#配膳ロボット

★人とロボットが店で働く多様化社会の幕開けなのか

★人とロボットが店で働く多様化社会の幕開けなのか

           金沢や石川県で「8番らーめん」と言えば、誰も知っている地域の味と言える。もともと石川県加賀市の国道8号線沿いで創業したラーメン店で、「8番らーめん」という屋号は国道8号にちなんだネーミングといわれる。創業から55年でフランチャイズ形式で店舗が増え、石川県49店など北陸を中心に国内で131店。海外は154店も展開していて、うちタイが149店。タイの人々と味覚がマッチしたようだ。

   炒めた野菜をたっぷりのせた野菜ラーメンがベースの味なのだが、季節限定メニューもあり、秋冬の定番は酸辣湯麺(サンラータンメン)だ=写真・上=。この酸辣湯麺は二日酔いに効くので以前から重宝している。それは酢の酸味とラー油の効果かもしれない。同社が開発したラー油「紅油」はゴマ油と赤唐辛子をベースに桂皮(シナモン)、陳皮(ミカンの皮)、山椒が加えてあるそうだ。 二日酔いの症状がひどいとき、この紅油をさらに3さじほど足して食すると、目頭の辺りが熱くなり、額にうっすらと汗がにじんでくる。この瞬間から徐々に爽快感が出てきて、二日酔いが和らいでくる。

   前置きが長くなった。先日、オープンしたばかりの白山市の店舗に立ち寄った。驚いたのはスマホで注文するモバイルオーダー、そして料理を運んでくるのはロボットだった。店に入ると、各テーブルにあるQRコードをスマホで読み取り、専用サイトにアクセスしてメニューを選び注文する。間もなくすると、配膳ロボットが「お待たせしました」とテーブルにやって来る=写真・下=。ロボットには「まつこちゃん」という名前も付いている。食べ終わると、レジに行き、店員と金銭のやりとりをせずに自分で現金やカードで決済する「セルフレジ」となる。

   「料理配膳ロボット」はことし6月に、JR金沢駅近くにあるファミリーレストラン「ガスト」でも見かけたが、ラーメンチェーン店でも活躍しているとは知らなかった。従業員は4人だった。確かにモバイルオーダー、配膳ロボット、セルフレジならば人手はそれほどかからないかもしれない。人手不足の時代、そしてコロナ禍では対面でのやりとりを減らすというニーズに合っている。

   一方で「いや面倒だ」、そんな客側の反応もあるだろう。シニア世代では、スマホでの注文は手間がかかり面倒かもしれない。人とロボットが店で働く、そのような多様化社会の幕開けなのか。

⇒1日(火)夜・金沢の天気    くもり

☆配膳ロボットが器用に立ち振る舞うファミレスの光景

☆配膳ロボットが器用に立ち振る舞うファミレスの光景

   JR金沢駅近くにあるファミリーレストラン「ガスト」に久しぶりに入った。客席と厨房を行き来しているのは従業員ではなく、なんと、自走ロボットだ=写真=。従業員に尋ねると、ことし2月から2体が稼働しているそうだ。「料理配膳ロボット」と言い、「BellaBot」と体に書いてある。(※写真は配膳ロボットが料理を客席で渡し終えて厨房に帰るところ)

   配膳ロボットが料理を注文した客席の近くに到着すると料理が載っているトレイが青く光り、客はトレイから自分で料理を取り上げる。数秒たつと自動的に厨房に戻っていく。なるほどと思わせるのは、客が通路の床に置いている荷物を上手に避けている。おそらく、赤外線センサーや3Dカメラで感知し避ける機能が搭載されているのだろう。

   そして、通路で人とすれ違うときは止まって、「お先にどうぞ」などと言葉を発している。料理を受け取った客が「ありがとう」と言いながら頭の部分をなでると、モニターに映る顔が笑顔になり、「くすぐったいニャ」と発声する。ロボットの顔つきはネコをイメージしている。「ご注文ありがとうニャ」と少し高めの声でお礼を言い、なかなか愛嬌がある。

   ネットで「BellaBot」を検索すると、配膳ロボットは中国・深圳の「PUDU Robotics」社が開発したもの。重量は57㌔で充電時間は4.5時間。稼働時間は12時間、バッテリーを交換すれば24時間、365日のフル回転が可能。同じバージョンのロボットを最大20台、同じフロアに配置することができる。障害物は35㍉×50㍉×100㍉以上のものを感知する。1つのバッテリーで約400皿の料理を運ぶことができ、飲食店での高い回転率を誇る、とある。

   配膳ロボットの動きを眺めていてふと思った。客が席の机にあるタブレットで料理を注文し、それを運ぶのがロボットの役割だが、運びと同時にカード決済も行えるにようにしてはどうだろうか。配膳・決済ロボットになれば、ロボットの格が上がる。ひょっとして、そのような新型がまもなく登場するかもしれない。

   今回、店に入ったときはすでに昼食を終えていてドリンクバーを注文したので、コーヒーは自身が運んだ。なので、ロボットとは対面で話してはいない。このロボットはどこまで進化するのか、気になる光景だった。

⇒13日(月)午後・金沢の天気    はれ