#衆院選挙

★選挙の「出口調査」や「開披台調査」が終わる日

★選挙の「出口調査」や「開披台調査」が終わる日

   きのう午後10時すぎに衆院選挙石川1区の開票場の金沢市営中央市民体育館(同市長町3丁目)に行ってきた=写真・上=。独自の「開披台調査」をするためだ。「かいひだいちょうさ」、聞き慣れないこの調査は新聞・テレビが行う開票調査の一つ。投開票日のその日には、投票所で出口調査を、開票所では開披台調査を実施する。開披台とは開票場で投票箱から票を出して、候補者ごとに仕分けをする台のこと。出口調査で大差がついていれば、NHKなどテレビ各社は午後8時からの選挙特番で「当選確実」を打てるのだが、10ポイント以内の小差ならば開披台調査で当落を見極めることになる。

   石川1区は新人4人が立候補し、自民の小森卓郎氏、立憲民主の荒井淳志氏、日本維新の会の小林誠氏が競っている。 小森氏の出身は神奈川県。1993年に旧大蔵省に入り、出馬の直前まで財務官僚を務めていた。2011年から3年間は石川県の総務部長などの経験もあり、51歳の若さだ。前職の馳浩氏が不出馬を宣言していたので、自民党は今年9月に公募で選出した。ただ、県の総務部長を務めた経験があるとはいえ、有権者にとってはいわゆる「落下傘候補」だ。荒井氏は元新聞記者で27歳、小林氏は44歳で金沢市の市議を4期連続で当選している。

   地元メディア各社は選挙終盤の情勢調査で「小森氏一歩リード」の報道をしていた。そこで、この目で確かめようと、開票場の現場を訪れた。メディア各社の調査員が10数人いた。アルバイトの学生調査員を記者が指揮している。学生たちは開票作業を行う職員の手元を双眼鏡でのぞき込み、誰に投票されているか確認する=写真・下=。「コモリ、コモリ、アライ、コバヤシ、コモリ、アライ・・・」などと声を出すと、その声がワイヤレスで集計場にいる受け手の担当に伝わり、その場で集計する仕組みだ。調査員は双眼鏡でのぞく場所を次々と変えていく。開票は投票会場から持ち込まれた投票箱を開けて作業をするので、双眼鏡でのぞく場所を変えることで地域的な偏りをなくす。

   自身は双眼鏡を持参せず、その調査員の横に行き、その声をさりげなく聞く。さらに別の調査員の声を聞く。これを4、5回繰り返すと。誰が実際に票を獲得しているのか判断できる。この「独自調査」の結果では、「コモリ」がおおむね4割だった。

   テレビ局を辞して2005年4月から大学で勤務。ことし3月で退職したが、この間、国政選挙になるとメディアの知り合いから出口調査や開披台調査の学生アルバイトの動員を依頼された。退職したこともあって、今回は断った。自身の興味で今回は開票場に足を運んだが、心では「このようなアナログな投票はもう止めて、デジタルに切り替えるべき」との思いを持っている。デジタル投票にすれば、午後8時の投票終了をもって一気に開票結果が出る。デジタル庁が新設されて、その可能性が出てきた。出口調査や開披台調査が終わる日が来る。

⇒1日(月)朝・金沢の天気      あめ

☆北朝鮮のミサイルについて選挙で論戦を

☆北朝鮮のミサイルについて選挙で論戦を

    衆院総選挙の公示日の19日午前10時15分ごろ、北朝鮮は弾道ミサイルを発射した。最高高度50㌔程度を変則軌道で600㌔程度飛翔し、日本海に落下した。弾道ミサイルは潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)だった。これを受けて、午前10時24分、総理指示が出された。「1.情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと 2.航空機、船舶等の安全確認を徹底すること 3.不測の事態に備え、万全の態勢をとること」(19日付・総理官邸公式ホームページ)。

    北朝鮮による、日本海に向けたミサイルの発射は頻繁となっている。9月11・12日の長距離巡航ミサイル、15日の移動式ミサイル、28日の極超音速ミサイルと続いている。そして今月19日の弾道ミサイルの発射だ。北朝鮮による脅威はミサイルだけではない。  

    能登半島の沖合300㌔にある大和堆はスルメイカの好漁場で、日本のEEZ(排他的経済水域)内にある。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していないし、日本と漁業協定も結んでいない。北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化してくる。EEZ内の漁場「大和堆」で、北朝鮮当局の船が航行しているのが確認されていて、ことし6月末には、そのうちの1隻が携帯型の対空ミサイルを装備していたことを海上保安庁が確認している。このような状況下で漁業者は安心して日本海で操業できるだろうか。

   衆院選で能登半島は石川3区。3区からは無所属新人の倉知昭一候補(85)、自民党前職の西田昭二候補(52)、立憲民主党前職の近藤和也候補(47)が立候補している。この北朝鮮問題を有権者に訴えている候補者をそれぞれのホームページなどでチェックする。すると、3人のうち、北朝鮮問題について触れているのは、近藤候補だけだ。公示の日の集会の動画で、「きょうも北朝鮮からミサイルが発射された。日本にスキがあるから狙われるということがあってはいけない」と述べている。NHKの取材でも、「不安定化している日本海の大和堆の違法操業問題の解決は急務」と。

   北朝鮮問題は確実に起こる。2017年3月6日、北朝鮮は「スカッドER」と推定される弾道ミサイルを4発発射し、うちの1発を能登半島から北に200㌔の海上に着弾させた。北朝鮮が弾道ミサイルを撃ち込む標的の一つが能登半島だ。半島の先端・輪島市の高洲山(567㍍)には航空自衛隊輪島分屯基地のレーダーサイトがある。その監視レーダーサイトの目と鼻の先にスカッドERが撃ち込まれた。

   この能登半島の緊張感を国会でぜひ議論してほしい。北朝鮮のミサイル攻撃にどう対応するのか国会で論陣を張るべきだ。自身は監視レーダーサイトを撤去しろという議論には賛成しない。(※写真は、現職2人と新人1人の3人が立候補した石川3区の選挙ポスター掲示板。新人は23日現在ポスターを貼っていない)

⇒24日(日)夜・金沢の天気      はれ