#統一教会

★国葬のようで国葬でない、「国葬儀」とは何だ

★国葬のようで国葬でない、「国葬儀」とは何だ

   安倍元総理の国葬をめぐって、きょう午後1時から国会で開かれた「閉会中審査」をNHK総合で視聴していた=写真=。閉会中審査は、国会が閉会中に衆院や参院が必要と認めた案件について審議すること。今回は衆参の議院運営委員会の場で行われた。視聴していて、岸田総理の答弁のキーワードは2つあったと感じた。それは、「国葬儀」と「弔問外交」ではなかったか。

   野党側の質問のポイントは国葬の法的根拠に集中していた。これに対して岸田総理が繰り返し使っていた言葉が「国葬儀」だった。内閣府設置法という法律の枠組みの中で「国の儀式」が出来るので、安倍元総理の追悼式をその一つとして行うと述べていた。端的に言えば、「国葬」ではなく、「国葬儀」なのだ、と。

   かつて戦前に行われていた国葬とは違い、国葬儀は国民の権利、例えば思想・信条の自由や信教の自由などを制限するようなことはいっさいしないセレモニーとする。具体的には、この日(9月27日)は休日にはしない、半旗を掲げるなど弔意を国民に求め強要するようなことはしない、という。単に内閣が仕切る国の儀式であると強調していた。

            その「国葬儀」を営むメリットとして、岸田総理が繰り返し述べていたのが「弔問外交」だった。弔問外交は国と国との関係づくりに役立つと述ていいた。確かに、アメリカからハリス副大統領が来て弔問外交が始まれば、テレビメディアの報道もガラリと雰囲気が変わるかもしれない。安倍元総理と27回も会談したロシアのプーチン大統領は参列しないと伝えられているが、中国や韓国からはどのようなレベルの人物が訪れるのか。韓国は首相が参列する見通しと伝えられているが、戦時中の元徴用工をめぐる問題に進展はもたらされるのか。 

   自民の茂木幹事長はきょう夜、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)との関係をめぐり、所属する国会議員全体の半数近くにあたる179人が何らかの接点があったことを明らかにした。また、選挙で支援を受けるなど、一定以上の関係を認めた121人の氏名も公表した(8日付・NHKニュースWeb版)。閉会中審査と自民党関係議員の公表をセットで行ったことで、岸田内閣は国葬に向けて一連の問題のケジメをつけたと考えているのだろうか。

⇒8日(木)夜・金沢の天気    くもり

★反社団体とどう向き合う 煮え切らない知事発言

★反社団体とどう向き合う 煮え切らない知事発言

   「弊社として問題意識を持っているのは、政治と宗教の問題ではなくて、富山市とか高岡市とかいろんな自治体のトップが、関係を絶つと明言されている中で、新田知事が踏み込んだ表現をされないというのは、県民に対して、疑念や不安を生じるのではないかということを申し上げています」(2日付・チューリップテレビニュースWeb版)。

   安倍元総理の射殺事件でクローズアップされている世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)による政治家と関係や霊感商法、献金強制の問題などが連日報道されている。中でも、北陸では富山県の新田知事が統一教会との関係について、煮え切らない発言を繰り返しているのを地元テレビ局「チューリップテレビ」の記者が問いただしているのが、冒頭の発言だ(2日の知事定例会見)。

   知事は会見でこう述べている。「関係を断ち切るとまで言えとおっしゃるということは、私はその宗教団体への圧迫にあたるというふうに思っていますし、ということはそれを信じておられる方々をやっぱり断ち切るということにつながるんじゃないかと理解をして、私はこの立場でそういう発言はできませんと言っていることです」(同)。

   霊感商法や献金強要によって巨額な金が集められ、1987年から2021年に全国霊感商法対策弁護士連絡会に寄せられた被害件数は約3万4500件、被害金額は計約1237億円に上る。すさまじい被害があるにもかかわらず、統一教会に配慮するコメントが出たことに、有権者は憤っているに違いない。「何が問題か、僕はよく分からない」という発言(7月29日・福田達夫議員)と似ている。

   フランスの法律「反セクト法」は、人権侵害が疑われる活動を行う団体が繰り返し犯罪を犯した場合、団体に一定の活動制限や処罰を与える。信仰の自由を逆手に取って、被害を拡大させてきた反社会的な宗教団体と自民党はどう向き合うのか。反セクト法のような明確な法がない限り、このままズルズルと再び癒着が始まるに違いない。

