#緊急地震速報

☆6・3緊急地震速報 震源2つほぼ同時で「ごちゃまぜ」予測に

☆6・3緊急地震速報 震源2つほぼ同時で「ごちゃまぜ」予測に

  今月3日朝に能登半島で起きた震度5強で鳴り響いた緊急地震速報は東北から関東、近畿地方にかけて広範囲に出されていたので、「巨大地震が来る」と身構えた。金沢では震度3だった。まもなくして、気象庁は会見で、地震の規模を示すマグニチュードが実際の揺れより大きな予測を出したことに訂正を入れていた。あれから1週間、気象庁はきのう(10日)の記者発表の中で、その経緯を説明した。以下、記者発表の内容を引用する。

  3日朝に26都府県に出された緊急地震速報は「マグニチュード7.4、震度4以上」の予測だった。だが、実際のマグニチュードは6.0で、震度5強の揺れが能登半島の輪島市、珠洲市、震度5弱が能登町、震度4が能登半島の七尾市、穴水町、新潟県の上越市、長岡市、柏崎市などであり、震度4以上の地域は限定的だった。そして、緊急地震速報が出されていた東北から関東、近畿地方では震度1から2程度の揺れが多かった。(※図は、左が6月3日朝に出された緊急地震速報の第1報エリア、右が第2報エリア=6月10日付・気象庁公式サイト「地震活動及び火山活動について」資料より)

  マグニチュードは1大きくなると地震のエネルギーが32倍大きくなるといわれている。では、なぜ気象庁は今回、「6.0」と「7.4」を間違えたのか。気象庁の発表によると、震源の能登で近接した場所で1秒以内に2回の地震が起きたのが原因だと説明している。地震波を分析した結果では、3日午前6時31分39.6秒と31分40.3秒の2回、地震が起きていた。震源はいずれも半島の先端付近で2㌔の近さだった。1回目のマグニチュードは不明、2回目が6.0だった。実際の揺れは2回目の地震が引き起こしたとみられる。

  気象庁は、およそ1秒の間にほとんど同じ場所で2つの地震が発生したことなどにより、実際の震源よりも南東に20㌔ずれた富山湾が震源と推定された説明。さらに、地震波には、早く伝わる弱い揺れの初期微動(P波)と、ゆっくり伝わる強い揺れの主要動(S波)の2種類の波があるが、震源の推定がずれた影響で強いS波の観測データを弱いP波として計算が行われ、実際のマグニチュードよりも過大に推計された、と分析している。

  つまり、1回目の地震のP波を地震システムが解析中に2回目の地震のP波、そしてまもなく1回目のS波が届いた。すると、システムは同一の地震によるP波と誤認して、過大な予測を出した。2つの震源地が近く、ほぼ同時だったので「ごちゃまぜ予測」となった、ということだろうか。

⇒11日(火)夜・金沢の天気    はれ

★奥能登また震度5強 されど輪島塗の技術と輝きは絶えず

★奥能登また震度5強 されど輪島塗の技術と輝きは絶えず

  3日朝に能登半島の輪島市で珠洲市で震度5強の地震があった。金沢は震度3だった。意外だったのは、千葉県に住む知人から「こちらでも緊急地震速報が鳴り響き、急いでテレビをつけて身構えたが、揺れなかった」とメールが届いた。気象庁は揺れがないのに地震速報を出すのかと思っていた。

  その後の気象庁の記者会見によると、富山湾でマグニチュード7.4の地震が発生したと推定され、能登で震度6弱から7、東京や大阪、東北などでも震度3から4程度が予想されるとして、広範囲に警報を出した。実際の地震の規模はM6だったので、東京や大阪で揺れはほとんどなかった。担当者は「短時間に同じ場所で地震が複数発生したことから、緊急地震速報の地震の規模が大きめに算出されてしまったと推測している」と説明していた。

  きょう午後、輪島の被災地をめぐった。輪島では今回の震度5強の揺れで、新たに住宅5棟が倒壊したと地元メディアが報じていた。そのうちの1棟は知り合いの漆器業者の自宅だった。元日の揺れで工房が倒壊し、今回の地震で自宅が倒壊した。知り合いは若手で、輪島塗の復興を目指して奮闘している。

