#解散・総選挙

★岸田総理とメディアの「解散・総選挙」めぐる緊張感

★岸田総理とメディアの「解散・総選挙」めぐる緊張感

   前回ブログの続き。衆参5つの補選で自民党候補4人が勝利して一夜明けた24日、岸田総理は報道陣に囲まれ、「この勢いで解散・総選挙を近く実施されますか」などと質問を受けた。岸田氏は「重要政策を一つ一つ前進させ、結果を出すことに尽きる。いま、解散・総選挙は考えていない」と答えていた(24日付・NHKニュース)。

   メディアが尋ねた「解散・総選挙を近く実施」は、5月に開催する「G7広島サミット」を乗り切り、6月に「異次元の少子化対策」などの「骨太の方針」をまとめて提示し、6月21日の国会会期末までには解散という段取りか、と念押ししたのだろう。衆議員の任期満了は2025年10月30日なので、本来ならば同年10月に総選挙だろうが、自民党の党総裁任期は20249月に満了するので、それまでに政権基盤を固めておく必要がある。それは総選挙勝利という実績をづくりだ。

   メディアはこれまで何度も「解散・総選挙は近く実施されますか」と質問を向けてきた。岸田総理が3月21日にウクライナを電撃訪問し、G7広島サミットの議長国としての存在感をアピールしたときもそうだった。

   メディアがこのような質問をするのは、世論調査の内閣支持が上がっているという背景もある。読売新聞の4月の世論調査(14-16日)で、内閣支持率は47%に上り、前月調査より5ポイントも上昇。2022年9月以来、7ヵ月ぶりに支持が不支持を上回った。テレビ朝日系ANNの4月調査(15、16日)も前月から10.2ポイントも上昇しての45.3%だった。G7広島サミットを無事乗り切れば、さらには内閣支持率は「うなぎのぼり」に上昇する、かもしれない。

   総選挙は勝てると判断したときに打つ。前回は2021年10月の内閣発足から10日後という戦後最短で衆院を解散し、総選挙に勝利して政権基盤を確保した。メディア各社はこの岸氏の「サプライズ解散」を体感しているだけに、オウム返しのように「解散・総選挙は近く実施されますか」と尋ね、岸田氏は「いま、解散・総選挙は考えていない」と繰り返す。岸田総理とメディアの緊張関係でもある。

⇒24日(月)夜・金沢の天気    はれ

★ウイズコロナ+デジタル担当大臣=ネット投票

★ウイズコロナ+デジタル担当大臣=ネット投票

   立憲民主党の小沢一郎衆議院員がきょう21日、自身の政治塾で講演し、「1年以内に必ず政権を取る」と述べ、次期衆院選での政権交代に意欲を示したと報道されている(9月21日付・時事通信Web版)。小沢氏は「11月に社民党も(立憲と)一緒になる予定だ」との見通しを示し、「野党がほぼ一つになる。これが効果的に機能すれば絶対に政権を取れる」と強調した(同)。見出しを見て記事にアクセスした。「壊し屋」の異名で政権交代の立役者だった小沢氏の発言なので、政権奪取に向けてのどのような戦略や新機軸があるのかと興味がわいた。

   ところが、記事は「野党がほぼ一つ」になればとの前提の話で、政権交代に向けての新たな戦略や論拠など詳しい記載はなかった。では、「野党がほぼ一つ」になったとして、その可能性はあるのか。朝日新聞の世論調査(9月16、17日)で「仮に今、投票するとしたら」と衆院比例投票先を質問している。回答は、自民が48%、立憲は12%だった。共産、維新、その他政党を合わせて「野党がほぼ一つ」になったとしても31%だ。自民と公明を合わせた54%には遠く及ばない。小沢氏の発言に実現性が感じられない。小沢氏の賞味期限はもう過ぎているのではないだろうかとも思った。

   読売新聞の世論調査(9月19、20日)によると、菅内閣を「支持する」と答えた人は74%で、小泉内閣の発足時の87%、鳩山内閣の75%に次いで歴代3位の高さとなった。「支持しない」は14%だった(9月21日付・読売新聞)。 安倍前総理が進めてきた政策などを菅氏が引き継ぐ方針については「評価する」が63%で、「評価しない」が25%だった。また、  閣僚人事については「評価する」が62%、「評価しない」27%を大きく上回った(同)。ご祝儀相場だろうが、評価は高い。

   有権者の一人として自身も気になっている、衆院の解散・総選挙については、「任期満了まで行う必要がない」が59%、「来年前半」が21%、「ことし中」が13%の順だった。世論の6割近くが「任期満了まで行う必要がない」と答え、これは、上記の朝日新聞の世論調査も同じ傾向だ。質問内容は若干異なるが、「今年中がよい」は17%、「来年がよい」は72%だった。世論は「来年がよい」「任期満了まで行う必要がない」が主流だ。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、選挙などやってほしくないという、ある意味で世論の「拒絶反応」でもある。

   菅氏は新型コロナウイルスの収束や経済の立て直しを優先するとの考えを示している。ところが、総理の周辺では高評価の時機を逸しないようにと早期解散・総選挙の声が上がっている。ある意味で矛盾を解決するのはインターネットによる投票ではないだろうか。ネットによる選挙運動はすでに解禁されている。次はネット投票だ。総理の肝入りで新閣僚にデジタル担当大臣を任命した。マイナンバーカードの普及、そしてネット投票がセットで実現すれば、デジタル社会への大きな一歩になるだろう。ウイズコロナのこのタイミングでネット投票を実現させてほしい。

⇒21日(祝)朝・金沢の天気     はれ