(※写真は、富山県の新田知事の2日の定例会見=県庁公式サイト「知事室へようこそ」より)

⇒3日(土)夜・金沢の天気   はれ  

☆「国葬」めぐるバカ発言、パンドラの箱が開く

☆「国葬」めぐるバカ発言、パンドラの箱が開く

   まるでパンドラの箱が開いたように連日、世界平和統一家庭連合(旧「統一教会」)の政治家と関係や霊感商法、献金強制の問題などが報道されている。

   日テレ系番組「情報ライブミヤネ屋」(26日付)で、安倍元総理の国葬(9月27日)について津田塾大の萱野稔人教授が意見を述べていた。「やるのであれば、統一教会と与党との関係をしっかり清算してほしい」と。「国葬をやることによって、むしろ統一教会に利用されてしまう懸念がある。国葬を行うような大政治家とわれわれは関係を持っていた」と教団のPRに使われる可能性を指摘していた。

   自民党は党所属の国会議員に統一教会とのかかわりをアンケート調査する文書を配布した。8項目の報告を求めていて、統一教会主催や関連団体の会合に出席したことがあるか、会費の支出があるかどうか、選挙の際にボランティアによる支援や組織的な支援を受けたことがあるかどうかなどを尋ねている。集約でき次第、結果を公表する。関係が深い議員については名前の公表も検討する(26日付・NHKニュースWeb版)。   

   消費者庁に新たに発足する「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の初会合が今月29日に開催される。河野消費者担当大臣が明らかにした。委員には、統一教会の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士、カルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授など8人が選ばれた。河野大臣は「霊感商法は消費者契約法で規制されているが、それにあたらないような動きがあったからこそ、さまざまな被害があったと思う」と述べた(同)。

   自民党の二階俊博元幹事長は都内で講演し、統一教会や関連団体と自民党議員との関係について「問題があればどんどん出して、修正をしていくべきだ。自民党はびくともしないから」と述べた。また、安倍元総理の国葬に報道各社の世論調査で反対意見が強いことについて「それがあったからといって国葬をやめるわけではない。国葬は当たり前だ。やらなかったらばかだ」と指摘した(24日付・毎日新聞Web版)。

   国葬に関しては、FNN・産経合同世論調査(8月20、21日)で「反対」51%、「賛成」40%、また、毎日新聞と社会調査研究センターの世論調査(同)でも「反対」53%、「賛成」30%となっていて、反対が上回っている。二階氏のバカ発言で今後さらに反対が加速するのではないだろうか。

⇒26日(金)夜・金沢の天気    くもり

☆処暑に感じる秋の気配、そして政局の気配

☆処暑に感じる秋の気配、そして政局の気配

   あすは二十四節気の「処暑」。夏の暑さが少し和らぎ、夜の虫の声や朝の風に秋に気配を感じるころだ。わが家の庭にタカサゴユリ(高砂ユリ)が咲き始めた。「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」の花の美しさは見事だ。ヤマユリのような高貴な香りはないが、人目をひく花だ。

   ただ、植えた覚えはないので、おそらく種子が風に乗って、庭に落ちて育ったのだろう。旧盆が過ぎたこの時節は花の少ない季節で、茶花として重宝している。ただ、立場が異なればタカサゴユリは外敵、目の敵だ。国立研究開発法人「国立環境研究所」のホームページには「侵入生物データベース」の中で記載されている。侵入生物、まるでエイリアンのようなイメージだ。外来種だからと言って、すべて駆除すべきなのか、どうか。

   きょうの毎日新聞に世論調査(20、21日)の結果が掲載されていた。岸田内閣の支持率は36%で、前回調査(7月16、17日)の52%から16ポイントも下落した。不支持率は54%で前回より17ポイントも増えた。この下落の背景にあるのが、安倍元総理の射殺事件がきっかけで明るみになってきた、自民党と「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」の関係だ。これに対しては「極めて問題があったと思う」「ある程度問題があったと思う」が合計で87%もある。政党支持率も自民は29%で前回の34%から5ポイント下落している。

   メディア業界でよく指摘されるのは、内閣支持率の20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」と。これから他のメディアも世論調査を次々と報道するだろう。「聞くチカラ」を岸田総理は強調してきたが、統一教会問題だけでなく、物価高対策や新型コロナウイルスの感染拡大についても、無策の状態が明らかになってきた。

