。

   最初、容疑者と安倍氏の直線距離は約15㍍だった。その後、安倍氏の背後に回り込むように歩いて車道を横断。ショルダーバッグの中から手製の銃を取りだし、約8㍍の距離から発砲した。周囲の人たちが大きな音に身をすくめる中、容疑者は白煙の上がる銃を手にし、さらに5歩前進。2.7秒後に、背後約5㍍から2発目を撃った。音の方を振り向くような動きを見せていた安倍氏は身をかがめるようにして倒れた。容疑者は直後、車道上で取り押さえられた。(※写真は、安倍氏銃撃事件を伝える、7月8日付の地元紙の夕刊) 

   ここで理解できないのは、背後8㍍まで近づいて発砲し、さらに5歩進み2.7秒後に2発目を発射している点だ。その間、SPと警察官の4人は何をしていたのか。ネットに上がっている関連動画などを見ると、一発目の後、安倍氏に覆いかぶさるなど警護対象者の身を守るような行動は確認できない。警察は常に容疑者の身柄の確保を最優先に考えていて、一発目の砲音と同時に犯人捜しに視線が注がれ、安倍氏をガードする行動が遅れた。5歩、2.7秒の二発目はその警備の死角を突いたのだろうか。

   銃規制がきびしい日本の社会にあって、専門知識があれば銃や弾を自作できる。それも無尽蔵にだ。これから銃がはびこるのではないか。そして、ことし4月には和歌山市で岸田総理の演説会場で爆発物が投げ込まれる事件もあった。世の中ではモラルの崩壊が起きているように思えてならない。

⇒8日(土)午後・金沢の天気   あめ

☆安倍氏銃撃事件を振り返る ~上~

☆安倍氏銃撃事件を振り返る ~上~

   去年7月8日、奈良市で街頭演説中の安倍元総理を銃で撃ったとして逮捕された山上徹也容疑者が殺人と銃刀法違反の罪で13日付で起訴された。今後、裁判員裁判で審理されることになる。母親が世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)へ高額な献金をしたことから家庭が崩壊し、恨みを募らせたことが事件の発端とされるが、その動機の解明が裁判の焦点となってくるだろう。

            一発目の銃声でなぜ安倍氏の身を守る警察の行動がなかったのか

   メディアを通じて事件に注目していて、いまでも解せない点がある。安倍氏は命を落とすべくして落としたのだろうか。簡単に言えば、なぜ防げなかったのか。事件は衆人環視の中で起きた。

   奈良市の大和西大寺駅前の交差点で安倍氏は候補者とともに立っていた。この場所はガードレールに囲まれていて、警視庁のSP1人を含む4人の警察官が警備にあたっていた。SPは安倍氏を見ながら、前方の大勢の聴衆を警戒していた。2人の警察官は安倍氏の目線と同じ方向にいる聴衆を警戒していた。つまり、傍らにいた3人が会場前方を中心に警備していたことになる。そしてもう1人の警察官は主に安倍氏の後方の警戒にあたっていた。

   以下、朝日新聞社会面(2022年7月17日付)の記事を引用する。最初、山上被告と安倍氏の直線距離は約15㍍だった。その後、安倍氏の背後に回り込むように歩いて車道を横断。ショルダーバッグの中から手製の銃を取りだし、約8㍍の距離から発砲した。周囲の人たちが大きな音に身をすくめる中、被告は白煙の上がる銃を手にし、さらに5歩前進。2.7秒後に、背後約5㍍から2発目を撃った。銃音の方を振り向くような動きを見せていた安倍氏は身をかがめるようにして倒れた。被告は直後、車道上で取り押さえられた。

   ここで理解できないのは、背後8㍍まで近づいて発砲し、さらに5歩進み、2.7秒後に2発目を発射している点だ。その間、SPと警察官の4人は何をしていたのか。事件の警備をめぐっては、警察庁が立ち上げたチームが検証を行い、後方の警備が不十分となり襲撃を防げなかったことなど問題点を明らかにしている。ならば、どのような点が不十分だったのか、とくに一発目と二発目の2.7秒で何をしていたのか。

   ネットに上がっている関連動画やテレビを見ると、一発目の後、安倍氏に覆いかぶさるなど警護対象者の身を守るような行動は確認できない。警察は常に容疑者の身柄の確保を最優先に考えていて、一発目の砲音と同時に犯人捜しに視線が注がれ、安倍氏をガードする行動が遅れた。5歩、2.7秒の二発目はまさに警備の死角を突いたのだろう。警察とすれば、オレたちはガードマンではない、犯人逮捕が仕事だ、との発想が根底にあるのだろうか。8月25日、警察庁長官は検証結果と警護の見直し策をまとめた報告書を公表した後に自らの責任を認め辞職している。

⇒14日(土)夜・金沢の天気   あめ

☆安倍氏銃撃から1ヵ月 さりげなく哀悼の意を

☆安倍氏銃撃から1ヵ月 さりげなく哀悼の意を

   安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡し、きょうで1ヵ月。メディア各社は、殺人で逮捕・送検された容疑者41歳について、検察は11月29日までの4ヵ月の鑑定留置を実施して、刑事責任能力の有無を見極めた上で起訴するかどうか決めるようだ、と報じている。

   4ヵ月もの鑑定留置をするということは、容疑者の供述に論理の飛躍や矛盾点がかなり見受けられるとの判断なのだろう。容疑者は母親が入信する「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)に恨みがあり、教団とつながりがある安倍氏の殺害に至ったと供述。さらに、統一教会と国会議員との癒着の実態が次々と明らかになっていることから、検察側もかなり慎重に捜査を進めているようだ。

   きょうの夕刊紙面で見つけた記事。安倍氏の銃撃事件後に広告主であるCMスポンサー企業がテレビCMを相次いで自粛したため、民放各社のCM枠は公共広告機構「ACジャパン」のCMが平時の50倍に増加した。CM自粛が相次いだ東日本大震災以来で最多となった(8日付・北陸中日新聞夕刊)。

   記事によると、CM総合研究所がまとめた数字で、在京キー局5局のACジャパンの放送回数は銃撃事件前日の7月7日は9回だったが、当日8日は241回、9日は472回、10日は462回、11日には509回に達した。CM全体に占める割合も7日の0.2%から11日は12.5%に上昇した。ただ、5日目の12日には39回に減り、ACジャパンへのCM差し替えは4日間で収束したことになる。

   東日本大震災のときは、2011年3月17日に3557回に達し、さらにこの傾向が1ヵ月以上にわたり続いた。それに比べれば、安倍氏の襲撃事件の衝撃波は短期間で治まったと言える。企業のテレビCMのイメージは明るさが売りでもあり、一時的にしろCMを控える動きはあってしかるべきだったろう。

   事件の2日後に行われた参院選挙。石川選挙区で立候補した岡田直樹氏は安倍氏の側近だった。当選確実のときの様子をテレビで見ていたが、万歳をせずに4期目の抱負を語っていた。さりげなく哀悼の意を示す、そのような心遣いが見て取れた。

   あれから1ヵ月。NHKが毎月行っている世論調査(8月5-7日)では、岸田内閣を「支持する」は前回調査より13ポイント下がって46%、「支持しない」は7ポイント上がって28%だった。安倍氏の「国葬」については「評価する」が36%、「評価しない」が50%だった。国葬と内閣支持率が微妙に絡まっている。

   この事件で誰もが感じたことは、一国の元総理が凶弾に倒れたという歴史的な出来事を肌で知った、ということではないだろうか。

⇒8日(月)夜・金沢の天気    はれ