#結婚問題

★2021 バズった人、コト~その2

★2021 バズった人、コト~その2

       この一年でもっともバズった「人、コト」と言えば秋篠宮家の眞子さんの結婚問題ではないだろうか。眞子さんは10月26日に婚姻届を出し、同日午後2時から「小室眞子」として圭氏ともに記者会見に臨んだ。その様子をテレビで視聴していたが、二人が結婚の気持ちを述べた後、質疑応答の時間はなく会見は10分余りで終わった。メディア各社の報道によると、当初は二人が記者側が事前に提出した質問と関連質問を受ける予定だったが、前日になって急きょ、質疑応答には口頭で答えないことに変更に。事前質問は文書回答となった。これでは記者会見の意義がない。(※写真は、10月26日のNHK総合の記者会見の中継番組より)

    ~宮内庁が「誹謗中傷」と言い、国民が納税者意識をぶつけた結婚問題~ 

   宮内庁の説明では、文書回答とする理由について、事前質問の中に誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねないものが含まれていることに眞子さんが強い衝撃を受け、強い不安を感じたため、医師とも相談して文書回答にすることを決めた。また、眞子さんは一時、会見を取りやめることも考えたが、ギリギリまで悩み、直接話したいという強い気持ちから、会見に臨んだという(10月26日付・NHKニュースWeb版)。宮内庁の説明に、メディアに対する恩着せがましさというものを感じた。それだったら、宮内庁は記者会見の中止を眞子さんに進言すべきではなかったのか。   

   二人の結婚の正式発表は、宮内庁が10月1日に会見で行っていた。そのとき、「眞子さまは、ご自身やご家族、それに小室さんとその家族への誹謗中傷と感じられる出来事が続いたことで、『複雑性PTSD』(=複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態になられている」と説明した。会見には医師も同席し、「結婚について周囲が温かく見守ることで回復が進むものと考えられる」などと述べた(10月2日付・同)。自身の認識不足かもしれいなが、このとき「誹謗中傷」という言葉を宮内庁が初めて使ったのではないだろうか。

   宮内庁はこの言葉を持ち出すタイミングを見計らっていた。と言うのも、9月16日に法務省は法制審議会に刑法の「侮辱罪」に懲役刑を導入する刑法改正を諮問している。現行「30日未満の拘留か1万円未満の科料」の法定刑を、「1年以下の懲役・禁固音または30万円以下の罰金」とする。厳罰化にともない、公訴時効も現行の1年から3年に延長する。公然と人を侮辱した行為に適用される侮辱罪の厳罰化が動き出していた。

   とくに、ネット上の誹謗中傷での対策が求められていて、法務省はことし4月、匿名の投稿者を迅速に特定できるように改正プロバイダー責任制限法を成立させ、裁判所が被害者からの申し立てを受けて、SNSなどプラットフォーム事業者に投稿者の氏名や住所などの情報開示を命じることができるようにするなど、侮辱罪の厳罰化について着々と準備を進めていた。法務省が厳罰化に乗り出したきっかけは、リアリティ番組『テラスハウス』(2020年5月19日放送)に出演していた女子プロレスラーがSNSの誹謗中傷を苦に自死した事件(同5月23日)だったといわれている。

   宮内庁は法務省の動きと連動して、眞子さんのPTSDの原因を誹謗中傷によるものとすることによって、SNSなどの批判意見を封じ込めようとした。眞子さんの結婚問題に異議や批判意見を唱える国民の声を「誹謗中傷」とみなして、宮内庁が「黙れ、訴えるぞ」と言っているようなものだ。これを機に、国民の皇室に対する目線や想いは複雑化し、そして先鋭化した。

   憲法第88条では「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めている。令和3年度の皇族費の総額は2億6900万円(宮内庁公式ホームページより)だ。国民の皇室に対する気持ちが複雑化すると、国民の間では納税者意識が頭をもたげてきた。「皇室は血税で賄われている。だったら国民の声を素直に聞くべき」といったSNSなどでの書き込みが目立つようになった。

   きのう22日、皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議が最終的な報告書をまとめた。皇位継承の議論は機が熟していないとしたうえで、皇族数を確保する方策として▽女性皇族が結婚後も皇室に残る案と▽旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つが盛り込まれた(12月22日付・同)。おそらく、国民の皇室への意識はますます複雑化し、そしてかけ離れていく。皇位継承のあり方よりも、皇室そもののあり方や存続について議論すべき時が来ているのではないか。眞子さんの結婚問題の波紋は大きい。