   岸田政権が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査や警察による情報収集など実態解明に着手することだ。その上で、問題が露呈すれば非課税などの優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると有権者に宣言することだ。ケジメをつけないと、政権のデッドゾーン入りもそう遠くはないだろう。

⇒22日(月)夜・金沢の天気    くもり

☆岸田政権は安泰なのか、世論調査の内閣支持率を読む

☆岸田政権は安泰なのか、世論調査の内閣支持率を読む

   前回ブログの続き。今回の岸田改造内閣について、有権者はどう評価しているのか。メディア各社がそれぞれ緊急世論調査(10、11日)の結果を報じている。共同通信社の電話調査によると、内閣支持率は54%、前回(7月30、31日)より3%上げ、不支持は28%と前回より1ポイント減だった。今回の内閣改造と自民党執行部の人事をどう評価するかについては、「評価する」が44%、「評価しない」が41%だった。

   日経新聞の緊急世論調査では内閣支持率は57%で前回(7月29-31日)より1ポイント低下した。不支持率は35%で前回より3ポイント上昇している。また、新しい内閣と自民党執行部の顔ぶれについては、「評価しない」44%が「評価する」30%を上回った。

   読売新聞の世論調査では、内閣支持率は51%で前回(今月5-7日)より6ポイント下落。不支持率は34%と前回より2ポイント増えている。今回の内閣改造を「評価する」は45%、「評価しない」は34%だった。それにしても、これまで内閣改造と言えば政権浮揚の効果もあったが、共同の調査では3ポイントの微増、日経と読売ではマイナスだ。

   なぜか。それは、霊感商法や献金強要など反社会的行動を取ってきた「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)と政権や党議員との癒着に、今回、人事でケジメをつけるはずだったが、有権者はそれほど甘くは見ていないということではないだろうか。

   読売の世論調査で、萩生田光一経産大臣が党政調会長に起用されたことについて、「評価しない」が40%で、「評価する」32%を上回っている。萩生田氏はこれまで統一教会主催のイベントに来賓としてあいさつ、関連団体に会費を支払うなどの濃厚な接触が取り沙汰されていた。岸田総理が統一教会と自民の関係を見直しを「徹底する」と発言したものの、この矛盾に有権者は憤っている。それが数字に現れた。

   「ピンチはチャンス」どころか、ますます泥沼にはまっている。岸田総理自身も統一教会広島地区会長とツーショット写真を撮っていたことも明らかになっている=写真、ジャーナリスト鈴木エイト氏のツイッター(今月9日付)から=。このままでは内閣支持率がさらに混迷するのではないか。

   政局は一気に揺らぐ。その目安に世論調査の内閣支持率がある。20%台は政権の「危険水域」、20%以下は「デッドゾーン」といわれる。今回の調査で岸田内閣の支持率は51%台だが、下がるときは急降下する。政権が反社会的な宗教団体との関係性を絶つには、税務調査や警察による情報収集など実態解明に着手する。その上で、問題が露呈すれば非課税など優遇措置の解除、場合によっては解散命令(宗教法人法第81条)を検討すると有権者に宣言すること。それがケジメというものだ。

⇒12日(金)午後・金沢の天気    はれ

☆安倍氏銃撃から1ヵ月 さりげなく哀悼の意を

☆安倍氏銃撃から1ヵ月 さりげなく哀悼の意を

   安倍元総理が奈良市で銃撃され死亡し、きょうで1ヵ月。メディア各社は、殺人で逮捕・送検された容疑者41歳について、検察は11月29日までの4ヵ月の鑑定留置を実施して、刑事責任能力の有無を見極めた上で起訴するかどうか決めるようだ、と報じている。

   4ヵ月もの鑑定留置をするということは、容疑者の供述に論理の飛躍や矛盾点がかなり見受けられるとの判断なのだろう。容疑者は母親が入信する「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)に恨みがあり、教団とつながりがある安倍氏の殺害に至ったと供述。さらに、統一教会と国会議員との癒着の実態が次々と明らかになっていることから、検察側もかなり慎重に捜査を進めているようだ。

   きょうの夕刊紙面で見つけた記事。安倍氏の銃撃事件後に広告主であるCMスポンサー企業がテレビCMを相次いで自粛したため、民放各社のCM枠は公共広告機構「ACジャパン」のCMが平時の50倍に増加した。CM自粛が相次いだ東日本大震災以来で最多となった(8日付・北陸中日新聞夕刊)。

