#郵政解散

☆解散いろいろ「バカヤロー解散」や「郵政解散」 選挙手始めはポスター掲示板

☆解散いろいろ「バカヤロー解散」や「郵政解散」 選挙手始めはポスター掲示板

       きのう(9日)NHK中継の衆院本会議での模様を視聴した。額賀議長が解散詔書を読み上げ、恒例の万歳三唱が響き渡った。総選挙(今月15日公示・27日投開票)へと動き始めた。その後の記者会見で、石破総理は今回の解散を日本の社会のあり方を大きく変える「日本創成解散だ」と強調していた。今一つピンと来ないネーミングだ。解散をめぐる俗称はいろいろあるが、強烈なのは「バカヤロー解散」だろう。1953年(昭和28)3月の衆院予算委員会で、当時の吉田総理が社会党の議員との質疑応答中に「バカヤロー」と発言したことがきっかけで解散にいたった。日本の政治史に残る名称となった。(※写真・上は、衆院解散を報道する各紙)

  自身の印象に残る解散は「郵政解散」だ。2005年(平成17)8月8日、参院本会議で郵政民営化法案が否決されたのを受けて当時の小泉総理は臨時閣議を開いて衆院の解散を決定。小泉氏は郵政法案が参院で否決された場合は衆院を解散して総選挙に打って出ると予め明言していた。そして、衆院で反対票を投じた自民議員には公認を与えず、郵政民営化に賛成する候補を擁立した。郵政民営化を前面に出したことで改革イメージが有権者に浸透し、9月11日の投開票では自民は公示前の212議席を大きく伸ばして単独過半数(233)を上回る296議席を獲得。当時は「地滑り的勝利」と評価された。

  1986年(昭和61)7月6日の衆院選で初当選を果たし、2002年(平成14)9月30日の小泉内閣で防衛庁長官に任じられた石破氏は上記の「郵政解散」のいきさつなど小泉氏の手法を熟知していることだろう。身内であっても断罪する姿勢だ。今回、派閥の政治資金規正法違反事件をめぐり、収支報告書に不記載があった議員と選挙区支部長の計12人は公認せず。不記載があったほかの34人については公認したものの、比例選の重複立候補は認めず。ただ、非公認の議員については、「選挙のみそぎ」を受けて当選すれば、追加公認をする(9日・党首討論)。

  自宅近くの金沢市総合体育館を前を通ると、選挙のポスター掲示板が早々と設置されていた=写真・下=。能登半島地震や9月の記録的な豪雨にさらされた能登の市町では選挙実施は重荷だろう。災害対応に関わっている職員が多く、果たして職員の人手が足りないのではと憶測する。とは言え、選挙は選挙だ。震災と豪雨、そして選挙の難関をどう能登の自治体は乗り切るのか。

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★「争点なき解散」「選挙のための選挙」なのか

★「争点なき解散」「選挙のための選挙」なのか

   自宅近くのガソリンスタンドに行くと、1㍑163円の表示が出ていた=写真=。今月7日付のこのブログでも書いたが、その時は1㍑161円だったので、1週間で2円値上がりしたことになる。資源エネルギー庁が発表した石油製品価格調査(10月13日付)によると、今月11日時点のレギュラーガソリン価格の全国平均は1㍑=162円となり、前週の160円から2円値上がり。1年前の134円と比較すると28円(20%)もの急激な値上がりだ。パンデミックの緩和などで世界で原油の需給がひっ迫しているようだ。このペースで値上げが続けば来月中には1㍑170円を超えるのではないか。1970年代のオイルショックを思い出す。

   きょう14日午後1時すぎからの衆院本会議の様子をテレビ各社がニュースで伝えていた。紫色のふくさに包んだ総理の解散詔書が松野官房長官から大島議長に伝達された。大島氏は「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」と解散詔書を読み上げ、衆院は解散した=写真・下、解散を報じる新聞各紙=。代議士は立ち上がりバンザイをした。解散のバンザイはいつもながらの光景だ。

   それにしても、今月4日に岸田総理が就任してから10日後の解散だ。衆院解散を受けて、政府は午後5時すぎに臨時閣議を開き、今月19日公示、31日投開票の選挙日程を決めた。戦後の衆院選挙は27回行われているが、議員の任期満了後に投票が行われるのは今回が初めて(10月14日付・NHKニュースWeb版)。とすると、選挙のために選挙をやるようなイメージだ。もちろん、コロナ禍の影響でここまで日程がもつれ込んだ事情は理解できる。

   では、岸田総理はこの選挙を何を問うのか。午後7時からの記者会見で、今回の衆院選挙を「未来選択選挙」とし、「新型コロナ対策と経済対策に万全を期した上で、コロナ後の新しい経済社会を創りあげなければならない。コロナ後の新しい未来を切りひらいていけるのは誰なのか国民に選択いただきたい」と支持を呼びかけた(10月14日付・NHKニュースWeb版)。「未来選択選挙」、この言葉で選挙の大義名分を感じることができるだろうか。「新しい資本主義」と同じで、具体的で戦略的なビジョンが見えて来ない。

   前回総選挙は2017年10月22日だった。このときは北朝鮮が弾道ミサイルの発射や核実験を行うなど情勢が緊迫化し、政治空白ができることに懸念はあったものの、安倍総理は少子高齢化が進む中で社会保障問題を争点に掲げ、「国難突破解散」と銘打って勝負をかけた。選挙に勝ち、それまで2度見送ってきた消費税率の引き上げを2019年10月から「10%」とした。

   小泉総理はさらに強烈だった。与党も野党も反対していた郵政三事業(郵便、簡易保険、郵便貯金)の民営化をめぐって、「今回の選挙はいわば郵政選挙。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、それを国民に問いたい」と2005年8月に「郵政解散」を行い、9月11日の選挙では与党が3分の2を占め圧勝した。郵政民営化は2007年10月スタートした。

    上記の事例と比べれば、「未来選択選挙」や「新しい資本主義」は言葉遊びのようにも聞こえる。選挙で国民に問うことは一体何なのか。有権者が一票に託す争点は何なのか。さらに、候補者は一体何を選挙で訴えるのだろうか。31日選挙の投票率も気になる。有権者が「これは選挙のための選挙だ」と勘繰るようになれば、前回と比べ大幅ダウンは避けられないだろう。

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