#菅内閣

★森発言 五輪のモチベーションも失速

★森発言 五輪のモチベーションも失速

    菅総理はことし元旦の年頭所感で、「我が国は、多国間主義を重視しながら、『団結した世界』の実現を目指し、ポストコロナの秩序づくりを主導してまいります。そして、今年の夏、世界の団結の象徴となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催いたします」(総理官邸公式ホームページ)と述べたが、開催自体も怪しくなってきた。 

   共同通信社が6、7両日に実施した全国電話世論調査によると、「女性蔑視」発言をした東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長に関し、会長として「適任とは思わない」との回答が59.9%に上った。「適任と思う」6.8%、「どちらとも言えない」32.8%だった。菅内閣の支持率は38.8%で前回1月調査から2.5ポイント続落し、初めて40%を割り込んだ。不支持率は3.1ポイント増の45.9%となった(2月7日付・共同通信Web版)。

   読売新聞が5-7日に実施した全国世論調査では、森会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言したことについて、「問題がある」との回答は「大いに」63%、「多少は」28%を合わせて91%に上った。「大いに」を男女別にみると、女性が67%で、男性の59%を上回った。オリ・パラの開催では、「観客を入れて開催する」8%と「観客を入れずに開催する」28%を合わせ、計36%が開催に前向きな考えを示した。「再び延期する」は33%、「中止する」は28%だった(2月7日付・読売新聞Web版)。

   内閣支持率は39%と前回(1月15-17日調査)の39%から横ばいだった。不支持率は44%(前回49%)に下がった。昨年11月に69%だった内閣支持率は、その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い3回連続で下落していた。今回の調査で支持率の下落傾向に歯止めがかかったのは、新規感染者数が減少に転じたことが主な要因とみられる(同)。

   国内世論にオリ・パラ開催へのモチベーションが感じられない。森会長が辞めたら、世論的にモチベーションは上がるのだろうか。新型コロナウイルスの感染収束が見通せない状態では八方塞がりだ。どうやら、暗いトンネルに入り込んでしまったようだ。

⇒7日(日)夜・金沢の天気 

★静かなる年末年始(10)「賀状で読む総選挙」

★静かなる年末年始(10)「賀状で読む総選挙」

   ことしの年賀状は書き出しを「謹賀新年」とはしなかった。昨年からの新型コロナウイルスが感染拡大する中で決して「おめでたい年を迎えた」などとは自身の気持ちとして言えないとこだわったからだ。その代わりに、「希望が持てる新年でありますように」と記した=写真・上=。では、果たして2021年(令和3年)は希望が持てる年になるのだろうか。いただいた年賀状からことしを読んでみる。

   菅内閣を皮肉った賀状をいただいた=写真・下=。大学時代の同級生で、元雑誌社の編集長。「麻生太郎(副総理)81歳! 二階俊博(幹事長)82歳! あ~あ。老人はもういいよ。若い政治家はいないの? と思ったら、いつのまにか私も高齢者で今年67歳に。」との自虐的な内容には笑える。「中身スカスカの『スカ総理』は73歳とイラストも添えている。

   共同通信社が12月5、6日に実施した全国電話世論調査(回答は固定電話524人、携帯電話519人)によると、菅内閣の支持率は50%で、前回11月から12.7ポイント急落した。政府の新型コロナウイルス対策は「評価しない」が55%。感染防止と経済活動のどちらを優先すべきか尋ねたところ「どちらかといえば」を含め「感染防止」を挙げたのは計76%に上った(12月6日付・共同通信ニュースWeb版)。

   内閣支持率が下がり続ければ、おそらく解散・総選挙は近い。それはいつか。以下憶測だ。コロナ禍の感染拡大で勢いづいている今の状態では3月、4月の総選挙は無理だろう。むしろこの時期はワクチン接種がピークを迎えている。ワクチン効果の評判が広がれば、世論の安心感と政府への評価が高まる。その絶妙なタイミングを狙えば、解散・総選挙は7月の東京オリンピック(21日競技開始、23日開会式)前の5月か6月ではないだろうか。