   記事によると、CM総合研究所がまとめた数字で、在京キー局5局のACジャパンの放送回数は銃撃事件前日の7月7日は9回だったが、当日8日は241回、9日は472回、10日は462回、11日には509回に達した。CM全体に占める割合も7日の0.2%から11日は12.5%に上昇した。ただ、5日目の12日には39回に減り、ACジャパンへのCM差し替えは4日間で収束したことになる。

   東日本大震災のときは、2011年3月17日に3557回に達し、さらにこの傾向が1ヵ月以上にわたり続いた。それに比べれば、安倍氏の襲撃事件の衝撃波は短期間で治まったと言える。企業のテレビCMのイメージは明るさが売りでもあり、一時的にしろCMを控える動きはあってしかるべきだったろう。

   事件の2日後に行われた参院選挙。石川選挙区で立候補した岡田直樹氏は安倍氏の側近だった。当選確実のときの様子をテレビで見ていたが、万歳をせずに4期目の抱負を語っていた。さりげなく哀悼の意を示す、そのような心遣いが見て取れた。

   あれから1ヵ月。NHKが毎月行っている世論調査(8月5-7日)では、岸田内閣を「支持する」は前回調査より13ポイント下がって46%、「支持しない」は7ポイント上がって28%だった。安倍氏の「国葬」については「評価する」が36%、「評価しない」が50%だった。国葬と内閣支持率が微妙に絡まっている。

   この事件で誰もが感じたことは、一国の元総理が凶弾に倒れたという歴史的な出来事を肌で知った、ということではないだろうか。

⇒8日(月)夜・金沢の天気    はれ

★政治と宗教の癒着、民主主義の成れの果てなのか

★政治と宗教の癒着、民主主義の成れの果てなのか

   霊感商法や献金強要など反社会的行動を取ってきた「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)が国会議員との癒着している事実が次々と明らかになっている。統一教会の野望が見えてくる。と同時に、これが民主主義の成れの果てなのかと思ってしまう。  

   「信教の自由」は憲法20条で保障される権利である。しかし、教団という組織は基本的な人権や自由を保障しているだろうか。とくに、統一教会のようなカルト教団の組織の中では厳しい上下関係や献金強制、さらに政治活動の動員といったことが表面化している。全国霊感商法対策弁護士連絡会の記者会見(7月12日)によると、霊感商法や献金強要によって巨額な金が集められ、1987年から2021年に連絡会などに寄せられた被害件数は約3万4500件、被害金額は計約1237億円に上る。

   こうした問題を知りながら、安倍総理の2015年と16年の「桜を見る会」に統一教会幹部を招待していた。さらに、16年6月、統一教会の会長を総理官邸に招待していた。そのほか、閣僚や議員、地方自治体の首長、県会議員が統一教会から選挙支援やイベントの招待を受けていたとなれば、政治責任が問われて当然だろう。

   統一教会がここまで政治と癒着する思惑の中には、公的な資金取り込みの意図があるのではないのだろうか。統一教会が以前から提唱している「日韓トンネルの早期具体化」について、関連団体「平和政策研究所」は政策提言(2017年2月15日付)で、「いまこそ国家事業化の決断を」と提唱している。九州と韓国の間を230㌔の海底トンネルで結ぶ構想。これについて、国や自治体はこれまで調査費などの予算付けをしているのではないだろうか。

   統一教会による献金問題がこれまでも繰り返し報道されている。信者に借金をさせて自己破産、その後は知人や縁者に高額な物品販売をさせる。信者を集金マシーン化するあくどい手口だ。ここからは憶測だが、信者の集金マシーン化は巧妙化しているのではないか。無職や高齢の信者から生活保護費や年金を、あるいは零細企業の事業者の信者に持続化給付金などの公的資金を申請させ、献金として巻き上げているという事実はないだろうか。メディアによる調査報道に期待したい。

   共同通信社の世論調査(電話調査、7月30、31日)では、安倍元総理の国葬についての問いで、「反対」「どちらかといえば反対」が計52%で、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計44%を上回っている。戦後、総理経験者の国葬は1967年の吉田茂のみで、日米講和条約を結んで日本の独立を回復、戦後の出発点をつくった政治家だった。沖縄返還に尽くした佐藤栄作は国民葬だった。安倍の国葬に冷ややかな反応が多いのは、業績よりも通算8年8ヵ月という総理在任期間が優先されたからだろう。これも民主主義の成れの果てということか。

