#解散命令請求

☆質問権から解散命令請求へ「最後の審判」の道のり

☆質問権から解散命令請求へ「最後の審判」の道のり

   前回のブログの続き。NHKの国会中継が実にアリルで面白い。きょう19日午前の参院予算委員会で岸田総理に質問した立憲民主党の議員は「朝令暮改にもほどがある」と声を張り上げていた。何が朝令暮改だったのか。

   岸田総理は17日の衆院予算委で、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の霊感商法や献金強要などさまざまな問題をめぐり、宗教法人法に基づく調査の方針を固め、同法が規定する「質問権」を行使すると表明。組織の実態を調べた上で、裁判所への解散命令請求の適否を判断したいと述べた。ただ、18日の衆院予算委では、宗教法人法は「法令に違反し、著しく公共の福祉を害する行為をした場合」などが解散命令の事由に当たると定めているが、法令違反の要件については民事裁判の判決(民法の不法行為)では根拠にならず、刑事罰などが必要になるとの認識を示した。

   それが、きょうの参院予算委では一転して、解散命令を請求する要件について「民法の不法行為も入りうる」と述べ、前日の答弁を修正した。質問した小西洋之議員(立憲民主党)は「私も12年間、国会議員をやっていますけども朝令暮改にもほどがある。自民党政治と旧統一協会の癒着構造の迷走劇、成れの果てだ」と、ようやく認めた岸田総理を「朝令暮改」と揶揄した。

   紆余曲折はあったものの、これでようやく政府と野党側の方向性が一致した。その後、岸田総理は「(旧統一教会の問題は)組織性、悪質性、継続性が明らか」と述べた。さらに、宗教法人を所管する永岡文科大臣は「質問権」行使を検討する際、被害者弁護団が持っている教団本体や関連団体の民事裁判の資料など情報提供を受けたいとの考えを表明し、解散命令請求の動きに弾みがついたとの印象だ。

   また、旧統一教会をめぐり、 自民、立憲、維新の3党の国対委員長はきょう国会内で会談し、▽悪質献金などによる被害救済のための与野党協議会の設置や、▽救済法案を与野党で作成し、今の国会での成立を目指すことで合意した。早ければ今週中にも協議会をスタートさせる(TBSニュースWeb版)。

   質問権を使った旧統一教会への調査は今後、専門家会議が開かれ、どのような質問をするかなど内容が決まり、調査スタッフが調べを開始する段取り。ここで教会の違法性が確認された場合に裁判所へ解散命令を請求する。裁判所によってその違法性が認められれば宗教法人格が剥奪される。正体を隠した勧誘やマインドコントロールによる献金強要など教団の不法行為がようやく白日の下にさらされる。審判が下るときが来た。

⇒19日(水)夜・金沢の天気    はれ

★「芝生」の「雑草」に除草剤 是か非か

★「芝生」の「雑草」に除草剤 是か非か

   午後に晴れていれば、庭の草むしり(雑草取り)を日課としている。草取りをすると作業の成果が見えるだけに、気持ちがすっきりとする。しかし、いくら抜いても取ってもすっきりしない雑草がある。チドメグサだ。漢字では「血止め草」と書き、学名は「Hydrocotyle sibthorpioides」。すっきりしない理由は、数日するとまた茎を張りめぐらして生えてくるからだ。

   チドメグサはどこにも適応できる多年草で、匍匐茎(ほふくけい)といい、地中深くに茎を伸ばしながら繁殖する。茎を途中でちぎっても、残った茎から繁殖し、あっという間に広がってしまう。すさまじい繁殖力だ。こうなると、雑草とはいえ、敵意がむき出しになる。

   とくに、芝生に入ったチドメグサは許せない=写真=。まるで、「隠れ蓑」戦術だ。目立たないように勢力を拡大している。そこで戦いを挑む。まず、芝刈り機で刈り込む。チドメグサの葉や茎も刈ることができるが、問題は芝生の根にチドメグサの茎が絡まって離れようとしない。そこで、一本一本を無心に外すことになる。芝生専用の除草剤もあるのが、除草剤は使いたくないので手作業だ。

   先日この作業をしていて、ふと、いま霊感商法や献金強制で問題となっている旧統一教会と仕組みが似ていると思い浮かんだ。自民党など政治家を芝生に例えれば分かりやすい。そこに、選挙応援などと称して入り込み、いつの間にか自民党の国会議員全体の半数近くの179人が何らかの関係を持っていた。中には秘書となり、しっかりと根を張った者もいる。

   そこで自民党は今後、統一教会や関連団体と一切関係を持たないことを基本方針とし、党所属の国会議員との関係を点検して公表したが、それだけでは教団との関係性を絶ち切れない。そこで、立憲民主党など野党は今月20日、旧統一教会の問題に取り組む弁護士や2世信者を招いてヒアリングを実施し、宗教法人法に基づく解散命令の請求を文化庁に求めた。この解散命令を除草剤と言い換えれば、分かりやすい。