  4月10日に岸田総理が日米首脳会談でワシントンを訪れ、バイデン大統領夫妻との夕食会の際、輪島塗のコーヒーカップとボールペンを手渡した。バイデン大統領からの見舞い電報のお礼を込めて贈ったもので、岸田総理は被災した能登で創られている日本ではとても有名な「lacquerware(漆芸品)」と紹介し、被災した若手職人たちが今回のために特別に100以上の工程を経て、心を込めて作製したと説明した(外務省公式サイト)。この贈答用の輪島塗作品を手掛けたのが知り合いだった。このことを当時ニュースで知って、自身も誇らしく思ったものだ。

  本人のフェイスブック(4日付)によると、自宅は元日の地震で全壊判定だった。それが、今回の地震で完全に倒壊したかたちになった。「やはり生まれ育った家がかろうじて立っていてくれるのと、倒壊してしまうのでは、かなり精神的なダメージは違います。全壊判定だったので、いつかは公費解体でしたが、心の準備ができぬままの倒壊でした」。無念さがこみ上げているに違いない。輪島塗の技術が失われたわけではない。希望を見出した矢先、「塗師屋」の奮闘を祈る。塗師屋は注文からデザインなど手掛ける、いまでいう塗り物の総合プロデューサーだ。

⇒4日(火)夜・金沢の天気     はれ

☆能登半島地震 またもや緊急地震速報が鳴り響く

☆能登半島地震 またもや緊急地震速報が鳴り響く

   夕方にスマホの緊急地震速報が鳴った=写真=。夕食中に、グラリと揺れが走った。テレビのニュース速報が流れた。時間は午後6時42分、能登を震源とするマグニチュード4.8、震度5弱の揺れ。自身が住む金沢は震度1だった。

   気象庁によると、震度1以上の揺れを観測した地震は16日午前4時までに1400回以上になる。能登地方やその周辺を震源とする地震は徐々に減少しているものの、地震活動が活発な状態が続いている。気象庁が今後2、3週間は震度5強程度か、それ以上の揺れに注意が必要と呼びかけていた矢先に先ほどの震度5の揺れが起きた。

   石川県庁危機管理監室のまとめによると、県内の犠牲者は16日午後2時の時点で222人となった。このうち、避難所生活などで病気などが悪化したり、体調を崩したりして亡くなった災害関連死は14人となっている。重軽傷者は1036人に上る。

   県内の市や町が設ける避難所に避難している人はきょう16日午後2時現在、372ヵ所で1万6070人に上る。また、高齢者や妊婦など配慮が必要な被災者とその家族を優先して金沢市のホテルや旅館に入ってもらう「2次避難所」には42ヵ所に1278人が避難している。

   生活インフラの復旧が進んでいない。とくに断水は広範囲にわたっていて、8つの市町の5万5500戸に上っている。中でも大きな災害が出た輪島市、珠洲市、七尾市、穴水町、能登町、志賀町ではほぼ全域で断水が続いている。

   寒気の影響できょう日中は厳しい冷え込みとなった。あす17日の最低気温は輪島市でマイナス3度と予想されている。揺れが続き、厳冬の避難所生活ではなかなか展望が見いだせないのではないだろうか。

⇒16日(火)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

☆元旦大揺れ震度7 「令和6年能登半島地震」

☆元旦大揺れ震度7 「令和6年能登半島地震」

   きょう元旦は寝正月で午前10時ごろに起床した。正午すぎに家族とおせち料理を楽しみ、正月酒を昼から楽しんだ。会話も弾み、つい飲み過ぎた。午後3時ごろ眠気が襲ってきて、また布団に入って寝た。午後4時すぎだった。枕元に置いたスマホがピューンピューンと鳴った。緊急地震速報だ。「エッ、地震が」と寝ぼけ眼で見ていると。グラグラと家が揺れ出した。押し入れの引き戸などがガンガンと音を立てて閉じたり開いたりを繰り返している。数十秒も続いただろうか。いったん止んだが、しばらくして、またピューンピューンと緊急地震速報が鳴った。寝ている場合ではない。家具などは大丈夫か。すっかり酔いもさめた。