⇒7日(日)夜・金沢の天気     はれ     

☆民意が求める「政治と宗教」の説明責任

☆民意が求める「政治と宗教」の説明責任

   直近の世論調査によると内閣支持率は急落している。共同通信社の世論調査(電話調査、7月30、31日)では内閣支持率は51%で前回(7月11、12日)の63%より12ポイントも下落し、政党支持率も自民は41%で前回より5ポイント落ちている(1日付・北國新聞)。(※小数点以下の数値は切り捨て)

   共同通信の調査では急落と読めるが、前回調査は自民が改選125議席のうち過半数を占めて大勝した参院選(7月10日)後の調査だったので、内閣支持率が63%と高くなっていた。6月調査(11-13日)では56%だった。それでも、今回が5ポイント落ちている。不支持は今回が29%、前回が22%、6月調査が26%だった。

   きょうの日経新聞も世論調査(電話調査、7月29-31日)を掲載していて、内閣支持率は58%、前回(6月17-19日)60%より2ポイント下げている。不支持率は今回が32%、前回と同数だった。政党支持率は自民43%と前回45%より下げた。

   内閣支持率、政党支持率のほかに、両調査は安倍元総理の国葬について賛否を問うている。共同調査では「反対」「どちらかといえば反対」が計52%、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計44%を上回った。日経調査も「反対」が47%で、「賛成」43%より多い。

   安倍元総理が銃撃されて死亡した事件をきっかけに、自民党の現職閣僚や国会議員と、霊感商法や献金強要によって巨額の金を集めている「世界平和統一家庭連合」(旧「統一教会」)との関係が次々と取り沙汰されている。これについて、共同調査では「あなたは旧統一教会と政界との関わりについて、実態解明の必要があると思いますか、必要はないと思いますか」と問うている。これに対し、結果は「解明の必要がある」は80%、「解明の必要はない」は16%だ。圧倒的な民意ではないだろうか。

   岸田総理はきのう総理公邸での記者団の質問に答えて、「社会的に問題になっている団体との関係については、政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明していくことば大事だ」と述べ、各議員らが説明すべきだとの考えを示した(1日付・読売新聞)。メディアで指摘された統一教会との関わりある閣僚として、岸防衛大臣、萩生田経産大臣、末松文科大臣、二之湯国家公安委員長らの名前が上がっているのに、まるで「他人事」のようなコメントだ。

   全国霊感商法対策弁護士連絡会の記者会見(7月12日)によると、霊感商法や献金強要によって巨額な金が集められ、1987年から2021年に連絡会などに寄せられた被害件数は約3万4500件、被害金額は計約1237億円に上る。こうした問題を知りながら閣僚や議員が統一教会から選挙支援を得ていたのであれば、政治責任が問われて当然だろう。「実態解明の必要がある・・80%」。説明責任を求める民意を岸田総理は甘く見ているのではないか。

⇒1日(月)午後・金沢の天気    はれ

★「暑っつい」「ダサい」「いらいら」

★「暑っつい」「ダサい」「いらいら」

   きょう31日は午前中にもかかわらず強烈な暑さだ。金沢地方気象台は日中の金沢の最高気温を35度と予想しているが、体感ではもう超えているのではないだろうか。気象庁は石川県内に「熱中症警戒アラート」を出していて熱中症への対応を呼びかけている。29日から3日連続だ。6月29、30日にも発表されていたので通算5日となる。

  テレビ各社の気象予報士が解説している。世界的に異常気象をもたらすとされる「ラニーニャ現象」が去年秋から太平洋で続いていて、日本列島には来月から9月にかけても猛暑がもたらされるとのこと。それにしても「暑っつい」。 

   おそらく多くの人はこのニュースを見て、こう思っている。「ダサい」。東京オリンピック・パラリンピックをめぐって、組織委員会の78歳の元理事(「電通」元専務)が、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」側からコンサルタント料として受け取った4500万円が賄賂だった疑いがあるとして、東京地検特捜部が受託収賄などの疑いで捜査を進めていると報道されている。悪い意味でアナログ、昔ながらの汚職のスタイルではないか。電通マンとあろう者が愚かな行為を。

   組織委員会は最初からケチがついていた。去年2月、組織委員会会長の森喜朗氏が、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと女性蔑視と取れる発言の責任を取って辞任した。組織委員会のメンバーではないが、3月にはオリ・パラの開閉会式の統括責任者を務めるクリエーティブディレクター(「電通」元局長)が、演出チームとのSNS上のやり取りで、出演予定だったタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するような豚に見立てた、「いじり」の演出案を提案したことが発覚して辞任に追い込まれている。