   賀状を手にして、狡猾な老人政治家たちが考えそうなシナリオを描いてみた。自らも老人政治家たちの腹を探ろうする年代に入った。
 
⇒2日(土)夜・金沢の天気  くもり時々ゆき

★「領域外」に立ち入るということ

★「領域外」に立ち入るということ

   先日金沢市内の卯辰山公園近くの道路の入り口に看板がかかっていたので乗用車を停めると、「園内でクマが出没しました!」との注意書きだった=写真=。「7月22日」と記されているが、1ヵ月余り前の6月3日にも卯辰山山ろくの人家密集地にクマが出没し、7時間にわたる「大捕物劇」がニュースになっていた。いつまたクマが出没するかもしれないと考えると、金沢の紅葉の名所の一つでもあるものの、市民は敬遠するだろう。いつもならこの季節、バーベキューでにぎわうのだが。

   クマの暴走が止まらない。先月10月29日朝、小松市の小学校のグラウンドに1頭が入り、隣りにある高校の敷地内に逃げ込んだ。午前9時前に猟友会のメンバーが猟銃で駆除した。高校では15分遅れで授業を開始した。現場は市街地だ。小松市ではきょう1日に同市で実施される全国高校駅伝競走大会県予選について、一般道路を走るルートから陸上競技場のトラックを周回する方式に急きょ変更した。発着点付近でクマ出没が相次いだためだ。石川県自然環境課のまとめによると、ことしに入ってクマの目撃情報は502件(10月27日現在)で、うち小松市が133件ともっとも多く、次いで金沢市の118件だ。

   本来入るはずのないところに入る、本来入るべきところでないのに入る、それが問題だ。何もクマの話だけではない。菅内閣の総理補佐官に共同通信社の論説副委員長だった人物が10月1日付で就任したことが議論を呼んだ。いわゆる、権力をチェックする側のジャーナリストが一転して政権内部に入ってよいのか、と。政治部時代に菅総理と知り合い、また、同郷(秋田県)でもあった。総理からの要請を受けての就任で、政策の評価・検証をするポジションのようだ。

   ジャーナリストとして政権側に入ってよいものかどうか、本人が苦悶したであろうことは想像に難くない。以下は憶測だが、現在59歳、来年60歳という年齢が決断のきっかけだったかもしれない。ジャーナリストであっても、政治家であっても、経営者であっても、年齢というものを区切りに辞す、転職するなど別の世界を選択する。それを「人生の転機」と考えるものだ。ましてや、今回のように声がかかれば、「ご縁」、あるいは「運命」と位置付けてその道に入るだろう。

   今回、「ジャーナリストが政権側に身を売るのか」「それまでの政権批判は一体何だったのか」などとの手厳しい意見が身内からもあっただろう。ただ、ジャーナリストは多様である。菅総理に共感を持ちながら政権の有り様を質すジャーナリストもいる(「田原総一朗公式サイト」9月25日付コメント)。批判を覚悟しての政権入りであり、それも人生の貴重な選択肢だ。ただ、菅総理は人使いが荒そうなので、本人が問われるのはむしろこの先だろう。

⇒1日(日)朝・金沢の天気    はれ

★いつでも誰でもどこででも日銀のデジタル通貨

★いつでも誰でもどこででも日銀のデジタル通貨

   このブログでも何度か取り上げてきた中央銀行が発行するデジタル通貨について、きのう日銀が欧米の中央銀行との共同研究報告書を公表した。日銀の公式ホームページをのぞくと、来年2021年度から実証事業を始めるとある。いよいよデジタル法定通貨が経済のコアとして浮上してきた。

   このブログで、政府と日銀はアフターコロナの政策として、2024年に予定している新札発行をデジタル通貨へと舵を切るのではないかと憶測してきた。以前から紙幣や硬貨は非衛生的だとの指摘があり、新型コロナウイルスの感染拡大にともなって一気にキャッシュレス化が進んだ。もちろん紙幣や硬貨を粗末にするという意味ではない。  