   しかし、文化庁宗務担当者は「安易な解散命令請求することはできない。確実に(裁判で)勝てるだろうという状況がなければ解散命令請求すべきでない」との見解を繰り返した。つまり、除草剤の効果が分からないのにまくべきではないとの主張だ。これに対し、野党側は「解散命令を出す十分な要件がある。裁判で勝つ可能性が極めて高い」と述べていた。除草剤をまいてみないことにはその効果は分からないでしょう、と。

   それぞれに一理はある。個人的には庭に除草剤をまきたくはないが、反社会的な問題を起こしている宗教法人に対して、政治サイドがきっぱりとけじめをつけない限り、また時間とともに茎を生やし芝生を覆うようになる。

⇒23日(金)午後・金沢の天気     あめ

★めりはりのない旧統一教会問題の政府対応

★めりはりのない旧統一教会問題の政府対応

   それにしてもめりはりの利いた、見事な季節の移ろいだ。「暑さ寒さも彼岸まで」とよく言われるが、彼岸入りでもあったきのう20日は台風14号が去って、一気に秋めいた。前日までは真夏日や猛暑日が続いていたのだが、気温は20度と肌寒くなった。Tシャツと半ズボンを仕舞い、長袖のシャツと長ズボンを出した。台風一過、秋を呼ぶ。

   めりはりが利いていないのが、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)に対する政府の対応だ。共同通信ニュースWeb版(20日付)によると、立憲民主党など野党は20日、旧統一教会の問題に取り組む弁護士や2世信者を招いてヒアリングを実施した。弁護士らが採択した、宗教法人法に基づく解散命令の請求を行政に求める声明について議論したが、文化庁の担当者は過去の事例を挙げ「現状では難しい」と繰り返した。

   文化庁担当者の「現状では難しい」という意味合いは裁判になった場合を想定しているようだ。日刊スポーツWeb版(同)によると、文化庁宗務担当者は「安易な解散命令請求することはできない。確実に(裁判で)勝てるだろうという状況がなければ解散命令請求すべきでない」との見解を示した。これに対し、社民党の福島党首は「解散命令を出す十分な要件がある。裁判で勝つ可能性が極めて高いので解散命令を出すことが被害者の救済、これ以上被害を生まないために文化庁、今やらないとダメです」と指摘した。

   この議論の基となったのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会が16日、永岡文科大臣に対し、宗教法人法に基づいて旧統一教会の解散命令を裁判所に請求するよう求める声明だった。連絡会の公式サイトに声明の内容が掲載されている。以下、抜粋。

「2 解散請求 文部科学大臣は、旧統一協会に対し、宗教法人法第78条の2に定める報告質問権を行使するとともに、同法第81条1項に基づき解散命令を請求されたい。 3 カルト対策 (1)内閣総理大臣は、フランスなどカルト対策に先進的な諸外国の法制度・諸施策を参考に、基本法の制定も視野に入れた上で、被害抑止・救済のための法制度を整備し諸施策を講じられたい。(2)文部科学大臣は、旧統一協会による過去の諸々の被害(金銭被害、家族破壊、労働力収奪、その他被害)に関し調査の上で、その結果を総括的な報告書をまとめられたい」

   ヒアリングに出席した木村壮弁護士は「正体を隠した勧誘、献金活動が繰り返されている。違法な活動が継続しており、解散命令請求ができないことはないはず」と指摘した(20日付・共同通信ニュースWeb版)。

   文化庁宗務担当者の発言は実に役人らしい見解だ。解散請求を裁判所が審理して、解散命令請求が100%勝てる状況にないので請求しない、と。発言は、面倒くさいことをオレたちにやらせるな、と言っているだけのようにも解釈できる。

   文化庁だけではない。ヒアリングで、野党側が消費者庁が把握している旧統一教会による被害相談件数について回答を求めた。すると、同庁担当者は「個別の事業者、団体にかかわる相談件数についてはお答えを控えさせていただいている」と答えた(20日付・日刊スポーツWeb版)。旧統一教会問題のヒアリングでの場で、この発言だ。法務省が設置した旧統一教会に関する「合同電話相談窓口」=写真=で受け付けた相談件数は今月5日から14日までに1415件(速報値)にも上る。

   旧統一教会に関しては、自民党は消極的、関係省庁は関わりを拒否する。おそらく、教団は高笑いをしているに違いない。 「野党が何を言おうが、我々の摂理は正しい。自民党と関係省庁は正しく理解してくださっているのだ」と。

⇒21日(水)夜・金沢の天気    はれ