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☆眞子さま結婚問題さらなる一波乱二波乱

☆眞子さま結婚問題さらなる一波乱二波乱

   これはNHKのスクープ記事だった。16日付のニュースで、「秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さまとの結婚の調整が進められている小室圭さんが、今月末には帰国が可能となるよう準備を進めていて、近く帰国する見通しとなったことが、関係者への取材でわかりました。宮内庁は、来月の結婚も念頭に発表の準備を進めていて、眞子さまは、小室さんの帰国後、2人で記者会見などの機会を設け、結婚について報告される見通しです」(9月16日付・NHKニュースWeb版)と報じた。自身の憶測だが、この記事は「関係者への取材」というより、宮内庁からの「取材依頼」、つまり「リーク記事」ではなかったか。

   本来ならば民放テレビや新聞社などが加盟する宮内庁記者クラブで発表すべき案件なのだが、そうなると「小室問題」などに記者の質問が集中して記事が宮内庁側の意図しない趣旨で書かれてしまう、ということになりかねない。そこで、論調が比較的穏やかなNHKに情報を持ち込んだのだろう。メディアへの情報開示の在り方をここで論じるつもりはない。むしろ、そのような手段を使わざるを得ないほど、眞子さまの結婚問題で宮内庁が追い込まれた状況であることをニュースを見て察した。

   宮内庁を追い込んでいる状況はいくつかある。一つは、結婚までに時間がなく切羽詰まっている。記事にあるように、「眞子さまは、30歳の誕生日を迎える来月23日までに結婚される」となれば、あと1ヵ月余りだ。皇族は「民間人」ではないので戸籍はない。入籍するまでに、皇籍離脱の手続き、婚姻届けなど多々ある。この手続きを進めるのは宮内庁だ。とくに、皇族がその身分を離れる際に支払われる一時金(最大1億5250万円)について、眞子さまは「受け取らない意向を示されている」(同)としている点だ。眞子さまは簡単にそう述べられたのかもしれないが、宮内庁にとってはこれほど面倒なことはないだろう。

   憲法第88条では「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めている。皇籍離脱の一時金は皇族費であり、皇室経済法第6条に基づき、皇室経済会議を開く必要がある。本来は一時金の金額の認定などする場ではあるが、「受け取らない」場合であっても、その理由について了承を得る必要がある。会議メンバーは総理大臣、衆参正副議長、財務大臣、宮内庁長官、会計検査院長の8人だ。ところが、今月29日に自民党総裁選、10月4日からの臨時国会で首班指名選挙がある。その後に組閣があり、政治家にとって超多忙なスケジュールの中で皇室経済会議を開催できるのだろうか。ましてや、仮に物言いの河野太郎氏が総理になったとして、「受け取らない」をすんなり了承するだろうか。ひと波乱あるかもしれない。

   宮内庁を追い込んでいる状況のもう一つは、「国民の理解」ではないだろうか。冒頭の記事では、「2人で記者会見などの機会を設け」とある。皇籍を離脱する前に会見を開くことを宮内庁が仕込んでいるのだろう。というのも、眞子さまがこのまま会見も開かずにアメリカへ移住した場合、「多くの国民が納得し、喜んでくれる状況」(2021年2月23日・天皇陛下)にはならない。それどころか、多くの国民の嫌悪感を煽ることになりかねない。そこで記者会見を宮内庁はセットする訳だが、眞子さまも小室圭氏も会見を望んでいないのではないか。これまでの経緯を見ても、2人の現在の心境は憲法第24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」が最優先の「2人ファースト」ではないだろうか。国民の納得や祝福は念頭にない。

    2人の会見はどのような形式で行われるのかまだ定かになってはいない。おそらくリモート形式で、宮内庁記者からの質問もあらかじめ文書で提出されたものに違いない。時間も30分程度。とりあえず国を離れる前に国民にあいさつと報告をしたという事実を宮内庁としては残したいのだろう。いずれにしても今後、宮内庁の責任と皇室の有り様をめぐって国民の違和感がくすぶり続ける。(※写真は2017年9月3日、眞子さまと小室氏の婚約内定の記者会見=宮内庁公式ホームペ-ジより)

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