   以下、日銀ホームページの共同研究報告書から引用する。日銀は、現時点でデジタル法定通貨(Central Bank Digital Currency、以下CBDC)を発行する計画はないと前置きしながしなら、決済システム全体の安定性と効率性を確保するよう準備する、としている。CBDC役割について、1.現金と並ぶ決裁手段の導入、2.民間決裁サービスのサポート、3.デジタル社会にさわしい決済システムの構築、の3点を上げている。

   現金に対する需要がある限り、現金の供給についても責任をもって続けていく。CBDCが発行されると、民間企業や金融機関によるデジタル通貨と競合し、民間の活力を損なう懸念もある。たとえば、銀行預金からの引き出しが容易になって金融危機時に銀行経営が揺らぎやすくなるといったことも想定され、そうした事態が起きないよう民間決裁サービスをサポートする。

   CBDCが持つべき特性をまとめている。現金や預金などとの交換性や現金払いやスマホ決済のような決済時の容易さ(ユニバーサルサービス)、取引の即時決済性といった強靱性、セキュリティを上げている。つまり、現金のように「誰でも使える」「安心して使える」「いつでも、どこでも使える」との位置づけだ。

   日銀は21年度の早い時期に実証実験を始め、1.中央銀行と民間事業者の協調・役割分担のあり方、2.CBDCの発行額・保有額制限や付利に関する考え方、.3.プライバシーの確保と利用者情報の取扱い、4.デジタル通貨に関連する情報技術の標準化のあり方などの点について検討を進めていく、としている。

   菅内閣が進めるデジタル化の促進はまさに日銀のこの動きと連動するものだろう。これと選挙のデジタル投票が同時に進めば、日本のデジタル化は政治と経済の両面でかなり加速するのではないだろうか。

⇒10日(土)朝・金沢の天気   くもり

☆キンモクセイ 花咲けど匂わず

☆キンモクセイ 花咲けど匂わず

   庭にキンモクセイが咲き、空に青と黄のコントラストを描いて、秋の季節を感じさせる。キンモクセイと言えば、あの独特の匂いなのだが、今年は不思議と感じられない。その瞬間、「これって認知症」と思いがめぐった。認知症になると嗅覚が低下し、腐ったものを食べたり、ガス漏れに気がつかなかったりすると聞いたことがある。そこで、ずっと年下の家族にも嗅いでもらったが「匂いがしませんね」というので胸をなで下ろした。

   むしろ、なぜ匂いがしないのか気になった。ネットで検索してもエビデンスのある答えがみつからない。ただ、心当たりがあるのは先月末に樹木の剪定をしてもらった。かなり刈り込んだので、その影響か、と。そこで、作業をしてもらった造園業者に電話で尋ねた。「剪定後だとキンモクセイの匂いはしないものですか」と。すると、「長くこの仕事をやっていますが、そうした話は聞いたことはありませんね」「花と匂いはセットなので、花が咲いて匂いがないとは不思議です。私も調べてみます」との返事だった。

   話は変わるが、9月16日に発足した菅内閣。メディア各社の世論調査では内閣支持率は高い。毎日新聞の調査では、内閣支持率が64%で、不支持率は27%を大幅に上回っている(9月18日付・毎日新聞Web版)。 朝日新聞社の調査は内閣支持率が65%で、不支持率は13%だった(9月17日付・朝日新聞Web版)。共同通信の調査でも支持率は66.4%、不支持率は16.2%だった(9月17日付・共同通信Web版)。3社の調査では支持率がおおむね65%とそろっている。

   政権発足から1ヵ月、携帯電話料金の値下げや縦割り行政の打破、デジタル庁発足に向けて取り組み、ハンコ行政の廃止推進、日米豪印の外相会談などよい匂いのしそうな内外の政策が打ち上げられてはいるが、成果はこれから、か。花咲けど匂わず。

⇒9日(金)朝・金沢の天気   くもり