   NHKの地震速報をチェックする。気象庁の観測によると、地震が起きたのは午後4時10分ごろで、震源地は能登地方で、地震の規模を示すマグニチュードは7.6と推定。この地震で能登半島の中ほどにある志賀町では震度7の激しい揺れを観測したほか、震度6強を七尾市と輪島市、珠洲市、穴水町で、震度6弱を中能登町と、能登町、新潟県長岡市で観測した。金沢は5強だった。去年5月5日に半島の尖端、珠洲市で震度6強があり、今回はさらに広範範囲で規模も大きな揺れとなった。緊急地震速報はその後、10数回も鳴り、金沢も震度3の揺れが何度か起きた。(※写真の上・下はNHKテレビ地震速報より)

   そして、震度6強だった輪島市では大規模な火災が発生した。場所は観光名所でもある朝市通り近くだ。そして、大津波警報が発令された。能登の海岸の一部では5㍍の波、富山湾でも3㍍が発生し、漁船が波に飲まれて多く沈没していると海上保安庁の情報が流れていた。NHKの女性アナウンサーは強い口調で津波の警戒を呼び掛け、テレビ画面の右上には「大津波にげて!」「EVACUATE! にげて!」 と表示が出ている。

   気象庁は記者会見し、能登地方で震度7の揺れを観測した地震について「令和6年能登半島地震」と名付けた。気象庁は損壊家屋1000棟程度以上や相当の人的被害など顕著な被害が発生した場合に名付けていて、2007年3月25日に輪島市沖を震源すると震度7クラスの地震が発生したときも「平成19年能登半島地震」としている。

⇒1日(元旦・月)夜・金沢の天気   くもり  

★能登半島の尖端が大揺れ 震度6強

★能登半島の尖端が大揺れ 震度6強

   きょう午後2時42分ごろ、スマホに緊急地震速報のアラームが不気味に鳴った。金沢の自宅にいたが、グラッグラッと横揺れがあり、さらに突き上げるような揺れになった。思わず自宅の天井を見上げた。ミシッミシッと音がした。20秒ほどの揺れだっただろうか。その後も小さな揺れが断続的に続いた。棚から物が落ちたりといったことはなかった。

   テレビをつけNHK総合を視ると、能登半島の尖端にある珠洲市でマグニチュード6.3(※後に6.5に修正された)、震度6強の地震だった=震度図=。午後5時現在、同市の総合病院にはけが人13人が運ばれ、うち1人が死亡した。能登半島での震度6強は2007年3月25日以来だ。このときはマグニチュード6.9の揺れで、輪島市や七尾市、輪島市、穴水町で家屋2400棟余りが全半壊し、死者1人、重軽傷者は330人だった。

   能登半島では2020年12月以降、地震が頻発するようになった。気象庁による緊急地震速報が発出された地震は今回で9回におよぶ。2022年6月19日には震度6弱(マグニチュード5.4)、翌日20日には震度5強(同5.0)と続いた。ことしに入って、珠洲市付近で観測された震度1以上の揺れはきのう4日までに49回を数えていた。(※写真は、去年6月20日午前10時31分の震度5強の揺れで、珠洲市の観光名所である見附島の側面の一部が土煙を上げて崩れる様子)

   2022年7月11日に開催された政府の地震調査委員会の定例会合では能登半島の地震について重点的に議論された。地震活動の原因について、「地震活動域に外部から何らかの力が作用することで地震活動が活発になっている可能性」が考えられ、その外部からの作用とは「能登半島北部での温泉水の分析からは、何らかの流体が関与している可能性がある」としている。その流体の作用によって、岩盤が球状に膨らむ「球状圧力源」、岩盤の亀裂が板状に開く「開口割れ目」、断層がすべる「断層すべり」の3つの揺れの原因が考えられるが、「いずれの可能性も考えることができ、原因を1つに特定することは困難」としている。

   気象庁は午後4時40分から記者会見を行った。きょう能登では震度1以上の地震が13回観測されている。揺れの強かった能登北部の地域では、今後1週間程度は、同じ規模の地震が発生する恐れがあるとのこと。特に、この2、3日の間は注意が必要と呼びかけていた。

⇒5日(金)夜・金沢の天気    くもり