   そして、7月には開会式のセレモニー楽曲を担当する作曲家グループの1人が急きょ辞任するというハプニングもあった。過去に雑誌のインタビューで、高校生のころまでの知的障がい者に対する「いじめ」を自慢するように語っていたことが指摘された。オリンピック・パラリンピックの理念から完全にNGであり、辞任は本人からの申し出だった。差別、いじり、いじめ・・・実にダサい。

   さきほどまで、TBS番組「サンデーモンーニング」を視聴していた。テーマは世界平和統一家族連合(旧「統一教会」)と自民党など政治家との関わりについてだった。コメンテーターの指摘が的確だった。統一教会の創設者の文鮮明は、日本がかつて韓国を植民地支配をしたのは罪であり、日本から金を取るのは当然ということが教義に盛り込まれている、と。

   なるほど、霊感商法や献金強要によって巨額の金を集めているのは日本の統一教会だけと報じられていたが、その理由がこのコメントから理解できた。教祖の理屈により、日本の統一教会にとって霊感商法や献金強要を何十年も続けることは与えられた使命なのだ。真面目な日本人の贖罪意識を実に巧みに利用し、教団そのものを「集金システム」に仕立てている。

   日本人が食い物にされている現実にもかかわらず、自民党など政治家の一部が選挙支援などに恩義を感じて統一教会にシンパシ-を寄せてきた。いま日本に漂っている閉塞感は、まさにこの政治と宗教の矛盾に満ちた関係性だろう。「いらいら」感が募る。この閉塞感をどう打ち破るのか。

⇒31日(日)午前・金沢の天気    はれ

☆政治は反社宗教団体にどうけじめをつけるのか

☆政治は反社宗教団体にどうけじめをつけるのか

   政治家が知らないで済む話なのだろうか。メディア各社の報道によると、自民党の福田達夫議員(党総務会長)はきのう29日の記者会見で、世界平和統一家族連合(旧「統一教会」)と自民党の関わりが指摘されていることに関し、「誤解を招くようなこと(報道)はしてほしくない」「僕自身、個人的に全く関係がない」「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と述べた。

   福田氏はその後、「被害者を生み出すような、社会的に問題が指摘されている団体との関係が問題であることは言うまでもない」と釈明のコメントを出している。これが、いまの自民党と統一教会の関係性を示すシンボリックな出来事なのだと理解した。霊感商法や献金強要など問題がある反社会的勢力から選挙支援を受け続けるうちに、多数の政治家がマインドコントロールされてしまう。黒を白と言いくるめられる政治家の姿だ。党総務会長のポジションにいる福田氏は統一教会が反社団体と認識していたのなら、自身との関わりがなかったとしても、なぜそれを先に言わなかったのか。

   統一教会についてはテレビ・新聞メディアの報道で実像が少しずつ見えてきた。さらに報道に期待したいことがある。それは、霊感商法や献金強要によって集めた巨額の金は韓国の本部にどのように送金されているのか、だ。全国霊感商法対策弁護士連絡会の記者会見(今月12日)によると、1987年から2021年に連絡会などに寄せられた被害件数は約3万4500件、被害金額は計約1237億円に上るという。これはあくまで被害総額であって、実際には数十倍にもなるのではないか。想像がつかいない。

          その金は世界に流れている。ニューヨーク・タイムズ(2021年11月5日付)によれば、1976年から2010年までの間に、献金として日本で集められ、韓国本部を通じてアメリカの統一教会に送金された額は実に36億㌦以上になるという。

   宗教法人は文化庁宗務課に年1回、書類提出(役員名簿、財産目録、収支計算書など)をする決まりがある。この中で、韓国本部への送金はどのように記載されているのか。また、円をウオンやドルへの為替取引業務をどのようなシステムで行っているのか。一連の金の流れの中で不正があれば、国税などに告発すべきだ。

   1996年に宗教法人法が改正され、第81条(解散命令)では「著しく公共の福祉を害する」「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」などあった場合、その宗教法人に対して、所轄庁などが解散命令を裁判所に請求し、裁判所の決定により解散させることができる。

   安倍元総理の射殺事件をきっかけに、反社行為が野ざらしにされてきた統一教会への批判が高まっている。むしろ自民党が率先して解散へと追い込む動きをしなければ、統一教会と一体とみなされるだろう。自民に限らず、政治にのしかかった課題だ。

⇒30日(土)午後・金沢の天気    はれ