★内閣支持率がドロ沼化 「聞くチカラ」の限界
内閣支持率は下がる一方で、底が見えない。NHKの世論調査(電話・9月9-11日)によると、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、前回調査(8月5-7日)より6ポイント下がって40%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は12ポイント上がって40%となった。
内閣支持率の足を引っ張っているとされるのが、安倍元総理の「国葬」(今月27日)の実施についてだ。「国葬」を行うことについて、「評価する」が32%、「評価しない」が57%だった。さらに「国葬」についての政府の説明は十分だと思うかとの問いでは、「十分だ」が15%、「不十分だ」が72%だった。
そして、岸田内閣をさらに支持率低下へと引きづり込んでいるのが、自民党と世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係だろう。自民党は、今後、統一教会や関連団体と一切関係を持たないことを基本方針とし、党所属の国会議員との関係を点検して公表したが、自民党の対応は十分だと思うかという問いでは、「十分だ」が22%、「不十分だ」が65%だった。「国葬」と合わせ、統一教会についても大半の有権者は納得いく説明がなされていないと感じているのだ。
内閣支持率の低下は他のメディアの世論調査でも同様の結果が出ている。時事通信の世論調査(今月9-12日)によると、内閣支持率は前月比12ポイント減の32%と急落した。不支持率は同11ポイント増の40%で、初めて不支持率が支持率を上回った。「国葬」については「反対」が51%で、「賛成」は25%だった(15日付・時事通信Web版)。
また、読売新聞の世論調査(今月2-4日)では、内閣支持率は50%と前回調査(8月10、11日)の51%と横ばいだったものの、不支持率は41%で、前回調査34%よりアップしている。「国葬」を決めたことに対する評価では、「評価しない」が56%で、「評価する」38%を上回っている。読売の調査でも、岸田総理がその意義や理由を十分に説明していないという不満が、否定的な評価として現れている。
内閣支持率はドロ沼化している。内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と言われる。「聞くチカラ」を岸田総理は強調してきたが、いま必要なのは説得ある政策の実行だろう。政権が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査と警察による情報収集で実態解明に着手すること。その上で、問題が露呈すれば非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると有権者に公約することだ。
苦境に陥っている岸田内閣をいま高笑いして眺めているのは、むしろ統一教会の教団幹部ではないだろうか。「岸田さん、地獄の底までお付き合いさせていただきますよ」と。
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